特許第6396923号(P6396923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396923
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】血管内装置、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0215 20060101AFI20180913BHJP
   A61M 25/09 20060101ALI20180913BHJP
   A61B 5/027 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   A61B5/0215 C
   A61M25/09 514
   A61B5/027
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-550835(P2015-550835)
(86)(22)【出願日】2013年12月30日
(65)【公表番号】特表2016-509497(P2016-509497A)
(43)【公表日】2016年3月31日
(86)【国際出願番号】US2013078229
(87)【国際公開番号】WO2014106158
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2016年12月16日
(31)【優先権主張番号】61/747,578
(32)【優先日】2012年12月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/777,516
(32)【優先日】2013年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515122402
【氏名又は名称】ボルケーノ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(72)【発明者】
【氏名】ブレット・シー・ミレット
(72)【発明者】
【氏名】デービッド・エイチ・バーケット
【審査官】 伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−024447(JP,A)
【文献】 特開平11−033004(JP,A)
【文献】 特表2004−508074(JP,A)
【文献】 米国特許第07039470(US,B1)
【文献】 特表2006−504443(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0130220(US,A1)
【文献】 特開2007−296354(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0038139(US,A1)
【文献】 特開平07−231879(JP,A)
【文献】 特表2000−514320(JP,A)
【文献】 特表2009−535092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02 − 5/03
A61M 25/00 − 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センシングガイドワイヤであって、
内側コア及び外側層を有する本体と、
前記外側層に埋設された1個以上の導体であって、前記本体の近位部に沿った1以上の位置で露出される前記導体と、
前記導体の露出された部分と接触接続するよう前記1以上の露出位置にわたって積層された導電性材料と、
前記本体の遠位部に配され、前記導体の遠位端部に接続されるセンサと
を備えるガイドワイヤ。
【請求項2】
前記センサが圧力センサである、請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項3】
前記圧力センサが結晶性半導体材料を含む、請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項4】
前記センサが流量センサである、請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項5】
前記流量センサが超音波トランスデューサを備える、請求項4に記載のガイドワイヤ。
【請求項6】
前記導電性材料が導電性インクである、請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項7】
前記導電性インクが金を含む、請求項6に記載のガイドワイヤ。
【請求項8】
前記外側層がポリイミドから構成される、請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項9】
前記ガイドワイヤが圧力センサ及び流量センサを備える、請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項10】
ガイドワイヤの形成方法であって、
近位部及び反対の遠位部を有するシャフトを備える導電性コア部材を準備し;
該シャフトの一部にわたって絶縁層を形成させ;
該絶縁層を有するシャフトの部分にわたって少なくとも1個の導体を形成し;そして
該シャフトの該近位部に隣接する該少なくとも1個の導体の露出部分に導電性バンドを積層して、前記露出部分を前記導電性バンドに電気的に接触接続させること
を含み、前記シャフトの遠位部に配されるセンサを、前記導体の遠位端部に電気的に接続することを更に含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、血管内装置、システム及び方法に関する。いくつかの実施形態では、血管内装置は、1個以上の電子的、光学的又は電気光学的部品を備えるガイドワイヤである。
【背景技術】
【0002】
背景
心臓病は非常に深刻であり、命を救うために緊急手術を必要とする場合が多い。心臓病の主な原因は、最終的に血管を閉塞させる血管内部のプラークの蓄積である。閉塞した血管を開くために利用可能な一般的な治療法の選択肢としては、バルーン血管形成術、回転アテローム切除術、及び血管内ステントがある。伝統的に、外科医は、治療を案内するために血管の内腔シルエットの外形を示す平面画像であるX線透視画像に頼ってきた。残念ながら、X線透視画像では、閉塞の原因となる狭窄の正確な範囲及び方向に関してかなりの不確実性があり、狭窄の正確な位置を見出すのは困難である。さらに、同じ場所で再狭窄が起こることが知られているが、手術後にX線で血管内部の状態を確認することは困難である。
【0003】
虚血性病変を含めた血管内の狭窄の重症度を評価するために現在認められている技術は、冠血流予備量比(FFR)である。FFRは、近位圧力測定値(狭窄の近位側で得られる)に対する遠位圧力測定(狭窄の遠位側で得られる)の比率の計算である。FFRは、閉塞が血管内での血流を治療が必要な程度にまで制限するかどうかに関する決定を可能にする狭窄重症度の指標となる。健康な血管におけるFFRの正常値は1.00であるのに対し、約0.80未満の値は一般に有意なものとみなされ、治療を必要とする。
【0004】
多くの場合、血管内カテーテル及びガイドワイヤを使用して、血管内の圧力を測定し、血管の内腔を可視化し、及び/又はそうでなければ血管に関連するデータを取得する。今のところ、圧力センサ、撮像素子及び/又は他の電子的、光学的若しくは電気光学的部品を備えるガイドワイヤは、このような部品を備えない標準的なガイドワイヤと比較して性能特性の低下に悩まされている。例えば、電子部品を備える従来のガイドワイヤの取扱性能は、いくつかの例では、電子部品の導体又は通信回線に必要な空間を考慮した後のコアワイヤのために利用可能な限られた空間、電子部品を収容する硬質ハウジングの剛性、及び/又はガイドワイヤ内で利用可能な限られた空間内に電子部品の機能性を与えることに関連する他の制限によって妨げられてきた。さらに、その小さい直径のため、多くの場合、ガイドワイヤの近位コネクタ部分(すなわち、ガイドワイヤの電子部品と関連のコントローラ又はプロセッサとの間の通信を容易にするコネクタ)は、脆く、またよじれを受けやすく、ガイドワイヤの機能を破壊する場合がある。このため、外科医は、近位コネクタを再接続するときにガイドワイヤが破壊することを恐れて手術中にガイドワイヤから近位コネクタを取り外すことに消極的である。ガイドワイヤを近位コネクタに接続することは、ガイドワイヤの操作性及び取り扱いをさらに制限する。
【0005】
さらに、既存の圧力及び流量ガイドワイヤの問題点は、多くの個別の部品の複雑な組立を必要とすることである。この複雑な組立工程には、ガイドワイヤの設計性能に関する制限がある。ワイヤの長さを短縮する別の導電性ワイヤを使用すると、フロントラインの支持コアに利用可能なスペースが減り、使用中に、導電性バンドとのはんだ接合部の不良、絶縁の問題に起因する電気的短絡及び繊細な導電性ワイヤの断線に起因する多数の問題が発生する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、1個以上の電子的、光学的又は電気光学的部品を備える改良された血管内装置、システム及び方法に対する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
本発明は、固体コアワイヤをその上に形成された又は巻き付けられた電気導体と共に有するガイドワイヤを備える血管内装置、システム及び方法に関する。
【0008】
本発明は、従来技術のセンシングガイドワイヤの組立及び性能の問題を回避する、より堅牢なセンシングガイドワイヤを提供する。本発明のガイドワイヤは、外側層が被覆されたコアワイヤを有する。この外側層には導電性ワイヤが埋め込まれ、このワイヤは本体の全長にわたる。導電性ワイヤは、センサ信号の電気経路として作用する。外側層は、電気的な接続が必要とされるそれぞれの導電性ワイヤ上の特定の位置で除去される(例えば、アブレーションによって)。次に、導電性材料がワイヤの露出部分に適用される。その後、センサを露出部分の一つ以上で導電性材料を介してガイドワイヤに接続することができる。このように、本発明のガイドワイヤは、導電体バンドの接続を生じさせるために多数の部品を組み立てる必要性、ハイポチューブの必要性、及びガイドワイヤにおける接着剤及びはんだの使用を排除する。本発明のガイドワイヤを組み立てるための部品点数の減少は、故障状態を生じさせる場合のある多数のプロセスを排除することによって、組み立てられたワイヤのロバスト性を改善させる。さらに、導電性バンドを印刷することができることにより、複数のワイヤを引きかつ接続しなければならないことに伴う複雑さが排除される。
【0009】
任意のタイプのセンサを本発明のガイドワイヤに接続することができ、測定の種類によって、使用されるセンサの種類が決まる。所定の実施形態では、単一のセンサがガイドワイヤに接続される。他の実施形態では、複数のセンサがガイドワイヤに接続される。センサの全ては同一であってもよい。あるいは、センサは互いに異なり、血管内の異なる特性を測定することができる。代表的なセンサは、圧力、流量及び温度センサである。任意の種類の圧力センサを本発明のガイドワイヤと共に使用することができる。所定の実施形態では、圧力センサは結晶性半導体材料を含む。任意の種類の流量センサを本発明のガイドワイヤと共に使用することができる。所定の実施形態では、流量センサは超音波トランスデューサを備える。
【0010】
好ましくは、本発明のガイドワイヤは、遠位部分に圧力センサと流量センサの両方を備える。圧力センサは圧力測定値を得ることができ、流量センサは血管内の血流速度測定値を得ることができる。圧力と流速の両方を測定しかつ比較する機能は、虚血性検査の診断精度を有意に改善させる。
【0011】
本体上にある露出部分に導電性材料を適用するために多くの異なる方法が存在している。所定の実施形態では、印刷が使用され、導電性材料は導電性インクである。典型的には、導電性インクは、金などの導電性金属を含む。導電性ワイヤが埋設された外側層の残りの部分は、典型的にはポリイミドなどの重合体材料である。
【0012】
本発明の別の態様は、血管内部の特性を測定するための方法を提供する。本発明の方法は、内側コアと外側層とを有する本体を備えるセンシングガイドワイヤを準備することを含む。1個以上の導電性ワイヤが外側層に埋設される。この導電性ワイヤは、本体に沿った1以上の位置で露出する。導電性材料が複数の露出位置にわたって積層され、センサが露出位置の一つにおいて導電性材料を介して本体に接続される。ガイドワイヤを血管に挿入し、ガイドワイヤ上の1個以上のセンサが血管内部の1以上の特性を測定する。
【0013】
いくつかの実施形態では、電気導体が上に印刷された固体コアワイヤを有するガイドワイヤが提供される。いくつかの例では、電気導体は、固体コアワイヤの周囲に螺旋状に巻き付けられたパターンを画定することによって形成される。このパターンは、導電性インクを印刷し、レーザーアブレーションにより導電性表皮又は表面を複数の導電性表面に分離し、又はLDS−MIDプロセスなどによってワイヤで画定できる。電気導体の数は、装置の機能性に依存するが、いくつかの実施形態では2〜6個の伝導体を備える。いくつかの実施形態では、固体コアワイヤは、ガイドワイヤの電気導体として機能する。いくつかの例では、1個以上の導電性バンドがガイドワイヤの近位部に隣接して電気導体に連結されている。いくつかの例では、導電性バンドは、電気導体にはんだ付け、溶接又は接着される(導電性接着剤で)。いくつかの実施形態では、導電性バンドは、対応する電気導体の露出部分の上に印刷される(別のものはスエージ加工される)。いくつかの例では、印刷されたパターンは、アンテナ、加熱要素、触覚的表面、英数字などである。
【0014】
いくつかの例では、ここで開示するガイドワイヤを組み立て及び/又は製造する方法が提供される。いくつかの実施形態では、緩い48AWG絶縁ワイヤを0.35nmの円筒状導電性バンドに手作業ではんだ付けする従来の必要性が排除され、これにより製造歩留まりが増加し、操作者にとって必要な必須のトレーニング及びスキルが軽減する。さらに、単一のはんだ接合に依存する代わりに、本発明の導電性バンドは、導電性バンドの全長の大部分に沿って、関連する導体に電気的に接続される。また、いくつかの例では、少なくとも装置の近位コネクタ部分を製造するのに必要な部品数が減少する。
【0015】
本発明は、既存の設計よりも強くかつ耐久性のあるガイドワイヤの近位コネクタ領域を可能にすると共に、製造するのをさらに容易にすることを可能にする。本発明の実施形態は、精密材料付着(例えば、正確なパターンをコート及び/又はトレースするための)及び/又は既存の設計よりも良好な取り扱い、強度及び耐久性を与えるより大きなコアの使用を容易にする固体コア部材によるワイヤ巻き付けを利用し、これにより、血管内装置の近位コネクタ部分に対する、装置の機能に有害な場合がある不要な曲げ、ねじれ及び/又は他の損傷の可能性が低減する。
【0016】
本発明の追加の態様、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0017】
本発明の例示的な実施形態を添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施形態に係る血管内装置の概略側面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るコア部材の斜視図である。ここで、図2〜13は、本発明の実施形態に係る血管内装置を製造する態様を集合的に示す。
図3図3は、図2のコア部材の近位端部の拡大斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るコア部材の部分に絶縁層を適用した後の図2及び図3のコア部材の斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係るコア部材の周りに螺旋状に巻き付けられた4本の導体を有する図2〜4のコア部材の斜視図である。
図6図6は、螺旋状に巻き付けられた導体の2つの部分を示すコア部材の近位部分の拡大斜視図である。
図7図7は、第1の導体の露出部分並びに絶縁材料で被覆された第2、第3及び第4導体の部分を示すコア部材の近位部分の拡大斜視図である。
図8図8は、図7と同様のコア部材の近位部分の拡大斜視図であるが、ただし、第2導体の露出部分及び絶縁材料で被覆された第3及び第4導体の部分を示す。
図9図9は、図7及び図8と同様のコア部材の近位部分の拡大斜視図であるが、ただし、第3導体の露出部分及び絶縁材料で被覆された第4導体の一部を示す。
図10図10は、本発明の実施形態に係るコア部材の周りに配置された4つの導電性バンドを有する図2〜9のコア部材の斜視図である。
図11図11は、2つの隣接する導電性バンドの部分間の間隔を示すコア部材の近位部分の拡大斜視図である。
図12図12は、2つの隣接する導電性バンド間の間隔を絶縁材料で充填した後の、図11のコア部材の近位部分の拡大斜視図である。
図13図13は、導電性バンドの各々の間の間隔が絶縁材料で充填された後の、図2〜12のコア部材の斜視図である。
図14図14は、中に導電性ワイヤが満たされた本体の例示的な実施形態を示す。左の画像が側面図であり、右側の画像が断面図である。
図15図15は、外側層から露出している導電性ワイヤの領域を示す。
図16図16は、既に導電性ワイヤに接触している導電性バンドを創り出すように導電性ワイヤの露出部分を覆う、露出領域に塗布された導電性材料を示す。
図17図17は、2つの代表的な導電性バンドの構成を示す。
図18図18は、6つの導電性ワイヤを有するガイドワイヤの断面を示す。
図19図19は、所定の実施形態に係るシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
本発明の原理の理解を進める目的で、図面に示された実施形態を参照し、特定の用語を同じものを説明するために使用する。それにもかかわらず、本発明の範囲の限定を意図するものではないと理解されたい。説明する装置、システム及び方法の任意の変更及びさらなる改変、並びに本発明の原理のさらなる適用が完全に意図され、かつ、本発明の範囲内に含まれる。この開示が関連する当業者であれば通常思いつくと考えられるからである。特に、一実施形態に関して説明した特徴、構成要素及び/又は工程を、本発明の他の実施形態に関して説明した特徴、構成要素及び/又は工程と組み合わせることができることが完全に意図される。しかしながら、単純化のため、これらの組み合わせの多数の反復は別々には説明しない。
【0020】
ここで使用するときに、「可撓性細長部材」又は「細長い可撓性部材」には、少なくとも、患者の血管系に挿入できる任意の薄くて長い柔軟な構造が含まれる。本発明の「可撓性細長部材」の例示の実施形態は、可撓性細長部材の外径を画定する円形断面形状の円筒状の外形を有するが、他の場合には、可撓性細長部材の全て又は一部は、他の幾何学的断面形状(例えば、卵形、長方形、正方形、楕円形など)又は非幾何学的断面形状を有することができる。可撓性細長部材は、例えば、ガイドワイヤ及びカテーテルを備える。この点に関して、カテーテルは、他の器具を受け入れる及び/又は案内するためにその長さに沿って延びる管腔を備えても備えなくてもよい。カテーテルが内腔を備える場合には、この管腔は、装置の断面形状に対して中心にあることができる又はずれていることができる。
【0021】
大部分の実施形態では、本発明の可撓性細長部材は、1個以上の電子的、光学的又は電気光学的部品を備える。例えば、限定するものではないが、可撓性細長部材は、次のタイプの部品の1個以上を備えることができる:圧力センサ、温度センサ、撮像素子、光ファイバ、超音波トランスデューサ、反射器、ミラー、プリズム、アブレーション部材、RF電極、導体及び/又はこれらの組合せ。一般に、これらの部品は、可撓性細長部材が配置される血管又は解剖学的構造の他の部分に関連するデータを取得するように構成される。多くの場合、部品は、処理及び/又は表示用の外部装置にデータを通信するように構成される。いくつかの態様では、本発明の実施形態は、医療及び非医療用途の両方を含めて、血管の管腔内での画像化のための画像化装置を含む。しかし、本発明のいくつかの実施形態は、ヒトの血管系との関連で使用するのに特に適している。血管内腔、特にヒトの血管構造の内部壁の画像化は、超音波(血管内超音波(「IVUS」)及び心腔内心エコー検査(「ICE」)と呼ばれる場合が多い)及び光コヒーレンストモグラフィー(「OCT」)を含めて、多数の異なる技術によって達成できる。他の例では、赤外線、熱又は他の画像モダリティを使用する。
【0022】
本発明の電子的、光学的及び/又は電気光学的部品は、可撓性細長部材の遠位部内に配置される場合が多い。ここで使用するときに、可撓性細長部材の「遠位部」には、可撓性細長部材の中間点から遠位先端部までの任意の部分が含まれる。可撓性細長部材が固体であることができるため、本発明のいくつかの実施形態では、電子部品を受容するために遠位部にハウジング部を備える。このようなハウジング部は、細長部材の遠位部に取り付けられた管状構造であることができる。いくつかの可撓性細長部材は管状であり、かつ、電子部品が遠位部内に配置できる1以上の管腔を有する。
【0023】
電子的、光学的及び/又は電気光学的部品並びに関連する通信ラインは、可撓性細長部材の直径が非常に小さくなるように寸法合わせされ成形される。例えば、ここで説明する1個以上の電子的、光学的及び/又は電気光学的部品を収容するガイドワイヤ又はカテーテルなどの細長部材の外径は、約0.0007インチ(0.0178mm)〜約0.118インチ(3.0mm)の間であり、いくつかの特定の実施形態では、約0.014インチ(0.3556mm)〜約0.018インチ(0.4572mm)の外径を有する。このように、本発明の電子的、光学的及び/又は電気光学的部品を組み込んだ可撓性細長部材は、四肢の静脈及び動脈、腎動脈、脳内又はその周辺の血管並びに他の内腔を含めて、心臓の一部であるもの又はそれを直接取り囲むもの以外のヒト患者内の様々な管腔で使用するのに好適である。
【0024】
ここで使用するときに、「接続」及びその変形には、別の構成要素に対して、その上に又はその内部などに接着すること又はそうでなければ直接に固定することなどの直接接続のみならず、1以上の構成要素が、接続された構成要素間に配置される間接的な接続が含まれる。
【0025】
ここで使用するときに、「固定」及びその変形には、構成要素が別の構成要素に直接固定され、例えば、他の構成要素に、その上に又はその内部に接着される又はそうでなければ直接に留められる方法のみならず、2つの構成要素を互いに固定し、その際、1以上の構成要素が、固定された構成要素間に配置される間接的技術も含まれる。
【0026】
図1を参照すると、本発明の実施形態に係る血管内装置100の一部が示されている。この点に関し、血管内装置100は、可撓性細長部材102を備え、該部材は、遠位端部105に隣接する遠位部104と、近位端部107に隣接する近位部106とを有する。遠位先端部105の近くにある可撓性細長部材102の遠位部104内には部品108が配置されている。一般に、部品108は、1個以上の電子的、光学的又は電気光学的部品を示す。この点に関し、部品108は、圧力センサ、温度センサ、撮像素子、光ファイバ、超音波トランスデューサ、反射器、ミラー、プリズム、アブレーション要素、RF電極、導体及び/又はそれらの組み合わせである。特定のタイプの部品又は複数の部品の組合せは、血管内装置の使用目的に基づいて選択できる。いくつかの例では、部品108は、遠位端部105から10cm未満、5cm未満又は3cm未満に位置する。いくつかの例では、部品108は、可撓性細長部材102のハウジング内に配置されている。この点に関し、ハウジングは、いくつかの例では可撓性細長部材102に固定された別個の部品である。他の例では、ハウジングは、可撓性細長部材102の一部として一体的に形成されている。
【0027】
また、血管内装置100は、該装置の近位部106に隣接してコネクタ110を備える。この点に関し、コネクタ110は、可撓性細長部材102の近位端部107から距離112だけ間隔を置いて配置されている。一般に、距離112は、可撓性細長部材102の全長の0%〜50%の間である。可撓性細長部材の全長は任意の長さであることができるが、いくつかの実施形態では、全長は約1300mm〜約4000mmの間であり、いくつかの特定の実施形態では1400mm、1900mm及び3000mmの長さを有する。したがって、いくつかの例では、コネクタ110は近位端部107に配置される。他の例では、コネクタ110は、近位端部107から間隔を置いて配置される。例えば、いくつかの例において、コネクタ110は、近位端部107から約0mm〜約1400mmの間で間隔を置いて配置される。いくつかの特定の実施形態では、コネクタ110は、近位端部から0mm、300mm及び1400mmの距離だけ間隔を置いて配置される。
【0028】
コネクタ110は、血管内装置100と他の装置との間の通信を容易にするように構成される。具体的には、いくつかの実施形態では、コネクタ110は、部品108によって得られたデータをコンピューティングデバイス又はプロセッサなどなどの別の装置に通信するのを容易にするように構成される。したがって、いくつかの実施形態では、コネクタ110は電気コネクタである。このような例では、コネクタ110は、可撓性細長部材102の全長に沿って延在し、かつ、部品108に電気的に接続される1個以上の電気導体への電気的接続を与える。本発明に係る電気コネクタのいくつかの特定の実施形態を図5〜11に関連して以下に説明する。他の実施形態では、コネクタ110は光コネクタである。このような例では、コネクタ110は、可撓性細長部材102の長さに沿って延在し、かつ、部品108に光学的に接続された1以上の光通信経路(例えば、光ファイバケーブル)への光接続を与える。さらに、いくつかの実施形態では、コネクタ110は、電気導体と部品108に結合された光通信経路の両方に電気接続と光接続の両方を与える。この点に関し、部品108は、いくつかの場合に、複数の部品から構成されることに留意すべきである。いくつかの例では、コネクタ110は、直接的又は間接的に他の装置への物理的な接続を与えるように構成される。他の例では、コネクタ110は、血管内装置100と他の装置との間の無線通信を容易にするように構成される。一般に、任意の現在の又は将来的に開発される無線プロトコルを利用することができる。さらに他の例では、コネクタ110は、他の装置への物理的接続と無線接続の両方を容易にする。
【0029】
上記のように、いくつかの例では、コネクタ110は、血管内装置100の部品108と外部装置との間の接続を与える。したがって、いくつかの実施形態では、1個以上の電気導体、1以上の光学経路及び/又はそれらの組み合わせは、コネクタ110と部品108との間の通信を容易にするようにコネクタ110と部品108との間の可撓性細長部材102の長さに沿って延在する。一般に、任意の数の電気導体、光経路及び/又はそれらの組み合わせが、コネクタ110と部品108との間の可撓性細長部材102の長さに沿って延在できる。いくつかの例では、1〜10個の電気導体及び/又は光学経路がコネクタ110と部品108との間の可撓性細長部材102の長さに沿って延在する。通信経路の数並びに可撓性細長部材102の長さに沿って延在する電気導体及び光学経路の数は、部品108の所望の機能性及びこのような機能性を与えるように部品108を画定する対応する部品によって決定される。
【0030】
図2〜13を参照すると、装置の長さに沿って延在する通信経路(例えば、電気導体及び/又は光ファイバ)を備える本発明の血管内装置を組み立て及び/又は製造する態様が示されている。この点に関し、既存の機能のガイドワイヤに関連する主要な課題の一つは、フロントラインガイドワイヤと比較して機械的性能が不十分なことである。この性能の損失は、コアワイヤと周囲のハイポチューブとの間の装置の長さに沿って通信ラインを引くことが必要なためコア又はコアワイヤに利用可能な空間を厳しく制限するガイドワイヤの代表的な設計に起因する場合が多い。明瞭さ及び単純化のために、図2〜13の実施形態は、導電性コアの他に4個の電気導体を備える。当業者であれば、実質的には、コアワイヤの長さに沿って延在する電気導体及び/又は光ファイバの任意の数を含む血管内装置にこれらの技術思想が適用可能であることが分かるであろう。しかし、ほとんどの実施では、血管内装置は、血管内装置の近位部と遠位部との間のコアワイヤの長さに沿って延在する1〜10個の通信経路を備える。
【0031】
特に図2を参照すると、そこに示されているのは、本発明の実施形態に係るコア部材200の斜視図である。示されるように、コア部材200は、細長いシャフト202及びコネクタ204を備える。図示した実施形態では、コネクタ204は、シャフト202に対して拡径されている。いくつかの例では、コネクタ204の外径は、コア部材200が形成すること意図された血管内装置の所望の外径と同じである。したがって、いくつかの特定の実施形態では、コネクタ204の外径は約0.014インチである。シャフト202とコネクタ204との間の直径の差は、シャフトを画定するように一定の直径のロッドから材料を除去する及び/又はコネクタを画定するように一定の直径のロッドに材料を追加することにより生じる場合がある。いくつかの例では、コネクタ204は、コア部材に電気的に接続される導電性バンド(血管内装置の他の導体について以下で説明するようなもの)によって画定される。この点に関し、コア部材200は、いくつかの例では導電性材料から形成される(又は少なくとも導電性材料でめっきされる)。いくつかの例では、コア部材200は、血管内装置の部品のために共通又は接地信号を運ぶ。図3に示すように、コネクタ204は、血管内装置の最近位コネクタを画定し、かつ、図示した実施形態では血管内装置の近位先端部に配置される。この点に関し、コネクタ204の近位先端部は丸みを帯びている。いくつかの実施例では、最近位コネクタは、血管内装置の近位先端部から遠位に間隔を置いて配置される。
【0032】
ここで図4を参照すると、コア部材のシャフト202に絶縁層206を適用した後のコア部材200の斜視図が示されている。この点に関して、絶縁層206は、後にシャフト202にわたって適用されることになる導体から導電性コア部材200を電気的に隔離するのに役立つ。絶縁層206は任意の好適な材料から形成できる。いくつかの実施形態では、絶縁層206はパリレン層である。また、いくつかの例では、フレックスホイルラップ導体、導電性バンド、パッド、回路、誘電体、及び/又は血管内装置の他の部品を含めて、他の部品を、シャフト202にわたって形成させ、その上に配置し及び/又はそれに接続できる。
【0033】
ここで図5を参照すると、コア部材(導電性でもよい)のシャフト202の周りに螺旋状に巻き付けられた4本の導体208、210、212、及び214を有するコア部材200の斜視図が示されている。示されるように、導体208、210、212及び214の近位端部は、コア部材の長さに沿って間隔を開けて配置されている。いくつかの例では、導体の端部間の間隔は、導体208、210、212及び214に結合されることになる導電性バンド間の所望の間隔に相当する。導体208、210、212及び214は、導電性材料を所望のパターンで電気的に印刷し(マイクロディスペンス、エアロジェット、インクジェット、転写、グラビアなど)又は絶縁層にわたってめっきすることにより形成できる。いくつかの例では、導電性インクが使用される。他の例では、48AWG以下の導体がシャフト202の周り螺旋状に巻かれている。このような例では、導体は絶縁してもしなくてもよい。この点に関して、導体は、ワイヤ(銅等)、カーボンナノチューブ繊維導体、導電性インク、導電性重合体、導電性フィルム及び/又はそれらの組み合わせとすることができる。導体が絶縁されていない場合には、これらは、図5に示すように、互いに隔離される(すなわち、間隔を開けて設けられる)。図6は、螺旋状に巻き付けられた導体212及び214の近位端部を示す、コア部材200の近位部の拡大斜視図を提供する。
【0034】
他の実施形態では、血管内装置の導体及び/又は他の部品は、導電性バンドを利用し、接触パッドを利用し及び/又は他の特徴を利用するフレックスフォイル包装、ロール・ツー・ロール印刷、シンギュレーション、導体の巻き付けテープを含めた他の技術を使用してコア部材の周りに固定され及び/又は巻き付けられる。例えば、いくつかの例では、フレックスホイルラップを使用して、導体及び/又は回路の少なくとも一部を画定する。この点に関して、可撓性ホイル絶縁導体は、いくつかの例では、コア部材に螺旋状に巻回されている。可撓性ホイル導体は、単一のホイル導体(複数の導電リード/トレース/回路を有する)及び/又は複数のホイル導体(それぞれが単一又は複数の導電リード/トレース/回路を有する)を使用することができるように、1個以上の導体及び/又は回路を画定することができる。可撓性ホイル導体は、自動処理技術を容易にすることを含め、コア部材の周囲の導体の正確で一貫性のある外径、長さ及びピッチを可能にする。その結果、得られた装置は、直線度及び柔軟性に関して改善された一貫性を持つことができる。別の例として、いくつかの場合には、ミル及びフィルアプローチを使用してコア部材の周りに導体を画定する。
【0035】
ここで図7を参照すると、そこに示されているのは、導体208の露出部分並びに絶縁材で覆われ、かつ、それぞれ220、222及び224として示された導体210、212、214の部分を示すコア部材の近位部の拡大斜視図である。この点に関して、導体208、210、212及び214がシャフト202の周りに形成された/巻かれた後に、絶縁層は、導体の長さの全て又は大部分にわたって形成される。各導体の部分をマスキングし及び/又はその後適用された(又は既存の)絶縁層を除去することにより、各導体208、210、212及び214の部分を露出させる。導電性バンドは、以下に説明するように、血管内装置の近位コネクタ部分を画定するために導体208、210、212及び214の露出部分に結合されている。この点に関して、図8は、導体210の露出部並びに導体212及び214の絶縁部222及び224を示すコア部材200の近位部分の拡大斜視図である。同様に、図9は、導体212の露出部及び導体214の絶縁部224を示すコア部材200の近位部分の拡大斜視図である。
【0036】
図10を参照すると、本発明の実施形態に係る導体208、210、212、214及び202の露出部分と整列したコア部材の周りに配置される及び/又は該コア部材によって画定される5個の導電性バンド228、230、232、234、及び204を有するコア部材200の斜視図が示されている。いくつかの例では、導電性バンド228、230、232及び234は、導体208、210、212及び214の露出部にわたって導電性材料を電気的に印刷し又はめっきすることによってコア部材200のシャフト202上に印刷される。この点に関して、導電性バンド228、230、232、及び234は、いくつかの実施形態では、血管内装置の所望の外径及び/又はコネクタ204の外径に一致する均一な外径を有するように形成される。いくつかの例では、導電性バンドは、導体208、210、212及び214の対応する露出部にわたって配置され、かつ、はんだ又は他の好適な技術を使用して導体に電気的に接続された予備成形筒状部材である。図11は、隣接する導電性バンド228と230との間の間隔を示すコア部材の近位部分の拡大斜視図を提供する。また、図11には、導電性バンド228を導体208の周りに形成させ、そして電気的に接続させると共に、コア部材202の絶縁部206、220、222、224の周囲にそれぞれ導体210、212及び214を形成させる方法も示されている。図示した実施形態では、絶縁部220及び導電性バンド228の端部は、コア部材200の長さに沿って実質的に整列しているが、他の実施形態では、絶縁部220は、導電性バンド230(いくつかの例では、導電性バンド230の内部の一部を含む)に向かって近位方向に延在して、導体210が導体208及び導電性バンド228から隔離されることを確保する。
【0037】
いくつかの実施形態では、導電性のバンドを所定の位置でスエージ加工し及び/又はレーザ溶接する。この点に関して、一般的な製造方法として、スエージ加工は、2つのカテゴリーに分類できる。スエージ加工の第1のカテゴリーは、絞りワイヤの方法と同様に、ワークピースを閉じ込めダイに強制的に通してその直径を減少させることを含む。これを「管スエージ加工」ということもできる。第2のカテゴリーは、円形のワークピースを叩いてそれよりも小さな直径にするために使用される2個以上のダイを含む。このプロセスは、通常「ロータリースエージング」又は「ラジアルフォージング」と呼ばれる。管を、引抜台上で絞ることを可能にするロータリー圧印器を使用して標識する(この管をまずダイを介して供給し、その後他の側から引っ張るようにして縮径する)。スエージ加工は、多くの場合、貴金属に好まれる方法である。というのは、プロセス中に材料の損失がないからである。これに関して、いくつかの例では、導電性バンドがコア部材の周囲にスエージ加工され、導電性バンドの一部が導電性バンド下の露出導体にレーザ溶接される。
【0038】
図12を参照すると、そこに示されているのは、隣接する導電性バンド228及び230間の間隔に絶縁材料236が充填された後の図11のコア部材の近位部の拡大斜視図である。同様に、図13は、導電性バンドのそれぞれの間隔に絶縁材料が充填され、絶縁スペーサ236、238、240、及び242が画定された後のコア部材200の斜視図を提供する。絶縁スペーサ236、238、240及び242は、いくつかの実施形態では、それらが血管内装置の所望の外径及び/又は導電性バンド204、228、230、232及び234の外径に一致する均一な外径を有するように形成される。絶縁スペーサ236、238、240及び242を形成させるために利用される絶縁材料は、任意の好適な絶縁材料とすることができる。
【0039】
図14は、導電性ワイヤ308が内部を満たす外側層306によって取り囲まれたコア部材304を有する可撓性細長部材302を備える血管内装置300の一部の例示的実施形態を示す。可撓性細長部材302の側面図及び断面端部図の両方が提供される。コア部材304は、ステンレススチール、ニッケル・チタン合金(ニチノール)、ポリエーテルエーテルケトン、熱矯正304ステンレススチール又は他の金属若しくは重合体材料などの好適な材料から当技術分野で周知の技術を使用して形成できる。外側層306は、好適な重合体材料から形成できる。この点について、外側層306は、標準的なワイヤ被覆技術を使用してワイヤ上にコーティングされる。コーティングの厚みが確立されたら、導電性ワイヤ308をコーティングプロセスに導入し、それによってこれらのワイヤは、外側層306で完全にコーティングされた状態になる。外側層406は、任意の重合体材料であってよく、好ましい材料はポリイミドである。所定の実施形態では、導電性ワイヤ308は、本体の直径の周りに実質的に均等にスペースを設ける。所定の実施形態では、所望の直径に達した後に、本体に潤滑性を与えることができる最終的なコーティングが適用される。潤滑性を与えることができる任意の材料を使用することができる。例示的な材料は、PTFE含浸ポリイミド、シリコーン系コーティング及び親水性ベースコーティングである。
【0040】
図15は、外側層306から露出した埋設導電性ワイヤ308の領域を示す。図15に示すように、外側層306の1以上の部分は、導電性ワイヤ308の対応する個々の部分を露出させるように変更されている。当技術分野で知られている任意の技術を使用して、導電性ワイヤ308の部分を露出させることができる。代表的な技術としては、化学的エッチング、機械的切断及び剪断又はレーザーアブレーションが挙げられる。図15に示すように、所定の実施形態では、レーザーアブレーションを使用して外側層306の所望の部分を切り取って、埋設された導電性ワイヤ308を露出させる。いくつかの例では周方向のアブレーションを利用することができる。重合体材料のレーザーアブレーションは、当技術分野で公知であり、クマガイ(Applied Physics Letters,65(14):1850−1852,2004);サトクリフ(Journal of Applied Physics,60(9):3315−3322,1986)及びブランシェ外(Science,262(5134):719−721,1993)(これらの各々の内容はその全体が参照により本明細書に援用される)に記載されたような公知の技術によって達成される。可撓性細長部材302の近位又は遠位端部での基準リングを、導電性ワイヤ308が外側層306内に存在する場所を特定するために切除できる。この点について、導電性ワイヤの遠位端部を、部品108に直接的又は間接的に結合させるために特定の研磨プロファイルにまで研磨できる。これに関して、いくつかの例では、可撓性細長部材302の遠位端部は、電流検出用ガイドワイヤで使用されるものと同様の遠位作業端部に連結される。いくつかの特定の例では、可撓性細長部材302は、米国特許第5125137号、米国特許第5873835号、米国特許第6106476号、米国特許第6551250号及び2013年6月28日出願された米国特許出願第13/931052号(これらの各々はその全体が参照により本明細書に援用される)の一つ以上に記載されたものと同様の遠位部、中間部及び/又は近位部に連結される。
【0041】
図16に示すように、次に、導電性材料を、導電性ワイヤ308の露出部分にわたって可撓性細長部材302に適用することができる。導電性材料は、露出した導電性ワイヤ308と接触している導電性バンド310を画定するように導電性ワイヤ308の露出部分を覆う。導電性材料は、一般に金などの金属である。導電性ワイヤに導電性材料を適用するための多数の技術が当該技術分野で知られている。所定の実施形態では、導電性材料を、導電性ワイヤの露出部分上に印刷し、そして焼結させる。金属の印刷及び焼結は当該分野で周知である。例えば、Kydd(米国特許第5882722号及び同6036889号)、Karapatis外(Rapid Prototyping Journal,4(2):77−89,1998)、及びKruth外(Assembly Automation,23(4):357−371,2003)(これらの各々の内容はその全体が参照により本明細書に援用される)を参照されたい。
【0042】
導電性材料の任意の所望のパターンを可撓性細長部材302上に配置することができる。例えば、導電性バンドは、固体、複数のリング、螺旋又は最適な機能性を与える任意の他のパターンであることができる。このために、図17は、2つの代表的な導電性バンドの構成を示す。左側の構成は、コネクタ312を画定するようにそれぞれ共通の導電性ワイヤ308に連結された複数の導電性バンド310を示しているのに対し、右側の構成は、可撓性細長部材の別の導電性ワイヤ308のためのコネクタを画定する固体導電性バンド310を示している。
【0043】
本発明のガイドワイヤは、導電性ワイヤ308に部品108を通信可能に結合させることにより完了する。いくつかの特定の例では、可撓性細長部材302の遠位端部に隣接する導電性ワイヤ308の部分は、はんだ付け溶接、1以上の追加の導電性部材、リード線及び/又は他の既知の技術を使用して、部品108に直接又は間接的に電気的に結合される。いくつかの例では、外側層306の部分を除去して、部品108に連結されることになる導電性ワイヤ308の先端部を露出させる。部品108は、次の任意の適切な技術を使用して、可撓性細長部材302の遠位部内に装着できる:限定されないが、米国特許第5125137号、米国特許第5873835号、米国特許第6106476号、米国特許第6551250号、2013年6月28日出願された米国特許出願第13/931052号、2013年12月19日出願された米国特許出願第14/135117号、2013年12月20日出願された米国特許出願第14/137364号及び2013年12月23日に出願された米国特許出願第14/139543号(これらの各々はその全体が参照により本明細書に援用される)の一つ以上に開示されたもの。
【0044】
部品108に関して上述したように、血管内装置300のセンサは、体腔内の腔内測定値を得るための手段を提供し、血管内装置上の1以上の導電性バンドに接続され、これはセンサからの信号を送受信する。例えば、本発明のガイドワイヤは、圧力センサ、流量センサ、温度センサ又はこれらの組み合わせを含むことができる。好ましくは、ガイドワイヤは、圧力センサ及び流量センサの両方を含む組合せガイドワイヤである。圧力センサを使用して管腔内の圧力を測定することができ、流量センサを使用して血流速度を測定することができる。温度センサは内腔の温度を測定することができる。圧力センサ及び流量センサの両方を有するガイドワイヤは、圧力測定値を使用して冠血流予備量比(FFR)を、また流量測定値を使用して冠血流予備能(CFR)を算出するのに望ましい環境を提供する。2個以上のセンサを備えたガイドワイヤは、導電性ワイヤの数を増加させることによって作製できる。例えば、図18は、外側層306内に埋め込まれた6個の導電性ワイヤ308を有する可撓性細長部材302の断面を示す。また、コア304は、いくつかの実施形態では導体としても利用できる。このような実施形態は、少なくとも2個のセンサを可撓性細長部材302と共に使用するのを容易にするのに十分な導電性経路を提供する。
【0045】
圧力と流速の両方を測定し比較し、かつ、充血狭窄抵抗性の指標を創り出す能力は、この虚血性検査の診断精度を有意に改善させる。特に冠血流予備量比(FFR)、冠血流予備能(CFR)及び組み合わせたPV曲線などの圧力降下・速度の関係に関する遠位圧力及び速度測定値から、狭窄の重症度に関する情報が明らかになることが示された。例えば、使用中に、ガイドワイヤを、狭窄部の遠位側の位置に前進させることができる。その後、圧力及び流速を第1流動状態で測定することができる。その後、流量を、例えばアデノシンなどの薬剤を使用することによって有意に増加させることができ、この第2充血流状態で圧力及び流量を測定する。次に、これらの2つの流れ状態での圧力と流量の関係を比較して狭窄の重症度を評価し、任意の冠動脈インターベンションのための改善された指針を提供する。組み合わせ先端センサにより同じ位置及び同じ時間での圧力及び流量測定値を得る能力により、これらの圧力・速度ループの精度が向上するため、診断情報の精度が向上する。
【0046】
圧力センサは、体腔内で圧力測定値を得ることを可能にする。圧力センサの特定の利点は、圧力センサが血管内での冠血流予備量比(FFR)を測定することを可能にすることであり、これは狭窄の前及び狭窄の後の位置での血管内圧力の比較である。FFRのレベルは、狭窄の有意性を決定するが、これにより、医師が血行動態関連狭窄をより正確に識別することが可能になる。例えば、0.80を上回るFFR測定値は、正常の冠動脈血流及び有意でない狭窄を示す。別の利点は、医師が腔内介入処置前後の圧力を測定して処置の影響を決定することができることである。
【0047】
例えば、ガイドワイヤの先端部に圧力センサを取り付けることができる。圧力センサは、内部に凹部を有しかつリムによって境界となるダイアフラムを形成する結晶半導体材料から形成できる。この結晶に補強部材を結合させ、そしてこれが結晶のリムを補強し、その内部にダイアフラム下にありかつダイアフラムに露出する空洞を有する。両端を有する抵抗器が該結晶によって保持され、ダイアフラムの一部を覆うその一部を有する。センサの導電性ワイヤがガイドワイヤにおける導電性バンドに接続される。本発明の装置と共に使用できる好適な圧力センサのさらなる詳細は、米国特許第6106476号に記載されている。また、米国特許第6106476号には、ガイドワイヤに圧力センサを結合させるのに好適な方法が記載されている。これらの方法は、本発明のガイドワイヤで導電性バンドにセンサを結合するために適用可能である。
【0048】
所定の態様では、本発明のガイドワイヤは流量センサを備える。この流量センサは、冠血流予備能(CFR)を評価するために使用することができる血管内の血流速度を測定するために使用できる。流量センサは、例えば、ガイドワイヤの遠位先端部に配置された又はそれに近接して配置された超音波トランスデューサ、ドップラー流量センサ又は他の任意の好適な流量センサであることができる。超音波トランスデューサは、任意の好適なトランスデューサであってもよく、米国特許第5125137号、同6551250号及び同5873835号に記載された方法を含めて任意の従来の方法を使用して遠位端部に装着できる。
【0049】
本発明の追加の機能としては、近位及び遠位先端コイル又は被覆材が挙げられる。本発明のガイドワイヤは、センサで受信した信号を圧力及び速度測定値に変換するコンピューティングデバイス(例えばラップトップ、デスクトップ若しくはタブレットコンピュータ)又は生理学的モニタなどの機器に接続できる。この機器は、冠血流予備能(CFR)及び冠血流予備量比(FFR)をさらに計算し、ユーザインターフェースを介してユーザに測定値及び計算値を与えることができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、ユーザは、本発明の血管内装置によって得られたデータに関連する画像を表示するための視覚的インタフェースと対話する。ユーザからの入力(例えば、パラメータ又は選択)は、電子装置内のプロセッサにより受信される。選択は、視覚的表示に変換できる。電子装置を含む例示システムが図19に示されている。図19に示すように、センサエンジン859は、ホストワークステーション433並びに任意にネットワーク409上でサーバ413と通信する。センサエンジンのデータ取得素子855(DAQ)は、1個以上のセンサからセンサデータを受信する。いくつかの実施形態では、オペレータは、システム400を制御する又は画像を受信するためにコンピュータ449又は端末467を使用する。画像は、モニタを含むことができるI/O454、437、又は471を使用して表示することができる。任意のI/Oは、プロセッサ421、459、441又は475のいずれかと通信するために、例えばデータを任意の有形非一時的メモリ463、445、479、又は429に保存するためにキーボード、マウス又はタッチスクリーンを備えることができる。サーバ413は、一般に、ネットワーク409を介した通信を実現する又はデータファイル417にデータを書き込むためにインタフェースモジュール425を備える。
【0051】
コンピュータプログラムの実行に好適なプロセッサとしては、例えば、汎用及び専用マイクロプロセッサ、並びに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1以上のプロセッサが挙げられる。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリ若しくはランダムアクセスメモリ又はその両方から命令及びデータを受信する。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサ並びに命令及びデータを保存するための1以上のメモリ装置である。一般に、コンピュータは、データを保存するための1以上の大容量記憶装置、例えば、磁気、光磁気ディスク又は光ディスクを備え、或いは該装置からデータを受信する若しくはそれにデータを送信する又はその両方をするように動作可能に接続される。コンピュータプログラム命令及びデータを具体化するのに好適な情報媒体は、全て、不揮発性メモリの形態、一例として半導体メモリデバイス(例えば、EPROM、EEPROM、ソリッドステートドライブ(SSD)、及びフラッシュメモリ装置)、磁気ディスク(例えば、内蔵ハードディスク又はリムーバブルディスク)、光磁気ディスク及び光ディスク(例えば、CD及びDVDディスク)を包含する。プロセッサ及びメモリは、専用論理回路によって補完できる又はそれに内蔵できる。
【0052】
ユーザとの対話を与えるために、ここで記載される主題は、I/Oデバイス、例えば、CRT、LCD、LED又はユーザに情報を表示するための投射装置及び入力又は出力装置、例えばユーザがコンピュータへの入力を与えることができるキーボード及びポインティング装置(例えば、マウス又はトラックボール)を有するコンピュータ上で実現できる。他の種類の装置を使用して、同様にユーザとの対話を与えることができる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、感覚フィードバックの任意の形式(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック又は触覚フィードバック)であってよく、またユーザからの入力は、音響、音声又は触覚入力含めて任意の形式で受信できる。
【0053】
ここで記載する主題は、バックエンドコンポーネント(例えば、データサーバ413)、ミドルウェアコンポーネント(例えば、アプリケーションサーバ)又はフロントエンドコンポーネント(例えば、グラフィカルユーザインタフェース454又はユーザがここで記載する主題の実装と対話することができるウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ449)或いはこのようなバックエンド、ミドルウェア及びフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせを備えるコンピューティングシステムで実施できる。これらのシステムのコンポーネントは、デジタルデータ通信、例えば通信ネットワークの任意の形式又は媒体によってネットワーク409を介して相互接続できる。通信ネットワークの例としては、セルネットワーク(例えば、3G又は4G)、ローカルエリアネットワーク(LAN)及び広域ネットワーク(WAN)、例えばインターネットが挙げられる。
【0054】
ここで記載する主題は、データ処理装置(例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ又は複数のコンピュータ)による実行のための又はその動作を制御するために情報媒体で(例えば非一時的コンピュータ可読媒体で)有形的に具現化される1以上のコンピュータプログラムなどの1以上のコンピュータプログラム製品として実現できる。コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリ、マクロ又はコードとしても知られている)は、コンパイル型又はインタプリタ型言語(例えば、C、C++、Perl)含めたプログラミング言語の任意の形式で作成でき、またこのものは、スタンドアロンプログラムとして又はモジュールとして、コンポーネント、サブルーチン若しくはコンピューティング環境で使用するのに好適な他のユニットを含めて任意の形態で展開できる。本発明のシステム及び方法は、当該分野において知られている任意の好適なプログラミング言語で書かれた命令を含むことができ、該プログラミング言語としては、C、C++、Perl、Java(登録商標)、ActiveX、HTML5、VisualBasic又はJavaScript(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
コンピュータプログラムは、必ずしもファイルに対応しない。プログラムは、他のプログラム又はデータを保持するファイル417の一部、問題のプログラムに専用の単一のファイル又は複数の協調ファイル(例えば、1以上のモジュール、サブプログラム又はコードの一部を保存するファイル)に保存することができる。コンピュータプログラムは、1つのサイトで又は複数のサイトにわたって分散されかつ通信ネットワークによって相互接続された1個のコンピュータ上又は複数のコンピュータ上で実行されるように展開できる。
【0056】
ファイルは、例えば、ハードドライブ、SSD、CD又は他の有形の非一時的媒体上に記憶されたデジタルファイルとすることができる。ファイルは、ネットワーク409を介して一方のデバイスから別のものに送信できる(例えば、例えばネットワークインタフェースカード、モデム、無線LANカードなどを介してサーバからクライアントに送信されるパケットとして)。
【0057】
本発明に係るファイルの書き込みは、例えば、粒子を追加し、削除し又は再配置することによって有形非一時的コンピュータ可読媒体を変換することを含み(例えば、読み取り/書込みヘッドによる磁化パターンへの正味の電荷又は双極子モーメントによる)、その後、これらのパターンは、ユーザが望みかつユーザに有用な目的の物理現象に関する新たな情報コロケーションを表す。いくつかの実施形態では、書き込みは、有形非一時的コンピュータ可読媒体における材料の物理的な変換を伴う(例えば、光学読み取り/書き込み装置が、次に新規かつ有用な情報コロケーションを読み取ることができるような所定の光学的特性により、例えばCD−ROMに焼き付けることにより)。いくつかの実施形態では、ファイルの書き込みは、NANDフラッシュメモリ装置などの物理的なフラッシュメモリ装置を変換し、そしてフローティングゲートトランジスタから作製さえたメモリセルのアレイで物理的要素を変換することによって情報を保存することを含む。ファイルを書き込む方法は、当技術分野で周知であり、例えば、手作業で又はプログラム若しくはソフトウェアからの保存命令若しくはプログラミング言語からのライトコマンドによって自動的に起動できる。
【0058】
当業者であれば、上記装置、システム及び方法を様々に変更できることが分かるであろう。したがって、当業者であれば、本発明に包含される実施形態が上記特定の例示的実施形態に限定されるものではないことが分かるであろう。この点に関し、例示的な実施形態を示しかつ説明してきたが、広範囲の修正、変更及び置換が上記開示において意図される。このような変形は、本発明の範囲から逸脱することなく、上記事項になされ得ると解される。したがって、請求の範囲は広くかつ本発明と一致する態様で解釈すべきことが適当である。
【符号の説明】
【0059】
100 血管内装置
102 可撓性細長部材
104 遠位部
105 遠位先端部
106 近位部
107 近位端部
108 部品
110 コネクタ
112 距離
200 コア部材
202 シャフト
204 コネクタ
206 絶縁層
208 導体
210 導体
212 導体
214 導体
222 絶縁部
224 絶縁部
228 導電性バンド
230 導電性バンド
236 絶縁スペーサ
238 絶縁スペーサ
240 絶縁スペーサ
242 絶縁スペーサ
304 コア部材
306 外側層
308 導電性ワイヤ308
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