【実施例】
【0141】
以下の実施例は、本発明を製作しおよび使用するための方法の完全な開示および記述を当業者に提供するために記載してあり、および発明者がこれらの発明と考えるものの範囲を限定することは意図されず、およびこれらは、下記の実験が行われる全てまたは唯一の実験であることを表すことは意図されない。使用した数(たとえば、量、温度、その他)に関して精度を保証するために努力がなされているが、いくらかの実験誤差および偏差が考慮されるべきである。別に示されない限り、部は、重量部であり、分子量は、重量平均分子量であり、温度は、摂氏度であり、および圧力は、大気状態にてまたは近い。標準的な略語、たとえば、bp、塩基対;kb、キロベース;pl、ピコリットル;sまたはsec、秒;min、分;hまたはhour、時間;aa、アミノ酸;kb、キロベース;bp、塩基対;nt、ヌクレオチド;i.m.、筋肉内(に);i.p.、腹腔内(に);s.c.、皮下(に);および同様のもの使用してもよい。
【0142】
実施例1:うつ病に関連した挙動の神経符号化および発現の両方のドーパミンニューロン調節
中脳腹側被蓋野(VTA)ドーパミンニューロンの活動が、意欲および快活症の正常なレベルの維持に必要であったかどうかを調査した。VTA DAニューロンの活動を選択的に阻害することがうつ病様挙動を敏感に誘導し得るかどうかを試験するため、光遺伝的技術(21〜23)によって可能になる細胞タイプ特異的ターゲティングおよび正確な時間操作を利用した。VTA DAを阻害するために、琥珀色光(eNpHR3.0)(23)の照明においてニューロン膜を過分極化する増強されたハロロドプシンを発現したものは、複数のうつ病アッセイにおいてこれらの動物を試験する前に、TH::Creマウス(24)のVTAに二重にloxPが導入されたcre依存的ウイルスの構築物を注射することによって、チロシン水酸化酵素(TH)陽性ニューロンにおいて選択的に発現した(
図1A)。
【0143】
eNpHR3.0は、増強された黄色蛍光タンパク質(eYFP)に融合されるので、これらの行動アッセイに使用した動物におけるターゲティングの特異性を、eNpHR3.0−eYFPを発現したVTAニューロンの比率を定量化することによって、または(TH+)であったeYFP単独を発現する年齢が一致した対照において、免疫組織化学的に検証した(
図1B)。齧歯類におけるうつ病アッセイの2つの一次カテゴリーは、意欲(25〜28)および快感消失(27、29、30)の計測を含む。これらのアッセイでは、成績が抗うつ薬物投与の慢性治療で改善することが十分に確認された(25〜27、29、30)。
【0144】
うつ病性表現型の状況において、意欲は、動物の尾部による懸垂または冷水における強制水泳などの避けられないストレス要因を齧歯類に提示することによって、アッセイする。アッセイ解析は、静止して費やす時間と比較して、動物が逃避関連行動を行うか、またはもがくことに費やす時間の比を定量化することを必要とする。このようなアッセイにおける不動、尾懸垂試験(TST)における懸垂、または強制水泳試験(FST)における浮遊は、「行動的絶望」(27、28)の印として、歴史的に解釈されてきた。本明細書では、eNpHR3.0を発現するVTA DAニューロンを持つマウスを、ベースライン光を消した時期、光を点けた時期および次いでもう一度光を消した時期を含む3つの時期を伴うTSTにおける9分セッションにおいてeYFP対照と比較したとき、一旦光を消すとベースラインに戻る591nm光での一定の照明により、逃避関連行動の有意な減少が見られた(二元分散分析はGroupxEpoch相互作用を示し、F4,38=3.95、p=0.00089、ボンフェローニ事後試験では、eYFP群と比べてNpHR3.0群において逃避関連行動における有意な減少を示す、p<0.05)(
図1C)。
【0145】
逃避関連行動におけるこの一過性減少が、意欲の増大よりもむしろ、全体的な歩行運動効果であったかどうかを、これらの同じ動物を、新規であるがストレスの多くない環境において、光を消しおよび光を点けた状態の間の2つの3分の変化にわたる12分セッションの間のオープンフィールド試験(OFT)において自由に探索する間を評価することによって調査した。照明によりeNpHR3.0群において歩行運動が減少される微妙な傾向があたかもしれないが、群間で移動速度における有意な相違はなかった(二元分散分析は、GroupxEpoch相互作用でないことを示した、F3,48=1.76、p=0.17)。逃避関連行動における有意な減少および減少した移動についての有意でない傾向は、VTA DAニューロンの阻害において意欲における減少を反映しうる。
【0146】
避けられないストレス要因に直面した逃避関連行動をアッセイすることに加えて、VTA DAニューロンの選択的阻害が快感消失を敏感に誘導し得るかどうかを決定するために、十分に確証された快感消失アッセイに対する新規バリエーション、スクロース嗜好試験(29〜34)を開発した。我々のスクロース嗜好測定の感度を増加させるために、90分セッションの間水または1%スクロース溶液いずれかを届ける噴出口の舐める回数を、自動化された検出によって定量化し、ベースラインの30分光を消した時期、続いて30分光を点けた時期、さらに30分光を消した時期で終わる範囲内でスクロース嗜好を決定した(
図1E)。著しくは、eYFP対照でない、eNpHR3.0マウスにおける照明の間のスクロース嗜好の有意な減少が観察された(
図1E;二元分散分析はオプシンの著しい効果を示した、F1,42=6.31、p=0.016;ボンフェローニ事後試験は、光を点けた時期のみにおいて群間の有意な相違を示した、p<0.05)。したがって、VTA DAニューロンの阻害は、スクロース嗜好の減少によって測定したときに、避けられないストレス要因に直面する際の逃避関連行動、並びに快感消失の敏感な誘発を有意に減少させた。まとめると、本明細書において、VTA DAニューロンの選択的阻害は、増加した「行動的絶望」および快感消失(27、28)の両方の測定において、うつ病様表現型によく似ていることを敏感に示す。
【0147】
次に、VTA DAニューロンの位相性活性化が、予測不可能な慢性軽度ストレス(CMS)(31、32、34、35)によって誘導されるうつ病様表現型を救うのに役に立ち得るかどうかを調査した。ヒトにおいて、うつ病に罹患した大部分の患者は、慢性ストレスが徐々に、短い(およそ数日)一連のストレスの多いイベント(36〜40、19、41)よりもむしろ、長期持続抑うつ状態(およそ数か月)の引き金になったと述べる。ヒトにおいて観察されるような忠実にうつ病様の状態をモデル化するために、予測不可能な慢性軽度ストレス(CMS)パラダイムを、齧歯類における鬱病患者様の状態を誘導するのに使用し(32、34〜36、42〜47)、予測不可能な軽度のストレス要因を、成体齧歯類において8〜12週間、1日2回与えた。CMSは、避けられないストレス要因に直面した逃避関連行動の減少によってアッセイしたときに、意欲の減少を、並びにスクロース嗜好(27、29〜32、34、44、18)によって測定したときに、快感消失を生じることを示した。
【0148】
VTA DAニューロンを阻害することがうつ病様表現型を敏感に生じたことが示されたので(
図1)、次いでVTA DAニューロンの活性化が慢性ストレスによって誘導されるうつ病様表現型を救い得るかどうかを決定した。VTA DAニューロンを選択的に活性化するために、ウイルス形質導入法を、チャネルロドプシン(ChR2)、膜を脱分極させ、およびミリ秒精度で作用電位を生じる光活性化されたカチオンチャネル(22、48)を選択的に発現するために使用し、使用したパラメーターにてVTA TH+において発現されたときに(24、49、50)、側坐核(NAc)においてドーパミントランジェントを放出することを示した。これを試験するために、4つの実験群を設定した(
図2A):1)VTAにおいてChR2形質導入されたTH+ニューロンを持つ群を、8〜12週間慢性軽度ストレス(CMS)プロトコルに曝露した、2)対照として、eYFP蛍光団をVTA DAニューロンにおいて単独で発現した;これらの動物をCMSプロトコルで処理した、3)いずれかのChR2を発現した、または4)8〜12週の間、低ストレス環境(Non−CMS)に収容された動物におけるVTA DAニューロンにおいてeYFP単独で発現。
【0149】
VTA DAニューロンにおける位相性発火(firing)がCMSで誘導されるうつ病様表現型を救い得るか否かを試験するために、複数のうつ病アッセイの間、ベースライン(off)、位相性照明(on)および照明後の(光off)時期(
図2B)の間に動物を調べた。VTA DAニューロンにおける位相性発火を生じるように、照明(on)時期の間に位相性スパイキング24およびドーパミントランジェント(24、49)の放出を誘発するために、まばらな、バーストする照射パターンを使用した(
図2B;30Hz、5msパルス幅、5秒ごとにて8パルス)。意欲に対するVTA DAニューロンにおける位相性発火の効果を調べるために、動物の全ての4群を尾懸垂試験(TST)に供して、もがく量または各時期の間の逃避関連行動を定量化した。
【0150】
ベースラインにて、以前の研究(25、32、33、43)と一致して、CMSがNon−CMS対照と比較して〜50%までもがく量を減少させたことを観察した(eYFP CMS=33.8±6.1;ChR2 CMS=31.3±3.9;ChR2 Non−CMS=61.7±7.3;eYFP Non−CMS 61.3±7.6;
図2C)。二元分散分析は、有意なGroupxEpoch相互作用、F6,108=3.36、p=0.0045、だけでなく、Groupの強力な効果、F3,108=16.92、p<0.0001、を示した。照明により、ChR2 CMS群は、eYFP CMS群(p<0.001、ボンフェローニ事後試験)と比較して、逃避関連行動において有意な増大を示した。したがって、eYFP CMSマウスでなく、ChR2 CMSマウスにおけるVTA DAニューロンの位相性照明は、およそ数秒でCMSで誘導されるうつ病様表現型を救った(
図2C)。重要なことに、照明(ボンフェローニ事後試験)によりeYFP Non−CMSとChR2 Non−CMSマウスとの間にもがきにおける有意な相違は観察されず、逃避関連行動の増大がストレス誘発性うつ病様表現型を示した動物に特異的であったことを示した。
【0151】
DAシステムがまた歩行運動に関連するので、TSTの間に使用した刺激パラメーターが全体的な歩行運動効果を誘導したか否かを試験した。TSTアッセイに含まれる全てのマウスの歩行運動を、オープンフィールドチャンバーにおいて、上記と同じ位相性照明パラメーターを使用して、2つの3分間光を点けた時期と、2つの3分間光を消した時期とを交互配置して調べた(
図2D)。照明によりChR2群において速度の増加に向かう傾向があったが、二元分散分析における有意なGroupxEpoch相互作用は、観察されなかったし(F9,152=0.99、p=0.4493)、および検出可能な相違は、ボンフェローニ事後試験によって示されなかった。しかし、群の有意な効果が観察され(F3,152=5.06、p=0.0023)、これはオープンフィールドチャンバーにおける最初の探査におけるCMSとNon−CMS群との間の相違を反映し得る(
図2D)。
【0152】
次に、またVTA DAニューロンの位相性活性化がスクロース嗜好におけるCMSで誘導される減少を救うか否かを試験した。スクロース嗜好における急な変化を検出するために、スクロース嗜好試験の新規のバリエーションを、このアッセイの感受性を増加させるために開発した。水または1%スクロース溶液のいずれかを放出する噴出口にて舐めを検出するためにリックメーター(lickometer)を使用することによって、スクロース嗜好を、3つの30−分時期にわたって、単一の90分セッションにおいて分析した(
図2E)。二元分散分析は、有意なGroupxEpoch相互作用(F6,62=4.33、p=0.001)、並びに群の著しい効果(F3,31=3.40、p=0.0299)を示した。以前の研究と一致して、ベースライン測定は、リックメーターアッセイにおける照明より前に、eYFPおよびChR2 CMSマウスがeYFPおよびChR2 Non−CMSマウスに比べて有意により低いスクロース嗜好を持つことを示した(ボンフェローニ事後試験、それぞれp<0.05およびp<0.01)。しかし、VTA DAニューロンの位相性活性化は、eYFP CMSでなく、ChR2 CMS動物におけるCMSで誘導される快感消失効果を敏感に救った(1方向分散分析、ベースラインを光を点けた時期と比較するDunnの事後試験、ChR2 CMSマウスに関してp<0.01、eYFP CMSマウスに関してp=0.2851)。
【0153】
上で提示したデータは、うつ病に関連した挙動についての複数のアッセイにおいてVTA DA ニューロン活性の双方向性効果があることを証明する。しかし、VTA DAニューロンは、脳全体の複数の領域に投射するので(51〜54)、いずれの下流の標的がこの挙動に寄与し得るかは明らかでない。さらにまた、VTA DAニューロンが腹側線条体においてグルタミン酸を共放出する証拠がある(55〜57)。大うつ病性障害と診断されるヒト患者における腹側線条体、特に側坐核(NAc)における深い脳刺激が、うつ病の症候を緩和するのを補助したと仮定して(58、59)、NAcにおけるグルタミン酸またはドーパミン伝達が、マウスにおけるこのうつ病様表現型の光で誘発される救出を媒介していたかどうかを試験した。
【0154】
TSTの間、NAcにおけるVTA DA ニューロン伝達の貢献を調査するために、マウスのさらなる群を含み、8〜12週の予測不可能な慢性軽度ストレスを受ける前に、VTA DAニューロンのウイルス形質導入およびVTAに狙いを定めた光ファイバーケーブルの常時移植に加え、NAcにおいて両側のガイドカニューレを移植した(
図3A)。VTA DAニューロンの位相性活性化によるグルタミン酸伝達の機能役割を調査するために、被験体中の比較を行い、順位について平衡させ、および生理食塩水またはα−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサゾールプロピオン酸受容体(AMPAR)アンタゴニスト、2,3−ジヒドロキシ−6−ニトロ−7−スルファモイル−ベンゾ[f]キノキサリン−2,3−ジオン(NBQX)およびN−メチル−D−アスパルテート受容体(NMDAR)アンタゴニスト、(2R)−アミノ−5−ホスホノバレリアン酸(AP5)、の混合物のいずれかを、TSTにおける試験の直前にNAcへ注入した。
【0155】
二元分散分析は、有意なGroupxEpoch相互作用(F2,28=3.69、p=0.0379)、群の著しい効果(F1,14=7.24、p=0.0176)および時期の著しい効果(F2,28=38.98、p<0.0001)を明らかにした。内部NAc生理食塩水処理の後、VTA照明によるストレス誘発性うつ病様表現型の救出を繰り返した(一元分散分析、p<0.001、ベースラインを光を点けた時期と比較するDunn事後試験、p<0.01;
図3B)。内部NAcグルタミン酸受容体封鎖の後、また、照明によるストレス誘発性うつ病様表現型の救出を観察した(一元分散分析、p<0.001、ベースラインを光を点けた時期と比較するDunn事後試験、p<0.001;
図3B)。実際に、群の著しい効果によって見られたように、もがくことに費やされる時間は、グルタミン酸受容体アンタゴニストで処理した動物全体においてより大きかった。
【0156】
NAcは、PFC、扁桃体および海馬を含む、多数の領域から強いグルタミン酸作動性神経支配を受けるので、これらの入力の正味の効果がTSTにおける逃避関連行動を抑制するのに役に立ち得ると推測した。その上、本明細書において提示した所見は、ケタミン、NMDARアンタゴニスト、がヒトにおけるうつ病様の症候を敏感に改善することができることを示す最近の研究(60〜62)と一致する。
【0157】
NAcにおけるグルタミン酸伝達は、我々の尾部懸垂の間の逃避関連行動における光で誘発される増大を媒介するために必要とされなかったことを示したので、次いで、NAcにおけるドーパミンシグナリングが逃避関連行動の調節に決定的に関与したか否かを試験した。これを行うため、被験体中の比較を、TSTにおける試験の前に、SCH 23390(D1受容体アンタゴニスト)またはラクロプリド(D2受容体アンタゴニスト)の混合物を使用して、内部NAc生理食塩水または内部NAcドーパミン受容体拮抗作用の後に行った。逃避関連行動の有意な減弱が、ベースラインおよび照明時期の両方の間にNAcドーパミン受容体遮断と共に観察された(二元分散分析は、有意なDrugxEpoch相互作用、F2,44=3.52、p=0.0381、薬剤の著しい効果、F1,22=53.74、p<0.0001、および時期の著しい効果、F2,44=3.48、p=0.0395、を明らかにした;
図3C)。
【0158】
これらの所見は、VTAからNAcへのドーパミン作動性神経支配が、逃避関連行動のベースラインレベルを維持するため、並びにVTA DAニューロンの位相性活性を増加させることにおける逃避関連行動のCMSで誘導される減少の救出に重要であるという仮説と一致する。また、データは、ドーパミンシグナリングの枯渇が、パーキンソン病症候の発症の前にうつ病をたいてい経験する前パーキンソン病患者におけるうつ病様の症候を生じるという報告と一致する。
【0159】
上のデータは、VTA DAニューロンの選択的な阻害が、意欲および快感消失の両方の計測におけるうつ病に関連した挙動を敏感に生じること、およびNAcにおけるドーパミン作動性シグナリングによって媒介されるVTA DAニューロンの位相性活性化が予測不可能な慢性軽度ストレス誘発性うつ病様表現型を敏感に救うことを証明した。しかし、NAcにおけるドーパミン受容体遮断は、光で誘発されるおよびベースラインレベルの両方の逃避関連行動を減弱し、この意欲アッセイにおけるうつ病に関連した挙動の光で誘発される救出を媒介する際のNAcにおけるドーパミンシグナリングの役割を解釈することを困難にした。したがって、ベースライン状態下およびVTA DAニューロンの位相性活性化の間の両方のうつ病アッセイの間のNAcニューロンの活動を調査した。これを行うため、いくつかの新たなツールを組み合わせた。
【0160】
最初のインビボでの電気生理学的記録を、ホームケージにおけるベースライン活性、オープンフィールド試験の新規の環境における探査、および強制水泳試験(
図4A)、一方でCMSの後にChR2発現VTA DAニューロンを断続的に照射している(
図4B)間に、最近開発したTH::Creラット(50)において行った。強制水泳試験(FST)の定量化は、伝統的に不動27の時期の低解像度測定であったので、FSTにおける逃避関連行動のミリ秒精度の時間分解能検出のために新規の方法を開発することが必要であった。これを行うため新規の、磁気誘導の方法を利用して、強制水泳タンクの外側上の磁気コイルおよび泳ぎのキックまたは逃避関連行動を測定するためのラットの足に付着した小さな磁石および防水加工しているインビボで電気生理学的に記録するヘッドステージを使用した(
図4B)。
【0161】
マウスにおけるTSTにおける所見に類似して、5CMS TH::CreラットにおけるChR2発現VTA DAニューロンの照明が、FSTにおいて逃避関連行動を増加させたことを見いだしたが(対t検定、p=0.0088;
図4CおよびD)、しかし、OFTにおける移動において検出可能な光の効果はなかった(
図4D)。光およびキックの両方を符号化したの相当な割合のニューロンがあったが、光パルスおよびキックイベントは、30Hzにおいて送達され、5秒毎に8パルス過程の、光パルス過程に関するキックのイベント周囲のラスタヒストグラムによって例証されるように、およそ数秒でタイムロックしなかった(
図4E)。我々は、キック頻度における強い増大を、光を消した時期と比べて光を点けた時期の間に観察するが、レーザパルスにタイムロックされたキック挙動を観察しないので、我々は、逃避関連行動が、単離されたドーパミン作動性トランジェントよりもむしろ全体のドーパミン作動性緊張によって調節されると推測する。
【0162】
次いで、光を消した時期と比べて光を点けた時期における逃避関連行動の増大と位相性VTA DA ニューロン活性化を符号化した動物あたりの記録された全てのニューロンの比との間の関係を調査した。スピアマンの相関試験を使用して、ラットあたりのVTA DA ニューロン活性化に対する位相性応答を示したNAcニューロンが多いほど、VTA DA ニューロン活性化による逃避関連行動において相対的な増大がより大きくなるので、有意な相関(p=0.0167)を見いだした(
図4F)。これは、個々の動物の解剖学的変異、並びにオプシン発現などの実験変動のためであり得る。5CMS TH::Creラットにおける123NAcニューロンの総量を、セッション全体にわたって記録し、およびVTAに送達される光パルスに対して位相性応答を示したニューロンの比率またはFSTにおけるキックを調べた。
【0163】
123のうち75(61%;
図4Gおよび4H)のNAcニューロンは、光に対して位相性応答を示し:これらの75のうち15のニューロンは、光に対して位相性阻害を示し(光応答性ニューロンの20%)、その一方で、75のうち60の応答は位相性興奮があった(光応答性ニューロンの80%)ことを見いだした。123のうち83のNAcニューロン(67%;
図4Gおよび4H)は、キックイベントに対する位相性応答によって見られたように、逃避関連行動を符号化し:これらのうち14のニューロン(17%)は、キックに応じて位相性阻害を示し、およびこれらのうち69のニューロン(83%)は、キックに応答して位相性興奮を示した。54のニューロンは、代表的なイベント周囲のラスタヒストグラムで見られたように(
図4Gおよび4H)、光パルスおよびキックイベントの両方を符号化した。
【0164】
VTA DAニューロンの位相性発火がNAcにおける逃避関連行動を符号化することを調節し得るかどうかを調べるために、光を消した時期において生じるキックイベントから光を点けた時期において生じるキックイベントを分離した。123のうち34のニューロン(28%)が、光を点けたおよび光を消した時期の両方におけるキックを符号化したが、VTA DAニューロンの活性化が、ニューロンの2つの部分母集団におけるキックイベントを符号化することを調節することを見いだした(
図4Gおよび4I)。123のうち21のニューロン(17%)は、光を点けた時期の間だけ、逃避関連行動を選択的に符号化し、および123のうち22のニューロン(18%)は、光を消した時期の間だけ逃避関連行動を選択的に符号化した(
図4Gおよび4I)。
【0165】
次に、同じセッションにおける異なる時期にわたって発火率(firing rate)の動態を調べた。種々の時期にわたるNAcニューロンの集団にわたる発火率の分布において、相対的に適度な変化があったが、異なる時期にわたる発火率を増加または減少させたどちらかのニューロンの部分母集団があったので、分布における正味変化は、発火における個々のニューロン変化を捕獲しなかった。ホームケージから新規の環境、オープンフィールドチャンバーまで移動するとき、ニューロンの部分母集団は、発火率変化を示した(33%;18の増加したおよび22の減少した発火率)、およびニューロンの部分母集団は、OFT(24%;24の増加したおよび6の減少した発火率)およびFST(30%;18の増加したおよび19の減少した発火率)における照明による発火率変化を示した。しかし、比較が光を消したの時期の間(86%;27の増加したおよび79の減少した発火率)または光を点けた時期の間(75%;19の増加したまたは73の減少した発火率)であったかどうかにかかわらず、ラットは、新規の環境、オープンフィールドチャンバーからストレスの多い環境、強制水泳タンクまで移動したときに、非常により大きな比率のニューロンが発火率における変化を示した。本明細書での我々の所見を要約すると、VTA DAニューロンの選択的阻害は、「行動的絶望」(63)および快感消失における増大を反映するうつ病に関連した挙動を敏感に誘導する。
【0166】
予測不可能な軽度のストレス要因の慢性症状は、長続きするうつ病様表現型を誘導し、これがVTA DAニューロンの位相性活性化によって救われた。NAcにおける、グルタミン酸でなく、ドーパミン受容体活性化は、逃避関連行動を媒介するために必要である。NAcニューロンは、VTA DAニューロン、並びに逃避関連行動の位相性活性化を符号化する。重要なことに、逃避関連行動の符号化は、VTA DA ニューロン活性化によって調節される。また、大多数のNAcニューロンが、避けられないストレス要因への曝露において、発火率における有意な変化を示し、およびより多くのNAcニューロンが、持続性の発火率における増大よりもむしろ、減少を示すことを、示す。
【0167】
我々の所見は、ラットにおけるうつ病モデルにおける、その他のインビボでの電気生理学的記録と一致し、抗抑うつ剤、デシプラミン(64)での治療により回復されたバーストする活性の減少を示す。発火およびバーストするVTA DA ニューロンは、うつ病の10日間社会的敗北モデル(65、66)に感受性のマウスにおいて増加することを示すいくつかの報告があったが、これらの所見における相違は、動物モデル、パラダイムの期間、中脳内の特異的記録部位またはその他の実験的な相違における相違から生じる得る。また、我々のデータは、耽溺の状況および報酬関連した挙における意欲および享楽的応答を媒介するドーパミン機能の既存のモデル動(11〜13、15、20、67〜69)、並びに予想または報酬の受領(70、71)、または享楽的満足の経験(24)または報酬を探求すること(48、49)の基礎をなすVTAドーパミン発火を支持する。最も重要なのは、我々の結果は、NAcにおける深い脳刺激によって達成される抗うつ効果(57、58)のための機構的説明を提供し得る。これらの研究は、膝下帯状回皮質における深い脳刺激の抗うつ効果(71)と平行して、一群の症候の異なるクラスによって定義された精神医学的な疾患を、複数の神経回路病理によって媒介し得ることを示唆する。気分障害の複雑さおよび動物における精神医学的疾患をモデル化するという難題は、うつ病の症候を媒介する正確な神経機能不全を正確に指摘する際の障壁を示す。しかし、うつ病に関連した症候のサブセットさえ媒介する回路機構を同定する潜在的な影響は深い。脳辺縁ドーパミン系などの齧歯類とヒトとの間でよく保存される回路を研究することは、齧歯類モデルにおける抗うつ操作が、ヒトにおける改善された治療的介入の開発を補助するだろうという可能性を増強する。
【0168】
図1。中脳腹側被蓋野(VTA)ドーパミンニューロンの選択的な阻害は、うつ病様表現型を誘導する。A、Cre依存的AAVの概略図。TH:: IRES−Cre形質転換への送達において、eNpHR3.0は、チロシン水酸化酵素陽性ニューロンにおいて、選択的に発現するだろう。B、中脳ドーパミンニューロンの共焦点イメージ;オレンジのドットの長方形は、光ファイバーが狙いをつけた照射されたVTAの位置を示す。下方、ファイバートラック直接下のVTAニューロンのクローズアップイメージ。C、VTA DAニューロンの光抑制は、逃避関連行動における減少を敏感に誘導する、
*P<0.05。
図1Cにおいて、各セットにおける左側棒は、eYFPであり、各セットにおける右側棒は、eNpHR3.0である。D、VTA DAニューロンの阻害は、オープンフィールド試験における移動において検出可能な相違を生じない。E、90分間快感消失アッセイの、概略図および結果。VTA DAニューロンの光阻害は、スクロース嗜好における急な減少を誘導する、
*P<0.05。
【0169】
図2。VTA DAニューロンのまばらな、位相性光活性化は、ストレス誘発性うつ病様表現型を救う。A、実験に含まれる4つの実験群の図。B、ChR2を発現するVTA DAニューロンにおける活性の位相性バーストを誘発するために使用した、473nm光での、照射パターンの概略図。C 、VTA DAニューロンの位相性照明が、eYFP CMSマウスでなく、ChR2 CMSマウスにおける尾懸垂試験(TST)においてもがくストレス誘発性減少を救う、
**P<0.001。
図2Cにおいて、左から右に、それぞれの「off」および「on」のセットにおけるバーは、以下の通りである:eYFP CMS;ChR2 CMS;ChR2 Non−CMS;およびeYFP Non−CMS。D、TSTにおいて使用した照明パラメーターは、オープンフィールドチャンバーにおける歩行運動活動において検出可能な変化を生じなかった。E、VTA DAニューロンの位相性活性化は、eYFP CMSでなく、ChR2 CMS動物、におけるスクロース嗜好におけるストレス誘発性減少を敏感に救った、ChR2 CMSマウスのための
**P<0.01。
【0170】
図3。グルタミン酸でなく、ドーパミン受容体シグナリングは、逃避関連行動を媒介するために必要である。A、CMSで治療された動物におけるVTA DA ニューロン照明で組み合わせにおける相互的なNAc薬理学的操作の概略図表示。B、AMPARおよびNAcにおけるNMDARグルタミン酸受容体(GluRx)の拮抗作用は、もがくベースラインレベルも、尾懸垂試験における逃避関連行動においての光誘発増大も、遮断しない。
図3Bにおいて、それぞれ「off」および「on」のデータセットにおける左側棒は、GluRxであり、各データセットにおける右側棒は、生理食塩水である。C、NAcにおけるD1およびD2ドーパミン受容体(D1x+D2x)の拮抗作用は、逃避関連行動を減弱する、
***P<0.0001。
図3Cにおいて、「off」およびそれ「on」各々のデータセットにおける左側棒は、生理食塩水であり、各データセットにおける右側棒は、D1x+D2xである。
【0171】
図4。VTAドーパミンニューロンの位相性活性化は、TH::Creラットにおける逃避関連行動のNAc神経性符号化を調節する。A、インビボでの電気生理学的記録セッションの概略図概要。B、NAcにおけるインビボでの電気生理学的記録、ChR2を発現するVTA DAニューロンの照明およびCMSで処理されたTH::Creラットにおける遊泳挙動の精密測定の統合。C、ChR2を発現するVTA DAニューロンの位相性照明は、強制水泳試験におけるTH::Creラットの逃避関連行動を増加させる。D、ChR2を発現するVTA DAニューロンの位相性照明は、オープンフィールド試験における歩行速度でなく、強制水泳試験におけるキック速度を増大させる。E、青ラインによって示した、8光パルスの過程に関してキックイベントを示すイベント周辺のラスタヒストグラムは、キックイベントが光パルスにタイムロックされないことを示す。F、各ラットの遊泳挙動が、所与の被験体から記録された全てのニューロンの比率に相対的にVTA DA ニューロン活性化によって調節された程度の間の相関を示す、散布図、P=0.0167。G、光パルスおよびキックイベントの両方(実施例細胞1)に位相性興奮を示す代表的なニューロンのための、および光を点けた時期(実施例細胞2)または光を消したの時期(実施例細胞3)どちらかの間のキックイベントを選択的に符号化したニューロンのための、イベント周辺のラスタヒストグラム。H、5CMS TH::Creラットから記録された123のNAcニューロンのものを示す光パルスおよびキックイベントの両方に位相性応答を示すニューロンの集団概要、VTA照明に対する位相性応答は、75のNAcニューロンにおいて見られ、キックする挙動への位相性応答は、83のNAcニューロンにおいて見られ、54のニューロンは、光およびキックイベントの両方への位相性応答を示す。I、強制水泳試験の間の光を点けたおよび光を消した時期の間の逃避関連キックイベントの差動的符号化を示すニューロンの比率の集団概要。123のうちの55のNAcニューロンは、光を点けた時期の間キックに応答し、123のうちの56は、光を消した時期の間にキックに位相性応答を示し、および123のうちの34は、光時期の両方の間にキックに応答した。21のNAcニューロンは、光を点けた時期の間に選択的にキックイベントを符号化し、その一方で、123のうちの22のニューロンは、光を消した時期の間に選択的にキックイベントを符号化した。
【0172】
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【0173】
実施例2:目標指向行動状態における脳幹神経投射に対する前頭葉前部皮質の役割。
材料および方法
対象.200〜225グラム(およそ6〜8週)の重さの雄ロングエバンスラットを、Charles Riverから得た。ラットを、標準的な12時間の明暗サイクルにおいて維持し、および自由に餌および水を与えた。最初にラットを、ケージあたり2匹収容した。四極管マイクロドライブまたは固定されたワイヤーアレイを移植した動物を、記録ハードウェアへの損傷を最小限にするために、移植の後に個々に収容した。光ファイバーのみを移植した動物は、移植後にケージあたり2匹収容し続けた。全ての手順は、国立衛生研究所によって確立された指針にしたがって、スタンフォード大学動物実験委員会によって承認された。
【0174】
自動化された強制水泳試験(FST)。 直径9インチの水のタンク(Tap Plastics、Mountain View、CA)を、10ポンドの26ゲージエナメルコートされた銅ワイヤーから構築された直径10インチのコイルによって囲んだ。2gの希土類磁石を、無理なくフィットするゴムバンドでラットの後ろ足上に配置した。磁石配置は、行動試験の直前に行い、および起きているラットには十分に許容された。FSTの間、泳ぐ間のワイヤーのコイル内の磁石の移動が、コイルに強い電流を誘導することを見いだした。コイル電圧は、1〜300Hzの間の帯域通過させ、2kHzにてデジタル化し、およびDigital Lynxデータ取得システム(Neuralynx、Bozeman、MT)を使用して後の解析のために記録した。データは、参照コイルから同時に収集し、および参照はラインノイズを減少させるためにオフラインで行った。同じシステムを、ケージの下に直接誘導コイルを配置することによって、慣れたケージにおいて歩行運動活動を測定するために使用した。類似の方法を、ラットにおけるパーキンソン病震動を測定するために以前に使用してきた(1)。コイルデータおよびビデオデータを、全ての実験について収集した。自動方法の検証のための手動スコアリングを実験的条件に対して盲検で行い、および自動的に不動/キック頻度を記録した。手動スコアリングの間、視覚的観察を5秒毎に行い、不動の時期を、移動なしまたは水上にとどまるために必要とされる最低限必要な移動のいずれかとして定義した。
【0175】
四極管マイクロドライブおよび固定されたワイヤーアレイ配置。
図2に示したデータについて、ラットは、外科手術前に最低400g達した。
図4に示したデータについては、ラットは、8〜10週にてmPFCにおいてウイルスを両側に注射し(下記)、ウイルスは、電極移植前に最低4カ月間発現させた(ラットは、典型的には重量>400gに達した)。最初に、ラットを5%イソフルランで麻酔した。頭皮を剃り、およびラットを裂けないイヤーバーで定位固定フレームに配置した。加温パッドを、低体温を予防するために使用した。イソフルランを、外科手術の全体にわたって1〜3%にて送達し、このレベルを一定の外科的平面を維持するように調整した。眼軟膏を、目を保護するために使用した。ブプレノルフィン(0.05mg/kg、皮下)およびエンロフロキサシン(5mg/kg、皮下)を、外科手術開始前に与えた。0.5%リドカインおよび0.25%ブピバカイン(bupivacaine)(100μL)の混合物を、皮下に切開ラインに沿って注射した。頭皮をベタジンおよびアルコールで消毒した。正中切開により頭蓋骨を曝露し、これを徹底的に清浄にした。8〜11個の頭蓋骨ネジを、安定な記録を保証するために、露出した頭蓋骨の周辺に移植し、2mmの頭骨切開を右mPFC上に穿孔し、および硬膜を慎重に切除した。13μmニクロム(Neuralynx、Bozeman、MT)から巻かれた四極管を伴う4−四極管マイクロドライブまたは50μmステンレス鋼電極(NB Labs、Denison、TX)で固定した24−電極ワイヤーアレイを開頭上に移植し(AP:2.7〜3.3 ML:0.8DV:4.0)、および歯科用アクリルで固定した。
図4に示したデータについて、今回また、DRNをターゲットする光ファイバーパッチコードを移植した(下記)。アクリルを、防水加工を容易にするために、頭蓋骨と電極インターフェースボードとの間に薄いくびれを作製するように成形した。皮膚を閉じて縫合し、ラットにカプロフェン(5mg/kg、皮下)および乳酸リンガー溶液(2.5mL、皮下)を与え、および加熱ランプ下で回復させた。移植後、四極管を毎日調整した。
【0176】
自由可動神経生理学。 ラットには、イソフルランで短時間に麻酔をかけた。ヘッドステージおよびつなぎなわ(Neuralynx、Bozeman、MT)をマイクロドライブまたは固定されたワイヤーアレイに接続し、および「ウェットドッグ」震えの間に外れるのを予防するために糸で固定した。電子機器を水害から保護するために、両方の末端を切断したラテックスコンドームを、密に巻いたゴムバンドでヘッドステージ取り付け点周辺に固定した。今回、磁石を、行動読み出しのために後ろの足に取り付けた。イソフルラン麻酔下での総時間は、10分より短く制限し、およびラットは、記録開始の少なくとも1時間前に回復させた。
図4の記録については、光ファイバーケーブルを、回転の間にねじれることによる破損を最小限にするために、FST直前に取り付け、光出力を、光ファイバーが無傷だったことを確認するために記録の直後に点検した。神経データを、64チャンネルDigital Lynxデータ取得システム(Neuralynx、Bozeman、MT)で取得した。スパイクチャンネルを、最初にスパイク活性を示していない電極に対して基準化し、行動ノイズを減少させた。次いで、シグナルを、600〜6000Hzの間で帯域通過し、および32kHzにてデジタル化した。また、誘導コイルデータおよびビデオデータを、FSTおよび慣れたケージの活動の両方について誘導コイル方法の使用を確認するために、全ての時期の間に記録した。データは、実験に依存する時期の変動数について記録した。
図2については、慣れたケージにおけるFST前15分のデータ、FSTの間の15分、および慣れたケージにおけるFST後15分を記録した
図4については、慣れたケージにおけるFST前15分、刺激を伴うFSTの間の20分(5回の2分の刺激時期で交互配置された5回の2分の無刺激時期)、慣れたケージにおけるFST後15分および刺激を伴う慣れたケージにおけるFST後20分(5回の2分の刺激時期で交互配置された5回の2分の無刺激時期)を記録した。ラットは、神経ドリフトを最小限にするために、慣れたケージおよび泳ぐタンクの間を転送する間にそっと扱った。記録が完了した後、防水加工を取り除き、およびラットを乾燥するために10分間加熱ランプ下に置いた。組織学のための屠殺の前に、ラットを深く麻酔して、および全ての電極に電流を流して解剖局所に対して電解破壊を行った(50μA30秒間)。
【0177】
ウイルス構築およびパッケージング。 組換えAAVベクターを、ノースカロライナ大学にてAAV5コートタンパク質で血清型を決定し、ウイルスベクターコアによってパッケージした。ウイルス力価は、それぞれAAV5−CaMKIIα−hChR2(H134R)−EYFP については2×10
12粒子/mLおよびAAV5−CaMKIIα−EYFP については3×10
12粒子/mLであった。マップは、www(dot)optogenetics(dot)orgにてオンラインで入手できる。
【0178】
定位ウイルス注射および光ファイバー移植。 ラットを、外科手術のために調製し、上記の通りに鎮痛薬および液体を与えた。正中切開により頭蓋骨を曝露し、頭蓋切開をmPFC上で両側に行った。ウイルスを10μL注射器で注射し、33ゲージを、噴射ポンプを使用して150nL/分にて前側に向いた面で、針に斜角をつけた。2回の1μL注射は、1ラットにつき合計4μL、AP 2.2mm、ML 0.5、DV 5.2およびAP 2.2 、ML 0.5、DV 4.2にて、各半球に送達した。各注射の後、針を7分間留置し、および次いでゆっくり取り除いた。皮膚を閉じて縫合した。ウイルスを、軸索におけるオプシン蓄積のための十分な時間にするため、最低4カ月間発現させた。行動試験前の少なくとも10日間、外部の金属フェルール(直径200μm、0.22 NA、Doric Lenses、Quebec、Canada)を伴う光ファイバーを、2に記述されているように、関心対象の標的構造上に移植した。mPFC移植のための座標は、AP 2.7、ML 0.5、DV 3.8であった。DRNファイバーを、中心的洞および中脳水道の両方を回避するように光から30度の角度にて移植し、ファイバーの先端についての座標は、AP−7.8、ML 0.5、DV 5.9であった。ラットを、外科手術のために調製し、上記の通りに鎮痛薬および液体を与えた。正中切開を行い、頭蓋骨を徹底的に清浄し、頭骨切開をmPFCまたはDRN上で行った。4本の頭蓋骨ネジを取り付け、光ファイバーをmPFCまたはDRN上で降ろした。メタ結合の薄層を、頭蓋骨にハードウェアを確実に取り付けるために使用し、および構造的な支持のために歯科用アクリルのより厚い層を伴った。
【0179】
光の送達。 行動試験の間、外部の光ファイバーを(直径200μm、0.22 NA、Doric Lenses、Quebec、Canada)、ジルコニアスリーブと共に移植された光ファイバーに接続する。光交換子により無制限の回転を可能になった(Doric Lenses、Quebec、Canada)(3)。光刺激を100mW 473nmダイオードポンピングされた固体レーザー(OEM Lazer Systems, Inc., Salt Lake City、UT)で提供して、Master−8刺激発生器(A.M.P.I.、Jerusalem、Israel)によって制御した。光パルスを、行動および神経データと同時に、Digital Lynxデータ取得システム(Neuralynx、Bozeman、CA)で記録した。20Hzにて長さ5msの光パルスでのパルス過程を全ての実験のために使用した。mPFC細胞体刺激実験には、3mWの光(ファイバー先端にて24mW/ mm
2)を使用した。mPFC−DRN軸索刺激実験には、20mWの光(ファイバー先端にて159mW/ mm
2)を使用した。この部位ではより低い蛍光、より低いオプシン発現の指標であるため、DRN軸索刺激実験の間により大きな光出力を必要とした。
【0180】
強制水泳試験。 これらの実験4のために、Porsolt 強制水泳試験を利用した。水泳タンクを40cmの高さまで25℃の水で満たした。誘導コイルを、上記のとおりにタンク周辺に配置し、および小さな磁石をラットの後ろ足に取り付けた。ラットは、事前曝露のために、1日目に15分間、FSTにおいて明るい/暗いサイクルの明るい部分の間に置いた。次いで、これらをタオルで乾かし、ホームケージに戻る前に暖めるために10分間加熱ランプ下に置いた。データは、24時間後に行った2回目の15〜20分の試験の間に収集した。外部の光ファイバーをFSTタンクの上に吊るし、ジルコニア外筒と共に移植された光ファイバーに取り付けた。光刺激での実験の間に、刺激は、無刺激で開始して、合計20分間上記のパラメーターを使用して、2分間の時期において点けるおよび消すの間を交互にした。誘導コイルデータ、ビデオデータおよびレーザパルス時間データを全ての実験について収集した。FSTタンク水を各動物間で交換した。
【0181】
オープンフィールド試験。 外部光ファイバーを、オープンフィールドの上に吊るし、ジルコニア外筒と共に移植された光ファイバーに取り付けた。ラットを白く、薄暗く照らされたオープンフィールドチャンバー(105×105cm)の中心に配置し、および自由に環境を探索させた。光刺激は、合計で15分間、無刺激で開始して、3分の時期において点けるおよび消すの間を交互にした。ビデオカメラは、オープンフィールドの上に直接配置し、および歩行運動活動は、Viewer2ソフトウェア(BiObserve、Fort Lee、NJ)で検出し、および解析した。レーザパルス時間データを収集し、および行動データに同調させた。
【0182】
麻酔下のインビボ記録。 同時二重部位記録およびmPFCおよびDRNの光刺激を、AAV5 CaMKIIα−ChR2−EYFP構築物をmPFCに形質導入した麻酔されたラットにおいて、以前3に(previously3)記述されたように行った。ラットを、記録開始前にイソフルランで深く麻酔した。正中切開を行って、皮膚を反転した。直径2〜3mmの頭骨切開を、mPFC(垂直貫入)およびDRN(30°貫入)の上で行った。200μm 0.37 NA光ファイバー(Thorlabs Inc., Newton、NJ)に接続された1 Mohmエポキシ被覆タングステン電極(A-M Systems, Sequim、WA)は、定位的に低くしたユニットであったし、ユニットは、mPFC記録についてAP 2.7、ML 0.5、DV 3.6およびDRN記録についてAP−7.8、ML 0.5、DV 6.0(30°貫入)にて開始して絶縁した。記録されたシグナルは、0.3〜10kHzの間を帯域通過し、10000×増幅し(A-M Systems)、30kHzにてデジタル化し(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)、およびClampexソフトウェア(Molecular Devices)で記録した。光刺激は、100mW 473nmダイオードポンピングされた固体レーザー(OEM Lazer Systems, Inc.、Salt Lake City、UT)で提供した。Clampexソフトウェアを、神経データを記録する、およびレーザー出力を制御するための両方に使用した。1mW(ファイバー先端にて8mW/mm
2)〜20mW(159mW/mm
2)間の光出力を使用した。全ての実験の終わりに、電流を電極を介して流して(30秒間50μA)解剖局所に対して電解破壊を行った。
【0183】
組織学、免疫組織化学および共焦点画像法。 ラットを、Beuthanasia−Dで深く麻酔をかけ、およびPBS(pH 7.4)中の氷冷した4%パラホルムアルデヒド(PFA)で経心的に灌流した。脳をPFA中で一晩固定し、次いでPBS中の30%スクロースへ移して少なくとも3日間平衡化した。mPFCおよびDRNを介した40μmの冠状切断を凍結ミクロトーム上で切断し、4℃にて凍結保護物質中に保存した。切片をPBSで洗浄し、0.3% Triton X−100およびPBS中の3% 正常ロバ血清(NDS)中で30分間インキュベートした。切片をPBS中の3% NDSにおいて4℃にて一晩、一次抗体と共にインキュベートした(ウサギ抗5HT 1:1000、ImmunoStar、Hudson、WI)。次いで、これらをPBS中で洗浄して、室温にて3時間Cy5抱合二次抗体と共にインキュベートした(1:500、Jackson ory、West Grove、PA)。切片をPBS中で洗浄し、およびDAPI(1:50000)中で10分間インキュベートし、および次いで再び洗浄して、PVA−DABCOを伴うスライド上にマウントした。イメージを、10×空気対物レンズまたは40×油浸対物レンズでライカTCS SP5走査型レーザー顕微鏡を使用して取得した。
【0184】
データ解析。 スパイクは、Offline Sorterソフトウェア(Plexon Inc、Dallas、TX)にインポートして、オフラインで波形特徴(ピークおよび谷高さ)および主成分を使用してソートした。神経データおよび行動データの解析は、カスタム書込されたMatlab(Mathworks、Natick, MA)スクリプトおよびNeuroexplorerデータ分析パッケージ(Nex Technologies、Littleton、MA)を使用して行った。統計的有意性は、全ての解析においてp<=0.05と定義した。誘導コイルデータを参照し、およびゼロ−相を1〜6Hzにてオフラインでフィルターし、これにより個々のキックの形状を保つが、高周波ラインノイズを減少させる。次いで、参照およびフィルターしたコイルデータを統合し、および閾値を定め(最大偏差の10%に)、および個々のキックに対応するピークを検出した(
図1)。もがく間に行われたキックは、記録されたシグナルにおける大きなふれに対応し、受動的な浮遊の期間から容易に分けることができた。瞬間的なキック頻度は、10秒ビンにおける秒あたりのキックの平均数として定義した。自動的に記録される不動は、1秒より大きいキックの間のギャップを伴う時期を静止として記録することによって決定した。同じ解析を、慣れたケージ記録の間に収集した誘導コイルデータにおいて行った。この場合において、誘導コイルデータは、1〜20Hzにてフィルターし、最大偏差の4%にて閾値を定め、および単極工程波形がこれらのパラメーターを使用してより容易に検出されたので、統合しなかった。自動的に記録された行動データを、記録方法間が対応していることを決定するために、手動で記録した行動データに対して回帰推定した。R二乗およびF統計およびp値は、この回帰分析に由来した。異なる行動時期間の神経発火率における統計的に有意な相違の決定は、ウィルコクソン順位和検定を使用して行った。最初に、ニューロンを、FST前時期とFST時期の間の発火率における相違について試験した。この解析のために、神経および行動データを、10秒間隔に分けた(binned)。次いで、ニューロンをFSTの間の移動および不動の状態の間の発火率の相違について試験した。この解析のために、移動および不動の行動時期を2つの異なる連続的なデータストリームに分け、および次いで10秒のビンを使用して、上のように統計学的に試験した。
【0185】
図2において使用した選択指数は、合計によって分った状態間の発火率における相違として定義した。推定される速いスパイク抑制性ニューロンを同定するための基準は、20Hzを超える発火率および狭い波形5(waveform5)であった。
図3における行動データの統計的有意性は、ウィルコクソン符号順位検定を使用して決定した。最初に、データを線形にトレンド除去した。
図4に示した瞬間的な平均発火率を、10秒ビンにおいて算出し、再び個々のニューロンについての統計的有意性をウィルコクソン順位和検定を使用して算出した。移動−不動の相違の分布を、同等の分散のためのF検定を使用して、刺激および非刺激状態の間の分散における変化について試験した。傾きの相違を、共分散分析(ANCOVA)で試験した。
【0186】
結果
挑戦的条件下で活発な労力を伴ってエネルギーを費やす行動は、特にこのような行動は、必ずしも最も適応性の行動を示しうるわけではないため、生物にとって重大な決定となる。活発な行動パターンを(むしろよりエネルギーを保存する受動的または抑鬱タイプのパターンよりも)、極めて困難な環境にもかかわらず選択するとき、予想した結果がエネルギーの消費に見合うという評価を行ったのであろう。逆に、生物が挑戦的な状況において活発でない行動パターンを選択するとき、決定は、効果が実を結ばない可能性が高いという予想であり得る。その上、不行動を引き起こすこのような予想は、精神運動妨害および絶望などの臨床的症候(ほぼ20%の生涯有病率および広範な社会経済問題がある疾患の大うつ病の特徴を定義するコア(9)を含む、ヒトにおける順応不良になり得る。
【0187】
我々は、自由に移動する哺乳類における制限された回路要素のセットのターゲットされた制御で行動状態選択を調節するこれらの高レベルの過程を探ることを探究した。このような意思決定の神経性土台についてはほとんど公知でなく、特にこれらの挙動をターゲットにするための、広く有効な医学的療法は存在しない。しかし、増加している証拠が、前頭葉前部皮質(PFC)が関与しうることを示唆し、PFCは、思考および行動を協調させる役割を果たし、および目標指向行動、計画および認知制御のために重要なことが示されている(10、11)−これらの全ては、疾患に関連した前頭葉の機能低下(5、18)と一致して、うつ病などの病理学的状態において障害される(12〜17)。
【0188】
そのうえ、齧歯類における内側PFC(mPFC)の下方辺縁領域に類似すると考えられる梁下帯状回の深部脳刺激(DBS)は、治療抵抗性患者において抗うつ効果を誘発する(19)。齧歯類mPFCの電気刺激は、強制水泳試験において不動の際の抗抑うつ剤様の低下を誘導し(20、21)、mPFCの光遺伝的刺激は、スクロース消費における抗抑うつ剤様の効果および社会的挫折(興奮性および阻害性ニューロンの両方が並行して刺激される場合)を有し(22)、および齧歯類におけるmPFCは、反発力の獲得および学習性無力(23、24)に対する行動作用の保護効果(大うつ病のモデル重要な特徴と考えられる)を媒介するようである(25)。最後に、ヒト患者における神経画像処理研究は、うつ病および憂鬱な状態において異常な活性を示すPFCを含む脳領域に注意を集めるのに役だった(5、6、26)。
【0189】
PFC(多くの役割および多様な求心路および遠心路を伴う広く、かつ複雑な領域)に向けられているこれらの先駆的労力にもかかわらず、どの特異的神経路が、挑戦的状況に応答する目標指向行動のリアルタイム選択に関与するかは不明である。強制水泳試験(FST)は、齧歯類(27)において広く使用される行動試験として、この問題に関連する。FSTでは、齧歯類を逃げられない水のタンクに配置し、および受動的な浮遊または不動の時期は、行動的絶望の状態を反映すると考えられ(27)、積極的な逃避行動の時期とともに散在する。FSTにおける不動は、抗うつ薬(28)およびストレス(29)によって影響される。FSTにおける積極的な逃避と行動的絶望状態との間の移行は、明瞭に境界を定められ、原則として行動状態の明白な、瞬間的な分類、および挑戦への積極的な行動応答を採るという決定の基礎をなす神経動態を調査するための機会を提供する。しかし、我々の知る限りでは、神経活動は、自由に泳ぐ動物における神経活動を記録し、および制御する際の基本的な技術的障壁のため、FSTの間に行動する動物において今まで記録されていなかった。
【0190】
この課題に対処するために、FSTの間の、光遺伝的制御と並んで、ミリ秒精度の神経および行動データの記録のための方法の新たなセットを開発した(
図5)。個々の泳ぎキックを検出するために、磁気誘導法を設計し、水のFSTタンクを誘導コイルによって囲み、および小さな磁石を後ろ足に取り付けた(
図5a)。FSTの間に、各キックは、コイルに電流を誘導した(
図5b)。単一のキックをきれいに単離することができ(
図6)、およびキック頻度は、手動で記録した不動に十分に対応し(
図5c)、行動状態の信頼できる測定を提供した(
図5d)。加えて、我々は、この方法を使用して慣れたケージにおける活動の間の移動および静止状態を記録したが、これは、以前に観察されたように、パーキンソン病ラットにおける震動測定について手動で記録したデータ(
図7)とよく一致した(30)。遊泳の間によく単離された単一のユニットおよび局所野電位を記録するために、四極管マイクロドライブまたは固定されたワイヤーアレイを移植し、次いで防水した。
【0191】
これらの条件下で、FSTの静止および移動の両方の状態の間に単一のユニットを確実に単離することができた(
図5e)。実際に、高い時間精度で積極的な逃避行動と不動状態との間の移行を検出すること、および進行中の神経活動とこれらの挙動を関連づけることができた(
図8)。我々は、mPFCにターゲットされた4−四極管マイクロドライブ(6匹のラット)または24−電極電線アレイ(5匹のラット)を使用して神経活動を記録した(
図8a)。データの3つの時期を、常法で記録した(
図8b):慣れたケージにおけるFST前の15分、FSTの間の15分および慣れたケージに戻った後のFST後15分。我々は、多くのmPFCニューロンが、FSTの間に活動する、または活動を控えるという決定を特異的に反映するようにみえる方法で挙動の間に強く調節されることを見いだした。例となるニューロンを示す(
図8c〜d)。このニューロンは、主に不動FST前後の時期の間に高度に活発であったが、FSTの間、これは移動状態の間に活発なままであり、および不動状態の間に阻害された。したがって、このニューロンは、単に歩行運動活動を符号化せず、しかしその代わりに、伝統的に定義された行動的絶望の状態に対応するFST不動の間に特異的に阻害された。我々は、記録された集団(23/160、14%)においてこの驚くべき活動のプロフィールを示す多くのニューロンを見いだした。全てのラットは、FST前の時期の間に最小の運動活動を(全てのラットの88%を上回る不動、平均97%の不動)およびFST時期の間に中程度から高レベルの運動活動を(全てのラットの79%未満の不動、平均39%の不動、
図8e)示した。大部分の記録されたニューロン(129/160、81%)は、FST前とFST時期との間の発火率における有意な変化を示した(
図8f、上部)。平均では、このニューロンの集団は、FST時期(80/129、62%)の間に阻害されたが、時期選択性の全ての範囲を反映するニューロンを記録した。また、多くのニューロン(70/160、44%)は、FST時期内に、移動と不動状態との間で発火率における相違を示した(
図8f、下部)。大部分のこれらのニューロンは、移動状態の間に活性化され、不動状態(51/70、73%)の間に阻害したが、移動状態の間に阻害されたニューロンも検出された。
【0192】
次いで、4つの四分円の中の時期および移動依存的な神経選択性の同時分布を調べ(
図8g)、およびこれが高度に非対称であることを見いだした。これらの2つ、右上および左下の四半部は、運動活動と神経活動との間で直接の相関関係を示した。たとえば、右上四分円におけるニューロンは、不動のFST前の時期の間より主に移動FST時期の間により活発であり、およびFST時期内では、移動状態の間により活発であった。その他の2つの四分円(左上および右下の四半部)は、反転した相関性を示した。左上四分円において、より活発なFST時期の間に鎮められたニューロンは、FST内での逃避行動の間に実際に活性化され、および右下の四半部におけるニューロンは、逆になった。したがって、これらの群内で見いだされる活性のプロフィールは、単に運動活動に依存しなかった。興味深いことに、生の番号に関して、および個々のニューロンによって示される選択性の強度の両方に関して、これらの状態の間に活性化されたニューロンがあるよりも、不動の、行動的絶望様の状態の間に阻害されたニューロンが多くあるようにみえた。最後に、我々は、推定の速いスパイク介在ニューロンが、両方の選択性の次元に沿って調整の程度が減少したことを示し、挑戦への行動応答を反映するシグナルが、興奮性または投射ニューロンにおいてより強く示され得ることを示していることに注目した。
【0193】
我々が記録したmPFCニューロンは、選択性プロフィールの範囲を示したので、mPFCにおいて局所的ニューロンを光遺伝的に活性化することが、FSTの間の挙動に対して正味効果を必ずしも有することは明らかでなかった。これを試験するために、我々は、CaMKIIαプロモーターの制御下で増強された黄色蛍光タンパク質(ChR2−EYFP)に融合されたチャネルロドプシン−2を発現するアデノ関連ウイルスベクター(AAV5)を使用して、mPFC内の興奮性ニューロンに対するオプシン発現を制限した。ウイルスをmPFCに注入して、およびミニチュア光ファイバーを縁前領域上に移植した(
図9a〜b)。これらのニューロンの機能的ターゲティングを、mPFCにおける麻酔をかけたオプトロード記録および照明によるスパイク活性の実証によって確認したが(
図10a)、しかし驚くべきことに、これらのニューロンを、FSTの間に2分の時期において照射したときに、我々は、刺激が不動のわずかな減少さえ生じさせるために十分でないことを見いだした(
図9c)。また、我々は、歩行運動活動において刺激で誘導される変化を評価するためにオープンフィールド試験(OFT)においてこれらのラットを試験し、および同様に全体の歩行運動効果の証拠を見出さなかった(
図10b)。これらのFST結果の一つの解釈は、局所的PFCニューロンが、移動および不動と関連した行動状態変化と相関し得るが、しかし原因として関与しないということであり、あるいは、これは、いくつかの局所的PFCニューロンが非常に関与するが、しかし、その他は、原因となる機能ではなく、または対抗し、および共に駆動されたときに、行動に対する正味効果がみられないということであろう。
【0194】
したがって、我々は、次に、光遺伝的刺激をmPFCニューロンの減少した集団に制限することにより、動機づけされた行動状態における変化を誘導することが可能であり得ると仮定した。mPFCは、動機づけされた挙動およびうつ病に関係したいくつかの下流の脳領域を投影することが公知であり(31)、これらの中には、背側縫線核(DRN)があり(32)、9セロトニン作動性核で最も大きく(33、34)、および大うつ病性障害8に関与する。mPFCは、DRNおよび細胞外5−HTレベルの両方の神経活動にわたる制御を及ぼし(23、35)、およびmPFC電気刺激の抗抑うつ剤様の効果は、無処置の5−HTシステムに依存するようにみえるが(20)、しかし、mPFCからDRNへの投射は、これまで行動に対して効果を有することを直接示していない。
【0195】
mPFC−DRN投射を特異的に活性化するために、我々は、最初にAAV5ウイルスベクターを使用して、CaMKIIαプロモーターの制御下のChR2−EYFPをmPFCにおける興奮性ニューロンを形質導入し(
図9d)、DRNにおけるmPFC軸索における強いChR2−EYFP発現を引き起こした(
図9e;
図11a)。我々は、ミニチュア光ファイバーをDRN上に移植すること、およびこの領域におけるmPFC軸索を選択的に照射することにより、DRNに投射するmPFCにおける興奮性ニューロンの部分母集団に対する活性化を制限した(
図9d)。機能的ターゲティングを、DRNにおける麻酔をかけたオプトロード記録およびmPFC軸索の照明によるDRNニューロンのスパイク活性の実証によって確認した(
図10b)。
【0196】
DRNにおいてChR2−EYFPを発現するmPFCニューロンの軸索をFSTの間に刺激したときに、重大な意味を持つ行動作用を生じた。例の2匹のラットからの誘導コイル行動追跡を示してあり(1匹のChR2−EYFPおよび1匹のEYFPラット、
図9f〜g)、対照EYFPの場合でなく、ChR2−EYFPの場合において、各光時期の間のキック頻度の強い増大を示している。この行動作用は、大部分のラットにおいて存在し、急速、可逆的かつ反復可能であった(
図9h〜i)。重要なことに、この投射の刺激は、オープンフィールドにおける歩行運動活動に影響を及ぼさず(
図9j)、FSTの間に見られた逃避行動の増大が非特異的運動活動化の結果でなかったことを再び証明した。この結果は、
図9cに示したように、非特異的に全てのmPFC興奮性ニューロンを駆動することにより見られる効果の欠如とは正反対であり、投射標的によって定義される部分母集団を分離することの重要性を証明しており、および挑戦的な環境に応答する目標指向行動を駆動する際の特異的なPFCから脳幹への神経路の必然的な役割を表している。
【0197】
最後に、この光遺伝的誘導される行動作用が、どのようにFSTの間の行動状態のmPFC神経性符号化に影響し得るかを探索した。この実験のために、我々は、mPFC主要ニューロンにChR2− EYFPを発現して、およびこの投射により細胞を特異的に活性化するために、DRN上に光ファイバーを挿入した。加えて、我々は、同mPFC上に24電極の固定したワイヤーアレイを移植して、これらのニューロンにおける神経活動を記録すると共に、時にmPFC−DRN投射を刺激した(
図12a)。3匹のラットからの神経活動を記録し、その全てが強い光で誘発される行動作用を示した(
図12b)。その上、光刺激は、ほとんど全ての記録されたmPFCニューロン(31/34、91%)における発火率に影響を及ぼした。集団全体の平均発火率は、刺激時期の間にわずかに増加したが(
図12c)、具体的な行動状態の選択と一致して、より多くのニューロンが刺激によって興奮される(9/31、29%)よりも有意に阻害され(22/31、71%)、およびmPFCに対するmPFC−>DRN刺激の正味の効果が、mPFCネットワークの相対的に強くなまばらな興奮と関連した広範囲にわたる弱い阻害であることを示唆した。また、我々は、行動状態に関連した情報が刺激時期の間にPFCに減少された点に注目した。
【0198】
移動および不動の状態間の発火率における相違を、FSTにおいて光刺激のない時期の間に試験したとき、ニューロンの62%(21/34)が有意に調節された。しかし、これらの同じニューロンを、光刺激の間に移動および不動の状態の間の発火率における相違について試験したとき、有意な選択性であった比率は、21%(7/34)まで劇的に下降した。各ニューロンについての移動対不動発火率の試験により、この効果を例証する(
図12d)。刺激の間の発火率は、刺激のない時期の間の発火率よりも移動状態に対して少ない依存性を示した。これらの点は、最良適合ライン周辺でより密接な分布を有する。移動および不動お状態の間の発火率における未加工の相違を試験し、およびこの相違の分布が、刺激の間に有意に狭いことを観察した(
図12e〜f)。刺激および非刺激状態の間で、勾配における有意な相違はなかった(共分散分析、p = .2041)。
【0199】
記録したニューロンの集団を
図8gに記述した4つの四分円に分けることにより、我々亜h、移動−不動符号化における減少が、全ての細胞型に当てはまること(
図12g)、およびこの減少が、ニューロンがこれらの平均発火率を増加する、減少する、または維持するかどうかがわかることに注目した。光刺激の間の行動状態のmPFC符号化におけるこの減少は、外因的に適用された目標配向で駆動される刺激の存在下において、この特異的な内因性PFC活性パターンをさらに漸加するための要求の減少を反映し得る。興味深いことに、光刺激は、FST後の時期の間の移動符号化に対して効果を有さなかった(
図12h〜j)。
【0200】
本明細書で、我々は、瞬間的な行動状態の高速の読み出しと組み合わせて、強制水泳において電気的記録および光遺伝的制御を可能にする新規の技術を使用して、挑戦的な状況における目標指向行動の選択に関与する神経性相関物および原因となる神経路の両方を探索した。我々は、異なる生理的に定義されるmPFC神経集団の存在を証明した−一方は、行動的絶望様の状態の時期の間に選択的に阻害され、および他方は、選択的に活性化された。また、我々は、mPFCにおける全ての興奮性ニューロンの活性化は、この挙動に対して正味効果を有さないものの、DRNに対して投射するこれらのmPFCニューロンの選択的な活性化は、非特異的な運動活性化を伴わずに挑戦に応答した活発な行動状態の選択に対して重大な意味を持つ、急速な、および可逆的な効果を有することを証明した。
【0201】
要約すると、これらの生理的および行動的結果は、挑戦的な状況に対する行動応答の基礎をなす神経動態を記述し、および正常および病理学的状態の両方の行動パターン選択を理解するための潜在的に意味をもつ、この応答を実行する際のDRNのmPFC制御の必然的な重要性を証明する。
【0202】
図5A〜E:自動化されたFSTは、同時に記録した神経データと同調することができる高い時間分解能行動読み出しを提供する。a)自動化されたFSTの概略図。水のタンクを、ワイヤーのコイルによって囲み、および磁石をラットの後ろ足に具合よく取り付ける。泳ぐ間のコイル内の磁石の移動は、記録することができる電流を誘導する。同時発生的な神経記録を可能にするため、ヘッドステージを防水した。光ファイバーを同時の光刺激のために含むことができる。b)例のFSTコイルトレース。コイル電圧を示す。上段:個々のキックを示す短い6秒の行動コイルトレース。中央:より長い時間尺度での活動を示す、より長い、5分の行動コイルトレース。下段:5分間コイルトレースから見積もった瞬間的なキック頻度。c)平均キック頻度は、手動で記録した不動見積りに十分に対応する。d)誘導コイルに由来するFST不動の見積りは、手動で記録した不動見積りに密接に対応する。e)FSTの間に記録した4つのよく単離された単一のmPFCユニット。
【0203】
図6Aおよび6B:強制水泳試験における個々のキックの検出。a)最初に、誘導コイルトレースをフィルターし(1〜6Hz)、および次いで各キックの中間点にてピークを生じるように統合した。次いで、統合したトレースを、閾値を定め(最大偏差の10%)、およびピークを検出する。閾値を灰色で示す。b)フィルター下統合前のコイルトレース。キック回数は、各キックの中間点に対応する。
【0204】
図7A〜C:磁気誘導法を、ケージにおける不動を検出するために使用することができる。a)誘導コイルトレースをフィルターし(1〜20Hz)、閾値を定め(最大偏差の4%)、およびピークを検出する。工程と関連する単極波形のため、ケージコイルトレースをピークの検出の前に統合しない。b)自動的に記録したケージ不動は、手動で記録されたケージ不動によく対応する。c)平均工程頻度は、手動で記録された不動によく対応する。
【0205】
図8A〜G:前頭葉前部ニューロン活動は、FST行動状態を符号化する。a)4−四極管マイクロドライブ(6匹のラット)または24電極の固定されたワイヤーアレイ(5匹のラット)を、mPFC上に移植した。b)慣れたケージにおける15分間のFST前データ(FST前)、FSTの間の15分間(FST)および慣れたケージにおけるFST後の15分間(FST後)を記録した。c)FSTにおける不動状態の間に特異的に阻害される例のニューロンの棒グラフ。このニューロンは、主に不動のFST前および後の時期および移動のFST状態の間に高い割合で発火するが、不動FST状態の間に特異的に阻害される(ウィルコクソン順位和検定、
*p<0.05;
**p<0.01;
***p<0.001;
****p<0.0001)。d)同じニューロンのラスタープロット。黒でコイルトレース、紫で移動性状態、赤でスパイク。上段:慣れたケージにおけるFST前の活動。このニューロンは、FST前の時期の全体にわたって高い割合で発火し、ラットは、ほぼ完全に不動である(98%不動)。中央:FSTの間の活性。このニューロンは、移動状態の間に高い割合にて発火するが、行動的絶望様の状態に対応する不動状態の間に阻害される。下段:慣れたケージにおけるFST後の活動。このニューロンは、再び、FST後の時期の全体にわたって強く発火し、ラットの大部分は、不動である(94%不動)。e)全ての11匹のラットからのFST前およびFST試験の時期の間の行動データ。ラットは、慣れたケージにおけるFST前の期間の間にほぼ完全に不動であるが(97%静止)、FSTの間にさらに活発であった(39%静止)。f)集団選択性インデックスの分布(補足方法を参照されたい)。上段:FST前対FST時期。FST前対FSTに対して著しく選択的な全てのニューロンを示す。広範囲の選択性プロフィールを表す。下段:移動対不動のFST状態。移動対不動のFST状態に対して著しく選択的な全てのニューロンを示す。大部分のニューロンは、不動のFST状態の間よりも、移動のFST状態の間により発火した。g)左上の四分円は、選択性インデックスの同時分布。FSTにおける不動の状態の間に特異的に阻害されたニューロンに対応し、一方で、右下の四半部は、これらの状態の間に特異的に活性化されたニューロンを示す。黒丸:課題時期および移動の両方に対して選択的なニューロン。赤丸:例のニューロン。青丸:推定の阻害性の速いスパイクニューロン。灰色丸:有意に選択的でないニューロン。全ての記録したニューロンを示す。
【0206】
図9A〜J:興奮性mPFC細胞体でなく、DRNにおけるmPFC軸索の光遺伝的刺激は、挑戦する状況における迅速かつ可逆的な行動活性化を誘導する。a)AAV5 CaMKIIα−ChR2−EYFPまたはCaMKIIα−EYFPをmPFCにおいて両側に注入して、および光ファイバーを感染させた細胞体上に移植した。b)mPFCにおけるEYFP蛍光。c)ChR2−EYFP(左、n=10)およびEYFP(右、n=8)ラットからの行動データ。ChR2− EYFPラットにおける興奮性mPFC細胞体の照明は、行動作用を誘導しなかった(トレンド除去したデータ、光を点けた対光を消した、ウィルコクソン符号順位検定、p=0.23)。灰色の線は、個々のラットを表し、一方で、より濃い線は、ChR2−EYFP(赤)またはEYFP(黒)ラットについての行動平均を示す。青い棒は、光を点けたことを示す。d)AAV5 CaMKIIα−ChR2−EYFPまたはCaMKIIα−EYFPを、mPFCにおいて両側に注入し、および光ファイバーを、mPFC−DRN軸索を特異的に活性化するためにDRN上に移植した。e)DRNにおけるmPFC軸索におけるEYFP蛍光(5−HTを免疫染色した)。f)1匹のChR2−EYFP発現するラットからの行動データ。上段、中央:コイルトレース。下段:キック頻度。キック頻度は、光刺激の間に増加する。青い棒は、光を点けたことを示す。g)1匹のEYFPを発現するラットからの行動データ。上段:コイルトレース。下段:キック頻度。キック頻度は、光刺激による影響を受けない。h)全てのラットからの行動データ。左:ChR2−EYFPラット(n=16)。DRNにおけるChR2を発現するmPFC軸索の照明は、FSTにおいて迅速かつ可逆的な行動活性化を誘導した。右:EYFPラット(n=12)。DRNにおけるEYFPを発現するmPFC軸索の照明は、行動に影響を及ぼさなかった。i)直線的にhから非傾向を示されたデータ。光刺激の間のキック頻度は、EYFPラット(ウィルコクソン符号順位検定、p=0.39;
*p<0.05;
**p<0.01;
***p<0.001;
****p<0.0001)ではなくChR2−EYFPラット(ウィルコクソン符号順位検定、p=1.04e−11)における照明の間に有意に増加した。j)オープンフィールド試験。DRN投射mPFCニューロンの光刺激は、ChR2−EYFPラット(n=12、ウィルコクソン符号順位検を定、p=0.59)またはEYFPラット(n=12、ウィルコクソン符号順位検定、p=0.71)における歩行運動活動に対して非特異的な効果を有さなかった。
【0207】
図10Aおよび10B:ラットmPFCの光遺伝的刺激。a)AAV5 CaMKIIα−ChR2− EYFPを、mPFCにおいて両側に注入した。オプトロード記録により、局所的細胞体照明によって誘導されるmPFCにおけるスパイク活動を検出した。b)オープンフィールド試験。AAV5 CaMKIIα−ChR2−EYFPまたはAAV5 CaMKIIα−EYFPを、mPFCにおいて両側に注入した。mPFCの光刺激は、ChR2−EYFPラット(ウィルコクソン符号順位検定、p=0.50、n=10)またはEYFPラット(ウィルコクソン符号順位検定、p=0.09、n=8)のいずれにおける速度にも影響を及ぼさなかった。赤線は、ChR2−EYFP群平均を示す。灰色線は、EYFP群平均を示す。青棒は、光が点いたことを示す。有意性算出は、トレンド除去したデータにおいて行った。
【0208】
図11Aおよび11B:DRN組織学およびオプトロード記録。a)AAV5 CaMKIIα−ChR2− EYFPを、mPFCにおいて両側に注入した。DRNにおけるmPFC軸索におけるEYFP蛍光を緑で示し、5−HTに対する免疫染色を赤で示し、および核のDAPI染色を白で示す。b)AAV5 CaMKIIα−ChR2−EYFPを、mPFCにおいて両側に注入した。DRNにおけるオプトロード記録により、DRNにおけるmPFC軸索の照明によって誘導される局所的スパイク活動を検出した。スパイクは、全ての光パルスで誘発されるというわけではなかった。12の重ねたトレースを示す。
【0209】
図12A〜J:DRN投射mPFCニューロンの光遺伝的刺激は、移動のmPFC符号化することを減少させる。a)AAV5 CaMKIIα−ChR2−EYFPを、mPFCに両側に注入し、光ファイバーをDRN上に移植した。24電極の固定されたワイヤーアレイをmPFCにターゲットした。 b)全ての3匹の注射し、および移植したラットは、刺激の間にFST移動における強い増大を示した。c)mPFC−DRNの光刺激は、平均mPFC発火率における適度の増大を誘導した(しかし、テキストを参照されたい)。d)DRNにおけるmPFC軸索の照明は、FSTの間に移動状態のmPFC符号化を減少させた。それぞれの点は、1つのニューロンを示す。黒い正方形は、光刺激なしのニューロンの移動対不動の発火率を示す。一方、青丸は、光刺激での移動対不動の発火率を示す。光刺激は、これらの点を最良適合ライン周辺に密接に密集させる。光刺激での有意な傾きの変化はなかった(共分散分析、p=0.20)。e〜f)移動および不動の状態の間の発火率における変化のヒストグラム。上段:光刺激なし。下段:光刺激。照明は、この分布における分散を減少させ(同等の分散のためのF検定、p=2.11e−4)、これらのニューロンにおける移動状態の符号化を減少させることを示す。g)ニューロンの全ての4つの四分円は(
図2fを参照されたい)、光刺激での移動状態を符号化の減少を示す。h〜j)ラットが慣れたケージにおり、かつFSTに従事しない場合には、刺激は、移動状態符号化に対して有意な効果がない。
【0210】
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36. Ressler et al. Nature neuroscience 10: 1116-24 (2007)。
【0211】
実施例3:条件付き配置嫌悪におけるドーパミンニューロンの役割
マウスは、実施例1に記載したとおりであった。THcre
+/eNpHR3.0−eYFPマウスおよびTHcre
+/eYFP(THcre
+/eNpHR3.0−eYFP)マウスを、条件付き場所試験に供した。結果を
図13Aおよび13Bに示した。
【0212】
図13A。THcre+マウスをAAV5−flox−eNpHR3.0−eYFPまたはAAV5−flox−eYFPでVTAに感染した。2つの群は、有意に異なる成績を示した(F(1,16)= 5、p≦0.001)。2つの条件付けセッション(琥珀の箱)は、THcre+/eNpHR3.0−eYFPマウスにおける条件付けチャンバーの嫌悪を誘導するために十分である(
**p≦0.01、t(3.3;14))。THcre+/eNpHR3.0−eYFPマウスのみが、全ての実験の間に嫌悪を示した(F(3,21)=7.7
***p?0.001)(条件付け日2間でTHcre+/eNpHR3.0−eYFP対THcre+/eYFP
*p≦0.05、t(2.3;16);試験日間でTHcre+/eNpHR3.0−eYFP対THcre+/eYFP
*p≦0.05(t(2.2;16)))。
図13Aにおいて、上の線はThcre/eYFPであり、下の線はTHcre/eNpHR2.0−eYFPである。
図13B。両方のチャンバーにおいてマウスによって費やされる時間が同等であるので、試験前の間に最初の嫌悪がないことに留意されたい。条件付け後、VTA DA細胞においてeNpHR3.0−eYFPを発現するマウスは、条件付きチャンバーに対して試験日に明らかな嫌悪を示すが(THcre+/eNpHR3.0−eYFPマウスについての試験前対試験日
*p≦0.05、 t(2.5;14))、対照マウスでは示さない(試験日におけるTHcre+/eNpHR3.0−eYFP対THcre+/eYFP
*p≦0.05 t2.2;16 n= 10)、。
図13Bにおいて、「試験前」および「試験」データセットにおける左側の棒は、THcre/eYFPである。「試験前」および「試験」データセットにおける右側の棒は、THcre/eNpHR3.0−eYFPである。
【0213】
本発明は、その具体的態様に関して記述してあるが、当業者には、その種々の変更を行ってもよいこと、および均等物を本発明の真の趣旨および範囲を逸脱しない範囲で置換してもよいことが理解されるはずである。加えて、特定の状況、材料、化合物、プロセス、プロセス工程または工程を適応するために、本発明の目的、精神および範囲に多くの改変を行ってもよい。全てのこのような改変は、本明細書に添付した特許請求の範囲内であることが意図される。