特許第6396874号(P6396874)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6396874情報処理装置、情報処理装置起動方法、及び情報処理装置起動プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396874
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置起動方法、及び情報処理装置起動プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/4401 20180101AFI20180913BHJP
   G06F 9/445 20180101ALI20180913BHJP
【FI】
   G06F9/4401
   G06F9/445 130
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-213726(P2015-213726)
(22)【出願日】2015年10月30日
(65)【公開番号】特開2017-84208(P2017-84208A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2017年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大崇
【審査官】 多賀 実
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−208747(JP,A)
【文献】 特開2010−026650(JP,A)
【文献】 特開2012−022541(JP,A)
【文献】 特開2013−080399(JP,A)
【文献】 特開2012−174061(JP,A)
【文献】 特開2012−203557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/44−9/451
G06F 11/16−11/20
G06F 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフラッシュメモリに記憶された、システムの機能を提供する第1のシステムプログラムと、
前記第1のシステムプログラムの劣化の有無を検出するシステム検証プログラムと、
前記第1のフラッシュメモリよりもデータの劣化しにくい記憶手段にて保持される、前記第1のシステムプログラムの劣化が検出された際に前記システムの機能を提供する第2のシステムプログラムを、起動するバックアッププログラムと、
前記第1のシステムプログラム、前記システム検証プログラム、及び前記バックアッププログラムを起動するブートプログラムと、
を備えた情報処理装置であって、
前記第2のシステムプログラムは、前記第1のフラッシュメモリよりも低温に保たれた第2のフラッシュメモリにより記憶される
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1のフラッシュメモリは前記情報処理装置の筐体内に設置され、前記第2のフラッシュメモリは前記情報処理装置の前記筐体外に設置される
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記システム検証プログラム、前記バックアッププログラム、又は前記ブートプログラムは、前記第1のシステムプログラムが記憶される前記第1のフラッシュメモリ上の領域よりもデータ保持の信頼性の高い記憶手段に記憶される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、1回のみ書込み可能な不揮発性メモリである
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記不揮発性メモリは、前記第1のフラッシュメモリ上の1回のみ書込み可能な領域である
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記システム検証プログラムは、前記第1のシステムプログラムに加えて、前記システム検証プログラム、前記バックアッププログラム、又は前記ブートプログラムの劣化の有無を検出し、
前記バックアッププログラムは、前記システム検証プログラム、前記バックアッププログラム、又は前記ブートプログラムの劣化が検出された際に、劣化が検出された前記システム検証プログラム、前記バックアッププログラム、又は前記ブートプログラムを、前記第1のフラッシュメモリよりもデータの劣化しにくい記憶手段にて保持された対応するプログラムに置き換える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
第1のフラッシュメモリに記憶された第1のシステムプログラムと、システム検証プログラムと、バックアッププログラムと、ブートプログラムと、を備える情報処理装置を起動する方法であって、
前記第1のシステムプログラムは、システムの機能を提供し、
前記システム検証プログラムは、前記第1のシステムプログラムの劣化の有無を検出し、
前記バックアッププログラムは、前記第1のフラッシュメモリよりもデータの劣化しにくい記憶手段にて保持される、前記第1のシステムプログラムの劣化が検出された際に前記システムの機能を提供する第2のシステムプログラムを起動し、
前記ブートプログラムは、前記第1のシステムプログラム、前記システム検証プログラム、及び前記バックアッププログラムを起動し、
前記第2のシステムプログラムは、前記第1のフラッシュメモリよりも低温に保たれた第2のフラッシュメモリにより記憶される
ことを特徴とする情報処理装置起動方法。
【請求項8】
コンピュータに実行させる情報処理装置起動プログラムであって、
第1のフラッシュメモリに記憶された、システムの機能を提供する第1のシステムプログラムと、
前記第1のシステムプログラムの劣化の有無を検出するシステム検証プログラムと、
前記第1のフラッシュメモリよりもデータの劣化しにくい記憶手段にて保持される、前記第1のシステムプログラムの劣化が検出された際に前記システムの機能を提供する第2のシステムプログラムを、起動するバックアッププログラムと、
前記第1のシステムプログラム、前記システム検証プログラム、及び前記バックアッププログラムを起動するブートプログラムと、
を備え
前記第2のシステムプログラムは、前記第1のフラッシュメモリよりも低温に保たれた第2のフラッシュメモリにより記憶される
ことを特徴とする情報処理装置起動プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内蔵フラッシュメモリにシステムプログラムが記憶された、情報処理装置、情報処理装置起動方法、及び情報処理装置起動プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの電子機器では不揮発性メモリが使用される。価格、容量、利便性の面から、特にフラッシュメモリが使用されることが多い。図4は、フラッシュメモリのデータ保持時間に対するデータ書き換え回数及び動作温度の影響の一例を示すグラフである。図4に示されるように、フラッシュメモリは、多数回の書き込みや、高い温度の環境における使用に起因して、データを保持できる時間が大幅に短縮するという性質を有する。つまり、フラッシュメモリでは、書き込み回数や動作温度の増加に伴って、記憶されたデータにおけるビットの反転(データの「劣化」ともいう)の単位時間当たりの確率が増加する。そのため、フラッシュメモリが用いられた装置では、フラッシュメモリにおける書き込み頻度や温度について細心の注意を払った設計がなされる必要がある。しかしながら、そのような設計がなされても、想定外の使用方法などにより、フラッシュメモリのデータが保持できなくなり、装置が正常に起動しなくなるという問題がある。例えば、ルータなどの通信端末機器は、一旦設置された後には、使用者により操作される必要性はほとんどないので、部屋の隅などに設置されることが多い。その結果、通信端末機器は、通気性が悪い環境に起因して、高温になることがある。さらに、通信端末機器は、常時通電されるので、内部の電子部品が発熱し、長時間高温環境で動作することが多い。
【0003】
起動時の障害から復旧する技術の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1の情報処理装置は、BIOS(Basic Input/Output System)、ROM(Read Only Memory)と、BMC(Baseboard Management Controller)とを含み、ネットワーク上のリモートPC(Personal Computer)に接続される。特許文献1の情報処理装置は、以下のように動作する。BMCは、情報処理装置の起動監視を行い、規定時間内に起動しない場合には、情報処理装置の再起動を行う。規定回数の再起動で起動しない場合には、BMCは、最新バージョンのBIOSが原因と判断し、ROMフェッチ経路を切り替える。また、BMCは、ネットワーク上のリモートPCからBIOS管理情報を取得してBMC内部に格納し、BIOS管理情報の最新バージョンのBIOSに起動不可を示すフラグを設定する。
【0004】
次に、BMCは、ネットワーク上のリモートPCからBIOS管理情報と1つ古いバージョンのBIOSとをダウンロードし、情報処理装置を再起動させる。情報処理装置は、BMCが保有する1つ古いバージョンのBIOSで起動を試みる。BMCは、起動監視を行い、規定時間内に起動せず、かつ規定回数の再起動で起動しない場合には、起動不可を示すフラグが設定されていない2つ古いバージョンのBIOSをダウンロードし、情報処理装置を再起動させる。それと同時に、BMCは、1つ古いバージョンのBIOSに起動不可を示すフラグを設定する。情報処理装置は、BMCが保有する2つ古いバージョンのBIOSで起動を試みる。上記の動作の結果、特許文献1の情報処理装置は、BIOSに起因する起動障害から自動的に復旧する。
【0005】
起動時の障害から復旧する技術の別の一例が、特許文献2に開示されている。特許文献2のシステムは、USB(Universal Serial Bus)フラッシュメモリに接続可能なコンピュータ装置と、ネットワークを介してコンピュータ装置に接続されるユーザサポートセンターとを含む。特許文献2のシステムは、以下のように動作する。USBフラッシュメモリがコンピュータ装置に接続されると、USBフラッシュメモリに記録されている起動実行アプリケーションが起動され、コンピュータ装置が起動される。コンピュータ装置の起動後に、USBフラッシュメモリに記録されているネットワーク設定アプリケーションが起動され、コンピュータ装置のネットワーク設定が行われ、コンピュータ装置はユーザサポートセンターにネットワークを介して接続される。コンピュータ装置は、ユーザサポートセンターから提供されるテスト・プログラムを実行することにより、コンピュータ装置の診断を実行する。コンピュータ装置は、診断結果をユーザサポートセンターに送信する。ユーザサポートセンターは、診断結果からコンピュータの障害内容を特定し、障害被疑部品の特定や修復プログラムの提供を行うことにより、コンピュータ装置を修復する。上記の動作の結果、特許文献2のシステムは、コンピュータ装置が起動できない場合でも、コンピュータ装置の診断および修復を行う。
【0006】
起動時の障害から復旧する技術の別の一例が、特許文献3に開示されている。特許文献3の表示装置は、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)と、フラッシュメモリと、SRAM(Static Random Access Memory)と、メモリーカードを装着可能なカードスロット部とを含む。特許文献3の表示装置は、以下のように動作する。表示装置の電源が投入されると、EPROMのブートストラッププログラムが開始され、デバイスの初期化や各種設定データの読み出し、及びフラッシュメモリ内にシステムプログラムが存在するか否かの判断が行われる。次に、メモリーカードが表示装置のカードスロット部に装着されているか否かが判断され、メモリーカードが装着されている場合には、EPROMのファイル転送プログラムが実行される。ファイル転送プログラムが開始されると、表示部に表示される選択項目に沿ってリモコン入力が可能になり、メモリーカード内に収められたデータやプログラムをフラッシュメモリへ転送する処理が行われる。フラッシュメモリへのデータ転送が完了したら、表示装置の再起動を促すメッセージが表示されて、処理が終了する。メモリーカードが装着されていない場合には、EPROMのCRC(Cyclic Redundancy Check)プログラムにより、フラッシュメモリに記憶されたシステムプログラム、フォントデータ、表示コンテンツデータにデータエラーが発生しているか否かがチェックされる。フラッシュメモリの記憶内容が正常であれば、フラッシュメモリに収められたシステムプログラムが開始される。上記の動作の結果、特許文献3の表示装置は、フラッシュメモリにおけるデータの破損を検出し、意味不明のパターンの表示や、表示不能の状態を回避する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−170306号公報
【特許文献2】特開2008−234420号公報
【特許文献3】特開2004−070097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1乃至3の技術では、システムプログラムのデータが劣化した場合に、システムプログラムの修復及びシステムの起動が自動的に行われない。
【0009】
通信端末機器は、フラッシュメモリ内に、システムの起動を行うブートプログラムと、システムの機能を提供するシステムプログラムとを記憶している。通常、ブートプログラムは1度しか書き込まれないが、システムプログラムは機能改善や機能拡張のために何度も書き換えられる。フラッシュメモリにおいて書き込み回数が多いデータは劣化しやすいので、システムプログラムのデータは、ブートプログラムのデータ等に比べて劣化しやすい。従って、システムプログラムがフラッシュメモリに記憶される装置には、システムプログラムのデータが劣化すると、装置が正常に起動できないという問題がある。
(発明の目的)
本発明の主たる目的は、内蔵フラッシュメモリに記憶されたシステムプログラムのデータが劣化した場合にもシステムを自動的に起動することができる、情報処理装置、情報処理装置起動方法、及び情報処理装置起動プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の情報処理装置は、第1のフラッシュメモリに記憶された、システムの機能を提供する第1のシステムプログラムと、第1のシステムプログラムの劣化の有無を検出するシステム検証プログラムと、第1のフラッシュメモリよりもデータの劣化しにくい記憶手段にて保持される、第1のシステムプログラムの劣化が検出された際にシステムの機能を提供する第2のシステムプログラムを、起動するバックアッププログラムと、第1のシステムプログラム、システム検証プログラム、及びバックアッププログラムを起動するブートプログラムと、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の情報処理装置起動方法は、第1のフラッシュメモリに記憶された第1のシステムプログラムと、システム検証プログラムと、バックアッププログラムと、ブートプログラムと、を備える情報処理装置を起動する方法であって、第1のシステムプログラムは、システムの機能を提供し、システム検証プログラムは、第1のシステムプログラムの劣化の有無を検出し、バックアッププログラムは、第1のフラッシュメモリよりもデータの劣化しにくい記憶手段にて保持される、第1のシステムプログラムの劣化が検出された際にシステムの機能を提供する第2のシステムプログラムを起動し、ブートプログラムは、第1のシステムプログラム、システム検証プログラム、及びバックアッププログラムを起動することを特徴とする。
【0012】
本発明の情報処理装置起動プログラムは、コンピュータに実行させる情報処理装置起動プログラムであって、第1のフラッシュメモリに記憶された、システムの機能を提供する第1のシステムプログラムと、第1のシステムプログラムの劣化の有無を検出するシステム検証プログラムと、第1のフラッシュメモリよりもデータの劣化しにくい記憶手段にて保持される、第1のシステムプログラムの劣化が検出された際にシステムの機能を提供する第2のシステムプログラムを、起動するバックアッププログラムと、第1のシステムプログラム、システム検証プログラム、及びバックアッププログラムを起動するブートプログラムと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、内蔵フラッシュメモリに記憶されたシステムプログラムのデータが劣化した場合にもシステムを自動的に起動することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態の情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態の情報処理装置の内蔵フラッシュメモリのデータ構成の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態の情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
図4】フラッシュメモリのデータ保持時間に対する書き換え回数及び動作温度の影響の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、すべての図面において、同等の構成要素には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0016】
本実施形態における構成について説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態の情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の情報処理装置100は、「ブートプログラム」を実行することにより起動され、ブートプログラムから呼び出された「システムプログラム」を実行することにより情報処理装置100の機能を提供する。また、情報処理装置100は、「システム検証プログラム」を実行することによりシステムプログラムが正常か否かを検出し、システムプログラムの異常が検出されると「バックアッププログラム」を実行することによりシステムプログラムを更新する。情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)103と、内蔵フラッシュメモリ104と、RAM105と、入力インターフェース106とを含む。
【0018】
入力インターフェース106は、外部の記憶装置200に接続される。入力インターフェース106は、例えば、USB、LAN(Local Area Network)、WLAN(Wireless Local Area Network)、SATA(Serial Advanced Technology Attachment)に準拠するインターフェースである。
【0019】
記憶装置200は、予備のシステムプログラムを保持する。予備のシステムプログラムは、例えば、ファイル名(例えば、「system file」)、又はURL(Uniform Resource Locator)により識別される。記憶装置200は、予備の、ブートプログラム、システム検証プログラム、又はバックアッププログラムを保持してもよい。記憶装置200は、情報処理装置100の筐体外に設置される。記憶装置200は、データの劣化がほとんど無い方法を用いてデータを保持する。記憶装置200は、例えば、書き込み回数が極めて少ないフラッシュメモリ、内蔵フラッシュメモリ104よりも低温の環境で動作させられるフラッシュメモリ、ROM又はハードディスク上にデータを保持するファイルサーバである。なお、記憶装置200は、フラッシュメモリである場合には、情報処理装置100の筐体外に設置されるので、情報処理装置100内で発生する熱の影響をうけにくく、内蔵フラッシュメモリ104よりも低温の環境で動作する。
【0020】
CPU103は、ブートプログラムやシステムプログラム等のプログラムを実行することにより、情報処理装置100を制御する。CPU103は、内蔵フラッシュメモリ104、RAM105、入力インターフェース106に接続される。
【0021】
RAM105は、ブートプログラムやシステムプログラム等のプログラム、又はプログラムが使用するデータ等を一時的に保持する。
【0022】
内蔵フラッシュメモリ104は、情報処理装置100に電源が投入されていない間にも、ブートプログラムやシステムプログラム等のプログラム、又はプログラムが使用するデータ等を持続的に保持する。内蔵フラッシュメモリ104は、情報処理装置100の筐体内に設置される。内蔵フラッシュメモリ104は、情報処理装置100内の電子回路の発熱に起因して、記憶装置200よりも高温の環境で動作する。
【0023】
図2は、本発明の実施形態の情報処理装置100の内蔵フラッシュメモリ104のデータ構成の一例を示す図である。
【0024】
内蔵フラッシュメモリ104は、ブートプログラムエリア301と、システムプログラムエリア303と、システム検証プログラムエリア302と、バックアッププログラムエリア304とを含む。
【0025】
ブートプログラムエリア301は、ブートプログラムを保持する。
【0026】
システムプログラムエリア303は、システムプログラムを保持する。
【0027】
システム検証プログラムエリア302は、システム検証プログラムを保持する。システム検証プログラムは、システムプログラムが正常か否かを判断するプログラムである。
【0028】
バックアッププログラムエリア304は、バックアッププログラムを保持する。バックアッププログラムは、システムプログラムが正常ではないと判断された場合の処理を実行するプログラムである。
【0029】
通常、ブートプログラム、システム検証プログラム、及びバックアッププログラムは、それぞれ1回のみ内蔵フラッシュメモリ104に書き込まれる。そのため、ブートプログラム、システム検証プログラム、及びバックアッププログラムは、より頻繁に内蔵フラッシュメモリ104に書き込まれるシステムプログラムよりもプログラムのデータが劣化し難い。
【0030】
なお、これらの内蔵フラッシュメモリ104により保持されたプログラムは、一旦RAM105に展開された後に、CPU103により実行される。また、記憶装置200から取得されたプログラムやデータは、一旦RAM105に展開された後に、内蔵フラッシュメモリ104により保存される。
【0031】
次に、本実施形態における動作について説明する。
【0032】
図3は、本発明の実施形態の情報処理装置100の動作を示すフローチャートである。なお、図3に示すフローチャート及び以下の説明は一例であり、適宜求める処理に応じて、処理順等を入れ替えたり、処理を戻したり、又は処理を繰り返したりしてもよい。
【0033】
情報処理装置100に記憶装置200が接続され、情報処理装置100の電源が投入されると、CPU103は、内蔵フラッシュメモリ104のブートプログラムエリア301からブートプログラムを読み出す。そして、CPU103は、ブートプログラムをRAM105に展開した後に、ブートプログラムを起動する(ステップS402)。
【0034】
CPU103は、ブートプログラムから呼び出された、システムプログラムを起動する(ステップS403)。CPU103は、内蔵フラッシュメモリ104からシステムプログラムを読み出し、RAM105に展開する。
【0035】
CPU103は、ブートプログラムから呼び出された、システム検証プログラムを起動する。CPU103は、システム検証プログラムを実行することにより、システムプログラムが正常であるか否かを検証する(ステップS404)。CPU103は、例えば、システムプログラムのデータのCRCを計算し、計算結果が所定の値と一致するか否かを検証する。あるいは、CPU103は、システムプログラム起動後のプロセスの状態が正常であるか否かを検証してもよい。
【0036】
システムプログラムが正常ならば(ステップS404:Yes)、CPU103は、情報処理装置100の起動処理を完了し、システムプログラムによる処理を開始する。なお、システム検証プログラムは、システムプログラムを起動する前に、システムプログラムが正常であるか否かを検証できる場合がある。この場合には、CPU103は、システムプログラムのデータが正常である場合に(ステップS404:Yes)、システムプログラムを起動して(ステップS403)、起動処理を完了してもよい。
【0037】
システムプログラムが正常でないならば(ステップS404:No)、CPU103は、内蔵フラッシュメモリ104のバックアッププログラムエリア304からバックアッププログラムを読み出す。CPU103は、バックアッププログラムをRAM105に展開した後に、バックアッププログラムを起動する(ステップS406)。
【0038】
CPU103は、バックアッププログラムを実行することにより、入力インターフェース106を有効化する(ステップS407)。
【0039】
入力インターフェース106が有効になった後、CPU103は、バックアッププログラムの実行を継続することにより、記憶装置200からシステムファイルを読み出して、RAM105に展開する(ステップS408)。
【0040】
CPU103は、バックアッププログラムにより、RAM105に展開されたシステムプログラムを起動し(ステップS409)、情報処理装置100の起動処理を完了する。その後、CPU103は、システムプログラムを実行することにより、情報処理装置100の機能を提供するための処理を開始する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態の情報処理装置100のブートプログラムは、システムプログラム、システム検証プログラム、及びバックアッププログラムを起動する。本実施形態の情報処理装置100のシステム検証プログラムは、内蔵フラッシュメモリ104に保持されるシステムプログラムが正常であるか否かを判断する。システムプログラムが正常でない場合には、バックアッププログラムは、記憶装置200からシステムプログラムを取得して、取得したシステムプログラムを起動する。記憶装置200は、データの劣化がほとんど無い方法を用いてシステムプログラムのデータを保持する。従って、本実施形態の情報処理装置100には、内蔵フラッシュメモリに記憶されたシステムプログラムのデータが劣化した場合にもシステムを自動的に起動することができるという効果がある。
【0042】
また、本実施形態の情報処理装置100は、特別なハードウェアを使用することなく、ソフトウェアにより、内蔵フラッシュメモリに記憶されたシステムプログラムのデータが劣化した場合にもシステムを自動的に起動することができるという効果がある。
【0043】
なお、上述の説明では、システムプログラムのデータが劣化した際に、システムプログラムが記憶装置200から取得されたシステムプログラムに置き換えられた。加えて、本実施形態の情報処理装置100では、ブートプログラム、システム検証プログラム、又はバックアッププログラムのデータが劣化した際にも、各プログラムが記憶装置200から取得されたプログラムに置き換えられてもよい。この場合、本実施形態の情報処理装置100には、内蔵フラッシュメモリに記憶された、ブートプログラム、システム検証プログラム、又はバックアッププログラムのデータが劣化した場合にも、システムを起動できる可能性を高めることができるという効果がある。
【0044】
また、上述の説明では、ブートプログラム、システムプログラム、システム検証プログラム、及びバックアッププログラムは、内蔵フラッシュメモリ104の同等な各領域において記憶された。ところが、システムプログラム以外のプログラムは、不具合の修正や機能強化等により書き換えられるシステムプログラムとは異なり、書き換えられることがほとんどない。そこで、システムプログラム以外のプログラムは、システムプログラムが記憶される内蔵フラッシュメモリ104よりもデータ保持の信頼性の高い記憶手段において記憶され、システムプログラム以外のプログラムのデータの劣化が抑制されてもよい。具体的には、例えば、ブートプログラム、システム検証プログラム、又はバックアッププログラムは、情報処理装置100内のOTP(One Time Programmable)ROM(不図示)に記憶されてもよい。OTPROMは、1度しかデータを書き込むことができないが、データ保持の信頼性の高い不揮発性メモリである。あるいは、ブートプログラム、システム検証プログラム、又はバックアッププログラムは、内蔵フラッシュメモリ104上の1回のみ書込み可能な領域に記憶されてもよい。内蔵フラッシュメモリ104上の1回のみ書込み可能な領域は、1回のみ書込み可能なようにアクセス制限が行われることにより実現されてもよい。
【0045】
ブートプログラム、システム検証プログラム、又はバックアッププログラムがデータ保持の信頼性の高い記憶手段により記憶される場合には、ブートプログラム、システム検証プログラム、又はバックアッププログラムのデータは劣化し難い。従って、この場合には、本実施形態の情報処理装置100には、内蔵フラッシュメモリ104が劣化した際に情報処理装置100が正常に動作することをより確実にするという効果がある。
【0046】
以上、本発明を、上述した各実施形態およびその変形例によって例示的に説明した。しかしながら、本発明の技術的範囲は、上述した各実施形態およびその変形例に記載した範囲には限定されない。当業者には、係る実施形態に対して多様な変更又は改良を加えることが可能であることは明らかである。そのような場合、係る変更又は改良を加えた新たな実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれ得る。そしてこのことは、特許請求の範囲に記載した事項から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、電子機器を起動させる用途において利用できる。
【符号の説明】
【0048】
100 情報処理装置
103 CPU
104 内蔵フラッシュメモリ
105 RAM
106 入力インターフェース
200 記憶装置
301 ブートプログラムエリア
302 システム検証プログラムエリア
303 システムプログラムエリア
304 バックアッププログラムエリア
図1
図2
図3
図4