(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係るプロテクタ固定構造1は、
図1〜
図3で示すように、第1のプロテクタ3と第2のプロテクタ5とを備えて構成されている。第1のプロテクタ3と第2のプロテクタ5とは、たとえば、合成樹脂で成形されており、ワイヤハーネスを内部に入れて保護するために、被固定物(たとえば、車輌)7に設置されるものである。
【0014】
第1のプロテクタ3は、たとえば、車輌7の下側に設置(固定)されるようになっており、第1のプロテクタ3には、たとえば、1つの第1の被係合部9と1つの第2の被係合部11とが設けられている。
【0015】
第2のプロテクタ5も、たとえば、車輌7の下側で、車輌7と第1のプロテクタ3とに設置されるようになっており、第2のプロテクタ5には、たとえば、1つの第1の係合部13と1つの第2の係合部15とが設けられている。
【0016】
そして、第1のプロテクタ3に対して第2のプロテクタ5が第1の所定の態様で移動することで(たとえば、
図1の矢印A1参照)、第1の係合部13が第1の被係合部9に係合されるようになっている。
【0017】
すなわち、車輌7に設置されている第1のプロテクタ3から所定の方向に所定の距離だけ離れ、第1のプロテクタ3に対して所定の姿勢になっている状態から、第1のプロテクタ3に対して第2のプロテクタ5が、所定の方向に直線的に移動、所定の軸を中心にして所定の方向に回動の少なくともいずれかの運動をすることで、第1の係合部13が第1の被係合部9に係合されるようになっている。
【0018】
この係合後に、この係合状態を維持したまま、第1のプロテクタ3に対して第2のプロテクタ5が第2の所定の態様(第1の所定の態様とは異なる態様)で移動することで(たとえば
図1の矢印A3参照)、第2の係合部15が第2の被係合部11に係合され、第2のプロテクタ5の第1のプロテクタ3への設置(仮固定;仮保持)がなされるように構成されている。
【0019】
すなわち、第1の係合部13が第1の被係合部9に係合している状態から、第1のプロテクタ3に対して第2のプロテクタ5が、所定の方向に直線的に移動、所定の軸を中心にして所定の方向に回動の少なくともいずれかの運動をすることで、第2の係合部15が第2の被係合部11に係合され、第2のプロテクタ5の第1のプロテクタへ3の設置(仮固定)がなされるように構成されている。
【0020】
第1の係合部13は、
図8等で示すように、第2のプロテクタの本体部17から突出している差し込み片(凸部)19を備えて構成されている。差し込み片19は、1つの第2のプロテクタ5に1つだけ設けられている。
【0021】
第1の被係合部9は、
図6(c)等で示すように、第1のプロテクタの本体部21に形成されている孔部23を備えて構成されている。孔部23は、1つの第1のプロテクタ3に1つだけ設けられており、孔部23には、第1の係合部13を構成している差し込み片19が差し込まれる(挿入される)ようになっている。なお、孔部(たとえば貫通孔)23に変えて、凹部により第1の被係合部9を構成してもよい。
【0022】
そして、第1の係合部13の差し込み片19を第1の被係合部9の孔部23に差し込むことで、第1の係合部13が第1の被係合部9に係合されるように構成されている。
【0023】
さらに説明すると、差し込み片19が孔部23に挿入される前は、第2のプロテクタ5は車輌7に設置されている第1のプロテクタ3に対して自由に動くことができるようになっている。
【0024】
一方、第2のプロテクタ5が、
図1で示すように、車輌7に設置されている第1のプロテクタ3に対して所定の位置にあって所定の姿勢になっている状態(空間のお互いが直交しているX軸、Y軸およびZ軸まわりの回動角度が所定の値になっている状態)から、第2のプロテクタ5を、この姿勢を維持したまま、車輌7に設置されている第1のプロテクタ3に対して直線的に移動する(
図1の矢印A1で示す所定の方向に平行移動する)ことで、第1の係合部13の差し込み片19が第1の被係合部9の孔部23に挿入されるように構成されている。
【0025】
なお、第1の係合部13を第1の被係合部9に係合させた後においては、第2のプロテクタ5は第1のプロテクタ3に対して自由に動くことはできない。しかし、たとえば、孔部23が差し込み片19よりも僅かに大きく形成されていることで、第2のプロテクタ5が第1のプロテクタ3に対して第1の被係合部9に係合している第1の係合部13を回動中心にして所定の方向に回動する(
図1の矢印A3参照)ことができるようになっている。
【0026】
また、第1の被係合部9を孔部や凹部ではなく差し込み片等の凸部で構成し、第2の被係合部11を差し込み片等の凸部ではなく孔部や凹部で構成してもよい。
【0027】
すなわち、第1の被係合部9が、第1のプロテクタの本体部21から突出している差し込み片を備えて構成されており、第1の係合部13は、第2のプロテクタの本体部17に形成されており第1の係合部13が差し込まれる(挿入される)孔部もしくは凹部を備えて構成されていてもよい。
【0028】
そして、第1の係合部13の孔部に第1の被係合部9の差し込み片を差し込むことで、第1の係合部13が第1の被係合部9に係合されるように構成されていてもよい。
【0029】
第2の係合部15は、
図8〜
図10で示すように、第2のプロテクタの本体部17から突出している弾性部25とこの弾性部25に形成されている係止部27とを備えて構成されている。
【0030】
第2の被係合部11は、
図4〜
図6で示すように、
第1のプロテクタの本体部21に形成されており係止部27が係止される被係止部29を備えて構成されている。
【0031】
そして、第1の係合部13が第1の被係合部9に係合している状態で(差し込み片19を孔部23に差し込んだ状態で)、第2のプロテクタ5を、第1の係合部13と第1の被係合部9との係合部を中心にして(差し込み片19と孔部23の内周壁との接触部とを中心にして)、第1のプロテクタ3に対して所定の方向に回動することで(車輌7側に回動することで;
図1の矢印A3参照)、弾性部25が、たとえば、第1のプロテクタ3から受ける反力によって弾性変形するようになっている。
【0032】
上記回動をさらにすることで、係止部27が第1のプロテクタ3から受ける反力が無くなり、弾性部25がほぼ復元して、係止部27が被係止部29に係止され、第2の係合部15が第2の被係合部11に係合され、第2のプロテクタ5の第1のプロテクタ3への設置(仮固定)がなされるように構成されている。
【0033】
第2のプロテクタ5の第1のプロテクタ3への設置(仮固定)がなされた状態では、車輌7に設置されている第1のプロテクタ3と第2のプトテクタ5とは一体化している。
【0034】
なお、第2のプロテクタ5の第1のプロテクタ3への設置(仮固定)がなされた状態で上記回動方向と逆方向に第2のプロテクタ5を回動させようとしても、弾性部25が弾性変形しないようになっている。第2のプロテクタ5を第1のプロテクタ3から取り外す場合には、弾性部25を別個に弾性変形させて係止部27を被係止部29から離しておき、第2のプロテクタ5を上記回動方向と逆方向(
図1の矢印A3とは反対方向)に回動させる必要がある。
【0035】
また、第2の係合部15ではなく、第2の被係合部11が弾性部を備えた構成であってもよい。
【0036】
すなわち、第2の被係合部11が、第1のプロテクタの本体部21から突出している弾性部とこの弾性部に形成されている係止部とを備えて構成されており、第2の係合部15が、第2のプロテクタの本体部17に形成されており係止部が係止される被係止部を備えて構成されていてもよい。
【0037】
そして、第1の係合部13が第1の被係合部9に係合している状態で、第2のプロテクタ5を、第1の係合部13と第1の被係合部9との係合部を中心にして所定の方向に回動することで、弾性部が弾性変形し、さらに回動をすることで弾性部が復元して係止部が被係止部に係止され、第2の被係合部11に第2の係合部15が係合され、第2のプロテクタ5の第1のプロテクタ3への設置がなされるように構成されていてもよい。
【0038】
また、プロテクタ固定構造1には、(たとえば、1つの)固定用クリップ31が設けられている(
図2参照)。
【0039】
固定用クリップ31は、1つの第2のプロテクタ5の1つの第1のプロテクタ3への設置(仮固定)がなされた上(状態)で、第1のプロテクタ3と第2のプロテクタ5とに設置されることで、第1のプロテクタ3に第2のプロテクタ5をさらに固定(本固定)するようになっている。
【0040】
なお、固定用クリップ31は、第1のプロテクタ3と第2のプロテクタ5とに係合して、第1のプロテクタ3に第2のプロテクタ5を固定しているが、固定用クリップ31が、第1のプロテクタ3と第2のプロテクタ5と車輌7とに係合して、第2のプロテクタ5を第1のプロテクタ3と車輌7とに固定している構成であってもよいし、固定用クリップ31が、第1のプロテクタ3と車輌7とに係合して、第1のプロテクタ3を車輌7に固定している構成であってもよい。
【0041】
また、第2の係合部15を第2の被係合部11に係合するときの回動方向と同方向に、固定用クリップ31を各プロテクタ3,5に対して移動することで、固定用クリップ31が、第1のプロテクタ3と第2のプロテクタ5とに設置されるように構成されている。
【0042】
また、プロテクタ固定構造1では、車輌7から突出しているスタッドボルト33とこのスタッドボルト33に螺合するナット(図示せず)によって、第2のプロテクタ5と第1のプロテクタ3とが、車輌7に一体的に本設置されている。すなわち、車輌7とナットとで第2のプロテクタ5と第1のプロテクタ3と挟み込むことで、第2のプロテクタ5と第1のプロテクタ3とが、車輌7に一体的に強固に設置されている。
【0043】
ここで、プロテクタ固定構造1についてさらに詳しく説明する。
【0044】
車輌7の下面からは、たとえば、2本のスタッドボルト33が下方に突出している。
【0045】
第1のプロテクタ3の第1のプロテクタの本体部21は、
図4〜
図7で示すように、ワイヤハーネス収容部35とカバー部37とボス部39と箱状部41と車輌係止部43とを備えて構成されている。
【0046】
ワイヤハーネス収容部35は、前後方向に長く延びており、前後方向に対して直交する平面による断面の形状が「U」字状もしくは「コ」字状に形成されており、上方が開口しており、内部にワイヤハーネスが入るようになっている。
【0047】
カバー部37は、平板状に形成されており、一端がワイヤハーネス収容部35に対して回動自在になってつながっており、他端には被係止部が設けられている。そして、ワイヤハーネス収容部35に対して所定の方向に回動することで、ワイヤハーネス収容部35上方の開口部の少なくとも一部を塞ぐようになっている。ワイヤハーネス収容部35上方の開口部を塞いでいる状態では、他端の被係止部が、ワイヤハーネス収容部35に設けられている係止部に係止されることで、カバー部37がワイヤハーネス収容部35に係止され、ワイヤハーネス収容部35上方の開口部が塞がれた状態が維持されるようになっている。
【0048】
ボス部39は、前後方向では、ワイヤハーネス収容部35の一端(たとえば前端)の近傍に設けられており、横方向(左右方向)では、ワイヤハーネス収容部35から一方の側(たとえば右側)に突出している。また、ボス部39は、厚さ方向が上下方向になっている矩形な平板状の車輌係合部45を備えている。
【0049】
車輌係合部45は、上下方向では、ワイヤハーネス収容部35よりも上方に位置している。第1のプロテクタ3を車輌7に設置したときに、車輌係合部45の厚さ方向の一方の面(上面)が、車輌7に接触するようになっている。
【0050】
車輌係合部45の中央には、貫通孔47が設けられており、第1のプロテクタ3が車輌7に設置されたときには、車輌7の2つのスタッドボルト33のうちの一方のスタッドボルト33が、貫通孔47を貫通するようになっている。なお、スタッドボルト33に図示しないナットを螺合させ、車輌7とナットとで車輌係合部45を挟み込むことで、第1のプロテクタ3が車輌7に本設置されるようになっている。
【0051】
箱状部41は、外形が直方体状になっていて内部に直方体状の空間が形成されている。箱状部41は、前後方向では、ワイヤハーネス収容部35の一端(たとえば、前端)の近傍に設けられており、横方向では、ワイヤハーネス収容部35から他方の側(たとえば、左側)に突出している。また、箱状部41は、すでに理解されるように、厚さ方向が上下方向になっている矩形な平板状の底板部49を備えている。
【0052】
また、箱状部41は、上下方向では、ワイヤハーネス収容部35とほぼ同じところに位置している。ただし、箱状部41の上下方向の寸法は、ワイヤハーネス収容部35の上下の寸法よりも僅かに小さくなっており、上下方向では、ワイヤハーネス収容部35の内側に箱状部41が位置している。
【0053】
底板部49は、第1のプロテクタ3が車輌7に設置されたときには、箱状部41では、下側に位置しており、箱状部41上端は矩形な開口部で開口している。底板部49の中央には、固定用クリップ31が係止される貫通孔51が設けられている。
【0054】
車輌係止部43は、矩形な平板状に形成されている本体部53と、車輌7に係止される係止突起55とを備えている。
【0055】
本体部53は、厚さ方向は上下方向になっており、前後方向では、ワイヤハーネス収容部35の中間部に設けられており、横方向では、ワイヤハーネス収容部35から他方の側(たとえば、左側)に突出している。
【0056】
また、本体部53は、上下方向では、ワイヤハーネス収容部35の中間部に位置している。すなわち、本体部53の上下方向の寸法は、ワイヤハーネス収容部35の上下の寸法よりも小さくなっており、上下方向では、ワイヤハーネス収容部35の内側に本体部53が位置している。
【0057】
係止突起55は、本体部53の先端側で、本体部53の上面から上方に突出している。係止突起55は、たとえば、円柱状や円錐台状に形成されていてスリットが形成されている。このスリットにより弾性アームが形成されている。そして、外形を小さくするような力が加えられると、上記弾性アームが弾性変形し、外形が小さくなり、上記力が除去されると上記弾性アームが復元するようになっている。なお、上記弾性アームの詳細については後述する。
【0058】
そして、第1のプロテクタ3が車輌7に設置されたときには、車輌7に設けられている孔に復元している係止突起55が入り込んでいることで、第1のプロテクタ3が車輌7に仮固定されるようになっている。
【0059】
第1のプロテクタ3の孔部23は、ワイヤハーネス収容部35に形成されている段差部57に設けられている。段差部57は、平板状に形成されており、厚さ方向が前後方向になっており、孔部23は、段差部57のほぼ中央部で、段差部57(
図6(c)参照)を前後方向で貫通している。
【0060】
ワイヤハーネス収容部35は、段差部57よりも前側の部位59と、段差部57よりも後側の部位61とを備えて構成されている。ボス部39と箱状部41とは、前側の部位59に設けられており、車輌係止部43は、後側の部位61に設けられている。第1のプロテクタ3の被係止部29は、箱状部41の端の角部63で形成されている。
【0061】
第2のプロテクタの本体部17は、
図8〜
図10で示すように、第1の箱状部65と第2の箱状部67と車輌係止部69とを備えて構成されている。
【0062】
第1の箱状部65は、外形が直方体状になっていて内部に直方体状の空間が形成されている。また、第1の箱状部65は、上面と後面の一部とが開口している。
【0063】
第2の箱状部67は、第1のプロテクタ3のワイヤハーネス収容部35の一部を覆うワイヤハーネス収容部覆い部71と、第1のプロテクタ3の箱状部41を覆う箱状部覆い部73とを備えて構成されている。
【0064】
ワイヤハーネス収容部覆い部71は、前後方向に短く延びており、前後方向に対して直交する平面による断面の形状が「U」字状もしくは「コ」字状に形成されており、上方が開口している。なお、上記断面では、「U」字の一対の側壁部の高さが、第1のプロテクタ3のワイヤハーネス収容部35のものよりも低くなっている。
【0065】
箱状部覆い部73は、3面(前面、上面、左側の端面)が開口して直方体状に形成されている。
【0066】
箱状部覆い部73は、前後方向では、ワイヤハーネス収容部覆い部71とほぼ同じところに位置しており、上下方向では、ワイヤハーネス収容部覆い部71よりも上側に位置しており、左右方向では、ワイヤハーネス収容部覆い部71の左側に位置している。
【0067】
そして、第2の箱状部67は、上側と前側が開口した箱状になっている。
【0068】
また、第2の箱状部67は、前後方向では、第1の箱状部65の前側に位置しており、上下方向では、第1の箱状部65とほぼ同じところに位置しており、左右方向では、第1の箱状部65よりも左側に位置している。さらに説明すると、左右方向では、ワイヤハーネス収容部35が、第1の箱状部65の前面の一部の開口部(左側に形成されている開口部)につながっており、箱状部覆い部73が、第1の箱状部65よりも左側に突出している。
【0069】
第2のプロテクタ5が第1のプロテクタ3に設置されたときに、第1のプロテクタ3のワイヤハーネス収容部35の前側の部位59を、ワイヤハーネス収容部覆い部71が下側から覆い、第1のプロテクタ3の箱状部41を、箱状部覆い部73が下側から覆うようになっている。
【0070】
また、第1の箱状部65には、水抜き用の孔75が設けられており、第2の箱状部67の箱状部覆い部73の底板部(厚さ方向が上下方向になっている底板部)77には、箱状部41の底板部49に設けられている貫通孔51と同様な貫通孔79が設けられている。
【0071】
そして、第2のプロテクタ5が第1のプロテクタ3に設置されたときに、固定用クリップ31の所定の部位が、各貫通孔51,79を貫通し、第2のプロテクタ5の第1のプロテクタ3への設置強度が高まっている。
【0072】
車輌係止部69は、第2のプロテクタ5の前端から前側に突出しており、厚さ方向が上下方向になっている矩形な平板状の底板部81を備えている。
【0073】
底板部81は、上下方向では、上面の位置が第1の箱状部65の上面の位置と一致しており、左右方向では、第1の箱状部65のほぼ中央部に設けられている。
【0074】
底板部81の中央には貫通孔83が設けられており、底板部81は、第2のプロテクタ5が車輌7や第1のプロテクタ3に設置されたときには、車輌7の2つのスタッドボルト33のうちの他方のスタッドボルト33が、貫通孔83を貫通するようになっている。なお、スタッドボルト33に図示しないナットを螺合させ、車輌7とナットとで車輌係止部69を挟み込むことで、第2のプロテクタ5が車輌7に本設置されるようになっている。
【0075】
第2のプロテクタ5の第1の係合部13を構成する差し込み片19は、たとえば、矩形な板状に形成されており、厚さ方向が上下方向になるようにして、ワイヤハーネス収容部覆い部71の後端から後側に突出している。また、差し込み片19は、上下方向では、ワイヤハーネス収容部覆い部71の下端部のところに位置しており、左右方向では、ワイヤハーネス収容部覆い部71の中央部に位置している。
【0076】
そして、
図1に矢印A1で示す方向に第2のプロテクタ5を移動して、差し込み片19が孔部23に差し込まれるようになっている。この差込がなされたとき、第2のプロテクタ5の差し込み片19の周囲の部位(ワイヤハーネス収容部覆い部71の後端面の部位)が、段差部57(孔部23周辺の部位)に当接するようになっている。
【0077】
また、細長い矩形状の孔部23の縦横方向の寸法は、矩形な平板状の差し込み片19の縦横方向の寸法よりも僅かに大きくなっている。これにより、差し込み片19が孔部23に差し込まれたとき、第2のプロテクタ5が第1のプロテクタ3に対して、たとえば、差し込み片19の基端のところで左右方向に延伸している軸まわりで、回動できるようになっている。
【0078】
第2の係合部15を構成している弾性部25は、箱状部覆い部73の1つの側壁85のところに形成されている。1つの側壁85は、箱状部覆い部73の左端に位置している。係止部27は、1つの側壁85の内面から内側(左側)に突出している突起87で形成されている。
【0079】
そして、差し込み片19が孔部23に差し込まれた後、
図1の矢印A3で示す方向に第2のプロテクタ5を回動させると、突起87が箱状部41に当接して箱状部41から受ける反力で、弾性部25が弾性変形するようになっている。
図1の矢印A3で示す方向に第2のプロテクタ5をさらに回動させると、突起87が箱状部41を越えてほぼ復元し、箱状部41の角部63で係止され、第2のプロテクタ5が第1のプロテクタ3に設置されるようになっている。このとき、弾性部25とワイヤハーネス収容部覆い部71の側壁71Aとで、第1のプロテクタの本体部21を挟み込んでいること等により、第2のプロテクタ5のがたつきが防止されている。
【0080】
固定用クリップ31は、係止突起55とほぼ同様に構成されており、たとえば、円板状の基端部と円柱状の中間部と円錐台状の先端部とを備えて構成されている。中間部の外径は、基端部の外径や先端部の底面の直径よりも小さくなっている。中間部と先端部とは、基端部の厚さ方向の一方の面から一方に側にこの順で突出しており、基端部の中心軸と中間部の中心軸と先端部の中心軸とはお互いが一致している。先端部の底面が中間部側に位置しており、先端部の上面(半径が底面の半径よりも小さい上面)が、中間部とは反対側に位置している。また、先端部と中間部とには、上記中心軸の延伸方向から見て「X」字状になっているスリットが形成されている。そして、固定用クリップ31の先端部と中間部とが弾性部を構成しており、先端部が被係止部を形成している。
【0081】
次に、第2のプロテクタ5を第1のプロテクタ3に設置する動作について説明する。
【0082】
初期状態では、ワイヤハーネスが第1のプロテクタ3内に入っており、カバー部37が閉じられており、第1のプロテクタ3が車輌7に本設置されているものとする。また、第2のプロテクタ5は、
図1で示すように、第1のプロテクタ3から所定の方向に所定の距離だけ離れ第1のプロテクタ3に対して所定の姿勢になっているものとする。
【0083】
上記初期状態から、第2のプロテクタ5を所定の方向(
図1の矢印A1の方向)に直線的に移動することで、第1の係合部13を第1の被係合部9に係合させる。
【0084】
次に、上記係合状態を維持したまま、第2のプロテクタ5を所定の方向(
図1の矢印A3の方向)に回動させることで、第2の係合部15を第2の被係合部11に係合させる。
【0085】
これにより、第2のプロテクタ5が第1のプロテクタ3に設置(仮固定)される。
【0086】
続いて、固定用クリップ31を設置し、第2のプロテクタ5の車輌係止部69の貫通孔83を貫通しているスタッドボルト33にナットを螺合させて、車輌係止部69の底板部81を、車輌7と上記ナットとで挟み込むことで、第2のプロテクタ5の本設置(固定)が終了する。
【0087】
プロテクタ固定構造1によれば、第1のプロテクタ3に対して第2のプロテクタ5が第1の所定の態様で移動することで、第1の係合部13が第1の被係合部9に係合され、この係合後に、第1のプロテクタ3に対して第2のプロテクタ5が第2の所定の態様で移動することで、第2の係合部15が第2の被係合部11に係合され、第2のプロテクタ5の第1のプロテクタ3への設置(仮固定)がなされるように構成されているので、第2のプロテクタ5を第1のプロテクタ3や車輌7から外そうとしても、たとえば、上述した2つの態様の操作を少なくとも上述した順序と逆の順序で行う必要があり、仮保持されている第2のプロテクタ5が第1のプロテクタ3や車輌7から外れにくくなっている。
【0088】
また、従来のプロテクタ固定構造301では、仮固定されたプロテクタ305の外れを防止するために、2つの固定用クリップ309が必要であるが、プロテクタ固定構造1によれば、2種類の態様での移動により第2のプロテクタ5が仮固定されているので、1つの固定用クリップ31のみで、第2のプロテクタ5の仮固定をより確実なものにすることができる。
【0089】
また、プロテクタ固定構造1によれば、第1の係合部13が第2のプロテクタの本体部17から突出している差し込み片19を備えて構成されており、第1の被係合部9が第1のプロテクタの本体部21に形成されている孔部23を備えて構成されており、差し込み片19を孔部23に差し込むことで、第1の係合部13が第1の被係合部9に係合されるように構成されているので、第1のプロテクタ3への第2のプロテクタ5の設置が容易になっているとともに、第2のプロテクタ5を第1のプロテクタ3に対して所定の態様で移動させる構成(たとえば、第1の被係合部9との第1の係合部13との係合部を回動中心にして所定の方向に回動させる構成;
図1の矢印A3の方向に回動させる構成)を容易に得ることができる。
【0090】
また、プロテクタ固定構造1によれば、第1の係合部13が第1の被係合部9に係合している状態で、第2のプロテクタ5を、第1の係合部13と第1の被係合部9との係合部を中心にして所定の方向に回動することで、弾性部25が弾性変形し、さらに回動をすることで弾性部25がほぼ復元して係止部27が被係止部29に係止され、第2の係合部15が第2の被係合部11に係合され、第2のプロテクタ5の第1のプロテクタ3への設置がなされるように構成されているので、第2のプロテクタ5を第1のプロテクタ3から外すためには、第2のプロテクタ5の回動とは別個に弾性部25を弾性変形させる必要がある。これにより、第1のプロテクタ3に設置された第2のプロテクタ5が第1のプロテクタ3から外れにくくなっている(簡単には外れないようになっている)。
【0091】
また、プロテクタ固定構造1によれば、固定用クリップ31を用いることで、第2のプロテクタ5の第1のプロテクタ3への設置状態を確実に維持することができる。
【0092】
なお、上記説明において、方向を適宜入れ替えてもよい。たとえば、前後方向と左右方向とを入れ替えてもよい。