特許第6396930号(P6396930)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6396930眼科手術中の目の保湿のためのシステム及び過程
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396930
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】眼科手術中の目の保湿のためのシステム及び過程
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   A61F9/007 200Z
   A61F9/007 130C
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-561356(P2015-561356)
(86)(22)【出願日】2014年2月7日
(65)【公表番号】特表2016-508822(P2016-508822A)
(43)【公表日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】US2014015246
(87)【国際公開番号】WO2014137536
(87)【国際公開日】20140912
【審査請求日】2017年1月20日
(31)【優先権主張番号】61/774,372
(32)【優先日】2013年3月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508185074
【氏名又は名称】アルコン リサーチ, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ シャラー
【審査官】 石田 智樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−261294(JP,A)
【文献】 特開2000−237135(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/138775(WO,A1)
【文献】 特表2002−515802(JP,A)
【文献】 特表2004−511299(JP,A)
【文献】 米国特許第05387201(US,A)
【文献】 米国特許第06179829(US,B1)
【文献】 特開2003−250832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科手術中に目を保湿するためのシステムであって、
流体ノズルと、
前記流体ノズルを患者の目に対して安定に保持するよう適合されたノズル装着装置と、
前記流体ノズルに連結された流体リザーバと、
前記流体リザーバから前記ノズルまでの流体の流れを調節して目を保湿するよう適合された流体制御装置と、
前記流体制御装置を作動させる及び作動停止させるように動作可能な作動装置であって、前記作動装置は、コンピュータを備え、かつ、所定の量の流体が放出されるまで前記流体制御装置を作動させるように動作可能である、作動装置とを備え、
前記作動装置は、目の乾燥レベルを認識するように動作可能であるセンサを備え、
前記作動装置は、前記目の前記乾燥レベルを認識する前記センサの信号に基づいて前記流体制御装置を作動停止させるように動作可能である、システム。
【請求項2】
前記流体制御装置が、ポンプを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記作動装置が、ユーザー入力装置を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記流体リザーバが加圧される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ノズル装着装置が、外科用顕微鏡を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記流体リザーバ及び前記流体制御装置が、外科用コンソールの一部である、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、眼科手術に関し、より具体的には、ヒトの目への侵入を伴う眼科手術に関する。
【0002】
簡潔に言うと、人間の眼は、角膜と呼ばれる透明な外側部分を通して光を透過し屈折させること、及び水晶体を介して眼底にある網膜上に像を結ぶことによって、視力を提供するように機能する。合焦像の質は、眼のサイズ、形状及び軸長、及び角膜ならびに水晶体の形状ならびに透明度及び網膜の状態を含む多くの因子に依存する。
【0003】
外傷、年齢、または疾患によって水晶体の透明度が下がる場合、網膜に透過される光が減少するため、視力が低下する。眼の水晶体におけるこの欠損は、医学的には白内障として知られる。この状態の治療は、多くの場合、水晶体の外科的除去、及び多くの場合に眼内レンズ(同じ意味で「IOL」と称される)と呼ばれる人工水晶体の移植である。
【0004】
外傷、年齢、または疾患は、しばしば網膜剥離と呼ばれる、網膜のその支持組織からの剥離も引き起こす。網膜剥離は、重症近視の人々の間で最も一般的であるが、目の物理的外傷、白内障手術、または糖尿病性網膜症の結果としても起こり得る。初期剥離は、局部的であり得るが、迅速な処置が行われないと、網膜全体が剥離し、視力喪失及び失明につながり得る。
【0005】
種々の他の状態も目の手術を必要とする場合がある。例えば、網膜上の膜、すなわち網膜上膜(ERM)が内境界膜(ILM)内で破壊し、後部硝子体剥離(PVD)は手術を必要とする場合がある。
【0006】
眼の手術を行うために、患者の眼瞼は、多くの場合、固定される。これは、目の外側(例えば、角膜)を乾燥させ、角膜に害を及ぼし得る。さらに、手術中に生じる流出液は、外科医の眼球の前房への良好な視界を妨げる場合もある。これらの問題に対処するために、助手(例えば、看護士)は、典型的には、手術を受けている目を生理食塩水溶液を充填した注射器で保湿する。
【発明の概要】
【0007】
眼科手術中に目を保湿するための様々なシステム及び技術が開示される。一般的な一実装例において、眼科手術中に目を保湿するためのシステムは、流体ノズル、ノズル装着装置、流体リザーバ、及び流体制御装置を含んでもよい。ノズル装着装置は、流体ノズルを患者の目に対して安定に保持するよう適合されてもよく、流体リザーバは、流体ノズルに連結されてもよい。特定の実装例において、ノズル装着装置は、外科用顕微鏡であってもよい。流体リザーバは、加圧されても加圧されなくてもよい。流体制御装置は、流体リザーバからノズルまでの流体の流れを調節して目を保湿するよう適合されてもよい。流体制御装置は、例えば、ポンプを含んでもよい。
【0008】
ある特定の実装例において、システムは、流体制御装置を作動させる作動装置を含んでもよい。作動装置は、例えば、ユーザー入力装置及び/またはコンピュータを含んでもよい。
【0009】
いくつかの実装例において、流体リザーバ及び流体制御装置は、より大きなシステムの一部である。例えば、流体リザーバ及び流体制御装置は、外科用コンソールの一部であってもよい。
【0010】
別の一般的な実装例において、眼科手術中に目を保湿するための過程は、眼科手術中に目が保湿されるべきかを決定することと、目が保湿されるべきである場合、流体制御装置を作動させることと、を含んでもよい。流体制御装置の作動は、流体リザーバから、流体ノズルを患者の目に対して安定して保持するよう適合されたノズル装着装置に連結された流体ノズルまでの流体の流れを可能にすることができる。この過程は、流体制御装置を作動停止させることも含んでもよい。
【0011】
眼科手術中に目が保湿されるべきかを決定することは、目を保湿する時であるかを決定することを含んでもよい。眼科手術中にいずれかの目が保湿されるべきかを決定することは、目を保湿するためのユーザーコマンドが受信されたかを決定することも含んでもよい。
【0012】
いくつかの実装例において、過程は、眼科手術中に目を保湿し続けるかを決定することも含んでもよい。
【0013】
流体制御装置を作動停止させることは、例えば、適切な量の流体が流体ノズルに流れたかを決定することを含んでもよい。流体制御装置を作動停止させることは、目の保湿を停止するためのユーザーコマンドが受信されたかを決定することも含んでもよい。
【0014】
様々な実装例は、1つ以上の特徴を有することができる。例えば、眼科手術中に目を保湿することは、角膜が乾燥することを防止し、眼球の前房への良好な視界を維持しながら外科医を支援することができる。さらに、様々な実装例は、プログラムに従って、かつ/または手動の制御によってなど、ユーザーによって容易に制御され得る。したがって、ユーザーは、眼科手術を受けている目の保湿を制御し、適切な量の保湿及び洗浄を目に提供することができる。さらに、これは、医師の直接制御下にあり得る。
【0015】
他の様々な特徴は、以下の説明及び添付の図面から当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】眼科手術中に目を保湿するための例示のシステムを示すブロック図である。
図2A】眼科手術中に目を保湿するための別の例示のシステムを示す。
図2B図2Aのシステムの一部を形成する例示の手術コンソールを示す。
図3】眼科手術中に目を保湿するための例示の過程を示す流れ図である。
図4】眼科手術中に目を保湿するための別の例示の過程を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、眼科手術中に目を保湿するための例示のシステム100を示す。システム100は、流体リザーバ110、流体ノズル120、流体制御装置130、作動装置150、及びノズル装着装置160を含む。
【0018】
流体リザーバ110は、目を保湿するための流体を保持する。流体は、例えば、水/生理食塩水、粘弾性体、添加剤(例えば、抗生物質、界面活性剤、トピック麻酔、もしくは人工涙液)が濃縮された水/生理食塩水溶液、または任意の他の適切な目保湿流体であり得る。流体リザーバ110は、ボトル、袋、または任意の他の適切な流体用の容器であってもよく、可撓性プラスチック、硬質プラスチック、ガラス、または任意の他の適切な材料から作られてもよい。流体リザーバ110は、独立型容器であってもよく、またはより大きなシステム(例えば、外科用コンソール)に組み込まれてもよい。特定の実装例において、流体リザーバ110は、眼科手術中の他の動作のために(例えば、眼内圧を維持するために)流体を供給してもよい。流体リザーバ110内の流体は、空気、重力、及び/またはポンプによって加圧されてもよい。
【0019】
流体ノズル120は、流体リザーバ110内の流体を目上に放出して目を保湿するよう適合される。流体ノズル120は、スプレー、ストリーム、ジェットで、または任意の他の適切なパターンで流体を放出することができる。流体ノズル120は、例えば、針、注入器、または任意の他の適切な種類の流体送達装置であってもよい。特定の実装例において、流体ノズル120は、パターン(例えば、スプレーまたはジェット)間で調整可能であり得る。流体ノズル120は、例えば、プラスチック、金属、ガラス、セラミック、または任意の他の適切な種類の材料から構成され得る。
【0020】
流体制御装置130は、流体リザーバ110から流体ノズル120までの流体の流れを制御するよう適合される。流体制御装置130は、流体リザーバからの流体を加圧してもよく、または加圧しなくてもよい。流体制御装置130は、例えば、弁、ポンプ、または流体流を調節するための任意の他の適切な装置であってもよい。流体制御装置130は、静的流量または可変流量を有してもよい。
【0021】
流体リザーバ110は、流体導管140aによって流体制御装置130に連結され、流体制御装置130は、流体導管140bによって流体ノズル120に連結される。特定の実装例において、流体導管140は、可撓性であり得る。流体導管140は、例えば、ホースまたはチューブであってもよい。ホースまたはチューブは、ゴム、プラスチック、または任意の他の適切な材料から構成されてもよい。流体導管140は、他の実装例において、流体を搬送するための他の種類の装置であってもよい。ある特定の実装例において、流体導管140a及び流体導管140bは、同一の導管であってもよい。
【0022】
作動装置150は、流体制御装置130を作動させるよう適合される。特定の実装例において、作動装置150は、手動的作動及び/または自動的作動を提供することができる。作動装置150が、手動的作動を提供する場合、作動装置150は、例えば、ユーザー入力装置(例えば、フットペダル、キーパッド、またはタッチスクリーン)を含んでもよい。ユーザー入力装置は、流体制御装置130に直接連結されてもよく、または直接連結されなくてもよい。直接連結される場合、ユーザー入力装置は、ユーザー(例えば、医師または他の医療専門家)が流体制御装置130の上で直接制御することを可能にする。ユーザー入力装置が流体制御装置130に直接連結されない場合、中間装置(リレー、コンピュータ、及び/またはアクチュエータ)は、ユーザー入力装置からの信号を流体制御装置130用の制御信号に変換することができる。中間装置はまた、流体制御装置を調節することができる(例えば、どれくらい長く流体制御装置が作動されるか、またはどの程度の量の流体が放出されるかを制御する)。
【0023】
作動装置150が、自動的作動を提供する場合、作動装置150は、例えば、流体制御装置130をいつ作動させるかを決定するためにコンピュータを含んでもよい。コンピュータは、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路、現場でプログラム可能なゲートアレイ)及びメモリ(例えば、電磁メモリ、半導体メモリ、及び/または光メモリ)を含んでもよい。プロセッサは、それにエンコードされた及び/またはメモリ内に記憶された命令に従って動作することができる。コンピュータはまた、データをユーザー及び/または他のコンピュータに提供し、ユーザー及び/または他のコンピュータからデータを受け取るための入力/出力システムを含んでもよい。他のコンピュータと通信するために、入力/出力システムは、モデム、ネットワークインターフェースカード、及び/または無線ネットワークカードを含んでもよい。ユーザーにデータを提供するために、入力/出力システムは、ディスプレイ(例えば、スクリーンまたはプロジェクタ)及び/またはスピーカを含んでもよい。ユーザーからデータを受け取るために、入力/出力システムは、キーボード、マウス、キーパッド、スタイラス、または他の入力装置を含んでもよい。コンピュータの構成要素は、1つ以上のバス(例えば、シリアルバスまたはパラレルバス)によって一緒に連結され得る。
【0024】
自動モードで動作するとき、作動装置150は、時間及び/または事象ベースに基づいて、流体制御装置130をいつ作動させるかを決定することができる。例えば、作動装置150は、所定の時間(例えば、0.5秒〜1.0秒)にわたって所定の頻度で(例えば、30秒毎)流体制御装置130を作動させるようプログラムされてもよく、これらは、流体流量及び液滴サイズに基づいて変化し得る。また、作動装置150は、所定の量の流体(例えば、数ミリリットル)が放出されるまで、流体制御装置130を作動させてもよい。さらに、作動装置は、角膜の乾燥度を認識するセンサの信号に基づいて(例えば、光学的に)流体制御装置を作動停止させてもよい。
【0025】
特定の実装例において、作動装置150は、動作の自動モードまたは手動モードを可能にすることができる。例えば、作動装置150は、目を保湿するための所定のルーチンに従って、要求に応じて流体制御装置130を作動させるためにユーザーに入力を提供させてもよい。
【0026】
ノズル装着装置160は、流体ノズル120を、目に対して比較的安定位置に取り付ける。ノズル装着装置160は、例えば、外科用顕微鏡、手術中に眼瞼を開いた状態に保持する開眼器、または特殊固定具であってもよい。ノズル装着装置160は、プラスチック、金属、または任意の他の適切な材料から作られることができる。ノズル装着装置160は、流体ノズル120を取り付けるためにブラケットを含んでもよい。特定の実装例において、ノズル装着装置160は、流体ノズル120を目と位置合わせするよう調整することができる。
【0027】
システム100は、種々の特徴を有する。例えば、システム100は、眼科手術中に目を保湿するよう使用することができる。これは、角膜が乾燥状態になることを防止し、角膜に対する損傷のリスクを回避し、眼球の前房への良好な視界を維持しつつ、外科医を支援することができる。さらに、システム100は、プログラムされ及び/または手動で制御されることによってなど、ユーザーによって容易に制御され得る。したがって、ユーザーは、目に対して適切な量の保湿及び洗浄を提供するために、眼科手術を受けている目の保湿を制御することができ得る。その上、目の保湿は、医師の直接制御下にあり得る。
【0028】
図1は、眼科手術中に目を保湿するためのシステムを図示しているが、依然として目を保湿しながら、種々の付加、削除、置き換え、及び/または修正がシステム100に対して行われてもよい。例えば、流体制御装置は、流体リザーバ内に位置してもよい。別の例として、流体リザーバ及び/または流体制御装置がより大きなシステムの一部であってもよい。
【0029】
特定の実装例において、流体ノズル120は、保湿過程のための位置まで移動され、その後、後退させてもよい。流体ノズル120は、例えば、電子的に、空気的に、磁気的に、手動的に、または任意の他の適切な技術を介して移動されてもよい。しかしながら、流体の実際の送達中には、ノズル120は、安定位置で保持され得る。
【0030】
図2A及び2Bは、眼科手術中に目202を保湿するための別の例示のシステム200を示す。システム200は、流体ノズル210、ノズル装着装置220、及び外科用コンソール230を含む。
【0031】
流体ノズル210は、目202を保湿するために流体を放出するよう適合され、チューブ212及び注射器214を含む。注射器214は、チューブ212を通して送達される流体を受容しかつ保存するよう役割を果たす。チューブ212は、注射器214に連結され、目202に例えばジェットで流体を送達するために注射器から延びる。チューブ212は、金属、ガラス、プラスチック、または任意の他の適切な材料から構成されてもよい。
【0032】
図2Aにおいて、ノズル装着装置220は、外科用顕微鏡である。しかしながら、他の実装例においては、ノズル装着装置220は、流体ノズル210を固定するよう動作可能な他の装置を含んでもよい。ノズル210は、種々の方法のうちのいずれかで外科用顕微鏡に連結されてもよい。外科用顕微鏡は、眼科手術中に配置されてもよい。ノズル210は、外科用顕微鏡の配置によって、適切に配置することができる。
【0033】
図2Bを参照すると、外科用コンソール230は、網膜外科用コンソールについての例である。コンソール230は、コンピュータシステム234及び例えば、硝子体網膜手術処置中にシステム動作及び性能に関するデータを示すよう動作可能に連動するディスプレイ236を具備するハウジング232を含む。ディスプレイ236は、例えばコンソールの1つ以上の動作を確立または変更するために、コンソールとインターフェースされることもできる。いくつかの例では、ディスプレイ236は、ディスプレイ236のスクリーンに触れることによって、コンソールと相互作用するためのタッチ式スクリーンを含んでもよい。
【0034】
様々なプローブが、外科用コンソール230で使用されてもよい。例えば硝子体摘出術プローブなどのプローブは、眼球組織を切開し、眼球組織を目から吸引するために、コンソール230に連結されてもよい。他のプローブは、例えば、流体を目に導入し及び/または流体を目から抽出することができる。コンソール230は、例えば、電力、流体力、水力、及び/または他の適切な種類の出力をプローブに提供することができる。コンソール230はまた、1つ以上の機能(例えば、手術部位への流体の注入速度及び/または手術部位からの流体の吸引速度)を制御するよう、ならびに1つ以上の患者のバイタルサインを監視するよう動作可能であり得る。
【0035】
コンソール230は、硝子体摘出術を行うために一緒に使用される多くのシステムを含むこともできる。例えば、システムは、例えば、フットスイッチ240、流体工学シシステム242、及び空気圧システム248を含むフットスイッチシステム238を含んでもよい。空気圧システム248は、プローブに動力を供給し、プローブを制御するよう動作可能であり得る。例えば、空気システム248は、加圧気体の使用を繰り返し循環させるよう動作可能であり得る。いくつかの例では、空気圧システム248は、毎分1サイクルから毎分7,500サイクル、または可能であればさらに毎分10,000サイクル若しくはそれ以上までの範囲内の速度で加圧気体を循環させるよう動作可能であり得る。ある特定の実装例において、循環された気体は、例えば異なる圧力で、異なる速度で、及び異なる負荷サイクルで適用されてもよい。プローブはまた、空気圧システム248を介してコンソール230とインターフェースされてもよい(例えば、カッターの作動を制御するために)。流体工学システム242は、手術処置中に、注入流体及び/または洗浄流体を目に提供し、または例えば物質を吸引するために真空を提供するよう動作可能であり得る。手術中に異なるシステムの性能を最適化するために、これらの動作パラメータは、例えば、処置が患者の眼球の前房で行われようがまたは後房で行われようが、行われる特定の処置、処置の異なる段階、外科医の個人的な好み等に従って、変更されてもよい。
【0036】
この実装例において、流体工学システム242は、流体リザーバ244及び流体制御装置246を含む。流体リザーバ244は、目を保湿するための流体を保持する。流体は、例えば、水/生理食塩水溶液であり得る。特定の実装例において、流体リザーバ244はまた、眼科手術中の他の動作のために(例えば、眼内圧を維持するために)流体を供給してもよい。流体制御装置246は、流体リザーバ244に連結され、流体リザーバ244から流体ノズル210までの流体の流れを制御するよう適合される。流体リザーバ244は、例えば、袋であってもよく、流体制御装置246はポンプであってもよい。
【0037】
コンソール230内の異なるシステムは、プローブの動作などのコンソール230によって実行される様々な機能ならびに動作の動作ならびに制御のための制御回路を含んでもよい。コンピュータシステム234は、手術処置を適切に行うために、異なるシステム間の相互作用及び関係を管理するよう動作可能であり得る。これを行うために、コンピュータシステム234は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のメモリデバイスを含むことができ、例えば、事前に確立されたプログラムまたはシーケンスに基づいて、コンソール230の動作を制御するよう構成またはプログラムされてもよい。
【0038】
動作の特定のモードにおいて、流体制御装置246は、流体を流体リザーバ244からノズル210に供給するために、フットスイッチ240の制御下で動作する。したがって、フットスイッチ240が操作されるとき、流体制御装置246は、流体をノズル210に供給する。フットスイッチ240は、流体制御装置246に間接的に連結されてもよい(例えば、中間装置を通して)。
【0039】
ある特定の実装例において、コンピュータ234は、自動モードで実施される特定の動作を可能にし得る。自動モードで動作するとき、コンピュータ234は、時間及び/または事象ベースに基づいて、流体制御装置246をいつ作動するかを決定することができる。例えば、コンピュータ234は、所定の頻度で(例えば、30秒毎)、所定の時間にわたって(例えば、0.5〜1.0秒)流体制御装置246を作動するようプログラムされてもよく、これは流体流量及び液滴サイズに基づいて変化する場合がある。また、コンピュータ234は、所定量の流体(例えば数ミリリットル)が放出されるまで、流体制御装置246を作動させてもよい。
【0040】
特定の実装例において、コンピュータ234は、動作の自動モード及び手動モードを可能にし得る。例えば、コンピュータ234は、目を保湿するための所定のルーチンに従い、必要に応じて、ユーザーが流体制御装置246を作動するためにフットスイッチ240を通して入力を提供することも可能にすることができる。
【0041】
システム200は、様々な特徴を有する。例えば、システム200は、眼科手術中に目を保湿するために使用することができる。これは、角膜を損傷する場合がある角膜が乾燥状態になることを防止し、眼球の前房への良好な視界を維持しながら、外科医を支援することができる。さらに、システム100は、プログラム及び/または手動制御によるなど、ユーザーによって容易に制御され得る。したがって、ユーザーは、適切な量の保湿及び洗浄が適用されることを可能にしながら、眼科手術を受けている目の保湿を制御することができ得る。その上、この制御は、医師の直接制御下にあり得る。
【0042】
図3は、眼科手術中に目を保湿するための例示の過程300を示す。過程300は、例えば、システム100または200と同様なシステムによって実施され得る。他の目の保湿システムが、この過程を実施してもよい。
【0043】
過程300は、目を保湿するためのユーザーコマンドが受信されたかを決定することを要求する(動作304)。ユーザーコマンドが受信されたかを決定することは、例えば、ユーザー入力装置(例えば、フットペダル、キーパッド、またはタッチスクリーン)から信号(電気信号または圧力信号)を検出することによって達成することができる。目を保湿するためのユーザーコマンドが受信されなかった場合、過程300は、コマンドを待機し続けることを要求する。
【0044】
目を保湿するためのコマンドが受信されると、過程300は、流体制御装置を作動させることを要求する(動作308)。流体制御装置は、例えば、弁またはポンプであってもよく、装置を作動させることは、流体制御装置の構成を調整すること(例えば、流体制御装置を開位置に配置すること)、または流体制御装置の動作モードを調整することによる(例えば、流体制御装置を運転させること)を含んでもよい。
【0045】
過程300はまた、目の保湿を停止するためのユーザーコマンドが受信されたかを決定することを要求する(動作312)。ユーザーコマンドが受信されたかを決定することは、例えば、ユーザー入力装置(例えば、フットペダル、キーパッド、またはタッチスクリーン)から信号(電気信号または圧力信号)を検出することによって達成することができる。目の保湿を停止するユーザーコマンドが受信されなかった場合、過程300は、コマンドを待機し続けることを要求する。
【0046】
目の保湿を停止するためのコマンドが受信されると、過程300は、流体制御装置を作動停止させることを要求する(動作316)。流体制御装置は、例えば、弁またはポンプであってもよく、装置を作動停止させることは、流体制御装置の構成を調整することによること(例えば、流体制御装置を閉位置に配置すること)、または流体制御装置の動作モードを調整することによる(例えば、流体制御装置の電源を切ること)を含んでもよい。
【0047】
図3は、目を保湿するための例示の過程を示しているが、目を保湿するための他の過程は、より少ない、追加の、及び/または異なる動作の配置を含んでもよい。例えば、この過程は、目の保湿を停止するためのユーザーコマンドが受信されたかを決定することを含まなくてもよい。これは、例えば、流体制御装置が、それに関連付けられた作動時間(例えば、数秒間)または流体容量(例えば、数ミリリットル)を有するときに起こり得る。別の例として、過程は、目を保湿しているかを決定することを含んでもよい。これは、例えば、自動化装置が目を保湿することに関わっているときに起こり得る。
【0048】
図4は、眼科手術中に目を保湿するための別の例示の過程400を示す。過程400は、例えばシステム100または200と同様なシステムによって実施され得る。他の目の保湿システムが、この過程を実行してもよい。
【0049】
過程400は、目を保湿するかを決定することを要求する(動作404)。目を保湿するかを決定することは、例えば、期間が過ぎていないかを決定することによって、達成することができる。目の手術中は、目はかなり規則的な間隔で(例えば、30秒毎)で保湿する必要がある。目を保湿すべきでない場合、過程400は、目を保湿すべきときまで待機することを要求する。
【0050】
目を保湿する時間になると、過程400は、流体制御装置を作動させることを要求する(動作408)。流体制御装置は、例えば、弁またはポンプであってもよく、装置を作動させることは、流体制御装置の構成を調整すること(例えば、流体制御装置を開位置に配置すること)、または流体制御装置の動作モードを調整することによる(例えば、流体制御装置を運転させること)を含んでもよい。
【0051】
過程400は、流体制御装置を作動停止させることを要求する(動作412)。流体制御装置は、例えば、弁またはポンプであってもよく、装置を作動停止させることは、流体制御装置の構成を調整すること(例えば、流体制御装置を閉位置に調整すること)、または流体制御装置の動作モードを調整することによる(例えば、流体制御装置の電源を切ること)を含んでもよい。流体制御装置を作動停止させるかを決定することは、例えば、時間、流体流、または角膜の乾燥度を認識するセンサの信号(例えば、光学的信号)に基づくことができる。
【0052】
過程400はまた、目を保湿し続けるかを決定することも要求する(動作416)。目を保湿し続けるかを決定することは、例えば、目の保湿を停止するためのユーザー入力の時間または受信に基づく(例えば、手術の終了時)。
【0053】
目を保湿し続けるべきではない場合、過程400は、終了状態にある。目を保湿し続けるべき場合には、過程400は、目を保湿するかを再度決定することを要求する(動作404)。
【0054】
図4は、目を保湿するための過程の1つの実装例を示しているが、目を保湿するための他の過程は、より少ない、追加の、及び/または異なる動作の配置を含んでもよい。例えば、過程は、目を保湿するためのユーザーコマンドが受信されたかを決定することを含んでもよい。したがって、過程は、目の自動保湿及び目の手動保湿を含んでもよい。別の例として、過程は、流体制御装置を作動停止させるかを決定することを含んでもよい。これは、例えば、時間または流体流に基づくことができる。
【0055】
本明細書で考察及び言及した様々な実装形態は、例示目的のみで使用した。実装形態は、本開示及び実用化の原理を説明するため、並びに当業者が企図される特定の用途に適した様々な改変を伴う様々な実装形態のために本開示を理解することを可能にするために、選択及び記載した。したがって、構成要素の実際の物理的構成は、変化する場合がある。例えば、構成要素の言及されたサイズ(複数可)及びそれらの相互に対する例示的なサイジングは、用途に基づいて変化し得る。また、1つ以上の構成要素の形状は、用途に応じて変化し得る。したがって、例示的な実装形態は、唯一の物理的なサイズ、形状、及び構成要素の関係性を定義するものとして解釈されるべきではない。
【0056】
眼科手術中に目を保湿するための様々なシステム及び過程が説明され、いくつかのその他のものが言及されまたは示唆されてきた。しかしながら、当業者であれば、依然として目の保湿を達成しつつ、種々の付加、削除、置き換え、及び修正がこれらのシステム及び過程に行われ得ることを認識されるであろう。したがって、保護の範囲は、1つ以上の実装形態の1つ以上の態様を捉え得る、以下の特許請求の範囲に基づいて判断されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4