特許第6396722号(P6396722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396722
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】レギュレータ回路および集積回路
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20180913BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   G05F1/56 310E
   H02M3/00 U
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-170333(P2014-170333)
(22)【出願日】2014年8月25日
(65)【公開番号】特開2016-45760(P2016-45760A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進
(74)【代理人】
【識別番号】100122910
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 広之
(72)【発明者】
【氏名】藤原 彬
(72)【発明者】
【氏名】木村 卓司
【審査官】 遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−201175(JP,A)
【文献】 特開2014−010563(JP,A)
【文献】 特開2012−032940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
H02M 3/00−3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給された電源電圧に基づいて一定の内部電源電圧を生成するレギュレータ部と、
前記レギュレータ部から出力される電力が供給され、外部装置との間を電気的に接続する所定のケーブル抵抗を有する接続ケーブルと接続可能な接続ポートと、
前記接続ポートに前記接続ケーブルが接続された状態における電源電流を検出する電流検出部と、
前記ケーブル抵抗に起因する電圧降下分の電圧を前記電流検出部で検出された電流値に応じて補正する電圧補正部と
を有するレギュレータ回路であって
前記電流検出部は、電流検出用トランジスタで構成され、
前記電圧補正部は、前記電流検出用トランジスタとカレントミラー接続されるとともに前記レギュレータ部内に含まれて配置されて前記レギュレータ回路の出力を生成する出力用トランジスタと、前記電流検出用トランジスタの出力側に接続されて補正量を設定する補正量設定抵抗とで構成され、
前記電流検出用トランジスタと前記出力用トランジスタとのミラー比をm1:m2とした場合に、m1<m2となるようにトランジスタサイズが選択され、
前記補正量設定抵抗の抵抗値(Rcal)は、次式
Rcal=Rcable×A×((R1+R2)/R1)×(Rf2/(Rf1+Rf2))
に基いて設定され、
ここで、Rcableは、ケーブル抵抗値であり、Aは、ミラー比であり、R1、R2は、前記補正量設定抵抗で生成される電圧と参照電圧との間を分圧してコンパレータの反転入力端子に入力する分圧抵抗の抵抗値であり、Rf1、Rf2は、前記出力用トランジスタの出力側の電圧を分圧して前記コンパレータの非反転入力端子に入力する参照抵抗の抵抗値であり、前記コンパレータの出力が、前記電流検出用トランジスタのゲート電極に接続されることを特徴とするレギュレータ回路。
【請求項2】
前記電流検出用トランジスタおよび前記出力用トランジスタは、それぞれpMOSトランジスタで構成されることを特徴とする請求項1に記載のレギュレータ回路。
【請求項3】
前記電流検出用トランジスタのソース電極から出力される負荷電流に基いて前記補正量設定抵抗で生成される電圧が、前記電流検出用トランジスタの前記ゲート電極にフィードバック入力され、当該電流検出用トランジスタとカレントミラー接続されている前記出力用トランジスタの出力電圧が補正制御されることを特徴とする請求項2に記載のレギュレータ回路。
【請求項4】
前記接続ケーブルは、USB規格に準拠したケーブルであることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のレギュレータ回路。
【請求項5】
前記補正量設定抵抗は、可変抵抗器で構成されることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のレギュレータ回路。
【請求項6】
請求項1から請求項5に係る何れかのレギュレータ回路を備えることを特徴とする集積回路。
【請求項7】
外部から入力される直流電圧を所定の電圧に変換するDC/DCコンバータを備え、
前記DC/DCコンバータで変換された直流電圧が前記レギュレータ回路に入力されるように構成されたことを特徴とする請求項6に記載の集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、レギュレータ回路および集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
レギュレータ回路等を搭載し、USB(Universal Serial Bus)ポートを介してスマートフォンやタブレット型端末等の二次電池(リチウム電池等)を搭載した各種携帯機器に充電可能な充電装置が普及しつつある。
【0003】
ところで、一般的にUSBポートから供給可能な充電電流は1A以下であるが、急速充電ができるように2.1Aの充電電流に対応した電源回路や充電装置も開発されている。
【0004】
かかる充電装置等に関連する技術は種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−213329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記のように充電電流が増加(1A→2.1A)すると、電源回路(電源基板)から充電対象である携帯機器のUSBコネクタまでの間のケーブル抵抗による電圧降下が大きくなってしまう。
【0007】
そして、この電圧降下の影響により、USB規格(USB給電標準規格等)で定められる電圧基準(5V±5%、即ち、4.75V〜5.25V)を満たさなくなるという問題があった。
【0008】
本実施の形態は、ケーブル抵抗による電圧降下について負荷電流に応じて出力電圧の補正を行い、所定の基準電圧を保持することができ、比較的低コストで且つ小型化を図ることができるレギュレータ回路および集積回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施の形態の一態様によれば、外部から供給された電源電圧に基づいて一定の内部電源電圧を生成するレギュレータ部と、前記レギュレータ部から出力される電力が供給され、外部装置との間を電気的に接続する所定のケーブル抵抗を有する接続ケーブルと接続可能な接続ポートと、前記接続ポートに前記接続ケーブルが接続された状態における電源電流を検出する電流検出部と、前記ケーブル抵抗に起因する電圧降下分の電圧を前記電流検出部で検出された電流値に応じて補正する電圧補正部とを有するレギュレータ回路であって、前記電流検出部は、電流検出用トランジスタで構成され、前記電圧補正部は、前記電流検出用トランジスタとカレントミラー接続されるとともに前記レギュレータ部内に含まれて配置されて前記レギュレータ回路の出力を生成する出力用トランジスタと、前記電流検出用トランジスタの出力側に接続されて補正量を設定する補正量設定抵抗とで構成され、前記電流検出用トランジスタと前記出力用トランジスタとのミラー比をm1:m2とした場合に、m1<m2となるようにトランジスタサイズが選択され、前記補正量設定抵抗の抵抗値(Rcal)は、次式 Rcal=Rcable×A×((R1+R2)/R1)×(Rf2/(Rf1+Rf2))に基いて設定され、ここで、Rcableは、ケーブル抵抗値であり、Aは、ミラー比であり、R1、R2は、前記補正量設定抵抗で生成される電圧と参照電圧との間を分圧してコンパレータの反転入力端子に入力する分圧抵抗の抵抗値であり、Rf1、Rf2は、前記出力用トランジスタの出力側の電圧を分圧して前記コンパレータの非反転入力端子に入力する参照抵抗の抵抗値であり、前記コンパレータの出力が、前記電流検出用トランジスタのゲート電極に接続されるレギュレータ回路が提供される。
【0010】
本実施の形態の他の態様によれば、前記電流検出用トランジスタおよび前記出力用トランジスタは、それぞれpMOSトランジスタで構成されるレギュレータ回路が提供される。
【0011】
本実施の形態の他の態様によれば、前記電流検出用トランジスタのソース電極から出力される負荷電流に基いて前記補正量設定抵抗で生成される電圧が、前記電流検出用トランジスタの前記ゲート電極にフィードバック入力され、当該電流検出用トランジスタとカレントミラー接続されている前記出力用トランジスタの出力電圧が補正制御されるレギュレータ回路が提供される。
【0013】
本実施の形態の他の態様によれば、前記接続ケーブルは、USB規格に準拠したケーブルであるレギュレータ回路が提供される。
【0014】
本実施の形態の他の態様によれば、前記補正量設定抵抗は、可変抵抗器で構成されるレギュレータ回路が提供される。
【0015】
本実施の形態の他の態様によれば、請求項1から請求項5に係る何れかのレギュレータ回路を備える集積回路が提供される。
【0016】
本実施の形態の他の態様によれば、外部から入力される直流電圧を所定の電圧に変換するDC/DCコンバータを備え、前記DC/DCコンバータで変換された直流電圧が前記レギュレータ回路に入力されるように構成された請求項6に記載の集積回路が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本実施の形態によれば、ケーブル抵抗による電圧降下について負荷電流に応じて出力電圧の補正を行い、所定の基準電圧を保持することができ、比較的低コストで且つ小型化を図ることができるレギュレータ回路および集積回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態に係るレギュレータ回路の構成例を示す概略回路図。
図2】実施の形態に係るレギュレータ回路の具体例を示す回路図。
図3】実施の形態に係るレギュレータ回路におけるVcalとI0との関係を示すグラフ。
図4】実施の形態に係るレギュレータ回路におけるRcalとRcableとの関係を示すグラフ。
図5】実施の形態に係るレギュレータ回路におけるRcalとRcableの数値例を示す表。
図6】実施の形態に係るレギュレータ回路を搭載したシステムLSIの構成例を示すブロック図。
図7】基本技術に係るレギュレータ回路の構成例を示す概略回路図。
図8】基本技術に係るレギュレータ回路の他の構成例を示す概略回路図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図面を参照して、実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0020】
又、以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0021】
(基本技術に係るレギュレータ回路)
実施の形態に係るレギュレータ回路1および集積回路について説明するに先立って、USBケーブルを介して携帯機器に充電する装置におけるレギュレータ回路に関する基本技術について、図7および図8を参照して説明する。
【0022】
まず、図7に示す構成例では、6Vの電源電圧が、レギュレータ回路Re10によって5Vの電圧で出力されるようになっている。
【0023】
ここで、電源電圧は、AC電源を変圧し整流して得たり、あるいは車載電源の12V直流をDC/DCコンバータによって変圧するなどして得ることができる。
【0024】
そして、ノードN10,N11間が接続ケーブルCAで接続され、直流の定電流源I0として、スマートフォンやタブレット型端末等の二次電池(リチウム電池等)を搭載した各種携帯機器(図示せず)に充電用の電流を供給するようになっている。
【0025】
ここで、接続ケーブルCAとして、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したUSBケーブルを用いるものとする。
【0026】
この場合に、USB給電標準規格中の給電仕様(USB Power Delivery)によれば、定電流源I0が接続されるUSBポートには、5V±5%(即ち、4.75V〜5.25V)の電圧が供給される必要があることが規定されている。
【0027】
また、一般的にUSBポートから供給可能な充電電流は1A以下であるが、急速充電ができるように2.1Aの充電電流が用いられる場合がある。そして、このように充電電流が増加(1A→2.1A)した場合には、接続ケーブルCAのケーブル抵抗(Rcable)による電圧降下が比較的大きくなる。
【0028】
具体的には、接続ケーブルCAのRcableは、一般的に約0.2〜0.3Ωであることから、接続ケーブルCAに流れる電流I10が2.1Aの場合に、電圧降下は約0.4〜0.6V程度となる。
【0029】
したがって、図7において、ノードNの電圧が5Vである場合に、接続ケーブルCAを経由したノードN11における電圧は、上述の電圧降下により、約4.4〜4.6V程度となり、定格の4.75V〜5.25Vを満たすことができない状態となる。
【0030】
そこで、図8に示す構成例では、接続ケーブルCAによる電圧降下分を昇圧するようにしている。
【0031】
即ち、図8に示す例では、レギュレータ回路Re10の出力側に検出抵抗Rdを直列に接続する構成としている。
【0032】
検出抵抗Rdとしては、当該検出抵抗Rd自体による電圧降下の影響をできるだけ小さくするために、例えば20mΩ程度の抵抗値を有する抵抗器が用いられる。
【0033】
ここで、電源電圧を6V、電流I10を1Aとした場合に、レギュレータ回路Re10における入出力差電圧は約0.6V、検出抵抗Rdによる電圧降下(ノードN12、N13間の電圧差)は約0.02Vとなる。
【0034】
そして、図8に示す例では、上記のような約0.62V程度の電圧差を補償するために、フィードバック回路FBを介してレギュレータ回路Re10にフィードバック信号が送信され、出力電圧の増幅率の制御が行われるようになっている。
【0035】
これにより、接続ケーブルCAを経由したノードN11における電圧が、定格の4.75V〜5.25Vを満たすように調整することができる。
【0036】
ところで、図8に示す構成例では、上述のように検出抵抗Rdとして例えば20mΩ程度の抵抗値を有する抵抗器を用いる必要があるが、このような抵抗値の低い抵抗器は比較的単価が高く、コストが嵩むという難点がある。特に、検出精度を向上させるためには、抵抗値のバラつきが少ない高精度の抵抗器を用いる必要があり、一層コスト高となってしまう。
【0037】
また、上述のような抵抗値の低い抵抗器は、大電流向けのものが多く、比較的体積や設置面積が大きい。そのため、例えば携帯機器の充電器等に図8のような構成のレギュレータ回路を搭載する場合に、装置全体が大型化し易いという不都合もあった。
【0038】
本実施の形態に係るレギュレータ回路1は、ケーブル抵抗による電圧降下について負荷電流に応じて出力電圧の補正を行い、所定の基準電圧を保持することができ、比較的低コストで且つ小型化を図ることができるレギュレータ回路および集積回路を提供すべく考案されたものである。
【0039】
(実施の形態に係るレギュレータ回路の概略構成)
図1を参照して実施の形態に係るレギュレータ回路1の概略構成について説明する。
【0040】
図1は、実施の形態に係るレギュレータ回路1の構成例を示す概略回路図である。
【0041】
図1に示すレギュレータ回路1は、外部から供給された電源電圧Vcc(例えば、6V)に基づいて一定の内部電源電圧を生成するレギュレータ部Re1と、レギュレータ部Re1から出力される電力が供給され、形態端末などで構成される外部装置(図示せず)との間を電気的に接続する所定のケーブル抵抗を有する接続ケーブルCAと接続可能な接続ポートP2、P4と、接続ポートP2、P4に接続ケーブルCAが接続された状態における電源電流を検出する電流検出部と、ケーブル抵抗に起因する電圧降下分の電圧を電流検出部で検出された電流値に応じて補正する電圧補正部とを有している。
【0042】
本実施の形態において、接続ケーブルCAは、USB規格に準拠したUSBケーブルで構成される。
【0043】
図1に示すレギュレータ回路1において、電流検出部は、電流検出用トランジスタ11で構成され、電圧補正部は、電流検出用トランジスタ11とカレントミラー接続されてカレントミラー回路Mを構成する出力用トランジスタと、電流検出用トランジスタ11の出力側に接続されて補正量を設定する補正量設定抵抗Rcとで構成されている。
【0044】
電流検出用トランジスタ11と出力用トランジスタ10とのミラー比をm1:m2とした場合に、m1<m2となるようにトランジスタサイズが選択される。
【0045】
ミラー比m1:m2は、特には限定されないが、例えば、1:10000などとされる。
【0046】
電流検出用トランジスタ11および出力用トランジスタ10は、それぞれpMOSトランジスタで構成することができる。
【0047】
なお、上述のミラー比は、各トランジスタ10、11のアスペクト比(W/L)ということもできる。ここに、Wはゲート幅、Lはゲート長を表す。
【0048】
図1に示すレギュレータ回路1は、電流検出用トランジスタ11のソース電極から出力される負荷電流I0/A(Aはミラー比)に基いて補正量設定抵抗Rcで生成される電圧が、フィードバック回路FBを介して電流検出用トランジスタ11のゲート電極にフィードバック入力され、電流検出用トランジスタ11とカレントミラー接続されている出力用トランジスタ10の出力電圧が補正制御されるようになっている。
【0049】
ここで、USBケーブルで構成される抵抗値Rcableが約0.2〜0.3Ωで、出力電流I0が2Aである場合に、負荷電流I0/Aは約200μAとなり、補正量設定抵抗Rcの抵抗値Rcalは、例えば数百Ωとなる。
【0050】
なお、補正量設定抵抗Rcの抵抗値Rcalの詳細な算出方法については後述する。
【0051】
このように、図1に示すレギュレータ回路1によれば、補正量設定抵抗Rcの抵抗値Rcalは、例えば数百Ω程度となり、一般的で比較的安価な抵抗器を用いることができる。したがって、上述した図8に示す基本技術のように、比較的単価が高く、比較的大きな設置面積を要する抵抗値の低い抵抗器(例えば、20mΩ程度)を用いる必要がなく、比較的低コストで且つ小型化を図ることができるレギュレータ回路を提供することができる。
【0052】
なお、補正量設定抵抗Rcは、可変抵抗器で構成し、USBケーブルCAの抵抗値Rcable等に合わせて、補正量設定抵抗Rcの抵抗値Rcalを調整できるようにしてもよい。
【0053】
(実施の形態に係るレギュレータ回路の具体例)
図2を参照して実施の形態に係るレギュレータ回路1の具体的な構成例について説明する。
【0054】
図2は、実施の形態に係るレギュレータ回路1の具体例を示す回路図である。
【0055】
図2に示すレギュレータ回路1は、外部から供給された電源電圧に基づいて一定の内部電源電圧を生成するレギュレータ部C1と、レギュレータ部C1から出力される電力が供給され、外部装置(図示せず)との間を電気的に接続する所定のケーブル抵抗を有する接続ケーブルCAと接続可能な接続ポートP2,P4と、接続ポートP2,P4に接続ケーブルCAが接続された状態における電源電流を検出する電流検出部C2と、ケーブル抵抗に起因する電圧降下分の電圧を電流検出部C2で検出された電流値に応じて補正する補正量設定抵抗Rc等で構成される電圧補正部と、カレントミラー回路Mにおける電圧差分ΔVのバラつきを抑制する電圧変換アンプ部C3とから構成されている。
【0056】
レギュレータ部C1は、電流検出用トランジスタ11で構成される電流検出部C2を含んでいる。
【0057】
電流検出用トランジスタ11には、出力用トランジスタ10がカレントミラー接続されてカレントミラー回路Mを構成している。
【0058】
電流検出用トランジスタ11および出力用トランジスタ10は、それぞれpMOSトランジスタで構成される。
【0059】
なお、電流検出用トランジスタ11と出力用トランジスタ10とのミラー比をm1:m2とした場合に、m1<m2となるようにトランジスタサイズが選択される。
【0060】
電流検出用トランジスタ11のゲート端子には、コンパレータ20が接続されている。コンパレータ20の−端子には参照電圧Vrefが入力され、+端子は図示しないアジャスト端子(出力電圧調整用端子)ADJに接続されている。
【0061】
コンパレータ20の−端子には分圧抵抗R1、R2がノードN4を介して接続され、分圧抵抗R1の一端はバンドギャップ電圧BGに接続されている。また、分圧抵抗R2の一端はノードN7を介して電圧変換アンプ部C3側の抵抗R3に接続されている。
【0062】
そして、分圧抵抗R1、R2の接続点(ノードN4)には参照電圧Vrefが現れ、分圧抵抗R2と抵抗R3との接続点には、補正量設定抵抗Rcと負荷電流I0/Aによる電圧Vcalが現れる。
【0063】
電流検出用トランジスタ11と出力用トランジスタ10のドレイン端子はノードN1およびポートP1を介して電源電圧(例えば6V)に接続される。
【0064】
電流検出用トランジスタ11のソース端子はノードN5およびポートP3を介して補正量設定抵抗Rcに接続される。なお、補正量設定抵抗Rcの他端は接地接続されている。
【0065】
また、ノードN5には電圧変換アンプ部C3側の分圧抵抗R5、R6が接続されている。
【0066】
分圧抵抗R5、R6の接続点(ノード6)にはバッファアンプとしてのコンパレータ30の+端子が接続されている。コンパレータ30の−端子は抵抗R3、R4の接続点(ノードN8)に接続されている。なお、抵抗R4、R6の一端は接地接続されている。
【0067】
出力用トランジスタ10のソース端子には、ノードN2およびポートP2を介してケーブル抵抗Rcableを有するUSBケーブルで構成される接続ケーブルCAが接続されている。なお、接続ケーブルCAに流れるI1は、ケーブル抵抗Rcableによる電圧降下の影響を補正した電流量とされる。具体的には、図示しない外部機器(例えばスマートフォン等の端末装置など)に対して高速で充電できるように、例えば出力電流として2Aが出力されるように、電流I1の電流量が補正される。
【0068】
ノードN2には、参照抵抗Rf1、Rf2が接続されている。Rf2の他端は接地接続され、参照抵抗Rf1、Rf2の接続点(ノードN3)は、図示しないアジャスト端子ADJに接続されている。
【0069】
そして、上記構成のレギュレータ回路1において、補正量設定抵抗Rcの抵抗値(Rcal)は、次の式1に基いて設定される。
【0070】
Rcal=Rcable×A×((R1+R2)/R1)×(Rf2/(Rf1+Rf2))・・・式1
但し、Rcableはケーブル抵抗値、Aは電流検出用トランジスタ11と出力用トランジスタ10のミラー比、R1、R2は電流検出用トランジスタのゲート電極に接続される分圧抵抗の抵抗値、Rf1、Rf2は出力用トランジスタの出力側に接続される参照抵抗Rf1、Rf2の抵抗値である。
【0071】
式1は、次の関係から導出される。
【0072】
即ち、ケーブル電圧降下補正量(ΔVcal)は、式2のように表される。
【0073】
ΔVcal=(I0/A)×Rcal×(R1/(R1+R2))×((Rf1+Rf2)/Rf2)・・・式2
但し、I0/Aは負荷電流、Rcalは補正量設定抵抗Rcの抵抗値、Aは電流検出用トランジスタ11と出力用トランジスタ10のミラー比、R1、R2は電流検出用トランジスタ11のゲート電極に接続される分圧抵抗R1、R2の抵抗値、Rf1、Rf2は出力用トランジスタの出力側に接続される参照抵抗Rf1、Rf2の抵抗値である。
【0074】
そして、ケーブル電圧降下補正量(ΔVcal)が、接続ケーブルCAで降下する電圧(Rcable×I0)と一致するようなRcalを式3より求める。
【0075】
Rcable×I0=(I0/A)×Rcal×(R1/(R1+R2))×((Rf1+Rf2)/Rf2)・・・式3
式3を変形して、前記式1が得られる。
【0076】
なお、式2において、(I0/A)×Rcalは、図2における電圧Vcalに相当する。 また、(I0/A)×Rcal×(R1/(R1+R2))は、アジャスト端子(出力電圧調整用端子)ADJで調整可能なΔADJに相当する。
【0077】
ここで、電流検出用トランジスタ11と出力用トランジスタ10のミラー比を1:10000、出力電流I0を2A、USBケーブルで構成される抵抗値Rcableを約0.7Ωとし、適当な抵抗値の分圧抵抗R1、R2および参照抵抗Rf1、Rf2を用いた場合に、式1より、Rcalは、約430Ωと算出される。
【0078】
そして、補正量設定抵抗Rcを可変抵抗器で構成する場合には、抵抗値を約430Ωに設定することにより、接続ケーブルCAで降下する電圧(Rcable×I0)を補償して、USB規格を満たす略2Aの出力電流を得ることができる。
【0079】
このように、図2に示すレギュレータ回路1によれば、補正量設定抵抗Rcの抵抗値Rcalは、例えば約430Ω程度となり、一般的で比較的安価な抵抗器を用いることができる。したがって、上述した図8に示す基本技術のように、比較的単価が高く、比較的大きな設置面積を要する抵抗値の低い抵抗器(例えば、20mΩ程度)を用いる必要がなく、比較的低コストで且つ小型化を図ることができるレギュレータ回路を提供することができる。
【0080】
なお、図3は、実施の形態に係るレギュレータ回路1におけるVcalとI0との関係を示すグラフである。
【0081】
図3を見ると分かるように、出力電流I0の電流量が増えるに従って、補正量設定抵抗Rcの抵抗値Rcalを大きくする必要があることが分かる。
【0082】
図4は、実施の形態に係るレギュレータ回路1におけるRcalとRcableとの関係を示すグラフ、図5は、実施の形態に係るレギュレータ回路1におけるRcalとRcableの数値例を示す表である。
【0083】
ここで、式1は、式4に示す近似式に置換することができる。
【0084】
Rcal=Rcable×614・・・式4
図4のグラフは、式4で表される線形関数をグラフ化したものである。また、図5の表は、式4による算出結果の近似値の例を示している。
【0085】
以上述べたように、本実施の形態に係るレギュレータ回路1によれば、ケーブル抵抗Rcableによる電圧降下について負荷電流I0/Aに応じて出力電圧の補正を行い、所定の基準電圧を保持することができ、比較的低コストで且つ小型化を図るようにできる。
【0086】
(実施の形態に係るレギュレータ回路を用いた集積回路の構成例)
図6は、実施の形態に係るレギュレータ回路1を搭載した集積回路の一種としてのシステムLSI50の構成例を示すブロック図である。
【0087】
システムLSI50は、例えば車両等に搭載されるカーオーディオ機器などの電源ICとして用いられる。
【0088】
図6に示す例では、システムLSI50は、例えば車載されるバッテリ等から供給される12Vの直流電源を6Vに変換するDC/DCコンバータ51と、図2に示すような回路構成のレギュレータ回路1を備えている。
【0089】
そして、このような構成のシステムLSI50は、ポート(USBポート)P10に接続されるUSBケーブル等の接続ケーブルCAを介して、スマートフォン等の携帯機器60のポート(USBポート)P20に接続される。
【0090】
スマートフォン等で構成される携帯機器60は、リチウムイオン電池等の二次電池61を搭載しており、この二次電池61は、接続ケーブルCAを介してシステムLSI50のレギュレータ回路1から供給される充電電流によって充電されるようになっている。
【0091】
本実施の形態に係るレギュレータ回路1は、上述したように、補正量設定抵抗Rcの抵抗値Rcalは例えば数百Ω程度となり、一般的で比較的安価な抵抗器を用いることができる。したがって、上述した基本技術に係るレギュレータ回路のように、比較的単価が高く、比較的大きな設置面積を要する抵抗値の低い抵抗器(例えば、20mΩ程度)を用いる必要がなく、比較的低コストで且つ小型化を図ることができる。
【0092】
したがって、本実施の形態に係るレギュレータ回路1を搭載するシステムLSI50も、このようなレギュレータ回路1の長所により、低コストで且つ小型化を図ることが可能である。
【0093】
[その他の実施の形態]
上記のように、実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この実施の形態を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0094】
このように、本実施の形態はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本実施の形態のレギュレータ回路および集積回路は、カーオーディオ向けのシステム電源、携帯機器の充電装置等に応用することができる。
【符号の説明】
【0096】
1…レギュレータ回路
10…出力用トランジスタ
11…電流検出用トランジスタ
20…コンパレータ
30…コンパレータ
50…システムLSI
51…DC/DCコンバータ
60…携帯機器
61…二次電池
ADJ…アジャスト端子
BG…バンドギャップ電圧
C1…レギュレータ部
C2…電流検出部
C3…電圧変換アンプ部
CA…接続ケーブル(USBケーブル)
FB…フィードバック回路
I0…出力電流(定電流源)
M…カレントミラー回路
N1〜N12…ノード
P1〜P3…ポート
R1、R2…分圧抵抗
R3、R4…抵抗
R5、R6…分圧抵抗
Rc…補正量設定抵抗
Rd…検出抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8