(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の技術は、垂直搬送部内に、コンベヤ装置とは別個に掘削土砂を搬送する搬送体を要する。そのため、コンベヤ装置の構造が複雑となる。
また、特許文献1記載の技術では、垂直搬送部のリタン側では、搬送体が天地逆を向くため、荷こぼれが生じやすいという問題がある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、複雑な装置構成とすることなく、かつ荷こぼれが生じることなく、垂直方向への連続搬送用として好適なコンベヤ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るコンベヤ装置は、垂直方向に延びる螺旋状の搬送経路に沿い、かつ変曲点を形成する箇所に配置されて前記搬送経路の変曲点を形成する複数の往路側ガイドプーリ及び復路側ガイドプーリと、幅方向で二つ折りされた屈曲状態で前記螺旋状の搬送経路に沿って前記複数の往路側ガイドプーリに順に上縁部が支持されるように巻回されるとともに、幅方向で二つ折りされた屈曲状態で前記螺旋状の搬送経路に沿って前記複数の復路側ガイドプーリに順に上縁部が支持されるように巻回され、さらに、前記搬送経路の上方側及び下方側のそれぞれ折り返し位置で折り返されるとともに前記それぞれの折り返し位置の近傍で幅方向に展開された展開状態となる無端状のコンベヤベルトと、前記それぞれの折り返し位置で前記コンベヤベルトを張設するように支持しつつ案内する一組の上側折り返しプーリ及び下側折り返しプーリと、前記複数の往路側ガイドプーリ及び復路側ガイドプーリと前記一組の上側折り返しプーリ及び下側折り返しプーリのうち少なくとも一つを駆動する駆動モータとを備えることを特徴とする。
【0007】
このコンベヤ装置によれば、駆動モータの駆動によりコンベヤベルトが無限循環し、搬送経路の下方側の折り返し位置近傍にて、展開状態のコンベヤベルト上に掘削土砂を載置する。すると、コンベヤベルトは、幅方向で二つ折りされた屈曲状態に移行したときに、載置された掘削土砂を囲繞するように保持し、その保持状態を維持したままで、往路側では螺旋状の搬送経路に沿って搬送経路の上方側に向けて掘削土砂を搬送できる。
【0008】
そして、搬送経路上方側の折り返し位置近傍では、コンベヤベルトは、屈曲状態から再び展開状態とされるので、掘削土砂をコンベヤベルトから降ろして連続的に揚土することができ、さらに、コンベヤベルトを、展開状態から再び屈曲状態とされ復路に戻すことができる。
このため、複雑な装置構成とすることなく、垂直方向への連続搬送用として好適なコンベヤ装置を提供することができる。
【0009】
また、このコンベヤ装置によれば、コンベヤベルトが、往路側及び復路側とも、折り返し位置の近傍を除く搬送中において、幅方向に二つ折りの屈曲状態となっているので、コンベヤベルトが掘削土砂を囲繞するように保持し、荷こぼれを防止又は抑制することができる。また、往路側において掘削土砂を搬送して揚土し、掘削土砂が除かれた復路側において、資材などの他の部材を搬送することもできる。
【0010】
また、前述のコンベヤ装置において、前記変曲点を形成する箇所は、上方から見て多角形形状の角部に設定されることが好ましい。
また、前述のコンベヤ装置において、前記変曲点を形成する箇所は、軸線が垂直方向に延びるように配置されるとともに上方から見て多角形形状を有する支持枠の角部に設定されることが好ましい。
【0011】
このコンベヤ装置によれば、変曲点を形成する箇所が多角形形状を有する支持枠の角部に設定され、この支持枠の角部に往路側ガイドプーリ及び復路側ガイドプーリを配置することができる。
また、前述のコンベヤ装置において、前記支持枠は、軸線が垂直方向に延びるように配置される複数の支持軸を備え、該複数の支持軸を横断面が多角形形状となるように配置してなり、前記複数の往路側ガイドプーリ及び復路側ガイドプーリは、前記支持枠の角部に位置する複数の支持軸のそれぞれに配置されていることが好ましい。
【0012】
このコンベヤ装置によれば、支持枠を簡単な構造で構成した上で、複数の往路側ガイドプーリ及び復路側ガイドプーリを適切に配置することができる。
更に、前述のコンベヤ装置において、幅方向に二つ折りされた屈曲状態の前記コンベヤベルトの上縁部は、複数のコンベヤベルト支持機構によって支持され、各コンベヤベルト支持機構は、前記支持枠の角部間に位置する複数の支持軸のそれぞれに、外方に突出するように取り付けられたローラ支持板と、該ローラ支持板の前記支持軸から離間した外側の位置に取り付けられた外側支持ローラと、前記ローラ支持板の前記外側支持ローラに対して内側の位置に取り付けられた内側支持ローラとを備え、前記外側支持ローラと前記内側支持ローラとで幅方向に二つ折りされた屈曲状態の前記コンベヤベルトの上縁部を外内から挟持して支持することが好ましい。
【0013】
このコンベヤ装置によれば、幅方向で二つ折りされた屈曲状態のコンベヤベルトの上縁部は、複数のコンベヤベルト支持機構によって支持されている。このため、コンベヤベルトの屈曲状態を確実に維持することができる。そして、各コンベヤベルト支持機構は、外側支持ローラと内側支持ローラとで幅方向に二つ折りされた屈曲状態のコンベヤベルトの上縁部を外内から挟持して支持するので、コンベヤベルトの走行抵抗を小さくすることができる。
【0014】
また、前述のコンベヤ装置において、前記駆動モータは、前記複数の往路側ガイドプーリ、複数の復路側ガイドプーリ、上側折り返しプーリ及び下側折り返しプーリのうち複数箇所に分散して設けられていることが好ましい。
このコンベヤ装置によれば、駆動モータが分散配置されるので、コンベヤベルトの張力を小さくすることができ、高揚程搬送を実現できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るコンベヤ装置によれば、複雑な装置構成とすることなく、かつ荷こぼれが生じることなく、垂直方向への連続搬送用として好適なコンベヤ装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について
図1乃至
図10を参照して説明する。
図1に示すコンベヤ装置1は、立坑もしくは斜坑を介して地下掘削現場から掘削した土砂を、立坑を通じて地上部に搬出する際に用いるものであり、立抗内の下側に位置する水平搬送部2と、立抗内において垂直方向に延在する垂直搬送部3と、地上に位置する水平搬送部4とを有する。
【0018】
このコンベヤ装置1は、
図1乃至
図6に示すように、垂直搬送部3において、垂直方向に延びる螺旋状の搬送経路に沿い、かつ変曲点P11〜P16を形成する箇所P1〜P6に配置されて搬送経路の変曲点P11〜P16を形成する複数の往路側第1乃至第6ガイドプーリ21〜26及び復路側第2乃至第7ガイドプーリ32〜37が配置されている。
ここで、搬送経路の変曲点P11〜P16を形成する箇所P1〜P6は、本実施形態においては、上方から見て四角形形状の角部に設定されるものであり、軸線が垂直方向に延びるように配置されるとともに上方から見て四角形状を有する支持枠10の角部に設定されている。
【0019】
この支持枠10は、
図1乃至
図6に示すように、軸線が垂直方向に延びるように配置される複数の支持軸12を備え、この複数の支持軸12を横断面が四角形形状となるように所定ピッチで配置している。各支持軸12は、下端が底板11に固定され、上端が頂板13に固定されている。
そして、搬送経路の変曲点P11〜P16を形成する箇所P1〜P6が設定される支持枠10の角部に位置する4つの支持軸12のそれぞれには、上下で一対をなして配置される前述の複数(本実施形態にあっては6個)の往路側第1乃至第6ガイドプーリ21〜26及び複数(本実施形態にあっては6個)の復路側第2乃至第7ガイドプーリ32〜37が設けられている。
【0020】
これら往路側第1乃至第6ガイドプーリ21〜26及び復路側第2乃至第7ガイドプーリ32〜37の具体的な配置について述べると、
図4において左下角部に配置される支持軸12の下方部において上側に往路側第1ガイドプーリ21が配置されるとともに下側に復路側第7ガイドプーリ37が配置される。また、
図4において左上角部に配置される支持軸12の、往路側第1ガイドプーリ21よりも上側の位置において上側に往路側第2ガイドプーリ22が配置されるとともに下側に復路側第6ガイドプーリ36が配置される。同様に、
図4において右上角部に配置される支持軸12の、往路側第2ガイドプーリ22よりも上側の位置において上側に往路側第3ガイドプーリ23が配置されるとともに下側に復路側第5ガイドプーリ35が配置される。また、
図5において右下角部に配置される支持軸12の、往路側第3ガイドプーリ23よりも上側の位置において上側に往路側第4ガイドプーリ24が配置されるとともに下側に復路側第4ガイドプーリ34が配置される。また、
図5において左下角部に配置される支持軸12の、往路側第4ガイドプーリ24よりも上側の位置において、上側に往路側第5ガイドプーリ25が配置されるとともに下側に復路側第3ガイドプーリ33が配置される。さらに、
図5において左上角部に配置される支持軸12の、往路側第5ガイドプーリ25よりも上側の位置において、上側に往路側第6ガイドプーリ26が配置されるとともに下側に復路側第2ガイドプーリ32が配置される。
【0021】
つまり、往路側第1乃至第6ガイドプーリ21〜26は、後述するコンベヤベルト40を螺旋状に上昇させるように、四角形状の支持枠10の外周を螺旋状に徐々に上昇する位置に設けられる。また、復路側第2乃至第7ガイドプーリ32〜37は、コンベヤベルト40を螺旋状に下降させるように、四角形状の支持枠10の外周を螺旋状に徐々に下降する位置に設けられる。
【0022】
なお、地上に位置する水平搬送部4には、
図1、
図3及び
図5に示すように、複数の支持軸15が支持軸12の配設方向に延長するように設けられ、最も端の支持軸15には、上側に往路側第7ガイドプーリ27が配置されるとともに下側に復路側第1プーリ31が配置されている。
ここで、各往路側第1乃至第6ガイドプーリ21〜26は、螺旋状の搬送経路に沿って水平方向に対し傾斜配置され、各支持軸12を中心に回転可能となっている。また、各往路側第2乃至第7ガイドプーリ32〜37は、螺旋状の搬送経路に沿って水平方向に対し傾斜配置され、各支持軸12を中心に回転可能となっている。また、往路側第7ガイドプーリ27は、支持軸15を中心に回転可能となっている。また、復路側第1ガイドプーリ31は、支持軸15を中心に回転可能となっている。
【0023】
また、コンベヤ装置1は、無端状のコンベヤベルト40を備えている。このコンベヤベルト40は、幅方向で二つ折りされた屈曲状態で螺旋状の搬送経路に沿って往路側第1乃至第7ガイドプーリ21〜27の外周に順に上縁部41が支持されるように巻回される。また、コンベヤベルト40は、幅方向で二つ折りされた屈曲状態で螺旋状の搬送経路に沿って復路側第1乃至第7ガイドプーリ31〜37の外周に順に上縁部41が支持されるように巻回される。また、コンベヤベルト40は、搬送経路の上方側に位置する水平搬送部4と搬送経路の下方側に位置する水平搬送部2とのそれぞれの折り返し位置で折り返される。
【0024】
ここで、搬送経路の上方側に位置する水平搬送部4の折り返し位置には、
図1及び
図5に示すように、上側折り返しプーリ51が設けられている。上側折り返しプーリ51は、当該折り返し位置でコンベヤベルト40を張設するように支持しつつ案内する。上側折り返しプーリ51は、支持部材53に回転可能に支持されている。また、搬送経路の下方側に位置する水平搬送部2の折り返し位置には、
図1及び
図5に示すように、下側折り返しプーリ52が設けられている。下側折り返しプーリ52は、当該折り返し位置でコンベヤベルト40を張設するように支持しつつ案内する。下側折り返しプーリ52は、支持軸14に回転可能に支持されている。
【0025】
コンベヤベルト40は、
図5に示すように、往路側で、幅方向で二つ折りされた屈曲状態で往路側第7プーリ27の外周に巻回されて90°方向転換し、搬送経路の上方側に位置する水平搬送部4の折り返し位置の近傍Bで幅方向に展開された展開状態となり、上側折り返しプーリ51で展開状態のまま折り返される。そして、コンベヤベルト40は、上側折り返しプーリ51で展開状態のまま折り返された後、
図7に示すように、ガイドローラ54,55を通過して復路側第1ガイドプーリ31の手前側で幅方向で二つ折りされた屈曲状態となり、復路側第1ガイドプーリ31の外周に巻回される。
【0026】
また、コンベヤベルト40は、
図4に示すように、復路側で、幅方向で二つ折りされた屈曲状態で下側折り返しプーリ52で折り返された後、搬送経路の下方側に位置する水平搬送部2の折り返し位置の近傍Aで、一旦、幅方向に展開された展開状態となる。そして、コンベヤベルト40は、再度、幅方向で二つ折りされた屈曲状態となって往路側第1ガイドプーリ21の外周に巻回される。コンベヤベルト40の往復搬送の仕方及び展開の仕方については後に詳述する。
【0027】
なお、上側折り返しプーリ51には、
図1に示すように、当該上側折り返しプーリ51を駆動する駆動モータ60が接続されている。また、図示はしないが、往路側第1ガイドプーリ21、往路側第3ガイドプーリ23及び往路側第5ガイドプーリ25にも、当該ガイドプーリのそれぞれを駆動する駆動モータが複数分散されて配置接続されている。
また、幅方向に二つ折りされた屈曲状態のコンベヤベルト40の上縁部は、複数のコンベヤベルト支持機構70によって支持されている。
【0028】
垂直搬送部3において、各コンベヤベルト支持機構70は、支持枠の角部間に位置する複数の支持軸12のそれぞれに取り付けられている。各コンベヤベルト支持機構70は、
図9(a),(b)に示すように、各支持軸12に、外方に突出するように取り付けられたローラ支持板71と、ローラ支持板71の支持軸12から離間した外側の位置に取り付けられた外側支持ローラ72と、ローラ支持板71の外側支持ローラ72に対して内側の位置に取り付けられた内側支持ローラ73とを備えている。そして、コンベヤベルト40の一方側の端部40aと他方側の端部40bで構成される幅方向に二つ折りされた屈曲状態のコンベヤベルト40の上縁部41は、外側支持ローラ72と内側支持ローラ73とで外内から挟持して支持される。
【0029】
なお、各コンベヤベルト支持機構70におけるローラ支持板71は、
図9(a)に示すように、支持軸12に固定される内外方向に延びる直線状の平板部71aと、平板部71aの外端から下方に延び、且つ外方に延びる延長部71bと、平板部71aの外端よりも内側の部分から下方に延びる垂下部71cとを備えている。外側支持ローラ72は、延長部71bの外方延長部分の下面に回転可能に支持されている。また、内側支持ローラ73は、円錐台形状に形成され、垂下部71cの外面に回転可能に軸支されている。さらに、延長部71bの下方延出部分の内面と垂下部71cの外面との間には、補助ガイドローラ74が回転可能に支持されている。この補助ガイドローラ74は、コンベヤベルト40の上縁部41が上方へ移動した際に当該上縁部41を案内する。
【0030】
また、支持枠10の上部側に位置する水平搬送部4においては、
図3に示すように、各コンベヤベルト支持機構70は、往路側第7ガイドプーリ27及び復路側第1ガイドプーリ31が支持されている支持軸15を除く複数の支持軸15のそれぞれに取り付けられている。このコンベヤベルト支持機構70の構造は、前述したコンベヤベルト支持機構70と同様である。
【0031】
更に、搬送経路の下方側に位置する水平搬送部2においては、
図1及び
図4に示すように、コンベヤベルト40が展開状態となる領域を除く位置に、複数の支持軸14が支持軸12の配設方向に延長するように設けられている。そして、各コンベヤベルト支持機構70は、下側折り返しプーリ52が支持されている支持軸14を除く複数の支持軸14のそれぞれに取り付けられている。このコンベヤベルト支持機構70の構造は、前述したコンベヤベルト支持機構70と同様である。
【0032】
このように構成されたコンベヤ装置1において、コンベヤベルト40は、
図8に展開されて示されるように、往路側において、水平搬送部2で、先ず、幅方向で二つ折りされた屈曲状態で下側折り返しプーリ52で折り返される。その後、コンベヤベルト40は、
図4に示すように、折り返し位置の近傍Aで、一旦、幅方向に展開された展開状態となる。このとき、幅方向で二つ折りされた屈曲状態のコンベヤベルト40内には、拡幅部材42が挿入されており、この拡幅部材42の作用によりコンベヤベルト40が幅方向に展開される。そして、コンベヤベルト40は、コンベヤベルト支持機構70の作用によって、再度、幅方向で二つ折りされた屈曲状態となり、垂直搬送部3の往路側第1ガイドプーリ21にまで至るまで搬送される。
【0033】
そして、コンベヤベルト40は、幅方向で二つ折りされた屈曲状態で往路側第1ガイドプーリ21の外周、往路側第2ガイドプーリ22の外周、往路側第3ガイドプーリ23の外周、往路側第4ガイドプーリ24の外周、往路側第5ガイドプーリ25の外周、及び往路側第6ガイドプーリ26の外周の順に案内されて、各往路側第1乃至第6ガイドプーリ21〜26の変曲点P11〜P16で向きを90°ずつ変えつつ支持枠10において螺旋状に上昇するように搬送される。
【0034】
ここで、往路側第1乃至第6ガイドプーリ21〜26のそれぞれは、支持軸12と比較して極めて大きな直径を有している。このため、往路側第1乃至第6ガイドプーリ21〜26の外周を案内されるコンベヤベルト40の曲率は小さい。これにより、コンベヤベルト40の走行抵抗を小さくすることができる。
そして、往路側第6ガイドプーリ26の外側を案内されたコンベヤベルト40は、水平搬送部4において幅方向で二つ折りされた屈曲状態で往路側第7ガイドプーリ27の外側を案内されて90°方向転換される。
【0035】
ここで、往路側において、幅方向で二つ折りされた屈曲状態のコンベヤベルト40の上縁部は、複数のコンベヤベルト支持機構70によって支持されている。このため、コンベヤベルト40の屈曲状態は確実に維持される。そして、各コンベヤベルト支持機構70は、外側支持ローラ72と内側支持ローラ73とで幅方向に二つ折りされた屈曲状態のコンベヤベルトの上縁部41を外内から挟持して支持するので、コンベヤベルト40の走行抵抗を小さくすることができる。
【0036】
また、外側支持ローラ72を支持する延長部71bの下方延出部分の内面と内側支持ローラ73を支持する垂下部71cの外面との間には、コンベヤベルト40の上縁部41が上方へ移動した際に当該上縁部41を案内する補助ガイドローラ74が回転可能に支持されている。このため、コンベヤベルト40の上縁部41が上方へ移動しても補助ガイドローラ74によってコンベヤベルト40の走行が案内され、抵抗となることはない。
【0037】
そして、幅方向で二つ折りされた屈曲状態で往路側第7ガイドプーリ27の外側を案内されて方向転換されたコンベヤベルト40は、水平搬送部4の折り返し位置の近傍Bで幅方向に展開された展開状態となり、
図7に示すように、上側折り返しプーリ51で展開状態のまま折り返される。
そして、上側折り返しプーリ51で展開状態のまま折り返されたコンベヤベルト40は、ガイドローラ54,55を通過した後、コンベヤベルト支持機構70の作用によって復路側第1ガイドプーリ31の手前側で幅方向で二つ折りされた屈曲状態となる。
幅方向で二つ折りされた屈曲状態となったコンベヤベルト40は、復路側第1ガイドプーリ31の外周を案内され、復路側において、垂直搬送部3の往路側第2ガイドプーリ32にまで搬送される。
【0038】
そして、コンベヤベルト40は、幅方向で二つ折りされた屈曲状態で復路側第2ガイドプーリ32の外周、復路側第3ガイドプーリ33の外周、復路側第4ガイドプーリ34の外周、復路側第5ガイドプーリ35の外周、復路側第6ガイドプーリ36の外周、及び復路側第7ガイドプーリ37の外周の順に案内されて、各復路側第2乃至第7ガイドプーリ32〜37の変曲点P16〜P11で向きを90°ずつ変えつつ支持枠10において螺旋状に下降するように搬送される。
【0039】
ここで、復路側第2乃至第7ガイドプーリ32〜37のそれぞれは、支持軸12と比較して極めて大きな直径を有している。このため、復路側第2乃至第7ガイドプーリ32〜37の外周を案内されるコンベヤベルト40の曲率は小さい。これにより、コンベヤベルト40の走行抵抗を小さくすることができる。
そして、復路側第7ガイドプーリ37の外側を案内されたコンベヤベルト40は、水平搬送部2において幅方向で二つ折りされた屈曲状態で下側折り返しプーリ52に至るまで搬送される。
【0040】
そして、コンベヤベルト40は、前述の往路側動作と復路側動作を、駆動モータが駆動している限り繰り返し、無限循環される。
ここで、復路側において、幅方向で二つ折りされた屈曲状態のコンベヤベルト40の上縁部は、複数のコンベヤベルト支持機構70によって支持されている。このため、コンベヤベルト40の屈曲状態は確実に維持される。そして、各コンベヤベルト支持機構70は、外側支持ローラ72と内側支持ローラ73とで幅方向に二つ折りされた屈曲状態のコンベヤベルトの上縁部41を外内から挟持して支持するので、コンベヤベルト40の走行抵抗を小さくすることができる。
【0041】
また、外側支持ローラ72を支持する延長部71bの下方延出部分の内面と内側支持ローラ73を支持する垂下部71cの外面との間には、コンベヤベルト40の上縁部41が上方へ移動した際に当該上縁部41を案内する補助ガイドローラ74が回転可能に支持されている。このため、コンベヤベルト40の上縁部41が上方へ移動しても補助ガイドローラ74によってコンベヤベルト40の走行が案内され、抵抗となることはない。
【0042】
このように構成されたコンベヤ装置1により地下掘削現場から掘削した土砂を、立坑を通じて地上部に搬出する方法について説明する。
コンベヤベルト40の往路側における水平搬送部2で、折り返し位置の近傍Aでコンベヤベルト40が幅方向に展開された展開状態となったところで、地下掘削現場から掘削した土砂をコンベヤベルト40上に載置する。すると、コンベヤベルト40が幅方向で二つ折りされた屈曲状態となったときに、載置された掘削土砂はコンベヤベルト40により囲繞するように保持される。そして、掘削土砂は、コンベヤベルト40によって保持状態が維持されたまま垂直搬送部3を各往路側第1乃至第6ガイドプーリ21〜26の変曲点P11〜P16で向きを90°ずつ変えつつ螺旋状に上昇し、水平搬送部4に搬送される。
【0043】
そして、水平搬送部4で、掘削土砂はコンベヤベルト40により囲繞するように保持されたままコンベヤベルト40とともに往路側第7ガイドプーリ27で90°方向転換される。そして、掘削土砂は、その後、折り返し位置の近傍Bでコンベヤベルト40が幅方向に展開状態となったときに、コンベヤベルト40から取り出すことができる。
従って、折り返し位置の近傍Bで掘削土砂をコンベヤベルト40から降ろして連続的に揚土することができる。
【0044】
そして、掘削土砂が取り出されたコンベヤベルト40は、上側折り返しプーリ51で展開状態のまま折り返され、ガイドローラ54,55を通過した後、コンベヤベルト支持機構70の作用によって復路側第1ガイドプーリ31の手前側で幅方向で二つ折りされた屈曲状態となる。
そして、コンベヤベルト40は、復路側で、幅方向で二つ折りされた屈曲状態となったまま復路側第1ガイドプーリ31によって方向転換し、更に、垂直搬送部3で各復路側第2乃至第7ガイドプーリ32〜37の変曲点P16〜P11で向きを90°ずつ変えつつ螺旋状に下降し、水平搬送部2に搬送されて元の位置に戻る。
【0045】
このように、コンベヤ装置1によれば、複雑な装置構成とすることなく、垂直方向への連続搬送可能となる。そして、1台のコンベヤ装置で水平・垂直さらに水平方向への連続搬送が可能となる。
ここで、コンベヤベルト40が、往路側及び復路側とも、折り返し位置の近傍A、Bを除く搬送中において、幅方向に二つ折りの屈曲状態となっており、掘削土砂はコンベヤベルト40により囲繞するように保持されるので、荷こぼれを防止又は抑制することができる。
【0046】
また、コンベヤベルト40が、往路側及び復路側とも、折り返し位置の近傍A、Bを除く搬送中において、幅方向に二つ折りの屈曲状態となっているので、往路側において掘削土砂を搬送して揚土し、掘削土砂が除かれた復路側において、資材などの他の部材を搬送することもできる。
更に、また、コンベヤベルト40が、往路側及び復路側とも、折り返し位置の近傍A、Bを除く搬送中において、幅方向に二つ折りの屈曲状態となっているので、掘削土砂の中に大きな石や小さな砂が混じっていたとしても、コンベヤベルト40によりそれらの大きな石や小さな砂が混じった掘削土砂を包み込んで搬送することができる。
【0047】
また、コンベヤベルト40が、往路側及び復路側とも、折り返し位置の近傍A、Bを除く搬送中において、幅方向に二つ折りの屈曲状態となっており、掘削土砂がコンベヤベルト40により囲繞するように保持されるので、搬送中に緊急停止したとしても荷こぼれのおそれはない。
また、上側折り返しプーリ51、往路側第1ガイドプーリ21、往路側第3ガイドプーリ23及び往路側第5ガイドプーリ25には、当該ガイドプーリのそれぞれを駆動する駆動モータが複数箇所に分散して設けられているので、コンベヤベルトの張力を小さくすることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、コンベヤ装置1は、立坑もしくは斜坑を介して地下掘削現場から掘削した土砂を、立坑を通じて地上部に搬出する際に用いる場合のみならず、石炭などの貯蔵物を貯蔵するサイロへの貯蔵物の搬送にも用いることができる。
【0049】
また、コンベヤ装置1において、水平搬送部2、4は必ずしも必要はない。この場合、コンベヤベルト40は、垂直方向に延びる垂直搬送部3における搬送方向の上方側及び下方側のそれぞれ折り返し位置で折り返されるとともにそれぞれの折り返し位置の近傍で幅方向に展開された展開状態となる。また、下側折り返しプーリ52及び上側折り返しプーリ51は、それぞれ水平搬送部2、4ではなく、それぞれの折り返し位置でコンベヤベルト40を張設するように支持しつつ案内すればよい。
【0050】
また、往路側第1乃至第6ガイドプーリ21〜26及び復路側第2乃至第7ガイドプーリ37が配置される、変曲点P11〜P16を形成する箇所P1〜P16は、上方から見て四角形状を含む多角形形状の角部に設定される必要は必ずしもない。例えば、上方から見てZ字形状の角部に設定されてもよい。
また、当該変曲点P11〜P16を形成する箇所P1〜P16は、上方から見て四角形状を含む多角形形状を有する支持枠10の角部に設定される必要は必ずしもない。往路側ガイドプーリ及び復路側ガイドプーリは、支持枠10の角部以外の変曲点P11〜P16を形成する箇所(例えば、立孔に配置された他の部材)に配置されてもよい。
【0051】
また、支持枠10は、上方から見て四角形形状でなく、その他の多角形形状であってもよい。
また、支持枠10は、軸線が垂直方向に延びるように配置されるとともに上方から見て多角形形状を有すればよく、必ずしも、複数の支持軸12を上方から見て多角形形状となるように配置して構成する必要はない。
【0052】
また、垂直搬送部2における支持枠10の高さは、立抗の高さに応じて調整すればよく、往路側ガイドプーリ及び復路側ガイドプーリの数は、それぞれ7つに限らず、支持枠10の高さと螺旋状の搬送経路における配置ピッチとによって決定される。
また、駆動モータ60は上側折り返しプーリ51に接続され、図示しない複数の駆動モータが往路側第1ガイドプーリ21、往路側第3ガイドプーリ23、往路側第5ガイドプーリ25に接続されているが、駆動モータは、往路側第1乃至第7ガイドプーリ21〜27及び復路側第1乃至第7ガイドプーリ31〜37と上側折り返しプーリ51及び下側折り返しプーリ52のうち少なくとも一つを駆動するように接続されていればよい。
【0053】
また、コンベヤベルト支持機構70の構造は、
図9(A),(B)に示した例に限定されない。例えば、
図10に示すように、図示しない下方が支持されたブラケットに複数のローラ75を二つに折り返されるコンベヤベルト40の外周に沿うように配置するようにしてもよい。
また、往路側第1乃至第6ガイドプーリ21〜26及び復路側第2乃至第7ガイドプーリ32〜37は、上下で一対をなして配置される場合のみならず、左右に並列して配置されてもよい。
【0054】
なお、
図11には、コンベヤベルト40の上縁部41が往路側第1ガイドプーリ21の外周に支持される様子が示されている。ここで、往路側第1ガイドプーリ21の外周面には、断面台形形状に形成された第1凹部21aが周方向に無端状に形成されるとともに、第1凹部21aの下方側に、断面台形形状に形成された第2凹部21bが周方向に無端状に形成されている。また、コンベヤベルト40の上縁部41を構成するコンベヤベルト40の一方側の端部40aは、第1凹部21aと相補的な形状をなす断面台形形状に形成され、第1凹部21aに嵌合されて支持されている。一方、コンベヤベルト40の上縁部41を構成するコンベヤベルト40の他方側の端部40bは、第2凹部21bと相補的な形状をなす断面台形形状に形成され、第2凹部21aに嵌合されて支持されている。
【0055】
このように、コンベヤベルト40の一方側の端部40aが往路側第1ガイドプーリ21の第1凹部21aに嵌合されて支持され、また、コンベヤベルト40の他方側の端部40bが往路側第1ガイドプーリ21の第2凹部21bに嵌合されて支持され、この状態で、コンベヤベルト40は、往路側第プーリ21の外周に巻回されている。また、図示はしないが、往路側第2乃至第7ガイドプーリ22〜27及び復路側第1乃至第7ガイドプーリ31〜37のすべての外周面にも、断面台形形状に形成されたコンベヤベルト40の一方側の端部40aが嵌合される、断面台形形状に形成された第1凹部21aが周方向に無端状に形成されるとともに、第1凹部21aの下方側に、断面台形形状に形成されたコンベヤベルト40の他方側の端部40bが嵌合される、断面台形形状に形成された第2凹部21bが周方向に無端状に形成されている。このため、
コンベヤベルト40の上縁部41は上下にずれることなく、凹凸嵌合による適切な摩擦力によって往路側第1乃至第7ガイドプーリ21〜27及び復路側第1乃至第7ガイドイプーリ31〜37の外周面で支持されながら送り出されるので、
コンベヤベルト40は適切かつ確実に無限循環することができる。