(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、無線通信ネットワークの一例として、LTEネットワークを挙げて説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るメッセージ分析装置1の構成を示すブロック図である。
図1において、メッセージ分析装置1は、メッセージ収集部10とメッセージ解析部12とパラメータ記憶部14とメッセージ対応付け部16とユーザ装置状態管理部18とを備える。メッセージ収集部10は、解析対象のメッセージを収集する。メッセージ解析部12は、該収集されたメッセージを解析する。パラメータ記憶部14は、該解析の結果として得られたパラメータを記憶する。メッセージ対応付け部16は、該記憶されたパラメータに基づいて、メッセージ収集部10で収集されたメッセージとユーザ装置との対応付けを行う。ユーザ装置状態管理部18は、ユーザ装置に対応付けされたメッセージに基づいて、当該ユーザ装置の動作状態の管理を行う。
【0015】
図2は、本実施形態に係るメッセージ分析装置1が適用されるLTEネットワークの一例を示す概略構成図である。
図2において、LTEネットワークは、無線ネットワークとしてのeUTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Network)_30と、コアネットワークとしてのEPC(Evolved Packet Core)_40とを有する。eUTRAN_30は、eNodeB_32(基地局装置)を有する。eNodeB_32は、自己のカバレッジ(coverage:無線通信が可能な範囲)内に在るUE(ユーザ装置)_34と無線通信する。EPC_40は、MME_42(基地局制御装置)、SGW(Serving Gateway)_44、PGW(PDN(Packet Data Network) Gateway)_46、HSS_48など、複数の装置群よって構成されている。
【0016】
メッセージ分析装置1は、一のMME_42と一のeNodeB_32とを相互接続するS1−MMEインタフェースを流れるデータ・パケットを捕捉する。又は、メッセージ分析装置1は、一のMME_42と複数(N個)のeNodeB_32とを各々相互接続する複数(N個)のS1−MMEインタフェースの各々を流れるデータ・パケットを捕捉してもよい。なお、データ・パケットとは、IP(Internet Protocol)ヘッダおよびIPヘッダ以降のペイロードを含むIPパケットのことを指す。
【0017】
次に、本実施形態に係るメッセージ分析装置1の動作を説明する。
図3および
図4は、本実施形態に係るメッセージ分析方法の手順を示すフローチャートである。まず、
図3を参照して、メッセージの収集および解析に係る動作を説明する。メッセージ分析装置1は、各S1−MMEインタフェースを流れるデータ・パケットを捕捉すると、
図3の処理を開始する。
【0018】
(ステップS1)メッセージ収集部10は、各S1−MMEインタフェースを流れるデータ・パケットを捕捉(受信)し、該捕捉したデータ・パケットから解析対象のメッセージを収集する。ここで、本実施形態に係る解析対象のメッセージについて以下に説明する。
【0019】
図5は、本実施形態に係る解析対象のメッセージの種類を示す図表である。本実施形態では、
図5に示される7種類の制御メッセージ「初期UEメッセージ(Initial UE Message)」、「初期コンテキスト設定メッセージ(Initial Context Setup Message)」、「パス切替要求メッセージ(Path Switch Request Message)」、「UEコンテキストリリースメッセージ(UE Context Release Message)」、「ハンドオーバ要求メッセージ(Handover Preparation)」、「ハンドオーバリソース割当メッセージ(Handover Resource Allocation)」、及び「ハンドオーバ通知メッセージ(Handover Notification)」を、解析対象のメッセージとして収集する。初期UEメッセージ、初期コンテキスト設定メッセージ、パス切替要求メッセージ、UEコンテキストリリースメッセージ、ハンドオーバ要求メッセージ、ハンドオーバリソース割当メッセージ、及びハンドオーバ通知メッセージは、
図6に示されるS1−APの制御信号である。
【0020】
図6は、LTEネットワークに係るプロトコルスタックの一つを示す図である。S1−APの制御信号は、eNodeB_32とMME_42との間で交換される。S1−APの制御信号には「S1AP Procedure Code」が付与されている。初期UEメッセージの「S1AP Procedure Code」は「12」、初期コンテキスト設定メッセージの「S1AP Procedure Code」は「9」、パス切替要求メッセージの「S1AP Procedure Code」は「3」、UEコンテキストリリースメッセージの「S1AP Procedure Code」は「23」、ハンドオーバ要求メッセージの「S1AP Procedure Code」は「0」、ハンドオーバリソース割当メッセージの「S1AP Procedure Code」は「1」、ハンドオーバ通知メッセージの「S1AP Procedure Code」は「2」である。
【0021】
初期UEメッセージは、一のeNodeB_32と当該eNodeB_32のカバレッジ内に在る一のUE_34との関連付けの開始を示す関連付け開始メッセージとして機能する。初期コンテキスト設定メッセージは、MME_42の管理下にある一のUE_34と当該MME_42との関連付けを示す関連付け情報メッセージとして機能する。パス切替要求メッセージは、MME_42の管理下にある一のUE_34とeNodeB_32との関連付けの変更を示す関連付け変更メッセージとして機能する。パス切替要求メッセージは、当該UE_34との関連付けの変更先のeNodeB_32から送信される。UEコンテキストリリースメッセージは、一のeNodeB_32と当該eNodeB_32のカバレッジ内に在る一のUE_34との関連付けの解放を示す関連付け解放メッセージとして機能する。
【0022】
図7は、初期UEメッセージ、初期コンテキスト設定メッセージ、パス切替要求メッセージ及びUEコンテキストリリースメッセージの一連の送信順序と送信方向を示すシーケンス図である。初期UEメッセージは、eNodeB_32からMME_42へ送信される。初期コンテキスト設定メッセージは、MME_42からeNodeB_32へ送信される。パス切替要求メッセージは、eNodeB_32からMME_42へ送信される。UEコンテキストリリースメッセージは、eNodeB_32からMME_42へ送信される。なお、UEコンテキストリリースメッセージは、MME_42からeNodeB_32へ送信される場合もある。
【0023】
ハンドオーバ要求メッセージは、ハンドオーバ元のeNodeB_32からMME_42へ送信される。ハンドオーバ要求メッセージは、ハンドオーバ元のeNodeB_32からMME_42に対して、UE_34のハンドオーバの要求を通知するメッセージである。ハンドオーバリソース割当メッセージは、MME_42からハンドオーバ先のeNodeB_32へ送信される。ハンドオーバリソース割当メッセージは、MME_42からハンドオーバ先のeNodeB_32に対して、UE_34のハンドオーバのために、ハンドオーバ先のeNodeB_32のリソースを割当てるように通知するメッセージである。ハンドオーバ通知メッセージは、ハンドオーバ先のeNodeB_32からMME_42へ送信される。ハンドオーバ通知メッセージは、ハンドオーバ先のeNodeB_32からMME_42に対して、ハンドオーバ先のeNodeB_32へのUE_34のハンドオーバの成功を通知するメッセージである。
【0024】
説明を
図3に戻す。
(ステップS2)メッセージ解析部12は、メッセージ収集部10により収集された制御メッセージについての解析を行い、この解析の結果としてパラメータを抽出する。ここで、本実施形態に係る抽出対象のパラメータについて以下に説明する。
【0025】
[初期UEメッセージ]
初期UEメッセージについて、以下のパラメータを抽出する。
(1)交換時刻情報
交換時刻情報は、当該初期UEメッセージがeNodeB_32とMME_42との間で交換された時刻を示す。具体的には、初期UEメッセージが格納されていたデータ・パケットのタイムスタンプ情報に基づいて、当該初期UEメッセージの交換時刻情報を取得する。
(2)送信元IPアドレス
送信元IPアドレスは、当該初期UEメッセージを送信したeNodeB_32のIPアドレスである。具体的には、初期UEメッセージが格納されていたデータ・パケットのIPヘッダから送信元IPアドレスを取得する。
(3)TMSI(Temporary Mobile Subscriber Identifier)パラメータ
TMSIパラメータは、初期UEメッセージから取得される。このTMSIパラメータは、当該初期UEメッセージを送信したeNodeB_32のカバレッジ内に在る一のUE_34に対して付与された一時的な識別子である。TMSIパラメータは、当該eNodeB_32を管理するMME_42の管理下に入ったUE_34に対して、該UE_34を識別するために一時的に、MME_42によって付与される。このTMSIパラメータは、UE_34に固有のIMSIとは異なり、一時的な識別子であるので、実際のUE_34の特定を行うことはできない。なお、UE_34がはじめてMME_42の管理下に入った時にはまだTMSIパラメータが付与されていないので、初期UEメッセージからTMSIパラメータを取得できない。TMSIパラメータを取得できなかった初期UEメッセージについては、廃棄する。
(4)ENB−UE−S1AP−IDパラメータ
ENB−UE−S1AP−IDパラメータは、初期UEメッセージから取得される。このENB−UE−S1AP−IDパラメータは、当該初期UEメッセージのTMSIパラメータで識別されるUE_34と当該初期UEメッセージを送信したeNodeB_32との関連付けを示す基地局・端末関連付け識別情報である。
(5)セルIDパラメータ
セルIDパラメータは、初期UEメッセージから取得される。このセルIDパラメータは、当該初期UEメッセージを送信したeNodeB_32のセルのうち、当該初期UEメッセージのTMSIパラメータで識別されるUE_34が存在するセルの識別子である。
【0026】
[初期コンテキスト設定メッセージ]
初期コンテキスト設定メッセージについて、以下のパラメータを抽出する。
(1)交換時刻情報
交換時刻情報は、当該初期コンテキスト設定メッセージがeNodeB_32とMME_42との間で交換された時刻を示す。具体的には、初期コンテキスト設定メッセージが格納されていたデータ・パケットのタイムスタンプ情報に基づいて、当該初期コンテキスト設定メッセージの交換時刻情報を取得する。
(2)宛先IPアドレス
宛先IPアドレスは、当該初期コンテキスト設定メッセージの宛先のeNodeB_32のIPアドレスである。具体的には、初期コンテキスト設定メッセージが格納されていたデータ・パケットのIPヘッダから宛先IPアドレスを取得する。
(3)MME−UE−S1AP−IDパラメータ
MME−UE−S1AP−IDパラメータは、初期コンテキスト設定メッセージから取得される。このMME−UE−S1AP−IDパラメータは、当該初期コンテキスト設定メッセージを送信したMME_42の管理下にある一のUE_34と当該MME_42との関連付けを示す端末・基地局制御装置関連付け識別情報である。
(4)ENB−UE−S1AP−IDパラメータ
ENB−UE−S1AP−IDパラメータは、初期コンテキスト設定メッセージから取得される。このENB−UE−S1AP−IDパラメータは、当該初期コンテキスト設定メッセージのMME−UE−S1AP−IDパラメータで識別される関連付けに該当するUE_34と当該初期コンテキスト設定メッセージの宛先のeNodeB_32との関連付けを示す基地局・端末関連付け識別情報である。
(5)PDUパラメータ
PDUパラメータは、初期コンテキスト設定メッセージから取得される。PDUパラメータは、同一の「S1AP Procedure Code」である制御メッセージについて、リクエストであるか又は応答であるかを識別するパラメータである。PDUパラメータの、「0」はリクエストを示すものであり、「1」は応答を示すものである。なお、初期コンテキスト設定メッセージ(リクエスト)はMME_42からeNodeB_32へ送信されるが、その応答メッセージはeNodeB_32からMME_42へ送信される。
【0027】
[パス切替要求メッセージ]
パス切替要求メッセージについて、以下のパラメータを抽出する。
(1)交換時刻情報
交換時刻情報は、当該パス切替要求メッセージがeNodeB_32とMME_42との間で交換された時刻を示す。具体的には、パス切替要求メッセージが格納されていたデータ・パケットのタイムスタンプ情報に基づいて、当該パス切替要求メッセージの交換時刻情報を取得する。
(2)送信元IPアドレス
送信元IPアドレスは、当該パス切替要求メッセージを送信したeNodeB_32のIPアドレスであって、当該パス切替要求メッセージに該当するUE_34との関連付けの変更先のeNodeB_32のIPアドレスである。具体的には、パス切替要求メッセージが格納されていたデータ・パケットのIPヘッダから送信元IPアドレスを取得する。
(3)MME−UE−S1AP−IDパラメータ
MME−UE−S1AP−IDパラメータは、パス切替要求メッセージから取得される。このMME−UE−S1AP−IDパラメータは、当該パス切替要求メッセージの宛先であるMME_42の管理下にある一のUE_34であって当該パス切替要求メッセージの関連付け変更に該当するUE_34と、当該MME_42との関連付けを示す端末・基地局制御装置関連付け識別情報である。
(4)ENB−UE−S1AP−IDパラメータ
ENB−UE−S1AP−IDパラメータは、パス切替要求メッセージから取得される。このENB−UE−S1AP−IDパラメータは、当該パス切替要求メッセージのMME−UE−S1AP−IDパラメータで識別される関連付けに該当するUE_34と、当該パス切替要求メッセージを送信したeNodeB_32との関連付けを示す基地局・端末関連付け識別情報である。
(5)セルIDパラメータ
セルIDパラメータは、パス切替要求メッセージから取得される。このセルIDパラメータは、当該パス切替要求メッセージを送信したeNodeB_32のセルのうち、当該パス切替要求メッセージのMME−UE−S1AP−IDパラメータで識別される関連付けに該当するUE_34が存在するセルの識別子である。
(6)PDUパラメータ
PDUパラメータは、パス切替要求メッセージから取得される。PDUパラメータは、同一の「S1AP Procedure Code」である制御メッセージについて、リクエストであるか又は応答であるかを識別するパラメータである。PDUパラメータの、「0」はリクエストを示すものであり、「1」は応答を示すものである。なお、パス切替要求メッセージ(リクエスト)はeNodeB_32からMME_42へ送信されるが、その応答メッセージはMME_42からeNodeB_32へ送信される。
【0028】
[UEコンテキストリリースメッセージ]
UEコンテキストリリースメッセージについて、以下のパラメータを抽出する。
(1)交換時刻情報
交換時刻情報は、当該UEコンテキストリリースメッセージがeNodeB_32とMME_42との間で交換された時刻を示す。具体的には、UEコンテキストリリースメッセージが格納されていたデータ・パケットのタイムスタンプ情報に基づいて、当該UEコンテキストリリースメッセージの交換時刻情報を取得する。
(2)送信元IPアドレス
送信元IPアドレスは、当該UEコンテキストリリースメッセージを送信したeNodeB_32又はMME_42のIPアドレスである。具体的には、UEコンテキストリリースメッセージが格納されていたデータ・パケットのIPヘッダから送信元IPアドレスを取得する。
(3)ENB−UE−S1AP−IDパラメータ
ENB−UE−S1AP−IDパラメータは、UEコンテキストリリースメッセージから取得される。このENB−UE−S1AP−IDパラメータは、当該UEコンテキストリリースメッセージを交換したeNodeB_32と、当該eNodeB_32のカバレッジ内に在る一のUE_34との関連付けを示す基地局・端末関連付け識別情報である。
(4)MME−UE−S1AP−IDパラメータ
MME−UE−S1AP−IDパラメータは、UEコンテキストリリースメッセージから取得される。このMME−UE−S1AP−IDパラメータは、当該UEコンテキストリリースメッセージを交換したMME_42の管理下にある一のUE_34と、当該MME_42との関連付けを示す端末・基地局制御装置関連付け識別情報である。
(5)PDUパラメータ
PDUパラメータは、UEコンテキストリリースメッセージから取得される。PDUパラメータは、同一の「S1AP Procedure Code」である制御メッセージについて、リクエストであるか又は応答であるかを識別するパラメータである。PDUパラメータの、「0」はリクエストを示すものであり、「1」は応答を示すものである。なお、MME_42からeNodeB_32へ送信されたUEコンテキストリリースメッセージ(リクエスト)に対して、eNodeB_32からMME_42へ、その応答メッセージが送信される。
【0029】
[ハンドオーバ要求メッセージ]
ハンドオーバ要求メッセージについて、以下のパラメータを抽出する。
(1)交換時刻情報
交換時刻情報は、当該ハンドオーバ要求メッセージがeNodeB_32とMME_42との間で交換された時刻を示す。具体的には、ハンドオーバ要求メッセージが格納されていたデータ・パケットのタイムスタンプ情報に基づいて、当該ハンドオーバ要求メッセージの交換時刻情報を取得する。
(2)ENB−UE−S1AP−IDパラメータ
ENB−UE−S1AP−IDパラメータは、ハンドオーバ要求メッセージから取得される。ハンドオーバ要求メッセージから取得されたENB−UE−S1AP−IDパラメータは、当該ハンドオーバ要求メッセージを交換したハンドオーバ元のeNodeB_32と、ハンドオーバ対象のUE_34との関連付けを示すハンドオーバ元基地局・ハンドオーバ対象端末関連付け識別情報である。
(3)MME−UE−S1AP−IDパラメータ
MME−UE−S1AP−IDパラメータは、ハンドオーバ要求メッセージから取得される。ハンドオーバ要求メッセージから取得されたMME−UE−S1AP−IDパラメータは、当該ハンドオーバ要求メッセージを交換したMME_42と、ハンドオーバ対象のUE_34との関連付けを示すハンドオーバ対象端末・基地局制御装置関連付け識別情報である。
(4)SOURCE−TO−TARGET−TRANSPARENT−CONTAINER(S2T)パラメータ
S2Tパラメータは、ハンドオーバ要求メッセージ(リクエスト)から取得される。ハンドオーバ要求メッセージ(リクエスト)から取得されたS2Tパラメータは、当該ハンドオーバ要求メッセージを交換したハンドオーバ元のeNodeB_32からハンドオーバ先のeNodeB_32に対して通知される第1のハンドオーバ識別情報である。
(5)TARGET−TO−SOURCE−TRANSPARENT−CONTAINER(T2S)パラメータ
T2Sパラメータは、ハンドオーバ要求メッセージ(応答)から取得される。ハンドオーバ要求メッセージ(応答)から取得されたT2Sパラメータは、当該ハンドオーバ要求メッセージを交換したハンドオーバ元のeNodeB_32に対して、ハンドオーバ先のeNodeB_32から通知される第2のハンドオーバ識別情報である。
(6)PDUパラメータ
PDUパラメータは、ハンドオーバ要求メッセージから取得される。PDUパラメータは、同一の「S1AP Procedure Code」である制御メッセージについて、リクエストであるか又は応答であるかを識別するパラメータである。PDUパラメータの、「0」はリクエストを示すものであり、「1」は応答を示すものである。なお、ハンドオーバ要求メッセージ(リクエスト)はハンドオーバ元のeNodeB_32からMME_42へ送信されるが、その応答メッセージはMME_42からハンドオーバ元のeNodeB_32へ送信される。
【0030】
[ハンドオーバリソース割当メッセージ]
ハンドオーバリソース割当メッセージについて、以下のパラメータを抽出する。
(1)交換時刻情報
交換時刻情報は、当該ハンドオーバリソース割当メッセージがeNodeB_32とMME_42との間で交換された時刻を示す。具体的には、ハンドオーバリソース割当メッセージが格納されていたデータ・パケットのタイムスタンプ情報に基づいて、当該ハンドオーバリソース割当メッセージの交換時刻情報を取得する。
(2)ENB−UE−S1AP−IDパラメータ
ENB−UE−S1AP−IDパラメータは、ハンドオーバリソース割当メッセージ(応答)から取得される。ハンドオーバリソース割当メッセージから取得されたENB−UE−S1AP−IDパラメータは、当該ハンドオーバリソース割当メッセージを交換したハンドオーバ先のeNodeB_32と、ハンドオーバ対象のUE_34との関連付けを示すハンドオーバ先基地局・ハンドオーバ対象端末関連付け識別情報である。
(3)MME−UE−S1AP−IDパラメータ
MME−UE−S1AP−IDパラメータは、ハンドオーバリソース割当メッセージから取得される。ハンドオーバリソース割当メッセージから取得されたMME−UE−S1AP−IDパラメータは、当該ハンドオーバリソース割当メッセージを交換したMME_42と、ハンドオーバ対象のUE_34との関連付けを示すハンドオーバ対象端末・基地局制御装置関連付け識別情報である。
(4)SOURCE−TO−TARGET−TRANSPARENT−CONTAINER(S2T)パラメータ
S2Tパラメータは、ハンドオーバリソース割当メッセージ(リクエスト)から取得される。ハンドオーバリソース割当メッセージ(リクエスト)から取得されたS2Tパラメータは、当該ハンドオーバリソース割当メッセージを交換したハンドオーバ先のeNodeB_32に対してハンドオーバ元のeNodeB_32から通知される第1のハンドオーバ識別情報である。
(5)TARGET−TO−SOURCE−TRANSPARENT−CONTAINER(T2S)パラメータ
T2Sパラメータは、ハンドオーバリソース割当メッセージ(応答)から取得される。ハンドオーバリソース割当メッセージ(応答)から取得されたT2Sパラメータは、当該ハンドオーバリソース割当メッセージを交換したハンドオーバ先のeNodeB_32からハンドオーバ元のeNodeB_32に対して通知される第2のハンドオーバ識別情報である。
(6)PDUパラメータ
PDUパラメータは、ハンドオーバリソース割当メッセージから取得される。PDUパラメータは、同一の「S1AP Procedure Code」である制御メッセージについて、リクエストであるか又は応答であるかを識別するパラメータである。PDUパラメータの、「0」はリクエストを示すものであり、「1」は応答を示すものである。なお、ハンドオーバリソース割当メッセージ(リクエスト)はMME_42からハンドオーバ先のeNodeB_32へ送信されるが、その応答メッセージはハンドオーバ先のeNodeB_32からMME_42へ送信される。
【0031】
[ハンドオーバ通知メッセージ]
ハンドオーバ通知メッセージについて、以下のパラメータを抽出する。
(1)交換時刻情報
交換時刻情報は、当該ハンドオーバ通知メッセージがeNodeB_32とMME_42との間で交換された時刻を示す。具体的には、ハンドオーバ通知メッセージが格納されていたデータ・パケットのタイムスタンプ情報に基づいて、当該ハンドオーバ通知メッセージの交換時刻情報を取得する。
(2)ENB−UE−S1AP−IDパラメータ
ENB−UE−S1AP−IDパラメータは、ハンドオーバ通知メッセージから取得される。ハンドオーバ通知メッセージから取得されたENB−UE−S1AP−IDパラメータは、当該ハンドオーバ通知メッセージを交換したハンドオーバ先のeNodeB_32と、ハンドオーバ対象のUE_34との関連付けを示すハンドオーバ先基地局・ハンドオーバ対象端末関連付け識別情報である。
(3)MME−UE−S1AP−IDパラメータ
MME−UE−S1AP−IDパラメータは、ハンドオーバ通知メッセージから取得される。ハンドオーバ通知メッセージから取得されたMME−UE−S1AP−IDパラメータは、当該ハンドオーバ通知メッセージを交換したMME_42と、ハンドオーバ対象のUE_34との関連付けを示すハンドオーバ対象端末・基地局制御装置関連付け識別情報である。
(4)PDUパラメータ
PDUパラメータは、ハンドオーバ通知メッセージから取得される。PDUパラメータは、同一の「S1AP Procedure Code」である制御メッセージについて、リクエストであるか又は応答であるかを識別するパラメータである。PDUパラメータの、「0」はリクエストを示すものであり、「1」は応答を示すものである。なお、ハンドオーバ通知メッセージ(リクエスト)はハンドオーバ先のeNodeB_32からMME_42へ送信されるが、その応答メッセージはMME_42からハンドオーバ先のeNodeB_32へ送信される。
【0032】
以上が本実施形態に係る抽出対象のパラメータについての説明である。なお、制御メッセージの解析に既存の解析ソフトウェアを利用する場合、解析ソフトウェアによってはPDUパラメータを取得する機能を有さないことがある。この場合、送信元IPアドレスおよび宛先IPアドレスを使用することにより、制御メッセージの送信方向(リクエストであるか、又は、応答であるか)を判断することができる。
【0033】
説明を
図3に戻す。
(ステップS3)メッセージ解析部12は、ステップS2の解析の結果として得られたパラメータをパラメータ記憶部14に記録する。パラメータ記憶部14には、各パラメータが当該パラメータの取得元の制御メッセージに関連付けて記憶される。
【0034】
次に、
図4を参照して、メッセージの対応付けおよびユーザ装置状態の判定に係る動作を説明する。メッセージ分析装置1は、オペレータからの指示や所定のタイミングにより
図4の処理を開始する。例えば、毎日一回、所定の時刻に、
図4の処理を開始する。
【0035】
(ステップS11)メッセージ対応付け部16は、パラメータ記憶部14に記憶されているパラメータに基づいて、メッセージ収集部10で収集された制御メッセージとUE_34との対応付け(マッピング)を行う。この対応付けの対象の制御メッセージは、所定の期間においてメッセージ収集部10で収集されたものである。例えば、毎日一回、所定の時刻に、
図4の処理が開始される場合、前日の
図4の処理分以降にメッセージ収集部10で収集された一日分の制御メッセージが、当日の対応付けの対象となる。以下、
図8を参照して、本実施形態に係る制御メッセージとUE_34との対応付けについて説明する。
図8は、
図4に示すステップS11の処理手順を示すフローチャートである。
【0036】
(ステップS111)メッセージ対応付け部16は、対応付けの対象の制御メッセージを、各交換時刻情報により交換時刻の早い順にソートする。
【0037】
(ステップS112)メッセージ対応付け部16は、ソート後の対応付けの対象の制御メッセージの中から、初期UEメッセージを順番に選択し、各初期UEメッセージの対応付けを行う。この初期UEメッセージの対応付けでは、一の対応付けの対象の初期UEメッセージ(対象初期UEメッセージ)について、TMSIパラメータをUE_34の識別子として対応付けると共に、送信元IPアドレスをeNodeB_32の識別子として対応付け、さらにENB−UE−S1AP−IDパラメータを対応付ける。これにより、「対象初期UEメッセージ、TMSIパラメータ、送信元IPアドレス、ENB−UE−S1AP−IDパラメータ」という対応付けが構成される。なお、説明の便宜上、以降のステップS113、S114、S115の処理の説明では、一の対象初期UEメッセージについての処理を説明する。
【0038】
(ステップS113)メッセージ対応付け部16は、対象初期UEメッセージよりも後の初期コンテキスト設定メッセージの中から、PDUパラメータの値が0であり、且つ、宛先IPアドレス(eNodeB_32)が対象初期UEメッセージの送信元IPアドレス(eNodeB_32)と同じであり、且つ、対象初期UEメッセージのENB−UE−S1AP−IDパラメータと同じENB−UE−S1AP−IDパラメータを有する、最初の初期コンテキスト設定メッセージを選択する。そして、メッセージ対応付け部16は、対象初期UEメッセージに対して、該選択された初期コンテキスト設定メッセージ(対象初期コンテキスト設定メッセージ)のMME−UE−S1AP−IDパラメータを対応付ける。これにより、「対象初期UEメッセージ、TMSIパラメータ、送信元IPアドレス、ENB−UE−S1AP−IDパラメータ、MME−UE−S1AP−IDパラメータ」という対応付けが構成される。
【0039】
なお、上記ステップS113における対象初期コンテキスト設定メッセージの選択条件のうち、初期コンテキスト設定メッセージの宛先IPアドレスが対象初期UEメッセージの送信元IPアドレスと同じであることは、メッセージ分析装置1が一のMME_42と一のeNodeB_32とを相互接続するS1−MMEインタフェースを流れるデータ・パケットのみを捕捉する場合には不要である。一方、メッセージ分析装置1が一のMME_42と複数(N個)のeNodeB_32とを各々相互接続する複数(N個)のS1−MMEインタフェースの各々を流れるデータ・パケットを捕捉する場合には、異なるeNodeB_32間でENB−UE−S1AP−IDパラメータが重複する可能性があるので、初期コンテキスト設定メッセージの宛先IPアドレスが対象初期UEメッセージの送信元IPアドレスと同じであることを、上記ステップS113における対象初期コンテキスト設定メッセージの選択条件に含める。
【0040】
(ステップS114)メッセージ対応付け部16は、対象初期コンテキスト設定メッセージよりも後のパス切替要求メッセージの中から、PDUパラメータの値が0であり、且つ、対象初期コンテキスト設定メッセージのENB−UE−S1AP−IDパラメータと同じENB−UE−S1AP−IDパラメータを有する、パス切替要求メッセージを選択する。次いで、メッセージ対応付け部16は、選択されたパス切替要求メッセージのうち、対象初期コンテキスト設定メッセージのMME−UE−S1AP−IDパラメータと同じMME−UE−S1AP−IDパラメータを有するパス切替要求メッセージを、対象パス切替要求メッセージとして対象初期UEメッセージに対応付ける。これにより、「対象初期UEメッセージ、TMSIパラメータ、送信元IPアドレス、ENB−UE−S1AP−IDパラメータ、MME−UE−S1AP−IDパラメータ、対象パス切替要求メッセージ」という対応付けが構成される。
【0041】
(ステップS115)メッセージ対応付け部16は、対象初期コンテキスト設定メッセージよりも後のUEコンテキストリリースメッセージの中から、PDUパラメータの値が1であり、且つ、以下の選択条件a、b又はcのいずれかを満たす、最初のUEコンテキストリリースメッセージを選択する。
【0042】
(選択条件a)UEコンテキストリリースメッセージのMME−UE−S1AP−IDパラメータが対象パス切替要求メッセージのMME−UE−S1AP−IDパラメータと同じである。
【0043】
(選択条件b)UEコンテキストリリースメッセージのMME−UE−S1AP−IDパラメータが対象初期コンテキスト設定メッセージのMME−UE−S1AP−IDパラメータと同じである。
【0044】
(選択条件c)UEコンテキストリリースメッセージのENB−UE−S1AP−IDパラメータが対象初期UEメッセージのENB−UE−S1AP−IDパラメータと同じである。
【0045】
次いで、メッセージ対応付け部16は、対象初期UEメッセージと該選択されたUEコンテキストリリースメッセージ(対象UEコンテキストリリースメッセージ)とを対応付ける。これにより、「対象初期UEメッセージ、TMSIパラメータ、送信元IPアドレス、ENB−UE−S1AP−IDパラメータ、MME−UE−S1AP−IDパラメータ、対象パス切替要求メッセージ、対象UEコンテキストリリースメッセージ」という対応付けが構成される。
【0046】
上記ステップS113、S114、S115の処理は、上記ステップS112で選択された対象初期UEメッセージの各々に対して行われる。これにより、対象初期UEメッセージ毎に、「対象初期UEメッセージ、TMSIパラメータ、送信元IPアドレス、ENB−UE−S1AP−IDパラメータ、MME−UE−S1AP−IDパラメータ、対象パス切替要求メッセージ、対象UEコンテキストリリースメッセージ」という対応付けが構成される。
【0047】
(ステップS116)メッセージ対応付け部16は、全ての対象初期UEメッセージの中から、各々の対象初期UEメッセージに対応付けされているENB−UE−S1AP−IDパラメータ同士またはMME−UE−S1AP−IDパラメータ同士が同じである対象初期UEメッセージを選択する。次いで、メッセージ対応付け部16は、選択された対象初期UEメッセージ同士を対応付ける。これは、TMSIパラメータの再割り当てや再利用への対処である。TMSIパラメータはUE_34の一時的な識別子である。このため、同じUE_34に対して、異なる値のTMSIパラメータが割り当てられる可能性がある。一方、同じUE_34に対して、TMSIパラメータが変更されても、ENB−UE−S1AP−IDパラメータ及びMME−UE−S1AP−IDパラメータは変わらず同じ値である。これにより、ENB−UE−S1AP−IDパラメータ同士またはMME−UE−S1AP−IDパラメータ同士が同じである対象初期UEメッセージは、同じUE_34に関する初期UEメッセージであるので、対応付けを行う。
【0048】
(ステップS117)メッセージ対応付け部16は、ハンドオーバ関連メッセージの対応付けを行う。本実施形態において、ハンドオーバ要求メッセージ、ハンドオーバリソース割当メッセージ及びハンドオーバ通知メッセージは、ハンドオーバ関連メッセージである。
図9は、ハンドオーバに係るメッセージシーケンスの例を示すシーケンス図である。以下、
図9を参照して、ハンドオーバに係るメッセージシーケンスを説明する。
【0049】
(ステップS201)ハンドオーバ元のeNodeB_32(Source eNB)が初期UEメッセージ(S1AP Procedure Code「12」)をMME_42へ送信する。
【0050】
(ステップS202)MME_42は、ハンドオーバ元のeNodeB_32から初期UEメッセージを受信すると、初期コンテキスト設定メッセージ(S1AP Procedure Code「9」、リクエスト)をハンドオーバ元のeNodeB_32へ送信する。
【0051】
(ステップS203)ハンドオーバ元のeNodeB_32は、MME_42から初期コンテキスト設定メッセージ(リクエスト)を受信すると、初期コンテキスト設定メッセージ(応答)をMME_42へ送信する。
【0052】
(ステップS204)ハンドオーバ元のeNodeB_32がハンドオーバ要求メッセージ(S1AP Procedure Code「0」、リクエスト)をMME_42へ送信する。
【0053】
(ステップS205)MME_42は、ハンドオーバ元のeNodeB_32からハンドオーバ要求メッセージ(リクエスト)を受信すると、ハンドオーバリソース割当メッセージ(S1AP Procedure Code「1」、リクエスト)をハンドオーバ先のeNodeB_32(Target eNB)へ送信する。このハンドオーバリソース割当メッセージ(リクエスト)に含まれるMME−UE−S1AP−IDパラメータ及びS2Tパラメータは、ステップS204のハンドオーバ要求メッセージ(リクエスト)に含まれるMME−UE−S1AP−IDパラメータ及びS2Tパラメータと各々同じ値である。
【0054】
(ステップS206)ハンドオーバ先のeNodeB_32は、MME_42からハンドオーバリソース割当メッセージ(リクエスト)を受信すると、ハンドオーバリソース割当メッセージ(応答)をMME_42へ送信する。
【0055】
(ステップS207)MME_42は、ハンドオーバ先のeNodeB_32からハンドオーバリソース割当メッセージ(応答)を受信すると、ハンドオーバ要求メッセージ(応答)をハンドオーバ元のeNodeB_32へ送信する。このハンドオーバ要求メッセージ(応答)に含まれるMME−UE−S1AP−IDパラメータ及びT2Sパラメータは、ステップS206のハンドオーバリソース割当メッセージ(応答)に含まれるMME−UE−S1AP−IDパラメータ及びT2Sパラメータと各々同じ値である。
【0056】
(ステップS208)ハンドオーバ元のeNodeB_32が「eNB Status Transfer」メッセージ(S1AP Procedure Code「24」)をMME_42へ送信する。
【0057】
(ステップS209)MME_42は、ハンドオーバ元のeNodeB_32から「eNB Status Transfer」メッセージを受信すると、「MME Status Transfer」メッセージ(S1AP Procedure Code「25」)をハンドオーバ先のeNodeB_32へ送信する。
【0058】
(ステップS210)ハンドオーバ先のeNodeB_32がハンドオーバ通知メッセージ(S1AP Procedure Code「2」)をMME_42へ送信する。
【0059】
(ステップS211)MME_42は、ハンドオーバ先のeNodeB_32からハンドオーバ通知メッセージを受信すると、UEコンテキストリリースメッセージ(S1AP Procedure Code「23」、リクエスト)をハンドオーバ元のeNodeB_32へ送信する。
【0060】
(ステップS212)ハンドオーバ元のeNodeB_32は、MME_42からUEコンテキストリリースメッセージ(リクエスト)を受信すると、UEコンテキストリリースメッセージ(応答)をMME_42へ送信する。
【0061】
以上が
図9のハンドオーバに係るメッセージシーケンスの説明である。
【0062】
S1ハンドオーバは、一のMME_42が管理する複数のトラッキングエリアにおいて、異なるトラッキングエリア間のハンドオーバである。各トラッキングエリアには、当該MME_42に接続される一又は複数のeNodeBが配置される。S1ハンドオーバによってUE_34が在圏するトラッキングエリアが変わると、同じUE_34に対して異なる値のTMSIパラメータが割り当てられる可能性がある。一方、同じUE_34に対して、在圏するトラッキングエリアが変更されても、MME−UE−S1AP−IDパラメータは変わらず同じ値である。これにより、メッセージ対応付け部16は、MME−UE−S1AP−IDパラメータに基づいて、同じUE_34に関するハンドオーバ関連メッセージの対応付けを行う。以下に、ハンドオーバ関連メッセージの対応付けの具体例を示す。
【0063】
メッセージ対応付け部16は、対象初期UEメッセージ毎に、ハンドオーバ関連メッセージの対応付けを行う。メッセージ対応付け部16は、対象初期UEメッセージに対応付けされているMME−UE−S1AP−IDパラメータと同じMME−UE−S1AP−IDパラメータを有するハンドオーバ要求メッセージに含まれるS2Tパラメータ及びT2Sパラメータを、当該対象初期UEメッセージに対応付ける。これにより、「対象初期UEメッセージ、TMSIパラメータ、送信元IPアドレス、ENB−UE−S1AP−IDパラメータ、MME−UE−S1AP−IDパラメータ、対象パス切替要求メッセージ、対象UEコンテキストリリースメッセージ、S2Tパラメータ、T2Sパラメータ」という対応付けが構成される。
【0064】
次いで、メッセージ対応付け部16は、対象初期UEメッセージに対応付けされているT2Sパラメータと同じT2Sパラメータを有するハンドオーバリソース割当メッセージ(応答)に含まれるENB−UE−S1AP−IDパラメータを、ハンドオーバ先ENB−UE−S1AP−IDパラメータとして当該対象初期UEメッセージに対応付ける。これにより、「対象初期UEメッセージ、TMSIパラメータ、送信元IPアドレス、ENB−UE−S1AP−IDパラメータ、MME−UE−S1AP−IDパラメータ、対象パス切替要求メッセージ、対象UEコンテキストリリースメッセージ、S2Tパラメータ、T2Sパラメータ、ハンドオーバ先ENB−UE−S1AP−IDパラメータ」という対応付けが構成される。
【0065】
次いで、メッセージ対応付け部16は、対象初期UEメッセージに対応付けされているMME−UE−S1AP−IDパラメータ及びハンドオーバ先ENB−UE−S1AP−IDパラメータと同じMME−UE−S1AP−IDパラメータ及びENB−UE−S1AP−IDパラメータを有するハンドオーバ通知メッセージを、対象ハンドオーバ通知メッセージとして当該対象初期UEメッセージに対応付ける。これにより、「対象初期UEメッセージ、TMSIパラメータ、送信元IPアドレス、ENB−UE−S1AP−IDパラメータ、MME−UE−S1AP−IDパラメータ、対象パス切替要求メッセージ、対象UEコンテキストリリースメッセージ、S2Tパラメータ、T2Sパラメータ、ハンドオーバ先ENB−UE−S1AP−IDパラメータ、対象ハンドオーバ通知メッセージ」という対応付けが構成される。
【0066】
以上がハンドオーバ関連メッセージの対応付けの具体例の説明である。
上記ステップS117のハンドオーバ関連メッセージの対応付けによって、ハンドオーバ対象のUE_34に関し、ハンドオーバ先のeNodeB_32におけるENB−UE−S1AP−IDパラメータ(ハンドオーバ先ENB−UE−S1AP−IDパラメータ)が対象初期UEメッセージに対応付けされる。これにより、S1ハンドオーバ後においてはハンドオーバ先ENB−UE−S1AP−IDパラメータに基づいて制御メッセージの対応付けを行うことにより、S1ハンドオーバの前後で、同じUE_34(ハンドオーバ対象のUE_34)に関する制御メッセージの対応付けを継続して行うことができる。
【0067】
なお、ステップS117において、該当するハンドオーバ要求メッセージが存在しない場合には、対象初期UEメッセージに対するS2Tパラメータ、T2Sパラメータ、ハンドオーバ先ENB−UE−S1AP−IDパラメータ及びハンドオーバ通知メッセージの対応付けは行われない。
【0069】
説明を
図4に戻す。
(ステップS12,S13,S14)ユーザ装置状態管理部18は、ステップS11の対応付けの結果として同一のMME−UE−S1AP−IDパラメータに対応付けされた制御メッセージに基づいて、当該MME−UE−S1AP−IDパラメータに該当するUE_34の動作状態を判定する。以下に、以下に、UE_34の動作状態の判定方法の例1を示す。
【0070】
(UE_34の動作状態の判定方法の例1)
LTEネットワークにおいて、アクティブ状態のUE_34が一定時間Th以上の間継続して無通信状態である場合には、当該UE_34はアクティブ状態からアイドル状態へ遷移する。このことから、UE_34が一定時間Th以上の間継続して無通信状態であることを判定することにより、当該UE_34がアクティブ状態であるのか又はアイドル状態であるのかを推定する。
【0071】
ユーザ装置状態管理部18は、MME−UE−S1AP−IDパラメータ毎に、当該MME−UE−S1AP−IDパラメータに該当するUE_34の動作状態の判定を行う。ユーザ装置状態管理部18は、MME−UE−S1AP−IDパラメータに対応付けされた制御メッセージのうち、交換時刻情報の交換時刻が最も早い制御メッセージと交換時刻情報の交換時刻が最も遅い制御メッセージとの各交換時刻情報に基づいて、最も早い交換時刻から最も遅い交換時刻までの経過時間Tを算出する。ユーザ装置状態管理部18は、算出した経過時間Tが所定の閾値α以上であるかを判定する(ステップS12)。閾値αは、上記一定時間Thに基づいて、予め、ユーザ装置状態管理部18に設定される。
【0072】
ユーザ装置状態管理部18は、ステップS12の判定の結果、経過時間Tが閾値α以上である場合には、当該経過時間Tの期間における当該UE_34の動作状態を「アクティブ状態」であると判定する(ステップS13)。一方、ユーザ装置状態管理部18は、ステップS12の判定の結果、経過時間Tが閾値α未満である場合には、当該経過時間Tの期間における当該UE_34の動作状態を「アイドル状態」であると判定する(ステップS14)。ユーザ装置状態管理部18は、UE_34の動作状態の判定結果を記録する。
以上がUE_34の動作状態の判定方法の例1の説明である。
【0074】
(UE_34の動作状態の判定方法の例2)
ユーザ装置状態管理部18は、MME−UE−S1AP−IDパラメータ毎に、当該MME−UE−S1AP−IDパラメータに該当するUE_34の動作状態の判定を行う。ユーザ装置状態管理部18は、MME−UE−S1AP−IDパラメータに対応付けされた制御メッセージのうち、対象UEコンテキストリリースメッセージを選択する。但し、S1ハンドオーバに係るメッセージシーケンスで発生した対象UEコンテキストリリースメッセージは除外する。次いで、ユーザ装置状態管理部18は、選択された対象UEコンテキストリリースメッセージの交換時刻情報の交換時刻に、当該MME−UE−S1AP−IDパラメータに該当するUE_34がアクティブ状態からアイドル状態へ遷移したと判定する。
【0075】
図10〜
図14は、本実施形態に係る制御メッセージの対応付けの例を示す図表である。
図10〜
図14において「S1AP Procedure Code」及びPDUパラメータ以外の各パラメータの値、並びに時刻の値は、説明の便宜上の値である。また、以下の説明では、制御メッセージの「S1AP Procedure Code」をカッコ内に記す。
【0076】
図10の例では、対象初期UEメッセージ(12)に対して、該対象初期UEメッセージ(12)と同じeNodeB_32から送信され且つ該対象初期UEメッセージ(12)と同じENB−UE−S1AP−IDパラメータを有する対象UEコンテキストリリースメッセージ(23)が対応付けられている。なお、この例において、メッセージ分析装置1が、一のeNodeB_32と一のMME_42との間で交換されるデータ・パケットだけを捕捉する場合には、
図13に示されるように、初期コンテキスト設定メッセージ(9)なし(つまり、MME−UE−S1AP−IDパラメータの対応付けなし)であっても、ENB−UE−S1AP−IDパラメータによって対象初期UEメッセージ(12)と対象UEコンテキストリリースメッセージ(23)との対応付けを行うことができる。
【0077】
図11の例は、メッセージ分析装置1が、複数のeNodeB_32と一のMME_42との間で交換されるデータ・パケットのみを捕捉する場合である。この場合、異なるeNodeB_32でも同じENB−UE−S1AP−IDパラメータが使用される可能性があるので、対象初期UEメッセージ(12)に対して、対象初期コンテキスト設定メッセージ(9)のMME−UE−S1AP−IDパラメータの対応付けを行う。これにより、MME−UE−S1AP−IDパラメータに基づいて、対象初期UEメッセージ(12)と対象UEコンテキストリリースメッセージ(23)とを対応付けることができる。
【0078】
図12の例は、一のMME_42の管理下において、UE_34の関連付けの相手となるeNodeB_32が変更された場合である。例えば、UE_34が、あるeNodeB_32のカバレッジ内で当該eNodeB_32にアタッチしてから、他のeNodeB_32のカバレッジ内へ移動した(ハンドオーバした)場合である。この場合、対象初期UEメッセージ(12)とは異なるeNodeB_32から、対象UEコンテキストリリースメッセージ(23)が送信される可能性がある。このため、対象初期UEメッセージ(12)に対して、対象初期コンテキスト設定メッセージ(9)のMME−UE−S1AP−IDパラメータの対応付けを行う。これにより、MME−UE−S1AP−IDパラメータに基づいて、対象初期UEメッセージ(12)と対象UEコンテキストリリースメッセージ(23)とを対応付けることができる。
【0079】
なお、UE_34が、第1のeNodeB_32のカバレッジ内で当該第1のeNodeB_32にアタッチしてから、他の第2のeNodeB_32のカバレッジ内へ移動した(ハンドオーバした)後に、再び元の第1のeNodeB_32のカバレッジ内へ戻った(再度ハンドオーバした)場合、第1のeNodeB_32におけるENB−UE−S1AP−IDパラメータとして、ハンドオーバ前の値とハンドオーバ後に戻ってきてからの値とが同じになるとは限らない。このため、対象初期UEメッセージと対象UEコンテキストリリースメッセージとが同じeNodeB_32から送信されていたとしても、双方のENB−UE−S1AP−IDパラメータが異なる可能性があるが、MME−UE−S1AP−IDパラメータが同じであることによって、対象初期UEメッセージと対象UEコンテキストリリースメッセージの対応付けを行うことができる。
【0080】
図13の例では、対象初期UEメッセージ(12)に対して、該対象初期UEメッセージ(12)と同じeNodeB_32から送信され且つ該対象初期UEメッセージ(12)と同じENB−UE−S1AP−IDパラメータを有する対象UEコンテキストリリースメッセージ(23)が対応付けられている。
【0081】
図14の例では、ハンドオーバ関連メッセージの対応付けが行われている。
図14は、上記
図9のハンドオーバに係るメッセージシーケンスの例に対応している。
図14において、項番(No)には、説明の便宜上、
図9中の対応するステップの符号を使用している。なお、
図9中のステップS208の「eNB Status Transfer」メッセージ(24)とステップS209の「MME Status Transfer」メッセージ(25)とは、本実施形態では対応付けが行われない。
【0082】
図14において、No.S201の対象初期UEメッセージ(12)とNo.S202,S203の対象初期コンテキスト設定メッセージ(9)とが同一のENB−UE−S1AP−IDパラメータ「100」によって対応付けされる。さらに、対象初期コンテキスト設定メッセージ(9)のMME−UE−S1AP−IDパラメータ「200」によって、該MME−UE−S1AP−IDパラメータ「200」と同じMME−UE−S1AP−IDパラメータ「200」を有する、No.S204〜S212の制御メッセージがNo.S201〜S203の制御メッセージと対応付けされる。これにより、No.S201〜S212の制御メッセージは、MME−UE−S1AP−IDパラメータ「200」に対応する同一のUE_34に関する制御メッセージである。これにより、MME−UE−S1AP−IDパラメータ「200」によって対応付けされた制御メッセージに基づいて、該MME−UE−S1AP−IDパラメータ「200」に対応する同一のUE_34の動作状態を判定することができる。
【0083】
また、
図14において、No.S204〜S210のハンドオーバ関連メッセージは、MME−UE−S1AP−IDパラメータ「200」に対応する同一のUE_34に関するハンドオーバ関連メッセージである。さらに、No.S206、S210のハンドオーバ関連メッセージのENB−UE−S1AP−IDパラメータ「150」は、ハンドオーバ先ENB−UE−S1AP−IDパラメータである。これにより、MME−UE−S1AP−IDパラメータ「200」に対応するUE_34に関して、ハンドオーバ後に接続しているeNodeB_32のENB−UE−S1AP−IDパラメータ「150」によって、ハンドオーバ後も継続して制御メッセージの対応付けを行うことができる。
【0084】
上述した実施形態によれば、S1−MMEインタフェースを流れるデータ・パケットを捕捉し、捕捉されたデータ・パケットから収集された特定の複数種類の制御メッセージをMME−UE−S1AP−IDパラメータに基づいてUE_34毎に対応付けすることができる。これにより、eNodeB_32とMME_42との間で交換される制御メッセージとUE_34との対応付け範囲の拡大を図ることができる。また、同一のUE_34に対応付けされた制御メッセージに基づいて、当該UE_34の動作状態を判定することができる。例えば、S1ハンドオーバの対象となったUE_34の動作状態を把握することが容易となる。また、TMSIパラメータの再割り当てや再利用のために同じUE_34に対して異なる値のTMSIパラメータが割り当てられた場合、TMSIパラメータによってUE_34の識別ができなくなるが、この場合にも、本実施形態によれば、異なる値のTMSIパラメータが割り当てられたUE_34の動作状態を判定することができる。
【0085】
また、本実施形態によれば、UE_34がアクティブ状態であるか又はアイドル状態であるのかを把握し、UE_34の状態を管理することによって、例えば、アイドル状態であるUE_34の比率を算出することができる。
【0086】
また、特定の複数の種類の制御メッセージの対応付けの結果が通常とは異なるシーケンスを示すことを判定することによって、例えば端末ソフトウェアのバグのために異常なシーケンスを示すUE_34を検出することができる。
【0087】
また、S1−MMEインタフェース上には膨大な数のメッセージが流れているが、本実施形態によれば7種類の制御メッセージ「初期UEメッセージ、初期コンテキスト設定メッセージ、パス切替要求メッセージ、UEコンテキストリリースメッセージ、ハンドオーバ要求メッセージ、ハンドオーバリソース割当メッセージ、及びハンドオーバ通知メッセージ」に限定して収集することで、解析対象のメッセージの数を大幅に削減できる。
【0088】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0089】
例えば、上述した実施形態ではLTEネットワークに適用したが、他の無線通信ネットワークに適用してもよい。
【0090】
また、上述したメッセージ分析装置1の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disk)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0091】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。