特許第6396883号(P6396883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6396883うつ病の非ヒト動物モデルおよびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396883
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】うつ病の非ヒト動物モデルおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/50 20060101AFI20180913BHJP
   A01K 67/027 20060101ALI20180913BHJP
   C12N 15/00 20060101ALI20180913BHJP
   G01N 33/15 20060101ALI20180913BHJP
   C07K 14/405 20060101ALN20180913BHJP
【FI】
   G01N33/50 Z
   A01K67/027ZNA
   C12N15/00
   G01N33/15 Z
   !C07K14/405
【請求項の数】9
【全頁数】57
(21)【出願番号】特願2015-501753(P2015-501753)
(86)(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公表番号】特表2015-512516(P2015-512516A)
(43)【公表日】2015年4月27日
(86)【国際出願番号】US2013030893
(87)【国際公開番号】WO2013142196
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2016年2月18日
(31)【優先権主張番号】61/613,231
(32)【優先日】2012年3月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】ディーセロス,カール エー.
(72)【発明者】
【氏名】タイ,ケイ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ウォーデン,メリッサ アール.
【審査官】 大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−534508(JP,A)
【文献】 特表2012−508581(JP,A)
【文献】 Viviane Gradinaru et al.,Cell,2010年,Vol.141, No.1,p.154-165
【文献】 Hsing-Chen Tsai et al.,Science,2009年,Vol.324,p.1080-1084
【文献】 Ming-Hu Han and Allyson K. Friedman,Neuropharmacology,2012年 1月,Vol.62, No.1,p.89-100
【文献】 Shengli Zhao et al.,Brain Cell Biology,2008年,Vol.36,p.141-154
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 − 33/98
G01N 33/15
C12N 15/00
A01K 67/027
C07K 14/405
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトのうつ病を治療するための候補薬剤を同定するための方法であって、
中脳腹側被蓋野(VTA)ドーパミン作動性ニューロンにおけるニューロン活動の活性な光遺伝学的阻害因子を発現する齧歯類を試験薬剤に接触させること、および
うつ病アッセイにおける前記齧歯類の挙動に対する前記試験薬剤の効果を決定することを含み、
前記決定することが、前記光遺伝学的阻害因子を活性化する波長の光に前記VTAを曝露することの後に、または並行して実施され
前記試験薬剤に接触させなかったコントロール齧歯類の挙動と比較して、前記試験薬剤に接触させた前記齧歯類のうつ性の挙動の減少は、前記試験薬剤がうつ病を治療するための候補薬剤であることを示す、方法。
【請求項2】
前記活性な光遺伝学的阻害因子は、配列番号:1に示したNpHRアミノ酸配列と少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むハロロドプシン(NpHR)ポリペプチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記NpHRは、ドーパミン作動性ニューロンにおいて前記NpHRを発現させるプロモーターに作動可能に連結されたヌクレオチド配列によってコードされる、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記プロモーターが、チロシン水酸化酵素プロモーターである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記NpHRは、小胞体搬出シグナルおよび膜輸送シグナルを含む、請求項から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記小胞体搬出シグナルは、アミノ酸配列FXYENE(配列番号:12)(式中、Xは任意のアミノ酸である)を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記膜輸送シグナルが、配列番号:17に示したアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記うつ病アッセイは、強制水泳試験、尾懸垂試験または条件付き場所嗜好試験である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記決定することは、過分極化光応答性オプシンポリペプチドを活性化する波長の光に前記VTAを曝露することの後に、または並行して実施される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2012年3月20日に出願の米国仮特許出願第61/613231号の優先権を主張し、この出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
背景
大うつ病性障害は、低調な気分、自殺思考、意欲の減少および喜びを経験することができないことによって特徴づけられる。この重度の精神医学的疾患の有病率にもかかわらず、最も一般的に処方される治療的介入の、選択的セロトニン再取り込み阻害薬は、たいてい効果がなく、および重篤な有害な副作用を有する。
【0003】
うつ病の現在の非ヒト動物モデルは、非特異的である。当該技術分野においてうつ病の改善された非ヒト動物モデルに対する需要がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、うつ病の非ヒト光遺伝学的動物モデルを提供する。動物モデルは、うつ病を治療するための薬剤を同定するために、およびうつ病の治療のための治療上のストラテジーの標的を同定するために有用である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1-1】図1A−Eは、中脳腹側被蓋野(VTA)ドーパミン(DA)ニューロンの選択的阻害によるうつ病様の表現型の誘導を示す。
図1-2】同上。
図2図2A−Eは、VTA DAニューロンの低密度の、一過性光活性化によるストレスで誘導されるうつ病様の表現型の救出を示す。
図3図3A−Cは、逃避関連行動を媒介するためにグルタミンではなく、ドーパミン受容体シグナリングに対する要求を示す。
図4-1】図4A−Iは、VTA DAニューロンの一過性活性化によるTH::Creラットにおける逃避関連行動のNAc神経符号化の調整を示す。
図4-2】同上。
図5-1】図5A−Eは、同時に記録された神経データと同調することができる高時間分解能読み出しを提供するための自動化された強制水泳試験(FST)の使用を示す。
図5-2】同上。
図6図6Aおよび6Bは、FSTにおける個々のキックの検出を示す。
図7図7A−Cは、ケージにおける不動を検出するための磁気誘導法の使用を示す。
図8-1】図8A−Gは、前頭葉前部ニューロン活動によるFST行動状態の符号化を示す。
図8-2】同上。
図9-1】図9A−Jは、興奮性内側前頭葉前部皮質(mPFC)でなく、背側縫線核(DRN)におけるmPFC軸索の光遺伝学的刺激によって誘発する状況における迅速かつ可逆的な行動活性化の誘導を示す。
図9-2】同上。
図10図10Aおよび10Bは、ラットmPFCの光遺伝学的刺激を示す。
図11図11Aおよび11Bは、DRN組織学およびオプトロード記録を示す。
図12-1】図12A−Jは、mPFC符号化能力に対するDRNを投影するmPFCニューロンの光遺伝学的刺激の効果を示す。
図12-2】同上。
図13図13Aおよび13Bは、THcre/eNpHR3.0−eYFPマウスおよびTHcre/eNpHR3.0−eYFPマウスによる条件付き場所嗜好試験に対する応答を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
定義
本明細書に使用される、「異種」という用語は、核酸に対する言及において、その天然環境にない(すなわち、人の手によって変化された)遺伝子産物(ポリペプチドまたは核酸)をコードする核酸をいう。たとえば、異種核酸は、1つの種から別の種に導入された核酸を含む。また、異種核酸は、いくつかの方法で変化された(たとえば、変異され、複数コピーに付加されて、非天然プロモーターまたはエンハンサー配列、その他に連結された)生物にとって天然の遺伝子を含む。異種核酸は、核酸のcDNA形成を含むヌクレオチド配列を含んでもよく、cDNA配列は、センス(mRNAを産生するように)またはアンチセンス配向(mRNA転写物に相補的であるアンチセンスRNA転写物を産生するように)のいずれで発現してもよい。異種核酸は、いくつかの態様において、異種核酸配列が異種遺伝子によって、または染色体における遺伝子配列と共にコードされるタンパク質のための遺伝子に関連した天然に見いだされないか、または天然において見いだされない染色体の部分に関連する(たとえば、遺伝子が通常発現されない座位において発現される遺伝子)プロモーターなどの調節エレメントを含むヌクレオチド配列に典型的には連結される点で、内因性核酸から区別することができる。
【0007】
本明細書に使用される、「非ヒト哺乳動物」という用語は、非ヒト霊長類、齧歯類(たとえば、マウス、ラット、その他)および同様のものを含むが限定されない、任意の非ヒト哺乳動物をいう。いくつかの場合において、非ヒト哺乳動物は、マウスである。その他の場合において、非ヒト哺乳動物は、ラットである。
【0008】
本明細書に使用される、「気分障害」は、幅広い期間の間、個体が経験する感情気分または情動状態の混乱をいう。気分障害は、大うつ病障害(すなわち、単極性障害)、躁病、身体違和感、双極性障害、気分変調、循環気質および同様のものを含むが、限定されない。たとえば、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fourth Edition, (DSM IV)を参照されたい。
【0009】
本明細書に使用される、「不安障害」は、表面上認識されない精神内の矛盾から生じる、非現実的または想像された危険の予測に対する精神心理学的応答を含む不快な情動状態をいう。生理的付随事情は、心拍数の増加、呼吸数の変化、発汗、振戦、衰弱および疲労を含み、心理的付随事情は、切迫した危険、無力、憂慮および緊張の感情を含む。不安障害は、パニック障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害、社会恐怖症、社会不安障害、単一恐怖症、全般的不安障害を含むが、限定されない。
【0010】
「強迫性障害」または「OCD」は、個体における顕著な苦痛を生じさせるほど十分な再発性の強迫観念または強迫行為によって特徴づけられる不安障害である。これらは、典型的には時間浪費し、および/または人の正常な機能性、社会的活動または関係を有意に妨げる。強迫観念は、心に入り、および持続的、侵入的かつ歓迎されない再発性の思想、考え、イメージまたは衝動である。たいてい、考えを無視する、もしくは抑制するように、またはいくつかのその他の考えもしくは行動でこれらを中和するように努力がなされる。個体は、強迫観念を自分自身の心の成果と認識し得る。強迫行為は、強迫観念に応答して行われる反復性の、意図的な挙動または運動であり、および典型的には不快またはいくつかの恐れられる事象もしくは状況を中和する、または予防することが計画される。たとえば、一般的な強迫観念は、汚れの思考にかかわり、過剰な、反復性の、および目的のない手洗いは、一般的な強迫行為である。
【0011】
「大うつ病障害」、「大うつ病性障害」または「単極性障害」は、以下の症候のいずれかを含む気分障害をいう。持続的な悲しい、不安な、または「むなしい」気分;絶望感または悲観;罪悪感、無用感または無力感;性交を含むかつては楽しんだ趣味および活動における興味または喜びの喪失;活力の減少、疲労、「スローダウンされる」こと;集中すること、記憶すること、または決定することが困難;不眠症、早朝の覚醒または寝すごすこと;食欲および/または体重の減少または過食および体重増加;死の考えまたは自殺または自殺企図;不穏状態もしくはいらいら感または頭痛消化障害および慢性疼痛などの治療に応答しない持続的な身体症候。たとえば、うつ病の種々のサブタイプがDSM IVにおいて記述されている。
【0012】
「双極性障害」は、極端な気分の間を行き来することによって特徴づけられる気分障害である。双極性障害である人は、通常試みが、非常に活気づけられ、またはいらいらする(躁病)から悲しみおよび絶望(うつ病)になり、次いで再び戻るように振れる気分の循環を経験する。双極性障害の診断は、たとえばDSM IVに記述されている。双極性障害は、双極性障害I(大うつ病を伴う、または伴わない躁病)および双極性障害II(大うつ病を伴う軽躁病)を含み、たとえばDSM IVを参照されたい。
【0013】
本発明をさらに記述するる前に、本発明が記述される詳細な態様に限定されず、したがって、もちろん変更してもよいことを理解すべきである。また、本発明の範囲は、添付の請求の範囲のみによって限定されるため、本明細書に使用される用語法は、詳細な態様を記述する目的のみのためであり、および限定することは意図されないことが十分に理解される。
【0014】
値の範囲が提供される場合、それぞれの間に入る値、別途明示的な指示がない限り、下限の単位の第10番目まで、その範囲の上限と下限との間および任意のその他の明示されたまたはその明示された範囲の間に入る値は、本発明内に包含されることが理解される。これらのより狭い範囲の上限と下限は、独立してより小さな範囲に含まれ得るし、およびまた本発明内に包含され、明示された範囲における任意の具体的に除外された限定を受ける。明示された範囲が限定の一方または両方を含む場合、これらの含まれる限定のいずれかまたは両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
【0015】
別途定義されない限り、本明細書に使用される全ての専門的および科学的用語は、一般に本発明が属する技術の当業者によって理解されるのと同じ意味を有する。また、本明細書において記述したもの類似または均等な任意の方法およびの材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料をここに記述する。本明細書において言及した全ての刊行物は、参照により本明細書において援用され、刊行物が引用するものと共に方法および/または材料を開示し、および記述する。
【0016】
本明細書に、および添付の請求の範囲において使用される、単数形「ある」および「該」は、状況が別途はっきり指示しない限り、複数の指示物を含みことに留意しなければならない。したがって、たとえば、「光活性化されたカチオンチャネル」に対する言及は、複数のこのような光活性化されたカチオンチャネルを含み、および「抑うつ性の挙動」に対する言及は、1つまたは複数の抑うつ性の挙動および当業者に公知のその均等物等を含む。特許請求の範囲は、任意の随意の要素を除外するように立案してもよい点にさらに留意されたい。したがって、この記載は、請求要素の説明または「ネガティブな」限定の使用と組み合わせて「単に」、「のみ」および同様のもののような排他的な用語法の使用のための先立つ根拠として役に立つことが意図される。
【0017】
また、明快さのために、別々の態様の状況において記述された本発明の一定の特徴は、単一の態様と組み合わせて提供してもよいことが認識される。反対に、簡潔さのために、単一の態様の状況において記述された本発明の種々の特徴は、また別々にまたは任意の適切なサブコンビネーションで提供してもよい。本発明に属する態様の全ての組み合わせは、あたかもそれぞれの、および全ての組み合わせが個々に、および明確に開示されているかのように、本発明によって具体的に包含され、および本明細書において開示される。加えて、種々の態様およびその要素の全てのサブコンビネーションは、また、あたかもそれぞれのおよび全てのサブコンビネーションが本明細書において個々に、および明確に開示されるかのように、本発明によって具体的に包含され、および本明細書において開示される。
【0018】
本明細書において考察した刊行物は、本出願の出願日の前にこれらの開示について単に提供される。本明細書において、本発明が従来発明によってこのような公開に先だって権利が付与されないとは解釈されない。さらに、提供される公開日は、実際の公開日付と異なり得るし、独立して確認することを必要とし得る。
【0019】
詳細な説明
本開示は、うつ病の非ヒト光遺伝学的動物モデルを提供する。動物モデルは、うつ病を治療するための薬剤を同定するために、およびうつ病の治療のための治療ストラテジーの標的を同定するために有用である。
【0020】
うつ病の非ヒト動物モデル
本開示は、動物のニューロンにおいて光応答性オプシン(たとえば、光応答性イオンチャネル、光応答性イオンポンプ、その他)を発現する非ヒト動物を提供する。光に対する光活性化されたオプシンの曝露による光応答性オプシンの活性化が動物の挙動を調節する。詳細な態様において、光応答性オプシンの光活性化は、動物においてうつ病を誘導する。その他の態様において、光応答性オプシンの光活性化は、うつ病を軽減する。
【0021】
いくつかの場合において、うつ病の本非ヒト動物モデルは、光応答性オプシンを活性化する光の存在下においてうつ病の症候を示す。その他の場合において、うつ病の本非ヒト動物モデルは、光応答性オプシンを活性化する光の非存在下においてうつ病の症候を示す。
【0022】
うつ病の本非ヒト動物モデルを使用して、身体違和感、うつ病、快感消失、自殺傾向、激越、不安症、薬物耽溺禁断症状および同様のものを含むが、限定されない任意の多様な有害な心理的および生理的状態に対する試験薬剤の効果を解析することができる。いくつかの場合において、有害な状態を減少させ、または緩和する試験薬剤は、気分障害(たとえば、大うつ病障害(すなわち、単極性障害)、躁病、身体違和感、双極性障害、気分変調、循環気質および同様のもの)を治療するための候補薬剤であると考える。したがって、うつ病を考察するが、本スクリーニング方法を使用して任意の多様な有害な状態に対する試験薬剤の効果を解析することができ、同定された試験薬剤は、気分障害、並びにその他の任意の多様な有害な心理的および生理的状態を治療するための候補薬剤と考えることができる。
【0023】
非ヒト動物モデルにおけるうつ病の症候は、たとえば逃避関連行動の減少、不安症およびストレスを含む。うつ病および/または不安症および/またはストレスに対する試験は、強制水泳試験(FST)(たとえば、Porsolt et al.(1977)Nature 266:730;およびPetit-Demouliere、et al.(2005)Psychopharmacology 177:245を参照されたい);尾懸垂試験(たとえば、Cryan et al. (2005)Neurosci. Behav. Rev. 29:571;およびLi et al. (2001)Neuropharmacol. 40:1028を参照されたい);条件付き場所嗜好性(たとえば、Bechtholt-Gompf et al. (2010)Neuropsychopharmacol. 35:2049を参照されたい);新規食欲減退試験(Dulawa, et al. (2005)Neurosci. Biobehav. Rev. 29:771);社会的敗北ストレス試験(たとえばBlanchard et al. (2001)Physiol Behav. 73:261?271;およびKudryavtseva et al. (1991)Pharmacol. Biochem. Behav. 38: 315を参照されたい);スクロース嗜好試験(たとえば、Kurre Nielsen, et al. (2000)Behavioural Brain Research 107:21-33を参照されたい);オープンフィールド試験(たとえば、Holmes (2001)Neurosci. Biobehav. Rev. 25:261?273を参照されたい);高架式十字迷路試験(たとえば、上記Holmes(2001)を参照されたい);および同様のものを含む。
【0024】
光応答性オプシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を非ヒト哺乳動物に導入する。光応答性オプシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、本明細書において、「異種核酸」または「導入遺伝子」とも称する。核酸が発現され、その結果、光応答性オプシンが非ヒト哺乳動物のニューロンにおいて合成される。
【0025】
光応答性オプシンは、活性化波長(オプシンを活性化する波長)にて光に曝露されたときに、光応答性オプシンが発現される細胞(たとえば、ニューロン)の原形質膜の過分極または脱分極のいずれかを促進する(promoter)ことができる。たとえば、光活性化されたオプシンは、中脳腹側被蓋野のドーパミン作動性(DA)ニューロンにおいて発現され、および光活性化されたオプシンが、活性化波長の光の存在下において過分極を促進する場合、DAニューロンの活性は、阻害される。もう一つの例として、光活性化されたオプシンは、中脳腹側被蓋野のDAニューロンにおいて発現され、および活性化波長の光によって活性化されたときに光活性化されたオプシンがニューロンの脱分極を促進する場合、DAニューロンは、活性化される。もう一つの例として、光活性化されたオプシンは、内側前頭葉前部皮質における興奮性(グルタミン酸作動性(glutamaergic))ニューロンにおいて発現され、および活性化波長の光によって活性化されたときに光活性化されたオプシンがニューロンの脱分極を促進する場合、興奮性ニューロンは、活性化される。
【0026】
いくつかの場合において、導入遺伝子は、非ヒト哺乳動物におけるニューロンのゲノムに組み込まれる。ゲノムへの組み込みは、ターゲットすることができ、たとえば導入遺伝子は、特異的な、ターゲットされたゲノムの部位に組み込まれる。ニューロンのゲノムへの組み込みは、ターゲットさせないことができ、たとえば導入遺伝子をランダムな部位にてゲノムに組み込む。その他の場合において、導入遺伝子は、エピソームのままであり、たとえば導入遺伝子は、非ヒト哺乳動物のゲノムに組み込まれない。いくつかの場合において、導入遺伝子は、哺乳動物の実質的に全ての細胞に存在する。その他の場合において、導入遺伝子は、哺乳動物の細胞のサブセットにのみ存在する(たとえば、導入遺伝子は、哺乳動物におけるニューロン細胞集団にのみ存在する)。導入遺伝子が哺乳動物の実質的に全ての細胞に存在する場合、多くの態様において、導入遺伝子は、細胞のサブセットにおいてのみ、たとえば哺乳動物のニューロン細胞集団においてのみ発現される。
【0027】
細胞のサブセットへの導入遺伝子の導入
上記の如く、いくつかの場合において、導入遺伝子(たとえば、光応答性オプシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸)は、哺乳動物の細胞のサブセットにのみ存在する。たとえば、いくつかの場合において、導入遺伝子は、脳細胞にのみ存在する。これらの態様の一部において、導入遺伝子は、細胞のサブセットのゲノム(ランダムな組み込み部位にて、またはターゲットされた組み込み部位にてのいずれか)に組み込まれる。その他の場合において、導入遺伝子は、エピソームのままである。
【0028】
いくつかの場合において、光応答性オプシンコードするヌクレオチド配列は、導入遺伝子のタイプ特異的な発現を細胞に提供する1つまたは複数の転写制御エレメントに作動可能に連結される。たとえば、いくつかの場合において、光応答性オプシンコードするヌクレオチド配列は、導入遺伝子のニューロン特異的発現を提供する制御エレメント(たとえば、プロモーター)に作動可能に連結される。いくつかの場合において、ニューロン特異的プロモーターは、ニューロンのサブタイプ、たとえばドーパミン作動性ニューロン、興奮性ニューロン、内側前頭葉前部皮質のニューロンおよび同様のものにおける導入遺伝子の発現を提供する。
【0029】
ニューロン特異的プロモーターおよびその他の制御エレメント(たとえば、エンハンサー)は、当該技術分野において公知である。適切なニューロン特異的な制御配列は、以下を含むが、限定されない。ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)プロモーター(たとえば、EMBL HSENO2(X51956)を参照されたい);芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)プロモーター;ニューロフィラメントプロモーター(たとえば、GenBank HUMNFL(L04147)を参照されたい);シナプシンプロモーター(たとえば、GenBank HUMSYNIB(M55301)を参照されたい);thy−1プロモーター(たとえば、Chen et al.(1987)Cell 51:7-19;およびLlewellyn、et al.(2010)Nat Med. 16(10):1161-1166を参照されたい);セロトニン受容体プロモーター(たとえば、GenBank S62283を参照されたい);チロシン水酸化酵素プロモーター(TH)(たとえば、Oh et al.(2009)Gene Ther 16:437;Sasaoka et al.(1992)Mol. Brain Res. 16:274;Boundy et al.(1998)J. Neurosci 18:9989;およびKaneda et al.(1991)Neuron 6:583-594を参照されたい);GnRHプロモーター(たとえば、Radovick et al.(1991)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:3402-3406を参照されたい);L7プロモーター(たとえば、Oberdick et al.(1990)Science 248:223-226を参照されたい);DNMTプロモーター(たとえば、Bartge et al.(1988)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:3648-3652を参照されたい);エンケファリンプロモーター(たとえば、Comb et al.(1988)EMBO J. 17:3793-3805を参照されたい);ミエリン塩基性タンパク質(MBP)プロモーター;Ca2+−カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII−アルファ(CamKIIα)プロモーター(たとえば、Mayford et al.(1996)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:13250;およびCasanova et al.(2001)Genesis 31:37を参照されたい);およびCMVエンハンサー/血小板由来成長因子−βプロモーター、(たとえば、Liu et al.(2004)Gene Therapy 11:52-60を参照されたい)。
【0030】
導入遺伝子(たとえば、光応答性オプシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸)を関心対象の組織内に直接または関心対象の組織に隣接して注射して、関心対象の組織における光応答性オプシンの発現を提供することができる。たとえば、導入遺伝子を関心対象の脳部分に、またはそれに隣接して注射することができ、たとえば導入遺伝子を前頭葉前部皮質、中脳腹側被蓋野、その他に、またはそれに隣接して注射することができる。
【0031】
融合体またはES細胞のゲノムへの組み込み
もう一つの側面において、本開示は、そのゲノムが導入遺伝子(たとえば、光応答性オプシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸)を含む融合体または胚性幹(ES)細胞を提供する。導入遺伝子を含むDNA構築物は、Hogan et al., "Manipulating the Mouse Embryo", Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1986; Kraemer et al., "Genetic Manipulation of the Early Mammalian Embryo", Cold Spring harbor Laboratory Press, 1985; Wagner et al., 米国特許第4,873,191号, Krimpenfort et al 米国特許第5,175,384 号および Krimpenfort et al., Biotechnology, 9: 88 (1991)において記述されたものなどの任意の標準的な方法によってトランスジェニック哺乳動物のゲノムに組み込まれてもよく、これらの全ては、参照により本明細書に援用される。一例として、導入遺伝子をマウス、ラット、その他などの非ヒト哺乳動物哺乳類の融合体の前核に微量注入する。創始哺乳類が得られる偽妊娠した雌卵管または子宮に、これらの注射された胚を移植する。創始哺乳類(Fo)は、トランスジェニックであり(異種接合体)、および同じ種の非トランスジェニック哺乳類と交配して1:1の比でF1非トランスジェニックおよびトランスジェニック子孫を得ることができる。トランスジェニック哺乳類の1系統からの異種接合体哺乳動物を、2つの座位にてヘテロ接合性である哺乳類を生むようにトランスジェニック哺乳類の異なる系統からの異種接合体哺乳動物とかけあわせてもよい。そのゲノムが導入遺伝子を含む哺乳類は、当該技術分野において公知のポリメラーゼ連鎖応答、サザンブロットアッセイまたはその他の方法などの標準的な技術によって同定される。
【0032】
いくつかの場合において、光応答性オプシンをコードするヌクレオチド配列は、導入遺伝子のタイプ特異的発現を細胞に提供する1つまたは複数の転写制御エレメントに作動可能に連結される。たとえば、いくつかの場合において、光応答性オプシンをコードするヌクレオチド配列は、導入遺伝子のニューロン特異的発現を提供する制御エレメント(たとえば、プロモーター)に作動可能に連結される。いくつかの場合において、ニューロン特異的プロモーターは、ニューロンのサブタイプ、たとえばドーパミン作動性ニューロン、興奮性ニューロン、内側前頭葉前部皮質のニューロンおよび同様のものにおける導入遺伝子の発現を提供する。例示的なプロモーターは、上で収載したものを含む。
【0033】
光応答性オプシン
光遺伝学は、生組織のターゲットされた細胞において、さらに自由に移動する哺乳類およびその他の動物内でさえ、機能する無処置の生物学的システムでペースを保持するために必要な時間精度(ミリ秒−時間尺度)で、特異的なイベントを制御するために使用される遺伝学的および光学的な方法の組み合わせをいう。光遺伝学は、ニューロン膜電位の時間的に正確な操作を可能にし、一方で特異的ターゲティング機構を介して細胞−タイプ分解能を維持する、ターゲットニューロン細胞の原形質膜に対する迅速な光応答性チャネルまたはポンプタンパク質の導入を必要とする。光に対する応答における神経細胞膜過分極または脱分極を促進するために使用することができる任意の微生物オプシンを使用してもよい。たとえば、光応答性クロライドポンプのハロロドプシンファミリー(たとえば、NpHR、NpHR2.0、NpHR3.0、NpHR3.1)およびGtR3プロトンポンプを、光に対する応答における神経細胞膜過分極を促進するために使用することができる。加えて、光応答性カチオンチャネルタンパク質(たとえば、ChR2、SFOs、SSFOs、C1V1s)のチャネルロドプシンファミリーのメンバーは、光刺激に対する応答における神経細胞膜脱分極または脱分極誘導されたシナプスの枯渇を促進するために使用することができる。
【0034】
光応答性クロライドポンプ
いくつかの場合において、非ヒト動物モデルの神経細胞において発現される光応答性オプシンは、光応答性イオンポンプ(たとえば、光応答性クロライドポンプ)である。たとえば、光応答性クロライドポンプのハロロドプシンファミリーの1つまたは複数のメンバーは、神経細胞の原形質膜上に発現される。いくつかの態様において、1つまたは複数の光応答性クロライドポンプは、VTAにおけるニューロンの原形質膜上に発現される。その他の態様において、1つまたは複数の光応答性クロライドポンプは、mPFCにおけるニューロンの原形質膜上で発現される。
【0035】
いくつかの側面において、上述したニューロンの原形質膜上に発現される前記1つまたは複数の光応答性クロライドポンプタンパク質は、ナトロノモナス・ファラオニス(Natronomonas pharaonis)に由来することができる。いくつかの態様において、光応答性クロライドポンプタンパク質は、琥珀色光ならびに赤色光に応答することができ、光応答性クロライドポンプタンパク質が琥珀色光または赤色光で照射されるとき、神経細胞における過分極化電流を媒介することができる。光応答性クロライドポンプを活性化することができる光の波長は、約580〜630nmの間であることができる。いくつかの態様において、光は約589nmの波長であることができ、または光は約630nmより長い(たとえば約740nm未満)波長を有することができる。もう一つの態様において、光は、約630nmの波長を有する。いくつかの態様において、光の連続的なパルスに曝露されるときに、光応答性クロライドポンプタンパク質は少なくとも約90分間神経性膜を過分極化することができる。いくつかの態様において、光応答性クロライドポンプタンパク質は、配列番号:1に示した配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のアミノ酸配列を含むことができる。加えて、光応答性クロライドポンプタンパク質は、光に対する感受性を増大または減少させるために、光の特定の波長に対する感受性を増大または減少させるために、および/または光応答性タンパク質の能力を増大もしくは減少させて細胞の原形質膜の偏光状態を調節するために、天然のアミノ酸配列に導入された置換、欠失および/または挿入を含むことができる。いくつかの態様において、光応答性クロライドポンプタンパク質は、1つまたは複数の保存的アミノ酸置換を含む。いくつかの態様において、光応答性タンパク質は、1つまたは複数の非保存的アミノ酸置換を含む。天然のアミノ酸配列に導入された置換、欠失および/または挿入を含む光応答性タンパク質は、光に対する応答におけるニューロン細胞の原形質膜を過分極化する能力を適切に保持する。
【0036】
加えて、その他の側面において、光応答性クロライドポンプタンパク質は、配列番号:1に示した配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のコアアミノ酸配列および小胞体(ER)搬出シグナルを含むことができる。このER搬出シグナルは、コアアミノ酸配列のC末端に融合することができ、またはコアアミノ酸配列のN末端に融合することができる。いくつかの態様において、ER搬出シグナルは、リンカーによってコアアミノ酸配列に連結される。リンカーは、約5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400または500アミノ酸の長さのいずれでも含むことができる。リンカーは、蛍光タンパク質、たとえば限定されないが、黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質またはシアン蛍光タンパク質をさらに含んでもよい。いくつかの態様において、ER搬出シグナルは、アミノ酸配列FXYENE(配列番号:12)を含むことができ、式中、Xは、任意のアミノ酸であることができる。もう一つの態様において、ER搬出シグナルは、アミノ酸配列VXXSLを含むことができ、式中、Xは、任意のアミノ酸であることができる。いくつかの態様において、ER搬出シグナルは、アミノ酸配列FCYENEV(配列番号:13)を含むことができる。
【0037】
修飾されたオプシンに使用するために適している小胞体(ER)搬出配列は、たとえばVXXSL(式中、Xが任意のアミノ酸である)(たとえば、VKESL(配列番号:14)、VLGSL(配列番号:15)、その他);NANSFCYENEVALTSK(配列番号:16);FXYENE(配列番号:12;式中、Xは、任意のアミノ酸である)、たとえば、FCYENEV(配列番号:13);および同様のものを含む。ER搬出配列は、約5アミノ酸〜約25アミノ酸、たとえば、約5アミノ酸〜約10アミノ酸、約10アミノ酸〜約15アミノ酸、約15アミノ酸〜約20アミノ酸または約20アミノ酸〜約25アミノ酸の長さを有することができる。
【0038】
その他の側面において、本開示の非ヒト動物モデルにおけるニューロンにおいて発現される光応答性クロライドポンプタンパク質は、細胞膜上で発現される光応答性タンパク質を含むことができ、該タンパク質は、配列番号:1に示した配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のコアアミノ酸配列および輸送シグナル(たとえば、これは、光応答性クロライドポンプタンパク質の原形質膜への輸送を増強することができる)を含む。輸送シグナルは、コアアミノ酸配列のC末端に融合してもよく、またはコアアミノ酸配列のN末端に融合してもよい。いくつかの態様において、輸送シグナルは、リンカーによってコアアミノ酸配列に連結することができ、約5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400または500アミノ酸の長さのいずれでも含むことができる。リンカーは、蛍光タンパク質、たとえば、限定されないが、黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質またはシアン蛍光タンパク質をさらに含んでもよい。いくつかの態様において、輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1のアミノ酸配列に由来することができる。その他の態様において、輸送シグナルは、アミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号:17)を含むことができる。
【0039】
いくつかの側面において、光応答性クロライドポンプタンパク質は、配列番号:1に示した配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のコアアミノ酸配列並びにER搬出シグナル、シグナルペプチドおよび膜輸送シグナルからなる群より選択される哺乳動物細胞の原形質膜への輸送を増強する少なくとも1つの(1、2、3またはそれ以上などの)アミノ酸配列モチーフを含むことができる。いくつかの態様において、光応答性クロライドポンプタンパク質は、N末端シグナルペプチド、C末端ER搬出シグナルおよびC末端輸送シグナルを含む。いくつかの態様において、C末端ER搬出シグナルおよびC末端輸送シグナルは、リンカーによって連結されることができる。リンカーは、約5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400または500アミノ酸の長さのいずれでも含むことができる。また、リンカーは、蛍光タンパク質、たとえば、限定されないが、黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質またはシアン蛍光タンパク質をさらに含むことができる。いくつかの態様において、ER搬出シグナルは、輸送シグナルよりC末端に位置することができる。その他の態様において、輸送シグナルは、ER搬出シグナルよりC末端に位置される。いくつかの態様において、シグナルペプチドは、アミノ酸配列MTETLPPVTESAVALQAE(配列番号:18)を含む。もう一つの態様において、光応答性クロライドポンプタンパク質は、配列番号:2と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。
【0040】
その上、その他の側面において、光応答性クロライドポンプタンパク質は、配列番号:1に示した配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のコアアミノ酸配列を含むことができ、配列番号:1のN末端シグナルペプチドは、欠失するかまたは置換される。いくつかの態様において、その他のシグナルペプチド(その他のオプシンからのシグナルペプチドなど)を使用することができる。光応答性タンパク質は、本明細書において記述したER輸送シグナルおよび/または膜輸送シグナルをさらに含むことができる。いくつかの態様において、光応答性クロライドポンプタンパク質は、配列番号:3と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。
【0041】
いくつかの態様において、光応答性オプシンタンパク質は、配列番号:1に示した配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一のアミノ酸配列を含むNpHRオプシンタンパク質である。いくつかの態様において、NpHRオプシンタンパク質は、小胞体(ER)搬出シグナルおよび/または膜輸送シグナルをさらに含む。たとえば、NpHRオプシンタンパク質は、配列番号:1に示した配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列および小胞体(ER)搬出シグナルを含む。いくつかの態様において、配列番号:1に示した配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列は、リンカーを介してER搬出シグナルに連結される。いくつかの態様において、ER搬出シグナルは、アミノ酸配列FXYENE(配列番号:12)を含み、式中、Xは、任意のアミノ酸であることができる。もう一つの態様において、ER搬出シグナルは、アミノ酸配列VXXSLを含み、式中、Xは、任意のアミノ酸であることができる。いくつかの態様において、ER搬出シグナルは、アミノ酸配列FCYENEV(配列番号:13)を含む。いくつかの態様において、NpHRオプシンタンパク質は、配列番号:1に示した配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列、ER搬出シグナルおよび膜輸送シグナルを含む。その他の態様において、NpHRオプシンタンパク質は、N末端からC末端まで、配列番号:1に示した配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列、ER搬出シグナルおよび膜輸送シグナルを含む。その他の態様において、NpHRオプシンタンパク質は、N末端からC末端まで、配列番号:1に示した配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列、膜輸送シグナルおよびER搬出シグナルを含む。いくつかの態様において、膜輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1アミノ酸配列に由来する。いくつかの態様において、膜輸送シグナルは、アミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号:17)を含む。いくつかの態様において、膜輸送シグナルは、リンカーにより、配列番号:1に示した配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列に連結される。いくつかの態様において、膜輸送シグナルは、リンカーを介してER搬出シグナルに連結される。リンカーは、5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400または500アミノ酸の長さのいずれかを含んでもよい。リンカーは、蛍光タンパク質、たとえば、限定されないが、黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質またはシアン蛍光タンパク質をさらに含んでもよい。いくつかの態様において、光応答性オプシンタンパク質は、N末端シグナルペプチドをさらに含む。いくつかの態様において、光応答性オプシンタンパク質は、配列番号:2のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、光応答性オプシンタンパク質は、配列番号:3のアミノ酸配列を含む。
【0042】
いくつかの場合、配列番号:1に示した配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のコアアミノ酸配列、ER搬出シグナル、および膜輸送シグナルを含む光応答性タンパク質は、本開示の非ヒト動物モデルを作製するために使用することができる。
【0043】
光応答性クロライドポンプタンパク質に関連するさらなる開示は、米国特許出願公開第2009/0093403号および第2010/0145418号、並びに国際特許公開第2011/116238号において見いだすことができ、それぞれの開示はこれらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0044】
光応答性プロトンポンプ
いくつかの側面において、1つまたは複数の光応答性プロトンポンプは、本開示の非ヒト動物モデルにおけるニューロンの原形質膜上に発現される。いくつかの態様において、光応答性プロトンポンプタンパク質は、青色光に応答することができ、およびグィラルディア・セータ(Guillardia theta)に由来することができ、該プロトンポンプタンパク質は、細胞が青色光で照射されるときに、細胞における過分極化電流を媒介することを可能にすることができる。光は、約450〜約495nmの間の波長を有することができ、または約490nmの波長を有することができる。もう一つの態様において、光応答性プロトンポンプタンパク質は、配列番号:4に示した配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のアミノ酸配列を含むことができる。加えて、光応答性プロトンポンプタンパク質は、光に対する感受性を増大または減少させるために、光の特定の波長に対する感受性を増大もしくは減少させるために、および/または光応答性プロトンポンプタンパク質の能力を増大もしくは減少させて細胞の原形質膜の偏光状態を調節するために、天然のアミノ酸配列に導入された置換、欠失および/または挿入を含むことができる。加えて、光応答性プロトンポンプタンパク質は、1つまたは複数の保存的アミノ酸置換および/または1つまたは複数の非保存的アミノ酸置換を含むことができる。天然のアミノ酸配列に導入される置換、欠失および/または挿入を含む光応答性プロトンポンプタンパク質は、光に対する応答におけるニューロン細胞の原形質膜を過分極化する能力を適切に保持する。
【0045】
本明細書に開示した方法のその他の側面において、光応答性プロトンポンプタンパク質は、配列番号:4に示した配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のコアアミノ酸配列並びにシグナルペプチド、ER搬出シグナルおよび膜輸送シグナルからなる群より選択される哺乳動物細胞の原形質膜への輸送を増強する少なくとも1つの(1、2、3またはそれ以上などの)アミノ酸配列モチーフを含むことができる。いくつかの態様において、光応答性プロトンポンプタンパク質は、N末端シグナルペプチドおよびC末端ER搬出シグナルを含む。いくつかの態様において、光応答性プロトンポンプタンパク質は、N末端シグナルペプチドおよびC末端輸送シグナルを含む。いくつかの態様において、光応答性プロトンポンプタンパク質は、N末端シグナルペプチド、C末端ER搬出シグナルおよびC末端輸送シグナルを含む。いくつかの態様において、光応答性プロトンポンプタンパク質は、C末端ER搬出シグナルおよびC末端輸送シグナルを含む。いくつかの態様において、C末端ER搬出シグナルおよびC末端輸送シグナルは、リンカーによって連結される。リンカーは、約5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400または500アミノ酸の長さのいずれでも含むことができる。リンカーは、蛍光タンパク質、たとえば、限定されないが、黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質またはシアン蛍光タンパク質をさらに含んでもよい。いくつかの態様において、ER搬出シグナルは、輸送シグナルよりC末端に位置される。いくつかの態様において、輸送シグナルは、ER搬出シグナルよりC末端に位置される。
【0046】
光応答性プロトンポンプタンパク質に関連するさらなる開示は、国際特許出願第PCT/US2011/028893号において見いだすことができ、その開示はその全体が参照により本明細書に援用される。
【0047】
光応答性カチオンチャネルタンパク質
いくつかの側面において、1つまたは複数の光応答性カチオンチャネルは、本非ヒト動物モデルにおけるニューロンの原形質膜上に発現される。いくつかの側面において、光応答性カチオンチャネルタンパク質は、クラミドモナス・レインハーディ(Chlamydomonas reinhardtii)に由来することができ、該カチオンチャネルタンパク質は、細胞が光で照射されるときに、細胞における脱分極電流を媒介することを可能にすることができる。もう一つの態様において、光応答性カチオンチャネルタンパク質は、配列番号:5に示した配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のアミノ酸配列を含むことができる。クラミドモナス・レインハーディ(Chlamydomonas reinhardtii)に由来する光応答性カチオンチャネルタンパク質を活性化するために使用される光は、約460〜約495nmの間の波長を有することができ、または約480nmの波長を有することができる。加えて、光は、少なくとも約100Hzの強度を有することができる。いくつかの態様において、100Hzの強度を有する光によるクラミドモナス・レインハーディ(Chlamydomonas reinhardtii)に由来する光応答性カチオンチャネルの活性化は、光応答性カチオンチャネルを発現するニューロンの脱分極誘導されたシナプスの枯渇を生じさせることができる。加えて、光応答性カチオンチャネルタンパク質は、光に対する感受性を増大または減少させるために、光の特定の波長に対する感受性を増大もしくは減少させるために、および/または光応答性カチオンチャネルタンパク質の能力を増大もしくは減少させて細胞の原形質膜の偏光状態を調節するために、天然のアミノ酸配列に導入された置換、欠失および/または挿入を含むことができる。加えて、光応答性カチオンチャネルタンパク質は、1つまたは複数の保存的アミノ酸置換および/または1つまたは複数の非保存的アミノ酸置換を含むことができる。天然のアミノ酸配列に導入される置換、欠失および/または挿入を含む光応答性プロトンポンプタンパク質は、光に対する応答におけるニューロン細胞の原形質膜を脱分極する能力を適切に保持する。
【0048】
光応答性カチオンチャネルタンパク質に関連するさらなる開示は、米国特許出願公開第2007/0054319号並びに国際特許出願公開第2009/131837号および第WO 2007/024391号において見いだすことができ、それぞれの開示はこれらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0049】
階段関数オプシンおよび安定化階段関数オプシン
いくつかの場合において、光応答性カチオンチャネルタンパク質は、タンパク質の網膜結合ポケットの全体にわたる重要な位置にて特異的アミノ酸置換を有することができる階段関数オプシン(SFO)タンパク質または安定化階段関数オプシン(SSFO)タンパク質であることができる。いくつかの態様において、SFOタンパク質は、配列番号:5のアミノ酸残基C128に変異を有することができる。その他の態様において、SFOタンパク質は、配列番号:5にC128A変異を有する。その他の態様において、SFOタンパク質は、配列番号:5にC128S変異を有する。もう一つの態様において、SFOタンパク質は、配列番号:5にC128T変異を有する。いくつかの態様において、SFOタンパク質は、配列番号:6に示した配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のアミノ酸配列を含むことができる。
【0050】
いくつかの態様において、SSFOタンパク質は、配列番号:5のアミノ酸残基D156にて変異を有することができる。その他の態様において、SSFOタンパク質は、配列番号:5のアミノ酸残基C128およびD156の両方にて変異を有することができる。一つの態様において、SSFOタンパク質は、配列番号:5にC128SおよびD156A変異を有する。もう一つの態様において、SSFOタンパク質は、配列番号:7に示した配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のアミノ酸配列を含むことができる。
【0051】
いくつかの態様において、細胞が青色光で照射されるときに、SFOまたはSSFOタンパク質は細胞における脱分極電流を媒介することができる。その他の態様において、光は、約445nmの波長を有することができる。加えて、光は、約100Hzの強度を有することができる。いくつかの態様において、100Hzの強度を有する光によるSFOまたはSSFOタンパク質の活性化は、SFOまたはSSFOタンパク質を発現するニューロンの脱分極誘導されたシナプスの枯渇を生じさせることができる。いくつかの態様において、開示された階段関数オプシンおよび安定化された階段関数オプシンタンパク質の各々は、光に対する応答におけるニューロン細胞の膜を脱分極する際に使用するための特異的な特性および特徴を有することができる。
【0052】
SFOまたはSSFOタンパク質に関連するさらなる開示は、国際特許出願公開第2010/056970号並びに米国仮特許出願第61/410704号および第61/511905号において見いだすことができ、それぞれの開示は、これらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0053】
C1V1キメラカチオンチャネル
いくつかの場合において、光応答性カチオンチャネルタンパク質は、ボルボックス・カルテリ(Volvox carteri)のVChR1タンパク質およびクラミドモナス・レインハーディ(Chlamydomonas reinhardti)からのChR1タンパク質に由来するC1V1キメラタンパク質であることができ、該タンパク質は、少なくともChR1の第1および第2の膜貫通ヘリックスによって置換される第1および第2の膜貫通ヘリックスを有するVChR1アミノ酸配列を含み、光に応答し、細胞が光で照射されるときに細胞における脱分極電流を媒介することができる。いくつかの態様において、C1V1タンパク質は、光応答性キメラタンパク質の第2と第3の膜貫通ヘリックスの間に位置される細胞内ループドメイン内に置換をさらに含むことができ、該細胞内ループドメインの少なくとも一部は、ChR1からの対応する部分によって置換される。もう一つの態様において、C1V1キメラタンパク質の細胞内ループドメインの部分は、ChR1のアミノ酸残基A145に拡張するChR1からの対応する部分で置換することができる。その他の態様において、C1V1キメラタンパク質は、光応答性キメラタンパク質の第3の膜貫通へリックス内に置換をさらに含むことができ、第3の膜貫通へリックスの少なくとも部分は、ChR1の対応する配列によって置換される。さらにもう一つの態様において、C1V1キメラタンパク質の細胞内ループドメインの部分は、ChR1のアミノ酸残基W163に拡張するChR1からの対応する部分で置換することができる。その他の態様において、C1V1キメラタンパク質は、配列番号:8に示した配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のアミノ酸配列を含むことができる。
【0054】
いくつかの態様において、細胞が緑色光で照射されるときに、C1V1タンパク質は細胞における脱分極電流を媒介することができる。その他の態様において、光は、約540nm〜約560nmの間の波長を有することができる。いくつかの態様において、光は、約542nmの波長を有することができる。いくつかの態様において、細胞が青紫色の光で照射されるときに、C1V1キメラタンパク質は、細胞における脱分極電流を媒介することができない。いくつかの態様において、細胞が約405nmの波長を有する光で照射されるときに、キメラタンパク質は、細胞における脱分極電流を媒介することができない。加えて、光は、約100Hzの強度を有することができる。いくつかの態様において、100Hzの強度を有する光によるC1V1キメラタンパク質の活性化は、C1V1キメラタンパク質を発現するニューロンの脱分極誘導されたシナプスの枯渇を生じさせることができる。いくつかの態様において、開示されたC1V1キメラタンパク質は、光に対する応答におけるニューロン細胞の膜を脱分極する際に使用するための特異的な特性および特徴を有し得る。
【0055】
C1V1キメラ突然変異体変異体
使用に適切ないくつかの光応答性オプシンは、置換または変異されたアミノ酸配列を含むことができ、該変異体ポリペプチドは、前駆体C1V1キメラポリペプチドの特徴的な光応答性の性質を保持するが、またいくつかの特異的側面における変化された特性を有してもよい。たとえば、光応答性C1V1キメラタンパク質変異体は、動物細胞内または動物細胞原形質膜上の両方で増加した発現レベル;光、特に赤色光の異なる波長に曝露されたときの変化された応答性;および/または形質の組み合わせを示すことができ、それによって、C1V1キメラポリペプチドが、低減感作、速い非活性化、その他の光応答性カチオンチャネルとの最小のクロス−活性化のための低青紫光活性化および/または動物細胞における強力な発現の特性を有する。
【0056】
たとえば、キメラポリペプチドのVChR1部分の網膜結合ポケットの全体にわたる重要な位置にて特異的アミノ酸置換を有することができるC1V1キメラ光応答性オプシンタンパク質は、使用に適している。いくつかの態様において、C1V1タンパク質は、配列番号:7のアミノ酸残基E122にて変異を有することができる。いくつかの態様において、C1V1タンパク質は、配列番号:7のアミノ酸残基E162にて変異を有することができる。その他の態様において、C1V1タンパク質は、配列番号:7のアミノ酸残基E162およびE122の両方にて変異を有することができる。その他の態様において、C1V1タンパク質は、配列番号:9、配列番号:10または配列番号:11に示した配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のアミノ酸配列を含むことができる。いくつかの態様において、各々の開示された変異体C1V1キメラタンパク質は、光に対する応答における動物細胞の膜を脱分極する際に使用するための特異的な特性および特徴を有することができる。
【0057】
いくつかの側面において、細胞が光で照射されるときに、C1V1−E122変異体キメラタンパク質は細胞における脱分極電流を媒介することができる。いくつかの態様において、光は、緑色光であることができる。その他の態様において、光は、約540nm〜約560nmの間の波長を有することができる。いくつかの態様において、光は、約546nmの波長を有することができる。その他の態様において、細胞が赤色光で照射されるときに、C1V1−E122変異体キメラタンパク質は細胞における脱分極電流を媒介することができる。いくつかの態様において、赤色光は、約630nmの波長を有することができる。いくつかの態様において、細胞が青紫色の光で照射されるときに、C1V1−E122変異体キメラタンパク質は細胞における脱分極電流を媒介しない。いくつかの態様において、細胞が約405nmの波長を有する光で照射されるときに、キメラタンパク質は細胞における脱分極電流を媒介しない。加えて、光は、約100Hzの強度を有することができる。いくつかの態様において、100Hzの強度を有する光によるC1V1−E122変異体キメラタンパク質の活性化は、C1V1−E122変異体キメラタンパク質を発現するニューロンの脱分極誘導されたシナプスの枯渇を生じさせることができる。いくつかの態様において、開示されたC1V1−E122変異体キメラタンパク質は、光に対する応答におけるニューロン細胞の膜を脱分極する際に使用するための特異的な特性および特徴を有することができる。
【0058】
その他の側面において、細胞が光で照射されるときに、C1V1−E162変異体キメラタンパク質は細胞における脱分極電流を媒介することができる。いくつかの態様において、光は、緑色光であることができる。その他の態様において、光は、約540nm〜約535nmの間の波長を有することができる。いくつかの態様において、光は、約542nmの波長を有することができる。その他の態様において、光は、約530nmの波長を有することができる。いくつかの態様において、細胞が青紫色の光で照射されるときに、C1V1−E162変異体キメラタンパク質は細胞における脱分極電流を媒介しない。いくつかの態様において、細胞が約405nmの波長を有する光で照射されるときに、キメラタンパク質は細胞における脱分極電流を媒介しない。加えて、光は、約100Hzの強度を有することができる。いくつかの態様において、100Hzの強度を有する光によるC1V1−E162変異体キメラタンパク質の活性化は、C1V1−E162変異体キメラタンパク質を発現するニューロンの脱分極誘導されたシナプスの枯渇を生じさせることができる。いくつかの態様において、開示されたC1V1−E162変異体キメラタンパク質は、光に対する応答におけるニューロン細胞の膜を脱分極する際に使用するための特異的な特性および特徴を有することができる。
【0059】
さらに他の側面において、細胞が光で照射されるときに、C1V1−E122/E162変異体キメラタンパク質は細胞における脱分極電流を媒介することができる。いくつかの態様において、光は、緑色光であることができる。その他の態様において、光は、約540nm〜約560nmの間の波長を有することができる。いくつかの態様において、光は、約546nmの波長を有することができる。いくつかの態様において、細胞が青紫色の光で照射されるときに、C1V1−E122/E162変異体キメラタンパク質は細胞における脱分極電流を媒介しない。いくつかの態様において、細胞が約405nmの波長を有する光で照射されるときに、キメラタンパク質は細胞における脱分極電流を媒介しない。いくつかの態様において、C1V1−E122/E162変異体キメラタンパク質は、E122/E162の変異が欠如したC1V1キメラタンパク質に対して、またはその他の光応答性カチオンチャネルタンパク質に対して、青紫色の光に曝露されたときに、より少ない活性化を示すことができる。加えて、光は、約100Hzの強度を有することができる。いくつかの態様において、100Hzの強度を有する光によるC1V1−E122/E162変異体キメラタンパク質の活性化は、C1V1−E122/E162変異体キメラタンパク質を発現するニューロンの脱分極誘導されたシナプスの枯渇を生じさせることができる。いくつかの態様において、開示されたC1V1−E122/E162変異体キメラタンパク質は、光に対する応答におけるニューロン細胞の膜を脱分極する際に使用するための特異的な特性および特徴を有することができる。
【0060】
C1V1キメラカチオンチャネル並びにその変異体変異体に関するさらなる開示は、米国仮特許出願第61/410736号、第61/410744号および第61/511912号において見いだすことができ、それぞれの開示は、これらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0061】
配列
シグナルペプチドのないNpHRのアミノ酸配列:
【0062】
VTQRELFEFVLNDPLLASSLYINIALAGLSILLFVFMTRGLDDPRAKLIAVSTILVPVVSIASYTGLASGLTISVLEMPAGHFAEGSSVMLGGEEVDGVVTMWGRYLTWALSTPMILLALGLLAGSNATKLFTAITFDIAMCVTGLAAALTTSSHLMRWFWYAISCACFLVVLYILLVEWAQDAKAAGTADMFNTLKLLTVVMWLGYPIVWALGVEGIAVLPVGVTSWGYSFLDIVAKYIFAFLLLNYLTSNESVVSGSILDVPSASGTPADD(配列番号:1)
【0063】
eYFP−NpHR3.0アミノ酸配列:
【0064】
MTETLPPVTESAVALQAEVTQRELFEFVLNDPLLASSLYINIALAGLSILLFVFMTRGLDDPRAKLIAVSTILVPVVSIASYTGLASGLTISVLEMPAGHFAEGSSVMLGGEEVDGVVTMWGRYLTWALSTPMILLALGLLAGSNATKLFTAITFDIAMCVTGLAAALTTSSHLMRWFWYAISCACFLVVLYILLVEWAQDAKAAGTADMFNTLKLLTVVMWLGYPIVWALGVEGIAVLPVGVTSWGYSFLDIVAKYIFAFLLLNYLTSNESVVSGSILDVPSASGTPADDAAAKSRITSEGEYIPLDQIDINVVSKGEELFTGVVPILVELDGDVNGHKFSVSGEGEGDATYGKLTLKFICTTGKLPVPWPTLVTTFGYGLQCFARYPDHMKQHDFFKSAMPEGYVQERTIFFKDDGNYKTRAEVKFEGDTLVNRIELKGIDFKEDGNILGHKLEYNYNSHNVYIMADKQKNGIKVNFKIRHNIEDGSVQLADHYQQNTPIGDGPVLLPDNHYLSYQSALSKDPNEKRDHMVLLEFVTAAGITLGMDELYKFCYENEV(配列番号:2)
【0065】
eYFP−NpHR3.1アミノ酸配列:
【0066】
MVTQRELFEFVLNDPLLASSLYINIALAGLSILLFVFMTRGLDDPRAKLIAVSTILVPVVSIASYTGLASGLTISVLEMPAGHFAEGSSVMLGGEEVDGVVTMWGRYLTWALSTPMILLALGLLAGSNATKLFTAITFDIAMCVTGLAAALTTSSHLMRWFWYAISCACFLVVLYILLVEWAQDAKAAGTADMFNTLKLLTVVMWLGYPIVWALGVEGIAVLPVGVTSWGYSFLDIVAKYIFAFLLLNYLTSNESVVSGSILDVPSASGTPADDAAAKSRITSEGEYIPLDQIDINVVSKGEELFTGVVPILVELDGDVNGHKFSVSGEGEGDATYGKLTLKFICTTGKLPVPWPTLVTTFGYGLQCFARYPDHMKQHDFFKSAMPEGYVQERTIFFKDDGNYKTRAEVKFEGDTLVNRIELKGIDFKEDGNILGHKLEYNYNSHNVYIMADKQKNGIKVNFKIRHNIEDGSVQLADHYQQNTPIGDGPVLLPDNHYLSYQSALSKDPNEKRDHMVLLEFVTAAGITLGMDELYKFCYENEV(配列番号:3)
【0067】
GtR3アミノ酸配列:
【0068】
ASSFGKALLEFVFIVFACITLLLGINAAKSKAASRVLFPATFVTGIASIAYFSMASGGGWVIAPDCRQLFVARYL DWLITTPLLLIDLGLVAGVSRWDIMALCLSDVLMIATGAFGSLTVGNVKWVWWFFGMCWFLHIIFALGKSWAEAAKAKGGDSASVYSKIAGITVITWFCYPVVWVFAEGFGNFSVTFEVLIYGVLDVISKAVFGLILMSGAATGYESI(配列番号:4)
【0069】
ChR2アミノ酸配列:
【0070】
MDYGGALSAVGRELLFVTNPVVVNGSVLVPEDQCYCAGWIESRGTNGAQTASNVLQWLAAGFSILLLMFYAYQTWKSTCGWEEIYVCAIEMVKVILEFFFEFKNPSMLYLATGHRVQWLRYAEWLLTCPVILIHLSNLTGLSNDYSRRTMGLLVSDIGTIVWGATSAMATGYVKVIFFCLGLCYGANTFFHAAKAYIEGYHTVPKGRCRQVVTGMAWLFFVSWGMFPILFILGPEGFGVLSVYGSTVGHTIIDLMSKNCWGLLGHYLRVLIHEHILIHGDIRKTTKLNIGGTEIEVETLVEDEAEAGAVP(配列番号:5)
【0071】
SFOのアミノ酸配列:
【0072】
MDYGGALSAVGRELLFVTNPVVVNGSVLVPEDQCYCAGWIESRGTNGAQTASNVLQWLAAGFSILLLMFYAYQTWKSTCGWEEIYVCAIEMVKVILEFFFEFKNPSMLYLATGHRVQWLRYAEWLLTSPVILIHLSNLTGLSNDYSRRTMGLLVSDIGTIVWGATSAMATGYVKVIFFCLGLCYGANTFFHAAKAYIEGYHTVPKGRCRQVVTGMAWLFFVSWGMFPILFILGPEGFGVLSVYGSTVGHTIIDLMSKNCWGLLGHYLRVLIHEHILIHGDIRKTTKLNIGGTEIEVETLVEDEAEAGAVP(配列番号:6)
【0073】
SSFOのアミノ酸配列:
【0074】
MDYGGALSAVGRELLFVTNPVVVNGSVLVPEDQCYCAGWIESRGTNGAQTASNVLQWLAAGFSILLLMFYAYQTWKSTCGWEEIYVCAIEMVKVILEFFFEFKNPSMLYLATGHRVQWLRYAEWLLTSPVILIHLSNLTGLSNDYSRRTMGLLVSAIGTIVWGATSAMATGYVKVIFFCLGLCYGANTFFHAAKAYIEGYHTVPKGRCRQVVTGMAWLFFVSWGMFPILFILGPEGFGVLSVYGSTVGHTIIDLMSKNCWGLLGHYLRVLIHEHILIHGDIRKTTKLNIGGTEIEVETLVEDEAEAGAVP(配列番号:7)
【0075】
C1V1アミノ酸配列:
【0076】
MSRRPWLLALALAVALAAGSAGASTGSDATVPVATQDGPDYVFHRAHERMLFQTSYTLENNGSVICIPNNGQCFCLAWLKSNGTNAEKLAANILQWITFALSALCLMFYGYQTWKSTCGWEEIYVATIEMIKFIIEYFHEFDEPAVIYSSNGNKTVWLRYAEWLLTCPVLLIHLSNLTGLKDDYSKRTMGLLVSDVGCIVWGATSAMCTGWTKILFFLISLSYGMYTYFHAAKVYIEAFHTVPKGICRELVRVMAWTFFVAWGMFPVLFLLGTEGFGHISPYGSAIGHSILDLIAKNMWGVLGNYLRVKIHEHILLYGDIRKKQKITIAGQEMEVETLVAEEED(配列番号:8)
【0077】
C1V1(E122T)のアミノ酸配列:
【0078】
MSRRPWLLALALAVALAAGSAGASTGSDATVPVATQDGPDYVFHRAHERMLFQTSYTLENNGSVICIPNNGQCFCLAWLKSNGTNAEKLAANILQWITFALSALCLMFYGYQTWKSTCGWETIYVATIEMIKFIIEYFHEFDEPAVIYSSNGNKTVWLRYAEWLLTCPVLLIHLSNLTGLKDDYSKRTMGLLVSDVGCIVWGATSAMCTGWTKILFFLISLSYGMYTYFHAAKVYIEAFHTVPKGICRELVRVMAWTFFVAWGMFPVLFLLGTEGFGHISPYGSAIGHSILDLIAKNMWGVLGNYLRVKIHEHILLYGDIRKKQKITIAGQEMEVETLVAEEED(配列番号:9)
【0079】
C1V1(E162T)のアミノ酸配列:
【0080】
MSRRPWLLALALAVALAAGSAGASTGSDATVPVATQDGPDYVFHRAHERMLFQTSYTLENNGSVICIPNNGQCFCLAWLKSNGTNAEKLAANILQWITFALSALCLMFYGYQTWKSTCGWEEIYVATIEMIKFIIEYFHEFDEPAVIYSSNGNKTVWLRYATWLLTCPVLLIHLSNLTGLKDDYSKRTMGLLVSDVGCIVWGATSAMCTGWTKILFFLISLSYGMYTYFHAAKVYIEAFHTVPKGICRELVRVMAWTFFVAWGMFPVLFLLGTEGFGHISPYGSAIGHSILDLIAKNMWGVLGNYLRVKIHEHILLYGDIRKKQKITIAGQEMEVETLVAEEED(配列番号:10)
【0081】
C1V1(E122T/E162T)のアミノ酸配列:
【0082】
MSRRPWLLALALAVALAAGSAGASTGSDATVPVATQDGPDYVFHRAHERMLFQTSYTLENNGSVICIPNNGQCFCLAWLKSNGTNAEKLAANILQWITFALSALCLMFYGYQTWKSTCGWETIYVATIEMIKFIIEYFHEFDEPAVIYSSNGNKTVWLRYATWLLTCPVLLIHLSNLTGLKDDYSKRTMGLLVSDVGCIVWGATSAMCTGWTKILFFLISLSYGMYTYFHAAKVYIEAFHTVPKGICRELVRVMAWTFFVAWGMFPVLFLLGTEGFGHISPYGSAIGHSILDLIAKNMWGVLGNYLRVKIHEHILLYGDIRKKQKITIAGQEMEVETLVAEEED(配列番号:11)
【0083】
修飾
光応答性オプシンは、種々の修飾、たとえば哺乳動物細胞の原形質膜への輸送を増強する1つまたは複数のアミノ酸配列モチーフの付加を含むことができる。進化的により単純な生物に由来する成分を有する光応答性オプシンタンパク質は、哺乳動物細胞によって発現されなくてもよく、もしくは許容されなくてもよく、または哺乳動物細胞において高レベルにて発現されるときに損なわれた細胞内局在を示してもよい。結果的に、いくつかの態様において、細胞において発現される光応答性オプシンタンパク質は、シグナルペプチド、小胞体(ER)搬出シグナル、膜輸送シグナルおよび/またはN末端ゴルジ搬出シグナルからなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸配列モチーフに融合することができる。哺乳動物細胞の原形質膜への光応答性タンパク質輸送を増強する1つまたは複数のアミノ酸配列モチーフは、光応答性タンパク質のN末端、C末端またはN末端およびC末端の両方に融合することができる。任意に、光応答性タンパク質および1つまたは複数のアミノ酸配列モチーフは、リンカーによって分離されてもよい。いくつかの態様において、光応答性タンパク質は、細胞原形質膜へのタンパク質の輸送を増強する輸送シグナル(ts)の添加によって修飾されることができる。いくつかの態様において、輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1アミノ酸配列に由来することができる。その他の態様において、輸送シグナルは、アミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号:17)を含むことができる。
【0084】
使用に適している輸送配列は、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1(たとえば、KSRITSEGEYIPLDQIDINV;配列番号:17)のような輸送配列のアミノ酸配列と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0085】
輸送配列は、約10アミノ酸〜約50アミノ酸、たとえば、約10アミノ酸〜約20アミノ酸、約20アミノ酸〜約30アミノ酸、約30アミノ酸〜約40アミノ酸または約40アミノ酸〜約50アミノ酸の長さを有することができる。
【0086】
使用に適切なシグナル配列は、以下の1つなどのアミノ酸配列と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0087】
1)hChR2のシグナルペプチド(たとえば、MDYGGALSAVGRELLFVTNPVVVNGS;配列番号:19);
【0088】
2)ニューロンニコチンアセチルコリン受容体のβ2サブユニットシグナルペプチド(たとえば、MAGHSNSMALFSFSLLWLCSGVLGTEF;配列番号:20);
【0089】
3)ニコチンアセチルコリン受容体シグナル配列(たとえば、MGLRALMLWLLAAAGLVRESLQG;配列番号:21);および
【0090】
4)ニコチンアセチルコリン受容体シグナル配列(たとえば、MRGTPLLLVVSLFSLLQD;配列番号:22)。
【0091】
シグナル配列は、約10アミノ酸〜約50アミノ酸、たとえば、約10アミノ酸〜約20アミノ酸、約20アミノ酸〜約30アミノ酸、約30アミノ酸〜約40アミノ酸または約40アミノ酸〜約50アミノ酸の長さを有することができる。
【0092】
本開示の修飾されたオプシンにおける使用に適した小胞体(ER)搬出配列は、たとえばVXXSL(式中、Xが任意のアミノ酸である)(たとえば、VKESL(配列番号:14)、VLGSL(配列番号:15)、その他);NANSFCYENEVALTSK(配列番号:16);FXYENE(配列番号:12)式中、Xが任意のアミノ酸である)、たとえば、FCYENEV(配列番号:13);および同様のものを含む。ER搬出配列は、約5アミノ酸〜約25アミノ酸、たとえば、約5アミノ酸〜約10アミノ酸、約10アミノ酸〜約15アミノ酸、約15アミノ酸〜約20アミノ酸または約20アミノ酸〜約25アミノ酸の長さを有することができる。
【0093】
細胞の原形質膜への光応答性のタンパク質輸送を増強することができるさらなるタンパク質モチーフは、米国特許出願第12/041628号において記述され、これはその全体が参照により本明細書に援用される。いくつかの態様において、タンパク質におけるシグナルペプチド配列は、欠失することができ、または異なるタンパク質からのシグナルペプチド配列で置換することができる。
【0094】
融合
いくつかの場合において、光活性化されたオプシンは、融合タンパク質であり、たとえば光活性化されたオプシンは、たとえば光活性化されたオプシンに対してアミノ末端に、および/またはカルボキシル末端に、および/または内部に、異種のアミノ酸(たとえば、融合パートナー)を含む。たとえば、融合タンパク質は、光活性化されたオプシンおよび融合パートナーを含むことができ、適切な融合パートナーは、酵素、蛍光タンパク質、エピトープタグおよび同様のものを含む。
【0095】
対象抗体に連結することができる適切な蛍光タンパク質は、たとえば米国特許第6,066,476号;第6,020,192号;第5,985,577号;第5,976,796号;第5,968,750号;第5,968,738号;第5,958,713号;第5,919,445号;第5,874,304号;に記載されるように、エクオリア・ヴィクトリア(Aequoria victoria)からの緑色蛍光タンパク質(GFP)またはその変異体もしくは誘導体、増強されたGFP、たとえばClontech、Inc.から商業的に入手できる多くのこのようなGFP;赤色蛍光タンパク質;黄色蛍光タンパク質(YFP);たとえばMatz et al.(1999)Nature Biotechnol. 17:969-973に記載されるような、花虫類種からの任意の多様な蛍光および着色タンパク質;mCherry;増強されたGFP、増強されたYFP;および同様のものを含むが、限定されない。
【0096】
核酸
光応答性タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを使用して、本非ヒト動物モデルを産生することができる。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、発現カセットを含む。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、上記の核酸を含むベクターである。いくつかの態様において、光応答性オプシンをコードする核酸は、プロモーターに作動可能に連結される。プロモーターは、当該技術分野において周知である。宿主細胞において機能する任意のプロモーターは、光応答性オプシンタンパク質および/またはその任意の変異体の発現のために使用することができる。一つの態様において、光応答性オプシンタンパク質の発現を駆動するために使用されるプロモーターは、ドーパミン作動性ニューロンに対し特異的なプロモーターであることができる。その他の態様において、プロモーターは、興奮性ニューロンにおける光応答性オプシンタンパク質の発現を駆動することができる。開始制御領域またはプロモーターは、特異的な動物細胞において光応答性オプシンタンパク質またはその変異体の発現を駆動するために有用であり、非常に多く、および当業者によく知られている。実質的に、これらの核酸を駆動することができる任意のプロモーターを使用することができる。
【0097】
ニューロン特異的なプロモーターおよびその他の制御エレメント(たとえば、エンハンサー)は、当該技術分野において公知である。適切なニューロン特異的な制御配列は、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)プロモーター(たとえば、EMBL HSENO2、X51956を参照されたい);芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)プロモーター;ニューロフィラメントプロモーター(たとえば、GenBank HUMNFL、L04147を参照されたい);シナプシンプロモーター(たとえば、GenBank HUMSYNIB、M55301を参照されたい);thy−1プロモーター(たとえば、Chen et al.(1987)Cell 51:7-19;およびLlewellyn、et al.(2010)Nat Med. 16(10):1161-1166を参照されたい);セロトニン受容体プロモーター(たとえば、GenBank S62283を参照されたい);チロシン水酸化酵素プロモーター(TH)(たとえば、Oh et al.(2009)Gene Ther 16:437;Sasaoka et al.(1992)Mol. Brain Res. 16:274;Boundy et al.(1998)J. Neurosci. 18:9989;およびKaneda et al.(1991)Neuron 6:583-594を参照されたい);GnRHプロモーター(たとえば、Radovick et al.(1991)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:3402-3406を参照されたい);L7プロモーター(たとえば、Oberdick et al.(1990)Science 248:223-226を参照されたい);DNMTプロモーター(たとえば、Bartge et al.(1988)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:3648-3652を参照されたい);エンケファリンプロモーター(たとえば、Comb et al.(1988)EMBO J. 17:3793-3805を参照されたい);ミエリン塩基性タンパク質(MBP)プロモーター;Ca2+−カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII−アルファ(CamKIIα)プロモーター(たとえば、Mayford et al.(1996)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:13250;およびCasanova et al.(2001)Genesis 31:37を参照されたい);およびCMVエンハンサー/血小板由来成長因子−βプロモーター(たとえば、Liu et al.(2004)Gene Therapy 11:52-60を参照されたい)を含むが、限定されない。
【0098】
いくつかの態様において、光応答性タンパク質の発現を駆動するために使用されるプロモーターは、Thy1プロモーターであることができ、これは、ニューロンにおける導入遺伝子の強い発現を駆動することができる、(たとえば、Llewellyn et al.(2010)Nat. Med. 16(10):1161-1166を参照されたい)。その他の態様において、光応答性タンパク質の発現を駆動するために使用されるプロモーターは、EF1αプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、CAGプロモーター、シナプシンプロモーター、または哺乳動物のニューロンにおける光応答性オプシンタンパク質の発現を駆動できる任意のその他の遍在性のプロモーターであることができる。
【0099】
いくつかの場合において、核酸は、導入遺伝子(たとえば、本明細書において記述される光応答性タンパク質またはその任意の変異体をコードするヌクレオチド配列)を含む発現ベクターである。投与することができるベクターは、ベクターのポリヌクレオチドから転写されるときに、標的動物細胞の原形質膜上に光応答性オプシンタンパク質の蓄積を生じるだろうRNA(たとえば、mRNA)をコードするヌクレオチド配列を含むベクターを含む。使用してもよいベクターは、レンチウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス(AAV)のベクターを含むが、限定されない。レンチウイルスは、HIV−1、HIV−2、SIV、FIVおよびEIAVを含むが、限定されない。レンチウイルスは、限定されないがVSV、狂犬病、Mo−MLV、バキュロウイルスおよびエボラを含むその他のウイルスの外膜タンパクで偽型化してもよい。このようなベクターは、当該技術における標準的な方法を使用して調製してもよい。
【0100】
いくつかの態様において、ベクターは、組換えAAVベクターである。AAVベクターは、これらが感染する細胞のゲノムに、安定に、および部位特異的様式において組み込むことができる相対的に小さなサイズのDNAウイルスである。これらは、細胞の成長、形態または分化に任意の効果を誘導せずに広範囲の細胞に感染することができ、およびヒト病理に関わるように見えない。AAVゲノムは、クローン化され、シーケンスされ、および特徴づけられている。これは、およそ4700塩基を包含し、および各末端におよそ145塩基の逆位末端配列(ITR)領域を含有し、これはウイルスのために複製開始点として役立つ。ゲノムの残りは、キャプシド形成機能を保持する2つの必須領域、つまりウイルス複製およびウイルス遺伝子の発現に関わるrep遺伝子を含有するゲノムの左側部分と、ウイルスのキャプシドタンパク質をコードするcap遺伝子を含有するゲノムの右側部分に分けられる。
【0101】
AAVベクターは、当該技術における標準的な方法を使用して調製してもよい。任意の抗原型のアデノ随伴ウイルスは、適している(たとえば、Blacklow, pp. 165-174 of “Parvoviruses and Human Disease" J. R. Pattison, ed.(1988);Rose, Comprehensive Virology 3:1, 1974;P. Tattersall “The Evolution of Parvovirus Taxonomy" In Parvoviruses(JR Kerr, SF Cotmore. ME Bloom, RM Linden, CR Parrish, Eds.)p5-14, Hudder Arnold, London, UK(2006);およびDE Bowles, JE Rabinowitz, RJ Samulski “The Genus Dependovirus"(JR Kerr, SF Cotmore. ME Bloom, RM Linden, CR Parrish, Eds. )p15-23, Hudder Arnold, London, UK(2006)を参照されたい、これらのそれぞれの開示はこれによってこれらの全体が参照により本明細書に援用される)。たとえば、ベクターのために精製するための方法は、米国特許第6,566,118号、第6,989,264号および第6,995,006号、並びに“Methods for Generating High Titer Helper-free Preparation of Recombinant AAV Vectors"の表題の国際公開公報第1999/011764号において見いだされ得るし、これらの開示はこれらの全体が参照により本明細書に援用される。たとえば、ハイブリッドベクターの調製は、PCT出願番号第PCT/US2005/027091号において記述され、その開示はその全体が参照により本明細書に援用される。
【0102】
インビトロおよびインビボで遺伝子を導入するためのAAVに由来するベクターの使用は、記述された(たとえば、国際特許出願公開第91/18088号および第 93/09239号;米国特許第4,797,368号、第6,596,535号および第5,139,941号;および欧州特許第0488528号を参照されたい、これらの全てがこれによってこれらの全体が参照により本明細書に援用される)。これらの刊行物は、repおよび/またはcap遺伝子が欠失し、および所定の遺伝子によって置換される種々のAAV由来構築物、並びにインビトロで(培養細胞へ)またはインビボで(直接生物へ)所定の遺伝子を移すためのこれらの構築物の使用を記述する。本発明に従った複製欠陥のある組換えAAVは、ヒトヘルパーウイルス(たとえばアデノウイルス)で感染される株化細胞に、2つのAAV逆位末端配列(ITR)領域によって隣接された所定の核酸配列を含有するプラスミドおよびAAVキャプシド形成遺伝子(repおよびcap遺伝子)を保持するプラスミドを同時トランスフェクトすることによって調製することができる。次いで、作製されるAAV組換え体を標準的な技術によって精製する。
【0103】
いくつかの態様において、本非ヒト動物モデルを作製する際に使用するためのベクターは、ウイルス粒子(たとえば限定されないがAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5,AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15およびAAV16を含むAAVウイルス粒子)にキャプシド形成される。このような粒子を作製する方法は当該技術分野において公知であり、および米国特許第6,596,535号において記述され、その開示はその全体が参照により本明細書に援用される。
【0104】
光応答性オプシンタンパク質の送達
いくつかの側面において、本明細書に開示した光応答性オプシンタンパク質をコードするポリヌクレオチド(たとえば、AAVベクター)は、所定のニューロン(たとえば、中脳腹側被蓋野(VTA)のドーパミン作動性ニューロン;内側前頭葉前部皮質(mPFC)の興奮性(グルタミン酸作動性)ニューロン)に、針、カテーテルまたは関連装置で、当該技術分野において公知の神経外科的技術を使用して、定位的注射(たとえば、Stein et al., J. Virol、73:34243429、1999;Davidson et al., PNAS、97:3428-3432、2000;Davidson et al., Nat. Genet. 3:219-223, 1993;および、AliskyおよびDavidson、Hum. Gene Ther. 11:2315-2329、2000を参照されたい、これらのそれぞれの内容は、これらの全体がこれによって参照により本明細書に援用される)または蛍光透視などによって、直接送達される。いくつかの態様において、本明細書に開示した光応答性オプシンタンパク質をコードするポリヌクレオチド(たとえば、AAV1ベクター)は、VTAのドーパミン作動性ニューロンに送達することができる。その他の態様において、本明細書に開示した光応答性オプシンタンパク質をコードするポリヌクレオチド(たとえば、AAVベクター)は、mPFCの興奮性(グルタミン酸作動性)ニューロンに送達することができる。
【0105】
いくつかの側面において、本明細書に開示した光応答性オプシンタンパク質をコードするポリヌクレオチド(たとえば、AAVベクター)は、所定のニューロンに、針、カテーテルまたは関連装置で、当該技術分野において公知の神経外科的技術を使用して、定位的注射または蛍光透視などによって、直接送達することができる。
【0106】
所定のニューロンに光応答性オプシンタンパク質を送達するその他の方法もまた使用することができ、限定されないが、イオン性の脂質または重合体によるトランスフェクション;エレクトロポレーション;光学的トランスフェクション;インペールフェクション(たとえば、炭素ナノ繊維、カーボンナノチューブ、ナノワイヤおよび同様のものなどのナノ材料を使用する遺伝子送達方法;たとえば、Melechko et al.(2004)Nano Letters 4(7):p. 1213-1219を参照されたい);または遺伝子銃を介してなどである。
【0107】
いくつかの態様において、ウイルスベクター、このようなアデノウイルス、AAV2およびRabies糖タンパク質−偽型化レンチウイルス)が使用され、該ウイルスベクターは、筋肉細胞によって取り上げられ、および逆行的にニューロンへ輸送される(たとえば、Azzouz et al., 2009、Antioxid Redox Signal., 11(7):1523-34;Kaspar et al., 2003、Science、301(5634):839-842;Manabe et al., 2002. Apoptosis、7(4):329-334を参照されたい)。
【0108】
光および電気的な供与源
本発明のいくつかの側面において、本明細書に開示した光応答性オプシンタンパク質は、光応答性オプシンタンパク質を発現するニューロンもしくはこのようなニューロンを制御する神経の周辺またはその近くに置かれる移植可能光源(光カフなど)または移植可能電極によって活性化することができる。これらの神経の電気的な刺激に使用するために神経の周辺またはその近くに外科的に置かれる電極カフスおよび電極は、当該技術分野において周知である(たとえば、米国特許第4,602,624号、第7,142,925号および第6,600,956号並びに米国特許公開第2008/0172116号および第2010/0094372号を参照されたい、これらのそれぞれの開示はこれらの全体が参照により本明細書に援用される)。光源(光カフなど)または電極は、当該技術分野において公知であるように、白金またはステンレス鋼などの任意の有用な組成物または組成物の混合物で構成することができ、およびニューロンまたはこのようなニューロンを制御する神経において発現される光応答性オプシンタンパク質を刺激するための任意の有用な構成でもよい。たとえば、光応答性オプシンがmPFCの興奮性(グルタミン酸作動性)ニューロンにおいて発現される場合、光源を使用して、光応答性オプシンを発現するmPFCの興奮性(グルタミン酸作動性)ニューロン上を直接照らすことができる。あるいは光源を使用して、mPRCからの投射のいくつかの標的の1つである背側縫線核(DRN)上を直接照らすことができる。
【0109】
電極または移植可能光源(光カフなど)は、光応答性オプシンを発現するニューロン(たとえば、VTAのドーパミン作動性ニューロン;またはmPFCの興奮性ニューロン)の周辺またはその近くに置かれてもよい。あるいは電極もしくは移植可能光源は、DRNの周辺またはその近くに置かれてもよい。電極または移植可能光源の配置のための適切な脳領域は、当該技術における公知の技術を使用して、脳領域の周辺またはその近くに電極または移植可能光源を置くより前に当業者により同定されることができる。
【0110】
移植可能光源(光カフなど)は、内部本体を含むことができ、該内部本体は電源に形成される光を生成するための少なくとも1つの手段を有する。いくつかの態様において、電源は、光生成手段に電力を供給するための内部バッテリーであることができる。もう一つの態様において、移植可能光源は、光生成手段に電力を供給するための外部の供与源からワイヤレスで伝達される電磁エネルギーを受けるための外部のアンテナを含むことができる。ワイヤレスで伝達された電磁エネルギーは、電波、マイクロ波または移植可能光源(光カフなど)の光生成手段に電力を供給するための外部の供与源から伝達されることができる任意のその他の電磁エネルギー源であることができる。一つの態様において、光生成手段は、半導体または当該技術分野において公知のその他のプロセスを使用して作製される集積回路によって制御される。
【0111】
いくつかの側面において、光手段は、発光ダイオード(LED)であることができる。いくつかの態様において、LEDは、青色光および/または緑色光を生成することができる。その他の態様において、LEDは、琥珀色光および/または黄色光を生成することができる。いくつかの態様において、いくつかのマイクロLEDは、移植可能光源(光カフなど)の内部本体に包埋される。その他の態様において、光生成手段は、固体状態レーザダイオードまたは光を生成することができる任意のその他の手段である。光生成手段は、光源(光カフなど)の付近における神経の原形質膜上で発現される光応答性オプシンタンパク質を活性化するために十分な強度を有する光を生成することができる。いくつかの態様において、光生成手段は、約0.05mW/mm、0.1mW/mm、0.2mW/mm、0.3mW/mm、0.4mW/mm、0.5mW/mm、約0.6mW/mm、約0.7mW/mm、約0.8mW/mm、約0.9mW/mm、約1.0mW/mm、約1.1mW/mm、約1.2mW/mm、約1.3mW/mm、約1.4mW/mm、約1.5mW/mm、約1.6mW/mm、約1.7mW/mm、約1.8mW/mm、約1.9mW/mm、約2.0mW/mm、約2.1mW/mm、約2.2mW/mm、約2.3mW/mm、約2.4mW/mm、約2.5mW/mm、約3mW/mm、約3.5mW/mm、約4mW/mm、約4.5mW/mm、約5mW/mm、約5.5mW/mm、約6mW/mm、約7mW/mm、約8mW/mm、約9mW/mmまたは約10mW/mmのいずれかの強度を有する光を生じ、包括的に、これらの数の間の値を含む。その他の態様において、光生成手段は、少なくとも約100Hzの強度を有する光を生じる。
【0112】
いくつかの側面において、光生成手段は、外部コントローラによって外部で作動することができる。外部コントローラは、伝達コイルに載置することができる電力発生器を含むことができる。外部コントローラのいくつかの態様において、バッテリーを電力発生器に接続して、電力をそれに提供することができる。スイッチを電力発生器に接続することができ、個体が電力発生器を手動で作動または非作動することができる。いくつかの態様において、スイッチの作動に応じて、電力発生器は、外部コントローラ上の伝達コイルと移植可能光源(光カフなど)の外部アンテナとの間の電磁結合を介して電力を光源上の光生成手段へ供給することができる。伝達コイルは、光生成手段に電力を供給するために、および移植可能光源に1つまたは複数の制御シグナルを伝達するために、移植可能光源の外部アンテナと、その付近にあるときに電磁結合を確立することができる。いくつかの態様において、外部コントローラの伝達コイルと移植可能光源(光カフなど)の外部アンテナとの間の電磁結合は、高周波磁気インダクタンス結合であることができる。高周波磁気インダクタンス結合を使用するとき、電波の操作可能な周波数は約1〜20MHzであることができ、包括的に、これらの数の間の任意の値を含む(たとえば、約1MHz、約2MHz、約3MHz、約4MHz、約5MHz、約6MHz、約7MHz、約8MHz、約9MHz、約10MHz、約11MHz、約12MHz、約13MHz、約14MHz、約15MHz、約16MHz、約17MHz、約18MHz、約19MHzまたは約20MHz)。しかし、光学的なレシーバ、赤外線または生物医学的遠隔測定システムなどのその他の結合技術を使用してもよい(たとえば、Kiourti “Biomedical Telemetry:Communication between Implanted Devices and the External World, Opticon1826、(8):Spring、2010を参照されたい)。
【0113】
スクリーニング方法
本開示は、哺乳動物におけるうつ病を治療する薬剤を同定する方法を提供する。本開示はまた、うつ病の治療における治療上の介入のために標的を同定する方法を提供する。本開示はまた、障害の治療のために開発中である薬物を同定する方法を提供し、その薬物は個体におけるうつ病を誘導することができる。
【0114】
本明細書に使用される「決定する」という用語は、定量的および定性的な決定をいい、およびしたがって、「決定する」という用語は、本明細書において「評価する」、「測定する」および同様のものと交換可能に使用される。
【0115】
「候補薬剤」、「試験薬剤」、「薬剤」、「物質」および「化合物」という用語は、本明細書において交換可能に使用される。候補薬剤は、多数の化学的クラス、典型的には合成の、半合成の、または天然に存在する無機または有機分子を包含する。候補薬剤は、合成または天然化合物の大きなライブラリーにおいて見いだされるものを含む。たとえば、合成化合物ライブラリーは、Maybridge Chemical社(Trevillet、Cornwall、UK)、ComGenex(South San Francisco、CA)およびMicroSource(New Milford、CT)から市販される。希少な化合物ライブラリーが、Aldrich(Milwaukee、Wis.)から入手でき、また使用することができる。あるいは、細菌、菌類、植物および動物の抽出物の形態における天然化合物のライブラリーは、Pan Labs(Bothell、WA)から入手でき、または容易に製造できる。
【0116】
候補薬剤は、50ダルトンを超え、および約2,500ダルトン未満の分子重量を有する小さな有機または無機化合物であることができる。候補薬剤は、タンパク質との構造的な相互作用、たとえば水素結合、のために必要な官能基を含むことができ、少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシルまたはカルボキシル基を含んでもよく、および少なくとも2つの官能性の化学基を含んでもよい。候補薬剤は、上記の官能基の1つまたは複数で置換された環状の炭素もしくは複素環の構造および/または芳香族もしくはポリ芳香族の構造を含んでもよい。候補薬剤はまた、ペプチド、サッカライド、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジンおよびこれらの誘導体、構造的な類似体または組み合わせを含む生体分子の中で見いだされる。
【0117】
本開示のアッセイ法は、コントロールを含み、適切なコントロールは、活性化する光に曝露されたが、試験薬剤を投与されなかった本非ヒト動物モデルを含む。
【0118】
本スクリーニング方法を使用して、身体違和感、うつ病、快感消失、自殺傾向、激越、不安症、薬物耽溺禁断症状および同様のものを含むが、限定されない任意の多様な有害な心理的および生理的状態における試験薬剤の効果を解析することができる。いくつかの場合において、有害な状態を減少させ、または緩和する試験薬剤は、気分障害(たとえば、大うつ病障害(すなわち、単極性障害)、躁病、身体違和感、双極性障害、気分変調、循環気質および同様のもの)を治療するための候補薬剤であると考える。したがって、本開示においてうつ病を考察するが、本スクリーニング方法を使用して任意の多様な有害な状態に対する試験薬剤の効果を解析することができ、同定された試験薬剤は、気分障害、並びにその他の任意の多様な有害な心理的および生理的状態を治療するための候補薬剤と考えることができる。
【0119】
非ヒト動物モデルにおけるうつ病の症候は、たとえば逃避関連行動の減少、不安症およびストレスを含む。うつ病および/または不安症および/またはストレスに対する試験は、強制水泳試験(FST)(たとえば、Porsolt et al.(1977)Nature 266:730;およびPetit-Demouliere、et al.(2005)Psychopharmacology 177:245を参照されたい);尾懸垂試験(たとえば、Cryan et al.(2005)Neurosci. Behav. Rev. 29:571;およびLi et al.(2001)Neuropharmacol. 40:1028を参照されたい);条件付き場所嗜好(たとえば、Bechtholt-Gompf et al.(2010)Neuropsychopharmacol. 35:2049を参照されたい);新規食欲減退試験(Dulawa、et al.(2005)Neurosci. Biobehav. Rev. 29:771);社会的敗北ストレス試験(たとえば、Blanchard et al.(2001)Physiol Behav. 73:261-271;およびKudryavtseva et al.(1991)Pharmacol. Biochem. Behav. 38:315を参照されたい);スクロース嗜好試験(たとえば、Kurre Nielsen, et al.(2000)Behavioural Brain Research 107:21-33を参照されたい);オープンフィールド試験(たとえば、Holmes(2001)Neurosci. Biobehav. Rev. 25:261-273を参照されたい);高架式十字迷路試験(たとえば、上記Holmes(2001)を参照されたい);および同様のものを含む。このような試験は、本スクリーニング方法において使用することができる。
【0120】
うつ病を治療するために適した薬剤を同定する方法
本開示は、うつ病を治療するための候補薬剤を同定する方法を提供する。いくつかの場合において、本方法は、以下を一般に含む:a)中脳腹側被蓋野(VTA)ドーパミン作動性ニューロン(DA)において光応答性オプシンを発現する本非ヒト動物(たとえば、ラットまたはマウスなどの齧歯類)を試験薬剤に接触させること、およびb)うつ病アッセイにおける齧歯類の挙動を、試験薬剤に接触させなかったコントロール齧歯類の挙動と比較すること。試験薬剤に接触させた齧歯類の抗うつ性の挙動は、試験薬剤がうつ病を治療するための候補であることを示す。
【0121】
VTAのDAニューロンにおいて発現される過分極化オプシン
いくつかの場合において、ニューロン活動の活性な光遺伝学的阻害因子(光応答性オプシン)は、VTAにてまたはその近くで光によって活性化されるときに、DAニューロンの過分極を促進するハロロドプシン(たとえば、NpHR)である。DAニューロンの過分極は、これらのニューロンの活動を阻害する。非ヒト動物モデルは、光応答性オプシンが光によって活性化されるときに、うつ病の特徴を示す。試験薬剤は、非ヒト動物モデルに投与される。VTAのDAニューロンがその光応答性オプシンを活性化する波長の光(たとえば、琥珀色光)に曝露されたとき、うつ病の治療のための候補薬剤である試験薬剤は、非ヒト動物モデルにおけるうつ病の少なくとも1つの症候を寛解させるだろう。
【0122】
したがって、いくつかの場合において、本方法は、以下を含む:a)VTAにてまたはその近くで光によって活性化されるときに、DAニューロンの過分極を促進するハロロドプシン(たとえば、NpHR)を発現する本非ヒト動物(たとえば、ラットまたはマウスなどの齧歯類)を試験薬剤に接触させること、およびb)うつ病アッセイにおける齧歯類の挙動に対する試験薬剤の効果を決定すること。試験薬剤に接触させなかったコントロール齧歯類の挙動と比較して、試験薬剤に接触させた齧歯類の抗うつ性の挙動は、試験薬剤がうつ病を治療するための候補であることを示す。これらの態様において、決定工程は、ハロロドプシンを活性化するだろう波長の光に対するハロロドプシンの曝露の後に、または並行して実施される。
【0123】
本開示は、個体における有害な心理的または生理的状態を治療するための候補薬剤を同定するための方法を提供し、該方法は、以下を一般に含む: VTAドーパミン作動性ニューロンにおけるニューロン活動の活性な光遺伝学的阻害因子を発現する齧歯類を試験薬剤に接触させること、および条件付き場所嗜好(CPA)試験における齧歯類の挙動に対する試験薬剤の効果を決定すること。試験薬剤に接触させなかったコントロール齧歯類の挙動と比較して、試験薬剤に接触させた齧歯類のCPA応答挙動における調整は、試験薬剤が個体における有害な心理的状態を治療するための候補薬剤であることを示す。これらの態様において、決定工程は、ハロロドプシンを活性化するだろう波長の光に対するハロロドプシンの曝露の後に、または並行して実施される。有害な(Advserse)心理的および生理的状態は、身体違和感、うつ病、快感消失、自殺傾向、激越、不安症、薬物耽溺禁断症状および同様のものを含むが、限定されない。
【0124】
いくつかの態様において、ハロロドプシンは、ER搬出および膜輸送シグナルの両方を含む。たとえば、いくつかの場合において、ハロロドプシンは、N末端からC末端まで、配列番号:1に示した配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列、ER搬出シグナルおよび膜輸送シグナルを含むNpHRオプシンタンパク質である。その他の場合において、ハロロドプシンは、N末端からC末端まで、配列番号:1に示した配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列、膜輸送シグナルおよびER搬出シグナルを含むNpHRオプシンタンパク質である。いくつかの場合において、膜輸送シグナルは、ヒト内向き整流性カリウムチャネルKir2.1アミノ酸配列に由来する。いくつかの場合において、膜輸送シグナルは、アミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号:17)を含む。いくつかの場合において、ER搬出シグナルは、配列FCYENEV(配列番号:13)を含む。
【0125】
いくつかの場合において、ハロロドプシンをコードするヌクレオチド配列は、ニューロン特異的なプロモーター、たとえば、ニューロンにおけるハロロドプシンの発現を提供するプロモーターに、作動可能に連結される。いくつかの態様において、プロモーターは、チロシン水酸化酵素プロモーターである。
【0126】
非ヒト動物モデルにおけるうつ病の症候は、たとえば、逃避関連行動の減少を含む。所定の試験薬剤(たとえば、うつ病を治療するための候補薬剤である試験薬剤)は、試験薬剤で治療されないコントロール動物と比較して、逃避関連行動を増加させる。たとえば、いくつかの場合において、所定の試験薬剤(たとえば、うつ病を治療するための候補薬剤である試験薬剤)は、試験薬剤で治療されないコントロール動物と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約2倍または2倍を超えて、逃避関連行動を増加させる。
【0127】
うつ病のための試験は、強制水泳試験(FST)(たとえば、Porsolt et al.(1977)Nature 266:730を参照されたい);尾懸垂試験(たとえば、Cryan et al.(2005)Neurosci. Behav. Rev. 29:571を参照されたい);および同様のものを含む。
【0128】
いくつかの態様において、試験薬剤は、尾懸垂試験における性能を増加させる。尾懸垂試験は、これらの尾部によって懸垂される、短期の避けられないストレスに供される動物が、不動の姿勢を発症するだろうという事実に基づいている。試験薬剤で治療されないコントロール動物と比較して、うつ病を治療するための候補薬剤である試験薬剤は、不動を減少させ、および逃避関連行動の発生を促進するだろう。
【0129】
VTAのDAニューロンにおける脱分極化オプシン
いくつかの場合において、ニューロン活動の活性な光遺伝学的阻害因子(光応答性オプシン)は、VTAにてまたはその近くで光によって活性化されるときに、VTAのDAニューロンの脱分極を促進するチャネルロドプシン(たとえば、ChR2)である。DAニューロンの脱分極は、これらのニューロンを活性化する。非ヒト動物モデルは、光応答性オプシンが光によって活性化されないときに、慢性的な軽度のストレス(CMS)条件下でうつ病の特徴を示す。活性化する光によるチャネルロドプシンの活性化は、うつ病の症候を軽減する。試験薬剤は、非ヒト動物モデルに投与される。VTAのDAニューロンが脱分極の光応答性オプシンを活性化する波長の光に曝露されないとき、うつ病の治療のための候補薬剤である試験薬剤は、非ヒト動物モデルにおけるうつ病の少なくとも1つの症候を寛解させるだろう。いくつかの場合において、VTAのDAニューロンが脱分極の光応答性オプシンを活性化する波長の光に曝露されないとき、うつ病の治療のための候補薬剤である試験薬剤は、活性化する波長の光に対する曝露と同程度に非ヒト動物モデルにおけるうつ病の少なくとも1つの症候を寛解させるだろう。
【0130】
したがって、いくつかの場合において、本方法は、以下を含む:a)VTAにてまたはその近くで光によって活性化されるときに、DAニューロンの脱分極を促進するチャネルロドプシン(たとえば、ChR2)を発現する本非ヒト動物(たとえば、ラットまたはマウスなどの齧歯類)を試験薬剤に接触させること、およびb)うつ病アッセイにおける齧歯類の挙動に対する試験薬剤の効果を決定すること。試験薬剤に接触させなかったコントロール齧歯類の挙動と比較して、試験薬剤に接触させた齧歯類の抗うつ性の挙動は、試験薬剤がうつ病を治療するための候補であることを示す。これらの態様において、決定工程は、チャネルロドプシンを活性化するだろう波長の光に対するチャネルロドプシンの曝露の非存在において実施される。いくつかの場合において、うつ病を治療するための候補薬剤である試験薬剤は、チャネルロドプシンを活性化するだろう波長の光に対するチャネルロドプシンの曝露によってうつ病の症候が緩和される程度の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または90%を超える程度に、うつ病の1つまたは複数の症候を緩和する。いくつかの場合において、うつ病を治療するための候補薬剤である試験薬剤は、チャネルロドプシンを活性化するだろう波長の光に対するチャネルロドプシンの曝露と同程度に、うつ病の1つまたは複数の症候を緩和する。
【0131】
CMS状態は、当該技術において記述されている。たとえば、Forbes et al.(1996)Physiol. & Behavior 60:1481を参照されたい。実施例に記述される。
【0132】
いくつかの場合において、脱分極化オプシンは、配列番号:5に示した配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のアミノ酸配列を含む光応答性カチオンチャネルタンパク質である。いくつかの態様において、光応答性のチャネルタンパク質は、膜輸送シグナルおよび/またはER搬出シグナルを含む。いくつかの場合において、膜輸送シグナルは、アミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号:17)を含む。いくつかの場合において、ER搬出シグナルは、配列FCYENEV(配列番号:13)を含む。
【0133】
治療的介入のために標的を同定する方法
本非ヒト動物モデルを使用して、うつ病の治療における治療上の介入のためにさらなる標的を同定することができる。したがって、本開示は、うつ病を促進するタンパク質を同定する方法を提供し、このようなタンパク質は、うつ病を治療するための潜在的な治療上の標的(たとえば、標的の活性を調節し、およびこれによりうつ病を治療する薬物を同定するために使用することができる標的)であると考える。
【0134】
いくつかの場合において、本開示は、個体におけるうつ病を促進するタンパク質を同定するための方法を提供し、該方法は、以下を一般に含む:a)内側前頭葉前部皮質(mPFC)興奮性ニューロンにおけるニューロン活動の活性な光遺伝学的活性化因子を発現する本非ヒト動物をタンパク質に接触させること、およびb)うつ病アッセイにおける非ヒト動物の挙動を、タンパク質に接触させなかったコントロール齧歯類の挙動と比較すること。薬剤に接触させた非ヒト動物の抑うつ性の挙動は、タンパク質がうつ病を促進することを示す。
【0135】
本非ヒト動物は、タンパク質それ自体を動物に導入することによって、またはタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を動物に導入することによって、タンパク質に接触させることができる。たとえば、うつ病を誘導する効果が試験されるタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む発現構築物は、直接ニューロンに(たとえば、上述したように、注射によって)導入させることができる。cDNAライブラリーは、この様式において試験することができる。
【0136】
いくつかの場合において、活性な光遺伝学的活性化因子は、ChR2である。いくつかの場合において、mPFC興奮性ニューロンにおけるニューロン活動の活性な光遺伝学的活性化因子を発現する非ヒト動物は、以下によって操作される:mPFC興奮性ニューロンにおけるニューロン活動の光遺伝学的活性化因子を発現させること、および光遺伝学的活性化因子を活性化するために背側縫線核(DRN)を光に曝露すること。
【0137】
いくつかの場合において、mPFC興奮性ニューロンにおけるニューロン活動の活性な光遺伝学的活性化因子は、配列番号:5に示した配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のアミノ酸配列を含む光応答性カチオンチャネルタンパク質である。いくつかの態様において、mPFC興奮性ニューロンにおけるニューロン活動の活性な光遺伝学的活性化因子は、膜輸送シグナルおよび/またはER搬出シグナルを含む。いくつかの場合において、膜輸送シグナルは、アミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号:17)を含む。いくつかの場合において、ER搬出シグナルは、配列FCYENEV(配列番号:13)を含む。
【0138】
うつ病以外の障害を治療するための開発における薬物を評価する方法
本非ヒト動物モデルを使用して、うつ病以外の障害の治療のために、うつ病を誘導する効果のために、開発されている薬物を試験することができる。本非ヒト動物モデルにおいてうつ病の症候を誘導する薬物は、うつ病以外の障害を治療することにおける適合性を再評価されることを必要としてもよいし、本非ヒト動物モデルにおけるうつ病の症候をもはや誘導しないが、うつ病以外の障害を治療することにおける有効性を保持するように、化学修飾されることを必要としてもよいし、または警告ラベルにおいて薬物がおそらくうつ病の症候を誘導するかもしれないという可能性を含むことを必要としてもよい。
【0139】
いくつかの場合において、本開示は、個体におけるうつ病を促進する能力のための薬剤(たとえば、うつ病以外の障害を治療するための開発下の薬物)をスクリーニングするための方法を提供し、該方法は、以下を一般に含む:a)内側前頭葉前部皮質(mPFC)興奮性ニューロンにおけるニューロン活動の活性な光遺伝学的活性化因子を発現する本非ヒト動物を薬剤に接触させること、およびb)うつ病アッセイにおける非ヒト動物の挙動を、薬剤に接触させなかったコントロール齧歯類の挙動と比較すること。薬剤に接触させた非ヒト動物の抑うつ性の挙動は、薬剤がうつ病を促進することを示す。いくつかの場合において、活性な光遺伝学的活性化因子は、ChR2である。いくつかの場合において、mPFC興奮性ニューロンにおけるニューロン活動の活性な光遺伝学的活性化因子を発現する非ヒト動物は、以下によって操作される:mPFC興奮性ニューロンにおけるニューロン活動の光遺伝学的活性化因子を発現させること、および光遺伝学的活性化因子を活性化するために背側縫線核(DRN)を光に曝露すること。
【0140】
いくつかの場合において、mPFC興奮性ニューロンにおけるニューロン活動の活性な光遺伝学的活性化因子は、配列番号:5に示した配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のアミノ酸配列を含む光応答性カチオンチャネルタンパク質である。いくつかの態様において、mPFC興奮性ニューロンにおけるニューロン活動の活性な光遺伝学的活性化因子は、膜輸送シグナルおよび/またはER搬出シグナルを含む。いくつかの場合において、膜輸送シグナルは、アミノ酸配列KSRITSEGEYIPLDQIDINV(配列番号:17)を含む。いくつかの場合において、ER搬出シグナルは、配列FCYENEV(配列番号:13)を含む。
【実施例】
【0141】
以下の実施例は、本発明を製作しおよび使用するための方法の完全な開示および記述を当業者に提供するために記載してあり、および発明者がこれらの発明と考えるものの範囲を限定することは意図されず、およびこれらは、下記の実験が行われる全てまたは唯一の実験であることを表すことは意図されない。使用した数(たとえば、量、温度、その他)に関して精度を保証するために努力がなされているが、いくらかの実験誤差および偏差が考慮されるべきである。別に示されない限り、部は、重量部であり、分子量は、重量平均分子量であり、温度は、摂氏度であり、および圧力は、大気状態にてまたは近い。標準的な略語、たとえば、bp、塩基対;kb、キロベース;pl、ピコリットル;sまたはsec、秒;min、分;hまたはhour、時間;aa、アミノ酸;kb、キロベース;bp、塩基対;nt、ヌクレオチド;i.m.、筋肉内(に);i.p.、腹腔内(に);s.c.、皮下(に);および同様のもの使用してもよい。
【0142】
実施例1:うつ病に関連した挙動の神経符号化および発現の両方のドーパミンニューロン調節
中脳腹側被蓋野(VTA)ドーパミンニューロンの活動が、意欲および快活症の正常なレベルの維持に必要であったかどうかを調査した。VTA DAニューロンの活動を選択的に阻害することがうつ病様挙動を敏感に誘導し得るかどうかを試験するため、光遺伝的技術(21〜23)によって可能になる細胞タイプ特異的ターゲティングおよび正確な時間操作を利用した。VTA DAを阻害するために、琥珀色光(eNpHR3.0)(23)の照明においてニューロン膜を過分極化する増強されたハロロドプシンを発現したものは、複数のうつ病アッセイにおいてこれらの動物を試験する前に、TH::Creマウス(24)のVTAに二重にloxPが導入されたcre依存的ウイルスの構築物を注射することによって、チロシン水酸化酵素(TH)陽性ニューロンにおいて選択的に発現した(図1A)。
【0143】
eNpHR3.0は、増強された黄色蛍光タンパク質(eYFP)に融合されるので、これらの行動アッセイに使用した動物におけるターゲティングの特異性を、eNpHR3.0−eYFPを発現したVTAニューロンの比率を定量化することによって、または(TH+)であったeYFP単独を発現する年齢が一致した対照において、免疫組織化学的に検証した(図1B)。齧歯類におけるうつ病アッセイの2つの一次カテゴリーは、意欲(25〜28)および快感消失(27、29、30)の計測を含む。これらのアッセイでは、成績が抗うつ薬物投与の慢性治療で改善することが十分に確認された(25〜27、29、30)。
【0144】
うつ病性表現型の状況において、意欲は、動物の尾部による懸垂または冷水における強制水泳などの避けられないストレス要因を齧歯類に提示することによって、アッセイする。アッセイ解析は、静止して費やす時間と比較して、動物が逃避関連行動を行うか、またはもがくことに費やす時間の比を定量化することを必要とする。このようなアッセイにおける不動、尾懸垂試験(TST)における懸垂、または強制水泳試験(FST)における浮遊は、「行動的絶望」(27、28)の印として、歴史的に解釈されてきた。本明細書では、eNpHR3.0を発現するVTA DAニューロンを持つマウスを、ベースライン光を消した時期、光を点けた時期および次いでもう一度光を消した時期を含む3つの時期を伴うTSTにおける9分セッションにおいてeYFP対照と比較したとき、一旦光を消すとベースラインに戻る591nm光での一定の照明により、逃避関連行動の有意な減少が見られた(二元分散分析はGroupxEpoch相互作用を示し、F4,38=3.95、p=0.00089、ボンフェローニ事後試験では、eYFP群と比べてNpHR3.0群において逃避関連行動における有意な減少を示す、p<0.05)(図1C)。
【0145】
逃避関連行動におけるこの一過性減少が、意欲の増大よりもむしろ、全体的な歩行運動効果であったかどうかを、これらの同じ動物を、新規であるがストレスの多くない環境において、光を消しおよび光を点けた状態の間の2つの3分の変化にわたる12分セッションの間のオープンフィールド試験(OFT)において自由に探索する間を評価することによって調査した。照明によりeNpHR3.0群において歩行運動が減少される微妙な傾向があたかもしれないが、群間で移動速度における有意な相違はなかった(二元分散分析は、GroupxEpoch相互作用でないことを示した、F3,48=1.76、p=0.17)。逃避関連行動における有意な減少および減少した移動についての有意でない傾向は、VTA DAニューロンの阻害において意欲における減少を反映しうる。
【0146】
避けられないストレス要因に直面した逃避関連行動をアッセイすることに加えて、VTA DAニューロンの選択的阻害が快感消失を敏感に誘導し得るかどうかを決定するために、十分に確証された快感消失アッセイに対する新規バリエーション、スクロース嗜好試験(29〜34)を開発した。我々のスクロース嗜好測定の感度を増加させるために、90分セッションの間水または1%スクロース溶液いずれかを届ける噴出口の舐める回数を、自動化された検出によって定量化し、ベースラインの30分光を消した時期、続いて30分光を点けた時期、さらに30分光を消した時期で終わる範囲内でスクロース嗜好を決定した(図1E)。著しくは、eYFP対照でない、eNpHR3.0マウスにおける照明の間のスクロース嗜好の有意な減少が観察された(図1E;二元分散分析はオプシンの著しい効果を示した、F1,42=6.31、p=0.016;ボンフェローニ事後試験は、光を点けた時期のみにおいて群間の有意な相違を示した、p<0.05)。したがって、VTA DAニューロンの阻害は、スクロース嗜好の減少によって測定したときに、避けられないストレス要因に直面する際の逃避関連行動、並びに快感消失の敏感な誘発を有意に減少させた。まとめると、本明細書において、VTA DAニューロンの選択的阻害は、増加した「行動的絶望」および快感消失(27、28)の両方の測定において、うつ病様表現型によく似ていることを敏感に示す。
【0147】
次に、VTA DAニューロンの位相性活性化が、予測不可能な慢性軽度ストレス(CMS)(31、32、34、35)によって誘導されるうつ病様表現型を救うのに役に立ち得るかどうかを調査した。ヒトにおいて、うつ病に罹患した大部分の患者は、慢性ストレスが徐々に、短い(およそ数日)一連のストレスの多いイベント(36〜40、19、41)よりもむしろ、長期持続抑うつ状態(およそ数か月)の引き金になったと述べる。ヒトにおいて観察されるような忠実にうつ病様の状態をモデル化するために、予測不可能な慢性軽度ストレス(CMS)パラダイムを、齧歯類における鬱病患者様の状態を誘導するのに使用し(32、34〜36、42〜47)、予測不可能な軽度のストレス要因を、成体齧歯類において8〜12週間、1日2回与えた。CMSは、避けられないストレス要因に直面した逃避関連行動の減少によってアッセイしたときに、意欲の減少を、並びにスクロース嗜好(27、29〜32、34、44、18)によって測定したときに、快感消失を生じることを示した。
【0148】
VTA DAニューロンを阻害することがうつ病様表現型を敏感に生じたことが示されたので(図1)、次いでVTA DAニューロンの活性化が慢性ストレスによって誘導されるうつ病様表現型を救い得るかどうかを決定した。VTA DAニューロンを選択的に活性化するために、ウイルス形質導入法を、チャネルロドプシン(ChR2)、膜を脱分極させ、およびミリ秒精度で作用電位を生じる光活性化されたカチオンチャネル(22、48)を選択的に発現するために使用し、使用したパラメーターにてVTA TH+において発現されたときに(24、49、50)、側坐核(NAc)においてドーパミントランジェントを放出することを示した。これを試験するために、4つの実験群を設定した(図2A):1)VTAにおいてChR2形質導入されたTH+ニューロンを持つ群を、8〜12週間慢性軽度ストレス(CMS)プロトコルに曝露した、2)対照として、eYFP蛍光団をVTA DAニューロンにおいて単独で発現した;これらの動物をCMSプロトコルで処理した、3)いずれかのChR2を発現した、または4)8〜12週の間、低ストレス環境(Non−CMS)に収容された動物におけるVTA DAニューロンにおいてeYFP単独で発現。
【0149】
VTA DAニューロンにおける位相性発火(firing)がCMSで誘導されるうつ病様表現型を救い得るか否かを試験するために、複数のうつ病アッセイの間、ベースライン(off)、位相性照明(on)および照明後の(光off)時期(図2B)の間に動物を調べた。VTA DAニューロンにおける位相性発火を生じるように、照明(on)時期の間に位相性スパイキング24およびドーパミントランジェント(24、49)の放出を誘発するために、まばらな、バーストする照射パターンを使用した(図2B;30Hz、5msパルス幅、5秒ごとにて8パルス)。意欲に対するVTA DAニューロンにおける位相性発火の効果を調べるために、動物の全ての4群を尾懸垂試験(TST)に供して、もがく量または各時期の間の逃避関連行動を定量化した。
【0150】
ベースラインにて、以前の研究(25、32、33、43)と一致して、CMSがNon−CMS対照と比較して〜50%までもがく量を減少させたことを観察した(eYFP CMS=33.8±6.1;ChR2 CMS=31.3±3.9;ChR2 Non−CMS=61.7±7.3;eYFP Non−CMS 61.3±7.6;図2C)。二元分散分析は、有意なGroupxEpoch相互作用、F6,108=3.36、p=0.0045、だけでなく、Groupの強力な効果、F3,108=16.92、p<0.0001、を示した。照明により、ChR2 CMS群は、eYFP CMS群(p<0.001、ボンフェローニ事後試験)と比較して、逃避関連行動において有意な増大を示した。したがって、eYFP CMSマウスでなく、ChR2 CMSマウスにおけるVTA DAニューロンの位相性照明は、およそ数秒でCMSで誘導されるうつ病様表現型を救った(図2C)。重要なことに、照明(ボンフェローニ事後試験)によりeYFP Non−CMSとChR2 Non−CMSマウスとの間にもがきにおける有意な相違は観察されず、逃避関連行動の増大がストレス誘発性うつ病様表現型を示した動物に特異的であったことを示した。
【0151】
DAシステムがまた歩行運動に関連するので、TSTの間に使用した刺激パラメーターが全体的な歩行運動効果を誘導したか否かを試験した。TSTアッセイに含まれる全てのマウスの歩行運動を、オープンフィールドチャンバーにおいて、上記と同じ位相性照明パラメーターを使用して、2つの3分間光を点けた時期と、2つの3分間光を消した時期とを交互配置して調べた(図2D)。照明によりChR2群において速度の増加に向かう傾向があったが、二元分散分析における有意なGroupxEpoch相互作用は、観察されなかったし(F9,152=0.99、p=0.4493)、および検出可能な相違は、ボンフェローニ事後試験によって示されなかった。しかし、群の有意な効果が観察され(F3,152=5.06、p=0.0023)、これはオープンフィールドチャンバーにおける最初の探査におけるCMSとNon−CMS群との間の相違を反映し得る(図2D)。
【0152】
次に、またVTA DAニューロンの位相性活性化がスクロース嗜好におけるCMSで誘導される減少を救うか否かを試験した。スクロース嗜好における急な変化を検出するために、スクロース嗜好試験の新規のバリエーションを、このアッセイの感受性を増加させるために開発した。水または1%スクロース溶液のいずれかを放出する噴出口にて舐めを検出するためにリックメーター(lickometer)を使用することによって、スクロース嗜好を、3つの30−分時期にわたって、単一の90分セッションにおいて分析した(図2E)。二元分散分析は、有意なGroupxEpoch相互作用(F6,62=4.33、p=0.001)、並びに群の著しい効果(F3,31=3.40、p=0.0299)を示した。以前の研究と一致して、ベースライン測定は、リックメーターアッセイにおける照明より前に、eYFPおよびChR2 CMSマウスがeYFPおよびChR2 Non−CMSマウスに比べて有意により低いスクロース嗜好を持つことを示した(ボンフェローニ事後試験、それぞれp<0.05およびp<0.01)。しかし、VTA DAニューロンの位相性活性化は、eYFP CMSでなく、ChR2 CMS動物におけるCMSで誘導される快感消失効果を敏感に救った(1方向分散分析、ベースラインを光を点けた時期と比較するDunnの事後試験、ChR2 CMSマウスに関してp<0.01、eYFP CMSマウスに関してp=0.2851)。
【0153】
上で提示したデータは、うつ病に関連した挙動についての複数のアッセイにおいてVTA DA ニューロン活性の双方向性効果があることを証明する。しかし、VTA DAニューロンは、脳全体の複数の領域に投射するので(51〜54)、いずれの下流の標的がこの挙動に寄与し得るかは明らかでない。さらにまた、VTA DAニューロンが腹側線条体においてグルタミン酸を共放出する証拠がある(55〜57)。大うつ病性障害と診断されるヒト患者における腹側線条体、特に側坐核(NAc)における深い脳刺激が、うつ病の症候を緩和するのを補助したと仮定して(58、59)、NAcにおけるグルタミン酸またはドーパミン伝達が、マウスにおけるこのうつ病様表現型の光で誘発される救出を媒介していたかどうかを試験した。
【0154】
TSTの間、NAcにおけるVTA DA ニューロン伝達の貢献を調査するために、マウスのさらなる群を含み、8〜12週の予測不可能な慢性軽度ストレスを受ける前に、VTA DAニューロンのウイルス形質導入およびVTAに狙いを定めた光ファイバーケーブルの常時移植に加え、NAcにおいて両側のガイドカニューレを移植した(図3A)。VTA DAニューロンの位相性活性化によるグルタミン酸伝達の機能役割を調査するために、被験体中の比較を行い、順位について平衡させ、および生理食塩水またはα−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサゾールプロピオン酸受容体(AMPAR)アンタゴニスト、2,3−ジヒドロキシ−6−ニトロ−7−スルファモイル−ベンゾ[f]キノキサリン−2,3−ジオン(NBQX)およびN−メチル−D−アスパルテート受容体(NMDAR)アンタゴニスト、(2R)−アミノ−5−ホスホノバレリアン酸(AP5)、の混合物のいずれかを、TSTにおける試験の直前にNAcへ注入した。
【0155】
二元分散分析は、有意なGroupxEpoch相互作用(F2,28=3.69、p=0.0379)、群の著しい効果(F1,14=7.24、p=0.0176)および時期の著しい効果(F2,28=38.98、p<0.0001)を明らかにした。内部NAc生理食塩水処理の後、VTA照明によるストレス誘発性うつ病様表現型の救出を繰り返した(一元分散分析、p<0.001、ベースラインを光を点けた時期と比較するDunn事後試験、p<0.01;図3B)。内部NAcグルタミン酸受容体封鎖の後、また、照明によるストレス誘発性うつ病様表現型の救出を観察した(一元分散分析、p<0.001、ベースラインを光を点けた時期と比較するDunn事後試験、p<0.001;図3B)。実際に、群の著しい効果によって見られたように、もがくことに費やされる時間は、グルタミン酸受容体アンタゴニストで処理した動物全体においてより大きかった。
【0156】
NAcは、PFC、扁桃体および海馬を含む、多数の領域から強いグルタミン酸作動性神経支配を受けるので、これらの入力の正味の効果がTSTにおける逃避関連行動を抑制するのに役に立ち得ると推測した。その上、本明細書において提示した所見は、ケタミン、NMDARアンタゴニスト、がヒトにおけるうつ病様の症候を敏感に改善することができることを示す最近の研究(60〜62)と一致する。
【0157】
NAcにおけるグルタミン酸伝達は、我々の尾部懸垂の間の逃避関連行動における光で誘発される増大を媒介するために必要とされなかったことを示したので、次いで、NAcにおけるドーパミンシグナリングが逃避関連行動の調節に決定的に関与したか否かを試験した。これを行うため、被験体中の比較を、TSTにおける試験の前に、SCH 23390(D1受容体アンタゴニスト)またはラクロプリド(D2受容体アンタゴニスト)の混合物を使用して、内部NAc生理食塩水または内部NAcドーパミン受容体拮抗作用の後に行った。逃避関連行動の有意な減弱が、ベースラインおよび照明時期の両方の間にNAcドーパミン受容体遮断と共に観察された(二元分散分析は、有意なDrugxEpoch相互作用、F2,44=3.52、p=0.0381、薬剤の著しい効果、F1,22=53.74、p<0.0001、および時期の著しい効果、F2,44=3.48、p=0.0395、を明らかにした;図3C)。
【0158】
これらの所見は、VTAからNAcへのドーパミン作動性神経支配が、逃避関連行動のベースラインレベルを維持するため、並びにVTA DAニューロンの位相性活性を増加させることにおける逃避関連行動のCMSで誘導される減少の救出に重要であるという仮説と一致する。また、データは、ドーパミンシグナリングの枯渇が、パーキンソン病症候の発症の前にうつ病をたいてい経験する前パーキンソン病患者におけるうつ病様の症候を生じるという報告と一致する。
【0159】
上のデータは、VTA DAニューロンの選択的な阻害が、意欲および快感消失の両方の計測におけるうつ病に関連した挙動を敏感に生じること、およびNAcにおけるドーパミン作動性シグナリングによって媒介されるVTA DAニューロンの位相性活性化が予測不可能な慢性軽度ストレス誘発性うつ病様表現型を敏感に救うことを証明した。しかし、NAcにおけるドーパミン受容体遮断は、光で誘発されるおよびベースラインレベルの両方の逃避関連行動を減弱し、この意欲アッセイにおけるうつ病に関連した挙動の光で誘発される救出を媒介する際のNAcにおけるドーパミンシグナリングの役割を解釈することを困難にした。したがって、ベースライン状態下およびVTA DAニューロンの位相性活性化の間の両方のうつ病アッセイの間のNAcニューロンの活動を調査した。これを行うため、いくつかの新たなツールを組み合わせた。
【0160】
最初のインビボでの電気生理学的記録を、ホームケージにおけるベースライン活性、オープンフィールド試験の新規の環境における探査、および強制水泳試験(図4A)、一方でCMSの後にChR2発現VTA DAニューロンを断続的に照射している(図4B)間に、最近開発したTH::Creラット(50)において行った。強制水泳試験(FST)の定量化は、伝統的に不動27の時期の低解像度測定であったので、FSTにおける逃避関連行動のミリ秒精度の時間分解能検出のために新規の方法を開発することが必要であった。これを行うため新規の、磁気誘導の方法を利用して、強制水泳タンクの外側上の磁気コイルおよび泳ぎのキックまたは逃避関連行動を測定するためのラットの足に付着した小さな磁石および防水加工しているインビボで電気生理学的に記録するヘッドステージを使用した(図4B)。
【0161】
マウスにおけるTSTにおける所見に類似して、5CMS TH::CreラットにおけるChR2発現VTA DAニューロンの照明が、FSTにおいて逃避関連行動を増加させたことを見いだしたが(対t検定、p=0.0088;図4CおよびD)、しかし、OFTにおける移動において検出可能な光の効果はなかった(図4D)。光およびキックの両方を符号化したの相当な割合のニューロンがあったが、光パルスおよびキックイベントは、30Hzにおいて送達され、5秒毎に8パルス過程の、光パルス過程に関するキックのイベント周囲のラスタヒストグラムによって例証されるように、およそ数秒でタイムロックしなかった(図4E)。我々は、キック頻度における強い増大を、光を消した時期と比べて光を点けた時期の間に観察するが、レーザパルスにタイムロックされたキック挙動を観察しないので、我々は、逃避関連行動が、単離されたドーパミン作動性トランジェントよりもむしろ全体のドーパミン作動性緊張によって調節されると推測する。
【0162】
次いで、光を消した時期と比べて光を点けた時期における逃避関連行動の増大と位相性VTA DA ニューロン活性化を符号化した動物あたりの記録された全てのニューロンの比との間の関係を調査した。スピアマンの相関試験を使用して、ラットあたりのVTA DA ニューロン活性化に対する位相性応答を示したNAcニューロンが多いほど、VTA DA ニューロン活性化による逃避関連行動において相対的な増大がより大きくなるので、有意な相関(p=0.0167)を見いだした(図4F)。これは、個々の動物の解剖学的変異、並びにオプシン発現などの実験変動のためであり得る。5CMS TH::Creラットにおける123NAcニューロンの総量を、セッション全体にわたって記録し、およびVTAに送達される光パルスに対して位相性応答を示したニューロンの比率またはFSTにおけるキックを調べた。
【0163】
123のうち75(61%;図4Gおよび4H)のNAcニューロンは、光に対して位相性応答を示し:これらの75のうち15のニューロンは、光に対して位相性阻害を示し(光応答性ニューロンの20%)、その一方で、75のうち60の応答は位相性興奮があった(光応答性ニューロンの80%)ことを見いだした。123のうち83のNAcニューロン(67%;図4Gおよび4H)は、キックイベントに対する位相性応答によって見られたように、逃避関連行動を符号化し:これらのうち14のニューロン(17%)は、キックに応じて位相性阻害を示し、およびこれらのうち69のニューロン(83%)は、キックに応答して位相性興奮を示した。54のニューロンは、代表的なイベント周囲のラスタヒストグラムで見られたように(図4Gおよび4H)、光パルスおよびキックイベントの両方を符号化した。
【0164】
VTA DAニューロンの位相性発火がNAcにおける逃避関連行動を符号化することを調節し得るかどうかを調べるために、光を消した時期において生じるキックイベントから光を点けた時期において生じるキックイベントを分離した。123のうち34のニューロン(28%)が、光を点けたおよび光を消した時期の両方におけるキックを符号化したが、VTA DAニューロンの活性化が、ニューロンの2つの部分母集団におけるキックイベントを符号化することを調節することを見いだした(図4Gおよび4I)。123のうち21のニューロン(17%)は、光を点けた時期の間だけ、逃避関連行動を選択的に符号化し、および123のうち22のニューロン(18%)は、光を消した時期の間だけ逃避関連行動を選択的に符号化した(図4Gおよび4I)。
【0165】
次に、同じセッションにおける異なる時期にわたって発火率(firing rate)の動態を調べた。種々の時期にわたるNAcニューロンの集団にわたる発火率の分布において、相対的に適度な変化があったが、異なる時期にわたる発火率を増加または減少させたどちらかのニューロンの部分母集団があったので、分布における正味変化は、発火における個々のニューロン変化を捕獲しなかった。ホームケージから新規の環境、オープンフィールドチャンバーまで移動するとき、ニューロンの部分母集団は、発火率変化を示した(33%;18の増加したおよび22の減少した発火率)、およびニューロンの部分母集団は、OFT(24%;24の増加したおよび6の減少した発火率)およびFST(30%;18の増加したおよび19の減少した発火率)における照明による発火率変化を示した。しかし、比較が光を消したの時期の間(86%;27の増加したおよび79の減少した発火率)または光を点けた時期の間(75%;19の増加したまたは73の減少した発火率)であったかどうかにかかわらず、ラットは、新規の環境、オープンフィールドチャンバーからストレスの多い環境、強制水泳タンクまで移動したときに、非常により大きな比率のニューロンが発火率における変化を示した。本明細書での我々の所見を要約すると、VTA DAニューロンの選択的阻害は、「行動的絶望」(63)および快感消失における増大を反映するうつ病に関連した挙動を敏感に誘導する。
【0166】
予測不可能な軽度のストレス要因の慢性症状は、長続きするうつ病様表現型を誘導し、これがVTA DAニューロンの位相性活性化によって救われた。NAcにおける、グルタミン酸でなく、ドーパミン受容体活性化は、逃避関連行動を媒介するために必要である。NAcニューロンは、VTA DAニューロン、並びに逃避関連行動の位相性活性化を符号化する。重要なことに、逃避関連行動の符号化は、VTA DA ニューロン活性化によって調節される。また、大多数のNAcニューロンが、避けられないストレス要因への曝露において、発火率における有意な変化を示し、およびより多くのNAcニューロンが、持続性の発火率における増大よりもむしろ、減少を示すことを、示す。
【0167】
我々の所見は、ラットにおけるうつ病モデルにおける、その他のインビボでの電気生理学的記録と一致し、抗抑うつ剤、デシプラミン(64)での治療により回復されたバーストする活性の減少を示す。発火およびバーストするVTA DA ニューロンは、うつ病の10日間社会的敗北モデル(65、66)に感受性のマウスにおいて増加することを示すいくつかの報告があったが、これらの所見における相違は、動物モデル、パラダイムの期間、中脳内の特異的記録部位またはその他の実験的な相違における相違から生じる得る。また、我々のデータは、耽溺の状況および報酬関連した挙における意欲および享楽的応答を媒介するドーパミン機能の既存のモデル動(11〜13、15、20、67〜69)、並びに予想または報酬の受領(70、71)、または享楽的満足の経験(24)または報酬を探求すること(48、49)の基礎をなすVTAドーパミン発火を支持する。最も重要なのは、我々の結果は、NAcにおける深い脳刺激によって達成される抗うつ効果(57、58)のための機構的説明を提供し得る。これらの研究は、膝下帯状回皮質における深い脳刺激の抗うつ効果(71)と平行して、一群の症候の異なるクラスによって定義された精神医学的な疾患を、複数の神経回路病理によって媒介し得ることを示唆する。気分障害の複雑さおよび動物における精神医学的疾患をモデル化するという難題は、うつ病の症候を媒介する正確な神経機能不全を正確に指摘する際の障壁を示す。しかし、うつ病に関連した症候のサブセットさえ媒介する回路機構を同定する潜在的な影響は深い。脳辺縁ドーパミン系などの齧歯類とヒトとの間でよく保存される回路を研究することは、齧歯類モデルにおける抗うつ操作が、ヒトにおける改善された治療的介入の開発を補助するだろうという可能性を増強する。
【0168】
図1。中脳腹側被蓋野(VTA)ドーパミンニューロンの選択的な阻害は、うつ病様表現型を誘導する。A、Cre依存的AAVの概略図。TH:: IRES−Cre形質転換への送達において、eNpHR3.0は、チロシン水酸化酵素陽性ニューロンにおいて、選択的に発現するだろう。B、中脳ドーパミンニューロンの共焦点イメージ;オレンジのドットの長方形は、光ファイバーが狙いをつけた照射されたVTAの位置を示す。下方、ファイバートラック直接下のVTAニューロンのクローズアップイメージ。C、VTA DAニューロンの光抑制は、逃避関連行動における減少を敏感に誘導する、P<0.05。図1Cにおいて、各セットにおける左側棒は、eYFPであり、各セットにおける右側棒は、eNpHR3.0である。D、VTA DAニューロンの阻害は、オープンフィールド試験における移動において検出可能な相違を生じない。E、90分間快感消失アッセイの、概略図および結果。VTA DAニューロンの光阻害は、スクロース嗜好における急な減少を誘導する、P<0.05。
【0169】
図2。VTA DAニューロンのまばらな、位相性光活性化は、ストレス誘発性うつ病様表現型を救う。A、実験に含まれる4つの実験群の図。B、ChR2を発現するVTA DAニューロンにおける活性の位相性バーストを誘発するために使用した、473nm光での、照射パターンの概略図。C 、VTA DAニューロンの位相性照明が、eYFP CMSマウスでなく、ChR2 CMSマウスにおける尾懸垂試験(TST)においてもがくストレス誘発性減少を救う、**P<0.001。図2Cにおいて、左から右に、それぞれの「off」および「on」のセットにおけるバーは、以下の通りである:eYFP CMS;ChR2 CMS;ChR2 Non−CMS;およびeYFP Non−CMS。D、TSTにおいて使用した照明パラメーターは、オープンフィールドチャンバーにおける歩行運動活動において検出可能な変化を生じなかった。E、VTA DAニューロンの位相性活性化は、eYFP CMSでなく、ChR2 CMS動物、におけるスクロース嗜好におけるストレス誘発性減少を敏感に救った、ChR2 CMSマウスのための**P<0.01。
【0170】
図3。グルタミン酸でなく、ドーパミン受容体シグナリングは、逃避関連行動を媒介するために必要である。A、CMSで治療された動物におけるVTA DA ニューロン照明で組み合わせにおける相互的なNAc薬理学的操作の概略図表示。B、AMPARおよびNAcにおけるNMDARグルタミン酸受容体(GluRx)の拮抗作用は、もがくベースラインレベルも、尾懸垂試験における逃避関連行動においての光誘発増大も、遮断しない。図3Bにおいて、それぞれ「off」および「on」のデータセットにおける左側棒は、GluRxであり、各データセットにおける右側棒は、生理食塩水である。C、NAcにおけるD1およびD2ドーパミン受容体(D1x+D2x)の拮抗作用は、逃避関連行動を減弱する、***P<0.0001。図3Cにおいて、「off」およびそれ「on」各々のデータセットにおける左側棒は、生理食塩水であり、各データセットにおける右側棒は、D1x+D2xである。
【0171】
図4。VTAドーパミンニューロンの位相性活性化は、TH::Creラットにおける逃避関連行動のNAc神経性符号化を調節する。A、インビボでの電気生理学的記録セッションの概略図概要。B、NAcにおけるインビボでの電気生理学的記録、ChR2を発現するVTA DAニューロンの照明およびCMSで処理されたTH::Creラットにおける遊泳挙動の精密測定の統合。C、ChR2を発現するVTA DAニューロンの位相性照明は、強制水泳試験におけるTH::Creラットの逃避関連行動を増加させる。D、ChR2を発現するVTA DAニューロンの位相性照明は、オープンフィールド試験における歩行速度でなく、強制水泳試験におけるキック速度を増大させる。E、青ラインによって示した、8光パルスの過程に関してキックイベントを示すイベント周辺のラスタヒストグラムは、キックイベントが光パルスにタイムロックされないことを示す。F、各ラットの遊泳挙動が、所与の被験体から記録された全てのニューロンの比率に相対的にVTA DA ニューロン活性化によって調節された程度の間の相関を示す、散布図、P=0.0167。G、光パルスおよびキックイベントの両方(実施例細胞1)に位相性興奮を示す代表的なニューロンのための、および光を点けた時期(実施例細胞2)または光を消したの時期(実施例細胞3)どちらかの間のキックイベントを選択的に符号化したニューロンのための、イベント周辺のラスタヒストグラム。H、5CMS TH::Creラットから記録された123のNAcニューロンのものを示す光パルスおよびキックイベントの両方に位相性応答を示すニューロンの集団概要、VTA照明に対する位相性応答は、75のNAcニューロンにおいて見られ、キックする挙動への位相性応答は、83のNAcニューロンにおいて見られ、54のニューロンは、光およびキックイベントの両方への位相性応答を示す。I、強制水泳試験の間の光を点けたおよび光を消した時期の間の逃避関連キックイベントの差動的符号化を示すニューロンの比率の集団概要。123のうちの55のNAcニューロンは、光を点けた時期の間キックに応答し、123のうちの56は、光を消した時期の間にキックに位相性応答を示し、および123のうちの34は、光時期の両方の間にキックに応答した。21のNAcニューロンは、光を点けた時期の間に選択的にキックイベントを符号化し、その一方で、123のうちの22のニューロンは、光を消した時期の間に選択的にキックイベントを符号化した。
【0172】
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【0173】
実施例2:目標指向行動状態における脳幹神経投射に対する前頭葉前部皮質の役割。
材料および方法
対象.200〜225グラム(およそ6〜8週)の重さの雄ロングエバンスラットを、Charles Riverから得た。ラットを、標準的な12時間の明暗サイクルにおいて維持し、および自由に餌および水を与えた。最初にラットを、ケージあたり2匹収容した。四極管マイクロドライブまたは固定されたワイヤーアレイを移植した動物を、記録ハードウェアへの損傷を最小限にするために、移植の後に個々に収容した。光ファイバーのみを移植した動物は、移植後にケージあたり2匹収容し続けた。全ての手順は、国立衛生研究所によって確立された指針にしたがって、スタンフォード大学動物実験委員会によって承認された。
【0174】
自動化された強制水泳試験(FST)。 直径9インチの水のタンク(Tap Plastics、Mountain View、CA)を、10ポンドの26ゲージエナメルコートされた銅ワイヤーから構築された直径10インチのコイルによって囲んだ。2gの希土類磁石を、無理なくフィットするゴムバンドでラットの後ろ足上に配置した。磁石配置は、行動試験の直前に行い、および起きているラットには十分に許容された。FSTの間、泳ぐ間のワイヤーのコイル内の磁石の移動が、コイルに強い電流を誘導することを見いだした。コイル電圧は、1〜300Hzの間の帯域通過させ、2kHzにてデジタル化し、およびDigital Lynxデータ取得システム(Neuralynx、Bozeman、MT)を使用して後の解析のために記録した。データは、参照コイルから同時に収集し、および参照はラインノイズを減少させるためにオフラインで行った。同じシステムを、ケージの下に直接誘導コイルを配置することによって、慣れたケージにおいて歩行運動活動を測定するために使用した。類似の方法を、ラットにおけるパーキンソン病震動を測定するために以前に使用してきた(1)。コイルデータおよびビデオデータを、全ての実験について収集した。自動方法の検証のための手動スコアリングを実験的条件に対して盲検で行い、および自動的に不動/キック頻度を記録した。手動スコアリングの間、視覚的観察を5秒毎に行い、不動の時期を、移動なしまたは水上にとどまるために必要とされる最低限必要な移動のいずれかとして定義した。
【0175】
四極管マイクロドライブおよび固定されたワイヤーアレイ配置。 図2に示したデータについて、ラットは、外科手術前に最低400g達した。図4に示したデータについては、ラットは、8〜10週にてmPFCにおいてウイルスを両側に注射し(下記)、ウイルスは、電極移植前に最低4カ月間発現させた(ラットは、典型的には重量>400gに達した)。最初に、ラットを5%イソフルランで麻酔した。頭皮を剃り、およびラットを裂けないイヤーバーで定位固定フレームに配置した。加温パッドを、低体温を予防するために使用した。イソフルランを、外科手術の全体にわたって1〜3%にて送達し、このレベルを一定の外科的平面を維持するように調整した。眼軟膏を、目を保護するために使用した。ブプレノルフィン(0.05mg/kg、皮下)およびエンロフロキサシン(5mg/kg、皮下)を、外科手術開始前に与えた。0.5%リドカインおよび0.25%ブピバカイン(bupivacaine)(100μL)の混合物を、皮下に切開ラインに沿って注射した。頭皮をベタジンおよびアルコールで消毒した。正中切開により頭蓋骨を曝露し、これを徹底的に清浄にした。8〜11個の頭蓋骨ネジを、安定な記録を保証するために、露出した頭蓋骨の周辺に移植し、2mmの頭骨切開を右mPFC上に穿孔し、および硬膜を慎重に切除した。13μmニクロム(Neuralynx、Bozeman、MT)から巻かれた四極管を伴う4−四極管マイクロドライブまたは50μmステンレス鋼電極(NB Labs、Denison、TX)で固定した24−電極ワイヤーアレイを開頭上に移植し(AP:2.7〜3.3 ML:0.8DV:4.0)、および歯科用アクリルで固定した。図4に示したデータについて、今回また、DRNをターゲットする光ファイバーパッチコードを移植した(下記)。アクリルを、防水加工を容易にするために、頭蓋骨と電極インターフェースボードとの間に薄いくびれを作製するように成形した。皮膚を閉じて縫合し、ラットにカプロフェン(5mg/kg、皮下)および乳酸リンガー溶液(2.5mL、皮下)を与え、および加熱ランプ下で回復させた。移植後、四極管を毎日調整した。
【0176】
自由可動神経生理学。 ラットには、イソフルランで短時間に麻酔をかけた。ヘッドステージおよびつなぎなわ(Neuralynx、Bozeman、MT)をマイクロドライブまたは固定されたワイヤーアレイに接続し、および「ウェットドッグ」震えの間に外れるのを予防するために糸で固定した。電子機器を水害から保護するために、両方の末端を切断したラテックスコンドームを、密に巻いたゴムバンドでヘッドステージ取り付け点周辺に固定した。今回、磁石を、行動読み出しのために後ろの足に取り付けた。イソフルラン麻酔下での総時間は、10分より短く制限し、およびラットは、記録開始の少なくとも1時間前に回復させた。図4の記録については、光ファイバーケーブルを、回転の間にねじれることによる破損を最小限にするために、FST直前に取り付け、光出力を、光ファイバーが無傷だったことを確認するために記録の直後に点検した。神経データを、64チャンネルDigital Lynxデータ取得システム(Neuralynx、Bozeman、MT)で取得した。スパイクチャンネルを、最初にスパイク活性を示していない電極に対して基準化し、行動ノイズを減少させた。次いで、シグナルを、600〜6000Hzの間で帯域通過し、および32kHzにてデジタル化した。また、誘導コイルデータおよびビデオデータを、FSTおよび慣れたケージの活動の両方について誘導コイル方法の使用を確認するために、全ての時期の間に記録した。データは、実験に依存する時期の変動数について記録した。図2については、慣れたケージにおけるFST前15分のデータ、FSTの間の15分、および慣れたケージにおけるFST後15分を記録した図4については、慣れたケージにおけるFST前15分、刺激を伴うFSTの間の20分(5回の2分の刺激時期で交互配置された5回の2分の無刺激時期)、慣れたケージにおけるFST後15分および刺激を伴う慣れたケージにおけるFST後20分(5回の2分の刺激時期で交互配置された5回の2分の無刺激時期)を記録した。ラットは、神経ドリフトを最小限にするために、慣れたケージおよび泳ぐタンクの間を転送する間にそっと扱った。記録が完了した後、防水加工を取り除き、およびラットを乾燥するために10分間加熱ランプ下に置いた。組織学のための屠殺の前に、ラットを深く麻酔して、および全ての電極に電流を流して解剖局所に対して電解破壊を行った(50μA30秒間)。
【0177】
ウイルス構築およびパッケージング。 組換えAAVベクターを、ノースカロライナ大学にてAAV5コートタンパク質で血清型を決定し、ウイルスベクターコアによってパッケージした。ウイルス力価は、それぞれAAV5−CaMKIIα−hChR2(H134R)−EYFP については2×1012粒子/mLおよびAAV5−CaMKIIα−EYFP については3×1012粒子/mLであった。マップは、www(dot)optogenetics(dot)orgにてオンラインで入手できる。
【0178】
定位ウイルス注射および光ファイバー移植。 ラットを、外科手術のために調製し、上記の通りに鎮痛薬および液体を与えた。正中切開により頭蓋骨を曝露し、頭蓋切開をmPFC上で両側に行った。ウイルスを10μL注射器で注射し、33ゲージを、噴射ポンプを使用して150nL/分にて前側に向いた面で、針に斜角をつけた。2回の1μL注射は、1ラットにつき合計4μL、AP 2.2mm、ML 0.5、DV 5.2およびAP 2.2 、ML 0.5、DV 4.2にて、各半球に送達した。各注射の後、針を7分間留置し、および次いでゆっくり取り除いた。皮膚を閉じて縫合した。ウイルスを、軸索におけるオプシン蓄積のための十分な時間にするため、最低4カ月間発現させた。行動試験前の少なくとも10日間、外部の金属フェルール(直径200μm、0.22 NA、Doric Lenses、Quebec、Canada)を伴う光ファイバーを、2に記述されているように、関心対象の標的構造上に移植した。mPFC移植のための座標は、AP 2.7、ML 0.5、DV 3.8であった。DRNファイバーを、中心的洞および中脳水道の両方を回避するように光から30度の角度にて移植し、ファイバーの先端についての座標は、AP−7.8、ML 0.5、DV 5.9であった。ラットを、外科手術のために調製し、上記の通りに鎮痛薬および液体を与えた。正中切開を行い、頭蓋骨を徹底的に清浄し、頭骨切開をmPFCまたはDRN上で行った。4本の頭蓋骨ネジを取り付け、光ファイバーをmPFCまたはDRN上で降ろした。メタ結合の薄層を、頭蓋骨にハードウェアを確実に取り付けるために使用し、および構造的な支持のために歯科用アクリルのより厚い層を伴った。
【0179】
光の送達。 行動試験の間、外部の光ファイバーを(直径200μm、0.22 NA、Doric Lenses、Quebec、Canada)、ジルコニアスリーブと共に移植された光ファイバーに接続する。光交換子により無制限の回転を可能になった(Doric Lenses、Quebec、Canada)(3)。光刺激を100mW 473nmダイオードポンピングされた固体レーザー(OEM Lazer Systems, Inc., Salt Lake City、UT)で提供して、Master−8刺激発生器(A.M.P.I.、Jerusalem、Israel)によって制御した。光パルスを、行動および神経データと同時に、Digital Lynxデータ取得システム(Neuralynx、Bozeman、CA)で記録した。20Hzにて長さ5msの光パルスでのパルス過程を全ての実験のために使用した。mPFC細胞体刺激実験には、3mWの光(ファイバー先端にて24mW/ mm)を使用した。mPFC−DRN軸索刺激実験には、20mWの光(ファイバー先端にて159mW/ mm)を使用した。この部位ではより低い蛍光、より低いオプシン発現の指標であるため、DRN軸索刺激実験の間により大きな光出力を必要とした。
【0180】
強制水泳試験。 これらの実験4のために、Porsolt 強制水泳試験を利用した。水泳タンクを40cmの高さまで25℃の水で満たした。誘導コイルを、上記のとおりにタンク周辺に配置し、および小さな磁石をラットの後ろ足に取り付けた。ラットは、事前曝露のために、1日目に15分間、FSTにおいて明るい/暗いサイクルの明るい部分の間に置いた。次いで、これらをタオルで乾かし、ホームケージに戻る前に暖めるために10分間加熱ランプ下に置いた。データは、24時間後に行った2回目の15〜20分の試験の間に収集した。外部の光ファイバーをFSTタンクの上に吊るし、ジルコニア外筒と共に移植された光ファイバーに取り付けた。光刺激での実験の間に、刺激は、無刺激で開始して、合計20分間上記のパラメーターを使用して、2分間の時期において点けるおよび消すの間を交互にした。誘導コイルデータ、ビデオデータおよびレーザパルス時間データを全ての実験について収集した。FSTタンク水を各動物間で交換した。
【0181】
オープンフィールド試験。 外部光ファイバーを、オープンフィールドの上に吊るし、ジルコニア外筒と共に移植された光ファイバーに取り付けた。ラットを白く、薄暗く照らされたオープンフィールドチャンバー(105×105cm)の中心に配置し、および自由に環境を探索させた。光刺激は、合計で15分間、無刺激で開始して、3分の時期において点けるおよび消すの間を交互にした。ビデオカメラは、オープンフィールドの上に直接配置し、および歩行運動活動は、Viewer2ソフトウェア(BiObserve、Fort Lee、NJ)で検出し、および解析した。レーザパルス時間データを収集し、および行動データに同調させた。
【0182】
麻酔下のインビボ記録。 同時二重部位記録およびmPFCおよびDRNの光刺激を、AAV5 CaMKIIα−ChR2−EYFP構築物をmPFCに形質導入した麻酔されたラットにおいて、以前3に(previously3)記述されたように行った。ラットを、記録開始前にイソフルランで深く麻酔した。正中切開を行って、皮膚を反転した。直径2〜3mmの頭骨切開を、mPFC(垂直貫入)およびDRN(30°貫入)の上で行った。200μm 0.37 NA光ファイバー(Thorlabs Inc., Newton、NJ)に接続された1 Mohmエポキシ被覆タングステン電極(A-M Systems, Sequim、WA)は、定位的に低くしたユニットであったし、ユニットは、mPFC記録についてAP 2.7、ML 0.5、DV 3.6およびDRN記録についてAP−7.8、ML 0.5、DV 6.0(30°貫入)にて開始して絶縁した。記録されたシグナルは、0.3〜10kHzの間を帯域通過し、10000×増幅し(A-M Systems)、30kHzにてデジタル化し(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)、およびClampexソフトウェア(Molecular Devices)で記録した。光刺激は、100mW 473nmダイオードポンピングされた固体レーザー(OEM Lazer Systems, Inc.、Salt Lake City、UT)で提供した。Clampexソフトウェアを、神経データを記録する、およびレーザー出力を制御するための両方に使用した。1mW(ファイバー先端にて8mW/mm)〜20mW(159mW/mm)間の光出力を使用した。全ての実験の終わりに、電流を電極を介して流して(30秒間50μA)解剖局所に対して電解破壊を行った。
【0183】
組織学、免疫組織化学および共焦点画像法。 ラットを、Beuthanasia−Dで深く麻酔をかけ、およびPBS(pH 7.4)中の氷冷した4%パラホルムアルデヒド(PFA)で経心的に灌流した。脳をPFA中で一晩固定し、次いでPBS中の30%スクロースへ移して少なくとも3日間平衡化した。mPFCおよびDRNを介した40μmの冠状切断を凍結ミクロトーム上で切断し、4℃にて凍結保護物質中に保存した。切片をPBSで洗浄し、0.3% Triton X−100およびPBS中の3% 正常ロバ血清(NDS)中で30分間インキュベートした。切片をPBS中の3% NDSにおいて4℃にて一晩、一次抗体と共にインキュベートした(ウサギ抗5HT 1:1000、ImmunoStar、Hudson、WI)。次いで、これらをPBS中で洗浄して、室温にて3時間Cy5抱合二次抗体と共にインキュベートした(1:500、Jackson ory、West Grove、PA)。切片をPBS中で洗浄し、およびDAPI(1:50000)中で10分間インキュベートし、および次いで再び洗浄して、PVA−DABCOを伴うスライド上にマウントした。イメージを、10×空気対物レンズまたは40×油浸対物レンズでライカTCS SP5走査型レーザー顕微鏡を使用して取得した。
【0184】
データ解析。 スパイクは、Offline Sorterソフトウェア(Plexon Inc、Dallas、TX)にインポートして、オフラインで波形特徴(ピークおよび谷高さ)および主成分を使用してソートした。神経データおよび行動データの解析は、カスタム書込されたMatlab(Mathworks、Natick, MA)スクリプトおよびNeuroexplorerデータ分析パッケージ(Nex Technologies、Littleton、MA)を使用して行った。統計的有意性は、全ての解析においてp<=0.05と定義した。誘導コイルデータを参照し、およびゼロ−相を1〜6Hzにてオフラインでフィルターし、これにより個々のキックの形状を保つが、高周波ラインノイズを減少させる。次いで、参照およびフィルターしたコイルデータを統合し、および閾値を定め(最大偏差の10%に)、および個々のキックに対応するピークを検出した(図1)。もがく間に行われたキックは、記録されたシグナルにおける大きなふれに対応し、受動的な浮遊の期間から容易に分けることができた。瞬間的なキック頻度は、10秒ビンにおける秒あたりのキックの平均数として定義した。自動的に記録される不動は、1秒より大きいキックの間のギャップを伴う時期を静止として記録することによって決定した。同じ解析を、慣れたケージ記録の間に収集した誘導コイルデータにおいて行った。この場合において、誘導コイルデータは、1〜20Hzにてフィルターし、最大偏差の4%にて閾値を定め、および単極工程波形がこれらのパラメーターを使用してより容易に検出されたので、統合しなかった。自動的に記録された行動データを、記録方法間が対応していることを決定するために、手動で記録した行動データに対して回帰推定した。R二乗およびF統計およびp値は、この回帰分析に由来した。異なる行動時期間の神経発火率における統計的に有意な相違の決定は、ウィルコクソン順位和検定を使用して行った。最初に、ニューロンを、FST前時期とFST時期の間の発火率における相違について試験した。この解析のために、神経および行動データを、10秒間隔に分けた(binned)。次いで、ニューロンをFSTの間の移動および不動の状態の間の発火率の相違について試験した。この解析のために、移動および不動の行動時期を2つの異なる連続的なデータストリームに分け、および次いで10秒のビンを使用して、上のように統計学的に試験した。
【0185】
図2において使用した選択指数は、合計によって分った状態間の発火率における相違として定義した。推定される速いスパイク抑制性ニューロンを同定するための基準は、20Hzを超える発火率および狭い波形5(waveform5)であった。図3における行動データの統計的有意性は、ウィルコクソン符号順位検定を使用して決定した。最初に、データを線形にトレンド除去した。図4に示した瞬間的な平均発火率を、10秒ビンにおいて算出し、再び個々のニューロンについての統計的有意性をウィルコクソン順位和検定を使用して算出した。移動−不動の相違の分布を、同等の分散のためのF検定を使用して、刺激および非刺激状態の間の分散における変化について試験した。傾きの相違を、共分散分析(ANCOVA)で試験した。
【0186】
結果
挑戦的条件下で活発な労力を伴ってエネルギーを費やす行動は、特にこのような行動は、必ずしも最も適応性の行動を示しうるわけではないため、生物にとって重大な決定となる。活発な行動パターンを(むしろよりエネルギーを保存する受動的または抑鬱タイプのパターンよりも)、極めて困難な環境にもかかわらず選択するとき、予想した結果がエネルギーの消費に見合うという評価を行ったのであろう。逆に、生物が挑戦的な状況において活発でない行動パターンを選択するとき、決定は、効果が実を結ばない可能性が高いという予想であり得る。その上、不行動を引き起こすこのような予想は、精神運動妨害および絶望などの臨床的症候(ほぼ20%の生涯有病率および広範な社会経済問題がある疾患の大うつ病の特徴を定義するコア(9)を含む、ヒトにおける順応不良になり得る。
【0187】
我々は、自由に移動する哺乳類における制限された回路要素のセットのターゲットされた制御で行動状態選択を調節するこれらの高レベルの過程を探ることを探究した。このような意思決定の神経性土台についてはほとんど公知でなく、特にこれらの挙動をターゲットにするための、広く有効な医学的療法は存在しない。しかし、増加している証拠が、前頭葉前部皮質(PFC)が関与しうることを示唆し、PFCは、思考および行動を協調させる役割を果たし、および目標指向行動、計画および認知制御のために重要なことが示されている(10、11)−これらの全ては、疾患に関連した前頭葉の機能低下(5、18)と一致して、うつ病などの病理学的状態において障害される(12〜17)。
【0188】
そのうえ、齧歯類における内側PFC(mPFC)の下方辺縁領域に類似すると考えられる梁下帯状回の深部脳刺激(DBS)は、治療抵抗性患者において抗うつ効果を誘発する(19)。齧歯類mPFCの電気刺激は、強制水泳試験において不動の際の抗抑うつ剤様の低下を誘導し(20、21)、mPFCの光遺伝的刺激は、スクロース消費における抗抑うつ剤様の効果および社会的挫折(興奮性および阻害性ニューロンの両方が並行して刺激される場合)を有し(22)、および齧歯類におけるmPFCは、反発力の獲得および学習性無力(23、24)に対する行動作用の保護効果(大うつ病のモデル重要な特徴と考えられる)を媒介するようである(25)。最後に、ヒト患者における神経画像処理研究は、うつ病および憂鬱な状態において異常な活性を示すPFCを含む脳領域に注意を集めるのに役だった(5、6、26)。
【0189】
PFC(多くの役割および多様な求心路および遠心路を伴う広く、かつ複雑な領域)に向けられているこれらの先駆的労力にもかかわらず、どの特異的神経路が、挑戦的状況に応答する目標指向行動のリアルタイム選択に関与するかは不明である。強制水泳試験(FST)は、齧歯類(27)において広く使用される行動試験として、この問題に関連する。FSTでは、齧歯類を逃げられない水のタンクに配置し、および受動的な浮遊または不動の時期は、行動的絶望の状態を反映すると考えられ(27)、積極的な逃避行動の時期とともに散在する。FSTにおける不動は、抗うつ薬(28)およびストレス(29)によって影響される。FSTにおける積極的な逃避と行動的絶望状態との間の移行は、明瞭に境界を定められ、原則として行動状態の明白な、瞬間的な分類、および挑戦への積極的な行動応答を採るという決定の基礎をなす神経動態を調査するための機会を提供する。しかし、我々の知る限りでは、神経活動は、自由に泳ぐ動物における神経活動を記録し、および制御する際の基本的な技術的障壁のため、FSTの間に行動する動物において今まで記録されていなかった。
【0190】
この課題に対処するために、FSTの間の、光遺伝的制御と並んで、ミリ秒精度の神経および行動データの記録のための方法の新たなセットを開発した(図5)。個々の泳ぎキックを検出するために、磁気誘導法を設計し、水のFSTタンクを誘導コイルによって囲み、および小さな磁石を後ろ足に取り付けた(図5a)。FSTの間に、各キックは、コイルに電流を誘導した(図5b)。単一のキックをきれいに単離することができ(図6)、およびキック頻度は、手動で記録した不動に十分に対応し(図5c)、行動状態の信頼できる測定を提供した(図5d)。加えて、我々は、この方法を使用して慣れたケージにおける活動の間の移動および静止状態を記録したが、これは、以前に観察されたように、パーキンソン病ラットにおける震動測定について手動で記録したデータ(図7)とよく一致した(30)。遊泳の間によく単離された単一のユニットおよび局所野電位を記録するために、四極管マイクロドライブまたは固定されたワイヤーアレイを移植し、次いで防水した。
【0191】
これらの条件下で、FSTの静止および移動の両方の状態の間に単一のユニットを確実に単離することができた(図5e)。実際に、高い時間精度で積極的な逃避行動と不動状態との間の移行を検出すること、および進行中の神経活動とこれらの挙動を関連づけることができた(図8)。我々は、mPFCにターゲットされた4−四極管マイクロドライブ(6匹のラット)または24−電極電線アレイ(5匹のラット)を使用して神経活動を記録した(図8a)。データの3つの時期を、常法で記録した(図8b):慣れたケージにおけるFST前の15分、FSTの間の15分および慣れたケージに戻った後のFST後15分。我々は、多くのmPFCニューロンが、FSTの間に活動する、または活動を控えるという決定を特異的に反映するようにみえる方法で挙動の間に強く調節されることを見いだした。例となるニューロンを示す(図8c〜d)。このニューロンは、主に不動FST前後の時期の間に高度に活発であったが、FSTの間、これは移動状態の間に活発なままであり、および不動状態の間に阻害された。したがって、このニューロンは、単に歩行運動活動を符号化せず、しかしその代わりに、伝統的に定義された行動的絶望の状態に対応するFST不動の間に特異的に阻害された。我々は、記録された集団(23/160、14%)においてこの驚くべき活動のプロフィールを示す多くのニューロンを見いだした。全てのラットは、FST前の時期の間に最小の運動活動を(全てのラットの88%を上回る不動、平均97%の不動)およびFST時期の間に中程度から高レベルの運動活動を(全てのラットの79%未満の不動、平均39%の不動、図8e)示した。大部分の記録されたニューロン(129/160、81%)は、FST前とFST時期との間の発火率における有意な変化を示した(図8f、上部)。平均では、このニューロンの集団は、FST時期(80/129、62%)の間に阻害されたが、時期選択性の全ての範囲を反映するニューロンを記録した。また、多くのニューロン(70/160、44%)は、FST時期内に、移動と不動状態との間で発火率における相違を示した(図8f、下部)。大部分のこれらのニューロンは、移動状態の間に活性化され、不動状態(51/70、73%)の間に阻害したが、移動状態の間に阻害されたニューロンも検出された。
【0192】
次いで、4つの四分円の中の時期および移動依存的な神経選択性の同時分布を調べ(図8g)、およびこれが高度に非対称であることを見いだした。これらの2つ、右上および左下の四半部は、運動活動と神経活動との間で直接の相関関係を示した。たとえば、右上四分円におけるニューロンは、不動のFST前の時期の間より主に移動FST時期の間により活発であり、およびFST時期内では、移動状態の間により活発であった。その他の2つの四分円(左上および右下の四半部)は、反転した相関性を示した。左上四分円において、より活発なFST時期の間に鎮められたニューロンは、FST内での逃避行動の間に実際に活性化され、および右下の四半部におけるニューロンは、逆になった。したがって、これらの群内で見いだされる活性のプロフィールは、単に運動活動に依存しなかった。興味深いことに、生の番号に関して、および個々のニューロンによって示される選択性の強度の両方に関して、これらの状態の間に活性化されたニューロンがあるよりも、不動の、行動的絶望様の状態の間に阻害されたニューロンが多くあるようにみえた。最後に、我々は、推定の速いスパイク介在ニューロンが、両方の選択性の次元に沿って調整の程度が減少したことを示し、挑戦への行動応答を反映するシグナルが、興奮性または投射ニューロンにおいてより強く示され得ることを示していることに注目した。
【0193】
我々が記録したmPFCニューロンは、選択性プロフィールの範囲を示したので、mPFCにおいて局所的ニューロンを光遺伝的に活性化することが、FSTの間の挙動に対して正味効果を必ずしも有することは明らかでなかった。これを試験するために、我々は、CaMKIIαプロモーターの制御下で増強された黄色蛍光タンパク質(ChR2−EYFP)に融合されたチャネルロドプシン−2を発現するアデノ関連ウイルスベクター(AAV5)を使用して、mPFC内の興奮性ニューロンに対するオプシン発現を制限した。ウイルスをmPFCに注入して、およびミニチュア光ファイバーを縁前領域上に移植した(図9a〜b)。これらのニューロンの機能的ターゲティングを、mPFCにおける麻酔をかけたオプトロード記録および照明によるスパイク活性の実証によって確認したが(図10a)、しかし驚くべきことに、これらのニューロンを、FSTの間に2分の時期において照射したときに、我々は、刺激が不動のわずかな減少さえ生じさせるために十分でないことを見いだした(図9c)。また、我々は、歩行運動活動において刺激で誘導される変化を評価するためにオープンフィールド試験(OFT)においてこれらのラットを試験し、および同様に全体の歩行運動効果の証拠を見出さなかった(図10b)。これらのFST結果の一つの解釈は、局所的PFCニューロンが、移動および不動と関連した行動状態変化と相関し得るが、しかし原因として関与しないということであり、あるいは、これは、いくつかの局所的PFCニューロンが非常に関与するが、しかし、その他は、原因となる機能ではなく、または対抗し、および共に駆動されたときに、行動に対する正味効果がみられないということであろう。
【0194】
したがって、我々は、次に、光遺伝的刺激をmPFCニューロンの減少した集団に制限することにより、動機づけされた行動状態における変化を誘導することが可能であり得ると仮定した。mPFCは、動機づけされた挙動およびうつ病に関係したいくつかの下流の脳領域を投影することが公知であり(31)、これらの中には、背側縫線核(DRN)があり(32)、9セロトニン作動性核で最も大きく(33、34)、および大うつ病性障害8に関与する。mPFCは、DRNおよび細胞外5−HTレベルの両方の神経活動にわたる制御を及ぼし(23、35)、およびmPFC電気刺激の抗抑うつ剤様の効果は、無処置の5−HTシステムに依存するようにみえるが(20)、しかし、mPFCからDRNへの投射は、これまで行動に対して効果を有することを直接示していない。
【0195】
mPFC−DRN投射を特異的に活性化するために、我々は、最初にAAV5ウイルスベクターを使用して、CaMKIIαプロモーターの制御下のChR2−EYFPをmPFCにおける興奮性ニューロンを形質導入し(図9d)、DRNにおけるmPFC軸索における強いChR2−EYFP発現を引き起こした(図9e;図11a)。我々は、ミニチュア光ファイバーをDRN上に移植すること、およびこの領域におけるmPFC軸索を選択的に照射することにより、DRNに投射するmPFCにおける興奮性ニューロンの部分母集団に対する活性化を制限した(図9d)。機能的ターゲティングを、DRNにおける麻酔をかけたオプトロード記録およびmPFC軸索の照明によるDRNニューロンのスパイク活性の実証によって確認した(図10b)。
【0196】
DRNにおいてChR2−EYFPを発現するmPFCニューロンの軸索をFSTの間に刺激したときに、重大な意味を持つ行動作用を生じた。例の2匹のラットからの誘導コイル行動追跡を示してあり(1匹のChR2−EYFPおよび1匹のEYFPラット、図9f〜g)、対照EYFPの場合でなく、ChR2−EYFPの場合において、各光時期の間のキック頻度の強い増大を示している。この行動作用は、大部分のラットにおいて存在し、急速、可逆的かつ反復可能であった(図9h〜i)。重要なことに、この投射の刺激は、オープンフィールドにおける歩行運動活動に影響を及ぼさず(図9j)、FSTの間に見られた逃避行動の増大が非特異的運動活動化の結果でなかったことを再び証明した。この結果は、図9cに示したように、非特異的に全てのmPFC興奮性ニューロンを駆動することにより見られる効果の欠如とは正反対であり、投射標的によって定義される部分母集団を分離することの重要性を証明しており、および挑戦的な環境に応答する目標指向行動を駆動する際の特異的なPFCから脳幹への神経路の必然的な役割を表している。
【0197】
最後に、この光遺伝的誘導される行動作用が、どのようにFSTの間の行動状態のmPFC神経性符号化に影響し得るかを探索した。この実験のために、我々は、mPFC主要ニューロンにChR2− EYFPを発現して、およびこの投射により細胞を特異的に活性化するために、DRN上に光ファイバーを挿入した。加えて、我々は、同mPFC上に24電極の固定したワイヤーアレイを移植して、これらのニューロンにおける神経活動を記録すると共に、時にmPFC−DRN投射を刺激した(図12a)。3匹のラットからの神経活動を記録し、その全てが強い光で誘発される行動作用を示した(図12b)。その上、光刺激は、ほとんど全ての記録されたmPFCニューロン(31/34、91%)における発火率に影響を及ぼした。集団全体の平均発火率は、刺激時期の間にわずかに増加したが(図12c)、具体的な行動状態の選択と一致して、より多くのニューロンが刺激によって興奮される(9/31、29%)よりも有意に阻害され(22/31、71%)、およびmPFCに対するmPFC−>DRN刺激の正味の効果が、mPFCネットワークの相対的に強くなまばらな興奮と関連した広範囲にわたる弱い阻害であることを示唆した。また、我々は、行動状態に関連した情報が刺激時期の間にPFCに減少された点に注目した。
【0198】
移動および不動の状態間の発火率における相違を、FSTにおいて光刺激のない時期の間に試験したとき、ニューロンの62%(21/34)が有意に調節された。しかし、これらの同じニューロンを、光刺激の間に移動および不動の状態の間の発火率における相違について試験したとき、有意な選択性であった比率は、21%(7/34)まで劇的に下降した。各ニューロンについての移動対不動発火率の試験により、この効果を例証する(図12d)。刺激の間の発火率は、刺激のない時期の間の発火率よりも移動状態に対して少ない依存性を示した。これらの点は、最良適合ライン周辺でより密接な分布を有する。移動および不動お状態の間の発火率における未加工の相違を試験し、およびこの相違の分布が、刺激の間に有意に狭いことを観察した(図12e〜f)。刺激および非刺激状態の間で、勾配における有意な相違はなかった(共分散分析、p = .2041)。
【0199】
記録したニューロンの集団を図8gに記述した4つの四分円に分けることにより、我々亜h、移動−不動符号化における減少が、全ての細胞型に当てはまること(図12g)、およびこの減少が、ニューロンがこれらの平均発火率を増加する、減少する、または維持するかどうかがわかることに注目した。光刺激の間の行動状態のmPFC符号化におけるこの減少は、外因的に適用された目標配向で駆動される刺激の存在下において、この特異的な内因性PFC活性パターンをさらに漸加するための要求の減少を反映し得る。興味深いことに、光刺激は、FST後の時期の間の移動符号化に対して効果を有さなかった(図12h〜j)。
【0200】
本明細書で、我々は、瞬間的な行動状態の高速の読み出しと組み合わせて、強制水泳において電気的記録および光遺伝的制御を可能にする新規の技術を使用して、挑戦的な状況における目標指向行動の選択に関与する神経性相関物および原因となる神経路の両方を探索した。我々は、異なる生理的に定義されるmPFC神経集団の存在を証明した−一方は、行動的絶望様の状態の時期の間に選択的に阻害され、および他方は、選択的に活性化された。また、我々は、mPFCにおける全ての興奮性ニューロンの活性化は、この挙動に対して正味効果を有さないものの、DRNに対して投射するこれらのmPFCニューロンの選択的な活性化は、非特異的な運動活性化を伴わずに挑戦に応答した活発な行動状態の選択に対して重大な意味を持つ、急速な、および可逆的な効果を有することを証明した。
【0201】
要約すると、これらの生理的および行動的結果は、挑戦的な状況に対する行動応答の基礎をなす神経動態を記述し、および正常および病理学的状態の両方の行動パターン選択を理解するための潜在的に意味をもつ、この応答を実行する際のDRNのmPFC制御の必然的な重要性を証明する。
【0202】
図5A〜E:自動化されたFSTは、同時に記録した神経データと同調することができる高い時間分解能行動読み出しを提供する。a)自動化されたFSTの概略図。水のタンクを、ワイヤーのコイルによって囲み、および磁石をラットの後ろ足に具合よく取り付ける。泳ぐ間のコイル内の磁石の移動は、記録することができる電流を誘導する。同時発生的な神経記録を可能にするため、ヘッドステージを防水した。光ファイバーを同時の光刺激のために含むことができる。b)例のFSTコイルトレース。コイル電圧を示す。上段:個々のキックを示す短い6秒の行動コイルトレース。中央:より長い時間尺度での活動を示す、より長い、5分の行動コイルトレース。下段:5分間コイルトレースから見積もった瞬間的なキック頻度。c)平均キック頻度は、手動で記録した不動見積りに十分に対応する。d)誘導コイルに由来するFST不動の見積りは、手動で記録した不動見積りに密接に対応する。e)FSTの間に記録した4つのよく単離された単一のmPFCユニット。
【0203】
図6Aおよび6B:強制水泳試験における個々のキックの検出。a)最初に、誘導コイルトレースをフィルターし(1〜6Hz)、および次いで各キックの中間点にてピークを生じるように統合した。次いで、統合したトレースを、閾値を定め(最大偏差の10%)、およびピークを検出する。閾値を灰色で示す。b)フィルター下統合前のコイルトレース。キック回数は、各キックの中間点に対応する。
【0204】
図7A〜C:磁気誘導法を、ケージにおける不動を検出するために使用することができる。a)誘導コイルトレースをフィルターし(1〜20Hz)、閾値を定め(最大偏差の4%)、およびピークを検出する。工程と関連する単極波形のため、ケージコイルトレースをピークの検出の前に統合しない。b)自動的に記録したケージ不動は、手動で記録されたケージ不動によく対応する。c)平均工程頻度は、手動で記録された不動によく対応する。
【0205】
図8A〜G:前頭葉前部ニューロン活動は、FST行動状態を符号化する。a)4−四極管マイクロドライブ(6匹のラット)または24電極の固定されたワイヤーアレイ(5匹のラット)を、mPFC上に移植した。b)慣れたケージにおける15分間のFST前データ(FST前)、FSTの間の15分間(FST)および慣れたケージにおけるFST後の15分間(FST後)を記録した。c)FSTにおける不動状態の間に特異的に阻害される例のニューロンの棒グラフ。このニューロンは、主に不動のFST前および後の時期および移動のFST状態の間に高い割合で発火するが、不動FST状態の間に特異的に阻害される(ウィルコクソン順位和検定、p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001)。d)同じニューロンのラスタープロット。黒でコイルトレース、紫で移動性状態、赤でスパイク。上段:慣れたケージにおけるFST前の活動。このニューロンは、FST前の時期の全体にわたって高い割合で発火し、ラットは、ほぼ完全に不動である(98%不動)。中央:FSTの間の活性。このニューロンは、移動状態の間に高い割合にて発火するが、行動的絶望様の状態に対応する不動状態の間に阻害される。下段:慣れたケージにおけるFST後の活動。このニューロンは、再び、FST後の時期の全体にわたって強く発火し、ラットの大部分は、不動である(94%不動)。e)全ての11匹のラットからのFST前およびFST試験の時期の間の行動データ。ラットは、慣れたケージにおけるFST前の期間の間にほぼ完全に不動であるが(97%静止)、FSTの間にさらに活発であった(39%静止)。f)集団選択性インデックスの分布(補足方法を参照されたい)。上段:FST前対FST時期。FST前対FSTに対して著しく選択的な全てのニューロンを示す。広範囲の選択性プロフィールを表す。下段:移動対不動のFST状態。移動対不動のFST状態に対して著しく選択的な全てのニューロンを示す。大部分のニューロンは、不動のFST状態の間よりも、移動のFST状態の間により発火した。g)左上の四分円は、選択性インデックスの同時分布。FSTにおける不動の状態の間に特異的に阻害されたニューロンに対応し、一方で、右下の四半部は、これらの状態の間に特異的に活性化されたニューロンを示す。黒丸:課題時期および移動の両方に対して選択的なニューロン。赤丸:例のニューロン。青丸:推定の阻害性の速いスパイクニューロン。灰色丸:有意に選択的でないニューロン。全ての記録したニューロンを示す。
【0206】
図9A〜J:興奮性mPFC細胞体でなく、DRNにおけるmPFC軸索の光遺伝的刺激は、挑戦する状況における迅速かつ可逆的な行動活性化を誘導する。a)AAV5 CaMKIIα−ChR2−EYFPまたはCaMKIIα−EYFPをmPFCにおいて両側に注入して、および光ファイバーを感染させた細胞体上に移植した。b)mPFCにおけるEYFP蛍光。c)ChR2−EYFP(左、n=10)およびEYFP(右、n=8)ラットからの行動データ。ChR2− EYFPラットにおける興奮性mPFC細胞体の照明は、行動作用を誘導しなかった(トレンド除去したデータ、光を点けた対光を消した、ウィルコクソン符号順位検定、p=0.23)。灰色の線は、個々のラットを表し、一方で、より濃い線は、ChR2−EYFP(赤)またはEYFP(黒)ラットについての行動平均を示す。青い棒は、光を点けたことを示す。d)AAV5 CaMKIIα−ChR2−EYFPまたはCaMKIIα−EYFPを、mPFCにおいて両側に注入し、および光ファイバーを、mPFC−DRN軸索を特異的に活性化するためにDRN上に移植した。e)DRNにおけるmPFC軸索におけるEYFP蛍光(5−HTを免疫染色した)。f)1匹のChR2−EYFP発現するラットからの行動データ。上段、中央:コイルトレース。下段:キック頻度。キック頻度は、光刺激の間に増加する。青い棒は、光を点けたことを示す。g)1匹のEYFPを発現するラットからの行動データ。上段:コイルトレース。下段:キック頻度。キック頻度は、光刺激による影響を受けない。h)全てのラットからの行動データ。左:ChR2−EYFPラット(n=16)。DRNにおけるChR2を発現するmPFC軸索の照明は、FSTにおいて迅速かつ可逆的な行動活性化を誘導した。右:EYFPラット(n=12)。DRNにおけるEYFPを発現するmPFC軸索の照明は、行動に影響を及ぼさなかった。i)直線的にhから非傾向を示されたデータ。光刺激の間のキック頻度は、EYFPラット(ウィルコクソン符号順位検定、p=0.39;p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001)ではなくChR2−EYFPラット(ウィルコクソン符号順位検定、p=1.04e−11)における照明の間に有意に増加した。j)オープンフィールド試験。DRN投射mPFCニューロンの光刺激は、ChR2−EYFPラット(n=12、ウィルコクソン符号順位検を定、p=0.59)またはEYFPラット(n=12、ウィルコクソン符号順位検定、p=0.71)における歩行運動活動に対して非特異的な効果を有さなかった。
【0207】
図10Aおよび10B:ラットmPFCの光遺伝的刺激。a)AAV5 CaMKIIα−ChR2− EYFPを、mPFCにおいて両側に注入した。オプトロード記録により、局所的細胞体照明によって誘導されるmPFCにおけるスパイク活動を検出した。b)オープンフィールド試験。AAV5 CaMKIIα−ChR2−EYFPまたはAAV5 CaMKIIα−EYFPを、mPFCにおいて両側に注入した。mPFCの光刺激は、ChR2−EYFPラット(ウィルコクソン符号順位検定、p=0.50、n=10)またはEYFPラット(ウィルコクソン符号順位検定、p=0.09、n=8)のいずれにおける速度にも影響を及ぼさなかった。赤線は、ChR2−EYFP群平均を示す。灰色線は、EYFP群平均を示す。青棒は、光が点いたことを示す。有意性算出は、トレンド除去したデータにおいて行った。
【0208】
図11Aおよび11B:DRN組織学およびオプトロード記録。a)AAV5 CaMKIIα−ChR2− EYFPを、mPFCにおいて両側に注入した。DRNにおけるmPFC軸索におけるEYFP蛍光を緑で示し、5−HTに対する免疫染色を赤で示し、および核のDAPI染色を白で示す。b)AAV5 CaMKIIα−ChR2−EYFPを、mPFCにおいて両側に注入した。DRNにおけるオプトロード記録により、DRNにおけるmPFC軸索の照明によって誘導される局所的スパイク活動を検出した。スパイクは、全ての光パルスで誘発されるというわけではなかった。12の重ねたトレースを示す。
【0209】
図12A〜J:DRN投射mPFCニューロンの光遺伝的刺激は、移動のmPFC符号化することを減少させる。a)AAV5 CaMKIIα−ChR2−EYFPを、mPFCに両側に注入し、光ファイバーをDRN上に移植した。24電極の固定されたワイヤーアレイをmPFCにターゲットした。 b)全ての3匹の注射し、および移植したラットは、刺激の間にFST移動における強い増大を示した。c)mPFC−DRNの光刺激は、平均mPFC発火率における適度の増大を誘導した(しかし、テキストを参照されたい)。d)DRNにおけるmPFC軸索の照明は、FSTの間に移動状態のmPFC符号化を減少させた。それぞれの点は、1つのニューロンを示す。黒い正方形は、光刺激なしのニューロンの移動対不動の発火率を示す。一方、青丸は、光刺激での移動対不動の発火率を示す。光刺激は、これらの点を最良適合ライン周辺に密接に密集させる。光刺激での有意な傾きの変化はなかった(共分散分析、p=0.20)。e〜f)移動および不動の状態の間の発火率における変化のヒストグラム。上段:光刺激なし。下段:光刺激。照明は、この分布における分散を減少させ(同等の分散のためのF検定、p=2.11e−4)、これらのニューロンにおける移動状態の符号化を減少させることを示す。g)ニューロンの全ての4つの四分円は(図2fを参照されたい)、光刺激での移動状態を符号化の減少を示す。h〜j)ラットが慣れたケージにおり、かつFSTに従事しない場合には、刺激は、移動状態符号化に対して有意な効果がない。
【0210】
参照
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【0211】
実施例3:条件付き配置嫌悪におけるドーパミンニューロンの役割
マウスは、実施例1に記載したとおりであった。THcre/eNpHR3.0−eYFPマウスおよびTHcre/eYFP(THcre/eNpHR3.0−eYFP)マウスを、条件付き場所試験に供した。結果を図13Aおよび13Bに示した。
【0212】
図13A。THcre+マウスをAAV5−flox−eNpHR3.0−eYFPまたはAAV5−flox−eYFPでVTAに感染した。2つの群は、有意に異なる成績を示した(F(1,16)= 5、p≦0.001)。2つの条件付けセッション(琥珀の箱)は、THcre+/eNpHR3.0−eYFPマウスにおける条件付けチャンバーの嫌悪を誘導するために十分である(**p≦0.01、t(3.3;14))。THcre+/eNpHR3.0−eYFPマウスのみが、全ての実験の間に嫌悪を示した(F(3,21)=7.7 ***p?0.001)(条件付け日2間でTHcre+/eNpHR3.0−eYFP対THcre+/eYFP p≦0.05、t(2.3;16);試験日間でTHcre+/eNpHR3.0−eYFP対THcre+/eYFP p≦0.05(t(2.2;16)))。図13Aにおいて、上の線はThcre/eYFPであり、下の線はTHcre/eNpHR2.0−eYFPである。図13B。両方のチャンバーにおいてマウスによって費やされる時間が同等であるので、試験前の間に最初の嫌悪がないことに留意されたい。条件付け後、VTA DA細胞においてeNpHR3.0−eYFPを発現するマウスは、条件付きチャンバーに対して試験日に明らかな嫌悪を示すが(THcre+/eNpHR3.0−eYFPマウスについての試験前対試験日p≦0.05、 t(2.5;14))、対照マウスでは示さない(試験日におけるTHcre+/eNpHR3.0−eYFP対THcre+/eYFP p≦0.05 t2.2;16 n= 10)、。図13Bにおいて、「試験前」および「試験」データセットにおける左側の棒は、THcre/eYFPである。「試験前」および「試験」データセットにおける右側の棒は、THcre/eNpHR3.0−eYFPである。
【0213】
本発明は、その具体的態様に関して記述してあるが、当業者には、その種々の変更を行ってもよいこと、および均等物を本発明の真の趣旨および範囲を逸脱しない範囲で置換してもよいことが理解されるはずである。加えて、特定の状況、材料、化合物、プロセス、プロセス工程または工程を適応するために、本発明の目的、精神および範囲に多くの改変を行ってもよい。全てのこのような改変は、本明細書に添付した特許請求の範囲内であることが意図される。
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図9-1】
図9-2】
図10
図11
図12-1】
図12-2】
図13
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]