(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
<1.車両の概略>
まず、
図1及び
図2を参照して、本発明の実施形態に係る車両1の概略について説明する。
図1は、本実施形態に係る車両1の駆動系の概略構成の一例を示す模式図である。
図2は、本実施形態に係る車両1における電池パック10の位置の一例を示す模式図である。
【0017】
車両1は、本実施形態に係る電池パック10を搭載する車両の一例である。具体的には、車両1は、
図1に示したように、駆動輪59a,59b,59c,59dを駆動するための駆動源として、駆動モータ63f,63rを備える電気自動車である。駆動輪59a,59b,59c,59dは、車両1の前左輪、前右輪、後左輪、後右輪にそれぞれ相当する。なお、以下では、車両1の進行方向を前方向とし、進行方向に対して逆方向を後方向とし、進行方向を向いた状態における左側及び右側をそれぞれ左方向及び右方向とし、鉛直上側及び鉛直下側をそれぞれ上方向及び下方向として、説明する。
【0018】
駆動モータ63fは、減速機61fを介して、駆動輪59a及び駆動輪59bと接続されている。一方、駆動モータ63rは、減速機61rを介して、駆動輪59c及び駆動輪59dと接続されている。駆動モータ63fによって生成された駆動力は、減速機61fを介して、駆動輪59a及び駆動輪59bへそれぞれ伝達される。一方、駆動モータ63rによって生成された駆動力は、減速機61rを介して、駆動輪59c及び駆動輪59dへそれぞれ伝達される。減速機61f,61rは、駆動モータ63f,63rから入力される動力を所定の減速比で変換して、各駆動輪へそれぞれ出力する機能を有する。減速機61f,61rの当該機能は、例えば、ギヤによって実現される。なお、車両1の構成から減速機61f,61rは省略されてもよく、その場合には、駆動モータ63fと駆動輪59a,59bの各々は直接的に接続されてもよく、駆動モータ63rと駆動輪59c,59dの各々は直接的に接続されてもよい。
【0019】
駆動モータ63f,63rは、図示しないインバータ装置を介して電池パック10内の電池モジュールと電気的に接続されている。電池パック10から供給される直流電力は、インバータ装置によって交流電力に変換され、駆動モータ63f,63rへ供給される。それにより、駆動モータ63f,63rによって動力が生成される。
【0020】
電池パック10は、具体的には、高電圧(例えば、350V)の電力供給源である。例えば、電池パック10内の電池モジュールに蓄電される電力は、インバータ装置を介して、駆動モータ63f,63rへ供給される他、車両1内の各種装置へ供給される電力を蓄電する低電圧バッテリへ供給され得る。
【0021】
本実施形態に係る電池パック10は、車両1の床下に配置される。具体的には、電池パック10は、
図2に示したように、車両1の車室の底部に相当するフロアパネル55より下方、かつ、車両1の底部を覆うアンダーカバー57より上方に配置される。より具体的には、電池パック10は、車両の床下において、フロントシート51の下方からリアシート53の下方へ延在するように設けられる。
【0022】
このように、本実施形態では、電池パック10を搭載するための空間として、車両1の床下が利用される。それにより、電池パック10の寸法が比較的大きい場合であっても、車室空間を比較的広く確保することが可能となる。ゆえに、より大型又は多数の電池モジュールを電池パック10内に設けることが可能となる。よって、車両1の走行可能な距離をより長くすることが実現される。
【0023】
ここで、電池パック10を車両1の床下に配置した場合、上述したように、電池パック10の筐体内の電池モジュールは、比較的大きな荷重を受けやすい。それにより、電池パック10内に設けられた電池モジュールが破損するおそれがある。そこで、車両1の床下に配置された電池パック10内に設けられた電池モジュールの破損を防止することが望ましいと考えられる。本実施形態によれば、電池パック10の下部に二重底部を形成することによって、車両1の床下に配置された電池パック10内に設けられた電池モジュールの破損を防止することが可能となる。以下では、そのような電池パック10の詳細について、説明する。
【0024】
<2.電池パック>
続いて、
図3〜
図6を参照して、本実施形態に係る電池パック10の構成について説明する。
【0025】
図3は、本実施形態に係る電池パック10の外観の一例を示す斜視図である。
図4は、本実施形態に係る電池パック10の内部の構成の一例を示す斜視図である。具体的には、
図4では、筐体110の上面部111が取り外された状態の電池パック10が示されている。なお、
図4では、理解を容易にするために、二点鎖線によって表される電池モジュール171の内部を透過して、筐体110の内部が示されている。
図5は、本実施形態に係る電池パック10の内部の構成の一例を示す、車両1の左右方向に直交する断面についての断面図である。具体的には、
図5は、
図3に示したA−A断面についての断面図である。A−A断面は、電池モジュール171を通る断面である。
図6は、本実施形態に係る電池パック10の内部の構成の一例を示す、車両1の前後方向に直交する断面についての断面図である。具体的には、
図6は、
図3に示したB−B断面についての断面図である。B−B断面は、電池モジュール171及び取り付け部材120の前方脚部141fを通る断面である。
【0026】
電池パック10は、
図3及び
図4に示したように、電池モジュール171と、電池モジュール171を収容する筐体110と、電池パック10を車体に取り付けるための複数の取り付け部材120と、を備える。なお、電池パック10には、外部の装置との通信や電池モジュール171の充放電に関する制御を行う制御装置及び各種センサが含まれ得る。また、電池パック10には、電池モジュール171を冷却するための冷却部材が含まれ得る。
【0027】
電池モジュール171は、複数のセルを含んで構成され、筐体110に収容される。当該複数のセルは、電池モジュール171において、電気的に直列に接続される。電池モジュール171は、具体的には、筐体110に複数収容され得る。このような複数の電池モジュール171は、電池パック10において、電気的に直列又は並列に接続される。例えば、複数の電池モジュール171の一部は、互いに電気的に直列に接続され、他の一部は、互いに電気的に並列に接続されてもよい。
【0028】
電池モジュール171は、筐体110の底面部116上に、例えばネジ締結等によってそれぞれ固定される。電池モジュール171は、例えば、筐体110内において、左右方向及び前後方向に複数並設されてもよい。具体的には、電池モジュール171は、
図4に示したように、左右方向及び前後方向にそれぞれ4個及び3個配置され、合計で12個設けられてもよい。なお、
図4に示した電池モジュール171の個数及び配置は、一例に過ぎず、筐体110に収容される電池モジュール171の個数及び配置は、特に限定されない。
【0029】
本実施形態では、上述したように、電池パック10は車両1の床下に配置されるので、筐体110は、車両1の床下に位置する。筐体110は、
図3及び
図4に示したように、底面部116、前側面部112、左側面部113、後側面部114、右側面部115、及び上面部111を含む。底面部116、前側面部112、左側面部113、後側面部114、右側面部115、及び上面部111の内部には閉空間が形成され、当該閉空間内に電池モジュール171が収容される。以下では、前側面部112、左側面部113、後側面部114、及び右側面部115を、特に区別しない場合には、単に、側面部とも称する。
【0030】
底面部116は、例えば、略矩形の板形状を有する。また、底面部116は、金属材料によって形成され得る。
【0031】
前側面部112、左側面部113、後側面部114、及び右側面部115は、それぞれ底面部116の対応する辺と接続される。具体的には、
図5及び
図6に示したように、各側面部の内周側の面の下部が、底面部116の各辺と接続される。左側面部113及び右側面部115は、車両1の前後方向に延在して互いに対向する一対の側面部であり、前側面部112及び後側面部114は、車両1の幅方向に延在して互いに対向する一対の側面部である。各側面部は、例えば、中空又は中実の角柱形状を有する。また、各側面部は、金属材料によって形成され得る。各側面部は、底面部116に対して、例えば溶接等によって接合され得る。また、互いに隣接する側面部は、例えば溶接等によって接合され得る。なお、底面部116及び各側面部は、例えば板状の部材に対してプレス加工を行うことによって、一体として形成されてもよい。
【0032】
上面部111は、底面部116と対向し、各側面部の上端部と接続される。上面部111は、具体的には、
図3に示したように、中央部において上方側に突出し、当該中央部より外縁部側の部分が各側面部の上端部と接続される。上面部111は、例えば、金属材料又は樹脂によって形成され得る。上面部111の中央部に相当する部分は、上面部111が金属材料によって形成される場合には、例えばプレス加工によって形成され、上面部111が樹脂によって形成される場合には、例えば射出成形によって形成され得る。上面部111は、各側面部に対して、例えばネジ締結等によって、取り外し可能に固定され得る。
【0033】
取り付け部材120は、筐体110に接続され、車体に対して取り付け可能である。ゆえに、取り付け部材120を車両1の車体に取り付けることによって、電池パック10を当該車体に取り付けることができる。以下、このような取り付け部材120の詳細について、説明する。
【0034】
複数の取り付け部材120の各々は、筐体110の側方の一側から他側へ筐体110の下面に沿って延在する。例えば、取り付け部材120は、筐体110の右側方から左側方へ筐体110の下面に沿って延在する。電池パック10では、このような取り付け部材120が、例えば、延在する方向に対して直交する方向に沿って間隔を空けて複数並設される。具体的には、複数の取り付け部材120は、
図3〜
図5に示したように、延在する方向としての左右方向に対して直交する前後方向に沿って等間隔に並設されてもよい。なお、
図3〜
図6では、取り付け部材120が4個並設される例を示しているが、取り付け部材120の個数は、特に限定されない。
【0035】
取り付け部材120は、具体的には、
図3〜
図6に示したように、筐体110の右側方から左側方へ筐体110の下面に沿って延在する延在部140と、延在部140の右端部から上方側へ突出する右取り付け部150と、延在部140の左端部から上方側へ突出する左取り付け部130と、を含む。取り付け部材120は、金属材料によって形成され得る。なお、筐体110の下面は、底面部116及び各側面部の下面によって構成され得る。
【0036】
延在部140は、例えば、
図5に示したように、前後方向についての中央部143において筐体110側に突出した横断面形状を有する。具体的には、延在部140の当該中央部143は、上方側に突出する。中央部143は、筐体110の底面部116、右側面部115、及び左側面部113と当接し、中央部143の上面は、筐体110の下面と接続される。中央部143の上面は、例えば溶接等によって筐体110の下面と接合され得る。延在部140において、それぞれ中央部143より前方側及び後方側の部分である前方脚部141f及び後方脚部141rは、中央部143と比較して下方側に位置する。前方脚部141f及び後方脚部141rの下面には、後述する板状部材180が接続される。
【0037】
右取り付け部150は、例えば、
図6に示したように、下部において、筐体110の右側面部115に沿って上下方向に延在し、上部において、上方へ向かうにつれて右側面部115から離れる方向へ延在する。右取り付け部150は、延在部140と同様に、前後方向についての中央部155において筐体110側に突出した横断面形状を有してもよい。具体的には、右取り付け部150の当該中央部155は、右取り付け部150が延在する方向に対して直交する方向に突出する。中央部155は、下部において筐体110の右側面部115と当接し、中央部155の右側面部115側の面は、下部において右側面部115の右面と接続される。中央部155の右側面部115側の面は、例えば溶接等によって右側面部115の右面と接合され得る。また、右取り付け部150は、上端側において、水平方向に延在する上端面部153を有する。上端面部153には、上下方向に貫通する貫通穴151が設けられる。
【0038】
左取り付け部130は、例えば、
図6に示したように、下部において、筐体110の左側面部113に沿って上下方向に延在し、上部において、上方へ向かうにつれて左側面部113から離れる方向へ延在する。左取り付け部130は、延在部140と同様に、前後方向についての中央部135において筐体110側に突出した横断面形状を有してもよい。具体的には、左取り付け部130の当該中央部135は、左取り付け部130が延在する方向に対して直交する方向に突出する。中央部135は、下部において筐体110の左側面部113と当接し、中央部135の左側面部113側の面は、下部において左側面部113の左面と接続される。中央部135の左側面部113側の面は、例えば溶接等によって左側面部113の左面と接合され得る。また、左取り付け部130は、上端側において、水平方向に延在する上端面部133を有する。上端面部133には、上下方向に貫通する貫通穴131が設けられる。
【0039】
右取り付け部150の上端面部153及び左取り付け部130の上端面部133は、車両1の骨格を構成する種々の構造部材に対して、それぞれ貫通穴151及び貫通穴131を利用して、取り付け可能である。車両1の骨格は、具体的には、前後方向に延設されるメンバ部材と左右方向に延設されるメンバ部材とを交差させて配置した構造を有する。上端面部153及び上端面部133は、それぞれ貫通穴151及び貫通穴131を利用したネジ締結によって、このようなメンバ部材に対して取り付けられる。それにより、取り付け部材120を車体に対して取り付けることができる。
【0040】
上記では、取り付け部材120の延在部140、右取り付け部150、及び左取り付け部130が、それぞれ筐体110の下面、右側面部115の右面、及び左側面部113の左面と接続される例について説明したが、取り付け部材120と筐体110との接続箇所は、係る例に限定されない。取り付け部材120は、筐体110と少なくとも部分的に接続されていればよい。例えば、取り付け部材120の延在部140が筐体110の下面と接続され、取り付け部材120の右取り付け部150及び左取り付け部130は、それぞれ筐体110の右側面部115及び左側面部113と接続されなくてもよい。
【0041】
取り付け部材120は、例えば、平板形状の部材に対して、プレス加工によって、延在部140、右取り付け部150、及び左取り付け部130の各中央部に相当する部分を形成した後に、当該部材を折り曲げることによって、形成され得る。また、右取り付け部150及び左取り付け部130の貫通穴151及び貫通穴131は、プレス加工や切削加工等によってそれぞれ形成され得る。
【0042】
本実施形態では、複数の取り付け部材120の下面には、板状部材180が接続される。板状部材180は、略板形状を有する。具体的には、板状部材180は、
図3〜
図6に示したように、略矩形の平板形状を有する。電池パック10は、
図2に示したように、車両1の下部を車両1の外部から離隔する部材であるアンダーカバー57より内側に位置する。ゆえに、板状部材180は、アンダーカバー57より内側に位置する。このようなアンダーカバー57は、樹脂によって形成され得る。一方、板状部材180は、金属材料によって形成され得る。具体的には、板状部材180は、鉄鋼材料によって形成される。ゆえに、板状部材180の剛性を比較的高くすることができる。具体的には、板状部材180は、アンダーカバー57と比較して、高剛性である。ここで、板状部材180には、車両1の下部が当該車両1の外部の物体と衝突した場合に、後述するように、比較的大きな荷重が入力され得る。板状部材180は、上述したように比較的高剛性であるので、当該荷重に対する強度を確保することができる。
【0043】
板状部材180は、例えば、取り付け部材120の延在部140の前方脚部141f及び後方脚部141rと当接し、板状部材180の上面は、前方脚部141f及び後方脚部141rの下面と接続される。板状部材180の上面は、例えば溶接等によって前方脚部141f及び後方脚部141rの下面と接合され得る。本実施形態に係る電池パック10では、筐体110の側方の一側から他側へ筐体110の下面に沿って延在する複数の取り付け部材120の下面に板状部材180が接続されるので、板状部材180と筐体110の底面部116とは互いに対向する。それにより、電池パック10の下部には、
図5及び
図6に示したように、二重底部190が板状部材180及び筐体110の底面部116によって形成される。
【0044】
このように、本実施形態に係る電池パック10の下部には、二重底部190が板状部材180及び筐体110の底面部116によって形成されるので、車両1の下部が当該車両1の外部の物体と衝突した場合に、筐体110の底面部116より先に板状部材180へ荷重が入力され得る。ここで、板状部材180は、複数の取り付け部材120を介して筐体110の底面部116と接続される。ゆえに、板状部材180へ比較的大きな荷重が局所的に入力された場合であっても、入力された荷重は、複数の取り付け部材120を介して底面部116へ分散されて伝達される。それにより、底面部116へ比較的大きな荷重が局所的に入力されることを防止することができるので、比較的大きな荷重が筐体110内の電池モジュール171へ付加されることを防止することができる。
【0045】
また、板状部材180へ比較的大きな荷重が入力された場合であっても、板状部材180が変形することによって、衝撃を吸収することができる。それにより、底面部116へ伝達される荷重を低減させることができるので、比較的大きな荷重が筐体110内の電池モジュール171へ付加されることを防止することができる。
【0046】
さらに、車両1の下部が当該車両1の外部の物体と衝突した際に、当該物体が電池パック10の下部に衝突する場合がある。そのような場合に、本実施形態では、当該物体は筐体110の底面部116より先に板状部材180と衝突し得る。ゆえに、当該物体が板状部材180を貫通した場合であっても、当該物体が筐体110の底面部116を貫通することを防止することができる。それにより、当該物体が筐体110内の電池モジュール171に衝突することを防止することができるので、比較的大きな荷重が筐体110内の電池モジュール171へ付加されることを防止することができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、電池パック10を車両1の床下に配置した場合であっても、比較的大きな荷重が筐体110内の電池モジュール171へ付加されることを防止することができる。ゆえに、車両1の床下に配置された電池パック10内に設けられた電池モジュール171の破損を防止することができる。
【0048】
また、本実施形態では、上述したように、板状部材180を取り付け部材120の下面に接続することによって、比較的大きな荷重が筐体110内の電池モジュール171へ付加されることを防止することが実現される。ゆえに、本実施形態によれば、電池パック10の重量が比較的大きく増加することを抑制しつつ、電池モジュール171の破損を防止することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る電池パック10の下部には、上述したように、二重底部190が形成されるので、筐体110の内部の空間と、電池パック10より下方側の外部の空間とを、二重底部190の内部の空間によって、離隔することができる。それにより、筐体110の内部の空間に対して下方から入力される熱による当該空間内の温度変化を緩和することができる。
【0050】
板状部材180は、具体的には、筐体110の下面の全域を覆うように設けられる。それにより、車両1の下部が当該車両1の外部の物体と衝突した際に、板状部材180より先に筐体110の底面部116へ荷重が入力されること、及び、当該物体が板状部材180より先に筐体110の底面部116と衝突することを効果的に防止することができる。ゆえに、電池パック10を車両1の床下に配置した場合であっても、比較的大きな荷重が筐体110内の電池モジュール171へ付加されることを効果的に防止することができる。
【0051】
より具体的には、板状部材180及び筐体110の下面の互いに対向する面の寸法は、
図3〜
図6に示したように、略一致してもよい。それにより、板状部材180の重量の増大を抑制しつつ、当該板状部材180によって筐体110の下面の全域を覆うことができる。
【0052】
<3.変形例>
続いて、
図7〜
図9を参照して、変形例に係る電池パック20について説明する。変形例に係る電池パック20では、
図3〜
図6を参照して説明した本実施形態に係る電池パック10と比較して、主に板状部材の構成が異なる。ゆえに、以下では、変形例に係る板状部材280について、主に説明する。
【0053】
図7は、変形例に係る電池パック20の外観の一例を示す斜視図である。
図8は、変形例に係る電池パック20の内部の構成の一例を示す、車両1の左右方向に直交する断面についての断面図である。具体的には、
図8は、
図7に示したC−C断面についての断面図である。C−C断面は、電池モジュール171を通る断面である。
図9は、変形例に係る電池パック20の内部の構成の一例を示す、車両1の前後方向に直交する断面についての断面図である。具体的には、
図9は、
図7に示したD−D断面についての断面図である。D−D断面は、電池モジュール171及び断熱部材203を通る断面である。なお、電池パック20の筐体110内における電池モジュール171の配置は、上述した電池パック10と同様であるので、説明を省略する。
【0054】
板状部材280は、
図3〜
図6を参照して説明した板状部材180と同様に、略板形状を有し、金属材料によって形成され得る。また、板状部材280は、例えば、取り付け部材120の延在部140の前方脚部141f及び後方脚部141rと当接し、板状部材280の上面は、前方脚部141f及び後方脚部141rの下面と接続される。板状部材280の上面は、例えば溶接等によって前方脚部141f及び後方脚部141rの下面と接合され得る。
【0055】
変形例に係る板状部材280は、筐体110の側面部と全周に渡って接合される。板状部材280には、具体的には、
図7〜
図9に示したように、前接続部282、左接続部283、後接続部284、及び右接続部285が設けられる。前接続部282、左接続部283、後接続部284、及び右接続部285は、それぞれ板状部材280の前端部、左端部、後端部、及び右端部において、上方側へ突設される。前接続部282、左接続部283、後接続部284、及び右接続部285が、筐体110の対応する各側面部と、例えば溶接によってそれぞれ接合されることによって、板状部材280は、筐体110の側面部と全周に渡って接合される。
【0056】
より具体的には、前接続部282は、筐体110の前側面部112の右端側から左端側へ前側面部112の前面に沿って延在する。前接続部282は、前側面部112と当接し、前接続部282の後面は、前側面部112の前面と接合される。また、左接続部283は、筐体110の左側面部113の前端側から後端側へ左側面部113の左面に沿って延在する。左接続部283は、左側面部113と当接し、左接続部283の右面は、左側面部113の左面と接合される。また、後接続部284は、筐体110の後側面部114の右端側から左端側へ後側面部114の後面に沿って延在する。後接続部284は、後側面部114と当接し、後接続部284の前面は、後側面部114の後面と接合される。また、右接続部285は、筐体110の右側面部115の前端側から後端側へ右側面部115の右面に沿って延在する。右接続部285は、右側面部115と当接し、右接続部285の左面は、右側面部115の右面と接合される。
【0057】
なお、左接続部283及び右接続部285には、取り付け部材120の左取り付け部130及び右取り付け部150との干渉を防止するために、左取り付け部130及び右取り付け部150の形状と対応する形状を有する切欠きがそれぞれ形成されてもよい。また、前接続部282、左接続部283、後接続部284、及び右接続部285の各々は、板状部材280の他の部分と一体として形成されてもよく、別体として形成されてもよい。
【0058】
電池パック20では、電池パック10と同様に、筐体110の側方の一側から他側へ筐体110の下面に沿って延在する複数の取り付け部材120の下面に板状部材280が接続されるので、板状部材280と筐体110の底面部116とは互いに対向する。それにより、電池パック20の下部には、
図8及び
図9に示したように、二重底部290が板状部材280及び筐体110の底面部116によって形成される。ここで、板状部材280は、上述したように、筐体110の側面部と全周に渡って接合される。それにより、二重底部290の前方、右方、後方、及び左方は、それぞれ前接続部282、左接続部283、後接続部284、及び右接続部285によって閉鎖される。ゆえに、二重底部290の内部には、
図8及
図9に示したように、閉空間201が形成される。
【0059】
このように、変形例に係る電池パック20の下部に形成される二重底部290の内部には、閉空間201が形成される。それにより、車両1の下部が当該車両1の外部の物体と衝突した際に、板状部材280より先に筐体110の底面部116へ荷重が入力されること、及び、当該物体が板状部材280より先に筐体110の底面部116と衝突することを、より効果的に防止することができる。ゆえに、電池パック10を車両1の床下に配置した場合であっても、比較的大きな荷重が筐体110内の電池モジュール171へ付加されることを、より効果的に防止することができる。
【0060】
また、変形例によれば、二重底部290の内部に閉空間201が形成されることによって、筐体110の内部の空間を外部から断熱する効果をより向上させることができる。ここで、二重底部290の内部には、断熱部材203が設けられてもよい。断熱部材203は、具体的には、
図7及び
図8に示したように、閉空間201の内部に設けられ得る。より具体的には、閉空間201は、複数の取り付け部材120によって、複数の部分空間に画成されており、当該部分空間の各々に断熱部材203が設けられ得る。それにより、筐体110の内部の空間を外部から断熱する効果をさらに向上させることができる。
【0061】
<4.むすび>
以上説明したように、本実施形態によれば、筐体110の側方の一側から他側へ筐体110の下面に沿って延在する複数の取り付け部材120の下面に板状部材180が接続され、電池パック10の下部には、二重底部190が板状部材180及び筐体110の底面部116によって形成される。それにより、車両1の下部が当該車両1の外部の物体と衝突した場合に、板状部材180へ比較的大きな荷重が局所的に入力された場合であっても、底面部116へ比較的大きな荷重が局所的に入力されることを防止することができる。また、板状部材180が変形することによって、衝撃を吸収することができるので、底面部116へ伝達される荷重を低減させることができる。また、車両1の外部の物体が板状部材180を貫通した場合であっても、当該物体が筐体110の底面部116を貫通することを防止することができる。
【0062】
ゆえに、本実施形態によれば、電池パック10を車両1の床下に配置した場合であっても、比較的大きな荷重が筐体110内の電池モジュール171へ付加されることを防止することができる。ゆえに、車両1の床下に配置された電池パック10内に設けられた電池モジュール171の破損を防止することができる。
【0063】
また、本実施形態では、上述したように、板状部材180を取り付け部材120の下面に接続することによって、比較的大きな荷重が筐体110内の電池モジュール171へ付加されることを防止することが実現される。ゆえに、本実施形態によれば、電池パック10の重量が比較的大きく増加することを抑制しつつ、電池モジュール171の破損を防止することができる。
【0064】
また、本実施形態に係る電池パック10の下部には、二重底部190が形成されるので、筐体110の内部の空間と、電池パック10より下方側の外部の空間とを、二重底部190の内部の空間によって、離隔することができる。それにより、筐体110の内部の空間に対して下方から入力される熱による当該空間内の温度変化を緩和することができる。
【0065】
なお、上記では、取り付け部材120が車両1の左右方向に延在する例について説明したが、取り付け部材120が延在する方向は、係る例に限定されない。例えば、取り付け部材120は、車両1の前後方向に延在してもよい。
【0066】
また、上記では、電池パック20の閉空間201の内部に断熱部材203が設けられる例について説明したが、断熱部材203が設けられる二重底部には、必ずしも閉空間201が形成されていなくともよい。例えば、
図3〜
図6を参照して説明した電池パック10の二重底部190の内部に断熱部材203が設けられてもよい。それにより、筐体110の内部の空間を外部から断熱する効果を向上させることができる。
【0067】
また、上記では、各図面を参照して、電池パック10の各構成要素について説明したが、各構成要素の形状及び配置は、各図面に対応する例に限定されず、図面に示した形状及び配置は、一例に過ぎない。例えば、筐体110の形状は、前後方向について対称でなくともよく、左右方向について対称でなくともよい。また、筐体110内における電池モジュール171の配置は、前後方向について対称でなくともよく、左右方向について対称でなくともよい。また、筐体110内において、電池モジュール171は上下方向に多段に配設されてもよい。また、取り付け部材120の横断面形状は、図面に示した例に限定されず、適宜設定され得る。
【0068】
また、上記では、電池パック10を搭載する車両1が、前左輪及び前右輪を駆動するための駆動モータ63fと、後左輪及び後右輪を駆動するための駆動モータ63rと、が設けられる電気自動車である例について説明したが、本発明の技術的範囲は、係る例に限定されない。電池パック10を搭載する車両として、他の構成を有する車両が適用されてもよい。例えば、電池パック10は、各駆動輪について駆動モータが設けられる電気自動車に搭載されてもよい。また、電池パック10は、ハイブリッド自動車に搭載されてもよい。また、電池パック10が搭載される車両に設けられる駆動モータの数は、特に限定されない。
【0069】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。