(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】各実施の形態に係る撮像装置のブロック図である。
【
図2】各実施の形態に係る撮像装置における画素の等価回路図である。
【
図3】実施の形態1に係る撮像装置において、フォトダイオードが形成された領域とその近傍の領域を示す平面図である。
【
図4】同実施の形態において、
図3に示す断面線IV−IVにおける断面図である。
【
図5】同実施の形態において、
図3に示す断面線V−Vにおける断面図である。
【
図6】同実施の形態において、
図3に示す断面線VI−VIにおける断面図である。
【
図7】同実施の形態において、撮像装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図8】同実施の形態において、
図7に示す工程の後に行われる工程を示す平面図である。
【
図9】同実施の形態において、
図8に示す工程の後に行われる工程を示す、
図8に示される断面線IX−IXに対応する断面線における断面図である。
【
図10】同実施の形態において、
図9に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【
図11】同実施の形態において、
図10に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【
図12】同実施の形態において、
図11に示す工程の後に行われる工程を示す平面図である。
【
図13】同実施の形態において、
図12に示す工程の後に行われる工程を示す、
図12に示される断面線XIII−XIIIに対応する断面線における断面図である。
【
図14】同実施の形態において、
図13に示す工程の後に行われる工程を示す平面図である。
【
図15】同実施の形態において、
図14に示す工程の後に行われる工程を示す、
図14に示される断面線XV−XVに対応する断面線における断面図である。
【
図16】同実施の形態において、
図15に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【
図17】同実施の形態において、
図16に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【
図18】比較例に係る撮像装置において、フォトダイオードが形成された領域とその近傍の領域を示す平面図である。
【
図19】
図18に示す断面線XIX−XIXにおける断面図である。
【
図20】
図18に示す断面線XX−XXにおける断面図である。
【
図21】比較例に係る撮像装置において、フォトダイオードが空乏化した状態を示す第1の断面図である。
【
図22】比較例に係る撮像装置において、フォトダイオードが空乏化した状態を示す第2の断面図である。
【
図23】同実施の形態において、フォトダイオードが空乏化した状態を示す第1の断面図である。
【
図24】同実施の形態において、フォトダイオードが空乏化した状態を示す第2の断面図である。
【
図25】同実施の形態において、フォトダイオードが空乏化した状態を示す第3の断面図である。
【
図26】実施の形態2に係る撮像装置において、フォトダイオードが形成された領域とその近傍の領域を示す平面図である。
【
図27】同実施の形態において、
図26に示す断面線XXVII−XXVIIにおける断面図である。
【
図28】同実施の形態において、
図26に示す断面線XXVIII−XXVIIIにおける断面図である。
【
図29】同実施の形態において、
図26に示す断面線XXIX−XXIXにおける断面図である。
【
図30】同実施の形態において、撮像装置の製造方法の一工程を示す平面図である。
【
図31】同実施の形態において、
図30に示す工程の後に行われる工程を示す、
図30に示される断面線XXXI−XXXIに対応する断面線における断面図である。
【
図32】同実施の形態において、
図31に示す工程の、
図30に示される断面線XXXII−XXXIIに対応する断面線における断面図である。
【
図33】同実施の形態において、
図31および
図32に示す工程の後に行われる工程を示す平面図である。
【
図34】同実施の形態において、
図33に示す工程の後に行われる工程を示す、
図33に示される断面線XXXIV−XXXIVに対応する断面線における断面図である。
【
図35】同実施の形態において、
図34に示す工程の、
図33に示される断面線XXXV−XXXVに対応する断面線における断面図である。
【
図36】同実施の形態において、
図34および
図35に示す工程の後に行われる工程を示す平面図である。
【
図37】同実施の形態において、
図36に示す工程の後に行われる工程を示す、
図36に示される断面線XXXVII−XXXVIIに対応する断面線における断面図である。
【
図38】同実施の形態において、
図37に示す工程の、
図36に示される断面線XXXVIII−XXXVIIIに対応する断面線における断面図である。
【
図39】同実施の形態において、
図37に示す工程の、
図36に示される断面線XXXIX−XXXIXに対応する断面線における断面図である。
【
図40】同実施の形態において、フォトダイオードが空乏化した状態を示す第1の断面図である。
【
図41】同実施の形態において、フォトダイオードが空乏化した状態を示す第2の断面図である。
【
図42】同実施の形態において、フォトダイオードが空乏化した状態を示す第3の断面図である。
【
図43】実施の形態3に係る撮像装置において、フォトダイオードが形成された領域とその近傍の領域を示す平面図である。
【
図44】同実施の形態において、
図43に示す断面線XLIV−XLIVにおける断面図である。
【
図45】同実施の形態において、
図43に示す断面線XLV−XLVにおける断面図である。
【
図46】同実施の形態において、撮像装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図47】同実施の形態において、
図46に示す工程の後に行われる工程を示す平面図である。
【
図48】同実施の形態において、
図47に示す工程の後に行われる工程を示す、
図47に示される断面線XLVIII−XLVIIIに対応する断面線における断面図である。
【
図49】同実施の形態において、
図48に示す工程の後に行われる工程を示す平面図である。
【
図50】同実施の形態において、
図49に示す工程の後に行われる工程を示す、
図49に示される断面線L−Lに対応する断面線における断面図である。
【
図51】同実施の形態において、
図50に示す工程の後に行われる工程を示す平面図である。
【
図52】同実施の形態において、
図51に示す工程の後に行われる工程を示す、
図51に示される断面線LII−LIIに対応する断面線における断面図である。
【
図53】同実施の形態において、フォトダイオードが空乏化した状態を示す第1の断面図である。
【
図54】同実施の形態において、フォトダイオードが空乏化した状態を示す第2の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
はじめに、撮像装置の全体構成(回路)について説明する。撮像装置は、マトリクス状に配置された複数の画素によって構成される。
図1に示すように、画素PEには、列選択回路CSおよび行選択・読み出し回路RSが接続されている。なお、
図1では、図面の簡略化のために、複数の画素のうちの一の画素PEを示す。その画素では、
図2に示すように、フォトダイオードPD、転送トランジスタTT、増幅用トランジスタAT、選択用トランジスタSTおよびリセット用トランジスタRTが設けられている。
【0016】
フォトダイオードPDでは、被写体からの光が電荷として蓄積される。転送トランジスタTTは、電荷を浮遊拡散領域(図示せず)へ転送する。リセット用トランジスタRTは、電荷が浮遊拡散領域へ転送される前に、浮遊拡散領域の電荷をリセットする。浮遊拡散領域に転送された電荷は、増幅用トランジスタATのゲート電極に入力されて、電圧(Vdd)に変換されて増幅される。画素の特定の行を選択する信号が選択用トランジスタSTのゲート電極に入力されると、電圧に変換された信号が画像信号(Vsig)として読み出される。
【0017】
以下、各実施の形態では、撮像装置におけるフォトダイオードの構造について、具体的に説明する。
【0018】
実施の形態1
実施の形態1に係る撮像装置のフォトダイオード等について説明する。
【0019】
図3、
図4、
図5および
図6に示すように、撮像装置ISでは、半導体基板SUBにおける所定の領域にトレンチ分離絶縁膜STIおよび分離用P型領域PIRを形成することによって、素子形成領域としてのP型ウェルPW(不純物濃度:約5×10
16/cm
3程度)が規定されている。P型ウェルPWを横切るように、Y方向に延在する転送トランジスタTTのゲート電極TGEが形成されている。ゲート電極TGEは、P型ウェルPWの上にゲート絶縁膜GZFを介在させて形成されている。
【0020】
P型ウェルPWのうち、ゲート電極TGEを挟んで一方の側(X方向負側)に位置するP型ウェルPWの領域(領域A)には、フォトダイオードPDが形成されている。ゲート電極TGEを挟んで他方の側(X方向正側)に位置するP型ウェルPWの領域(領域B)には、転送トランジスタTTの浮遊拡散領域FDが形成されている。
【0021】
領域Aでは、半導体基板SUB(P型ウェルPW)の表面から所定の深さにわたり、P型不純物領域PSR(不純物濃度:約1×10
18/cm
3程度以上)が形成されている。そのP型不純物領域PSRに接するように、P型不純物領域PSRの下部からさらに深い位置にわたり、N型不純物領域PD1N(不純物濃度:約3×10
17/cm
3程度)が形成されている。
【0022】
N型不純物領域PD1Nに接するように、N型不純物領域PD1Nの下部からさらに深い位置にわたり、N型不純物領域PD2N(不純物濃度:約2×10
17/cm
3程度)が形成されている。また、N型不純物領域PD1Nに接するように、N型不純物領域PD1Nの下部からさらに深い位置にわたり、P型不純物領域PD2P(不純物濃度:約4×10
17/cm
3程度)が形成されている。
【0023】
N型不純物領域PD2Nは幅(約0.1μm程度)をもってY方向に延在し、P型不純物領域PD2Pは幅(約0.05μm程度)をもってY方向に延在している。そのN型不純物領域PD2NとP型不純物領域PD2Pとは、互いに接する態様(接合面を有する態様)でX方向に沿って交互に複数配置されている。接合面は、半導体基板SUB(P型ウェルPW)の表面に対して、ほぼ直交するように位置する。
【0024】
なお、ここでは、P型不純物領域PD2Pの不純物濃度が、P型ウェルPWの不純物濃度よりも高く、N型不純物領域PD2Nの不純物濃度が、N型不純物領域PD1Nの不純物濃度よりも低い場合を例に挙げたが、これは一例であって、不純物濃度の大小関係が逆転する場合も想定される。
【0025】
一方、領域Bでは、半導体基板SUB(P型ウェルPW)の表面から所定の深さにわたり、N型の浮遊拡散領域FDが形成されている。フォトダイオードPDにおいて発生した電荷は、転送トランジスタTTによって浮遊拡散領域FDへ転送されることになる。
【0026】
フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTT等を覆うように、たとえば、シリコン酸化膜等からなる層間絶縁膜IL1が形成されている。その層間絶縁膜IL1を貫通するコンタクトホールCHにプラグPGが形成されている。層間絶縁膜IL1の表面に配線WHが形成されている。配線WHは、プラグPGを介して浮遊拡散領域FDに電気的に接続されている。
【0027】
配線WHを覆うように、たとえば、シリコン酸化膜等からなる層間絶縁膜IL2がさらに形成されている。その層間絶縁膜IL2の上にカラーフィルタCFが形成されている。そのカラーフィルタCFの上にマイクロレンズMLが形成されている。マイクロレンズMLは、フォトダイオードPDの直上に対応する位置に配置されている。実施の形態1に係る撮像装置ISは、上記のように構成される。
【0028】
次に、上述した撮像装置ISの製造方法の一例について説明する。まず、一般的な方法によって、半導体基板SUBにトレンチ分離絶縁膜STIおよび分離用P型領域PIRを形成することによって素子形成領域が規定され、その素子形成領域にP型の不純物を導入することによって、P型ウェルPWが形成される。
【0029】
次に、熱酸化処理を行うことによって、P型ウェルPWの表面に、ゲート絶縁膜となる熱酸化膜(図示せず)が形成される。その熱酸化膜を覆うように、たとえば、ポリシリコン膜等の導電性膜が形成される。次に、所定の写真製版処理およびエッチング処理を行うことにより、
図7に示すように、転送トランジスタTTのゲート電極TGEが形成される。このとき、転送トランジスタ以外の所定のトランジスタのゲート電極(図示せず)も同時に形成されることになる。
【0030】
次に、
図8に示すように、所定の写真製版処理を行うことにより、フォトダイオードが形成されるP型ウェルPWの領域を露出し、他の領域を覆うフォトレジストパターンPR1が形成される。次に、
図9に示すように、そのフォトレジストパターンPR1を注入マスクとして、N型の不純物を半導体基板SUB(P型ウェルPW)の表面に対してほぼ垂直に注入することにより、N型不純物領域NRが形成される。
【0031】
次に、
図10に示すように、フォトレジストパターンPR1を注入マスクとして、N型の不純物が半導体基板SUB(P型ウェルPW)の表面に対して斜めに注入される。これにより、N型不純物領域がゲート電極TGEの側壁部の直下の領域にまで達するN型不純物領域PD1Nが形成される。次に、
図11に示すように、フォトレジストパターンPR1を注入マスクとして、P型の不純物を注入することにより、P型不純物領域PSRが形成される。その後、フォトレジストパターンPR1が除去される。
【0032】
次に、
図12に示すように、所定の写真製版処理を行うことにより、フォトレジストパターンPR2が形成される。フォトレジストパターンPR2では、X方向に幅を有しY方向に延在する開口パターンが形成されている。次に、
図13に示すように、そのフォトレジストパターンPR2を注入マスクとして、比較的高い注入エネルギーもってN型の不純物を注入することにより、N型不純物領域PD2Nが形成される。その後、フォトレジストパターンPR2が除去される。
【0033】
次に、
図14に示すように、所定の写真製版処理を行うことにより、フォトレジストパターンPR3が形成される。フォトレジストパターンPR3では、X方向に幅を有しY方向に延在する開口パターンが形成されている。次に、
図15に示すように、そのフォトレジストパターンPR3を注入マスクとして、比較的高い注入エネルギーをもってP型の不純物を注入することにより、P型不純物領域PD2Pが形成される。その後、フォトレジストパターンPR3が除去される。以上の工程により、P型ウェルPWにフォトダイオードPDが形成される。
【0034】
次に、
図16に示すように、所定の写真製版処理を行うことにより、浮遊拡散領域が形成されるP型ウェルPWの領域を露出し、他の領域を覆うフォトレジストパターンPR4が形成される。次に、そのフォトレジストパターンPR4を注入マスクとして、N型の不純物を注入することにより、露出したP型ウェルPWの領域に浮遊拡散領域FDが形成される。その後、フォトレジストパターンPR4が除去される。
【0035】
次に、
図17に示すように、ゲート電極TGE等を覆うように、たとえば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、シリコン酸化膜等の層間絶縁膜IL1が形成される。次に、その層間絶縁膜IL1を貫通して浮遊拡散領域FDを露出するコンタクトホールCHが形成される。次に、そのコンタクトホールCH内にプラグPGが形成される。次に、そのプラグPGに電気的に接続される配線WHが形成される。次に、配線WHを覆うように、シリコン酸化膜等の層間絶縁膜IL2が形成される。
【0036】
その後、それぞれ所定の色に着色したカラーフィルタCFを形成し、さらに、そのカラーフィルタCFの上にマイクロレンズML(
図4参照)を形成することによって、
図4等に示す撮像装置ISの主要部分が完成する。
【0037】
上述した撮像装置では、N型不純物領域PD1Nに接する態様で、N型不純物領域PD1Nの下部からさらに深い位置にわたり、複数のN型不純物領域PD2Nと複数のP型不純物領域PD2Pとが形成されている。これにより、フォトダイオードの容量と感度との双方を上げることが可能になる。このことについて、比較例に係る撮像装置と対比して説明する。
【0038】
図18、
図19および
図20に示すように、比較例に係る撮像装置CISの半導体基板SUBでは、トレンチ分離絶縁膜CSTIおよび分離用P型領域CPIRによって、素子形成領域としてP型ウェルCPWが規定されている。P型ウェルCPWを横切るようにY方向に延在する転送トランジスタCTTのゲート電極CTGEが、P型ウェルCPWの上にゲート絶縁膜CGZFを介在させて形成されている。
【0039】
ゲート電極CTGEを挟んで一方の側(X方向負側)に位置するP型ウェルPWの領域(領域A)には、フォトダイオードCPDが形成され、他方の側(X方向正側)に位置するP型ウェルPWの領域(領域B)には、浮遊拡散領域CFDが形成されている。
【0040】
領域Aでは、P型ウェルCPWの表面から所定の深さにわたり、P型不純物領域CPSRが形成されている。そのP型不純物領域CPSRに接するように、P型不純物領域CPSRの下部からさらに深い位置にわたり、N型不純物領域CPDNが形成されている。
【0041】
フォトダイオードCPD等を覆うように層間絶縁膜CIL1が形成され、その層間絶縁膜CIL1を貫通するコンタクトホールCCHにプラグCPGが形成されている。層間絶縁膜CIL1の表面に配線CWHが形成され、その配線CWHを覆うように、層間絶縁膜CIL2がさらに形成されている。その層間絶縁膜CIL2の上にカラーフィルタCCFおよびマイクロレンズCMLが形成されている。比較例に係る撮像装置CISは、上記のように構成される。
【0042】
すでに説明したように、明暗を明確に撮影するために、撮像装置のフォトダイオードには、容量(飽和電子数)と感度(光電子の収集効率)とが求められる。一般に、撮像装置では、フォトダイオードに光が入射することによって発生した電子を電荷として蓄積するステップと、蓄積された電荷を浮遊拡散領域へ転送するステップとが交互に繰り返される。フォトダイオードの電荷が転送されると、フォトダイオードは空乏化される。
【0043】
比較例に係る撮像装置CISのフォトダイオードCPDにおいて、容量を確保するには、N型不純物領域CPDNとP型ウェルCPWとの不純物濃度(PN接合濃度)を高く設定する必要がある。一方、感度を上げるには、電荷が転送された後に、フォトダイオードCPDが完全に空乏化した際の空乏層をできるだけ、半導体基板SUBの深い位置にまで延ばす必要がある。
【0044】
フォトダイオードCPDが空乏化される際には、N型不純物領域CPDNとP型ウェルPWとの接合面から、P型ウェルCPW側へ向かって空乏層端(空乏層端A)が延びるとともに、N型不純物領域CPDNへ向かって空乏層端(空乏層端B)が延びることになる。フォトダイオードCPDが完全に空乏化すると、空乏層端Bはなくなり、空乏層端Aだけが残る。
図21および
図22は、その空乏層端Aとしての空乏層端CDP1を示す。
【0045】
ところが、PN接合濃度が高い場合には、空乏層端CDP1は、P型ウェルCPWの深い領域にまで延びることができず、空乏層の幅(深さ方向の長さ)は、比較的短いものとなってしまう。このため、比較例に係る撮像装置CISでは、フォトダイオードが形成されている領域の比較的深い位置において発生した電子を収集させにくくなり、感度を上げることが難しくなってしまう。
【0046】
反対に、フォトダイオードCPDの感度を上げようとすると、N型不純物領域CPDNを深い領域にまで形成する必要があるが、そのN型不純物領域CPDNを空乏化させるためには、不純物濃度を低く設定する必要がある。このため、容量(飽和電子数)を大きくすることができなくなってしまう。
【0047】
比較例に係る撮像装置CISに対して、上述した撮像装置ISのフォトダイオードPDが形成されている領域には、N型不純物領域PD1Nに接する態様で、N型不純物領域PD1Nの下部からさらに深い位置にわたり、複数のN型不純物領域PD2Nと複数のP型不純物領域PD2Pとが形成されている。複数のN型不純物領域PD2Nと複数のP型不純物領域PD2Pは、それぞれ所定の幅をもってY方向に延在し、互いに接する態様でX方向に沿って交互に配置されている(
図3〜
図6参照)。
【0048】
ここで、シリコンの誘電率をε
Si、素電荷量をq、P型不純物領域PD2Pの不純物濃度(アクセプタ濃度)をN
A、N型不純物領域PD2Nの不純物濃度(ドナー濃度)をN
D、空乏化電位をV
dep2とすると、N型不純物領域PD2NおよびP型不純物領域PD2Pを完全に空乏化させるために、N型不純物領域PD2Nの幅X
Nは、以下の式1に基づいて設定され、P型不純物領域PD2Pの幅X
Pは、以下の式2に条件に基づいて設定されている。
【0051】
なお、フォトダイオードPDにおいて発生した電荷を浮遊拡散領域FDへ転送させる際に、N型拡散領域PD1Nが、N型拡散領域PD2NおよびP型拡散領域PD2Pよりも先に空乏化すると、N型拡散領域における電気抵抗が大きくなりすぎてしまう。そうすると、N型拡散領域PD2NおよびP型拡散領域PD2Pにおいて発生した電荷を転送させることができなくなる。
【0052】
このため、N型拡散領域PD2NおよびP型拡散領域PD2Pが、N型拡散領域PD1Nよりも先に空乏化されるように、N型拡散領域PD1Nの空乏化電位(V
dep1)が、N型拡散領域PD2NおよびP型拡散領域PD2Pの空乏化電位(V
dep2)よりも高くなるように設定されている。すなわち、V
dep1>V
dep2となるように、P型ウェルPW、N型拡散領域PD1N、N型不純物領域PD2NおよびP型不純物領域PD2Pのそれぞれの不純物濃度が調整されている。
【0053】
このように、上述した半導体装置では、まず、N型不純物領域PD1Nに加えて、複数のN型不純物領域PD2Nと複数のP型不純物領域PD2Pとが形成されている。しかも、そのN型不純物領域PD2NおよびP型不純物領域PD2Pのそれぞれの不純物濃度は、P型ウェルPWの不純物濃度よりも高く設定されている。その結果、N型不純物領域CPDNだけが形成された比較例に係る撮像装置CISと比べて、フォトダイオードPDの容量(飽和電子数)を上げることができる。
【0054】
また、その複数のN型不純物領域PD2Nのそれぞれは所定の幅(X
N)をもって形成され、また、複数のP型不純物領域PD2Pのそれぞれも所定の幅(X
P)をもって形成されている。これにより、フォトダイオードPDが空乏化される際に、複数のN型不純物領域PD2Nのそれぞれにおいては、一方の接合面から延びる空乏層端と他方の接合面から延びる空乏層端とが繋がって空乏化される。また、複数のP型不純物領域PD2Pのそれぞれにおいても、一方の接合面から延びる空乏層端と他方の接合面から延びる空乏層端とが繋がって空乏化される。
【0055】
しかも、N型不純物領域PD2NとP型不純物領域PD2Pとの接合面のそれぞれは、深さ方向(縦方向)に位置し、より具体的には、P型ウェルPWの表面に対してほぼ直交するように位置している。これにより、接合面のそれぞれから空乏層が横方向(X方向正側と負側)に延びて、N型不純物領域PD1Nを含め、複数のN型不純物領域PD2Nと複数のP型不純物領域PD2Pが空乏化された状態において、
図23、
図24および
図25に示すように、空乏層端DP1をより深い位置に配置させることができる。
【0056】
その結果、N型不純物領域CPDNだけが形成された比較例に係る撮像装置CISに比べて、空乏層の幅(深さ方向の長さ)が長くなり、フォトダイオードPDが形成されている領域の比較的深い位置において発生した電子を効率的に収集させることができ、撮像装置としての感度を上げることが可能になる。
【0057】
こうして、上述した撮像装置ISでは、N型不純物領域PD2NとP型不純物領域PD2Pとが、深さ方向に接合面を有する態様で形成されていることで、容量(飽和電子数)と感度(光電子の収集効率)との双方を上げることができる。
【0058】
なお、上述した不純物濃度の値および幅の値は一例であって、これらの値に限定されるものではない。
【0059】
実施の形態2
実施の形態1では、それぞれ所定の幅を有するN型不純物領域PD2NとP型不純物領域PD2Pが、Y方向に延在する場合について説明した。ここでは、N型不純物領域PD2NとP型不純物領域PD2Pが、X方向に延在する場合について説明する。
【0060】
図26、
図27、
図28および
図29に示すように、撮像装置ISでは、P型ウェルPWにおけるフォトダイオードPDが形成されている領域に、半導体基板SUB(P型ウェルPW)の表面から所定の深さにわたり、P型不純物領域PSR(不純物濃度:約1×10
18/cm
3程度以上)が形成されている。
【0061】
そのP型不純物領域PSRに接するように、P型不純物領域PSRの下部からさらに深い位置にわたり、N型不純物領域PDN(不純物濃度:約2×10
17/cm
3程度)が形成されている。また、P型不純物領域PSRに接するように、P型不純物領域PSRの下部からさらに深い位置にわたり、P型不純物領域PDP(不純物濃度:約4×10
17/cm
3程度)が形成されている。なお、ここで挙げられている各不純物濃度は一例であって、この不純物濃度の大小関係が逆転する場合も想定される。
【0062】
N型不純物領域PDNは、幅(約0.1μm程度)をもってX方向に延在し、P型不純物領域PDPは、幅(約0.05μm程度)をもってX方向に延在している。そのN型不純物領域PD2NとP型不純物領域PD2Pとは、互いに接する態様でY方向に沿って交互に複数配置されている。すなわち、N型不純物領域PDNとP型不純物領域PDPとの接合面が、半導体基板SUB(P型ウェルPW)の表面に対してほぼ直交するように位置(深さ方向)するとともに、ゲート長方向(X方向)に位置する。なお、これ以外の構成については、
図3等に示す撮像装置ISと同様なので、同一部材には同一符号を付し、必要である場合を除き、その説明を繰り返さないこととする。
【0063】
次に、上述した撮像装置ISの製造方法の一例について説明する。前述した
図7に示す工程の後、
図30に示すように、所定の写真製版処理を行うことにより、フォトレジストパターンPR5が形成される。フォトレジストパターンPR5では、Y方向に幅を有しX方向に延在する開口パターンが形成されている。次に、
図31および
図32に示すように、そのフォトレジストパターンPR5を注入マスクとして、比較的高い注入エネルギーもってN型の不純物を注入することにより、N型不純物領域PDNが形成される。また、N型の不純物を、半導体基板SUB(P型ウェルPW)の表面に対して斜めに注入することにより、N型不純物領域PDNが、ゲート電極TGEの側壁部の直下の領域にまで形成される。その後、フォトレジストパターンPR5が除去される。
【0064】
次に、
図33に示すように、所定の写真製版処理を行うことにより、フォトレジストパターンPR6が形成される。フォトレジストパターンPR6では、Y方向に幅を有しX方向に延在する開口パターンが形成されている。次に、
図34および
図35に示すように、そのフォトレジストパターンPR6を注入マスクとして、比較的高い注入エネルギーもってP型の不純物を注入することにより、P型不純物領域PDPが形成される。その後、フォトレジストパターンPR6が除去される。
【0065】
次に、
図36に示すように、所定の写真製版処理を行うことにより、フォトダイオードが形成されるP型ウェルPWの領域を露出し、他の領域を覆うフォトレジストパターンPR7が形成される。次に、
図37、
図38および
図39に示すように、フォトレジストパターンPR7を注入マスクとして、P型の不純物を注入することにより、P型不純物領域PSRが形成される。P型不純物領域PSRが形成された後、フォトレジストパターンPR7が除去される。その後、
図16に示す工程および
図17に示す工程と同様の工程を経て、
図27および
図28等に示す撮像装置ISの主要部分が完成する。
【0066】
上述した半導体装置では、P型不純物領域PSRの下部からさらに深い位置にわたり、複数のN型不純物領域PDNと複数のP型不純物領域PDPとが形成されている。しかも、そのN型不純物領域PDNおよびP型不純物領域PDPのそれぞれの不純物濃度は、P型ウェルPWの不純物濃度よりも高く設定されている。その結果、比較例に係る撮像装置CIS(
図18および
図19参照)と比べて、フォトダイオードPDの容量(飽和電子数)を上げることができる。
【0067】
また、その複数のN型不純物領域PDNのそれぞれは所定の幅(たとえば、X
N)をもって形成され、また、複数のP型不純物領域PDPのそれぞれも所定の幅(たとえば、X
P)をもって形成されている。これにより、フォトダイオードPDが空乏化される際に、複数のN型不純物領域PDNのそれぞれにおいては、一方の接合面から延びる空乏層端と他方の接合面から延びる空乏層端とが繋がって空乏化される。また、複数のP型不純物領域PDPのそれぞれにおいても、一方の接合面から延びる空乏層端と他方の接合面から延びる空乏層端とが繋がって空乏化される。
【0068】
しかも、N型不純物領域PDNとP型不純物領域PDPとの接合面のそれぞれは、深さ方向(縦方向)に位置し、より具体的には、P型ウェルPWの表面に対してほぼ直交するように位置している。これにより、接合面のそれぞれから空乏層が横方向(Y方向正側と負側)に延びて、複数のN型不純物領域PDNと複数のP型不純物領域PDPが空乏化された状態において、
図40、
図41および
図42に示すように、空乏層端DP2をより深い位置に配置させることができる。
【0069】
その結果、比較例に係る撮像装置CIS(
図18および
図19参照)と比べて、空乏層の幅(深さ方向の長さ)が長くなり、フォトダイオードPDが形成されている領域の比較的深い位置において発生した電子を効率的に収集させることができ、撮像装置としての感度を上げることが可能になる。
【0070】
こうして、上述した撮像装置ISでは、N型不純物領域PDNとP型不純物領域PDPとが、深さ方向に接合面を有する態様で形成されていることで、容量(飽和電子数)と感度(光電子の収集効率)との双方を上げることができる。
【0071】
さらに、上述した撮像装置ISでは、N型不純物領域PDNとP型不純物領域PDPとの接合面をゲート長方向に配置させることで、複数のN型不純物領域PDNおよび複数のP型不純物領域PDPのそれぞれを、ゲート電極TGEの側部直下の領域にまで配置させることができる。これにより、N型不純物領域PD1N(
図4等参照)を形成することなく、フォトダイオードPDにおいて発生した電荷を浮遊拡散領域FDへ転送させることができる。
【0072】
このため、N型不純物領域PD1N(
図4等参照)を備えた撮像装置ISと比べると、N型拡散領域PD1Nの空乏化電位(V
dep1)との関係で、N型不純物領域PDNおよびP型不純物領域PDPの空乏化電位が制約を受けることがなくなる。その結果、N型不純物領域PDNおよびP型不純物領域PDPのそれぞれの幅と不純物濃度の自由度が上がり、製造プロセスのマージンを大きくすることができる。
【0073】
なお、上述した不純物濃度の値および幅の値は一例であって、これらの値に限定されるものではない。
【0074】
実施の形態3
ここでは、分離用P型領域に沿ってN型不純物領域が形成された撮像装置について説明する。
【0075】
図43、
図44および
図45に示すように、撮像装置ISでは、P型ウェルPWにおけるフォトダイオードPDが形成されている領域に、半導体基板SUB(P型ウェルPW)の表面から所定の深さにわたり、P型不純物領域PSR(不純物濃度:約1×10
18/cm
3程度以上)が形成されている。そのP型不純物領域PSRに接するように、P型不純物領域PSRの下部からさらに深い位置にわたり、N型不純物領域PD1N(不純物濃度:約3×10
17/cm
3程度)が形成されている。
【0076】
そのN型不純物領域PD1Nに接するように、N型不純物領域PD1Nの下部から分離用P型領域PIR(不純物濃度:約1×10
17〜18/cm
3程度)に沿ってさらに深い位置にわたり、N型不純物領域PD2N(不純物濃度:約2×10
17/cm
3程度)が形成されている。N型不純物領域PD2Nは、所定の幅をもってX方向(ゲート長方向)に延在するように形成されている。
【0077】
なお、N型不純物領域PD2Nは、Y方向(ゲート幅方向)に沿っては形成されていない。また、ここで挙げられている各不純物濃度は一例であって、この不純物濃度の大小関係が逆転する場合も想定される。これ以外の構成については、
図3等に示す撮像装置ISと同様なので、同一部材には同一符号を付し、必要である場合を除き、その説明を繰り返さないこととする。
【0078】
次に、上述した撮像装置ISの製造方法の一例について説明する。まず、
図46に示すように、所定の写真製版処理を行うことにより、フォトダイオードが形成される領域を覆い、分離領域を露出するフォトレジストパターンPR8が形成される。次に、そのフォトレジストパターンPR8を注入マスクとして、P型の不純物を注入することにより、半導体基板SUB(P型ウェルPW)の表面から所定の深さにわたり、分離用P型領域PIRが形成される。次に、フォトレジストパターンPR8が除去された後、
図7に示す工程と同様の工程を経て、ゲート電極TGE(
図45参照)が形成される。
【0079】
次に、
図47に示すように、所定の写真製版処理を行うことにより、フォトダイオードが形成されるP型ウェルPWの領域を露出し、他の領域を覆うフォトレジストパターンPR9が形成される。次に、
図48に示すように、そのフォトレジストパターンPR9を注入マスクとして、N型の不純物を注入することにより、N型不純物領域PD1Nが形成される。その後、フォトレジストパターンPR9が除去される。
【0080】
次に、
図49に示すように、所定の写真製版処理を行うことにより、フォトレジストパターンPR10が形成される。フォトレジストパターンPR10では、所定の幅をもって、分離用P型領域PIRに沿ってX方向に延在する開口パターンが形成されている。次に、
図50に示すように、そのフォトレジストパターンPR10を注入マスクとして、N型の不純物を注入することにより、N型不純物領域PD2Nが形成される。その後、フォトレジストパターンPR10が除去される。
【0081】
次に、
図51に示すように、所定の写真製版処理を行うことにより、フォトダイオードが形成される領域を露出し、他の領域を覆うフォトレジストパターンPR11が形成される。次に、
図52に示すように、そのフォトレジストパターンPR11を注入マスクとして、P型の不純物を注入することにより、P型不純物領域PSRが形成される。P型不純物領域PSRが形成された後、フォトレジストパターンPR11が除去される。その後、
図16に示す工程および
図17に示す工程と同様の工程を経て、
図44および
図45等に示す撮像装置ISの主要部分が完成する。
【0082】
上述した半導体装置では、N型不純物領域PD1Nに接するように、N型不純物領域PD1Nの下部から分離用P型領域PIRに沿ってさらに深い位置にわたり、N型不純物領域PD2Nが形成されている。しかも、そのN型不純物領域PD1NおよびN型不純物領域PD2Nのそれぞれの不純物濃度は、P型ウェルPWの不純物濃度よりも高く設定されている。また、N型不純物領域PD2Nが接している分離用P型領域PIRの不純物濃度も、P型ウェルPWの不純物濃度よりも高く設定されている。その結果、比較例に係る撮像装置CIS(
図18および
図19参照)と比べて、フォトダイオードPDの容量(飽和電子数)を上げることができる。
【0083】
また、N型不純物領域PD2Nは、所定の幅をもって形成されている。これにより、フォトダイオードPDが空乏化される際に、N型不純物領域PD2Nにおいては、分離用P型領域PIRとの接合面(接合面A)と、P型ウェルPWとの接合面(接合面B)から延びる空乏層端が繋がって空乏化される。
【0084】
しかも、接合面Aと接合面Bとは、深さ方向(縦方向)に位置し、より具体的には、P型ウェルPWの表面に対してほぼ直交するように位置している。これにより、接合面Aと接合面Bとから空乏層が横方向(Y方向正側と負側)に延びて、N型不純物領域PD1Nを含め、N型不純物領域PD2Nが空乏化された状態において、
図53および
図54に示すように、空乏層端DP3をより深い位置に配置させることができる。
【0085】
その結果、比較例に係る撮像装置CIS(
図18および
図19参照)と比べて、空乏層の幅(深さ方向の長さ)が長くなり、フォトダイオードPDが形成されている領域の比較的深い位置において発生した電子を効率的に収集させることができ、撮像装置としての感度を上げることが可能になる。
【0086】
こうして、上述した撮像装置ISでは、N型不純物領域PD2Nが深さ方向に接合面を有する態様で形成されていることで、容量(飽和電子数)と感度(光電子の収集効率)との双方を上げることができる。
【0087】
また、上述した撮像装置ISでは、P型不純物領域PD2P、PDPを形成する必要がなくなり、P型不純物領域PD2P、PDPを形成するためのフォトマスクを削減することができる。
【0088】
なお、上述した不純物濃度の値および幅の値は一例であって、これらの値に限定されるものではない。また、各実施の形態において説明した撮像装置ISについては、必要に応じて種々組み合わせることが可能である。
【0089】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。