【実施例1】
【0022】
まず、本発明の実施例1に係る光警報装置を説明する。
図1は、実施例1の光警報装置を含む、光警報システムの構成を表す。
【0023】
1は光警報装置、2は受信機、3は煙感知器、4は感知信号線、5は警報信号線である。光警報装置1は警報信号線5により受信機2と接続され、受信機2は感知信号線4により複数の煙感知器3に接続されている。光警報装置1における1aは発光素子、1bは地区音響装置としてのブザーを示す。火災を報知するための地区音響装置又は非常放送設備が建物に別途設置されている場合は、光警報装置1に地区音響装置としてのブザー1bを設けなくてもよい。
【0024】
煙感知器3で煙等を感知すると感知信号線4を通じて火災感知信号が送出され、この火災感知信号を受信した受信機2が蓄積機能等の火災判断手段で火災か否かの判断を行う。そして、受信機2は、火災と判断すると警報信号線5を通じて非常事態を示す警報信号としての火災警報信号を送出し、この火災警報信号を受信した光警報装置1は、ブザー1bを鳴動させると共に発光素子1aを間欠的にフラッシュ発光させる警報発光を行う。警報発光は、0.5〜2Hz程度の周波数であることが好ましい。
【0025】
図2は光警報装置1の内部構成である。発光素子1a、ブザー1bは、それぞれ発光駆動手段6a、ブザー駆動手段6bにより駆動される。発光素子1aがLEDの場合には、発光駆動手段6aは電流駆動手段である。そして、これらの駆動手段を、制御手段7により制御する。また、受信機2からの火災警報信号等の信号は受信手段8を介して制御手段7に入力される。
【0026】
次に、
図3により実施例1の光警報装置1の動作を説明する。
図3(a)は発光素子1aによる間欠的な発光のタイミングと輝度、(b)はブザー1bの鳴動Bzのタイミング、(c)は光警報装置1に入力される非火災信号Nのタイミング、(d)は光警報装置1に入力される復旧信号Rのタイミングである。横軸は時間を表し、図中、左方から右方へ流れる様に記載されている。
図3(a)に示した最初の2回の間欠的フラッシュ発光による警報発光Fは、非火災報による警報発光が行われていることを示す。防災センタ要員らが現場を確認するなどして火災が発生していないことを確認すると、受信機2の非火災報知操作手段(図示せず)により非火災報であったことを報知(以下、非火災報知と称する)するための操作をする。この操作により、受信機2は火災警報信号の送出を停止すると共に非火災信号Nを送出する。
図3(c)に示すように、受信手段8を介して非火災信号Nを受信した光警報装置1は、
図3(b)に示すようにブザー1bの鳴動Bzを停止させると共に、
図3(a)に示すように発光素子1aの間欠発光の輝度を徐々に低くする非火災発光態様A1で発光させることによって非火災報知を行う。その後、受信機2で平常状態に戻すための復旧操作が行われると、例えば
図3(d)に示すように、光警報装置1が受信手段8を介して受信機2からの復旧信号Rを受信して、光警報装置1は間欠発光を終了させる。
【0027】
非火災報知の際に光警報装置1が非火災発光態様A1で発光する点については、事前に周知しておくことが好ましい。そうすると、光警報装置1が非火災発光態様A1で発光する様子を見ることにより、聴覚障害者は非火災報知を認識することができ、先に行われた警報発光が非火災報(誤報)であったと知ることができる。また、非常放送設備が備わっておらず非火災放送を行えない建物等では、聴覚障害者以外の人にも非火災発光態様A1により非火災を報知することができる。
【0028】
実施例1では光警報装置1に地区音響装置としてのブザー1bを備えたが、ブザー1bに代えて地区音響装置としての音声警報手段とし、音声メッセージで火災及び非火災を報知する音声メッセージを出力してもよい。この場合、光警報装置1が警報発光するときには火災を報知する音声メッセージを、非火災発光態様A1で発光する非火災報知のときには非火災を報知する音声メッセージを、それぞれ出力するようにすればよい。また、地区音響装置としてのブザー1b又は音声警報手段に代えて、非常放送設備のスピーカを備え、火災放送や非火災放送を行うようにしてもよい。
【0029】
実施例1は非火災発光態様として発光素子1aの発光輝度を下げる例であり、
図3(a)の非火災発光態様A1では間欠的な発光の輝度を徐々に下げているが、これに限るものではなく、非火災発光態様A1と異なる態様で発光素子1aの輝度を下げるように発光させるようにしてもよい。
図4はそのような実施例1の変形例に係る光警報装置1の動作を説明するための図である。
図4(a1)〜(a7)は発光素子1aによる発光のタイミングと輝度を示す各々の例であり、A11は各々の非火災発光態様を示す。また、
図4(c),(d)は
図3と同様に、それぞれ光警報装置1に入力される非火災信号Nのタイミング、光警報装置1に入力される復旧信号Rのタイミングである。
【0030】
図4(a1)に示す変形例では、非火災発光態様A11を連続発光とし、その輝度を徐々に下げるように発光させる。また、非火災発光態様A11を、発光素子1aの発光を警報発光の輝度より低い一定の輝度で、
図4(a2)のような間欠的フラッシュ発光又は
図4(a3)のような連続発光にしてもよい。さらに、非火災発光態様A11を、発光素子1aの発光を、警報発光の輝度より低い輝度の範囲で明暗を繰り返す
図4(a4)のような間欠的フラッシュ発光又は
図4(a5)のような連続発光にしても良い。また、さらに、非火災発光態様A11を、上記の明暗を繰り返す連続発光を連続的に輝度変化させる
図4(a6)のようにしてもよく、上記の明暗を繰り返すフラッシュ発光を警報発光の周期以上の周期としてもよい。
図4(a7)の例では、非火災発光態様A11を、明暗を繰り返すフラッシュ発光を警報発光の周期以上の周期とすることに加えて、発光周期を徐々に長くしている。
【実施例2】
【0031】
実施例1では非火災信号が入力されると、発光の輝度を下げるように発光素子1aを制御したが、間欠的フラッシュ発光の発光周期を長くした非火災発光態様としてもよい。この例を実施例2として、実施例1と違う点について
図5を参照し、以下に説明する。
【0032】
図5(a)〜(d)は、実施例1と同様にそれぞれ発光素子1aの間欠的な発光のタイミングと輝度、及びブザー1bの鳴動Bz、非火災信号N、復旧信号Rのタイミングである。
図5(c)に示すように非火災信号Nが入力されると
図5(b)に示すようにブザー1bの鳴動Bzが停止すると共に、
図5(a)に示すように間欠的フラッシュ発光の周期が長くなる非火災発光態様A2となる。その後、復旧操作が受信機2で行われて
図5(d)に示すように復旧信号Rが入力されると、光警報装置1は
図5(a)に示すように非火災発光態様A2の間欠発光を終了させ、また、非火災報知の音声メッセージを出力していた場合はそれを停止させる。この点は実施例1と同様である。光警報装置1の間欠発光の周期が長くなる非火災発光態様A2が非火災を意味する点を、事前に周知しておくことにより、聴覚障害者は非火災報知であることを認識でき、先に行われた警報発光が非火災報(誤報)であったと知ることができる。また、非常放送設備が備わっておらず非火災放送を行えない建物等では、聴覚障害者以外の人にも非火災発光態様A2により非火災を報知することができる。
【0033】
なお、本実施例では
図5(a)に示すように、非火災発光態様A2における間欠的フラッシュ発光の周期は警報発光時の周期から徐々に長くしているが、警報発光時の周期よりも周期が長ければよく、非火災発光態様の間欠的フラッシュ発光の周期が警報発光時の周期よりも長い一定の周期であってもよい。さらに、実施例1と実施例2を併用して、非火災信号Nが入力された後には発光素子1aの間欠的な発光の輝度を下げると共に間欠周期を長くしてもよい。
【実施例3】
【0034】
実施例1,2では発光素子1aの輝度又は周期を変えたが、発光素子1aの発光色を変えた非火災発光態様としてもよい。この例を実施例3として、実施例1と違う点について
図6を参照し、以下に説明する。
【0035】
図6(a)〜(c)は、実施例1,2と同様にそれぞれ発光素子1aの間欠的な発光のタイミングと輝度、及びブザー1bの鳴動Bz、非火災信号N、復旧信号Rのタイミングである。実施例3の発光素子1aは、少なくとも白色、緑色、青色で発光することができるものである。
図6(a)に記載されているW,G,Bは発光素子1aの発光色を示し、それぞれ白色、緑色、青色であり、警報発光は白色で行われる。
図6(c)の非火災信号Nが入力される前には発光素子1aは白色の警報発光Wで間欠発光しているが、非火災信号Nの入力後は
図6(b)に示すようにブザー1bの鳴動Bzが停止し、
図6(a)に示すように緑色Gで発光すると共にさらに青色Bに変化する非火災発光態様A3となる。その後、
図6(d)に示すように復旧信号Rが入力されると、
図6(a)に示すように非火災発光態様A3の間欠発光は終了する。この点は実施例1と同様である。非火災発光態様A3が非火災を意味する点を事前に周知しておくことにより、聴覚障害者は非火災の報知であることを認識でき、先に行われた白色の警報発光Wが非火災報(誤報)であったことを知ることができる。また、非常放送設備が備わっておらず非火災放送を行えない建物等では、聴覚障害者以外の人にも非火災発光態様A3により非火災を報知することができる。なお、警報発光Wの発光色は白色に限るものではなく、非常事態を告げるために、例えば、赤色や橙色等の警戒色であってもよい。また、非火災発光態様A3の発光色は緑色や青色に限るものではなく、警報発光の発光色以外であればよく、非常事態ではないことを告げるために警戒色を避け、例えば、寒色系の色であることが好ましい。
【0036】
なお、実施例3では発光素子1aを、白色、緑色、青色の3色で発光できるものとしたが、これに限らず、発光色は異なる色で発光するものであればよい。また、発光色の異なる発光素子を複数設け、発光させる発光素子を変えて色を変化させるようにしても良い。さらに、非火災発光態様A3は、警報発光の発光色と異なる一つの発光色としても良い。また、非火災発光態様として、異なる発光色、例えば緑色G、青色B、緑色G、青色Bを、周期的に順次繰り返して変化させるようにしても良い。
【0037】
実施例1〜3は何れか2つ又は全てを併用することができる。
なお、上記の実施例1乃至3では、発光素子として高輝度白色LEDやキセノン管を例示したが、実施の態様に応じた種々の発光素子を用いることができる。また、非火災報知の発光を、警報発光の発光素子以外の発光素子で行っても良い。さらに、実施例では受信機2からの復旧信号Rにより復旧するが、これに限るものではなく、光警報装置1への電力供給を停止する等、他の手段により復旧してもよい。
【0038】
なお、上記実施例では、受信機2と光警報装置1とを直接、警報信号線5で接続しているが、これに限るものではなく、受信機2と光警報装置1との間に図示しない中継装置を介在させるようにしてもよい。例えば、受信機2からの火災警報信号を受信する警報信号受信手段と、光警報装置1を駆動するために設けられ、停電時でも所定時間の動作を可能とする二次電池から成る予備電源を備えた電源装置と、光警報装置1を作動させる信号を出力する信号出力手段と、上記警報信号受信手段が受信した火災警報信号に基いて上記信号出力手段を介して光警報装置1を動作させる制御手段と、を有する中継装置を設けてもよい。また、この中継装置から光警報装置1へ電源を供給する電源線に、光警報装置1を動作させる信号を重畳させるようにしてもよい。このように、光警報装置1のための中継装置を設けることにより、複数の光警報装置1が動作するときに消費する大きな電力を、電力供給に限界がある受信機2ではなく、光警報装置1のために設けた専用の上記中継装置から供給することができる。
【0039】
また、上記実施例では、受信機2と光警報装置1とを、警報信号線5で接続しているが、これに限るものではなく、受信機2と光警報装置1との間に図示しない無線中継装置を介在させるようにしてもよい。例えば、受信機2からの火災警報信号を有線または無線で受信する警報信号受信手段と、光警報装置1を作動させる無線信号を出力する通信手段と、上記警報信号受信手段が受信した火災警報信号に基いて上記通信手段を介して光警報装置1を動作させる制御手段と、を有する無線中継装置を設けてもよい。このとき、光警報装置1は、受信手段8を上記無線中継装置の通信手段と無線通信するための通信手段とし、図示しない電池電源を備えるようにする。このように、光警報装置1を無線式とし、煙感知器3等の火災感知手段と受信機2とから成る自動火災報知設備と無線接続することにより、光警報装置1の設置が容易となる。例えば、既設の建築物に新たに光警報装置1を配設するとき、新たに電路工事を行わずにリニューアル工事することができるという効果を奏する。また、建築物の改築、改装、間仕切り変更等による光警報装置1の設置場所変更は、電路による制約がないので大幅に自由度が高まるという効果を奏する。