(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
支持体と、該支持体に回転可能に支持され、手動により回転される回転体と、前記回転体の回転を検出するセンサ部と、を有し、前記センサ部での検出結果に基づいてパルスを発生させる手動パルス発生装置において、
前記センサ部は、前記回転体に連動して回転する永久磁石と、前記支持体側に保持された磁気抵抗素子と、を備え、
前記回転体と前記支持体との間には、前記回転体側で外周面に複数の歯が周方向に並ぶクリックギア、前記クリックギアの外周面に当接する当接部材、および該当接部材を前記クリックギアの外周面に押圧するバネ部材を備えたクリック機構が設けられ、
前記当接部材は、前記クリックギアの回転軸線方向に延在して前記歯に当接する当接部を備え、
前記バネ部材は、コイルバネであり、
当該コイルバネにおいて前記当接部材と当接する部分は、当該コイルバネを構成する線材の端部が前記当接部材に向けて突出しない端面になっていることを特徴とする手動パルス発生装置。
前記磁気抵抗素子は、A相用の感磁パターンと、該A相用の感磁パターンが生成する信号に対して位相が1/4周期ずれた信号を生成するB相用の感磁パターンと、を備え、
前記A相用の感磁パターンおよび前記B相用の感磁パターンは各々、第1セグメントと、該第1セグメントに対して前記永久磁石との相対移動方向の一方側で1/2周期離間する第2セグメントと、前記第1セグメントに対して前記相対移動方向の他方側で1/2周期離間する第3セグメントと、を含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の手動パルス発生装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成のように、光学式センサを用いた場合、センサに油等の異物が付着すると誤検出が発生するという問題点がある。特に手動パルス発生装置は、マシニングセンター等が設置された環境で使用されることが多いため、油等の異物が付着する可能性が高い。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、油等が付着しても誤検出が発生しにくい手動パルス発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、支持体と、該支持体に回転可能に支持され、
手動により回転される回転体と、前記回転体の回転を検出するセンサ部と、を有し、前記センサ部での検出結果に基づいてパルスを発生させる手動パルス発生装置において、前記センサ部は、前記回転体に連動して回転する永久磁石と、前記支持体側に保持された磁気抵抗素子と、を備
え、前記回転体と前記支持体との間には、前記回転体側で外周面に複数の歯が周方向に並ぶクリックギア、前記クリックギアの外周面に当接する当接部材、および該当接部材を前記クリックギアの外周面に押圧するバネ部材を備えたクリック機構が設けられ、前記当接部材は、前記クリックギアの回転軸線方向に延在して前記歯に当接する当接部を備え、前記バネ部材は、コイルバネであり、当該コイルバネにおいて前記当接部材と当接する部分は、当該コイルバネを構成する線材の端部が前記当接部材に向けて突出しない端面になっていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、手動により回転体を回転させると、かかる回転をセンサ部によって検出し、その検出結果に基づいてパルスを発生させる。ここで、センサ部は、回転体に連動して回転する永久磁石を有しているとともに、かかる永久磁石の回転を支持体側に保持された磁気抵抗素子で検出する。このため、光学式センサと違って、センサ部に油等の異物が付着した場合でも、永久磁石の回転(回転体の回転)を適正に検出することができる。
また、前記回転体と前記支持体との間には、前記回転体側で外周面に複数の歯が周方向に並ぶクリックギア、前記クリックギアの外周面に当接する当接部材、および該当接部材を前記クリックギアの外周面に押圧するバネ部材を備えたクリック機構が設けられているため、クリックギアとシャフトとを備えたクリック機構によって回転体を所定の角度位置で停止させることができる。また、前記当接部材は、前記クリックギアの回転軸線方向に延在して前記歯に当接する当接部を備えているため、当接部材とクリックギアの歯との接触面積が広い。従って、クリック感を確実に得ることができるとともに、歯の摩耗等を抑制することができる。また、前記バネ部材は、コイルバネであり、当該コイルバネにおいて前記当接部材と当接する部分は、当該コイルバネを構成する線材の端部が前記当接部材に向けて突出しない端面になっている。このため、コイルバネと当接部材との引っ掛かりを抑制することができるので、コイルバネを直接、当接部材に接触した構造を採用することができる。
【0008】
本発明において、前記センサ部に対して前記回転体に対する手動が行われる側とは反対側には、磁気シールド体が設けられていることが好ましい。手動パルス発生装置は、手動が行われる側とは反対側が磁石によってマシニングセンター等に取り付けて操作されることが多いが、このような場合でも、センサ部への影響を磁気シールド体によって緩和することができる。
【0009】
本発明において、前記支持体は、前記センサ部を収容したセンサケースを備え、前記センサケースは、前記回転体に対する手動が行われる側とは反対側の底板部と、該底板部から前記回転体に対する手動が行われる側に延在して前記センサ部の周りを囲む筒状胴部と、を備え、前記底板部は、磁性板により構成されて前記磁気シールド体を構成しているこ
とが好ましい。かかる構成によれば、センサ部に対する磁気シールドを効果的に行うことができる。
【0010】
本発明において、前記筒状胴部は、磁性板により構成されて磁気シールド体を構成していることが好ましい。かかる構成によれば、センサ部に対する磁気シールドを効果的に行うことができる。
【0011】
本発明において、前記支持体は、前記筒状胴部の開口を塞ぐセンサカバーを備え、前記センサカバーは、非磁性材料により形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、センサカバーについては、軽量かつ安価な材料によって形成することができる。
【0012】
本発明において、前記磁気抵抗素子は、A相用の感磁パターンと、該A相用の感磁パターンが生成する信号に対して位相が1/4周期ずれた信号を生成するB相用の感磁パターンと、を備え、前記A相用の感磁パターンおよび前記B相用の感磁パターンは各々、第1セグメントと、該第1セグメントに対して前記永久磁石との相対移動方向の一方側で1/2周期離間する第2セグメントと、前記第1セグメントに対して前記相対移動方向の他方側で1/2周期離間する第3セグメントと、を含むことが好ましい。かかる構成によれば、磁気抵抗素子によって、回転体の回転を検出することができるとともに、感磁パターンの保磁力の影響で検出精度が低下することを抑制することができる。また、A相用の感磁パターンおよびB相用の感磁パターンが各々、第1セグメントの両側に第2セグメントおよび第3セグメントを備えているため、磁気抵抗素子の周方向の寸法を短くすることができる。
【0013】
本発明において、前記第1セグメントは、第4セグメントと、該第4セグメントに対して前記相対移動方向で1/4周期離間する第5セグメントと、を含み、前記第2セグメントは、前記第5セグメントに対して前記相対移動方向の一方側で1/2周期離間し、前記第3セグメントは、前記第4セグメントに対して前記相対移動方向の他方側で1/2周期離間している構成を採用することができる。
【0016】
本発明において、前記当接部材は、前記クリックギアの回転軸線方向に延在する丸棒状のシャフトであることが好ましい。かかる構成によれば、シャフトがいずれの方向に向いている場合でも、外周面(当接部)が歯に当接することになる。
【0017】
本発明において、前記当接部は、前記歯の前記軸線方向の幅以上の長さを有し、前記歯の前記軸線方向の全体に当接していることが好ましい。かかる構成によれば、当接部材が歯の軸線方向の一部に当接する場合より、歯に対する接触面積が広い。従って、歯の摩耗等を抑制することができる。
【0018】
本発明において、前記支持体には、前記バネ部材のバネ圧を調整するバネ圧調整機構が
設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、クリック機構における負荷を適正な条件に設定することができる。また、クリックギアの回転軸線方向に延在する当接部を備えた当接部材をクリックギアに当接させる構成の場合は特に当接圧を適正に設定する必要があるが、バネ圧調整機構を設ければ、当接圧を適正に設定することができる。
【0019】
本発明において、前記バネ圧調整機構は、前記バネ部材の撓み方向に移動可能に前記支持体側に保持されたネジ部材を備えていることが好ましい。かかる構成によれば、クリック機構における負荷を容易に調整することができるとともに、クリック機構の組み立ても容易である。
【0021】
本発明において、前記センサ部で検出されるA相の信号とB相の信号のレベルが一致したタイミングと、前記シャフトが前記複数の歯のうち、周方向で隣り合う2つの歯の間の溝に最大限侵入したタイミングとが一致していることが好ましい。かかる構成によれば、クリック機構によって回転体が停止した状態で、A相の信号とB相の信号のレベルを一致させることができる。
【0022】
本発明において、前記回転体側における前記永久磁石の角度位置、前記回転体側における前記当接部材の角度位置、および前記当接部材の角度位置の少なくとも一つを調整する角度位置調整機構が設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、クリック感が得られるタイミングとパルスが出力されるタイミングとを合わせることができる。
【0023】
本発明において、前記回転体側における前記永久磁石の角度位置、および前記支持体側における前記磁気抵抗素子の角度位置の少なくとも一方を調整する角度位置調整機構が設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、回転体の角度位置とパルスが出力されるタイミングとを合わせることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る手動パルス発生装置においては、手動により回転体を回転させると、かかる回転をセンサ部によって検出し、その検出結果に基づいてパルスを発生させる。ここで、センサ部は、回転体に連動して回転する永久磁石を有しているとともに、かかる永久磁石の回転を支持体側に保持された磁気抵抗素子で検出する。このため、光学式センサと違って、センサ部に油等の異物が付着した場合でも、永久磁石の回転(回転体の回転)を適正に検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面を参照して、本発明を適用した手動パルス発生装置を説明する。
【0027】
(手動パルス発生装置の全体構成)
図1は、本発明を適用した手動パルス発生装置1の外観を示す説明図である。
図2は、本発明を適用した手動パルス発生装置1の分解斜視図である。なお、
図2等では、回転体6の回転中心軸線Lが延在している方向(回転中心軸線L方向)のうち、操作面側にL1を付し、背面側にL2を付してある。
【0028】
図1および
図2に示す手動パルス発生装置1において、装置本体100の前面には、手動により回転操作が行われるダイヤル14が設けられており、ダイヤル14の周りには、基準位置や極性を示す刻印129が付されている。ダイヤル14は、後述する回転軸61等とともに回転体6を構成しており、回転体6は、ハウジング11やセンサケース52等の支持体200によって回転可能に支持されている。このように構成した装置本体100の前面が操作面110である。
【0029】
装置本体100の前面(操作面110)には、出力されるパルスの属性等を切り換える切り替えつまみ16a、16bと、切り替えつまみ16a、16bに対する目盛等が付されたプレート121とが設けられている。また、装置本体100の下側端部からはケーブル17が引き出されている。ケーブル17と装置本体100とはブシュ174を通して接続されている。ケーブル17の先端にはコネクタ173が取り付けられており、コネクタ173は、手動パルス発生装置1からパルスが出力される機器18のコネクタ181と結合される。手動パルス発生装置1は、ケーブル17を機器18に接続した状態で機器18から電源が供給される。
【0030】
手動パルス発生装置1は、手動でダイヤル14を回転させるとパルスを発生させる。かかるパルスは、ケーブル17を介して、マシニングセンター等の数値制御工作機械や電子機器等の機器18に対して出力され、機器18での条件設定や動作確認等に用いられる。本形態において、機器18は数値制御工作機械である。切り替えつまみ16a、16bは、例えば、数値制御工作機械におけるX軸、Y軸、Z軸の選択用や感度の選択用である。
【0031】
図2に示すように、ハウジング11は、装置本体100の前面側(操作面側L1)を構成する第1ハウジング部材12と、装置本体100の背面側L2を構成する第2ハウジング部材13とを有している。第1ハウジング部材12は、操作面側L1に位置する矩形の前板部123と、前板部123の4つの縁から背面側L2に突出した側板部124とを有している。前板部123には、ダイヤル14と重なる位置に開口部123aが形成されているとともに、開口部123aの周りには、円形の凹部123bが形成されている。第2ハウジング部材13は、第1ハウジング部材12の背面側L2の開口を覆った状態でネジ131によって、第1ハウジング部材12に結合されている。本形態において、第1ハウジング部材12および第2ハウジング部材13はいずれも樹脂製であるが、金属製であっても良い。
【0032】
第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材13との間には、センサユニット10や回路基板15が配置されており、センサユニット10は、円環状のパッキン3を挟んで第
1ハウジング部材12の前板部123にネジ(図示せず)等によって固定されている。回路基板15は、センサユニット10での検出結果に基づいて生成したパルスを出力するための回路(図示せず)が構成されており、第1ハウジング部材12の前板部123にネジ(図示せず)等によって固定されている。回路基板15には、切り替えつまみ16a、16bが接続されたロータリスイッチ152a、152bが搭載されている。なお、ケーブル17は、回路基板15に、例えば、コネクタ153、172を介して接続されている。
【0033】
回転体6は、センサユニット10から突出する回転軸61と、回転軸61に固定された連結部材2と、連結部材2に対してネジ143、144によって固定されたダイヤル14とを備えている。回転軸61は、第1ハウジング部材12の前板部123に形成された開口部123aから操作面側L1に突出し、かかる突出部分に連結部材2を介してダイヤル14が連結されている。従って、操作面側L1でダイヤル14を手動により回転させると、回転軸61が回転する。センサユニット10は、回転軸61の回転角度を検出し、検出結果を回路基板15に出力する。その結果、回路基板15は、ダイヤル14の回転に相当する数のパルスを生成し、ケーブル17を介して出力する。本形態では、ダイヤル14の周りには100等分した目盛が付されており、刻印129を指標としてダイヤル14の目盛が一つ進むごとに1パルスを出力する。
【0034】
(センサユニット10の全体構成)
図3は、本発明を適用した手動パルス発生装置1に用いたセンサユニット10の分解斜視図である。
図4は、本発明を適用した手動パルス発生装置1に用いたセンサユニット10の断面図である。
【0035】
図3および
図4に示すように、センサユニット10は、操作面側L1に開口するカップ状のセンサケース52と、センサケース52の開口を塞ぐようにセンサケース52に結合されたセンサカバー51と、センサケース52に固定されたシャフトホルダ53とを有しており、センサケース52、センサカバー51、およびシャフトホルダ53は、
図1等を参照して説明したハウジング11とともに支持体200を構成している。
【0036】
センサケース52は、背面側L2の底板部521と、底板部521の外縁から操作面側L1に突出した円筒状の筒状胴部522とを有している。センサカバー51は樹脂製であり、円筒部511と、円筒部511の背面側L2の端部付近で拡径する円板部512とを有している。円板部512には、周方向で離間する2箇所に周方向に円弧状に延在する2つの凸部513、514が形成されている。円筒部511の内側には円環状の軸受55a、55bが回転軸線L方向で離間する位置に保持され、かかる軸受55a、55bを介して回転軸61が支持体200(センサカバー51)に回転可能に支持されている。
【0037】
センサケース52の内側において、回転軸61には、クリック機構7aを構成するための円環状のクリックギア63が同心状に連結されているとともに、クリックギア63に対して背面側L2では、磁石ホルダ62が回転軸61に同心状に連結されている。クリックギア63および磁石ホルダ62は、
図1等を参照して説明したダイヤル14等とともに回転体6を構成している。なお、連結部材2は、回転軸61の前側の端部が嵌る円筒部22と、円筒部22の前端で拡径するフランジ部21とを有している。
図4に示すように、円筒部22に形成された穴23には、回転軸61に先端が突き当たるようにセットネジ26が止められて、連結部材2と回転軸61とが連結されている。回転軸61の外周面のうち、セットネジ26の先端が当たる個所は平坦面618になっている。
【0038】
(センサ部8の構成)
図5は、本発明を適用した手動パルス発生装置1に用いた磁気抵抗素子57の説明図であり、
図5(a)、(b)は、磁気抵抗素子57の一例を示す説明図、および磁気抵抗素
子57の感磁パターン一例を模式的に示す説明図である。
図6は、本発明を適用した手動パルス発生装置1に用いた磁気抵抗素子57での検出信号等の説明図であり、
図6(a)、(b)、(c)は、磁気抵抗素子57から出力される信号の説明図、A相の矩形パルスの説明図、およびB相の矩形パルスの説明図である。なお、以下の説明では、
図6(a)に示す信号の1周期をλとし、かかる1周期は、
図5(a)に示すN極とN極との距離(S極とS極の距離)に相当する。
【0039】
センサケース52の内側には、回転軸61(回転体6)の回転を検出するセンサ部8が構成されており、本形態において、センサ部8は、回転体6(磁石ホルダ62)に保持された円環状の永久磁石65と、支持体200の側に保持された磁気センサ素子56とによって構成されている。永久磁石65は、磁石ホルダ62に対して固定プレート64を介して固定されている。永久磁石65の外周面650は、周方向にS極とN極とが等角度間隔に交互に形成されている。また、支持体200のうち、センサカバー51には、凸部513、514に跨るようにセンサ基板54が固定されており、センサ基板54には素子ホルダ58を介して磁気センサ素子56が実装されている。この状態で、磁気センサ素子56は、永久磁石65の外周面に対向している。
【0040】
本形態において、磁気センサ素子56は、磁気抵抗素子57であり、
図5(a)に示すように、素子基板59には磁気抵抗膜からなる感磁パターンが形成されている。本形態において、感磁パターンは、A相の信号を生成するA相用の感磁パターン570Aと、A相用の信号に対して位相が1/4周期ずれたB相の信号を生成するB相用の感磁パターン570Bとを備えている。また、A相用の感磁パターン570Aは、+A相用の感磁パターン570A+と、+A相用の感磁パターン570A+に対して逆相の信号を生成する−A相用の感磁パターン570A−とを備えている。また、B相用の感磁パターン570Bは、+B相用の感磁パターン570B+と、+B相用の感磁パターン570B+に対して逆相の信号を生成する−B相用の感磁パターン570B−とを備えている。このため、素子基板59には、4つの端子572A+、572A−、572B+、572B−が形成されている。また、素子基板59には、給電線573e、573fおよびグランド線574が形成されており、給電線573e、573fおよびグランド線574の端部には、端子572A+、572A−、572B+、572B−と並ぶように、端子572Vcce、572Vccf、572GNDが形成されている。
【0041】
図5(a)に示すように、本形態の磁気抵抗素子57において、例えば、+A相用の感磁パターン570A+は、第1セグメントS1(A+)と、第1セグメントS1(A+)に対して周方向R(永久磁石との相対移動方向)の一方側R1で1/2周期離間する第2セグメントS2(A+)と、第1セグメントS1(A+)に対して周方向Rの他方側R2で1/2周期離間する第3セグメントS3(A+)とを含んでいる。本形態において、第1セグメントS1(A+)は、第4セグメントS4(A+)と、第4セグメントS4(A+)に対して周方向Rの一方側R1で1/4周期離間する第5セグメントS5(A+)とを含んでいる。このため、第2セグメントS2(A+)は、第5セグメントS5(A+)に対して周方向Rの一方側R1で1/2周期離間し、第3セグメントS3(A+)は、第4セグメントS4(A+)に対して周方向Rの他方側R2で1/2周期離間している。このように構成した+A相用の感磁パターン570A+において、第1セグメントS1(A+)、第2セグメントS2(A+)、第3セグメントS3(A+)および第4セグメントS4(A+)は、端子572Vcceと端子572GNDとの間で直列に接続されている。また、第4セグメントS4(A+)と第5セグメントS5(A+)との間に端子572A+が電気的に接続され、第2セグメントS2(A+)の側に端子572Vcceが接続され、第3セグメントS3(A+)の側に端子572GNDが接続されている。このようにして、+A相用のハーフブリッジ回路が構成されている。
【0042】
図5(b)に示すように、第4セグメントS4(A+)は、第1折り返しパターンR4−1と、第1折り返しパターンR4−1に対して周方向Rの他方側R2で隣り合う第2折り返しパターンR4−2とを備えている。また、第5セグメントS5(A+)は、第1折り返しパターンR5−1と、第1折り返しパターンR5−1に対して周方向Rの一方側R1で隣り合う第2折り返しパターンR5−2とを備えている。かかる構成に対応して、第2セグメントS2(A+)は、第1折り返しパターンR5−1に対して周方向Rの一方側R1で1/2周期離間する第2折り返しパターンR2−1と、第2折り返しパターンR5−2に対して周方向Rの一方側R1で1/2周期離間する第2折り返しパターンR2−2とを備えている。また、第3セグメントS3(A+)は、第1折り返しパターンR4−1に対して周方向Rの他方側R2で1/2周期離間する第1折り返しパターンR3−1と、第2折り返しパターンR4−2に対して周方向Rの他方側R2で1/2周期離間する第2折り返しパターンR3−2とを備えている。
【0043】
図5(a)に示すように、他の感磁パターン(−A相用の感磁パターン570A−、+B相用の感磁パターン570B+、および−B相用の感磁パターン570B−)も、+A相用の感磁パターン570A+と基本的な構成が同一である。
【0044】
より具体的には、−B相用の感磁パターン570B−は、第1セグメントS1(B−)と、第1セグメントS1(B−)に対して周方向Rの一方側R1で1/2周期離間する第2セグメントS2(B−)と、第1セグメントS1(B−)に対して周方向Rの他方側R2で1/2周期離間する第3セグメントS3(B−)とを含んでいる。本形態において、第1セグメントS1(B−)は、第4セグメントS4(B−)と、第4セグメントS4(B−)に対して周方向Rの一方側R1で1/4周期離間する第5セグメントS5(B−)とを含んでいる。このため、第2セグメントS2(B−)は、第5セグメントS5(B−)に対して周方向Rの一方側R1で1/2周期離間し、第3セグメントS3(B−)は、第4セグメントS4(B−)に対して周方向Rの他方側R2で1/2周期離間している。このように構成した−B相用の感磁パターン570B−において、第1セグメントS1(B−)、第2セグメントS2(B−)、第3セグメントS3(B−)および第4セグメントS4(B−)は、端子572Vcceと端子572GNDとの間で直列に接続されている。また、第4セグメントS4(B−)と第5セグメントS5(B−)との間に端子572B−が電気的に接続され、第2セグメントS2(B−)の側に端子572Vcceが接続され、第3セグメントS3(B−)の側に端子572GNDが接続されている。このようにして、−B相用のハーフブリッジ回路が構成されている。
【0045】
ここで、+A相用の感磁パターン570A+と−B相用の感磁パターン570B−とは、各セグメントが周方向で交互に配置され、例えば、第4セグメントS4(A+)は、第4セグメントS4(B−)に対して周方向Rの一方側R1で1/8周期離間している。
【0046】
次に、+A相用の感磁パターン570A+および−B相用の感磁パターン570B−が配置されている領域に対して回転中心軸線Lが延在している方向で隣り合う位置において、−A相用の感磁パターン570A−は、第1セグメントS1(A−)と、第1セグメントS1(A−)に対して周方向Rの一方側R1で1/2周期離間する第2セグメントS2(A−)と、第1セグメントS1(A−)に対して周方向Rの他方側R2で1/2周期離間する第3セグメントS3(A−)とを含んでいる。第1セグメントS1(A−)は、第4セグメントS4(A−)と、第4セグメントS4(A−)に対して周方向Rの一方側R1で1/4周期離間する第5セグメントS5(A−)とを含んでいる。このため、第2セグメントS2(A−)は、第5セグメントS5(A−)に対して周方向Rの一方側R1で1/2周期離間し、第3セグメントS3(A−)は、第4セグメントS4(A−)に対して周方向Rの他方側R2で1/2周期離間している。このように構成した−A相用の感磁パターン570A−において、第1セグメントS1(A−)、第2セグメントS2(A−
)、第3セグメントS3(A−)および第4セグメントS4(A−)は、端子572Vccfと端子572GNDとの間で直列に接続されている。また、第4セグメントS4(A−)と第5セグメントS5(A−)との間に端子572A−が電気的に接続され、第2セグメントS2(A−)の側に端子572Vccfが接続され、第3セグメントS3(A−)の側に端子572GNDが接続されている。このようにして、−A相用のハーフブリッジ回路が構成されている。このように構成した−A相用の感磁パターン570A−において、第4セグメントS4(A−)と、+A相用の感磁パターン570A+の第5セグメントS5(A+)とは、周方向Rで同一位置にあるが、端子572A+、572A−が接続している側からみたとき、周方向Rの反対側に位置する。このため、端子572A+、572A−から出力される波形は逆相になる。
【0047】
次に、+A相用の感磁パターン570A+および−B相用の感磁パターン570B−が配置されている領域に対して回転中心軸線Lが延在している方向で隣り合う位置において、+B相用の感磁パターン570B+は、第1セグメントS1(B+)と、第1セグメントS1(B+)に対して周方向Rの一方側R1で1/2周期離間する第2セグメントS2(B+)と、第1セグメントS1(B+)に対して周方向Rの他方側R2で1/2周期離間する第3セグメントS3(B+)とを含んでいる。第1セグメントS1(B+)は、第4セグメントS4(B+)と、第4セグメントS4(B+)に対して周方向Rの一方側R1で1/4周期離間する第5セグメントS5(B+)とを含んでいる。このため、第2セグメントS2(B+)は、第5セグメントS5(B+)に対して周方向Rの一方側R1で1/2周期離間し、第3セグメントS3(B+)は、第4セグメントS4(B+)に対して周方向Rの他方側R2で1/2周期離間している。ここで、+B相用の感磁パターン570B+と−A相用の感磁パターン570A−とは、各セグメントが周方向で交互に配置され、例えば、第4セグメントS4(B+)は、第4セグメントS4(A−)に対して周方向Rの他方側R2で1/8周期離間している。このように構成した+B相用の感磁パターン570B+において、第1セグメントS1(B+)、第2セグメントS2(B+)、第3セグメントS3(B+)および第4セグメントS4(B+)は、端子572Vccfと端子572GNDとの間で直列に接続されている。また、第4セグメントS4(B+)と第5セグメントS5(B+)との間に端子572B+が電気的に接続され、第2セグメントS2(B+)の側に端子572Vccfが接続され、第3セグメントS3(B+)の側に端子572GNDが接続されている。このようにして、+B相用のハーフブリッジ回路が構成されている。このように構成した+B相用の感磁パターン570B+において、第4セグメントS4(B+)と、−B相用の感磁パターン570B+の第5セグメントS5(B−)とは、周方向Rで同一位置にあるが、端子572B+、572B−が接続している側からみたとき、周方向Rの反対側に位置する。このため、端子572B+、572B−から出力される波形は逆相になる。
【0048】
このように構成されたセンサ部8において、回転体6(永久磁石65)が回転すると、端子572A+、572A−から出力される信号の差は、
図6(a)に実線で示すA相の信号81aであり、端子572B+、572B−から出力される信号の差は、
図6(a)に点線で示すB相の信号81bである。かかる信号は、センサ基板54に実装された半導体装置、あるいは回路基板15に実装された半導体装置に設けられたコンパレータ等によって、
図6(b)に示すA相の矩形パルス82a、および
図6(c)に示すB相の矩形パルス82bに変換され、矩形パルス82a、82bは、ケーブル17を介して出力される。
【0049】
このようにして、矩形パルス82a、82bを生成するにあたって、
図5を参照して説明したように、磁気抵抗素子57において、+A相用の感磁パターン570A+、−A相用の感磁パターン570A−、+B相用の感磁パターン570B+、および−B相用の感磁パターン570B−は各々、周方向Rで1/2周期離間する第1セグメントS1(第4
セグメントS4および第5セグメントS5)、第2セグメントS2および第3セグメントS3を有している。このため、磁気抵抗素子57の感磁パターンの保磁力に起因して検出信号に歪み等が発生することを抑制することができる。例えば、+A相用の感磁パターン570A+において、第1セグメントS1(A+)を構成する第4セグメントS4(A+)および第5セグメントS5(A+)がN極と対向する際、第2セグメントS2(A+)および第3セグメントS3(A+)がS極と対向するため、磁気抵抗素子57の感磁パターンの保磁力が極性に対して対称でない等の特性があっても、検出信号に歪み等が発生することを抑制することができる。また、第1セグメントS1(第4セグメントS4および第5セグメントS5)の両側に第2セグメントS2および第3セグメントS3が配置されているため、磁気抵抗素子57において、A相用の感磁パターン570AおよびB相用の感磁パターン570Bを配置した領域の周方向Rの寸法を短くすることができる。
【0050】
(磁気シールド構造)
再び
図2および
図3において、本形態では、センサ部8には、永久磁石65と磁気センサ素子56とを用いたため、センサ部8に対して少なくとも背面側L2には、磁気シールド体が設けられている。本形態においては、センサケース52の底板部521をSPPC等の鋼材等といった磁性材料により形成することによって、底板部521によって、センサ部8を背面側L2で覆う磁気シールド体が構成されている。ここで、センサケース52では、底板部521と筒状胴部522とが一体であるため、センサケース52の全体が磁性材料によって構成されている。従って、センサ部8は、センサケース52の筒状胴部522である磁気シールド体によって側方が囲まれている。なお、本形態において、センサカバー51は、樹脂製である。このため、センサ部8は、操作面側L1については磁気シールド体で覆われていない。
【0051】
(クリック機構7aおよびバネ圧調整機構7bの構成)
図7は、本発明を適用した手動パルス発生装置1に用いたセンサユニット10のクリック機構7a等の説明図であり、
図7(a)、(b)は、クリックギア63等を背面側L2からみた斜視図、およびクリックギア63等を背面側L2からみた背面図である。
図8は、
図7に示すクリック機構7aに用いたシャフトホルダ53の斜視図である。
【0052】
図3および
図4に示すように、磁石ホルダ62は、円筒部621と、円筒部621の背面側L2端部で拡径した第1円板部622と、第1円板部622に対して背面側L2で拡径した第2円板部623とを有している。第1円板部622において、径方向で貫通する穴625には、回転軸61に先端が突き当たるようにセットネジ627が止められて、磁石ホルダ62と回転軸61とが連結されている。本形態では、回転軸61の外周面のうち、セットネジ627の先端が当たる個所は平坦面619になっている。また、磁石ホルダ62において、第1円板部622にはクリックギア63を固定するためのネジ穴622aが形成され、第2円板部623には永久磁石65を固定するためのネジ穴623aが形成されている。
【0053】
第1円板部622に対して操作面側L1には、円環状のクリックギア63が重ねて配置されている。本形態において、クリックギア63は、円環部632と、円環部632の外縁から操作面側L1に突出した側板部631とを有しており、側板部631の外周面630には複数の歯633および溝634が等角度間隔に形成されている。また、円環部632には穴632aが形成されており、穴632aを通して磁石ホルダ62の第1円板部622のネジ穴622aにネジ639を止めることによって、クリックギア63が第1円板部622に固定されている。
【0054】
図4および
図7に示すように、センサカバー51において円板部512の背面側L2には樹脂製のシャフトホルダ53が取り付けられており、シャフトホルダ53とクリックギ
ア63との間には、クリックギア63の外周面630に当接する当接部材70と、当接部材70をクリックギア63の外周面630に向けて押圧するバネ部材75とが配置されている。本形態において、当接部材70は、クリックギア63の回転軸線L方向に延在して歯633に当接する当接部701を備えている。本形態において、当接部材70は、回転中心軸線L方向に延在する丸棒状のシャフト71であり、外周面のうち、クリックギア63の側に向いている部分によって当接部701が構成されている。本形態において、シャフト71は金属製である。ここで、シャフト71(当接部701)は、歯633の回転中心軸線L方向の幅以上の長さを有しており、歯633の回転中心軸線L方向の全体に当接している。
【0055】
バネ部材75はコイルバネ76であり、コイルバネ76においてシャフト71と当接する部分は、コイルバネ76を構成する線材の端部がシャフト71に向けて突出しない端面になっている。
【0056】
本形態では、シャフト71およびコイルバネ76をセンサカバー51に保持させるにあたって、
図8に示すシャフトホルダ53が用いられている。シャフトホルダ53は、センサカバー51の円板部512に背面側L2で重なる連結板部531と、連結板部531の周方向の中央から背面側L2に突出した角筒部535とを有しており、角筒部535には、径方向で貫通する円形の穴538が形成されている。また、角筒部535において、径方向内側には回転中心軸線L方向に延在するシャフト支持穴537が形成されており、穴538は、シャフト支持穴537の中央部分に繋がっている。連結板部531には、センサカバー51の円板部512の背面側L2で突出する2つの筒状突起516a、516bが各々嵌る切り欠き536a、536bが形成されている。従って、筒状突起516a、516bが切り欠き536a、536bに嵌るようにセンサカバー51の円板部512にシャフトホルダ53の連結板部531を重ねた状態で、筒状突起516a、516bへのネジ止めやカシメなどを行えば、センサカバー51にシャフトホルダ53を固定することができる。
【0057】
図4に示すように、シャフト支持穴537にはシャフト71が収容され、穴538にはコイルバネ76が収容されている。また、穴538は、シャフト71が位置する側の前側部分538aとシャフト71が位置する側とは反対側の後側部分538bとでは内径が相違しており、後側部分538bは、前側部分538aより内径が大のネジ穴になっている。ここで、コイルバネ76は前側部分538aに位置し、後側部分538bにはセットビス539が止められている。その結果、コイルバネ76は、シャフト71をクリックギア63の外周面630に向けて押圧する。このようにしてクリック機構7aが構成されている。
【0058】
また、以下の工程を行えば、コイルバネ76のバネ圧を調整することができる。例えば、磁石ホルダ62を介して回転軸61にクリックギア63を取り付けた後、シャフト支持穴537にシャフト71を収容した状態でセンサカバー51にシャフトホルダ53を固定する。次に、シャフトホルダ53の穴538にコイルバネ76を挿入した後、径方向外側から穴538にネジ部材であるセットビス539を止める。ここで、セットビス539は、コイルバネ76(バネ部材75)の撓み方向に移動可能に支持体200側(シャフトホルダ53)に保持されたネジ部材である。このため、セットビス539の締め込み量を調整すれば、コイルバネ76のバネ圧を調整することができる。このようにして、バネ圧調整機構7bが構成される。
【0059】
(永久磁石65に対する角度位置調整機構7cの構成)
図9は、本発明を適用した手動パルス発生装置1に用いたセンサユニット10の永久磁石65等を背面側L2からみた斜視図である。
【0060】
図3、
図4および
図9に示すように、固定プレート64は、円環部641を有しているとともに、円環部641の内縁と外縁との間には操作面側L1に向けて突出した円環状の凸部642が形成されている。円環状の凸部642の外周側に永久磁石65が接着等の方法で固定されている。永久磁石65の背面側L2には、径方向内側および背面側L2に向いた段部651が形成されており、段部651には、固定プレート64の円環部641の外周側端部が当接している。円環部641には、凸部642より径方向の内側に長穴643が周方向の4個所に形成されている。ここで、長穴643は周方向に延在している。
【0061】
本形態では、永久磁石65を固定プレート64に固定した後、固定プレート64を磁石ホルダ62の第2円板部623に固定する際、ネジ694を背面側L2から長穴643を通して第2円板部623のネジ穴623aに止める。ここで、磁石ホルダ62の第2円板部623には、背面側L2に円形の凸部624が形成されており、凸部624を固定プレート64の円環部641の穴641aに嵌める。それにより、固定プレート64および永久磁石65の径方向の位置決めが行われる。
【0062】
このようにして固定プレート64を磁石ホルダ62の第2円板部623に固定する際、ネジ694を緩く止めておき、ネジ694の軸部と長穴643とをガイドにして、固定プレート64の角度位置を調整し、その後、ネジ694を締めこみ、固定プレート64を磁石ホルダ62の第2円板部623に固定する。その結果、永久磁石65の角度位置が調整される。このようにして、永久磁石65に対する角度位置調整機構7cが構成されている。
【0063】
かかる角度位置調整機構7cによれば、回転体6側における永久磁石65の角度位置を調整することができる。従って、
図6において、センサ部8で検出されるA相の信号81aとB相の信号81bの信号のレベルが一致したタイミング86と、
図7等を参照して説明したクリック機構7aにおいて、シャフト71が複数の歯633のうち、周方向で隣り合う2つの歯633の間の溝634に最大限侵入したタイミングとを一致させることができる。
【0064】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の手動パルス発生装置1では、手動により回転体6を回転させると、かかる回転をセンサ部8によって検出し、その検出結果に基づいてパルスを発生させる。ここで、センサ部8は、回転体6に連動して回転する永久磁石65を有しているとともに、かかる永久磁石65の回転を支持体200側に保持された磁気センサ素子56で検出する。このため、光学式センサと違って、センサ部8に油等の異物が付着した場合でも、永久磁石65の回転(回転体6の回転)を適正に検出することができる。
【0065】
また、磁気センサ素子56として磁気抵抗素子57が用いられており、磁気抵抗素子57を用いた場合、永久磁石65のS極とS極との1ピッチ分(N極とN極との1ピッチ分)の移動に伴って2相分の出力が得られる。このため、ホール素子を用いたものと比べて、着磁数が1/2でよいため、永久磁石65が小さくてよい、それ故、センサユニット10および手動パルス発生装置1の小型化を図ることができる。
【0066】
また、回転体6と支持体200との間にはクリック機構7aが設けられているため、操作感に優れているとともに、回転体6を所定の角度位置で停止させることができる。また、クリック機構7aにおいて、クリックギア63の歯633と係合する当接部材70は、クリックギア63の回転軸線L方向に延在して歯633に当接する当接部701を備えている。このため、当接部材70と歯633との接触面積が広い。従って、クリック感を確実に得ることができるとともに、歯633の摩耗等を抑制することができる。また、当接
部材70は、回転中心軸線L方向に延在する丸棒状のシャフト71であり、外周面のうち、クリックギア63の側に向いている部分によって当接部701が構成されている。このため、シャフト71がいずれの方向に向いている場合でも、外周面(当接部701)が歯633に当接することになる。また、クリック機構7aに用いたバネ部材75は、コイルバネ76であり、コイルバネ76においてシャフト71(当接部材70)と当接する部分は、コイルバネ76を構成する線材の端部がシャフト71に向けて突出しない端面になっている。このため、コイルバネ76とシャフト71との引っ掛かりを抑制することができるので、コイルバネ76を直接、シャフトに接触した構造を採用することができる。
【0067】
また、クリックギア63にシャフト71を当接させる構成の場合は、当接部材70(シャフト71)と歯633との接触面積が広いため、当接圧を適正に設定する必要があるが、本形態では、バネ圧調整機構7bが設けられているので、当接圧を適正に設定することができる。また、シャフト71は、歯633の幅以上の長さを有し、歯633の幅全体に当接している。このため、シャフト71が歯633の幅方向の一部に当接する場合より、歯633に対する接触面積が広い。従って、歯633の摩耗等を抑制することができる。また、バネ圧調整機構7bでは、バネ部材75(コイルバネ76)の撓み方向に移動可能に支持体200側に保持されたセットネジ739(ネジ部材)が用いられている。このため、クリック機構7aにおける負荷を容易に調整することができるとともに、クリック機構7aの組み立ても容易である。
【0068】
また、本形態では、センサ部8で検出されるA相の信号81aとB相の信号81bのレベルが一致したタイミングと、シャフト71が複数の歯633のうち、周方向で隣り合う2つの歯633の間の溝634に最大限侵入したタイミングとが一致している。このため、クリック機構7aによって回転体6が停止した状態で、A相の信号81aとB相の信号81bのレベルを一致させることができる。また、本形態では、回転体6側における永久磁石65の角度位置、回転体6側におけるクリックギア63の角度位置、およびシャフト71の角度位置のうち、回転体6側における永久磁石65の角度位置を調整する角度位置調整機構7cが設けられている。このため、センサ部8で検出されるA相の信号81aとB相の信号81bのレベルが一致したタイミングと、シャフト71が複数の歯633のうち、周方向で隣り合う2つの歯633の間の溝634に最大限侵入したタイミングとを一致させることができるとともに、クリック感が得られるタイミングとパルス85が出力されるタイミングとを合わせることができる。また、角度位置調整機構7cによれば、回転体6の角度位置とパルス85が出力されるタイミングとを合わせることができる。特に、センサ部8に永久磁石65と磁気センサ素子56とを用いた場合、磁気スケール(永久磁石65)では、着磁位置が見えないため、組み立て時に上記のタイミングを合わせるのが難しいが、角度位置調整機構7cによれば、永久磁石65の角度位置を調整することができるので、永久磁石65を最適な角度位置に設けることが容易である。
【0069】
また、本形態では、センサ部8に対して背面側L2に、磁性材料からなるセンサケース52の底板部521からなる磁気シールド体が設けられている。このため、手動パルス発生装置1の背面側L2を磁石によってマシニングセンター等に取り付けて操作する場合でも、センサ部8への磁石による影響を磁気シールド体によって緩和することができる。また、センサケース52の筒状胴部522は、磁気シールド体としてセンサ部8の側方を覆っている。このため、センサ部8に対する磁気シールドを効果的に行うことができる。これに対して、支持体200では、筒状胴部522の開口を塞ぐセンサカバー51が樹脂製(非磁性材料)であるため、センサカバー51を軽量かつ安価な材料によって形成することができる。また、センサカバー51が樹脂製(非磁性材料)であるため、センサカバー51を、磁気センサ素子56の保持や、クリック機構7aに用いたシャフトホルダ53の保持等に適した構成とするのは容易である。
【0070】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、クリック機構7aで負荷が発生するタイミングとパルス85が出力されるタイミングを調整するにあたって、角度位置調整機構7cでは、回転体6側における永久磁石65の角度位置を調整したが、回転体6側におけるクリックギア63の角度位置、シャフト71の角度位置、あるいは磁気センサ素子56の角度位置を調整する角度位置調整機構を設けてもよい。
【0071】
上記実施の形態では、クリック機構7aに用いるバネ部材75をコイルバネ76としたが、板バネや皿バネ等を用いてもよい。また、上記実施の形態において、クリックギア63の回転軸線L方向に延在して歯633に当接する当接部701を備えた当接部材70として丸棒状のシャフト71を用いたが、クリックギア63との間にクリック機構7aを構成可能であれば、当接部701のみが断面円弧状の棒状あるいは板状の当接部材70を用いてもよい。
【0072】
上記実施の形態では、センサ部8の背面側L2に磁気シールド体を設けるにあたって、センサケース52を磁性材料により形成したが、センサケース52を非磁性材料により形成する一方、センサ部8の背面側L2にシート状の磁性材料からなる磁気シールド体を設けてもよい。また、第2ハウジング部材13を磁性材料により形成して、第2ハウジング部材13をセンサ部8の背面側L2の磁気シールド体としてもよい。
【0073】
また、本形態では、手動パルス発生装置1がケーブル17を介して機器18に接続されていたが、手動パルス発生装置1が機器18に直接取り付けられている構成であってもよい。