(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のディスクブレーキキャリパ501は、上部にある平行維持制御機構である吊りリンク507がブレーキトルクを受ける構造のため大型である。そこで、より軽量でコンパクトな平行維持制御機構を備えたディスクブレーキ装置が望まれている。
【0010】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、コンパクトな平行維持制御機構によってパッドをディスクロータに平行に姿勢維持することができるディスクブレーキ装置及び鉄道用ディスクブレーキを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成され
る。
【0013】
(
1) 基体と、前記基体に対して揺動可能に軸支された一対のブレーキアームと、前記一対のブレーキアームの一方の揺動端に結合されて該ブレーキアームを拡開作動するためのアクチュエータと、前記一対のブレーキアームの他方の揺動端にそれぞれ旋回自在に軸支されたパッド保持部材と、前記パッド保持部材に保持されたパッドのライニング面をディスクロータに平行に押圧するための平行維持制御機構と、を備えたディスクブレーキ装置であって、前記平行維持制御機構が、前記基体から前記ディスクロータの側面に対して平行に突設される固定軸と、前記固定軸と平行に配設されて前記パッド保持部材の移動軸挿入穴に回動自在かつ前後動自在に嵌入される移動軸と、前記固定軸と前記移動軸とを平行に連結する少なくとも2個以上の関節部材と、これら関節部材同士を回動自在に軸支する少なくとも1本以上の連結軸と、を有するリンクアームを備えることを特徴とするディスクブレーキ装置。
【0014】
上記(
1)の構成のディスクブレーキ装置によれば、パッド保持部材は、保持したパッドのライニング面がディスクロータに平行となるように、平行維持制御機構によって案内される。平行維持制御機構は、パッドをディスクロータに平行に押圧するためのリンクアームを有する。リンクアームは、固定軸と、移動軸と、少なくとも2個以上の関節部材と、連結軸と、からなる。移動軸は、リンクアームによって、ディスクロータに対し平行を維持しながら、上下方向及びディスクロータに接近離反する方向に移動自在となる。
移動軸には、パッドのライニング面がディスクロータと平行となる方向で、パッド保持部材の移動軸挿入穴が回動自在かつ前後動自在に嵌入される。
これにより、平行維持制御機構は、パッドのライニング面がディスクロータと平行となるように、パッド保持部材の姿勢を維持することができる。リンクアームは、関節部材が2個以上とされることで、1個の長い関節部材である従来の吊りリンクに比べて各関節部材を短くすることができ、コンパクトな構造でありながら移動軸を固定軸に対して水平方向に平行移動させることができる。
従って、コンパクトな平行維持制御機構を備えたディスクブレーキ装置を提供することができる。
【0015】
(
2) 基体と、前記基体に対して揺動可能に軸支された一対のブレーキアームと、前記一対のブレーキアームの一方の揺動端に結合されて該ブレーキアームを拡開作動するためのアクチュエータと、前記一対のブレーキアームの他方の揺動端にそれぞれ旋回自在に軸支されたパッド保持部材と、前記パッド保持部材に保持されたパッドのライニング面をディスクロータに平行に押圧するための平行維持制御機構と、を備えたディスクブレーキ装置であって、前記平行維持制御機構が、前記パッド保持部材に当接する押圧板と、前記基体から前記ディスクロータの側面に対して平行に突設される固定軸と、前記固定軸と平行に配設されて前記押圧板を回動自在かつ前後動自在に軸支する移動軸と、前記固定軸と前記移動軸とを平行に連結する少なくとも2個以上の関節部材と、これら関節部材同士を回動自在に軸支する少なくとも1本以上の連結軸と、を有するリンクアームと、前記押圧板の当接面を前記パッド保持部材に対して押付ける方向へ弾性付勢するばね部材と、を備えることを特徴とするディスクブレーキ装置。
【0016】
上記(
2)の構成のディスクブレーキ装置によれば、パッド保持部材は、保持したパッドのライニング面がディスクロータに平行となるように、平行維持制御機構によって案内される。平行維持制御機構は、パッドをディスクロータに平行に押圧するための押圧板とリンクアームを有する。リンクアームは、固定軸と、移動軸と、少なくとも2個以上の関節部材と、連結軸と、からなる。移動軸は、リンクアームによって、ディスクロータに対し平行を維持しながら、上下方向及びディスクロータに接近離反する方向に移動自在となる。
移動軸には、押圧板の当接面が、ディスクロータと平行となる方向で挿入固定され、回動自在かつ前後動自在に軸支される。
パッド保持部材にはばね部材が固定され、ばね部材は押圧板の当接面をパッド保持部材に押付ける方向に弾性付勢する。これにより、平行維持制御機構に一定以上の負荷が作用しない通常時、パッドのライニング面がディスクロータと平行となるように、押圧板の当接面に密着したパッド保持部材の姿勢が維持される。リンクアームは、関節部材が2個以上とされることで、1個の長い関節部材である従来の吊りリンクに比べて各関節部材を短くすることができ、コンパクトな構造でありながら押圧板を軸支する移動軸を固定軸に対して水平方向に平行移動させることができる。
従って、コンパクトな平行維持制御機構を備えたディスクブレーキ装置を提供することができる。
一方、パッドを介してパッド保持部材に一定以上の荷重が作用し、パッド保持部材のモーメント荷重が押圧板の当接面に伝わると、押圧板は、パッド保持部材に対し、ばね部材の付勢力に抗して相対移動することができる。
この相対移動により、押圧板の当接面とパッド保持部材とは、密着状態が解除され、双方の間に隙間を生じさせることが可能となる。従って、パッド保持部材(パッド)は、ディスクロータに沿って角度を変えることができ、パッドのライニング面を均一にディスクロータに押し当てることができる。また、押圧板の当接面が、パッド保持部材に対し相対移動できることで、リンクアームに作用する過剰な負担も解消される。
【0017】
(
3) 上記(
2)の構成のディスクブレーキ装置であって、前記押圧板の当接面と直交する上下面には、中心軸が上下方向に沿う一対の係合穴が凹設されており、前記各係合穴を前記パッド保持部材に対してそれぞれ係止する係止突部は、所定の傾きを許容できる間隙を有して遊嵌されることを特徴とするディスクブレーキ装置。
【0018】
上記(
3)の構成のディスクブレーキ装置によれば、パッド保持部材の係止突部が押圧板の係合穴を係止することで、押圧板をパッド保持部材に対してアッセンブリすることができ、組立が容易となる。なお、押圧板の係合穴と係止突部とは、所定の傾きを許容できる間隙を有して遊嵌されているので、パッド保持部材に対する押圧板の相対移動が妨げられることはない。
【0019】
(
4) 上記(
2)又は(
3)の構成のディスクブレーキ装置であって、前記押圧板の当接面が、前記パッド保持部材に対して相対移動できるようにガイドされていることを特徴とするディスクブレーキ装置。
【0020】
上記(
4)の構成のディスクブレーキ装置によれば、押圧板の当接面をパッド保持部材に対してスムーズに相対移動させることができる。
【0021】
(
5) 上記(
2)〜(
4)の何れか1つの構成のディスクブレーキ装置であって、前記固定軸が、前記一対のブレーキアームを前記基体に対して揺動可能に軸支する軸受ボスに固定され、前記押圧板が、前記パッド保持部材の旋回回転軸に沿う長手方向中間部に押し付けられることを特徴とするディスクブレーキ装置。
【0022】
上記(
5)の構成のディスクブレーキ装置によれば、平行維持制御機構が、パッドの中心に近いところであるパッド保持部材の旋回回転軸に沿う長手方向中間部と基体の軸受ボスとを連結するように位置して、軽量かつ小型に構成される。
【0023】
(
6) 上記(
2)〜(
5)の何れか1つの構成のディスクブレーキ装置であって、前記ばね部材が、前記押圧板の外側面を覆う板ばねで形成されることを特徴とするディスクブレーキ装置。
【0024】
上記(
6)の構成のディスクブレーキ装置によれば、押圧板がばね部材によって覆われ、飛び石による破損から保護される。また、ばね部材は、外部より視認可能な平行維持制御機構の機構表面側(ディスクロータと反対側)に配置されるので、取付状況や破損の有無等が目視により容易に確認可能となる。また、板ばねで形成されたばね部材の上下縁に形成した支持板部に貫通孔が形成され、押圧板の係合穴を係止するためのパッド保持部材の係止突部がこの貫通孔を貫通することで、ばね部材はパッド保持部材に支持される。
【0025】
(7) 上記(1)〜(6)の何れか1つの構成のディスクブレーキ装置であって、
前記平行維持制御機構が、前記ブレーキアームの揺動中心軸に沿った中央付近に配置されていることを特徴とするディスクブレーキ装置。
(8)
上記(1)〜(7)の何れか1つの構成のディスクブレーキ装置を備えたことを特徴とする鉄道用ディスクブレーキ。
【0026】
上記(7)の構成のディスクブレーキ装置によれば、平行維持制御機構が、ブレーキアームの揺動中心軸に沿った中央付近に配置されており、直接平行維持制御機構にブレーキトルクの入力がないため、小型軽量化を図ることができる。
上記(8)の構成の鉄道用ディスクブレーキによれば、コンパクトな平行維持制御機構を備えたディスクブレーキ装置を提供できる。また、車輪(ディスクロータ)の傾動時、パッドのライニング面を車輪(ディスクロータ)に平行に追従させることが可能となる。これにより、鉄道車両のカーブ走行時や蛇行時のブレーキングにおいて、車輪(ディスクロータ)が傾動すると、ばね部材の付勢力に抗して押圧板と密着状態が解除されたパッド保持部材が、車輪(ディスクロータ)と平行に追従する。その結果、平行維持制御機構は、車輪(ディスクロータ)の傾動からの負担が解消される。
このように、鉄道用ディスクブレーキでは、カーブ走行時や蛇行時のブレーキングにおいてパッドが傾いた場合には、パッドと押圧板の密着状態が解除され、パッドの制動を妨げず、しかも、平行維持制御機構のリンクアームにも過大な負荷を掛けないように構成されている。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係るディスクブレーキ装置及び鉄道用ディスクブレーキによれば、コンパクトな平行維持制御機構によってパッドをディスクロータに平行に姿勢維持することができる。
【0028】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1〜
図3に示すように、本発明の第1実施形態に係るディスクブレーキ装置11は、鉄道用ディスクブレーキ13に適用する場合を例に説明する。なお、本発明に係るディスクブレーキ装置は、鉄道用ディスクブレーキ13の他、例えばエレベータ等、回転部材に対して制動力を発生させる産業用ブレーキ装置にも適用可能なものである。
【0031】
本第1実施形態に係るディスクブレーキ装置11は、キャリパボディ(基体)25と、キャリパボディ25に対して揺動可能に軸支された一対のブレーキアーム15と、一対のブレーキアーム15の一方の揺動端33に結合されて該ブレーキアーム15を拡開作動するためのアクチュエータ17と、一対のブレーキアーム15の他方の揺動端35にそれぞれ旋回自在に軸支されたパッド保持部材19と、パッド保持部材19に保持されたパッドアッセンブリ(パッド)21と、平行維持制御機構23(
図3参照)と、を備える。
【0032】
基体であるキャリパボディ25は、サポート27によって、車両の台車等に固定される。一対のブレーキアーム15は、それぞれキャリパボディ25に対してアーム軸29(例えば軸線が上下方向に沿う揺動中心軸)によって揺動可能に軸支される。キャリパボディ25には、アクチュエータ17が収容されている。
【0033】
アクチュエータ17は、例えば、電動モータ及び減速機構からなるモータギヤユニット或いは油圧駆動機構又はエア駆動機構と、倍力機構と、一対のロッド31と、によって構成される。アクチュエータ17は、モータギヤユニット等が駆動されることで、倍力機構を介してロッド31が進退される。一対のロッド31は、一対のブレーキアーム15の一方の揺動端33に結合されている。アクチュエータ17は、進退するロッド31を介して一対のブレーキアーム15の一方の揺動端33を拡開作動する。その結果、一対のブレーキアーム15の他方の揺動端35は、間隔が縮小する。
【0034】
パッド保持部材19(パッドホルダとも称される)は、一対のブレーキアーム15の他方の揺動端35に、それぞれがホルダ軸37(例えば、軸線が上下方向に沿う旋回回転軸)によって旋回自在(首振り自在)に軸支される。
一対のパッド保持部材19の内側となる対向面には、ホルダ軸37に沿う方向の蟻溝20(
図8参照)が刻設されている。この蟻溝20には、パッドアッセンブリ21が
図1の下部側からスライド挿入されて装着される。
【0035】
パッドアッセンブリ21には、複数のパッド39が、ライニング面41をディスクロータ(または
図7に示す車輪43の側面)に対面させる向きで保持されている。パッド保持部材19の蟻溝20に装着されたパッドアッセンブリ21は、上下端に取り付けたアンカブロック22がボルト24でボルト締結されることにより固定される(
図1参照)。
なお、本実施形態では、パッド39のライニング面41が、車輪43に組付けられているディスクロータの両側面を押圧してブレーキ動作を行う構造を例に説明する(
図7参照)。勿論、ディスクブレーキ装置11は、車輪43とは別に設けたディスクロータ(図示略)を挟圧して制動する構成であってもよい。
【0036】
図3に示すように、本第1実施形態に係る平行維持制御機構23は、パッド保持部材19に保持されたパッド39のライニング面41を車輪43(ディスクロータ)の側面に平行に押圧するものであり、押圧板49と、リンクアーム47と、ばね部材45と、を有する。
図4に示すように、キャリパボディ25は、それぞれのアーム軸29を支持する筒状に形成された一対の軸受ボス51を有する。この軸受ボス51には、車輪43(ディスクロータ)の側面に平行となる固定穴53が穿設される。軸受ボス51の固定穴53には、リンクアーム47を介してパッド保持部材19に当接する押圧板49が支持されることになる。
【0037】
図5及び
図6に示すように、押圧板49は、パッド保持部材19の背面側(ディスクロータと反対側)に当接する。押圧板49は、固定穴53の中心軸に沿う方向に配置される長い略短冊板状に形成される。押圧板49の長手方向の一端側である基端部には、肉厚部55が形成される。この肉厚部55には、リンクアーム47の後述する移動軸57が嵌入する移動軸挿入穴56(
図8参照)が形成されている。押圧板49の当接面71と直交する上下面の略中央部分には、中心軸が上下方向に沿う一対の係合穴59が凹設されている。押圧板49は、この係合穴59が、それぞれホルダ軸37の先端(係止突部)によって係止される。押圧板49の係合穴59とホルダ軸37の先端とは、車輪43(ディスクロータ)が傾いたときの所定の傾きを許容できる間隙を有して遊嵌されている。これにより、押圧板49とホルダ軸37とは、ホルダ軸37の半径方向に相対移動可能となり、パッド保持部材19に対する押圧板49の相対移動が妨げられることはない。
【0038】
また、押圧板49の当接面71には、パッド保持部材19の背面に上下方向に伸びるように形成されたガイド溝26に係合するガイド部72が突設されている(
図8参照)。そこで、押圧板49の当接面71は、パッド保持部材19に対して相対移動できるようにガイドされている。
【0039】
図5及び
図6に示すように、押圧板49をキャリパボディ25の軸受ボス51に支持するリンクアーム47は、固定軸61と、移動軸57と、少なくとも2個以上の関節部材である第1関節部材65及び第2関節部材67と、連結軸63と、からなる。固定軸61は、軸受ボス51の固定穴53に固定されて、キャリパボディ25から車輪43(ディスクロータ)の側面に対して平行に突設される。そこで、押圧板49が、パッド保持部材19のホルダ軸37に沿う長手方向中間部に押し付けられる。
【0040】
移動軸57は、固定軸61と平行に配設されて押圧板49を回動自在かつ前後動自在に軸支する。移動軸57は、押圧板49の肉厚部55に穿設された上記の移動軸挿入穴56(
図8参照)に摺動ブッシュ58を介して回動自在かつ前後動自在に嵌合される。この押圧板49を支持した移動軸57と、キャリパボディ25の軸受ボス51に固定された固定軸61とは、複数の関節部材である第1関節部材65及び第2関節部材67によって連結されている。
【0041】
本発明の関節部材は、固定軸61と移動軸57とを平行に連結する少なくとも2個以上のものからなる。本第1実施形態において、関節部材は、固定軸側の第1関節部材65と、移動軸側の第2関節部材67と、からなる。第1関節部材65は、一端側に固定軸61が回動自在に軸支され、他端側に連結軸63が回動自在に軸支される。第2関節部材67は、一端側に連結軸63が固定され、他端側に移動軸57が固定される。
【0042】
本発明の連結軸は、これら関節部材同士を回動自在に軸支する少なくとも1本以上のものからなる。本実施形態では、関節部材が、第1関節部材65と第2関節部材67とからなるので、連結軸63は、これらを連結する1本である。固定軸61と第1関節部材65との貫通部分、及び第1関節部材65と連結軸63との貫通部分には回動を円滑にするための摺動ブッシュ69が介装されている。
【0043】
リンクアーム47における固定軸61、連結軸63、移動軸57は、全てが車輪43(ディスクロータ)の側面に沿って平行で、且つ同方向(上下方向に直交する方向)となる向きで配置されている。このように構成されるリンクアーム47では、移動軸57が、常に車輪43(ディスクロータ)の側面に平行となって、側面に接近離反する方向及び上下方向(ホルダ軸37の軸線に沿う方向)に移動可能となる。
【0044】
ばね部材45は、押圧板49の当接面71をパッド保持部材19に対して押付ける方向へ弾性付勢する。上記のように、押圧板49の係合穴59とホルダ軸37の先端とは、若干の間隙を有して係合されている。このため、押圧板49は、ホルダ軸37の先端に対し、ホルダ軸37の半径方向に相対移動可能となる。ばね部材45は、この相対移動の範囲で、押圧板49をパッド保持部材19に押付けている。その結果、押圧板49の当接面71は、ばね部材45の弾性付勢力によってパッド保持部材19に押し付けられる。
【0045】
本実施形態のばね部材45は、押圧板49の外側面73を覆う板ばねで形成される。ばね部材45は、移動軸57の軸線に沿う方向の両端に、押圧板側に折り曲げられた当接曲げ部74,75(
図3参照)が形成される。ばね部材45は、この当接曲げ部74,75が、押圧板49の両端の外側面73に当接される(
図8参照)。板ばねで形成されたばね部材45の上下縁に沿う方向の略中央部には、上下縁からパッド保持部材19に向かって突出する上下一対の支持板部77(
図7参照)が形成される。ばね部材45は、この支持板部77の貫通孔77aをホルダ軸37の先端(係止突部)が貫通することで、ホルダ軸37を介してパッド保持部材19に支持される。ばね部材45は、押圧板49を覆うことにより、押圧板49を飛び石等による破損から保護する作用も有している。
【0046】
このように、本第1実施形態の平行維持制御機構23は、リンクアーム47、押圧板49、ばね部材45の3部品によって構成される。そして、リンクアーム47は、第1関節部材65及び第2関節部材67、連結軸63、移動軸57、摺動ブッシュ69から構成されるが、これらを予め一体で組付けできるため、交換対象となる部品点数は少なく、取付交換が容易となっている。
また、本実施形態の平行維持制御機構23のリンクアーム47は、ブレーキアーム15の揺動中心軸であるアーム軸29に沿った略中央付近に配置され、キャリパボディ25とパッド保持部材19を連結しており、下部に配置された場合に比べて飛び石等による破損が生じ難い。
【0047】
そして、本第1実施形態の平行維持制御機構23は、
図9の(a),(b)に示したパッド新品時も、
図9の(c),(d)に示したパッド摩耗時も、パッド保持部材19に保持されたパッド39のライニング面41を車輪43(ディスクロータ)の側面に平行に押圧することができる。
【0048】
次に、上記の構成を有するディスクブレーキ装置11の作用を説明する。
本第1実施形態に係るディスクブレーキ装置11では、キャリパボディ25に対し、一対のブレーキアーム15のそれぞれがアーム軸29を中心に揺動自在に支持される。一対のブレーキアーム15は、キャリパボディ25に設けられるアクチュエータ17によって一方の揺動端33が拡開作動されると、他方の揺動端35同士の間隔が縮小する。他方の揺動端35のそれぞれには、パッド39を保持するパッド保持部材19がホルダ軸37を中心に旋回自在に軸支される。ブレーキアーム15の他方の揺動端35にホルダ軸37によって旋回自在に支持されたパッド保持部材19は、
図10の(a)に示すように、保持したパッド39のライニング面41が車輪43(ディスクロータ)に平行となるように、平行維持制御機構23によって案内される。
【0049】
平行維持制御機構23は、パッド39を車輪43(ディスクロータ)に平行に押圧するための押圧板49とリンクアーム47を有する。リンクアーム47は、固定軸61と、移動軸57と、第1関節部材65及び第2関節部材67と、連結軸63と、からなる。固定軸61は、車輪43(ディスクロータ)の側面に対して平行となってキャリパボディ25の軸受ボス51から突出する。固定軸61には、この固定軸61と同方向の連結軸63によって連結された第1関節部材65及び第2関節部材67を介して、固定軸61と同方向の移動軸57が移動自在に支持されている。そこで、移動軸57は、リンクアーム47によってキャリパボディ25の軸受ボス51に支持され、車輪43(ディスクロータ)の側面に対し平行を維持しながら、上下方向及び車輪43(ディスクロータ)に接近離反する方向に移動自在となる。
【0050】
パッド保持部材19にはばね部材45が固定され、ばね部材45は、押圧板49の当接面71をパッド保持部材19の背面に押付ける方向に弾性付勢する。つまり、押圧板49は、ばね部材45の付勢力によって、パッド保持部材19の背面に当接される。ばね部材45は、ホルダ軸37を挟む両側で押圧板49の外側面73を押圧する。ばね部材45は、ホルダ軸37を中心としたモーメントが押圧板49に生じないように押圧板49をパッド保持部材19に押付ける。これにより、平行維持制御機構23に一定以上の負荷が作用しない通常時、パッド39のライニング面41が車輪43(ディスクロータ)と平行となるように、押圧板49の当接面71に密着したパッド保持部材19の姿勢が維持される。
本実施形態のリンクアーム47は、2個の第1関節部材65及び第2関節部材67を有することで、1個の長い関節部材である従来の吊りリンク507(
図13参照)に比べて各関節部材を短くすることができ、コンパクトな構造でありながら移動軸57を固定軸61に対して水平に平行移動させることができる。即ち、従来の吊りリンク507は、ブレーキパッドホルダ505をなるべく水平に平行移動させるため、取付ブラケット503に対する回動軸とブレーキパッドホルダ505に対する回動軸との間隔を広げて旋回半径を大きくしなければならなかった。
従って、コンパクトな平行維持制御機構23を備えたディスクブレーキ装置11を提供することができる。
【0051】
一方、本第1実施形態のディスクブレーキ装置11では、車輪43(ディスクロータ)等からの反力によって、パッド39を介してパッド保持部材19に一定以上の荷重が作用し、パッド保持部材19のモーメント荷重が押圧板49の当接面71に伝わると、押圧板49は、パッド保持部材19に対し、ばね部材45の付勢力に抗して相対移動することができる。すなわち、ホルダ軸37と押圧板49は、上記した若干の間隙の範囲でばね部材45を弾性変形させて、相対移動することになる。
【0052】
この相対移動により、押圧板49の当接面71とパッド保持部材19とは、密着状態が解除され、双方の間に隙間を生じさせることが可能となる。すなわち、
図10の(b)に示すように、車輪43(ディスクロータ)の傾動時にリンクアーム47に大きなモーメント荷重が発生した場合、ばね部材45が撓み(弾性変形し)、パッド保持部材19とリンクアーム47が切り離される。平行維持制御機構23は、最大±3°までの車輪43(ディスクロータ)の傾動に対応できることが要求される。従って、パッド保持部材19(パッド39)は、車輪43(ディスクロータ)に沿って角度を変えることができ、パッド39のライニング面41を均一に車輪43(ディスクロータ)に押し当てることができる。その結果、ディスクブレーキ装置11では、パッド39に生じる偏摩耗や引きずりが抑制される。
【0053】
また、押圧板49の当接面71が、パッド保持部材19に対し相対移動できることで、リンクアーム47に作用する過剰な負担も解消する。つまり、パッド39は、緩開時には移動軸57の軸線に沿う平行姿勢を維持するが、制動時には車輪43(ディスクロータ)に沿って姿勢を変えることが可能となる。
【0054】
また、本第1実施形態のディスクブレーキ装置11では、パッド保持部材19を旋回自在に軸支するホルダ軸37の先端(係止突部)が押圧板49の上面面に凹設された係合穴59を係止することで、押圧板49をパッド保持部材19に対してアッセンブリすることができ、組立が容易となる。なお、押圧板49の係合穴59とホルダ軸37の先端(係止突部)とは、車輪43(ディスクロータ)が傾いたときの所定の傾きを許容できる間隙を有して遊嵌されているので、パッド保持部材19に対する押圧板49の相対移動が妨げられることはない。
【0055】
本第1実施形態のディスクブレーキ装置11では、押圧板49の当接面71が、パッド保持部材19に対して相対移動できるようにガイドされているので、押圧板49の当接面71をパッド保持部材19に対してスムーズに相対移動させることができる。
【0056】
また、本第1実施形態のディスクブレーキ装置11では、固定軸61が、一対のブレーキアーム15をキャリパボディ25に対して揺動可能に軸支する軸受ボス51に固定され、押圧板49が、パッド保持部材19の旋回回転軸に沿う長手方向中間部に押し付けられる。そこで、平行維持制御機構23が、パッドアッセンブリ21の中心に近いところであるパッド保持部材19の旋回回転軸に沿う長手方向中間部とキャリパボディ25の軸受ボス51とを連結するように位置して、軽量かつ小型に構成される。
【0057】
また、本実施形態のディスクブレーキ装置11では、押圧板49がばね部材45によって覆われ、飛び石による破損から保護される。また、ばね部材45は、外部より視認可能な平行維持制御機構23の機構表面側(車輪43と反対側)に配置されるので、取付状況や破損の有無等が目視により容易に確認可能となる。また、板ばねで形成されたばね部材45の上下縁に形成した支持板部77に貫通孔77aが形成され、押圧板49の係合穴59を係止するためのホルダ軸37の先端(係止突部)がこの貫通孔77aを貫通することで、ばね部材45はパッド保持部材19に支持される。
【0058】
また、上記構成のディスクブレーキ装置11を備える鉄道用ディスクブレーキ13では、車輪43(ディスクロータ)の傾動時、パッド39のライニング面41を車輪43(ディスクロータ)に平行に追従させることが可能となる。これにより、鉄道車両のカーブ走行時や蛇行時のブレーキングにおいて、車輪43(ディスクロータ)が傾動すると、ばね部材45の付勢力に抗して押圧板49と密着状態が解除されたパッド保持部材19が、車輪43(ディスクロータ)と平行に追従する。その結果、平行維持制御機構23は、車輪43(ディスクロータ)の傾動からの負担が解消される。
【0059】
このように、鉄道用ディスクブレーキ13では、カーブ走行時や蛇行時のブレーキングにおいてパッド39(パッドアッセンブリ21)が傾いた場合には、パッド39と押圧板49の密着状態が解除され、パッド39の制動を妨げず、しかも、平行維持制御機構23のリンクアーム47にも過大な負荷を掛けないように構成されている。
【0060】
従って、本第1実施形態に係るディスクブレーキ装置11によれば、コンパクトな平行維持制御機構23によってパッド39を車輪43(ディスクロータ)に平行に姿勢維持し、同時にパッド39の偏摩耗及び引きずりを防止できる。
【0061】
本第1実施形態に係る鉄道用ディスクブレーキ13によれば、車輪43(ディスクロータ)の傾動に対してパッド39を追従させ、パッド39の偏摩耗及び引きずりを防止できる。
【0062】
次に、本発明の第2実施形態に係るディスクブレーキ装置11Aを説明する。
図11及び
図12に示すように、本第2実施形態に係るディスクブレーキ装置11Aは、上記第1実施形態に係るディスクブレーキ装置11の平行維持制御機構23を平行維持制御機構23Aに代えた以外は同様の構成であるので、同部材については同符号を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
本第2実施形態に係る平行維持制御機構23Aは、
図11及び
図12に示すように、パッド保持部材19Aに保持されたパッド39のライニング面41を車輪43(ディスクロータ)の側面に平行に押圧するものであり、パッド保持部材19Aに形成された移動軸挿入穴93と、リンクアーム47と、を有する。
本第2実施形態に係るリンクアーム47の移動軸57は、
図12に示すように、固定軸61と平行に配設されてパッド保持部材19Aの移動軸挿入穴93に摺動ブッシュ95を介して回動自在かつ前後動自在に嵌入されている。
【0064】
次に、上記の構成を有するディスクブレーキ装置11Aの作用を説明する。
本第2実施形態に係るディスクブレーキ装置11Aでは、パッド保持部材19Aは、保持したパッド39のライニング面41が車輪43(ディスクロータ)に平行となるように、平行維持制御機構23Aによって案内される。
【0065】
平行維持制御機構23Aは、パッド39を車輪43(ディスクロータ)に平行に押圧するためのリンクアーム47を有する。リンクアーム47は、固定軸61と、移動軸57と、第1関節部材65及び第2関節部材67と、連結軸63と、からなる。移動軸57は、リンクアーム47によってキャリパボディ25の軸受ボス51に支持され、車輪43(ディスクロータ)の側面に対し平行を維持しながら、上下方向及び車輪43(ディスクロータ)に接近離反する方向に移動自在となる。
【0066】
移動軸57には、パッド39のライニング面41が車輪43(ディスクロータ)の側面と平行となる方向で、パッド保持部材19Aの移動軸挿入穴93が回動自在かつ前後動自在に嵌入される。
これにより、平行維持制御機構23Aは、パッド39のライニング面41が車輪43(ディスクロータ)と平行となるように、パッド保持部材19Aの姿勢を維持する。
従って、コンパクトな平行維持制御機構23Aを備えたディスクブレーキ装置11Aを提供することができる。
【0067】
更に、上記各実施形態のディスクブレーキ装置11,11Aによれば、平行維持制御機構23,23Aが、ブレーキアーム15の揺動中心軸であるアーム軸29に沿った中央付近に配置され、キャリパボディ25とパッド保持部材19を連結しており、直接平行維持制御機構23,23Aにブレーキトルクの入力がないため、小型軽量化を図ることができる。
【0068】
ここで、上述した本発明に係るディスクブレーキ装置及び鉄道用ディスクブレーキの実施形態の特徴をそれぞれ以下に簡潔に纏めて列記する。
[1] 基体(キャリパボディ25)と、
前記基体(キャリパボディ25)に対して揺動可能に軸支された一対のブレーキアーム(15)と、
前記一対のブレーキアーム(15)の一方の揺動端(33)に結合されて該ブレーキアーム(15)を拡開作動するためのアクチュエータ(17)と、
前記一対のブレーキアーム(15)の他方の揺動端(35)にそれぞれ旋回自在に軸支されたパッド保持部材(19)と、
前記パッド保持部材(19)に保持されたパッド(39)のライニング面(41)をディスクロータ(車輪43)に平行に押圧するための平行維持制御機構(23A)と、を備えたディスクブレーキ装置(11A)であって、
前記平行維持制御機構(23A)が、前記ブレーキアーム(15)の揺動中心軸(アーム軸29)に沿った中央付近に配置され、前記基体(キャリパボディ25)と前記パッド保持部材(19)を連結することを特徴とするディスクブレーキ装置(11)。
[2] 基体(キャリパボディ25)と、
前記基体(キャリパボディ25)に対して揺動可能に軸支された一対のブレーキアーム(15)と、
前記一対のブレーキアーム(15)の一方の揺動端(33)に結合されて該ブレーキアーム(15)を拡開作動するためのアクチュエータ(17)と、
前記一対のブレーキアーム(15)の他方の揺動端(35)にそれぞれ旋回自在に軸支されたパッド保持部材(19)と、
前記パッド保持部材(19)に保持されたパッド(39)のライニング面(41)をディスクロータ(車輪43)に平行に押圧するための平行維持制御機構(23A)と、を備えたディスクブレーキ装置(11A)であって、
前記平行維持制御機構(23A)が、
前記基体(キャリパボディ25)から前記ディスクロータ(車輪43)の側面に対して平行に突設される固定軸(61)と、
前記固定軸(61)と平行に配設されて前記パッド保持部材(19A)の移動軸挿入穴(93)に回動自在かつ前後動自在に嵌入される移動軸(57)と、
前記固定軸(61)と前記移動軸(57)とを平行に連結する少なくとも2個以上の関節部材(第1関節部材65及び第2関節部材67)と、
これら関節部材同士を回動自在に軸支する少なくとも1本以上の連結軸(63)と、を有するリンクアーム(47)
を備えることを特徴とするディスクブレーキ装置(11)。
[3] 基体(キャリパボディ25)と、
前記基体(キャリパボディ25)に対して揺動可能に軸支された一対のブレーキアーム(15)と、
前記一対のブレーキアーム(15)の一方の揺動端(33)に結合されて該ブレーキアーム(15)を拡開作動するためのアクチュエータ(17)と、
前記一対のブレーキアーム(15)の他方の揺動端(35)にそれぞれ旋回自在に軸支されたパッド保持部材(19)と、
前記パッド保持部材(19)に保持されたパッド(39)のライニング面(41)をディスクロータ(車輪43)に平行に押圧するための平行維持制御機構(23)と、を備えたディスクブレーキ装置(11)であって、
前記平行維持制御機構(23)が、
前記パッド保持部材(19)に当接する押圧板(49)と、
前記基体(キャリパボディ25)から前記ディスクロータ(車輪43)の側面に対して平行に突設される固定軸(61)と、
前記固定軸(61)と平行に配設されて前記押圧板(49)を回動自在かつ前後動自在に軸支する移動軸(57)と、
前記固定軸(61)と前記移動軸(57)とを平行に連結する少なくとも2個以上の関節部材(第1関節部材65及び第2関節部材67)と、
これら関節部材同士を回動自在に軸支する少なくとも1本以上の連結軸(63)と、を有するリンクアーム(47)と、
前記押圧板(49)の当接面(71)を前記パッド保持部材(19)に対して押付ける方向へ弾性付勢するばね部材(45)と、
を備えることを特徴とするディスクブレーキ装置(11)。
[4] 上記[3]に記載のディスクブレーキ装置(11)であって、
前記押圧板(49)の当接面(71)と直交する上下面には、中心軸が上下方向に沿う一対の係合穴(59)が凹設されており、
前記各係合穴(59)を前記パッド保持部材(19)に対してそれぞれ係止する係止突部(ホルダ軸37の先端)は、所定の傾きを許容できる間隙を有して遊嵌されることを特徴とするディスクブレーキ装置(11)。
[5] 上記[3]又は[4]に記載のディスクブレーキ装置(11)であって、
前記押圧板(49)の当接面(71)が、前記パッド保持部材(19)に対して相対移動できるようにガイドされていることを特徴とするディスクブレーキ装置(11)。
[6] 上記[3]〜[5]の何れか1つに記載のディスクブレーキ装置(11)であって、
前記固定軸(61)が、前記一対のブレーキアーム(15)を前記基体(キャリパボディ25)に対して揺動可能に軸支する軸受ボス(51)に固定され、
前記押圧板(49)が、前記パッド保持部材(19)の旋回回転軸に沿う長手方向中間部に押し付けられることを特徴とするディスクブレーキ装置(11)。
[7] 上記[3]〜[6]の何れか1つに記載のディスクブレーキ装置(11)であって、
前記ばね部材(45)が、前記押圧板(49)の外側面(73)を覆う板ばねで形成されることを特徴とするディスクブレーキ装置(11)。
[8] 上記[1]〜[7]の何れか1つに記載のディスクブレーキ装置(11,11A)を備えたことを特徴とする鉄道用ディスクブレーキ(13)。
【0069】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。