特許第6396695号(P6396695)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396695
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】クリップ状端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/48 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   H01R4/48 C
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-127442(P2014-127442)
(22)【出願日】2014年6月20日
(65)【公開番号】特開2016-6751(P2016-6751A)
(43)【公開日】2016年1月14日
【審査請求日】2017年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 智洋
(72)【発明者】
【氏名】若槻 豊
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−124196(JP,A)
【文献】 実開平01−127172(JP,U)
【文献】 特開2009−283338(JP,A)
【文献】 特開2005−019520(JP,A)
【文献】 特開2005−158636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に並んで配置される第1導電部材、及び、第2導電部材を挟み込み電気的に接続する接点部と、
前記接点部と一体で形成され、前記第1導電部材、及び、前記第2導電部材を挟み込み、前記接点部を前記第1導電部材、及び、前記第2導電部材に保持する保持部とを備え、
前記保持部は、
前記第1方向における剛性が前記接点部より高く、
前記第1方向に対して対向するように形成される1対の突出部を有し、
前記第1導電部材、及び、前記第2導電部材を1対の前記突出部の間で挟み込む、
ことを特徴とする、
クリップ状端子。
【請求項2】
前記接点部は、前記第1導電部材と接触する第1接点と、前記第2導電部材と接触すると共に前記第1方向に対して前記第1接点と対向する第2接点とを有し、前記第1接点と前記第2接点とがそれぞれ前記第1方向と交差する第2方向に沿って複数並んで設けられ、
前記保持部は、前記第2方向に対して前記接点部の両側に一対で形成される、
請求項1に記載のクリップ状端子。
【請求項3】
前記保持部は、前記第1導電部材と接触する第1挟持点と、前記第2導電部材と接触すると共に前記第1方向に対して前記第1挟持点と対向する第2挟持点とを有する、
請求項1又は請求項2に記載のクリップ状端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリップ状端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のクリップ状端子として、例えば、特許文献1には、電源装置に接続された第1端子金具と、第2端子金具とを接続する端子接続構造において、一対の接触片間に互いに重ねられた第1端子金具及び第2端子金具を挟み込んで端子ホルダに取り付けられるクリップ端子が開示されている。このクリップ端子は、略平板状に形成されかつ互いに間隔をあけて並行に設けられた一対の接触片と、これら接触片それぞれに連なる付勢連結部とを一体に備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−079545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載のクリップ端子は、例えば、第1端子金具、第2端子金具に対する保持力向上の点で更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、保持力を向上することができるクリップ状端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るクリップ状端子は、第1方向に並んで配置される第1導電部材、及び、第2導電部材を挟み込み電気的に接続する接点部と、前記接点部と一体で形成され、前記第1導電部材、及び、前記第2導電部材を挟み込み、前記接点部を前記第1導電部材、及び、前記第2導電部材に保持する保持部とを備え、前記保持部は、前記第1方向における剛性が前記接点部より高く、前記第1方向に対して対向するように形成される1対の突出部を有し、前記第1導電部材、及び、前記第2導電部材を1対の前記突出部の間で挟み込む、ことを特徴とする。
【0007】
また、上記クリップ状端子では、前記接点部は、前記第1導電部材と接触する第1接点と、前記第2導電部材と接触すると共に前記第1方向に対して前記第1接点と対向する第2接点とを有し、前記第1接点と前記第2接点とがそれぞれ前記第1方向と交差する第2方向に沿って複数並んで設けられ、前記保持部は、前記第2方向に対して前記接点部の両側に一対で形成されるものとすることができる。
【0008】
また、上記クリップ状端子では、前記保持部は、前記第1導電部材と接触する第1挟持点と、前記第2導電部材と接触すると共に前記第1方向に対して前記第1挟持点と対向する第2挟持点とを有するものとすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るクリップ状端子は、接点部を第1導電部材、第2導電部材に保持する保持部が、第1導電部材と第2導電部材とを電気的に接続する接点部とは機能的に区別して構成され、当該保持部の第1方向における剛性が接点部より高くなるように構成される。この結果、クリップ状端子は、保持部を第1方向に対して開きにくい構成とすることができ、当該保持部によって接点部を確実に第1導電部材、第2導電部材に保持することができるので、保持力を向上することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係るクリップ状端子の概略構成を示す斜視図である。
図2図2は、図1中に示すA矢視図(配列方向正面図)である。
図3図3は、図1中に示すB矢視図(突出方向上面図)である。
図4図4は、実施形態1に係るクリップ状端子の保持部を配列方向に開いた状態の斜視図である。
図5図5は、実施形態1に係るクリップ状端子が適用される電池ユニットの概略構成を示す斜視図である。
図6図6は、実施形態1に係るクリップ状端子が電池ユニットに適用された状態を示す部分斜視図である。
図7図7は、実施形態1に係るクリップ状端子がジャンクションブロックに適用された状態を示す部分斜視図である。
図8図8は、実施形態2に係るクリップ状端子の保持部を配列方向に開いた状態の平面図である。
図9図9は、変形例に係るクリップ状端子の概略構成を示す斜視図である。
図10図10は、変形例に係るクリップ状端子の保持部を配列方向に開いた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るクリップ状端子の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1中に示すA矢視図(配列方向正面図)である。図3は、図1中に示すB矢視図(突出方向上面図)である。図4は、実施形態1に係るクリップ状端子の保持部を配列方向に開いた状態の斜視図である。図5は、実施形態1に係るクリップ状端子が適用される電池ユニットの概略構成を示す斜視図である。図6は、実施形態1に係るクリップ状端子が電池ユニットに適用された状態を示す部分斜視図である。図7は、実施形態1に係るクリップ状端子がジャンクションブロックに適用された状態を示す部分斜視図である。
【0013】
図1図2図3図4に示す本実施形態に係るクリップ状端子1は、第1方向に並んで配置される第1導電部材101、及び、第2導電部材102を挟み込み電気的に接続するものである。そして、本実施形態のクリップ状端子1は、接点部2と保持部3とが機能的に区別して構成されることで、保持力の向上を図ったものである。
【0014】
なお、以下の説明では、第1方向を「挟持方向」という場合がある。また、挟持方向と直交する2方向のうち、一方を「配列方向」といい、他方を「突出方向」という場合がある。配列方向は、第1方向と直交する第2方向に相当し、突出方向は、第1方向及び第2方向と直交する第3方向に相当する。つまり、第1方向としての挟持方向と第2方向としての配列方向と第3方向としての突出方向とは、相互に直交する。また、以下の説明では、突出方向の一方側を「基端側」といい、他方側を「先端側」という場合がある。また、以下の説明では、挟持方向に沿って後述の突出部同士が接近する方向を「内側」といい、突出部同士が離間する方向を「外側」という場合がある。
【0015】
具体的には、クリップ状端子1は、接点部2と、保持部3とを備える。クリップ状端子1は、導電性の金属によって、接点部2と保持部3とが一体で形成される金属端子である。クリップ状端子1は、例えば、導電性の板金に打ち抜き加工や曲げ加工を施すことで全体を成形することができる。
【0016】
接点部2は、挟持方向に並んで配置される第1導電部材101、及び、第2導電部材102を挟み込み電気的に接続する部分である。より詳細には、接点部2は、第1導電部材101と接触する第1接点21と、第2導電部材102と接触すると共に挟持方向に対して第1接点21と対向する第2接点22とを有する。そして、第1接点21と第2接点22とは、それぞれ挟持方向と交差する配列方向に沿って複数並んで設けられる。
【0017】
ここでは、接点部2は、基端部23と、複数対(図1図2図3図4の例では6対)の突出部24とを含んで構成され、これらが一体で形成されると共に、複数の突出部24に第1接点21、第2接点22が形成される。基端部23は、配列方向に沿って延在して形成される板状の部分である。6対の突出部24は、基端部23の延在方向、すなわち、配列方向に沿って並設される。ここでは、6対の突出部24は、配列方向に沿ってほぼ等間隔で配置される。6対の突出部24の各対は、挟持方向に対して対向するように配置され、当該挟持方向における基端部23の両端部にそれぞれ連設されている。各突出部24は、基端部23から突出方向に沿ってすべて同じ側に突出するようにして形成された棒状の部分である。各突出部24は、突出方向基端側の端部が基端部23と一体に接続され、他端側の端部が突出方向に沿って突出方向先端側に向けて突出する。そして、突出部24の各対は、突出方向基端側から突出方向先端側に向かって挟持方向内側(各対において相互に接近する側)に相互に接近するように屈曲すると共に、突出方向先端側の端部近傍にて挟持方向外側(各対において相互に離間する側)に屈曲している。6対の突出部24の各対は、配列方向に沿って視た状態で、略同一の形状に形成されている。また、6対の突出部24の各対は、基端部23の挟持方向の中央位置を通り垂直方向に沿った仮想直線を対称軸とする線対称な形状に形成されている。また、各突出部24は、配列方向に沿った長さが略同等に形成されている。接点部2は、配列方向に沿って視た状態で、基端部23と各対の突出部24とによって、突出方向先端側が開口した略U字型に形成される(図1等参照)。
【0018】
複数の第1接点21は、6対の突出部24のうち、挟持方向一方側に配置される6つの突出部24において突出方向先端側の屈曲した部分に、それぞれ1つずつ、合計6つが形成される。一方、複数の第2接点22は、6対の突出部24のうち、挟持方向他方側に配置される6つの突出部24において突出方向先端側の当該屈曲した部分に、それぞれ1つずつ、合計6つが形成される。接点部2は、典型的には、対向する突出部24の各対において、挟持方向に対する間隔が最も狭い位置が、挟持方向に対して相互に対向する第1接点21と第2接点22とになる。接点部2は、第1接点21、第2接点22より突出方向先端側の部分、すなわち、挟持方向に対する間隔が広がっている部分が、突出部24の各対の間に第1導電部材101、第2導電部材102を誘導するための誘導部として機能する。
【0019】
上記のようにして構成される接点部2は、第1接点21と第2接点22とがそれぞれ挟持方向に対向すると共に配列方向に沿って複数並んで設けられた多接点バネ部を構成し、複数の第1接点21、複数の第2接点22がそれぞれ第1導電部材101、第2導電部材102と接触する多接点構造となっている。すなわち、接点部2は、複数の第1接点21、複数の第2接点22が形成された複数対の突出部24が基端部23から突出しており、これにより、当該各突出部24の各対が挟持方向に沿って相互に近づく方向に弾性変形自在に形成されて多接点バネを構成する。そして、接点部2は、突出部24の各対の間に挿入される第1導電部材101、第2導電部材102を、当該突出部24の各対に形成された複数の第1接点21と複数の第2接点22とによって挟持方向に対して接触して挟持することで電気的に接続することができる。
【0020】
保持部3は、接点部2と一体で形成され、第1導電部材101、及び、第2導電部材102を挟み込み、接点部2を第1導電部材101、及び、第2導電部材102に保持する部分である。保持部3は、挟持方向における剛性が接点部2より高い部分として形成される。ここでは、保持部3は、配列方向に対して接点部2の両側に一対で形成される。見方を変えれば、保持部3は、クリップ状端子1において外端子を構成し、接点部2は、クリップ状端子1において保持部3の内側に形成された内端子を構成する。なお、以下の説明では、一方の保持部3について説明し、他方の保持部3についての説明を省略する。
【0021】
より詳細には、保持部3は、基端部31と、1対の突出部32とを含んで構成され、これらが一体で形成される。保持部3は、配列方向に沿って視た状態で、基端部31と1対の突出部32とによって、突出方向先端側が開口した略U字型に形成される(図1図2等参照)。基端部31は、接点部2の基端部23に配列方向に隣接し当該基端部23と連続するようにして形成される板状の部分である。1対の突出部32は、基端部31の挟持方向における両端部から同じ側に突出するようにして形成された板状の部分である。1対の突出部32は、挟持方向に対して対向するように配置され、当該挟持方向における基端部31の両端部にそれぞれ連設されている。
【0022】
ここで、クリップ状端子1は、例えば、板金に打ち抜き加工や曲げ加工を施すことで接点部2、及び、当該保持部3の各部が同一平面状に形成される。そして、クリップ状端子1は、接点部2の各突出部24を突出方向先端側に所定の形状となるように折り曲げると共に基端部31と基端部23との連続部分で、突出部24が突出する側と同じ側、すなわち、突出方向先端側に保持部3全体を折り曲げることで形成される(図4参照)。なお、保持部3は、クリップ状端子1が第1導電部材101、第2導電部材102等に取り付けられる前に折り曲げられてもよいし、クリップ状端子1が第1導電部材101、第2導電部材102等に取り付けられる際に折り曲げられてもよい。
【0023】
保持部3は、図1等に示すように、基端部31と基端部23との連続部分で突出方向先端側に折り曲げられた状態で、各突出部32が基端部31から突出方向に沿って突出部24と同じ側に突出するようにして形成される。保持部3は、この状態で接点部2を第1導電部材101、第2導電部材102に保持する。以下、基端部31と基端部23との連続部分で保持部3全体を折り曲げられ、接点部2を第1導電部材101、第2導電部材102に保持する状態を「保持状態」という場合がある。保持部3の1対の突出部32は、突出方向基端側の端部が基端部31と一体に接続され、保持状態で他端側の端部が突出方向に沿って突出方向先端側に向けて突出するように形成される。1対の突出部32は、保持状態において、配列方向に沿って視た状態で、略同一の形状に形成されている。また、1対の突出部32は、基端部31の挟持方向の中央位置を通り垂直方向に沿った仮想直線を対称軸とする線対称な形状に形成されている。また、各突出部32は、配列方向に沿った長さが略同等に形成されている。
【0024】
そしてここでは、保持部3は、各突出部32の挟持方向に対する厚みが接点部2の各突出部24の挟持方向に対する厚みより厚く形成されることで、挟持方向における剛性が接点部2より高い部分として形成される。これにより、保持部3は、挟持方向に対して開きにくい構成とすることができる。
【0025】
上記のようにして構成される各保持部3は、接点部2と一体で形成された状態で、1対の突出部32が高剛性部位としてそれぞれ挟持方向に対向する。そして、各保持部3は、突出部32の各対の間に第1導電部材101、第2導電部材102が挿入され、当該突出部32の各対によって挟持方向に対して第1導電部材101、第2導電部材102と接触してこれを挟持することで、接点部2を第1導電部材101、第2導電部材102に保持することができる。
【0026】
上記のように構成されるクリップ状端子1は、図5図6に例示するように、例えば、複数の電池ユニット103を相互に電気的に接続する構成に適用される。ここで、電池ユニット103は、複数の電池パックを積層させて電気的に接続したものである。複数の電池ユニット103は、クリップ状端子1、及び、第1導電部材101としてのバスバーを介して、第2導電部材102としての板状プラス端子が相互に電気的に接続される。ここでは、第1導電部材101としてのバスバーは、第2導電部材102としての板状プラス端子に対して挟持方向に間隔をあけて位置している。この場合、クリップ状端子1は、各電池ユニット103において、第1導電部材101としてのバスバーと、第2導電部材102としての板状プラス端子とを、接点部2によって挟持方向に挟み込むことで、第1接点21と第2接点22とを介して第1導電部材101と第2導電部材102とを電気的に接続することができる。そして、クリップ状端子1は、接点部2とは別に高剛性部位として形成された各保持部3によって、第1導電部材101としてのバスバーと、第2導電部材102としての板状プラス端子とを挟持方向に挟み込むことで、接点部2を第1導電部材101、第2導電部材102に確実に保持することができる。なお、クリップ状端子1は、例えば、クリップカバー104等が装着されることで、当該クリップカバー104によって保護されるようにしてもよい。
【0027】
また、上記のように構成されるクリップ状端子1は、図7に例示するように、例えば、いわゆるジャンクションブロック(電気接続箱)105内に収容されるヒューズ106等の電子部品の電気的な接続部位に適用されてもよい。この場合、ヒューズ106の端子や各部の端子等がそれぞれ第1導電部材101、第2導電部材102を構成する。そして、クリップ状端子1は、上記と同様に、接点部2によって当該第1導電部材101と第2導電部材102とを電気的に接続すると共に、保持部3によって接点部2を第1導電部材101、第2導電部材102に保持する。
【0028】
以上で説明したクリップ状端子1によれば、挟持方向に並んで配置される第1導電部材101、及び、第2導電部材102を挟み込み電気的に接続する接点部2と、接点部2と一体で形成され、第1導電部材101、及び、第2導電部材102を挟み込み、接点部2を第1導電部材101、及び、第2導電部材102に保持する保持部3とを備え、保持部3は、挟持方向における剛性が接点部2より高い。
【0029】
したがって、クリップ状端子1は、接点部2を第1導電部材101、第2導電部材102に保持する保持部3が、第1導電部材101と第2導電部材102とを電気的に接続する接点部2とは機能的に区別して構成され、当該保持部3の挟持方向における剛性が接点部2より高くなるように構成される。この結果、クリップ状端子1は、保持部3を挟持方向に対して開きにくい構成とすることができ、当該保持部3によって接点部2を確実に第1導電部材101、第2導電部材102に保持することができるので、保持力を向上することができる。
【0030】
これにより、クリップ状端子1は、例えば、振動等が加わった際であっても、確実に接点部2を第1導電部材101、第2導電部材102に保持することができるので、接点部2における接点ズレや接点部2自体の変形等を抑制することができる。また、このクリップ状端子1は、例えば、第1導電部材101、第2導電部材102の公差のバラツキや経年変化、電圧変化、温度変化等に応じた変位等を、高剛性部位である保持部3によって矯正することができる。
【0031】
なお、クリップ状端子1は、第1導電部材101、第2導電部材102を保持部3に挿入する際の挿入力の増加を抑制するため、第1導電部材101、第2導電部材102と保持部3との嵌めあいを隙間嵌めとしてもよい。また、クリップ状端子1は、保持部3においても第1導電部材101と第2導電部材102とが電気的に接続される構成となるが、少なくとも接点部2において第1導電部材101と第2導電部材102とが電気的に接続される構成となっていればよい。
【0032】
さらに、以上で説明したクリップ状端子1によれば、接点部2は、第1導電部材101と接触する第1接点21と、第2導電部材102と接触すると共に挟持方向に対して第1接点21と対向する第2接点22とを有し、第1接点21と第2接点22とがそれぞれ挟持方向と交差する配列方向に沿って複数並んで設けられ、保持部3は、配列方向に対して接点部2の両側に一対で形成される。
【0033】
したがって、クリップ状端子1は、接点部2が多接点バネ構造を構成することで、例えば、適用される部位に流される電流値等の仕様に応じて第1接点21、第2接点22の数、言い換えれば、突出部24の数を適宜変更することによって、合成抵抗値や内部に流れる電流値を容易に調整し、容易に所望の仕様に合わせた端子とすることができる。この結果、クリップ状端子1は、汎用性を向上ですることができると共に、例えば、汎用性向上により、製造時のイニシャルコストを低減できる。さらに、クリップ状端子1は、接点部2が多接点バネ構造を構成することから、例えば、複数の抵抗を並列接続した並列回路と等価となるので、合成抵抗値を相対的に低減することができ、電源回路を接続状態としたときのクリップ状端子1における発熱や損失を低減することができる。また、クリップ状端子1は、第1接点21、第2接点22が形成された突出部24が配列方向に沿って所定の間隔あけて形成されているので、例えば、接点部2に第1導電部材101、第2導電部材102を挿入する際に、初期の挿入力を相対的に低減でき、また、接点部2を第1導電部材101、第2導電部材102から取り外す際に引張力も相対的に低減できるので、第1導電部材101、第2導電部材102に対する脱着性を向上できる。そして、クリップ状端子1は、このように多接点バネ構造を構成する接点部2の両側で保持部3によって当該接点部2を確実に第1導電部材101、第2導電部材102に保持することができる。
【0034】
[実施形態2]
図8は、実施形態2に係るクリップ状端子の保持部を配列方向に開いた状態の平面図である。実施形態2に係るクリップ状端子は、保持部が第1挟持点と第2挟持点とを有する点で実施形態1とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する。
【0035】
図8に示す本実施形態のクリップ状端子201は、接点部2と、一対の保持部3とを備える。各保持部3は、基端部31と、1対の突出部32とに加えて、さらに、第1挟持点233と、第2挟持点234とを有する。第1挟持点233は、第1導電部材101(図1等参照)と接触するものである。第2挟持点234は、第2導電部材102(図1等参照)と接触すると共に挟持方向に対して第1挟持点233と対向する。
【0036】
ここでは、第1挟持点233は、一方の突出部32の端面であって他方の突出部32と挟持方向に対向する端面に形成される。第2挟持点234は、他方の突出部32の端面であって第1挟持点233が形成される一方の突出部32と挟持方向に対向する端面に形成される。つまり、第1挟持点233と第2挟持点234とは、1対の突出部32において互いに挟持方向に対向する端面に形成される。第1挟持点233と第2挟持点234とは、挟持方向に沿って相互に向かって突出するインデント形状として形成される。ここでは、第1挟持点233は、各保持部3において、一方の突出部32の端面に沿って、言い換えれば、保持状態における突出方向に沿って間隔をあけて2つ設けられる。同様に、第2挟持点234は、各保持部3において、他方の突出部32の端面に沿って、言い換えれば、保持状態における突出方向に沿って間隔をあけて2つ設けられる。
【0037】
以上で説明したクリップ状端子201は、保持部3を挟持方向に対して開きにくい構成とすることができ、当該保持部3によって接点部2を確実に第1導電部材101、第2導電部材102に保持することができるので、保持力を向上することができる。
【0038】
そしてさらに、以上で説明したクリップ状端子201によれば、保持部3は、第1導電部材101と接触する第1挟持点233と、第2導電部材102と接触すると共に挟持方向に対して第1挟持点233と対向する第2挟持点234とを有する。したがって、クリップ状端子201は、第1挟持点233と第2挟持点234とによって、挟持方向に対して第1導電部材101、第2導電部材102を挟持する構成とすることで、保持部3と第1導電部材101、第2導電部材102とのクリアランスを調整し当該クリアランスが極力なくなるように詰めやすくすることができる。この結果、クリップ状端子201は、第1導電部材101、第2導電部材102を保持部3に挿入する際の挿入力の増加を抑制しつつ、保持部3における保持力をさらに向上することができ、接点部2を第1導電部材101、第2導電部材102にさらに強く保持することができる。
【0039】
なお、上述した本発明の実施形態に係るクリップ状端子は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0040】
図9は、変形例に係るクリップ状端子の概略構成を示す斜視図である。図10は、変形例に係るクリップ状端子の保持部を配列方向に開いた状態の斜視図である。図9図10に示す変形例に係るクリップ状端子301は、複数対の突出部24の数、保持部303の形状等が上述のクリップ状端子201とは異なる。クリップ状端子301は、複数対の突出部24の数が7対となっている。なお、突出部24の形状もクリップ状端子201とは若干異なるが、基本構成はほぼ同等である。
【0041】
そして、このクリップ状端子301の保持部303は、1対の突出部332、第1挟持点333、及び、第2挟持点334の形状がクリップ状端子201とは異なる。各突出部332は、保持状態における突出方向の長さがクリップ状端子201の突出部32より短くなるように形成される。そして、第1挟持点333、第2挟持点334は、クリップ状端子201の第1挟持点233、第2挟持点234にかわって各突出部332に形成される。第1挟持点333と第2挟持点334とは、上述と同様に、1対の突出部332において互いに挟持方向に対向する端面に形成される。そしてここでは、第1挟持点333と、第2挟持点334とは、保持状態における突出方向先端側の端部が挟持方向に沿って相互に向かって屈曲するようにして形成され、挟持方向に対して互いに対向する。第1挟持点333は、各保持部303において、一方の突出部332の突出方向先端側の端部に1つ形成される。第2挟持点334は、各保持部303において、他方の突出部332の突出方向先端側の端部に1つ形成される。
【0042】
この場合であっても、クリップ状端子301は、第1導電部材101、第2導電部材102を保持部303に挿入する際の挿入力の増加を抑制しつつ、保持部303における保持力をさらに向上することができ、接点部2を第1導電部材101、第2導電部材102にさらに強く保持することができる。
【0043】
なお、以上で説明した第1接点21と第2接点22とは、それぞれ挟持方向と交差する配列方向に沿って複数並んで設けられるものとして説明したがそれぞれ1つずつであってもよい。すなわち、クリップ状端子1、201、301は、複数対の突出部24を備えるものとして説明したが、少なくとも1対備えていればよい。
【符号の説明】
【0044】
1、201、301 クリップ状端子
2 接点部
3、303 保持部
21 第1接点
22 第2接点
23、31 基端部
24、32、332 突出部
101 第1導電部材
102 第2導電部材
233、333 第1挟持点
234、334 第2挟持点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10