(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396907
(24)【登録日】2018年9月7日
    
      
        (45)【発行日】2018年9月26日
      
    (54)【発明の名称】第3級アミノ修飾セルロース誘導体を含有する生地及び表面処理組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D   3/37        20060101AFI20180913BHJP        
   C11D   1/22        20060101ALI20180913BHJP        
   C11D   1/29        20060101ALI20180913BHJP        
   C11D   1/72        20060101ALI20180913BHJP        
   C11D   3/10        20060101ALI20180913BHJP        
   C11D   3/395       20060101ALI20180913BHJP        
   C11D   3/22        20060101ALI20180913BHJP        
   C08L   1/26        20060101ALI20180913BHJP        
   C08K   5/42        20060101ALI20180913BHJP        
   C08K   5/41        20060101ALI20180913BHJP        
【FI】
   C11D3/37
   C11D1/22
   C11D1/29
   C11D1/72
   C11D3/10
   C11D3/395
   C11D3/22
   C08L1/26
   C08K5/42
   C08K5/41
【請求項の数】6
【全頁数】18
      (21)【出願番号】特願2015-534617(P2015-534617)
(86)(22)【出願日】2013年9月25日
    
      (65)【公表番号】特表2016-500713(P2016-500713A)
(43)【公表日】2016年1月14日
    
      (86)【国際出願番号】US2013061590
    
      (87)【国際公開番号】WO2014052396
(87)【国際公開日】20140403
    【審査請求日】2016年9月12日
      (31)【優先権主張番号】61/707,306
(32)【優先日】2012年9月28日
(33)【優先権主張国】US
    
      
        
          (73)【特許権者】
【識別番号】591123001
【氏名又は名称】ユニオン  カーバイド  ケミカルズ  アンド  プラスティックス  テクノロジー  エルエルシー
          (73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム  アンド  ハース  カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM  AND  HAAS  COMPANY
          (74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木  篤
          (74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田  敬
          (74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀  哲次
          (74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田  尚則
          (74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野  知
          (74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷  厚志
        
      
      
        (72)【発明者】
          【氏名】エメット・エム・パーティン
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】ジャン・イー・シャルマン
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】ジョセフィーヌ・エルドリッジ
              
            
        
      
    
      【審査官】
        吉岡  沙織
      
    (56)【参考文献】
      
        【文献】
          特表2007−535620(JP,A)      
        
        【文献】
          米国特許第04011169(US,A)      
        
        【文献】
          特表2011−524456(JP,A)      
        
        【文献】
          国際公開第2010/111576(WO,A2)    
        
        【文献】
          米国特許出願公開第2011/0142779(US,A1)    
        
        【文献】
          特開2012−158674(JP,A)      
        
        【文献】
          特表2012−503082(JP,A)      
        
        【文献】
          特開2011−057747(JP,A)      
        
        【文献】
          特開2011−202149(JP,A)      
        
      
    (58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D      
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
  洗濯又は食器洗浄用組成物であって、以下:
  式I:
【化1】
を有する3級アミン置換セルロース誘導体であって、
  式中、nは、
1,500,000〜2,000,000の重量平均分子量(Mw)を有するポリマーを作製するのに十分な整数であり;
  R
1は、各出現で独立して、H、−CH
3、又は−CH
2CH
2O−R
2であり;そして
  R
2は、各出現で独立して、H、CH
3、又はR
3N(R
4)
2若しくはその塩であり、ここで:
  R
3は、C
1−6アルキレンであり;
  R
4は、各出現で独立してC
1−6アルキルであるか、又はR
4基はどちらも、それらが結合する窒素と共に、飽和又は不飽和5員又は6員複素環を形成してもよく、
但し、ポリマー中少なくとも1つのR
1は、R
3N(R
4)
2基である、3級アミン置換セルロース誘導体;
  少なくとも1つの界面活性物質;及び
  ビルダー;
を含有し、
  前記R
3N(R
4)
2基は永続的に荷電された四級アミンではなく、前記式Iの3級アミン置換セルロース誘導体は、1分子当たりのR
3N(R
4)
2基の3級アミン置換度(DSamine)が0.1〜0.4である、
洗濯又は食器洗浄用組成物。
【請求項2】
  R3が、各出現においてエチレンである、請求項1記載の洗濯又は食器洗浄用組成物。
【請求項3】
  前記3級アミン置換セルロース誘導体が、N,N−ジエチルアミノエチルヒドロキシエチルセルロース、N,N−ジメチルアミノエチルヒドロキシエチルセルロース、N,N−ジイソプロピルアミノエチルヒドロキシエチルセルロース、N,N−ジメチルアミノプロピルヒドロキシエチルセルロース、N−エチルピペリジンヒドロキシエチルセルロース、N−エチルモルホリンヒドロキシエチルセルロース、又はN−エチルピロリジンヒドロキシエチルセルロースの少なくとも1つである、請求項1記載の洗濯又は食器洗浄用組成物。
【請求項4】
  前記界面活性物質が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、ナトリウムアルコールエトキシレート硫酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸とナトリウムアルコールエトキシレート硫酸との混合物、非イオンアルコールエトキシレート、又はそれらの混合物である、請求項1記載の洗濯又は食器洗浄用組成物。
【請求項5】
  無機ビルダー/錯化剤、ソーダ灰、漂白剤、及び/又は漂白活性化剤の1つ以上をさらに含む、請求項1記載の洗濯又は食器洗浄用組成物。
【請求項6】
  ポリエチレングリコール、デンプン、又は粘土の1つ以上をさらに含む、請求項1記載の洗濯又は食器洗浄用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  関連出願への相互参照
  本出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、2012年9月28日出願の米国仮出願第61/707,306号による優先権を主張するものである。
【0002】
  本出願は、洗濯及び食器洗浄用組成物を含む、生地及び表面処理組成物に関する。
 
【背景技術】
【0003】
  PQ−10、PQ−24、及びPQ−67等のポリクオタニウムは4級化セルロース誘導体である。4級化セルロース誘導体の陽性荷電は陰イオン性の木綿上に結合するため洗濯に有用であり、軟化、改善した沈着、のり付け、又は他の従来の利益を提供する。同様に、4級化セルロース誘導体は食器洗浄に有用であり、皮膚への利益、泡の増強、又は他の従来の利益を提供する。しかしながら、ポリクオタニウムにはいくつかの欠点がある場合がある。例えば、ポリクオタニウム−10の製造及び貯蔵による通常の副生産物はトリメチルアミンであり、これは遮蔽すべき望ましくない臭いを有しており、例えば常に無香料の組成物であることができるというわけではない。
【0004】
  これまで、ポリクオタニウムはその溶液のpHとは関係なく永続的に荷電しているために優れていると考えられていたので、3級アミンは生地及び表面処理組成物に使用されてはこなかった。
【0005】
  たとえ性能又は所望の特質におけるわずかな改善であっても、望ましい特質を有する新規の薬剤を開発することを目指す技術に注目することが重要である。
 
【発明を実施するための形態】
【0006】
  一実施形態において、本発明は3級アミン置換セルロース誘導体及び少なくとも1つの界面活性物質を含む、生地及び表面処理組成物を提供する。
 
【0007】
  セルロースは、βアノマー配置によりそれらの1、4位を通じて連鎖した無水グルコース単糖類単位からなる、直鎖、非分枝多糖類であると理解される。ヒドロキシル基の(2、3、又は6位での)置換はセルロース誘導体を産生する。一般的な置換として、メチル(メチルセルロース)、エチル(エチルセルロース)、エトキシ(ヒドロキシエチルセルロース)、イソプロピルオキシ(ヒドロキシプロピルセルロース)、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等のそれらの混合物が挙げられる。ヒドロキシル置換の理論的な限界は3つである。無水グルコース単位が皆同様に置換されるわけではないため、無水グルコース単位1つにつき置換されるヒドロキシル基の平均数は置換度と呼ばれ、すなわち、ポリマー鎖全体にわたる平均値である。
 
【0008】
  置換基の末端ヒドロキシル基を4級アミンでさらに置換して(例えば、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド又は3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドのいずれかを有する、アルキル化ヒドロキシエチルセルロースによる)、永久陽イオン性セルロース誘導体(ポリクオタニウム、PQ−10、PQ−24、及びPQ−67を含む)を形成してもよい。対照的に、3級アミン置換セルロース誘導体は永続的に荷電されない;すなわち、3級アミン上の電荷はpH依存である。一実施形態において、3級アミン置換セルロース誘導体はN,N−ジエチルアミノエチルクロリド塩酸塩をヒドロキシエチルセルロースへ添加することによって調製されるが、他のセルロース誘導体も同様に考慮される。
 
【0009】
  一実施形態において、本発明は、式(I):
【化1】
  を有する3級アミン置換セルロース誘導体を提供し、
  式中、nは、約50,000〜2,000,000の範囲で重量平均分子量(Mw)を有するポリマーを作製するのに十分な整数であり;
  R
1は、各出現で独立して、H、−CH
3、又は−CH
2CH
2O−R
2であり;そして
  R
2は、各出現で独立して、H、CH
3、又はR
3N(R
4)
2若しくはその塩であり、ここで:
  R
3は、C
1−6アルキレンであり;
  R
4は、各出現で独立してC
1−6アルキルであるか、又はR
4基はどちらも、それらが結合する窒素と共に、飽和又は不飽和5員又は6員複素環を形成してもよく、
  但し、ポリマー中少なくとも1つのR
1は、R
3N(R
4)
2基を含有する。
 
【0010】
  用語「アルキレン」とは、非限定的な例がエチレンである、ジラジカルアルキル基を指す。「複素環式」とは、指定された数の炭素原子、並びにN及びOから選択された少なくとも1つのヘテロ原子を含有する環を指し、該環は飽和又は不飽和であるが、芳香族ではない。非限定的な例として、モルホリニル、ピペリジニル、及びピロリジニルが挙げられる。
 
【0011】
  別段に指定されない限り、全てのラジカルは置換されていてもよい実施形態を含む。「置換されていてもよい」とは、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシ、ニトロ、アミノ、アミド、ハロ、又はC
1−3アルキルに関する。
 
【0012】
  別段に示されない限り、例えば「2〜10」にあるような数値の範囲は、範囲を定義する数(例えば、2及び10)を包括する。
 
【0013】
  したがって、例えば式Iは、R
3(C
1−6アルキレン)を−CH
2CH(OH)CH
2−及び−CH
2CH(OH)−として特異的に考慮する。式IのR
3部分は概して、3級アミン(N(R
4)
2又はその塩(例えば、N
+(R
4)
2H)の残部をセルロースエーテルに結合するための、架橋又は係留であると考えられている。R
3の例として、−CH
2−、−CH
2CH
2−、及び−CH
2−CH(CH
3)−が挙げられる。
 
【0014】
  好ましい実施形態において、R
1は、H又は−CH
2CH
2O−R
2である。好ましいセルロース誘導体はヒドロキシエチルセルロースである。
 
【0015】
  好ましい実施形態において、R
3は、−CH
2CH
2−又は−CH
2CH(OH)CH
2−である。
 
【0016】
  好ましい実施形態において、R
4は独立して、CH
3又はCH
2CH
3である。
 
【0017】
  一実施形態において、ケルダール窒素含有量は、約0.02%〜約7.5%、好ましくは約0.1%〜約5%、最も好ましくは約0.2%〜約3%である。
 
【0018】
  一実施形態において、式Iの置換セルロース誘導体は、少なくとも0.1、あるいは少なくとも0.3の置換度(「DS」)を有する。いくつかの実施形態において、置換度は1未満、あるいは0.6以下、又はあるいは0.4以下である。いくつかの実施形態において、置換度は0.1〜0.4である。本明細書において、DSは、ポリマーバックボーン中における無水グルコース反復単位の1モルあたりのR
3N(R
4)
2基のモル数を指す。1DSとは、(平均で)各反復無水グルコース単位が1つのR
3N(R
4)
2基置換基を有することを示す。DSはケルダール窒素分析から決定される。DS測定は、ポリマーバックボーン中のどこで置換が発生するかを予測するものではない。
 
【0019】
  いくつかの実施形態において、式Iの置換セルロース誘導体は、少なくとも300,000ダルトン、あるいは少なくとも400,000ダルトン、あるいは少なくとも1,000,000ダルトン、又はあるいは少なくとも1,500,000ダルトンの範囲の重量平均分子量(Mw)を有する。いくつかの実施形態において、重量平均分子量は約1,500,000〜約2,000,000である。いくつかの実施形態において、重量平均分子量は約1,600,000である。
 
【0020】
  本発明のヒドロキシエチルセルロースの実施形態の非限定的な例として、N,N−ジエチルアミノエチルヒドロキシエチルセルロース、N,N−ジメチルアミノエチルヒドロキシエチルセルロース、N,N−ジイソプロピルアミノエチルヒドロキシエチルセルロース、N,N−ジメチルアミノプロピルヒドロキシエチルセルロース、N−エチルピペリジンヒドロキシエチルセルロース、N−エチルモルホリンヒドロキシエチルセルロース、及びN−エチルピロリジンヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
 
【0021】
  界面活性物質は、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性、若しくは両性界面活性物質、又はそれらの混合物であってもよい。一実施形態において、界面活性物質は直鎖アルキルベンゼンスルホン酸である。一実施形態において、界面活性物質はナトリウムアルコールエトキシレート硫酸である。一実施形態において、界面活性物質は直鎖アルキルベンゼンスルホン酸とナトリウムアルコールエトキシレート硫酸との混合物である。一実施形態において、界面活性物質は、アルコールエトキシレート等の非イオン界面活性物質である。
 
【0022】
  本発明の組成物は、非限定的に、溶媒(例えば、エタノール)、ビルダー、錯化剤、界面活性物質、ヒドロトロープ、共溶媒、補助剤、充填剤(例えば、無機充填剤)、ソーダ灰、漂白剤、漂白活性化剤、及び同様のものを含む、当業者に既知の様々な随意の成分を含有していてもよい。
 
【0023】
  一実施形態において、生地及び表面処理組成物は液体である。好ましい実施形態において、生地及び表面処理組成物はエタノール及び/又はプロピレングリコールをさらに含む。一実施形態において、生地及び表面処理組成物はキシレンスルホン酸ナトリウムをさらに含む。
 
【0024】
  好ましい実施形態において、生地及び表面処理組成物は、粉末洗濯用洗剤、粉末洗濯用洗剤、洗浄液、又は食器洗い用配合物である。使用に際して、生地及び表面処理組成物は織物又は食器を含む硬表面に適用される。
 
【0025】
  一実施形態において、生地及び表面処理組成物は「減少した香り」を有する洗濯用洗剤であり、3級アミン置換セルロース誘導体が4級化セルロース誘導体と置換される同様の配合物と比較して、訓練されたパネリストにより判定された減少した香りとして定義される。
 
【0026】
  一実施形態において、生地及び表面処理組成物は洗濯用芳香増強剤である。洗濯用芳香増強剤配合物に含まれていてもよい更なる随意の添加物として、例えば、ポリエチレングリコール、デンプン、又は粘土のうち1つ以上が挙げられる。
 
【0027】
  一実施形態において、生地及び表面処理組成物は「改善した肌触り」を有する手洗い用食器用洗剤であり、3級アミン置換セルロース誘導体が4級化セルロース誘導体と置換される同様の配合物と比較して、訓練されたパネリストによって美容的に優れていると評価され定義される。
 
【0028】
  当業者は、あらゆる特定の配合物中に存在するであろう、式Iの3級アミン置換セルロース誘導体及び界面活性物質の相対量を、過度に実験をすることなく容易に判定することができる。例として、適切な配合物は、3級アミン置換セルロース誘導体及び界面活性物質の総重量に基づく0.05〜2.0重量パーセントの3級アミン置換セルロース誘導体を含有し得る。
 
【0029】
  以下の実施例は例証のみを目的とし、本発明の範囲を限定するようには意図していない。全てのパーセンテージは、別段に指定されない限り重量パーセントである。
 
【0030】
  合成例
  第3級アミノ修飾セルロース誘導体を、以下の基本手順を使用して調製する。使用した出発物質は、各々CELLOSIZE  HEC  A、B、及びCと命名された、低分子量、中分子量、及び高分子量の市販のCELLOSIZEヒドロキシエチルセルロース(HEC)生成物である。これら市販のCELLOSIZE  HEC生産物の重量平均分子量(Mw)を表1に示し、分子ふるいクロマトグラフィー及び低角度レーザー光散乱検出器を用いて判定した。
 
【実施例】
【0031】
  実施例1
  500ml、四ツ口、丸底のフラスコを、28.36g(25.00g含有)のCELLOSIZE  HEC  A、5.44gの2−クロロ−N,N−ジエチルエチルアミン塩酸塩(N,N−塩化ジエチルアミノエチル塩酸塩、DEAEC−HClとしても知られる)、129gのイソプロピルアルコール、及び21gの蒸留水で充填する。丸底フラスコに、撹拌パドル及びモーター、窒素入口、鉱油バブラーに接続された還流冷却器、表面下サーモカップル、及びゴム製セラムキャップを取り付けた。スラリーを撹拌し、窒素で約1時間パージする。
【0032】
  窒素下において撹拌しながら、10.98gの25%水酸化ナトリウム水溶液(25%NaOH)を1分かけてプラスチック注射器を用いてスラリーに添加する。添加が完了した後、混合物を15分間撹拌し、次いで加熱マントル、J−KEM温度調節器、及びサーモカップルを用いて、スラリーを加熱する。スラリーを40℃で2時間保持し、次いで室温まで冷却し、5.00gの氷酢酸を添加して中和した後、約15分間撹拌する。
【0033】
  得られたポリマーを減圧ろ過によってブーフナー漏斗を通じて回収し、ワーリングブレンダーを洗浄した:300mlのアセトンと70mlの蒸留水との混合物で5回、及び400mlの純粋なアセトンで2回。ポリマーを最後の乾燥ステップ(2回目の純アセトン洗浄)にて1.0gの40%グリオキサール及び0.2gの氷酢酸を添加することによってグリオキサール処理してもよい。ポリマーを真空中で一晩、50℃にて乾燥する。
【0034】
  最終生産物を、揮発性(7.1%)及び灰分(2.1%、酢酸ナトリウムとして算出)についてASTM  D−2364に記載の方法を用いて評価する。ケルダール窒素含有量(灰分及び揮発性を補正)は0.85%であると分かる。
【0035】
  実施例2〜
6
  実施例1に記載の手順と実質的に同じ手順を用いて、試薬中の適切な代用物及び所望の量を作製する間、表1及び表2に示す実施例2〜
6の物質を調製してもよい。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
  実施例8.洗濯における試験
  4種の生地(テリー木綿、両面編み木綿、平織り木綿、及びポリエステル/木綿混紡)を、本発明の3級アミン置換セルロース誘導体(洗浄液中に芳香増強パッケージの一部(Purex  Crystalsを有する)として導入される)を有する、及び有しないPurex  Free  Clear又はTide液体洗剤で洗濯する。ポリマーをPurex  Crystalsの用量の1%(又は0.0047グラム/リットル)で添加する。生地を、典型的な洗浄条件(冷水洗浄、低度/中度の水の硬度、12分洗浄、及び3分すすぎ)下において、標準的な洗剤の用量(0.88グラム/リットル)及び追加汚れ負荷(2.5グラム/リットルの25%スラリー)として橙色(高鉄含有)25%固形粘土スラリーを用いて洗濯する。衣服は3回の連続するサイクルで洗濯し、白色度を460nmにてHunter  Colorimeterを利用して測定し、生地の白色度を記録する。データは、Purex  Free  Clear液体洗剤について表3〜5中に、Tide液について表6に記載する。素の未洗浄生地について白色度を表中に示し(正の対照)、内部標準もまた洗剤素地(Purex/Tide)、及びPurex  Crystalsを有する洗剤素地について実施する。非誘導体化(non−derivitized)HEC(比較物質)もまた含まれ、生地白色度維持において本発明に準じる誘導体化ヒドロキシエチルセルロースの影響を示す。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】
  表3〜6中のデータから、本発明の3級アミン置換セルロース誘導体、特により高い分子量骨格DEAE誘導体のもの(例えば、実施例5及び6))は、改善した抗灰色化特性を、それらのより低い分子量の対応物に対してPurex  Free  Clear及びTide液体洗剤の両方で送達することが明らかになる。
【0044】
  実施例9
  表1A〜1Bに列挙される成分を含有する例示的な手洗い用食器洗浄組成物は、重量/重量基準(重量%)の範囲で発現する。
【0045】
【表1A】
【0046】
【表1B】
【0047】
  手洗い用食器洗浄組成物を、当業者に周知である従来の混合技術で調製する。
【0048】
  実施例10
  表2A〜2Bに列挙される成分を含有する例示的な粉末洗濯用組成物は、重量/重量基準(重量%)の範囲で発現する。
【0049】
【表2A】
【0050】
【表2B】
【0051】
  粉末洗濯用組成物を、当業者に周知である従来の混合技術で調製する。
【0052】
  実施例11
  表3A〜3Bに列挙する成分を含有する例示的な液体洗濯用組成物は、重量/重量基準(重量%)の範囲で発現する。
【0053】
【表3A】
【0054】
【表3B】
【0055】
  液体洗濯用組成物を、当業者に周知である従来の混合技術で調製する。
【0056】
  本発明の実施形態は、随意の成分のあらゆる組み合わせを含有してもよいか、又は添付の特許請求の範囲における、ビルダー、錯化剤、界面活性物質、共溶媒、補助剤、及び同様のもの等よりも一般的な用語で示されてもよい。
  
以下に、本願発明に関連する発明の実施形態を例示する。
[実施形態1]
  生地及び表面処理組成物であって、以下:
  式I:
【化2】
を有する3級アミン置換セルロース誘導体を含み、
  式中、nは、約50,000〜2,000,000の範囲で重量平均分子量(Mw)を有するポリマーを作製するのに十分な整数であり;
  R1は、各出現で独立して、H、−CH3、又は−CH2CH2O−R2であり;そして
  R2は、各出現で独立して、H、CH3、又はR3N(R4)2若しくはその塩であり、ここで:
  R3は、C1−6アルキレンであり;
  R4は、各出現で独立してC1−6アルキルであるか、又はR4基はどちらも、それらが結合する窒素と共に、飽和又は不飽和5員又は6員複素環を形成してもよく、
但し、ポリマー中少なくとも1つのR1は、R3N(R4)2基であり、及び
  少なくとも1つの界面活性物質を含有する、生地及び表面処理組成物。
[実施形態2]
  R3が、各出現においてエチレンである、実施形態1記載の生地及び表面処理組成物。
[実施形態3]
  前記3級アミン置換セルロース誘導体が、N,N−ジエチルアミノエチルヒドロキシエチルセルロース、N,N−ジメチルアミノエチルヒドロキシエチルセルロース、N,N−ジイソプロピルアミノエチルヒドロキシエチルセルロース、N,N−ジメチルアミノプロピルヒドロキシエチルセルロース、N−エチルピペリジンヒドロキシエチルセルロース、N−エチルモルホリンヒドロキシエチルセルロース、又はN−エチルピロリジンヒドロキシエチルセルロースの少なくとも1つである、実施形態1記載の生地及び表面処理組成物。
[実施形態4]
  前記界面活性物質が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、ナトリウムアルコールエトキシレート硫酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸とナトリウムアルコールエトキシレート硫酸との混合物、非イオンアルコールエトキシレート、又はそれらの混合物である、実施形態1記載の生地及び表面処理組成物。
[実施形態5]
  前記生地及び表面処理組成物が、減少した香りを有する洗濯用洗剤又は洗濯用芳香増強剤である、実施形態1記載の生地及び表面処理組成物。
[実施形態6]
  前記生地及び表面処理組成物が、改善した肌触りを有する手動/手洗い用食器用洗剤である、実施形態1記載の生地及び表面処理組成物。
[実施形態7]
  無機ビルダー/錯化剤、ソーダ灰、漂白剤、及び/又は漂白活性化剤の1つ以上をさらに含む、実施形態1記載の生地及び表面処理組成物。
[実施形態8]
  前記生地及び表面処理組成物が、洗濯用芳香増強剤である、実施形態1記載の生地及び表面処理組成物。
[実施形態9]
  ポリエチレングリコール、デンプン、又は粘土の1つ以上をさらに含む、実施形態8記載の生地及び表面処理組成物。