特許第6396680号(P6396680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396680
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】通信端末
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20180913BHJP
   H04W 24/04 20090101ALI20180913BHJP
   H04W 52/26 20090101ALI20180913BHJP
【FI】
   H04M1/00 R
   H04W24/04
   H04W52/26
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-109682(P2014-109682)
(22)【出願日】2014年5月28日
(65)【公開番号】特開2015-226177(P2015-226177A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2017年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】柳田 圭一郎
【審査官】 西巻 正臣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−229077(JP,A)
【文献】 特開2011−193141(JP,A)
【文献】 特開2010−124246(JP,A)
【文献】 特開2007−166500(JP,A)
【文献】 特開2012−222702(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0330950(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B1/60
3/46−3/493
7/24−7/26
17/00−17/40
H04M1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
H04W4/00−8/24
8/26−16/32
24/00−28/00
28/02−72/02
72/04−74/02
74/04−74/06
74/08−84/10
84/12−88/06
88/08−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の通信端末との間で情報を通信する通信部と、
端末内部の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部により検出された検出温度と、予め設定された温度閾値とを比較する温度比較部と、
人体の一部が端末表面に接触することを検出する人体接触検出部と、
前記温度比較部による比較結果と、前記人体接触検出部による検出結果とに基づいて、前記通信部の動作を制御する制御部とを備え
前記温度比較部は、前記温度検出部により検出された検出温度TAと、予め設定された第1の温度閾値T1および予め設定された第2の温度閾値T2(但し、T1>T2)とを比較し、
前記第1の温度閾値T1は、所定の規格で限界温度として規定された温度であり、前記第2の温度閾値T2は、人体の一部が接触すると不快と感じられるとされた温度であり、
前記検出温度TAが、前記第1の温度閾値T1より高いと(TA>T1)、前記温度比較部により判断された場合、前記制御部は、前記通信部の動作を停止する制御を行い、
前記検出温度TAが、前記第2の温度閾値T2より高く、且つ、前記第1の温度閾値T1より低いと(T1>TA>T2)、前記温度比較部により判定された場合であって、前記人体接触検出部が前記人体の一部が前記端末表面に接触したと検出した場合、前記制御部は、前記通信部の動作を停止する制御を行い、
前記検出温度TAが、前記第1の温度閾値T1より低いと(T1>TA)、前記温度比較部により判定された場合であって、前記人体接触検出部が前記人体の一部が前記端末表面に接触したと検出した場合、前記制御部は、前記通信部の動作を制限する制御を行う通信端末。
【請求項2】
他の通信端末との間で情報を通信する通信部と、
端末内部の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部により検出された検出温度と、予め設定された温度閾値とを比較する温度比較部と、
人体の一部が端末表面に接触することを検出する人体接触検出部と、
前記温度比較部による比較結果と、前記人体接触検出部による検出結果とに基づいて、前記通信部の動作を制御する制御部とを備え
前記通信部と対をなし、他の通信端末との間で情報を通信する他の通信部を備え、
前記制御部は、前記温度比較部による比較結果と、前記人体接触検出部による検出結果とに基づいて、一対の通信部の何れか一方または双方の動作を制御し、
前記温度比較部は、前記温度検出部により検出された検出温度TAと、予め設定された第1の温度閾値T1および予め設定された第2の温度閾値T2(但し、T1>T2)とを比較し、
前記第1の温度閾値T1は、所定の規格で限界温度として規定された温度であり、前記第2の温度閾値T2は、人体の一部が接触すると不快と感じられるとされた温度であり、
前記検出温度TAが、前記第1の温度閾値T1より高いと(TA>T1)、前記温度比較部により判断された場合、前記制御部は、前記一対の通信部の双方の動作を停止する制御を行い、
前記検出温度TAが、前記第2の温度閾値T2より高く、且つ、前記第1の温度閾値T1より低いと(T1>TA>T2)、前記温度比較部により判定された場合であって、前記人体接触検出部が前記人体の一部が前記端末表面に接触したと検出した場合、前記制御部は、前記一対の通信部の双方の動作を停止する制御を行い、
前記検出温度TAが、前記第1の温度閾値T1より低いと(T1>TA)、前記温度比較部により判定された場合であって、前記人体接触検出部が前記人体の一部が前記端末表面に接触したと検出した場合、前記制御部は、前記一対の通信部の一方のうち少なくとも一方の動作を制限する制御を行う通信端末。
【請求項3】
前記一対の通信部の各々は、MIMO機能を対応している請求項に記載の通信端末。
【請求項4】
前記制御部は、前記温度比較部による比較結果と、前記人体接触検出部による検出結果とに基づいて、前記通信部の動作を制御するとともに、前記人体接触検出部の動作を制御する請求項1または請求項2に記載の通信端末。
【請求項5】
前記人体接触検出部は、端末表面に露出するように設けられている請求項1〜のいずれか1項に記載の通信端末。
【請求項6】
互いに異なる通信速度が設定された通信モードを検出する通信モード検出部を備え、
前記制御部は、前記温度比較部による比較結果と、前記通信モード検出部の検出結果と、前記人体接触検出部による検出結果とに基づいて、前記通信部の動作を制御する請求項1または請求項2に記載の通信端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末に関し、例えば、モバイルルータ装置のように、他の通信端末との間で通信を行うものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信中の通信端末の温度を測定して、この測定温度が閾値以上になると温度上昇を抑制する通信端末が、提案されている。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、装置の温度が閾値以上になった場合に、二次電池への充電電流および充電電圧を制御することにより、装置の温度上昇を抑制する。
【0004】
特許文献2に記載の技術では、携帯電話機のレシーバ部に設置されたタッチセンサに何らかの接触が検出された場合に、携帯電話機の充電を停止することにより、携帯電話機の温度上昇を抑制する。
【0005】
特許文献3に記載の技術では、電子装置内部の温度閾値を複数設定して、人体の接触を検出した際の電子装置内部の温度に基づいて温度閾値を切り替えている。そして、電子装置内部の温度が温度閾値を超えた場合に、電子装置の充電を停止することにより、電子装置内部の温度上昇を抑制する。
【0006】
なお、本発明の参考技術として、さらに、例えば、特許文献4に記載の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−230080号公報
【特許文献2】特開2007−166500号公報
【特許文献3】特開2010−124246号公報
【特許文献4】特開2011−114390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1、2および3に記載の技術では、端末(装置)の温度上昇を抑制する手段として、充電電流または電流電圧の制御や、充電停止を行っている。
【0009】
一方で、端末の温度上昇の要因には、充電以外の要因も知られている。例えば、動画のストリーム視聴時には、無線部が連続的に動作し、制御部の処理も増大する。このため、端末の温度が上昇することがある。この場合、充電を停止したとしても、端末の温度は上昇してしまう。このため、端末を操作している間に、充電が停止していたとしても、端末の温度上昇により、端末の利用者が不快感を抱く場合があった。
【0010】
また、特許文献1に記載の技術では、充電制御により端末の温度上昇を抑える技術であるため、少しでも閾値を超えると、充電が停止してしまう問題があった。
【0011】
特許文献2に記載の技術でも、レシーバ部に設けられたタッチセンサによって、短時間でも何らかの接触を検出すると、端末の温度が比較的に低い場合であっても端末の充電を停止してしまうという問題があった。すなわち、タッチセンサが少しでも何らかの接触を検出すると、充電が停止してしまい、利用者の利便性を損ねてしまうという問題があった。
【0012】
特許文献3に記載の技術では、特許文献2に記載の技術の問題に対処するために、人感センサの検出時に応じて温度閾値を変化させて、充電の停止を行うことにより、電子装置の温度上昇を抑制している。しかし、特許文献3に記載の技術では、動画ストリーミング視聴時などは人感センサによる検出は端末操作時のみとなる。このため、人感センサの検出時間による細かな温度制御を行えないという問題があった。
【0013】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、通信端末の使用状態に応じて、通信端末の温度上昇を適切に制御することができる通信端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の通信端末は、他の通信端末との間で情報を通信する通信部と、端末内部の温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部により検出された検出温度と、予め設定された温度閾値とを比較する温度比較部と、人体の一部が端末表面に接触することを検出する人体接触検出部と、前記温度比較部による比較結果と、前記人体接触検出部による検出結果とに基づいて、前記通信部の動作を制御する制御部とを備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる通信端末によれば、通信端末の使用状態に応じて、通信端末の温度上昇を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施の形態における通信端末の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施の形態における通信端末の外観図である。図2(a)は、本発明の第1の実施の形態における通信端末の表面を示す平面図である。図2(b)は、本発明の第1の実施の形態における通信端末の側面を示す図であって、図2(a)の矢視Aを示す図である。図2(c)は、本発明の第1の実施の形態における通信端末の裏面を示す図であって、図2(a)の矢視Cを示す図である。図2(d)は、本発明の第1の実施の形態における通信端末の側面を示す図であって、図2(a)の矢視Bを示す図である。
図3】本発明の第1の実施の形態における通信端末の動作フローを示す図である。
図4】本発明の第2の実施の形態における通信端末の動作フローを示す図である。
図5】本発明の第3の実施の形態における通信端末の構成を示すブロック図である。
図6】本発明の第4の実施の形態における通信端末の構成を示すブロック図である。
図7】本発明の第4の実施の形態における通信端末の動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態における通信端末1000の構成について説明する。
【0018】
図1は、通信端末1000の構成を示すブロック図である。
【0019】
通信端末1000は、例えば、ルータ装置や、携帯電話機や、携帯情報端末などである。図1では、モバイルルータ装置を例示している。この通信端末1000は、常に手に持って使用されるだけでなく、鞄の中や机上で使用されることも可能である。これにより、通信端末1000は、後述するように、WAN(Wide Area Network)側の通信をLAN(Local Area Network)側の通信に中継することもできる。
【0020】
図1に示されるように、通信端末1000は、WAN通信部110と、WAN通信用アンテナ120と、LAN通信部130と、LAN通信用アンテナ140と、温度検出部150と、温度比較部160と、人体接触検出部170と、メモリ部180と、表示部190と、制御部200とを備えている。
【0021】
図1に示されるように、WAN通信部110は、WAN通信用アンテナ120と、制御部200に接続されている。WAN通信部110は、他の通信端末(不図示)との間で情報を通信する。より具体的には、WAN通信部110は、通信事業者(例えば、NTTドコモ、ソフトバンクなど)により提供される通信方式(例えば、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access))や高速通信網から無線ルータを介して通信を行う通信方式(例えば、WLAN)を使用して、他の通信端末(不図示)を通信する。
【0022】
図1に示されるように、WAN通信部110は、分配器111、受信部112、パワーアンプ113およびWAN側モデム部114を備えている。なお、WAN通信部110は、本発明の通信部に対応する。
【0023】
分配器111は、WAN通信用アンテナ120、受信部112およびパワーアンプ113に接続されている。分配器111は、WAN通信用アンテナ120に入力される情報を、受信部112へ分配する。また、分配器111は、パワーアンプ113から入力される情報を、WAN通信用アンテナ120へ分配する。
【0024】
受信部112は、分配器111およびWAN側モデム部114に接続されている。受信部112は、WAN通信用アンテナ120に入力される情報を受信する。すなわち、受信部112は、他の通信端末(不図示)からの情報を、WAN通信用アンテナ120を介して、受信する。そして、受信部112は、他の通信端末(不図示)からの情報を、WAN側モデム部114へ出力する。
【0025】
パワーアンプ113は、分配器111およびWAN側モデム部114に接続されている。パワーアンプ113は、WANモデム部114で変調された情報を、増幅して、分配器111へ出力する。
【0026】
WAN側モデム部114は、受信部112およびパワーアンプ113に接続されている。WAN側モデム部114は、受信データの復調を行う。具体的には、WAN側モデム部114は、受信部112により入力される情報を復調する。そして、WAN側モデム部114は、復調後の情報を制御部200へ出力する。また、WAN側モデム部114は、送信データの変調を行う。具体的には、WAN側モデム部114は、制御部200で生成される情報を変調する。そして、WAN側モデム部114は、変調後の情報をパワーアンプ113へ出力する。
【0027】
WAN通信用アンテナ120は、分配器111に接続されている。WAN通信用アンテナ120は、他の通信端末(不図示)から送信された情報を含む電波を信号に変換する。変換後の情報は、受信部112により取得される。また、WAN通信用アンテナ120は、パワーアンプ113により増幅された情報に電波を乗せた後、情報を含む電波を他の通信端末(不図示)へ出力する。
【0028】
図1に示されるように、LAN通信部130は、LAN通信用アンテナ140と、制御部200に接続されている。LAN通信部110は、他の通信端末(不図示)との間で情報を通信する。LAN通信部130は、WLANを使用してパソコンやスマートフォンなどの通信端末にWAN側の通信を中継する。
【0029】
LAN通信部130は、分配器131、受信部132、パワーアンプ133およびLAN側モデム部134を備えている。なお、WAN通信部110は、本発明の通信部に対応する。
【0030】
分配器131は、LAN通信用アンテナ140、受信部132およびパワーアンプ133に接続されている。分配器131は、LAN通信用アンテナ140に入力される情報を、受信部132へ分配する。また、分配器131は、パワーアンプ133から入力される情報を、LAN通信用アンテナ140へ分配する。
【0031】
受信部132は、分配器131およびLAN側モデム部134に接続されている。受信部132は、LAN通信用アンテナ140に入力される情報を受信する。すなわち、受信部132は、他の通信端末(不図示)からの情報を、LAN通信用アンテナ140を介して、受信する。そして、受信部132は、他の通信端末(不図示)からの情報を、LAN側モデム部134へ出力する。
【0032】
パワーアンプ133は、分配器131およびLAN側モデム部134に接続されている。パワーアンプ133は、LANモデム部134で変調された情報を増幅して増幅後の情報を分配器111へ出力する。
【0033】
LAN側モデム部134は、受信部132およびパワーアンプ133に接続されている。LAN側モデム部134は、受信データの復調を行う。具体的には、LAN側モデム部134は、受信部132により入力される情報を復調する。そして、LAN側モデム部134は、復調後の情報を制御部200へ出力する。また、LAN側モデム部134は、送信データの変調を行う。具体的には、LAN側モデム部134は、制御部200で生成される情報を変調する。そして、LAN側モデム部134は、変調後の情報をパワーアンプ133へ出力する。
【0034】
LAN通信用アンテナ140は、分配器131に接続されている。LAN通信用アンテナ140は、他の通信端末(不図示)から送信された情報を含む電波を信号に変換する。変換後の情報は、受信部132により取得される。また、LAN通信用アンテナ140は、パワーアンプ133により増幅された情報に電波を乗せた後、情報を含む電波を他の通信端末(不図示)へ出力する。
【0035】
図1に示されるように、温度検出部150は、制御部200に接続されている。温度検出部150は、通信端末1000の内部の温度を検出温度TAとして検出する。温度検出部150jは、温度センサとも呼ばれる。
【0036】
図1に示されるように、温度比較部160は、制御部200に接続されている。温度比較部160は、温度検出部150により検出された検出温度TAと、予め設定された温度閾値(例えば、T1、T2)とを比較する。ここで、温度閾値T1は、所定の規格で限界温度として規定された温度である。ここでは、例示として、温度閾値T1は、電気用品の規格(例えば、IEC609950等)で規格として規定されている温度を指すこととする。検出温度TAが温度閾値T1まで上昇するまでは、通信端末1000は高速通信を行えるものとする。温度閾値T2は、人体の一部が接触すると不快と感じられるとされた温度である。通信端末1000の使用者は、通信端末1000を手に取って、通信端末1000の表示部190の表示内容を確認する際に、通信端末1000の端末表面の温度が上昇していると、不快に感じることがある。このような状況を想定して、温度閾値T2は設定される。温度閾値T2は、特定人の主観により設定されてもよいし、複数人が不快と感じる温度の平均値により設定されてもよい。
【0037】
図1に示されるように、人体接触検出部170は、制御部200に接続されている。人体接触検出部170は、人体の一部が通信端末1000の端末表面に接触することを検出する。人体接触検出部170は、タッチセンサとも呼ばれる。
【0038】
ここで、人体接触検出部170の設置例を説明する。図2は、通信端末1000の外観図である。図2(a)は、通信端末1000の表面を示す平面図である。図2(b)は、通信端末1000の側面を示す図であって、図2(a)の矢視Aを示す図である。図2(c)は、通信端末1000の裏面を示す図であって、図2(a)の矢視Cを示す図である。図2(d)は、通信端末1000の側面を示す図であって、図2(a)の矢視Bを示す図である。
【0039】
図2(a)〜(d)に示されるように、2つの人体接触検出部170が、通信端末1000の端末表面に設けられている。図2(a)〜(d)に示されるように、2つの人体接触検出部170は、通信端末1000の表面および裏面に延びるように、通信端末1000の側面に、設けられている。なお、表示部190は、通信端末1000の表面に露出するように、設けられている。
【0040】
図1に戻って、メモリ部180は、制御部200に接続されている。メモリ部180は、通信端末1000で使用する設置値等を記憶する。具体的には、メモリ部180は温度閾値T1および温度閾値T2等を記憶する。
【0041】
図1に示されるように、表示部190は、制御200に接続されている。表示部190は、制御部200等で生成される情報等を、表示提供する。また、図2(a)に示されるように、表示部190は、通信端末1000の表面に露出するように、設けられている。
【0042】
図1に示されるように、制御部200は、WAN通信部110、LAN通信部130、温度検出部150、温度比較部160、人体接触検出部170、メモリ部180および表示部190に接続されている。制御部200は、通信端末1000に含まれる全ての構成要素を制御する。制御部200は、特に、温度比較部160による比較結果と、人体接触検出部170による検出結果とに基づいて、WAN通信部およびLAN通信部120の動作を制御する。また、制御部200は、通信データ量や通信環境に応じて、通信速度を決定する。通信環境の良し悪しは、通信端末1000と通信する他の通信端末(不図示、例えばスマートフォン等)から信号を受けた際の受信レベルによって判断する。受信レベルが高いほど通信環境はよいので、高速通信が可能である。通信環境が良好であれば、通信端末1000は、最大送信速度で通信する。また、通信端末1000が移動可能なモバイルルータである場合、通信を中継するスマートフォンやパソコンなどと近距離で通信することがある。近距離での通信は、外部の妨害も強いため、通信端末1000は、最大送信速度で通信する。
【0043】
以上、通信端末1000の構成を説明した。
【0044】
次に、通信端末1000の動作について説明する。
【0045】
図3は、通信端末1000の動作フローを示す図である。
【0046】
図3に示されるように、通信端末1000が通信を開始した後、温度検出部150が通信端末1000内部の温度を測定する(S301)。
【0047】
次に、温度比較部160が、温度検出部150により検出された検出温度TAと、温度閾値T1とを比較する(S302)。前述通り、温度閾値T1は、所定の規格で限界温度として規定された温度である。より具体的には、温度閾値T1は、電気用品の規格(例えば、IEC609950等)で規格として規定されている温度をいう。
【0048】
温度閾値T1が検出温度TAより高くないと、温度比較部160により判断された場合(S302、No)、制御部200は、即座に、WAN通信部110およびLAN通信部130の双方の動作を停止することで、機能停止する(S307)。これにより、通信端末1000の内部の温度が温度閾値T1より高くなることを抑止できる。この結果、通信端末1000が熱により破損するなどの危険を事前に回避することができる。
【0049】
温度閾値T1が検出温度TAより高いと、温度比較部160により判断された場合(S302、Yes)、人体接触検出部170が、制御部200により起動され、人体の一部が通信端末1000の端末表面に接触することを検出する(S303)。
【0050】
人体接触検出部170が人体の一部が通信端末1000の端末表面に接触することを検出しなかった場合(S303、No)、通信端末1000は、S301の処理に戻り、S301以降の処理を繰り返す。この間、通信端末1000は、何の通信制限もなく、通信を継続する。
【0051】
人体接触検出部170が人体の一部が通信端末1000の端末表面に接触することを検出した場合(S303、Yes)、人体接触検出部170が制御部200により停止され、制御部200がWAN通信部110またはLAN通信部130の動作を制限することで、通信制御を行う(S304)。ここでは、例えば、制御部200は、WAN通信部110またはLAN通信部130の何れか一方の動作を停止する。または、制御部200は、WAN通信部110またはLAN通信部130の何れか一方の一部の動作を停止してもよい。さらには、制御部200は、WAN通信部110およびLAN通信部130の双方の一部の動作を停止してもよい。これにより、通信端末1000の内部の温度の上昇が抑制される。また、WAN通信部110、LAN通信部130および制御部200等の電子部品の発熱も抑制される。
【0052】
S304の処理後、温度比較部160が、温度検出部150により検出された検出温度TAと、温度閾値T2とを比較する(S305)。前述通り、温度閾値T2は、人体の一部が接触すると不快と感じられるとされた温度である。
【0053】
検出温度TAが温度閾値T2より高くないと、温度比較部160により判断された場合(S305、No)、通信端末1000はS303以降の処理を繰り返す。
【0054】
検出温度TAが温度閾値T2より高いと、温度比較部160により判断された場合(S305、Yes)、人体接触検出部170が、再び、制御部200により起動され、人体の一部が通信端末1000の端末表面に接触することを検出する(S306)。
【0055】
人体接触検出部170が人体の一部が通信端末1000の端末表面に接触することを検出しなかった場合(S306、No)、制御部200は、S304で行った通信制御を解除する(S308)。通信端末1000は、S308の処理後、S301の処理に戻り、S301以降の処理を繰り返す。この間、通信端末1000は、何の通信制限もなく、通信を継続する。
【0056】
人体接触検出部170が人体の一部が通信端末1000の端末表面に接触することを検出した場合(S306、Yes)、制御部200は、即座に、WAN通信部110およびLAN通信部130の双方の動作を停止することで、機能停止する(S307)。これにより、通信端末1000の内部の温度が、人体の一部が接触すると不快と感じられるとされた温度閾値T2よりも高くなることを抑止できる。この結果、人体の一部が通信端末1000の表面に触れても、通信端末1000の使用者が不快と感じないようにすることができる。
【0057】
以上の通り、本発明の第1の実施の形態における通信端末1000は、通信部(WAN通信部110、LAN通信部120)と、温度検出部150と、温度比較部160と、人体接触検出部170と、制御部200とを備えている。
【0058】
通信部は、他の通信端末との間で情報を通信する。温度検出部150は、通信1000内部の温度を検出する。温度比較部160は、温度検出部150により検出された検出温度TAと、予め設定された温度閾値T1、T2とを比較する。人体接触検出部170は、人体の一部が通信端末1000表面に接触することを検出する。制御部200は、温度比較部160による比較結果と、人体接触検出部170による検出結果とに基づいて、通信部の動作を制御する。
【0059】
このように、検出温度TAと温度閾値T1、T2とを温度比較部160により比較することにより、通信端末1000の内部の温度が、予め設定された温度閾値T1、T2と比較して高いのか否かを検出することができる。また、人体の一部が通信端末1000表面に接触したか否かを人体接触検出部170により検出することができる。そして、制御部200は、温度比較部160による比較結果と、人体接触検出部170による検出結果とに基づいて、通信部の動作を制御する。温度比較部160による比較結果と人体接触検出部170による検出結果の複数の組合せを設定することができ、これら複数の組合せ毎に通信部に対する様々な動作制御を設定することができる。この結果、本発明の通信端末1000によれば、通信端末1000の様々な使用状態に応じて、通信端末1000の温度上昇を適切に制御することができる。このとき、基地局(不図示)等を含めた通信システム(不図示)全体の通信プロトコルを変更する必要はない。すなわち、既存の通信システムの全てに対して、本発明の通信端末1000は対応することができる。
【0060】
また、本発明の第1の実施の形態における通信端末1000において、温度比較部160は、温度検出部150により検出された検出温度TAと、予め設定された第1の温度閾値T1および予め設定された第2の温度閾値T2(但し、T1>T2)とを比較する。第1の温度閾値T1は、所定の規格で限界温度として規定された温度であり、第2の温度閾値T2は、人体の一部が接触すると不快と感じられるとされた温度である。
【0061】
検出温度TAが、第1の温度閾値T1より高いと(TA>T1)、温度比較部160により判断された場合、制御部200は、通信部(WAN通信部110、LAN通信部120)の動作を停止する制御を行う。これにより、検出温度TAが第1の温度閾値T1よりも高い場合、通信部の動作を完全に停止することができる。そして、通信端末1000の内部の温度が温度閾値T1より高くなることを抑止できる。この結果、通信端末1000が熱により破損するなどの危険を事前に回避することができる。
【0062】
検出温度TAが、第1の温度閾値T2より高く、且つ、第1の温度閾値T1より低いと(T1>TA>T2)、温度比較部160により判定された場合であって、人体接触検出部170が人体の一部が通信端末1000表面に接触したと検出した場合、制御部200は、通信部の動作を停止する制御を行う。これにより、通信端末1000の内部の温度が、人体の一部が接触すると不快と感じられるとされた温度閾値T2よりも高くなることを抑止できる。この結果、人体の一部が通信端末1000の表面に触れても、通信端末1000の使用者が不快と感じないようにすることができる。
【0063】
検出温度TAが、第1の温度閾値T1より低いと(T1>TA)、温度比較部160により判定された場合であって、人体接触検出部170が人体の一部が通信端末1000表面に接触したと検出した場合、制御部200は、通信部の動作を制限する制御を行う。これにより、通信端末1000の内部の温度の上昇が抑制される。また、通信部および制御部200等の電子部品の発熱も抑制される。
【0064】
また、本発明の第1の実施の形態における通信端末1000において、温度比較部160は、検出温度TAと第1の温度閾値T1を比較した後に、検出温度TAと第2の温度閾値T2とを比較する。これにより、通信端末1000の内部の温度が、第2の温度閾値T2に達したことを、より早く検出することができる。この結果、検出温度TAが第1の温度閾値T1よりも高くなった際に、通信部の動作を早期に完全に停止することができる。これにより、通信端末1000の内部の温度が温度閾値T1より高くなることを早期に抑止できる。この結果、通信端末1000が熱により破損するなどの危険を事前に回避することができる。
【0065】
本発明の第1の実施の形態における通信端末1000において、制御部200は、温度比較部160による比較結果と、人体接触検出部170による検出結果とに基づいて、通信部の動作を制御するとともに、人体接触検出部170の動作を制御する。すなわち、通信端末1000の内部の温度の上昇を抑制するために、制御部200は、通信部の動作を停止したり制限したりするだけでなく、人体接触検出部170の動作をも停止する。これにより、通信部の動作による発熱だけでなく、人体接触検出部170の動作による発熱も抑制することができる。この結果、通信端末の温度上昇をより適切に低減することができる。
【0066】
本発明の第1の実施の形態における通信端末1000において、人体接触検出部170は、通信端末1000の表面に露出するように設けられている。これにより、人体接触検出部170は、人体の一部が通信端末1000の表面に触れたことを的確に検出することができる。
【0067】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態における通信端末1000の動作について説明する。なお、第2の実施の形態における通信端末1000の構成は、図1および図2を用いて説明した内容を同様である。
【0068】
図4は、本発明の第2の実施の形態における通信端末1000の動作フローを示す図である。
【0069】
ここで、図3図4を対比する。図3では、人体接触検出部170による検出結果が温度比較部160による比較結果よりも優先されていた。このため、人体の一部が通信端末の表面に接触すれば、検出温度TAが第2の温度閾値T2よりも低くても、強制的に通信制御を行っていた(図3のS304)。これに対して、図4では、検出温度TAが第2の温度閾値T2を超えるまで、人体接触検出部170が人体の一部が通信端末1000の表面に接触することを検出しない。この点で、図3および図4は互いに異なる。すなわち、図4では、S410の処理がS301およびS302の処理の間に新たに設けられている点で、図3と相違する。
【0070】
図4に示されるように、通信端末1000が通信を開始した後、温度検出部150が通信端末1000内部の温度を測定する(S301)。
【0071】
次に、温度比較部160が、温度検出部150により検出された検出温度TAと、温度閾値T2とを比較する(S410)。前述通り、温度閾値T2は、人体の一部が接触すると不快と感じられるとされた温度である。
【0072】
検出温度TAが温度閾値T2より高くないと、温度比較部160により判断された場合(S410、No)、S301以降の処理を繰り返す。
【0073】
検出温度TAが温度閾値T2より高いと、温度比較部160により判断された場合(S410、Yes)、温度比較部160が検出温度TAと温度閾値T1とを比較する(S302)。
【0074】
次に、温度比較部160が、温度検出部150により検出された検出温度TAと、温度閾値T1とを比較する(S302)。前述通り、温度閾値T1は、所定の規格で限界温度として規定された温度である。より具体的には、温度閾値T1は、電気用品の規格(例えば、IEC609950等)で規格として規定されている温度をいう。
【0075】
温度閾値T1が検出温度TAより高くないと、温度比較部160により判断された場合(S302、No)、制御部200は、即座に、WAN通信部110およびLAN通信部130の動作を停止することで、機能停止する(S307)。これにより、通信端末1000の内部の温度が温度閾値T1より高くなることを抑止できる。この結果、通信端末1000が熱により破損するなどの危険を事前に回避することができる。
【0076】
温度閾値T1が検出温度TAより高いと、温度比較部160により判断された場合(S302、Yes)、人体接触検出部170が、制御部200により起動され、人体の一部が通信端末1000の端末表面に接触することを検出する(S303)。
【0077】
人体接触検出部170が人体の一部が通信端末1000の端末表面に接触することを検出しなかった場合(S303、No)、S301の処理に戻り、S301以降の処理を繰り返す。この間、通信端末1000は、何の通信制限もなく、通信を継続する。
【0078】
人体接触検出部170が人体の一部が通信端末1000の端末表面に接触することを検出した場合(S303、Yes)、人体接触検出部170が制御部200により停止され、制御部200がWAN通信部110またはLAN通信部130の動作を制限することで、通信制御を行う(S304)。ここでは、例えば、制御部200は、WAN通信部110またはLAN通信部130の何れか一方の動作を停止する。または、制御部200は、WAN通信部110またはLAN通信部130の何れか一方の一部の動作を停止してもよい。さらには、制御部200は、WAN通信部110およびLAN通信部130の双方の一部の動作を停止してもよい。これにより、通信端末1000の内部の温度の上昇が抑制される。また、WAN通信部110、LAN通信部130および制御部200等の電子部品の発熱も抑制される。
【0079】
S304の処理後、温度比較部160が、温度検出部150により検出された検出温度TAと、温度閾値T2とを比較する(S305)。前述通り、温度閾値T2は、人体の一部が接触すると不快と感じられるとされた温度である。
【0080】
検出温度TAが温度閾値T2より高くないと、温度比較部160により判断された場合(S305、No)、S303以降の処理を繰り返す。
【0081】
検出温度TAが温度閾値T2より高いと、温度比較部160により判断された場合(S305、Yes)、人体接触検出部170が、再び、制御部200により起動され、人体の一部が通信端末1000の端末表面に接触することを検出する(S306)。
【0082】
人体接触検出部170が人体の一部が通信端末1000の端末表面に接触することを検出しなかった場合(S306、No)、制御部200は、S304で行った通信制御を解除する(S308)。通信端末1000は、S308の処理後、S301の処理に戻り、S301以降の処理を繰り返す。この間、通信端末1000は、何の通信制限もなく、通信を継続する。
【0083】
人体接触検出部170が人体の一部が通信端末1000の端末表面に接触することを検出した場合(S306、Yes)、制御部200は、即座に、WAN通信部110およびLAN通信部130の動作を停止することで、機能停止する(S307)。これにより、通信端末1000の内部の温度が、人体の一部が接触すると不快と感じられるとされた温度閾値T2よりも高くなることを抑止できる。この結果、人体の一部が通信端末1000の表面に触れても、通信端末1000の使用者が不快と感じないようにすることができる。
【0084】
このような構成であっても、第1の実施の形態で説明した内容を同様の効果を奏する。
【0085】
また、本発明の第2の実施の形態における通信端末1000において、温度比較部160は、検出温度TAと第1の温度閾値T1を比較する前(S302)に、検出温度TAと第2の温度閾値T2とを比較する(S410)。これによっても、第1の実施の形態で説明した内容を同様の効果を奏する。また、検出温度TAが第2の温度閾値T2を超えるまで、人体接触検出部170が、人体の一部が通信端末1000の表面に接触することを検出しないように設定することができる。
【0086】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態における通信端末1000Aの構成について説明する。
【0087】
図5は、通信端末1000Aの構成を示すブロック図である。なお、図5では、図1〜4で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜4に示した符号と同等の符号を付している。
【0088】
通信端末1000Aは、例えば、ルータ装置や、携帯電話機や、携帯情報端末などである。図5では、WLAN(Wireless LAN) MINO(multiple-input and multiple-output)機能を有するモバイルルータ装置を例示している。この通信端末1000Aは、常に手に持って使用されるだけでなく、鞄の中や机上で使用されることも可能である。
【0089】
図5に示されるように、通信端末1000Aは、一対のLAN通信部130と、一対のLAN通信用アンテナ140と、温度検出部150と、温度比較部160と、人体接触検出部170と、メモリ部180と、表示部190と、制御部200とを備えている。なお、LAN通信部130は、本発明の通信部に対応する。
【0090】
ここで、図1図5を対比する。図1では、通信端末1000は、通信部として、WAN通信部110とLAN通信部130を備えていた。これに対して、図5では、通信端末1000Aは、通信部として、一対のLAN通信部130を備えている。この点で図1および図5は互いに相違する。
【0091】
また、図1では、通信端末1000は、WAN通信部110に接続されたWAN用アンテナ120を備えていた。これに対して、図5では、通信端末1000Aは、WAN用アンテナ120を備えていない。その代わりに、通信端末1000Aは、一対のLAN用アンテナ140を備えている。この点でも図1および図5は互いに相違する。
【0092】
図5に示されるように、一対のLAN通信部130の各々は、制御部200およびLAN用アンテナ140に接続されている。
【0093】
図5に示される各構成要素について、具体的な機能は、第1の実施の形態で説明した内容と同様である。
【0094】
以上、通信端末1000Aの構成を説明した。
【0095】
次に、通信端末1000Aの動作について説明する。
【0096】
通信端末1000Aの動作フローは、図3および図4と同様である。
【0097】
一方、通信端末1000Aの動作は、S304およびS307の処理内容で、第1の実施の形態と異なるので、以下に説明する。
【0098】
S304では、人体接触検出部170が制御部200により停止され、制御部200が一対のLAN通信部130の動作を制限することで、通信制御を行う。ここでは、例えば、制御部200は、一対のLAN通信部130の一方の動作を停止する。または、制御部200は、一対のLAN通信部130の一方の一部の動作を停止してもよい。さらには、制御部200は、一対のLAN通信部130の双方の一部の動作を停止してもよい。これにより、通信端末1000の内部の温度の上昇が抑制される。また、LAN通信部130および制御部200等の電子部品の発熱も抑制される。とくに、W−CDMAなどで通信事業者との間を介して通信する場合、基地局によって通信ルート等が制御されるため、WLAN接続のみに設定する必要がある。
【0099】
S307では、制御部200は、即座に、一対のLAN通信部130の双方の動作を停止することで、機能停止する(S307)。これにより、通信端末1000の内部の温度が温度閾値T1より高くなることを抑止できる。この結果、通信端末1000が熱により破損するなどの危険を事前に回避することができる。
【0100】
以上の通り、本発明の第3の実施の形態における通信端末1000Aは、一対の通信部(LAN通信部130)を備えている。一対の通信部は、他の通信端末との間で情報を通信する。制御部200は、温度比較部160による比較結果と、人体接触検出部170による検出結果とに基づいて、一対の通信部の何れか一方または双方の動作を制御する。
【0101】
一対の通信部(LAN通信部130)が同時に動作すると、1つの通信部が動作する場合と比較して2倍の発熱が生じる。そこで、制御部200は、温度比較部160による比較結果と、人体接触検出部170による検出結果とに基づいて、一対の通信部の何れか一方または双方の動作を制御する。このとき、温度比較部160による比較結果と人体接触検出部170による検出結果の複数の組合せを設定することができ、これら複数の組合せ毎に通信部に対する様々な動作制御を設定することができる。この結果、本発明の通信端末1000Aによれば、通信端末1000Aの使用状態に応じて、通信端末1000Aの温度上昇を適切に制御することができる。
【0102】
また、本発明の第3の実施の形態における通信端末1000Aにおいて、温度比較部160は、温度検出部150により検出された検出温度TAと、予め設定された第1の温度閾値T1および予め設定された第2の温度閾値T2(但し、T1>T2)とを比較する。第1の温度閾値T1は、所定の規格で限界温度として規定された温度であり、第2の温度閾値T2は、人体の一部が接触すると不快と感じられるとされた温度である。
【0103】
検出温度TAが、第1の温度閾値T1より高いと(TA>T1)、温度比較部160により判断された場合、制御部200は、一対の通信部(LAN通信部120)の双方の動作を停止する制御を行う。これにより、検出温度TAが第1の温度閾値T1よりも高い場合、全通信部の動作を完全に停止することができる。これにより、通信端末1000Aの内部の温度が温度閾値T1より高くなることを抑止できる。この結果、通信端末1000Aが熱により破損するなどの危険を事前に回避することができる。
【0104】
検出温度TAが、第1の温度閾値T2より高く、且つ、第1の温度閾値T1より低いと(T1>TA>T2)、温度比較部160により判定された場合であって、人体接触検出部170が人体の一部が通信端末1000表面に接触したと検出した場合、制御部200は、一対の通信部の双方の動作を停止する制御を行う。これにより、通信端末1000の内部の温度が、人体の一部が接触すると不快と感じられるとされた温度閾値T2よりも高くなることを抑止できる。この結果、人体の一部が通信端末1000の表面に触れても、通信端末1000の使用者が不快と感じないようにすることができる。
【0105】
検出温度TAが、第1の温度閾値T1より低いと(T1>TA)、温度比較部160により判定された場合であって、人体接触検出部170が人体の一部が通信端末1000表面に接触したと検出した場合、制御部200は、一対の通信部のうち少なくとも一方の動作を制限する制御を行う。これにより、通信端末1000の内部の温度の上昇が抑制される。また、通信部および制御部200等の電子部品の発熱も抑制される。
【0106】
ここで、通信端末1000が移動可能なモバイルルータである場合、通信を中継するスマートフォンやパソコンなどと近距離で通信することがある。近距離での通信は、外部の妨害も強いため、通信端末1000は、最大送信速度で通信する。例えば、通信端末1000AがMIMO通信により他の通信端末(不図示)と接続したいら場合、一対の無線部の双方が動作する。これにより、通信端末1000の内部の温度が上昇する。このため、前述のように、強制的に、一対の無線部のうちの一方を停止する方法をとりうる。さらに、通信端末1000Aが他の通信端末(不図示)と近距離無線通信を行っている場合、遠距離無線通信と比較して、通信端末1000Aの送信出力を落としても安定した通信を維持できる。このため、送信出力を落として無線部のパワーアンプの電流消費を削減して、無線部の発熱を抑制することができる。
【0107】
また、本発明の第3の実施の形態における通信端末1000Aにおいて、一対の通信部(LAN通信部120)の各々は、MIMO機能を対応している。これにより、通信端末1000Aは、MIMO機能を具備することができる。
【0108】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態における通信端末1000Bの構成について説明する。
【0109】
図5は、通信端末1000Bの構成を示すブロック図である。なお、図6では、図1〜5で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜5に示した符号と同等の符号を付している。
【0110】
通信端末1000Bは、例えば、ルータ装置や、携帯電話機や、携帯情報端末などである。図6では、WLAN MINO機能を有するモバイルルータ装置を例示している。この通信端末1000Bは、常に手に持って使用されるだけでなく、鞄の中や机上で使用されることも可能である。
【0111】
図6に示されるように、通信端末1000Aは、一対のLAN通信部130と、一対のLAN通信用アンテナ140と、温度検出部150と、温度比較部160と、人体接触検出部170と、メモリ部180と、表示部190と、制御部200と、WLAN通信モード検出部210を備えている。なお、LAN通信部130は、本発明の通信部に対応する。WLAN通信モード検出部210は、本発明の通信モード検出部に対応する。
【0112】
ここで、図5図6を対比する。図6では、通信端末1000Bは、WLAN通信モード検出部210を備えている点で、図5と相違する。
【0113】
図6に示されるように、WLAN通信モード検出部210は、制御部200に接続されている。
【0114】
WLAN通信モード検出部210は、互いに異なる通信速度が設定された通信モードであって、通信端末1000Bが通信している通信モードを検出する。
【0115】
ここで、WLANの通信モードは、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)によって規定されている。この実施形態では、11bモード、11gモードおよび11nモードの3つのモードが設定されているものとする。11bモードは、IEEE801.11bに対応するモードである。11gモードは、IEEE801.11gに対応するモードである。11nモードは、IEEE801.11nに対応するモードである。
【0116】
以上、通信端末1000Bの構成を説明した。
【0117】
次に、通信端末1000Bの動作について説明する。図7は、通信端末1000Bの動作フローを示す図である。
【0118】
図7に示されるように、通信端末1000Bが通信を開始した後、WLAN通信モード検出部210が、通信端末1000Bが通信している通信モードを確認する(S501)。11bモード、11gモードおよび11nモードの3つのモードのうちで、最も消費電流が大きいモードは、11nモードである。この11nモードで通信端末1000Bを動作させた場合、通信端末1000Bの内部の温度は他のモードと比較して高くなる。したがって、ここでは、WLAN通信モード検出部210が、11nモードに設定されているか否かを判断する(S502)。
【0119】
11nモードに設定されていないとWLAN通信モード検出部210により判断された場合(S502、No)、通信端末1000BはS501以降の処理を繰り返す。
【0120】
11nモードに設定されているとWLAN通信モード検出部210により判断された場合(S502、Yes)、人体接触検出部170が、制御部200により起動され、人体の一部が通信端末1000の端末表面に接触することを検出する(S303)。
【0121】
人体接触検出部170が人体の一部が通信端末1000の端末表面に接触することを検出しなかった場合(S303、No)、通信端末1000は、S501の処理に戻り、S301以降の処理を繰り返す。この間、通信端末1000Bは、何の通信制限もなく、通信を継続する。
【0122】
人体接触検出部170が人体の一部が通信端末1000の端末表面に接触することを検出した場合(S303、Yes)、人体接触検出部170が制御部200により停止され、制御部200がWAN通信部110またはLAN通信部130の動作を制限することで、通信制御を行う(S304)。ここでは、例えば、通信端末1000BがMIMOを使用して通信している場合には、制御部200は、一対のLAN通信部130の何れか一方の動作を停止する。または、制御部200は、通信モードを11n以外のモード(例えば、11gモード)に変更する。または、制御部200は、一対のLAN通信部130の何れか一方の一部の動作を停止してもよい。さらには、制御部200は、一対のLAN通信部130の双方の一部の動作を停止してもよい。これにより、通信端末1000の内部の温度の上昇が抑制される。また、LAN通信部130および制御部200等の電子部品の発熱も抑制される。なお、ここでは、通信端末1000Bの内部の温度が上昇することを抑制方法として、通信制御を説明したが、通信端末1000Bへの充電を停止する方法を採用してもよい。
【0123】
S304の処理後、温度比較部160が、温度検出部150により検出された検出温度TAと、温度閾値T2とを比較する(S505)。前述通り、温度閾値T2は、人体の一部が接触すると不快と感じられるとされた温度である。
【0124】
温度閾値T2が検出温度TAより高くないと、温度比較部160により判断された場合(S505、No)、通信端末1000BはS303以降の処理を繰り返す。
【0125】
温度閾値T2が検出温度TAより高いと、温度比較部160により判断された場合(S505、Yes)、制御部200は、S304で行った通信制御を解除する(S308)。この後、通信端末1000Bは、何の通信制限もなく、通信を継続する。
【0126】
次に、WLAN通信モード検出部210は、再び、通信端末1000Bが通信している通信モードを確認する(S509)。ここでも、WLAN通信モード検出部210は、11nモードに設定されているか否かを判断する(S510)。
【0127】
11nモードに設定されていないとWLAN通信モード検出部210により判断された場合(S510、No)、通信端末1000BはS501以降の処理を繰り返す。
【0128】
11nモードに設定されているとWLAN通信モード検出部210により判断された場合(S510、Yes)、通信端末1000BはS303以降の処理を行う。
【0129】
以上、通信端末1000Bの動作について説明した。
【0130】
以上の通り、本発明の第4の実施の形態における通信端末1000Bは、互いに異なる通信速度を設定された通信モードを検出するWLAN通信モード検出部210を備えている。制御部200は、温度比較部160による比較結果と、WLAN通信モード検出部210の検出結果と、人体接触検出部170による検出結果とに基づいて、通信部(LAN通信部130)の動作を制御する。これにより、通信モードの違い(通信速度)を含ませて通信制御を行い、通信端末1000Bの内部の温度の上昇を抑制することができる。
【0131】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態は例示であり、本発明の主旨から逸脱しない限り、上述各実施の形態に対して、さまざまな変更、増減、組合せを加えてもよい。これらの変更、増減、組合せが加えられた変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0132】
1000、1000A、1000B 通信端末
110 WAN通信部
111 分配器
112 受信部
113 パワーアンプ
114 WAN側モデム部
120 WAN通信用アンテナ
130 LAN通信部
131 分配器
132 受信部
133 パワーアンプ
134 LAN側モデム部
140 LAN通信用アンテナ
150 温度検出部
160 温度比較部
170 人体接触検出部
180 メモリ部
190 表示部
200 制御部
210 WLAN通信モード検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7