特許第6396871号(P6396871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 伊藤園の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396871
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】茶殻配合ペット用飼料
(51)【国際特許分類】
   A23K 10/37 20160101AFI20180913BHJP
   A23K 50/40 20160101ALI20180913BHJP
【FI】
   A23K10/37
   A23K50/40
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-183313(P2015-183313)
(22)【出願日】2015年9月16日
(65)【公開番号】特開2017-55705(P2017-55705A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2017年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】591014972
【氏名又は名称】株式会社 伊藤園
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 崇紀
(72)【発明者】
【氏名】上保 貴則
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−360185(JP,A)
【文献】 特開2006−94793(JP,A)
【文献】 特開2007−117029(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0286932(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00 − 50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水茶殻を含水率1.5質量%以上25質量%以下となるように、温度80℃〜150℃の範囲で乾燥する工程と、
前記茶殻を粒径150μm超1mm以下に粉砕する工程と、
粉砕後の茶殻を1.0質量%以上10.0質量%以下の含有比率となるように混合する工程と、
嗜好性物質を、前記茶殻に対する質量比で0.005〜1.0の割合で混合する工程とを含むことを特徴とするペット用飼料の製造方法。
【請求項2】
含水茶殻を含水率1.5質量%以上25質量%以下となるように、温度80℃〜150℃の範囲で乾燥する工程と、
前記茶殻を粒径150μm超1mm以下に粉砕する工程を含むことを特徴とするペット用飼料原料茶殻の製造方法。
【請求項3】
乾燥工程前に、前記含水茶殻の含水率が68.0質量%以上75.0質量%以下となるように脱水する工程を更に含むことを特徴とする請求項に記載のペット用飼料原料茶殻の製造方法。
【請求項4】
脱水工程前に、前記含水茶殻を重量比1.0〜10.0倍量の水に浸漬する工程を更に含むことを特徴とする請求項に記載のペット用飼料原料茶殻の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶殻、及び水溶性又は脂溶性嗜好性物質が配合された、苦渋み成分であるカテキンを含みながらもカフェインが低減され、呈味が良くペットの嗜好性を満足させる茶殻配合ペット用飼料及びその製造方法、並びにペット用飼料の原料茶殻の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般社団法人ペットフード協会「ペットフード/ペットマナー検定公式テキスト」によれば、2010年現在で、日本国内で人と共に生活するペットの数は、犬が11861千頭、猫が9612千頭であり、そのうち犬は17.8%、猫は10.6%が家庭で人共に生活している。
今後、ペットとの共生に対する関心は近年ますます高まってくると考えられる一方で、ペットの高齢化、運動不足、栄養過多等によりペットの肥満、糖尿病、肝臓疾患等のヒトの成人病と同様の疾病や、ペットの排泄物の悪臭問題なども起こっており、このようなペットの健康や悪臭問題は、今後ペットとの共生に対する関心と相まって、ますます深刻な問題となっていくことが推測できる。
【0003】
上述のようなペットに関する諸問題を解決する為、例えば特許文献1乃至特許文献4に開示された発明が提案されている。
【0004】
特許文献1には、緑茶抽出物を0.03重量%及至0.1重量%程度含有し、猫の歯周疾患を容易且つ手軽に軽減又は防止するキャットフードが開示されている。また、特許文献2には、茶葉を1〜5重量部含有し、栄養的にも優れながらも、猫、犬等のペットの嗜好を満足させることができる呈味を有する、高カルシウム含有ペットフード開示されている。また、特許文献3には、茶抽出物を含有している組成物によってコンパニオンアニマルの眼の健康を増進する方法を開示している。更に特許文献4では、産生抑制型の消臭物質と緑茶などの吸着型の消臭物質を含有したペットの排泄糞の悪臭を抑制することができる動物用飼料添加物及び動物用飼料が開示されている。
【0005】
しかし、緑茶などの抽出物や茶葉には、苦味成分であるカテキンなどのポリフェノールを含有するために、苦味によってペットの嗜好性を低下させてしまう。また、動物に薬理的な作用を及ぼすカフェインなどの物質が含まれていることから、高い栄養価と食物繊維量を誇る緑茶であっても、その配合量をなかなか多くできないという問題が生じていた。特にカフェインに関しては、人間よりも小さい動物にとっては、少量であっても中毒を起こす危険性がある。
茶抽出後のカフェインが低減された茶殻(茶滓)をペット用飼料に用いたものとしては、特許文献5及び特許文献6の発明が開示されている。
【0006】
特許文献5には、茶殻や茶飲料製造残渣などを有効成分とした組成物を、飼料添加物又は飼料として家畜に与えることで家畜体内の鉄過剰状態を改善する鉄過剰状態改善用組成物について開示されている。しかしながら、配合する茶殻から、カフェインだけでなくテアニン、カテキンなども90%以上除去する必要があり、有効成分であるカテキンなどが極めて低い状態であった。また、特許文献6にて開示されている発明では、ペットの健康増進を目的として、粒径が4〜200μmの茶滓を配合したペットフードが開示されているが、茶滓を微細粉砕したことにより、カフェイン量も高くなり、茶滓の添加量が0.1〜0.8重量%と制限されていた。
【0007】
また、茶殻をペット用飼料に配合する際には、飼料の成形性及び呈味の観点から、ある程度茶殻を微細化することが望ましいが、硬い茎や葉が含まれるため全ての部位を微細化するには多くの所要時間を有する。また、元来ペットの嗜好性向上目的のために配合されていた牛脂などの脂溶性嗜好性物質や、カツオエキスなどの水溶性嗜好性物質等が、茶殻を飼料に添加することで生じる苦味や茶由来の香りのマスキングにおいても必要不可欠であるが、茶殻の粒径が大きいと吸着量が少なるということが判明した。
【0008】
【特許文献1】特開平11-137184号公報
【特許文献2】特開2006-94793号公報
【特許文献3】特開2013-078318号公報
【特許文献4】特開平11-285348号公報
【特許文献5】特開2007-117029号公報
【特許文献6】特開2005-218356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、茶殻、及び水溶性又は脂溶性嗜好性物質が配合された、苦渋み成分であるカテキンが含みながらもカフェインが低減され、呈味が良くペットの嗜好性を満足させる茶殻配合ペット用飼料及びその製造方法、並びにペット用飼料の原料茶殻の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、所定の粒径に粉砕加工した食物残渣である茶殻と、脂溶性若しくは水溶性の嗜好性原料を前記茶殻に対して所定の割合となるように調製することによって、上記課題を解決した好適なペット用飼料が得られ、更に、前記茶殻を所定の含水率に調整後、所定粒径に粉砕することで、ペット用飼料に好適な原料茶殻を得られるとことを合わせて見出した。
即ち本願発明は、
(1)
植物由来の食物残渣に対し、嗜好性物質を質量比で0.005〜1.0の割合で含有し、
前記食物残渣は、粒径150μm超1mm以下、
且つ含水率1.5質量%以上25質量%以下であって、
前記食物残渣の含有比率が1.0質量%以上10.0質量%以下であることを特徴とするペット用飼料。
(2)
前記食物残渣が茶殻であることを特徴とする請求項1に記載のペット用飼料。
(3)
前記嗜好性物質は、畜肉及び/又は魚介を原料とした粉末及び/又はエキス、酵母エキス、牛脂から選択される1または複数の水溶性及び/又は脂溶性物質であることを特徴とする請求項1又は2に記載のペット用飼料。
(4)
茶殻を含水率1.5質量%以上25質量%以下となるように乾燥する工程と、
前記茶殻を粒径150μm超1mm以下に粉砕する工程と、
粉砕後の茶殻を1.0質量%以上10.0質量%以下の含有比率となるように混合する工程と、
嗜好性物質を、前記茶殻に対する質量比で0.005〜1.0の割合で混合する工程と
を含むことを特徴とするペット用飼料の製造方法。
(5)
含水茶殻を含水率1.5質量%以上25質量%以下となるように乾燥する工程と、
前記茶殻を粒径150μm超1mm以下に粉砕する工程を含むことを特徴とするペット用飼料原料茶殻の製造方法。
(6)
乾燥工程前に、前記含水茶殻の含水率が68.0質量%以上75.0質量%以下となるように脱水する工程を更に含むことを特徴とする請求項5に記載のペット用飼料原料茶殻の製造方法。
(7)
脱水工程前に、前記含水茶殻を重量比1.0〜10.0倍量の水に浸漬する工程を更に含むことを特徴とする請求項6に記載のペット用飼料の製造方法。
に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記構成を具備することによって、ペット用飼料に添加しても成形性を損なわず且つ、低カフェインでありながらカテキンや食物繊維などの有効物質を含む飼料用原料茶殻の製造方法及び、その原料茶殻を配合したペット用飼料を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明が下記実施形態に限定されるものではない。
【0013】
(ペット用飼料)
本発明において、ペット用飼料とは、栄養的にバランスがとれており、ペット類を健康に飼育することができるものであり、この種の原料として従来用いられているものであれば制限なく用いることができる。また、形状及び性状に特に制限はなく、ドライタイプ(含水率10質量%以下)、ソフトドライタイプ(含水率25質量%以上35質量%以下の膨張したペットフード)、セミモイストタイプ(含水率5質量%以上35質量%以下の膨張していないペットフード)など、対象のペットの種類、大きさ、または年齢などに応じて適宜選択することができるが、呈味、品質安定性の観点からドライタイプがより好ましい。
【0014】
(茶殻)
本発明において、茶殻とは、食物残渣の一種であって、緑茶、ウーロン茶、紅茶等の各種茶飲料の茶葉と水の抽出残渣である。これを、脱水及び乾燥した後、微細化したものを原料茶殻としてペット用飼料に配合した。
【0015】
抽出後の茶殻は含水率80質量%〜90質量%であり、茶殻に含まれる水分には、濾過しきれなった多量のカフェインを含む抽出液も含まれている。より多くのカフェインを取り除くために、抽出後の茶殻を、1.0〜10倍量の水に浸積後、茶殻をフィルタープレス、スクリュープレスなどで圧力をかけて含水率68.0質量%以上75.0質量%以下に脱水することが好ましい。
68質量%未満への脱水は、茶殻の高い保水力により機械脱水が困難であり、エネルギーをかけた加熱脱水などが必要となる。また、浸漬時の水の量が1.0倍量未満の場合、カフェインの除去効果が無く、10.0倍量超の場合、カフェインの除去効果はあるものの、有用成分であるカテキンなども除去されてしまう。
【0016】
(乾燥茶殻)
脱水後の茶殻は、一般的な真空乾燥機、熱風乾燥機や気流乾燥機などで乾燥させることができ、呈味、品質安定性の観点から含水率を最終的に25質量%以下まで乾燥させることが好ましく、1.5質量%以上25質量%以下になるまで乾燥させることがより好ましい。また、乾燥温度が150℃以上になると茶殻に焦げが生じ、ペットフードに配合した際の苦味の原因となりやすく、80℃以下であると乾燥ムラが生じやすく、乾燥時間も長くなるため、乾燥温度は80℃〜150℃が好ましい。
【0017】
乾燥茶殻の粒径は、飼料の成形のしやすさから1mm以下であって、微粒子化されすぎた茶殻は乾燥時に茶殻から浸出したカフェインが周辺の水分を通して吸収され、カフェイン含有量を高めながら乾燥されることから粒径は150μm超に調製される。
【0018】
ペット用飼料への乾燥茶殻の配合は、呈味の観点から10質量%以下が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましく、2質量%〜10質量%が更に好ましい。また、肉や魚に3質量%以上配合することで、可食部100g当たりの総脂肪量を1g以上減らすことができるため、乾燥茶殻の配合量を3質量%〜10質量%にすることが特に好ましい。
【0019】
(嗜好性物質)
本発明において、嗜好性物質とは、鶏脂、豚脂、牛脂、植物油、バターなどに脂溶性のエキスなどを添加した脂溶性物質及び、水に水溶性のエキスなどを添加した水溶性物質などが挙げられる。エキスに関しては従来のペットフードに使用されているエキスであれば特に限定はない。例えば、鶏、カモ、うずら、七面鳥などの鳥類、牛、豚、馬、羊、ウサギなどを原料とした粉末畜類エキスやレバーエキス、イワシ、マグロ、カツオ、サバ、タイ、ヒラメ、サケ、マス、カニ、エビ、イカ、タコなどを原料とした粉末魚介エキス、パン酵母、ビール酵母、トルラ酵母などを原料とした粉末酵母エキスなどが挙げられる。
【0020】
嗜好性物質は、乾燥茶殻、その他原料と同時に配合しても、ペットフードを成型した後の工程で外添被覆しても構わないが、同時に配合する場合は、ペットフード成型時に混合・乾燥する際に嗜好性物質の香りが抜けてしまうため、好ましくはペットフードの成型後の最終工程でペットフード表面に嗜好性物質を被覆する外添工程に添加することが好ましい。なお、外添工程に使用する機械は、回転ドラムミキサーなどが挙げられる。
【0021】
また、茶殻に含まれる苦味成分をマスキングしつつ、優れた呈味バランスを実現する配合バランスは乾燥茶殻:嗜好性物質=1:1〜1:0.005であり、より好ましくは乾燥茶殻:嗜好性物質=1:1〜1:0.05、更に好ましくは乾燥茶殻:嗜好性物質=1:1〜1:0.1である。
【実施例】
【0022】
以下、実施例を示すことにより本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0023】
[実施例1:各粒径の茶殻におけるカフェイン量確認試験]
茶葉に、茶葉:温水(80℃)=10g:1000mlの割合にて温水を加え、5分間抽出した後、目開き2mmの篩にてろ過した。得られた含水茶殻に40kgの圧力を加え、含水率が75%までなるよう脱水を行い、未粉砕茶殻を準備した。未粉砕茶殻をジューサーミキサー(MJ−W90、パナソニック(株))にて粉砕し、篩い分けと熱風乾燥(105℃、12時間)を行い、表2に示した粒径の茶殻(実施例試料1〜3、比較例試料1〜4)を得た。茶葉及び各サイズの茶殻のカフェイン量を測定し、表2に示す。なお、実施試料例3のみ、圧力脱水の前に、含水茶殻の質量に対して5倍量の水で5分間の攪拌洗浄をし、目開き2mmの篩にて水切りをしてから圧力脱水を行った。また、実施例試料1〜3、比較例試料1〜4の熱風乾燥後の含水率は5質量%である。
【0024】
本試験において分析する成分の分析方法は以下のとおりである。
【0025】
<カフェイン量の分析方法>
次の分析方法により、カフェイン量を測定した。
【0026】
(1)サンプルの調製方法
粉砕した茶葉、及び茶殻をそれぞれ200mg取り、100mLの20%アセトニトリルで60分間超音波抽出した。抽出液をメンブランフィルター(0.45μm)で濾過した。
【0027】
(2)分析条件
・分析装置:Waters社製 Xbridge shield RP18 3.5mm×150mm
・カラム温度:40℃
・流速:0.5mL/min
・移動相:A相 水、B相 アセトニトリル、C相 1%リン酸
・注入量:5μL
・検出器:Waters社製 UV検出器UV230nm
・グラジエント条件:下記表1参照
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
(結果)
粒径1mm以下、150μm超の茶殻は未粉砕茶殻よりもカフェイン量が55%以上減少した。また、カフェイン量は粒径が小さいほど少なくなるのではなく、150μm以下の場合はカフェイン量が高くなった。また、水洗浄を行うことによりカフェイン量が約46%減少した。
【0031】
[実施例2:茶殻の嗜好性物質吸着性の評価]
下記の方法で試料を作成した。
(水溶性嗜好性物質)
カツオ風味調味料(味の素(株))に、カツオ風味調味料:水=120g:1200mlの割合で水を加え溶解させた後、濾紙(circle0.18mm 、ADVANTEC)で吸引濾過を行い、不溶性固形分を除去して水溶性嗜好性物質とした。
(粉末茶殻)
茶葉に、茶葉:温水(80℃)=10g:1000mlの割合にて温水を加え、5分間抽出した後、目開き2mmの篩にてろ過した。得られた含水茶殻に40kgの圧力を加え、含水率が75%までなるよう脱水を行い、熱風乾燥(105℃、12時間)した。その後、ジューサーミキサー(MJ−W90、パナソニック(株))にて粉砕し、篩い分けを行い、表5に示した粒径の茶殻(実施試料例4,5、比較試料例5〜7)を得た。これらを粉末茶殻とした。なお、粉末茶殻の含水率は9.8質量%である。
(乾燥ペースト茶殻)
茶葉に、茶葉:温水(80℃)=10g:1000mlの割合にて温水を加え、5分間抽出した後、目開き2mmの篩にてろ過し、得られた含水茶殻に40kgの圧力を加え、含水率が75%までなるよう脱水を行った。その後、ジューサーミキサー(MJ−W90、パナソニック(株))にて湿式粉砕し、表3に示した粒径のペーストを得た。これらを熱風乾燥(105℃、12時間)させ、乾燥ペースト茶殻(比較試料例8,9)とした。なお、乾燥ペースト茶殻の含水率は9.8質量%である。
【0032】
上記で作成した試料を用いて、下記方法で嗜好性物質の吸着性を評価した。
<水溶性嗜好性物質>
粉末茶殻又は乾燥ペースト茶殻に、茶殻:水溶性嗜好性物質=10g:100mlの割合にて水溶性嗜好性物質を加え、10分間スターラーを用いて攪拌後、キムワイプ(日本製紙クレシア(株))上にあけだし、固液分離を1時間行った。その後、105℃で24時間乾燥させ、乾燥前後の重量から吸水率を求め(式1)、表3に示す。
吸水率(%)=a/b×100・・・・式1
a:乾燥後の粉末茶殻又は乾燥ペースト茶殻の重量
b:乾燥前の粉末茶殻又は乾燥ペースト茶殻の重量
【0033】
<脂溶性嗜好性物質>
粉末茶殻又は乾燥ペースト茶殻に、脂溶嗜好性物質にみたてた食用なたね油(日清オイリオグループ(株))を茶殻:脂溶性嗜好性物質=10g:100mlの割合で加え、10分間スターラーを用いて攪拌後、キムワイプ(日本製紙クレシア(株))上にあけだし、固液分離を行った。吸油前後の重量から吸油率を求め(式2)、表3に示す。
吸油率(%)=a/b×100・・・・式2
a:吸油前の粉末茶殻又は乾燥ペースト茶殻の重量
b:固液分離後の粉末茶殻又は乾燥ペースト茶殻の重量
【0034】
【表3】
【0035】
(結果・考察)
粒径1mm以下の粉末茶殻において、吸水率及び吸油率は高く、嗜好性物質の吸着性が良いと考えられ、反対に乾燥ペースト茶殻において、吸水率及び吸油率は低く、嗜好性物質の吸着性は悪いと考えられる。乾燥ペースト茶殻では、ペーストにした際に粒子同士や成分が強固に固着さたままの状態で乾燥されるため、それらが外部からの吸収を妨げたと推測する。
【0036】
[実施例3:茶殻含水率と親油性の関係性試験]
茶葉に、茶葉:温水(80℃)=10g:1000mlの割合にて温水を加え、5分間抽出した後、目開き2mmの篩にてろ過した。得られた含水茶殻に40kgの圧力を加え、含水率が75%までなるよう脱水を行い、熱風乾燥(105℃、12時間)した。その後、ジューサーミキサー(MJ−W90、パナソニック(株))にて粉砕し、篩い分けを行い、粒径150μm超、250μm以下の茶殻を得た。これらの茶殻に、表6記載の含水率になるよう水を加え、その後茶殻の固形分量に対して60質量%の食用なたね油(日清オイリオグループ(株))を馴染ませ、3500rpm、20分、4℃の条件で遠心分離機(AX−310、 (株)トミー精工)を行った。
【0037】
<目視評価>
実施試料例6〜8及び比較試料例10,11について目視評価を行った。遠心分離後の状態を次に示す基準で2段階にて評価し、その結果を表4に示す。
【0038】
=親油性の評価=
○:液体分が浮かず、茶殻に馴染んでいる
×:液体分が上部に浮かんでいる
【0039】
【表4】
【0040】
(結果)
茶殻の含水率が25%よりも高くなると、遠心分離後には茶殻と食用なたね油が分離をしてしまい、親油性が乏しくなった。このため、特に脂溶性嗜好性物質を添加する場合は、茶殻の含水率は25%以下が好ましい。
【0041】
[実施例4:茶殻配合量と嗜好性物質吸着性の関係性試験]
下記の方法で評価用茶殻配合ペットフードを作製した。
(原料茶殻)
茶葉に、茶葉:温水(80℃)=10g:1000mlの割合にて温水を加え、5分間抽出した後、目開き2mmの篩にてろ過した。得られた含水茶殻に40kgの圧力を加え、含水率が75%までなるよう脱水を行い、熱風乾燥(105℃、12時間)した。その後、ジューサーミキサー(MJ−W90、パナソニック(株))にて粉砕し、150μm超1mm以下を篩い分け、これらを原料茶殻とした。なお、原料茶殻の含水率は5.2重量%である。
(茶殻配合ペットフード)
粒径1mm以下に粉砕したペットフード(jP STYLE GOLDプラスケア、日清ペットフード(株))に、表5記載の配合率になるよう原料茶殻を加えた後に、含水率が50質量%になるよう水を加え、全体がよく馴染むよう混ぜた。注射器(口径φ4mm)にそれらを入れ、押出し成型をし、105℃で24時間乾燥させ、茶殻配合ペットフードとした。
【0042】
茶殻配合ペットフードを、実施例2で作成した水溶性嗜好性物又は食用なたね油(日清オイリオグループ(株))に10分間浸漬し、キムワイプ(日本製紙クレシア(株))上にあけだし、固液分離を行った。固液分離前後の茶殻配合ペットフードの重量より吸水率又は吸油率を求め(式3)、表5に示す。
吸水(吸油)率(%)=a/b×100・・・・式3
a:吸水(吸油)前の茶殻配合ペットフードの重量
b:吸水(吸油)後の茶殻配合ペットフードの重量
【0043】
【表5】
【0044】
(結果)
茶殻をペットフードに配合することで、茶殻未配合のものより吸水率及び吸油率が高くなり、嗜好性物質の吸着性が高くなった。また、茶殻の配合率を高くすることで、吸水率及び吸油率はより高まり、嗜好性物質の吸着性が更に高まった。なお、1mm超の原料茶殻をペットフードに配合した際に、ペットフードより茶殻が脱離するなど成型不良が起こったため、1mm超の茶殻を配合したペットフードに関しては、その後の評価を中断した。
【0045】
[実施例5:茶殻配合量と呈味の関係性試験]
実施例4の原料茶殻に、表6記載の割合になるよう嗜好性物質のカツオ風味調味料(味の素(株))を加え、よく混ぜ、実施例試料12〜15及び比較例試料13を得た。
【0046】
<官能評価>
実施試料例12〜15及び比較試料例13について官能評価を行った。かかる官能評価試験は、飲料の開発を担当する訓練された10人のパネラーにより、次に示す基準で2段階にて評価した。最も多かった評価を表8示す。
【0047】
=呈味の評価=
○:嗜好性物質(カツオ)の香りがする
×:嗜好性物質(カツオ)の香りがしない
【0048】
【表6】
【0049】
(結果)
茶殻に対して嗜好性物質の割合が0.005以上になると、茶由来の香りがマスキングされながらも、カツオの香りが感じられるようになり、嗜好性は嗜好性物質の量と比例して増していった。しかしながら、嗜好性物質の魚介粉末やエキスなどには塩分を多く含んでいるため、これらの嗜好性物質の添加量は乾燥茶殻:嗜好性物質=1:1までが好ましい。
【0050】
[実施例6:茶殻配合ペットフードの嗜好評価]
粉砕したペットフード(DS-A、オリエンタル酵母工業(株))に、表7記載の配合率になるよう実施例4の原料茶殻を加え、全体がよく馴染むように混ぜた。それらを、押出し成型器機で成型後、乾燥(90℃、30分)と冷却を行った。その後、ペットフード:酵母エキス=100:1の割合になるよう、酵母エキス(オリエンタル酵母工業(株))を回転ドラムミキサーを用いて外添し、嗜好性試験用飼料(実施例試料16〜18、比較例試料14)とした。
【0051】
20頭のビーグル犬に、1頭当たり250gずつ嗜好性試験用試料を20分間給餌し、各ビーグル犬のドッグフード残量より摂食状況を確認し、表7にまとめた。
【0052】
【表7】
【0053】
(結果)
全ての茶殻配合ペットフードを18頭以上が完食し、また、平均摂食率も97%以上だったため、茶殻未配合のペットフードと遜色がなく、茶殻を1%〜10%加えることによる嗜好性の低下は見られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、茶殻を配合したペット用飼料及び前記ペット用飼料に添加しても成形性を損なわず且つ、低カフェインでありながらカテキンや食物繊維などの有効物質を含む飼料用原料茶殻の製造方法に利用可能である。