(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396927
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】機械式計器用の自己動力型光学式検出装置
(51)【国際特許分類】
G01D 13/26 20060101AFI20180913BHJP
G01D 13/24 20060101ALI20180913BHJP
G01L 7/06 20060101ALI20180913BHJP
G01L 9/00 20060101ALI20180913BHJP
G01K 5/62 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
G01D13/26
G01D13/24
G01L7/06
G01L9/00 B
G01K5/62
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-558902(P2015-558902)
(86)(22)【出願日】2014年2月18日
(65)【公表番号】特表2016-508611(P2016-508611A)
(43)【公表日】2016年3月22日
(86)【国際出願番号】US2014016819
(87)【国際公開番号】WO2014130427
(87)【国際公開日】20140828
【審査請求日】2016年12月9日
(31)【優先権主張番号】13/773,773
(32)【優先日】2013年2月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】シュマッカー, マーク スティーブン
【審査官】
菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第4502334(US,A)
【文献】
特開2005−100087(JP,A)
【文献】
特開昭48−30451(JP,A)
【文献】
特開昭55−140125(JP,A)
【文献】
特開平6−288851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 13/00−13/28
G01K 5/00− 5/72
G01L 7/00− 7/24
G01L 9/00− 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械式指針と、
基準用光検出器と、
計測用光検出器と、
前記機械式指針に連結され、前記基準用光検出器は覆わずに、前記機械式指針の位置に応じて前記計測用光検出器を可変的に覆う遮光性シュラウドと、
ゼロ目盛位置及び最大目盛位置に対する前記機械式指針の相対位置を示すための目盛を表示する目盛板とを備え、
前記遮光性シュラウドは、前記機械式指針の相対位置に対応する位置までの範囲で、前記計測用光検出器を覆い、
前記基準用光検出器は、前記計測用光検出器に隣接して設けられ、
前記基準用光検出器及び前記計測用光検出器は、いずれも前記目盛板の開口部に配置される
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
少なくとも部分的に、前記目盛板、前記基準用光検出器、及び前記計測用光検出器に指向される光源を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記基準用光検出器及び前記計測用光検出器と電気的に接続され、前記基準用光検出器の出力と前記計測用光検出器の出力とに基づき、前記機械式指針の相対位置を演算する計測回路と、
前記計測回路と接続され、演算された前記機械式指針の相対位置をワイヤレスで伝送するワイヤレス通信回路と
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記基準用光検出器及び前記計測用光検出器は、それぞれが少なくとも1つの光起電力セルを備えることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記計測回路は、
前記基準用光検出器と電気的に接続され、前記基準用光検出器から供給されるエネルギを蓄える第1エネルギ貯蔵素子と、
前記計測用光検出器と電気的に接続され、前記計測用光検出器から供給されるエネルギを蓄える第2エネルギ貯蔵素子と、
前記第1エネルギ貯蔵素子及び前記第2エネルギ貯蔵素子と電気的に接続され、前記第1エネルギ貯蔵素子に蓄えられたエネルギと、前記第2エネルギ貯蔵素子に蓄えられたエネルギとの相対関係値に基づき、前記機械式指針の相対位置を演算する変換回路とを備える
ことを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1エネルギ貯蔵素子及び前記第2エネルギ貯蔵素子に蓄えられたエネルギの少なくとも一部は、前記計測回路及び前記ワイヤレス通信回路の少なくとも一方の作動に用いられることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
機械式検出部材と、前記機械式検出部材に連結された表示装置とを備えた機械式計器であって、
前記表示装置は、
前記機械式検出部材の可動部に連結された機械式指針と、
基準用光検出器と、
計測用光検出器と、
前記機械式指針に連結され、前記基準用光検出器は覆わずに、前記機械式指針の位置に応じて前記計測用光検出器を可変的に覆う遮光性シュラウドとを備える機械式計器において、
前記基準用光検出器及び前記計測用光検出器と電気的に接続され、前記基準用光検出器の出力と前記計測用光検出器の出力とに基づき、前記機械式指針の相対位置を演算する計測回路と、
前記計測回路と接続され、演算された前記機械式指針の相対位置をワイヤレスで伝送するワイヤレス通信回路とを更に備え、
前記基準用光検出器及び前記計測用光検出器は、それぞれが少なくとも1つの光起電力セルを備え、
前記計測回路は、
前記基準用光検出器の出力と電気的に接続された第1エネルギ貯蔵素子と、
前記計測用光検出器の出力と電気的に接続された第2エネルギ貯蔵素子と、
前記第1エネルギ貯蔵素子及び前記第2エネルギ貯蔵素子と電気的に接続され、前記第1エネルギ貯蔵素子に蓄えられたエネルギと、前記第2エネルギ貯蔵素子に蓄えられたエネルギとの相対関係値に基づき、前記機械式指針の相対位置を演算する変換回路とを備える
ことを特徴とする機械式計器。
【請求項8】
ゼロ目盛位置及び最大目盛位置に対する前記機械式指針の相対位置を示すための目盛を表示する目盛板を更に備え、
前記遮光性シュラウドは、前記機械式指針の相対位置に対応する位置までの範囲で、前記計測用光検出器を覆う
ことを特徴とする請求項7に記載の機械式計器。
【請求項9】
前記機械式検出部材は、機械式圧力センサであって、
前記ゼロ目盛位置は、相対的に低い圧力に対応し、前記最大目盛位置は、相対的に高い圧力に対応する
ことを特徴とする請求項8に記載の機械式計器。
【請求項10】
前記機械式検出部材は、機械式温度センサであって、
前記ゼロ目盛位置は、相対的に低い温度に対応し、前記最大目盛位置は、相対的に高い温度に対応する
ことを特徴とする請求項8に記載の機械式計器。
【請求項11】
前記第1エネルギ貯蔵素子及び前記第2エネルギ貯蔵素子に蓄えられたエネルギの少なくとも一部は、前記計測回路及び前記ワイヤレス通信回路の作動に用いられることを特徴とする請求項7に記載の機械式計器。
【請求項12】
機械式指針の相対位置を表すワイヤレス信号を生成するための方法であって、
基準用光検出器を光源にさらす工程と、
計測用光検出器を前記光源にさらす工程と、
前記機械式指針に連結された遮光性シュラウドで前記計測用光検出器を覆う工程であって、前記遮光性シュラウドで覆われる前記計測用光検出器の部分が前記機械式指針の位置に対応するように、前記遮光性シュラウドで前記計測用光検出器を覆う工程と、
前記基準用光検出器が前記光源にさらされることによって生成された前記基準用光検出器の出力電力を計測する工程と、
前記計測用光検出器において前記遮光性シュラウドで覆われていない部分が前記光源にさらされることによって生成された前記計測用光検出器の出力電力を計測する工程と、
計測した前記基準用光検出器の出力電力と、計測した前記計測用光検出器の出力電力とに基づき、ゼロ目盛位置及び最大目盛位置に対する前記機械式指針の相対位置を演算する工程と、
演算した前記機械式指針の相対位置を、ワイヤレス通信により伝送する工程であって、前記基準用光検出器の出力電力及び前記計測用光検出器の出力電力の少なくとも一方を、少なくとも部分的に作動電力として用いる工程と
を備えることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記機械式指針の相対位置を演算する工程は、
計測した前記計測用光検出器の出力電力を、計測した前記基準用光検出器の出力電力で除することにより、第1電力比を演算する工程と、
前記第1電力比にスケーリング変換関数を適用することにより、前記機械式指針の相対位置を求める工程とを備える
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記機械式指針の相対位置を演算する工程は、
計測した前記計測用光検出器の出力電力と計測した前記基準用光検出器の出力電力との和を、計測した前記計測用光検出器の出力電力と計測した前記基準用光検出器の出力電力との差で除することにより、第2電力比を演算する工程と、
前記第2電力比にスケーリング変換関数を適用することにより、前記機械式指針の相対位置を求める工程とを備える
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式計器に関するものであり、具体的には、機械式計器用の表示装置及びワイヤレス通信回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
目盛板式の圧力計や温度計といった機械式計器は、圧力や温度といったプロセス変数を示す単純且つ信頼性のある手段として、産業において広く用いられている。このような装置は、制御システムや監視システムにプロセス情報を提供する更に正確な電子式プロセストランスミッタの機械式バックアップとなる、最後の手段として用いられることが多い。このような機械式計器の特徴は、その機械的な単純性に加え、もともと備えている自己動力による作動にある。例えば、ブルドン管は、圧力変化に直に応答して動くので、目盛板式表示装置のような機械式指針を動かすために必要な機械エネルギが得られる。同様に、バイメタル板は、温度変化に直に応答して機械式指針を動かす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的に、機械式計器は、工場内を歩き回る人が監視し、それぞれの計器の表示を読み取って書き記している。このような計器読み取り結果の記録方法は、記録を行う人を工場内の危険にさらすおそれがある。また、機械式計器の読み取りや手作業による読み取り結果の記録は、機械式計器自体がもともと有する誤差に加えて、大きな誤差を生じるおそれがある。また、このような作業は、大きなコストを要すると共に、時間を浪費するものとなる。
【0004】
単純性及び信頼性を有し、自己動力により作動するという機械式計器の特徴を保持しつつ、機械式計器の読み取りを安全且つ正確に行うための改善された方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、機械式指針、基準用光検出器、計測用光検出器、及び遮光性シュラウドを備えた表示装置を含む。遮光性シュラウドは、機械式指針に連結され、機械式指針の位置に応じて計測用光検出器を可変的に覆う。遮光性シュラウドは、基準用光検出器を覆うことはない。
更に、表示装置は、ゼロ目盛位置及び最大目盛位置に対する機械式指針の相対位置を示すための目盛を表示する目盛板を備え、遮光性シュラウドは、機械式指針の相対位置に対応する位置までの範囲で、計測用光検出器を覆い、基準用光検出器は、計測用光検出器に隣接して設けられ、基準用光検出器及び計測用光検出器は、いずれも目盛板の開口部に配置される。
【0006】
本発明のもう1つの態様は、機械式指針の相対位置を表すワイヤレス信号を生成する方法を含む。この方法は、基準用光検出器を光源にさらす工程と、計測用光検出器を光源にさらす工程と、機械式指針に連結された遮光性シュラウドで計測用光検出器を覆う工程であって、遮光性シュラウドで覆われる計測用光検出器の部分が機械式指針の位置に対応するように、遮光性シュラウドで計測用光検出器を覆う工程と、光源にさらされることによって生成された基準用光検出器の出力電力を計測する工程と、遮光性シュラウドで部分的に覆われた計測用光検出器が光源にさらされることによって生成された計測用光検出器の出力電力を計測する工程と、ゼロ目盛位置及び最大目盛位置に対する機械式指針の相対位置を演算する工程と、演算した機械式指針の相対位置を、ワイヤレス通信により送信する工程
であって、基準用光検出器の出力電力及び計測用光検出器の出力電力の少なくとも一方を、少なくとも部分的に作動電力として用いる工程とを備え、機械式指針の相対位置の演算は、計測した基準用光検出器の出力電力と、計測した計測用光検出器の出力電力とに基づいて行われる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明を具現化した機械式計器の斜視図である。
【
図3】
図1の機械式計器のハウジングの内部を示す図である。
【
図4】
図1の機械式計器の電子モジュールを示すブロック図である。
【
図5】様々な表示状態にある
図1の機械式計器の表示装置を、(A)〜(C)に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、機械式計器における機械式指針の相対位置に対応した電気信号を、自己動力によって供給する機械式計器用表示装置に関するものである。この電気信号は、ワイヤレスで伝送されるのが好ましい。本発明を具現化した表示装置を装備する機械式計器は、機械式指針の相対位置に対応したワイヤレス電気信号を供給するものであるが、機械式計器の単純性及び信頼性も兼ね備えたものである。機械式指針の相対位置をワイヤレスで伝送することにより、人が工場の現場に入り、機械式指針の位置を読み取って記録する必要がなくなる。更に、機械式指針の位置情報は、人が工場内を巡回して得るようにした場合に比べ、ワイヤレス信号を用いる方が頻繁に利用可能となる。また、電気信号を伝送することにより、機械式計器における機械式指針の相対位置を読み取って手作業で記録することに起因した誤差がなくなる。従って、本発明を具現化した表示装置は、単純性及び信頼性を有して自己動力により作動するという機械式計器の特徴を保持しつつ、機械式計器の読み取り結果を安全且つ正確に供給するものである。
【0009】
図1は、本発明を具現化した機械式計器の斜視図である。
図1に示すように、機械式計器5は、ハウジング10、プロセス接続部12、及び表示装置14を備える。表示装置14は、機械式指針16、目盛板18、基準用光検出器20、計測用光検出器22、シュラウド24、及びアンテナ26を備える。目盛板18は、目盛28及び開口30を備える。目盛28は、ゼロ目盛位置32から最大目盛位置34までの範囲で設けられている。機械式指針16は、針部36と軸部38とを備える。基準用光検出器20及び計測用光検出器22は、光に対する露出部分の増加に伴い増大する電力を生成する光起電力セルである。但し、本発明は、照射される光の変化に応じて電気的特性に変化が生じるような、あらゆるタイプの光検出器を採用した実施形態を包含するものである。
【0010】
図1に示すように、プロセス接続部12は、検知対象のプロセスまたはシステム(図示せず)にハウジング10を接続している。表示装置14は、当該表示装置14からアンテナ26が延設された状態で、ハウジング10に結合されている。機械式指針16の針部36は、軸部38から径方向外方に向け、基準用光検出器20及び計測用光検出器22を横切り、目盛板18の目盛28まで延設されている。基準用光検出器20及び計測用光検出器22は、互いに隣接して目盛板18の開口30内に配置されており、環境光が基準用光検出器20及び計測用光検出器22に当たるようになっている。シュラウド24は、機械式指針16に連結され、ゼロ目盛位置32と最大目盛位置34との間での機械式指針16の動きに伴って変化する範囲まで、計測用光検出器22を覆うようになっている。シュラウド24は遮光性を有しており、シュラウド24が計測用光検出器22の一部を覆うと、覆われた部分に対する環境光が遮られる。シュラウド24は、基準用光検出器20を覆わないので、環境光が基準用光検出器20に当たるのを妨げない。
【0011】
図1の実施形態において、シュラウド24は、機械式指針16の針部36に連結された円弧状の構造体として示されている。しかしながら、本発明は、シュラウド24が、円弧状の構造体以外のものである実施形態や、シュラウド24が、針部36以外の箇所で機械式指針16に連結された実施形態も包含するものである。例えば、シュラウド24が、機械式指針16の針部36に連結された、円板の一部のような形状を有するようにしてもよい。
【0012】
図2は、目盛板28の裏側の表示装置14を示す、表示装置14の内部の図である。
図2に示すように、表示装置14は、電子モジュール40、光検出器接続線42及び43、並びにアンテナ接続線44を更に備えている。光検出器接続線42は、基準用光検出器20を電子モジュール40と電気的に接続する。光検出器接続線43は、計測用光検出器22を電子モジュール40と電気的に接続する。アンテナ接続線44は、アンテナ26を電子モジュール40と接続する。
図1及び
図2の双方に示すように、シュラウド24の一部は、目盛板18の背後に延設された計測用光検出器22の一部を覆っていない。
【0013】
図3は、機械式計器5のハウジング10の内部を示す図である。
図3に示すように、ハウジング10は、機械式検出部材46及び連結機構48を備えている。機械式検出部材46は可動部50を備える。本実施形態において、機械式検出部材46はブルドン管であって、検知対象のプロセスまたはシステムから加わる圧力の変化に応答して、可動部50が動くようになっている。別の実施形態として、温度の変化を検知するために、ブルドン管をバイメタル板などのバイメタル部材に置き換えてもよい。連結機構48は、ピニオンギヤ52とセクタギヤ54とを備える。機械式検出部材46は、プロセス接続部12から可動部50まで延設され、この可動部50が、連結機構48のセクタギヤ54に結合されている。セクタギヤ54は、軸部38に結合されたピニオンギヤ52と噛合している。連結機構48は、軸部38を介して機械式指針16に連結されており、軸部38によって規定される回転軸心周りに、機械式指針16及びピニオンギヤ52が一緒に回動するようになっている。
【0014】
図1〜
図3に示すように、機械式検出部材46の可動部50は、プロセス接続部12における圧力の変化に応答して移動し、セクタギヤ54を介してピニオンギヤ52及び機械式指針16を回動させる。機械式指針16が回動して位置を変えると、当該機械式指針16は、検出された圧力を、ゼロ目盛位置32及び最大目盛位置34との相対位置で目盛28上に指し示す。このとき同時に、機械式指針16は、連結されたシュラウド24を計測用光検出器22の上方に移動させるが、シュラウド24が基準用光検出器20を覆うことはない。これにより、計測用光検出器22に当たる環境光の量が、機械式指針16の位置に応じて変化する一方、基準用光検出器20に当たる環境光の量は、機械式指針16の位置と共に変化することがない。機械式指針16は、目盛28まで延設されているので、機械式指針16の一部は、基準用光検出器20の上方に位置することになるが、目盛28の全域において、基準用光検出器20の上方に位置する機械式指針16の部分の大きさに変化はない。電子モジュール40は、基準用光検出器20及び計測用光検出器22の電気的変化をそれぞれ計測し、これらの計測結果に基づき、機械式指針16の相対位置を演算する。その後、電子モジュール40は、アンテナ接続線44を介し、アンテナ26から機械式指針16の相対位置をワイヤレスで伝送する。ワイヤレスによって伝送された機械式指針16の相対位置は、遠隔配置された制御システムまたは監視システム(いずれも図示せず)によって受信される。
【0015】
基準用光検出器20及び計測用光検出器22が隣接配置されることにより、基準用光検出器20及び計測用光検出器22のそれぞれに照射される環境光の強度(または、温度など、基準用光検出器20及び計測用光検出器22の反応を変化させるような何らかの物理的環境条件)の変化は、両者の間でほぼ等しくなる。一方、機械式指針16の相対位置の変化は、計測用光検出器22のみによって検知されるので、電子モジュール40は、機械式指針16の相対位置を演算する際に、環境光(またはそれ以外の物理的環境条件)のいかなる変化も排除することができる。
【0016】
機械式指針16の相対位置をワイヤレスで伝送することにより、人が工場の現場に入って、機械式計器5を読み取り、記録する必要がなくなる。相対位置情報を電子装置で伝送することにより、機械式指針16の相対位置を読み取って手作業で記録することに起因した誤差が排除される。従って、本発明を具現化した表示装置14は、単純で信頼性があるという機械式計器5の特徴を保持しつつ、機械式計器5の読み取り結果を安全且つ正確に供給するものである。
【0017】
図4は、
図1の機械式計器5の電子モジュール40を示すブロック図である。
図4は、電子モジュール40が、ワイヤレス通信回路58に接続された計測回路56を備えることを示している。ワイヤレス通信回路58は、ワイヤレス伝送信号を送受信するワイヤレストランシーバまたはワイヤレストランスポンダであるのが好ましい。これに代えて、ワイヤレス通信回路58が、ワイヤレストランスミッタのみを有するようにしてもよい。計測回路56は、第1エネルギ貯蔵素子60、第2エネルギ貯蔵素子62、及び変換回路64を備えている。第1エネルギ貯蔵素子60及び第2エネルギ貯蔵素子62は、例えばコンデンサまたは充電式バッテリとしてもよい。光検出器接続線42は、基準用光検出器20を第1エネルギ貯蔵素子60と電気的に接続する。光検出器接続線43は、計測用光検出器22を第2エネルギ貯蔵素子62と電気的に接続する。アンテナ接続線44は、アンテナ26をワイヤレス通信回路58と接続する。
【0018】
本実施形態において、基準用光検出器20及び計測用光検出器22は、光に対する露出部分の増加に伴い増大する電力を生成する光起電力セルからなる。従って、第1エネルギ貯蔵素子60は、基準用光検出器20が発電した電力を蓄え、第2エネルギ貯蔵素子62は、計測用光検出器22が発電した電力を蓄える。変換回路64は、第1エネルギ貯蔵素子60に蓄えられた電力Pdr、及び第2エネルギ貯蔵素子62に蓄えられた電力Pdmをそれぞれ計測し、これら電力Pdr及びPdmの計測値に基づいて、機械式指針16の相対位置を演算する。演算された機械式指針16の相対位置は、アンテナ接続線44を介し、アンテナ26からワイヤレス通信回路58によって伝送される。演算された機械式指針16の相対位置は、第1エネルギ貯蔵素子60に蓄えられた電力Pdrの計測値、及び第2エネルギ貯蔵素子62に蓄えられた電力Pdmの計測値から得たものであるため、演算によって、時間の経過と共に相対位置が効果的に集積され、演算された機械式指針16の相対位置の精度が増す。但し、機械式指針16の相対位置の精度のみが改善されるものであって、機械式検出部材46がもともと有している計測の正確性は、本発明を具現化していない機械式計器の正確性と変わりがない。
【0019】
図4の実施形態は、第1エネルギ貯蔵素子60及び第2エネルギ貯蔵素子62のそれぞれに電力を蓄えている。この電力は、計測回路56、ワイヤレス通信回路58、またはこれら両者が作動するための電力として用いることも可能である。このように、表示装置14は、自己給電方式で、機械式指針16の相対位置をワイヤレスにより伝送することが可能である。なお、表示装置14は、非充電式バッテリなど、別のエネルギ貯蔵素子(図示せず)を備えて、計測回路56、ワイヤレス通信回路58、またはこれら両者に作動用の電力を供給するようにしてもよい。従って、本発明を具現化した表示装置14を備える機械式計器5は、単純で信頼性があって自己動力により作動するという機械式計器の特徴を保持しつつ、機械式計器の読み取り結果を安全且つ正確に供給するものである。
【0020】
変換回路64は、第1電力比R1を用いることにより、機械式指針16の相対位置を演算してもよい。この第1電力比R1は、下記式(1)によって得られる。
【0021】
【数1】
この場合、機械式指針16の相対位置は、第1電力比R1にスケーリング変換関数K1を適用することにより得られる。
【0022】
【数2】
上記式(2)中、PVは、演算された機械式指針16の相対位置である。
【0023】
例えば、様々な表示状態にある
図1の機械式計器5の表示装置14を例示する
図5の(A)〜(C)について説明する。
図5の(A)は、目盛28で0と示されたゼロ目盛位置32を、機械式指針16が指し示している状態の表示装置14を示している。ゼロ目盛位置32では、シュラウド24が、計測用光検出器22のいかなる部分も覆っていない。既に公知であるように、光検出器の出力電力は、光検出器の受光面の表面積に比例したものとなる。基準用光検出器20が、計測用光検出器22の2倍の表面積を有すると仮定すると、第1電力比R1は、下式(3)により0.5となる。
【0024】
【数3】
上記式(3)中、Admは、計測用光検出器22の全受光面の表面積である。
【0025】
図5の(C)は、目盛28で100と示された最大目盛位置34を、機械式指針16が指し示している状態の表示装置14を示している。最大目盛位置34では、シュラウド24が、計測用光検出器22の全体を覆っており、第1電力比R1は、下式(4)により0となる。
【0026】
【数4】
適切なスケーリング変換関数K1を適用することにより、ゼロ目盛位置32の0に対応する相対位置PV、及び最大目盛位置34の100に対応する相対位置PVが、それぞれ演算により得られる。
【0027】
図5の(B)は、目盛28におけるゼロ目盛位置32と最大目盛位置34との間の中間的な位置を、機械式指針16が指し示している状態の表示装置14を示している。このような中間的な位置では、シュラウド24が、計測用光検出器22の全体ではなく一部を覆っており、演算された相対位置PVは、0と100との間の値に対応したものとなる。
【0028】
このような方法に代えて、変換回路64は、第2電力比R2を用いることにより、機械式指針16の相対位置を演算してもよい。この第2電力比R2は、下記式(5)によって得られる。
【0029】
【数5】
この場合、機械式指針16の相対位置は、下記式(6)に示すように、第2電力比R2にスケーリング変換関数K2を適用することにより得られる。
【0030】
【数6】
上記式(6)中、PVは、演算された機械式指針16の相対位置である。
【0031】
例えば、再び
図5の(A)〜(C)に基づき説明すると、
図5の(A)は、目盛28で0と示されたゼロ目盛位置32を、機械式指針16が指し示している状態の表示装置14を示している。この例において、基準用光検出器20が、計測用光検出器22の受光面の表面積より50%だけ大きい受光面の表面積を有すると仮定すると、ゼロ目盛位置32では、シュラウド24が、計測用光検出器22のいかなる部分も覆っていないので、第2電力比R2は5.0となる。
【0032】
【数7】
図5の(C)は、目盛28で100と示された最大目盛位置34を、機械式指針16が指し示している状態の表示装置14を示している。最大目盛位置34では、シュラウド24が、計測用光検出器22の全体を覆っており、第2電力比R2は1.0となる。
【0033】
【数8】
適切なスケーリング変換関数K2を適用することにより、ゼロ目盛位置32の0に対応する相対位置PV、及び最大目盛位置34の100に対応する相対位置PVが、それぞれ演算により得られる。
【0034】
図5の(B)は、目盛28におけるゼロ目盛位置32と最大目盛位置34との間の中間的な位置を、機械式指針16が指し示している状態の表示装置14を示している。このような中間的な位置では、シュラウド24が、計測用光検出器22の全体ではなく一部を覆っており、演算された相対位置PVは、0と100との間の値に対応したものとなる。
【0035】
上述した実施形態では、機械式指針16の相対位置をワイヤレスで伝送する。ワイヤレスによる接続には、設置の容易性や、プロセス機器への有線接続を行うためのケーブルの敷設に関する膨大なコストの回避を含め、有線式の接続に勝る多くの利点がある。但し、本発明は、電子モジュール40が、制御システムや監視システム(図示せず)への有線接続により、機械式指針16の相対位置を伝送するような実施形態を包含するものである。
【0036】
上述した実施形態では、回転移動する形式の機械式指針16を有した回転指針式の表示装置を、表示装置14として示した。しかし、本発明は、例えば直線表示式の表示装置など、別の形式の機械式表示装置を包含するものである。更に、機械式計器5として圧力計を例示すると共に、機械式検出部材46としてブルドン管を例示したが、本発明は、例えば温度変化を示す機械式計器で用いるバイメタル板など、別の形式の機械式検出部材を包含するものである。また、連結機構48として、セクタギヤとピニオンギヤとからなる機構を例示したが、本発明は、可動部50の動きを機械式指針16の動きに変換可能な別の形式の連結機構を包含するものである。更にまた、環境光を光源として説明したが、本発明は、専用の光源により、目盛板18、基準用光検出器20、及び計測用光検出器22に光を照射するような実施形態を包含するものである。
【0037】
本発明を具現化した表示装置は、機器の機械的指針の相対位置に対応する電気信号を供給する。この表示装置は、ワイヤレス形式とすると共に自己動力型としてもよい。機械式指針の相対位置をワイヤレスで伝送することにより、人が工場の現場に入って、機械式指針の位置を読み取り、記録する必要がなくなる。また、電気信号を伝送することにより、機械式計器における機械式指針の相対位置を読み取って手作業で記録することに起因した誤差もなくなる。本発明を具現化した表示装置を装備した機械式計器は、単純性及び信頼性を有して自己動力により作動するという機械式計器の特徴を保持しつつ、機械式計器の読み取り結果を安全且つ正確に供給するものである。
【0038】
具体的な実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能であると共に、均等物で本発明の各構成要素を置き換えることが可能であることが当業者に理解されよう。また、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況やものを本発明の教示に適合させるためのさまざまな変形が可能である。従って、本発明は、開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内に包含される全ての態様を含むものである。