特許第6396836号(P6396836)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6396836建造物の躯体の組み立て方法、建造物の躯体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396836
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】建造物の躯体の組み立て方法、建造物の躯体
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/26 20060101AFI20180913BHJP
   E04B 2/70 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   E04B1/26 A
   E04B2/70
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-66336(P2015-66336)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-186161(P2016-186161A)
(43)【公開日】2016年10月27日
【審査請求日】2017年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】303021986
【氏名又は名称】株式会社ハートワークスデザインオフィス
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】栗田 正光
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−238540(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/040534(WO,A1)
【文献】 仏国特許発明第02256011(FR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B1/26
E04B2/70
E04B1/10
E04C2/40
B27M3/00
E04B1/58
E04G21/14−21/22
E04B1/18
E04B1/343
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の下側横架材を互いに間隔を開けて備える工程と、前記複数の下側横架材の間に互いに対向するように備えて前記柱を前記下側横架材に固定する工程と、前記複数の柱の上端部の間に上側横架材を備えて固定する工程とを有する建造物の躯体の組み立て方法において、
前記柱の上端部途中で、且つ柱どうしの間に介装部材を互いに対向するように備えて仮固定して、前記互いに対向する介装部材に載置用材を渡設し、前記載置用材に前記複数の上側横架材を載置して、上側横架材の柱に対する固定作業を行い、前記固定作業終了後に前記載置用材を側方へ引き抜いて除去することを特徴とする建造物の躯体の組み立て方法。
【請求項2】
請求項1に記載した建造物の躯体の組み立て方法において、載置用材を除去した後に、介装部材の仮固定を解除して上方へスライドさせ、前記介装部材の上端面を前記上側横架材に当接させて、その状態で介装部材を柱に固定することを特徴とする建造物の躯体の組み立て方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載した建造物の躯体の組み立て方法によって製作されたことを特徴とする建造物の躯体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建造物の躯体の組み立て方法、建造物の躯体に係り、特に角材を組み合わせて成る建造物の躯体の組み立て方法、建造物の躯体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された躯体構造は長寸法を除き同じ寸法の角材を組み合わせて構成されたものであり、等間隔を開けて複数の柱を立設し、この柱どうしの間には短寸法の介装部材が介装されている。そして、介装部材に支持させるようにして水平方向へ上側横架材を配置して柱に固定している。すなわち、柱どうしの隙間に上側横架材が備えられ、上側横架材が介装部材に支持された状態となっている。
特許文献1の出願人によって新規な建造物の躯体が開発され、この躯体は材料の削減を図るため介装部材を一つ置きに備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−346579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、介装部材を一つ置きに備えた建造物の躯体は上記従来の躯体と異なり、介装部材を備えていない箇所において上側横架材を支持する部材が存在しないことになる。このため、組み立ての際に上側横架材を手で持ったり、仮の支持柱を立てて、この支持柱に上側横架材を支持したりすることが必要となる。従って、介装部材を一つ置きに備えた建造物の躯体は組み立て作業に手間がかかり作業効率が悪くなってしまうという問題がある。
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、柱どうしの間に介装部材を備えていない箇所があっても、上側横架材を取り付ける作業を効率よく行うことができる建造物の躯体の組み立て方法、建造物の躯体の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、複数の下側横架材を互いに間隔を開けて備える工程と、前記複数の下側横架材の間に互いに対向するように備えて前記柱を前記下側横架材に固定する工程と、前記複数の柱の上端部の間に上側横架材を備えて固定する工程とを有する建造物の躯体の組み立て方法において、
前記柱の上端部途中で、且つ柱どうしの間に介装部材を互いに対向するように備えて仮固定して、前記互いに対向する介装部材に載置用材を渡設し、前記載置用材に前記複数の上側横架材を載置して、上側横架材の柱に対する固定作業を行い、前記固定作業終了後に前記載置用材を側方へ引き抜いて除去することを特徴とする建造物の躯体の組み立て方法である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載した建造物の躯体の組み立て方法において、載置用材を除去した後に、介装部材の仮固定を解除して上方へスライドさせ、前記介装部材の上端面を前記上側横架材に当接させて、その状態で介装部材を柱に固定することを特徴とする建造物の躯体の組み立て方法である。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した建造物の躯体の組み立て方法によって製作されたことを特徴とする建造物の躯体である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の建造物の躯体の組み立て方法、建造物の躯体によれば、柱どうしの間に介装部材を備えていない箇所があっても、上側横架材を取り付ける作業を簡単に効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る建造物の躯体の斜視図である。
図2図1の建造物の躯体の組み立て方法を説明するための斜視図である。
図3図1の建造物の躯体の組み立て方法を説明するための斜視図である。
図4図1の建造物の躯体の組み立て方法を説明するための斜視図である。
図5図1の建造物の躯体の組み立て方法を説明するための斜視図である。
図6図1の建造物の躯体の組み立て方法を説明するための斜視図である。
図7図1の建造物の躯体の組み立て方法を説明するための斜視図である。
図8図1の建造物の躯体の組み立て工程において介装部材を仮固定した状態を示す図である。
図9図8に示した介装部材を仮固定した位置から上方へ移動し本固定した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係る建造物の躯体の組み立て方法によって組み立てられる建造物の躯体1を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、躯体1は正四角柱状の角材である下側横架材3、柱5、介装部材7及び上側横架材9を組み合わせてボルトとナットによって連結して構成されている。
下側横架材3、柱5、介装部材7及び上側横架材9は、平面(底面)の4つの辺の長さが全て等しく、4つの角の角度が全て等しい角柱である。以下、この一辺の長さを寸法1Aといい、更に寸法1Aの2倍、3倍、4倍の寸法を2A、3A、4Aで表す。
下側横架材3と上側横架材9は同じ長さ寸法で、柱5は下側横架材3、上側横架材9より長寸法であり、介装部材7は下側横架材3、上側横架材9の約七分の一の長さ寸法となっている。
【0011】
まず、躯体1の構成について説明する。
以下の説明において、下側横架材3、柱5、介装部材7及び上側横架材9それぞれについて、説明の便宜のため各部材が備えられる位置を示す等の必要に応じて数字の後にa、b、c…を付して区別するものとする。
下側横架材3は合計11本あり、互いに平行になるように配置されており、下側横架材3a、3bが寸法1Aの間隔を開けて備えられ、更に下側横架材3bに対し寸法4A分の間隔を開けて下側横架材3cが備えられている。下側横架材3c、3d、3e、3f、3gは隣り合うものどうし寸法1Aの間隔を開けて備えられ、更に下側横架材3gに対し寸法4Aの間隔を開けて下側横架材3hが備えられている。下側横架材3hに対し寸法1Aの間隔を開けて下側横架材3iが備えられている。
【0012】
下側横架材3a、3bの間の隙間には柱5a、5bが備えられ、柱5a、5bの下端部が下側横架材3a、3bに挟持されている。柱5a、5bは下側横架材3a、3bの左右の端面からそれぞれ寸法1A分寄った位置に備えられている。
これと同様に、下側横架材3c、3dの間の隙間には柱5c、5dの下端部が、下側横架材3d、3eの間の隙間には柱5e、5fの下端部が、下側横架材3e、3fの間の隙間には柱5g、5hの下端部が、下側横架材3f、3gの間の隙間には柱5i、5jの下端部が、下側横架材3h、3iの間の隙間には柱5k、5lの下端部が備えられている(図2参照)。
【0013】
下側横架材3a、3bの間の隙間の中央部には、柱5m、5n、5o、5pが隣り合うものとの間に寸法1Aの隙間を開けて備えられている。また、下側横架材3h、3iの間の隙間の中央部には、柱5q、5r、5s、5tが隣り合うものとの間に寸法1Aの隙間を開けて備えられている。
柱5m、5nの間の隙間と柱5q、5rの間の隙間には、下側横架材3jが備えられ、柱5o、5pの間の隙間と柱5s、5tの間の隙間には、下側横架材3kが備えられている。下側横架材3j、3kは下側横架材3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、3h、3iに直行し、且つこれらのものに設置されている。
【0014】
柱5c、5eの間の隙間には介装部材7a、7bが備えられており、介装部材7aは下側横架材3dに設置され、介装部材7bは柱5c、5eの上端面から寸法2A分下がった位置に備えられている。柱5g、5iの間の隙間には介装部材7c、7dが備えられており、介装部材7cは下側横架材3fに設置され、介装部材7dは柱5g、5iの上端面から寸法2A分下がった位置に備えられている。
【0015】
これと同様に柱5d、5fの間の隙間、柱5h、5jの間の隙間にも介装部材7が備えられている(図では介装部材7a、7cに対向して配置される介装部材7は見えない位置となっている。)介装部材7b、7dに対向する位置には介装部材7f、7gが備えられている。
【0016】
柱5q、5rの間の隙間には介装部材7h、7iが備えられており、介装部材7hは下側横架材3jに設置され、介装部材7iは柱5q、5rの上端面から寸法2A分下がった位置に備えられている。柱5s、5tの間の隙間には介装部材7j、7kが備えられており、介装部材7jは下側横架材3kに設置され、介装部材7kは柱5s、5tの上端面から寸法2A分下がった位置に備えられている。
これと同様に柱5m、5nの間の隙間、柱5o、5pの間の隙間にも介装部材7が備えられている(図では介装部材7h、7jに対向して配置される介装部材7は見えない位置となっている。)介装部材7i、7kに対向する位置には介装部材7l、7mが備えられている。
【0017】
下側横架材3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、3h、3iに対向して上側横架材9a、9b、9c、9d、9e、9f、9g、9h、9iが備えられている。
すなわち、上側横架材9a、9bの間の隙間に柱5a、5bが、上側横架材9c、9dの間に柱5c、5dが、上側横架材9d、9eの間の隙間に柱5e、5fが、上側横架材9e、9fの間の隙間に柱5g、5hが、上側横架材9f、9gの間の隙間に柱5i、5jが、上側横架材9h、9iの間の隙間に柱5k、5lがそれぞれ備えられている。柱5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5h、5i、5j、5k、5lは上側横架材9a、9b、9c、9d、9e、9f、9g、9h、9iより寸法1A分突出している。すなわち、上側横架材9a、9b、9c、9d、9e、9f、9g、9h、9iは柱5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5h、5i、5jの上端面から寸法1A分下がった位置に備えられている。
【0018】
上側横架材9j、9k、9l、9m、9n、9o、9p、9q、9rは上側横架材9a、9b、9c、9d、9e、9f、9g、9h、9iに直行し、且つ設置されている。
上側横架材9j、9kの間の隙間には柱5a、5c、5e、5g、5i、5kの上端部が、上側横架材9l、9mの間の隙間には柱5m、5qの上端部が、上側横架材9m、9nの間の隙間には柱5n、5rの上端部が、上側横架材9n、9oの間の隙間には柱5o、5sの上端部が、上側横架材9o、9pの間の隙間には柱5p、5tの上端部がそれぞれ備えられている。
上側横架材9q、9rの間の隙間には柱5b、5d、5f、5h、5j、5lの上端部が備えられている。
【0019】
次に、図1に示した躯体1の組み立て方法を説明する。
図2に示すように、下側横架材3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、3h、3i、3j、3kと柱5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5h、5i、5j、5k、5l、5m、5n、5o、5p、5q、5r、5s、5tと介装部材7a、7b、7c、7d、7f、7g、7h、7i、7j、7k、7l、7m、介装部材7a、7c、7h、7jに対向して配置される介装部材7を組み付ける。
次いで、図3に示すように、載置用部材11aを介装部材7i、7l間に渡設し、載置用部材11bを介装部材7k、7m間に渡設する。このとき、介装部材7i、7l、7k、7mの上面は柱5m、5n、5o、5p、5q、5r、5s、5tの上端面から寸法3A分下がった位置に備えられている(図8参照)。従って、載置用部材11a、11bの上面は柱5m、5n、5o、5p、5q、5r、5s、5tから寸法2A分下がった位置に備えられることになる。
【0020】
そして、図4に示すように、上側横架材9a、9b、9c、9d、9e、9f、9g、9h、9iをまとめて載置用部材11a、11bに載せ、その状態でスライドさせるようにして所定位置に移動する。
次いで、図5に示すように、上側横架材9a、9b、9c、9d、9e、9f、9g、9h、9iにボルトとナットを用いて柱5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5h、5i、5j、5k、5l、5m、5n、5o、5p、5q、5r、5s、5tにそれぞれ固定する。
従って、特に柱どうしの間に介装部材を備えておらず、介装部材によって支持されない箇所に備えられる上側横架材9a、9b、9c、9d、9e、9f、9g、9h、9iを取り付ける柱5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5h、5i、5j、5k、5l、5m、5n、5o、5p、5q、5r、5s、5tに取り付ける作業を効率よく行うことができる。
【0021】
次に、上側横架材9j、9k、9l、9m、9n、9o、9p、9q、9rを上側横架材9a、9b、9c、9d、9e、9f、9g、9h、9iに交差するように載置して固定する。
そして、載置用部材11a、11bを固定しているボルトBとナットNを外して図6において実線で示す状態から仮想線で示すように引き抜くようにして外す。
載置用部材11a、11bを外すと、図7図8に示すように、介装部材7i(7m)、7k(7l)と横架材9i(9a)との間に寸法1A分の隙間が開くことになる。
【0022】
介装部材7i(7m)を柱5q(5p)、5r(5o)に固定しているボルトB、ナットNと、介装部材7k(7l)を柱5s(5n)、5t(5m)に固定しているボルトB、ナットNを外し、介装部材7i(7m)、7k(7l)を寸法1A分上方へスライドさせて、介装部材7i(7m)、7k(7l)の上面を上側横架材9i(9a)の下面に当接させる。そして、介装部材7i(7m)、7k(7l)を上側横架材9i(9a)にボルトB、ナットNによって再度固定する(図9参照)。
【0023】
このように、載置用部材11a、11bを除去するので、建造物の天井が低くなってしまうことはない。
また、介装部材7i(7m)、7k(7l)の上面を上側横架材9i(9a)の下面に当接させて固定するので、躯体1の強度を大きくすることができる。
【0024】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、柱、下側横架材、介装部材及び上側横架材の数は、任意に設定できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は建築業において利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0026】
1…建造物の躯体
3、3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、3h、3i、3j、3k…下側横架材
5、5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5h、5i、5j、5k、5l、5m、5n、5o、5p、5q、5r、5s、5t…柱
7、7a、7b、7c、7d、7f、7g、7h、7i、7j、7k、7l、7m…介装部材
9、9a、9b、9c、9d、9e、9f、9g、9h、9i、9j、9k、9l、9m、9n、9o、9p、9q、9r…上側横架材
11a、11b…載置用部材
B…ボルト N…ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9