【実施例】
【0011】
以下、図面と共に本発明による非接触振動測定による故障診断装置及び方法の好適な実施の形態について説明する。
図1において符号1で示されるものは、工作機及び自動車等の大型の装置2の一部として設けられている各種部品等からなる測定対象物であり、前記測定対象物1は、矢印Aで示される往復方向に沿って駆動する駆動状態Bとなるように構成されている。
前記測定対象物1の駆動状態Bは、矢印Aに沿って前記測定対象物1全体が、例えば、図示しない台座上において台座と共に水平状に往復駆動状態となるように構成されている。
また、前記測定対象物1は、例えば、下部が軸支されていて、左右方向Cに沿って往復回動するように構成することもできる。
【0012】
前記測定対象物1の付近には、マイクロフォン3が設けられ、このマイクロフォン3にはデータロギングシステム4を介して音圧/振動加速度算定システム5が接続されており、前記音圧/振動加速度算定システム5は故障予知システム6に接続されている。
【0013】
次に、前述の本発明による非接触振動測定による故障診断装置及び方法の動作について述べる。
まず、駆動中の測定対象物1は、振動することにより音圧を発生するため、その音圧をマイクロフォン3で計測し、その計測された音圧は、データロギングシステムに収集されながら、計算機により時々刻々の振動加速度5Aを計算し、この振動加速度5Aをデータとしてメモリ5Bに格納される。
【0014】
前記振動加速度5Aは、前記故障予知システム6に入力され、この故障予知システム6においては、前記振動加速度5Aに対して異常閾値THを
図2のように設定しておき、比較の結果、算定された振動加速度5Aが前記異常閾値THを越えれば、異常とみなして警報を発報するように構成されている。
すなわち、前記測定対象物1が駆動状態Bにある中で、ガタ等によって前記測定対象物1の振動が設定値よりも大となった時に、前述のように、前記故障予知システム6によって、異常状態が検出される。
【0015】
本発明を実施するにあたり、事前に測定対象物1の付近の干渉しない位置にマイクロフォン3を設置する。そして、測定対象物1を駆動させて、データロギングシステム4で音圧データ4Aを収集した後、音圧/振動加速度算定システム5で、収集された音圧データ4Aより振動加速度データ5Aを算出して、故障予知システム6内に記憶させておく。この手順をリアルタイムに実施することで、経時変化による故障予知を行う。
この中で、マイクロフォン3、データロギングシステム4は、市販のものを使用する。音圧/振動加速度算定システム5は、関係式としてa=2√2l
0πP
e/pSに代入して振動加速度を算出する。ここで、aは振動加速度(m/s
2)、l
0は測定距離(m)、P
eは音圧(実効値)(P
a)、pは空気の密度(kg/m
3)、Sは断面積(m
2)となる。この計算をリアルタイムに行いながら、時々刻々の算定した振動加速度データ5Aを蓄積していく。
故障予知システム6では、音圧/振動加速度算定システム5で算定した振動加速度データ5Aを用いて、事前に設定しておいた異常となる異常閾値THをこえた場合、
図2、装置に異常を通知して、必要に応じて装置停止を促す。この故障システムは、上記のような単純な異常となる閾値による故障予知だけでなく、ロギングした振動加速度データ5Aの統計的処理やAI(人工知能)などを用いた学習予知などを用いて故障診断するなどの高度化も考えられる。
【0016】
次に、本発明による非接触振動測定による故障診断装置及び方法の要旨とするところは、以下の通りである。
すなわち、駆動状態の測定対象物1の付近に設置されたマイクロフォン3と、前記マイクロフォン3に接続され、前記マイクロフォン3で得た前記測定対象物1の駆動中の音圧1Aを収集するためのデータロギングシステム4と、前記データロギングシステム4に接続され、前記音圧1Aを振動加速度5Aに変換するための音圧/振動加速度算定システム5と、前記音圧/振動加速度算定システム5に接続され、前記振動加速度5Aが予め設定された異常閾値TH以下か以上であるかを判定するための故障予知システム6と、を備え、前記測定対象物1の振動加速度5Aを、前記測定対象物1に対して非接触状態で計測する
と共に、計算を行いながら振動加速度データ5Aを蓄積し、前記故障予知システム6では、音圧/振動加速度算定システム5で算定した振動加速度データ5Aを用いて事前に設定しておいた異常となる異常閾値THをこえたことを検出する構成としたことを特徴とする非接触振動測定による故障診断装置であり、また、駆動状態の測定対象物1の付近に設置されたマイクロフォン3と、前記マイクロフォン3に接続され、前記マイクロフォン3で得た前記測定対象物1の駆動中の音圧1Aを収集するためのデータロギングシステム4と、前記データロギングシステム4に接続され、前記音圧1Aを振動加速度5Aに変換するための音圧/振動加速度算定システム5と、前記音圧/振動加速度算定システム5に接続され、前記振動加速度5Aが予め設定された異常閾値TH以下か以上であるかを判定するための故障予知システム6と、を用い、前記測定対象物1の振動加速度5Aを、前記測定対象物1に対して非接触状態で計測する
と共に、計算を行いながら振動加速度データ5Aを蓄積し、前記故障予知システム6では、音圧/振動加速度算定システム5で算定した振動加速度データ5Aを用いて事前に設定しておいた異常となる異常閾値THをこえたことを検出することを特徴とする非接触振動測定による故障診断方法である。