(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
有底筒状のプリフォームが配置されるブロー成形型と、前記ブロー成形型の上方に配置され、内部に供給路が形成された支持ブロックと、前記支持ブロックの下端に前記供給路に連ねて設けられ、前記ブロー成形型に配置されたプリフォームの口部に係合するブローノズルと、前記供給路に接続された加圧液体供給部とを備え、前記加圧液体供給部から前記ブローノズルを介して前記プリフォーム内に加圧した液体を供給して前記プリフォームを前記ブロー成形型のキャビティに沿った形状に液体ブロー成形する液体ブロー成形装置であって、
前記供給路を、
上下方向に延びる内径が一定または前記ブローノズルに向かって内径が縮径される流路本体部と、
ドーム形状に形成され、前記流路本体部の上端に連なるドーム室部と、
前記ドーム室部と上端が一致するとともに該ドーム室部から水平方向に延びる第1ポート部と、
前記流路本体部に接続される第2ポート部と、を有する形状とし、
前記流路本体部と前記ブローノズルとを連ねる開閉流路に該開閉流路を開閉するバルブ機構を設け、
前記バルブ機構が閉状態のときに前記供給路と前記加圧液体供給部との間で液体が循環され、前記バルブ機構が開状態のときに前記供給路から前記ブローノズルを介して前記プリフォーム内に加圧した液体が供給されるように構成したことを特徴とする液体ブロー成形装置。
前記第1ポート部と前記第2ポート部とは、前記加圧液体供給部及び液体を所定の温度に調整する液体循環部を経由して連通する、請求項1に記載の液体ブロー成形装置。
前記加圧液体供給部から前記供給路および前記液体循環部を経て再度前記加圧液体供給部に至る循環路の最も高所となる部位に空気抜きのバルブを設けた、請求項2に記載の液体ブロー成形装置。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン(PP)製のボトルやポリエチレンテレフタレート(PET)製のボトルに代表されるような合成樹脂製の容器は、飲料、化粧品、薬品、洗剤、シャンプー等の様々な液体を収容する用途に使用されている。このような容器は、熱可塑性を有する樹脂材料によって有底筒状に形成されたプリフォームを熱可塑性が発現する温度にまで加熱し、この状態でブロー成形装置を用いてブロー成形して製造されるのが一般的である。
【0003】
プリフォームをブロー成形する装置としては、プリフォームが配置されるブロー成形型と、ブロー成形型に配置されたプリフォームの口部に係合するブローノズルと、ブローノズルに加圧した液体を供給する加圧液体供給部とを有し、加圧液体供給部からブローノズルを介してプリフォームの内部に加圧した液体を供給することで、当該プリフォームを所定形状の容器に液体ブロー成形するようにした液体ブロー成形装置が知られている。このような液体ブロー成形装置によれば、プリフォームに供給する液体として飲料等の最終的に製品として容器に収容される内容液を使用することにより、成形後の容器への内容液の充填工程を省略して、その生産工程や液体ブロー成形装置の構成を簡略化することができる。
【0004】
一方、液体は気体に比べて加熱されたプリフォームに対する熱伝導率が高いので、液体ブロー成形装置による液体ブロー成形においてプリフォームに供給される液体の温度にばらつきがあると、プリフォームの温度にもばらつきが生じて容器の成形性が低下し、成形後の容器の強度や耐熱性等の性能に悪影響が及ぶという問題がある。
【0005】
そこで、例えば特許文献1に示される液体ブロー成形装置では、支持ブロックに加圧液体供給部に接続される供給路を形成し、この支持ブロックの下端に当該供給路に連ねてブローノズルを設けるとともに供給路とブローノズルとの間にバルブ機構を設け、このバルブ機構を閉状態とすることで加圧液体供給部と供給路との間で液体を所定の温度に調整しながら循環させておき、バルブ機構を開状態とすることにより所定の温度に調整された液体をプリフォームに供給して液体ブロー成形を行うことができるようにして、当該容器の成形性を高めるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の液体ブロー成形装置では、例えば、支持ブロックを、既製品を用いて製造した場合等に、供給路内において段差形状や凹凸部が形成されることがあり、このため、供給路はその内部に複数のエアポケット(空気が溜まり易い部分)を有する構成となることがある。この場合、前記エアポケットに溜まったエアーが液体とともにプリフォーム内に供給され、容器の成形性が低下するおそれがあった。また、バルブ機構を閉状態として液体を循環させても、エアポケットにおいて液体の滞留が発生し、これにより循環する液体の温度調整の精度が低下して容器の成形性が低下するおそれもあった。
【0008】
これに対して、供給路のそれぞれのエアポケットの部分に空気抜きのバルブを設けることが考えられるが、このような構成では、装置が大型で高価なものになるとともに液体の滞留の問題は解決することができないという問題がある。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体の供給路にエアポケットや液体が滞留する部分を生じさせることなく容器を精度よく成形することができる液体ブロー成形装置を低コストで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の液体ブロー成形装置は、有底筒状のプリフォームが配置されるブロー成形型と、前記ブロー成形型の上方に配置され、内部に供給路が形成された支持ブロックと、前記支持ブロックの下端に前記供給路に連ねて設けられ、前記ブロー成形型に配置されたプリフォームの口部に係合するブローノズルと、前記供給路に接続された加圧液体供給部とを備え、前記加圧液体供給部から前記ブローノズルを介して前記プリフォーム内に加圧した液体を供給して前記プリフォームを前記ブロー成形型のキャビティに沿った形状に液体ブロー成形する液体ブロー成形装置であって、前記供給路を、上下方向に延びる内径が一定または前記ブローノズルに向かって内径が縮径される流路本体部と、ドーム形状に形成され、前記流路本体部の上端に連なるドーム室部と、前記ドーム室部と上端が一致するとともに該ドーム室部から水平方向に延びる第1ポート部と、前記流路本体部に接続される第2ポート部と、を有する形状とし、前記流路本体部と前記ブローノズルとを連ねる開閉流路に該開閉流路を開閉するバルブ機構を設け、前記バルブ機構が閉状態のときに前記供給路と前記加圧液体供給部との間で液体が循環され、前記バルブ機構が開状態のときに前記供給路から前記ブローノズルを介して前記プリフォーム内に加圧した液体が供給されるように構成したことを特徴とする。
【0011】
本発明の液体ブロー成形装置は、上記構成において、前記第1ポート部と前記第2ポート部とが、前記加圧液体供給部及び液体を所定の温度に調整する液体循環部を経由して連通するのが好ましい。
【0012】
本発明の液体ブロー成形装置は、上記構成において、前記加圧液体供給部から前記供給路および前記液体循環部を経て再度前記加圧液体供給部に至る循環路の最も高所となる部位に空気抜きのバルブを設けた構成とするのが好ましい。
【0013】
本発明の液体ブロー成形装置は、上記構成において、前記支持ブロックに、前記流路本体部を貫通するとともに上下方向に移動可能に棒状のシールピンを設け、前記シールピンの下端部が前記開閉流路に設けたシール部へ当接することにより前記バルブ機構が閉状態とされ、前記シールピンの下端部が前記シール部から上方に離れることにより前記バルブ機構が開状態とされるのが好ましい。
【0014】
本発明の液体ブロー成形装置は、上記構成において、筒棒状の軸体に液密状に摺動可能にロッドを挿通して前記シールピンとするのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、供給路内に多数の空気抜きのバルブを設けることなく、当該供給路内のエアポケットの発生を防止することができるとともに当該供給路を流れる液体の滞留を防止することができる。したがって、加圧流体として使用する液体を加圧液体供給部と供給路との間で循環させる構成において、当該供給路から供給される液体に空気が混入することを防止するとともに当該液体の温度調整の精度を高めて、容器を精度よく液体ブロー成形することができる。
【0016】
このように、本発明によれば、液体の供給路にエアポケットや液体が滞留する部分を生じさせることなく容器を精度よく成形することができる液体ブロー成形装置を低コストで提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に例示説明する。
【0019】
まず、
図1を参照して本発明の一実施の形態である液体ブロー成形装置の全体的な構成を説明するが、この液体ブロー成形装置の要部の細かい構成については
図2を参照する。
図1、
図2に示す液体ブロー成形装置は、熱可塑性を有する樹脂材料によって有底筒状に形成されたプリフォームPFを所定形状の容器に液体ブロー成形するものである。なお、液体ブロー成形とは、プリフォームPFに供給する加圧流体として加圧エアーに替えて加圧した液体を用いたブロー成形のことである。
【0020】
図1に示すように、液体ブロー成形装置はブロー成形型1を有している。このブロー成形型1のキャビティ2は例えば壜形状(ボトル形状)とされ、ブロー成形型1の上面において上方に向けて開口している。詳細は図示しないが、ブロー成形型1は左右に型開きすることができるようになっており、ブロー成形型1を開くことで成形後の容器をブロー成形型1から取り出すことができる。
【0021】
ブロー成形型1にはプリフォームPFが装着される。
図2に示すように、プリフォームPFとしては、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性を有する樹脂材料により全体として有底円筒状に形成され、その試験管形状となる本体部PFaの上端に円筒状の口部PFbが設けられるとともに、口部PFbの下端部にネックリングPFcが設けられた形状のものを用いることができる。このプリフォームPFは、その本体部PFaがブロー成形型1のキャビティ2内に配置されるとともに、ネックリングPFcがブロー成形型1の上面に当接して口部PFbがブロー成形型1の外部(上方)に突出した状態となってブロー成形型1に装着される。
【0022】
ブロー成形型1の上方には、ブロー成形型1に対して上下方向に相対移動自在にノズルユニット10が設けられている。このノズルユニット10は保持部材11、支持ブロック12およびブローノズル13を備えている。
【0023】
図2に示すように、保持部材11は中心に上下方向に貫通する貫通孔を備えた環状ブロックに形成され、ノズルユニット10が下端にまで下げられたときにブロー成形型1の上面に当接するようになっている。保持部材11がブロー成形型1の上面に当接すると、ブロー成形型1に装着されたプリフォームPFの口部PFbが保持部材11の内側に配置されるとともに、ネックリングPFcが保持部材11とブロー成形型1の上面との間に挟み込まれて、プリフォームPFはブロー成形型1に対して垂直な装着姿勢に保持されるようになっている。
【0024】
なお、ブロー成形型1に装着されたプリフォームPFの口部PFbの外周面と保持部材11の内周面との間にはこれを囲繞する空間Sが区画形成され、この空間Sに連通する通気孔11aが保持部材11に形成されている。この空間Sには、必要に応じて加圧エアーが供給される。なお、保持部材11は、プリフォームPFの口部PFbの外周面との間に空間Sを区画形成せず、通気孔11aも備えない構成とすることもできる。
【0025】
支持ブロック12は、例えば鋼材等により、内部に供給路20が形成された円柱状に形成され、保持部材11の上端に固定されて保持部材11とともにブロー成形型1に対して上下に相対移動可能となっている。
【0026】
図2に示すように、供給路20は、流路本体部20a、ドーム室部20b、第1ポート部20c及び第2ポート部20dを有する形状に形成されている。流路本体部20aは断面円形であり、支持ブロック12の軸心に沿って上下方向に延びて設けられ、その内径は上下の何れの位置においても同一つまり一定となっている。ドーム室部20bは、流路本体部20aと同一の直径の半球形状に形成され、流路本体部20aの上端に連ねられている。第1ポート部20cは流路本体部20aよりも小径の断面円形であり、その上端がドーム室部20bの上端と一致するとともに、当該ドーム室部20bから水平方向に向けて延びて支持ブロック12の側面に開口している。第2ポート部20dは第1ポート部20cと開閉流路21との間において供給路20の流路本体部20aに連なっており、そこから水平方向に延びて支持ブロック12の側面に開口している。このように、供給路20は、第1ポート部20cからドーム室部20bを介して流路本体部20aに至るまで段差の無い滑らかな内面に形成されている。なお、本実施の形態では、第1ポート部20cから供給路20に加圧した液体Lを供給するため、当該第1ポート部20cを導入ポート部として説明し、第2ポート部20dを排出ポート部として説明する。
【0027】
支持ブロック12の供給路20の下方側には、供給路20の流路本体部20aの下端に同軸に連なる開閉流路21が設けられている。開閉流路21は上端側よりも下端側が小径となるように上下方向に延びており、その途中には下方に向けて縮径状に傾斜する円錐面状のシール部21aが設けられている。
【0028】
ブローノズル13は支持ブロック12の下端に取り付けられ、保持部材11と支持ブロック12との間に挟持されている。ブローノズル13は全体として筒状に形成され、その上端側の開口は開閉流路21に連通している。つまり、ブローノズル13は開閉流路21を介して供給路20に連通している。また、
図2に示すように、ノズルユニット10が下端位置にまで下げられると、ブローノズル13は、その下端側においてブロー成形型1に装着されたプリフォームPFの口部PFbに係合して、プリフォームPFの内部に連通するようになっている。
【0029】
開閉流路21には開閉流路21を開閉するバルブ機構22が設けられている。バルブ機構22は、供給路20の流路本体部20aの軸心を貫通するとともに上下に移動可能となって支持ブロック12に設けられた棒状のシールピン23を備えている。シールピン23は、筒棒状の軸体24の下端に固定される円柱状のシール体25を備え、このシール体25の下端面の外周縁部にはテーパー状の当接面25aが設けられている。この当接面25aは開閉流路21に設けられたシール部21aと同一の傾斜角度を有し、シールピン23が下方のストローク端にまで移動したときにシール部21aと当接ようになっている。つまり、シールピン23が下方のストローク端にまで移動すると、シールピン23の下端部つまりシール体25の当接面25aがシール部21aに当接してバルブ機構22つまり開閉流路21が閉状態とされ、供給路20とブローノズル13との連通が遮断されるようになっている。一方、シールピン23が上方に移動してシールピン23の下端部つまりシール体25の当接面25aがシール部21aから上方に離れると、バルブ機構22つまり開閉流路21が開状態とされ、供給路20とブローノズル13とが連通されることになる。このように、シール体25の当接面25aのシール部21aへの当接、離間によりバルブ機構22が構成されている。
【0030】
図1に示すように、ノズルユニット10には、加圧装置31、加圧液体供給部32および液体循環部33が接続されている。
【0031】
加圧装置31は、例えば加圧ポンプ、コンプレッサー等により構成され、配管P1を介して加圧液体供給部32に接続されている。加圧液体供給部32は、例えばプランジャーポンプやピストン・シリンダー機構等により構成することができ、加圧装置31から供給される加圧流体Fpにより作動するように構成されている。加圧液体供給部32は配管P2により支持ブロック12の第1ポート部20cつまり供給路20に接続され、供給路20に所定の圧力にまで加圧した液体Lを供給することができる。
【0032】
液体循環部33は、液体Lを配管R1から新たに補給しながら所定の温度に調整して配管R2を通して加圧液体供給部32に供給するとともに、液体Lを、所定の温度に調整しながら加圧液体供給部32と供給路20との間を循環させる機能を有する。すなわち、液体循環部33は配管R3により第2ポート部20dに接続されるとともに配管R2により加圧液体供給部32に接続されており、所定の温度に調整した液体を配管R2を通して加圧液体供給部32に供給するとともに、この加圧液体供給部32から配管P2を介して供給路20に供給され、第2ポート部20dから排出されてきた液体Lを所定の温度に調整して加圧液体供給部32に戻すことができる。
【0033】
このような構成により、開閉流路21がバルブ機構22により閉状態とされたときには、液体Lは、液体循環部33により所定の温度に調整されながら、流路本体部20a→第2ポート部20d→配管R3→液体循環部33→配管R2→加圧液体供給部32→配管P2→第1ポート部20c→ドーム室部20b→流路本体部20aと云うように構成される循環路CRを通って加圧液体供給部32と供給路20との間を循環することができる。
【0034】
循環路CRには3つの電磁式のバルブV1,V2,V3が設けられており、開閉流路21がバルブ機構22により閉状態とされて液体Lが循環路CRを循環する際には、全てのバルブV1,V2,V3が開かれる。
【0035】
一方、供給路20からブローノズル13を介してプリフォームPFに液体Lを供給する際には、バルブV1、V3が閉じられて液体Lの循環路CRにおける循環が停止されるとともに、バルブ機構22が開いて開閉流路21が開状態とされる。これにより、液体Lは加圧液体供給部32から供給路20、開閉流路21を通ってブローノズル13に達し、ブローノズル13を介してプリフォームPF内に供給される。
【0036】
循環路CRには、その最も高所となる部位に空気抜きのバルブ34を設けるのが好ましい。このような構成により、循環路CRを循環する液体Lに混入した空気(エアー)を、その最も高所となる部位から空気抜きのバルブ34により効果的に外部に排出することができる。したがって、プリフォームPFに液体Lとともに空気が供給されることを抑制して、より精度よく液体ブロー成形を行うことができる。
【0037】
軸体24の軸心には、軸体24に対して液密状となって上下方向に摺動可能に細長い円柱状のロッド40が挿通されている。このロッド40は、液体ブロー成形の際に加圧流体として使用した液体Lをその成形後の容器に充填される内容液とした場合において、容器に充填された液体Lの液面を下げて容器に所定量のヘッドスペースを設けるためのものである。このロッド40はブローノズル13と同軸に配置され、液体ブロー成形に際しては、その先端(下端)がブロー成形型1に装着されたプリフォームPFの内部の底面近傍に位置するようになっている。なお、ロッド40は、プリフォームPFを縦延伸するための延伸ロッドとして利用することもできる。なお、前記シール体25の中央部には、ロッド40が貫通するための通過孔が設けられている。
【0038】
次に、
図1〜4を参照しながら、上記の液体ブロー成形装置を用いてプリフォームPFをブロー成形型1のキャビティ2に沿った形状の容器に液体ブロー成形する手順について説明する。
【0039】
まず、口部PFbを除く部分が液体ブロー成形に適した温度に加熱されたプリフォームPFを、口部PFbを上方に突出させた状態でブロー成形型1に装着し、型締めする。
【0040】
次に、ノズルユニット10を下降させ、保持部材11をブロー成形型1の上面に当接させてプリフォームPFをブロー成形型1に保持させるとともにブローノズル13を口部PFbに係合させて、
図1、
図2に示す状態とする。このとき、バルブ機構22により開閉流路21は閉状態とされ、ロッド40は所定の長さ分だけがプリフォームPF内に挿入した状態とされる。また、循環路CRのバルブV1、V2、V3はいずれも開状態とされ、液体Lは液体循環部33により所定の温度に調整されながら循環路CRを循環している。
【0041】
このとき、支持ブロック12に形成された供給路20は、内径が一定の断面円形の流路本体部20aと、流路本体部20aと同一の直径の半球形状に形成されて流路本体部20aの上端に連なるドーム室部20bと、ドーム室部20bと上端が一致するとともに該ドーム室部20bから水平方向に延びる断面円形の第1ポート部20cとを有する形状とされ、つまり第1ポート部20cからブローノズル13に向けて段差の無い滑らかな内面に形成され、当該供給路20の内部にエアポケットや液体Lが滞留するような段差部分やポケット部分を有していない構成となっているので、供給路20の内部で液体Lを滞留させることなく当該液体Lを正確に所定の温度に調整しながら循環路CRを循環させることができる。つまり、循環路CRを循環する液体Lの温度むらを抑制できる。
【0042】
次に、
図3に示すように、バルブV1、V3を閉じることで循環路CRに沿った液体Lの循環を停止しつつ、シールピン23を上方に移動させてバルブ機構22を開状態とし、さらに加圧液体供給部32の加圧機能を作動させることで、加圧した液体Lを加圧液体供給部32から供給路20、開閉流路21及びブローノズル13を介して口部PFbからプリフォームPFの内部に供給する。これにより、プリフォームPFを膨張状に延伸し、ブロー成形型1のキャビティ2に沿った形状の容器に成形することができる。
【0043】
このときにおいても、支持ブロック12に形成された供給路20は、第1ポート部20cからブローノズル13に向けて段差の無い滑らかな内面に形成され、当該供給路20の内部にエアポケットや液体Lが滞留するような段差部分やポケット部分を有していない構成となっているので、加圧液体供給部32から供給路20を通ってプリフォームPFに供給される液体Lに空気(エアー)が混入することを防止して、プリフォームPFを加圧した液体Lによって精度よく液体ブロー成形することができる。
【0044】
なお、この工程において、液体Lの圧力により口部PFbが拡径変形するような場合には、保持部材11に設けた通気孔11aから加圧エアーを導入することにより口部PFbの外周面を囲繞する空間Sを所定の圧力にまで加圧して、このような拡径変形を抑制するように構成することもできる。
【0045】
次に、
図4に示すように、シールピン23を下降させて開閉流路21つまりバルブ機構22を閉状態とし、バルブV1、V2、V3を開いて液体Lを再び循環路CRに沿って循環させる。
【0046】
また、上記工程と同時にあるいは少し遅れてロッド40を上方に移動させ、成形後の容器から離脱させる。このとき、ロッド40の離脱により、ブローノズル13に残存する液体Lは全て容器内に流入し、さらに容器内で液面が下降するので、容器に充填された液面の高さを、容器の内部に所定のヘッドスペースを有するように調整することができる。なお、必要に応じて、ロッド40が上方に移動した後にサックバック工程等の別工程を行うことにより、容器に充填される液体Lの量をさらに細かく調整するようにしてもよい。また、ロッド40の先端部の離脱動作の際に、容器が減圧状態となって変形を生じる場合には、開閉流路21に配設した吸気孔41をバルブV4によって開状態とすることにより、容器内の減圧状態を緩和させる構成とすることもできる。
【0047】
以上の工程が完了すると、ノズルユニット10が上方に移動し、ブローノズル13が容器から取り外される。そして、口部がキャップでシールされた後、ブロー成形型1が型開きされて液体Lが充填された容器が取り出される。なお、キャップは成形後の容器をブロー成形型1から取り出した後に当該容器の口部に取り付けるようにしてもよい。
【0048】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0049】
例えば、上記実施の形態においては、第1ポート部20cを供給路20に加圧した液体を供給するための導入ポート部とし、第2ポート部20dを供給路20の液体を加圧液体供給部32に戻すための排出ポート部としているが、第2ポート部20dを供給路20に加圧した液体を供給するための導入ポート部とし、第1ポート部20cを供給路20の液体を加圧液体供給部32に戻すための排出ポート部としてもよい。
【0050】
また、上記実施の形態においては、流路本体部20aを内径が一定の形状に形成するようにしているが、これに限らず、第1ポート部21cの側からブローノズル13の側に向けて内径が徐々に縮径する形状に形成することもできる。この場合、流路本体部20aを第1ポート部21cの側からブローノズル13の側に向けて内径が漸減するテーパー状に形成してもよく、または第1ポート部21cの側からブローノズル13の側に向けて段階的に内径が縮径する多段筒状に形成してもよい。さらに、流路本体部20aは、上記実施の形態に示すように、断面円形の形状に形成されるのが最適と考えられるが、流路本体部20aの断面形状を円形以外の他の形状とすることもできる。この場合、流路本体部20aとドーム室部20bとの間にこれらの内面をエアポケットとなるような段差が生じないように滑らかに連ねる変位部が設けられる。
【0051】
さらに上記実施の形態においては、ドーム室部20bを流路本体部20aと同一の直径の半球形状に形成するようにしているが、これに限らず、流路本体部20aと第1ポート部20cとの間をエアポケットとなるような段差が生じないように滑らかに連ねることができるドーム形状であれば、例えば球面の一部を切り取った形状や半球形状よりも扁平な湾曲面形状など、種々の形状とすることができる。この場合において、流路本体部20aとドーム室部20bとの間にこれらの内面をエアポケットとなるような段差が生じないように滑らかに連ねる変位部を設けることが好ましい。
【0052】
さらに上記実施の形態においては、液体循環部33を第2ポート部20dと加圧液体供給部32との配管R3に設けるようにしているが、これに限らず、液体循環部33を加圧液体供給部32と第1ポート部20cとの間の配管P2に設けるようにしてもよい。
【0053】
さらに上記実施の形態においては、加圧した液体LでプリフォームPFを膨張状に延伸して容器を成形する例を説明したが、ロッド40を延伸ロッドとして利用し、このロッド40によりプリフォームPFを縦方向の延伸しつつ加圧した液体Lによる膨張状の延伸を行う所謂二軸延伸ブロー成形を行う構成とすることもできる。また、ロッド40を設けない構成とすることもできる。この場合、シール体25の中央部には、ロッド40が貫通するための通過孔は設けられない。
【0054】
さらに、上記実施の形態においては、バルブ機構22を、シール体25のテーパー状の当接面25aをシール部21aに対して当接、離間させる構成としているが、これに限らず、シール性や、開閉に係る操作性等を考慮して、さまざまな態様のバルブ機構を採用することができる。
【0055】
さらに、プリフォームPFとしては、熱可塑性を有する樹脂材料により有底筒状に形成されたものであれば、種々の形状ないし材質のものを用いることができる。