特許第6396968号(P6396968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティドの特許一覧

特許6396968器具を体組織に固定するためのマイクロアンカー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396968
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】器具を体組織に固定するためのマイクロアンカー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/064 20060101AFI20180913BHJP
   A61F 2/848 20130101ALI20180913BHJP
   A61F 2/95 20130101ALI20180913BHJP
   A61F 2/04 20130101ALI20180913BHJP
【FI】
   A61B17/064
   A61F2/848
   A61F2/95
   A61F2/04
【請求項の数】4
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-201702(P2016-201702)
(22)【出願日】2016年10月13日
(62)【分割の表示】特願2015-526686(P2015-526686)の分割
【原出願日】2013年8月8日
(65)【公開番号】特開2017-47230(P2017-47230A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2016年10月20日
(31)【優先権主張番号】61/681,673
(32)【優先日】2012年8月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/961,367
(32)【優先日】2013年8月7日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】クリフォード ピー.ワーナー
(72)【発明者】
【氏名】シェリフ エー.エスカロス
(72)【発明者】
【氏名】ケネス マジッチ
【審査官】 吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−075596(JP,A)
【文献】 特開2010−131404(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0249920(US,A1)
【文献】 特開平03−242138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/064
A61F 2/04
A61F 2/848
A61F 2/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.第1組織係合部材と、
b.第2組織係合部材と、
c.前記第1組織係合部材を前記第2組織係合部材に接合する弾性コネクタであって、伸張又は変形することによって外的力を吸収することができる、弾性コネクタと、
を備えるマイクロアンカーであって、
前記マイクロアンカーが後退状態及び係合状態を有し、前記第1組織係合部材と前記第2組織係合部材が前記係合状態においてペンチ(pincer)を形成し、
前記第1及び第2組織係合部材が前記係合状態において約1mmのみ組織へ貫入し、
前記コネクタがコイルばねであり、
前記第1組織係合部材及び前記第2組織係合部材は、前記コイルばねの捲回方向に対して逆方向に曲がった形状を有し、
前記マイクロアンカーは、前記後退状態において前記ペンチに対して反対の位置に形成される前記第1及び第2組織係合部材の交差部に、前記第1及び第2組織係合部材を拘束する解除ラインをさらに備え、前記解除ラインは、前記弾性コネクタ内に蓄積されたポテンシャルエネルギーを解放することによって前記第1及び第2組織係合部材を解放し、前記係合状態においてペンチを形成して組織を係合する、マイクロアンカー。
【請求項2】
前記コネクタが、前記マイクロアンカーが前記後退状態と前記係合状態との間で可逆的に変形できるようにかつ前記係合状態において前記第1組織係合部材及び前記第2組織係合部材が張力を受けるように、弾性であることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロアンカー。
【請求項3】
ステンレス鋼を含む、請求項1に記載のマイクロアンカー。
【請求項4】
ニチノールを含む、請求項1に記載のマイクロアンカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年8月10日に提出された米国特許出願第61/681673号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、器具を体組織に固定するためのマイクロアンカー、特に正常な胃腸(GI)管の機能を維持しながら器具を確実に固定できかつ器具を容易に取り外せるようにするマイクロアンカー器具に関する。
【背景技術】
【0003】
腸内スリーブなどの埋植可能な器具は技術上知られている。GI管に埋植するために設計されるこの種の器具に関連する一般的困難は、器具の確実な固定である。GI管は、身体の非常に活動的エリアである。動き、流れ及び埋植された器具に力を加えるその他の破壊的作用が非常に大きい。このような活動的場所において器具が移動しないで所定の場所に留まるように器具を固定することは非常に困難である。組織アンカーは、GI管において腔内送達された器具を固定するのに充分に安全であり、かつ運動性、周囲組織への血液供給、分泌、開存性など、GI管の正常な生理学的機能に与える影響が最小限でなければならない。さらに、組織アンカーは、患者に痛みを与えるのを避けなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さらに大きな課題は、一時的埋植器具、即ち限定された期間体内に固定されその後取り外されるように設計される器具の場合に生じる。この種の器具用の組織アンカーは、確実な固定及び正常なGI管機能を許容するための全ての基準を満たさなければならず、なおかつ、器具の腔内取外しを許容しなければならない。これらのニーズを全て満たす組織アンカーが強く望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、マイクロアンカーの形式の組織アンカーを提供する。アンカーの長さは、組織の粘膜下層のみへ貫入するようにし、同時に正常なGI管機能を維持しながら器具の確実な固定及び器具の容易な取外しを可能にするのに充分に安全である。本発明は、これらのマイクロアンカーのいくつかの実施形態を含む。
【0006】
第1実施形態において、本発明は、第1組織係合部材と、第2組織係合部材と、第1組織係合部材を第2組織係合部材に接合するひずみ軽減コネクタとを備えるマイクロアンカーを提供する。前記器具は、後退状態及び係合状態を有し、第1組織係合部材と第2組織係合部材は、係合状態においてペンチ(pincer)を形成する。
【0007】
別の実施形態において、本発明は、体腔内に器具を固定するためのマイクロアンカーを提供する。マイクロアンカーは、前記器具に取り付けられた第1部分と、体腔壁へ挿入するための少なくとも1つの組織係合部材を有する第2部分と、第1部分と第2部分との間に配置される可逆的に変形可能かつ回復可能な区分と、を備える。
【0008】
第3実施形態において、本発明は、中央ハブと、中央ハブにおいて半径方向を向く少なくとも3つの組織係合部材とを備えるマイクロアンカーを提供する。器具は、拘束状態及び係合状態を有し、組織係合部材は係合状態において相互に並置される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、後退状態にある本発明の代表的実施形態の斜視図である。
図1B図1Bは、係合状態にある図1Aのマイクロアンカーの斜視図である。
図1C図1Cは、グラフトに取り付けられたステントグラフトに取り付けられた図1Aのマイクロアンカーの斜視図である。
図1D図1Dは、スリーブに取り付けられた図1Aのマイクロアンカーの斜視図である。
図2A図2Aは、本発明の別の代表的実施形態の斜視図である。
図2B図2Bは、スリーブに取り付けられた図2Aのマイクロアンカーの斜視図である。
図3A図3Aは、後退状態にある本発明の別の代表的実施形態の斜視図である。
図3B図3Bは、係合状態にある図3Aのマイクロアンカーの斜視図である。
図3C図3Cは、埋植可能器具に結合された図3Aのマイクロアンカーの斜視図である。
図3D図3Dは、係合状態にある埋植された装置に結合された図3Aのマイクロアンカーの斜視図である。
図4A図4Aは、本発明の別の代表的実施形態の斜視図である。
図4B図4Bは、埋植可能なスリーブ器具の端部に結合された図4Aのマイクロアンカーの斜視図である。
図4C図4Cは、埋植可能スリーブ器具の端部領域に結合された図4Aのマイクロアンカーの斜視図である。
図4D図4Dは、ステント部とグラフト部とを備える埋植可能な器具に結合された図4Aのマイクロアンカーの斜視図である。
図5図5は、本発明の別の代表的な実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明について代表的実施形態を参照しながら説明する。図1A及び1Bに図解する第1実施形態において、マイクロアンカー器具1は、コネクタ12によって接合された第1組織係合部材10と第2組織係合部材11を有する。コネクタ12は、この実施形態において、ニチノール又はステンレス鋼などの金属で作られたコイルばねである。本出願において説明するように繰り返し後退と係合を行えることを条件として、Elgiloy又はL605などのクロムコバルト合金及びTitanium Beta3などのチタン合金を含めて(但し、これらに限定されない)、他の生体適合性材料も使用できる。図1Aは、後退状態のマイクロアンカー器具10を図解する。この後退状態において、第1組織係合部材10と第2組織係合部材11は、相互に近接するように、ばね張力に抵抗して物理的に巻き付けられる。その後、係合部材10及び11は、縫合糸又は索又はライン15などの外的手段を用いて物理的に拘束される。ライン15は、両方の係合部材10及び11の周りに結ばれて、係合部材を後退状態に物理的に拘束する。コイルばねコネクタ12の力は、この後退状態においてポテンシャルエネルギーとして蓄積される。組織係合部材を拘束するためにテザー(tether)を使用するのは単なる例であり、当初組織係合部材を拘束するために熱または機械的手段を採用することができる。1つの実施形態において、剛性シースを採用して、組織係合部材を拘束できる。
【0011】
使用時に、複数の図1Aに示すようなマイクロアンカー器具は、体内に固定される器具の一部の周りに取り付けられる。例えば、図1Cに示すように、マイクロアンカー器具1は、体内に固定される器具のステントフレーム19上の様々な場所に取り付けられる。図1Cに示すように、マイクロアンカー器具1は、ステントフレームの頂点に取り付けられ、拘束状態で図示される。ステントフレームは、任意にグラフト部材16と組み合わせて使用される。グラフト部材は、ステントフレーム19を超える長さを含めて所望の長さに延在できる。
【0012】
体内へ挿入するために、ステントフレーム19とこれに関連するグラフト16は、直径方向に圧縮されて、例えばカテーテル器具へ挿入するのに適する小さい形態にされる。その後、ステントフレーム19とこれに関連するグラフト16を、カテーテルに沿って体内の所望の展開点まで前進させる。この点で、ステントフレームとこれに関連するグラフト16は、カテーテルから展開して、所望の直径サイズまで拡張して、組織又は血管壁に係合する。
【0013】
ステントの展開後、操作者典型的には医師は、テザーライン15(図1A)を操作し、テザーラインは、第1組織係合部材10及び第2組織係合部材11を解放する。この時点で、図1Bに示すように、マイクロアンカー器具1は、コネクタ12内に蓄積されたポテンシャルエネルギーを解放して、第1組織係合部材10と第2組織係合部材11を、図1Bに示す係合状態へさせる。この係合状態において、第1組織係合部材10と第2組織係合部材11は、ペンチを形成する。本出願において使用する場合、「ペンチ」は、第1組織係合部材10及び第2組織係合部材11が基本的に組織を摘むために使用されるピボット上で作用する2つの把握ジョーである形態を意味する。
【0014】
図1Cを参照すると、マイクロアンカー器具1の全てがその後退状態からその係合状態へ展開すると、ステントフレーム19及びこれに関連するグラフト16は、体組織へしっかりと固定される。この固定は保証されるが、固定は必ずしも永久的ではない。マイクロアンカー器具1は、組織の粘膜下層のみへ貫入するように設計される。本出願において説明するマイクロアンカーは、典型的には組織の中へ1ミリメートル未満貫入する。その結果、適切な方向へ適切な力を加えると、マイクロアンカー器具1を組織18から外す又は取り除くことができる。このようにして、マイクロアンカー器具1を外した後に、ステントフレーム19及びこれに関連するグラフト16を、体内から取り除くことができる。
【0015】
図1Dに、別の器具の形態を示す。この形態において、複数の図1Aに示すマイクロアンカー器具1は、ステントを使用せずに体内に固定されるスリーブ器具16の様々な場所に取り付けられる。図1Dに示すように、マイクロアンカー器具1は、グラフト部材16に直接取り付けられ、拘束状態で図示されている。アンカー器具1は、グラフトの近位部などグラフトの一部に取り付けるか、又はグラフトの長さ全体に取り付ける(図示せず)ことができる。マイクロアンカーは、個別にスリーブに取り付けて、スリーブの遠位移動に抵抗するために平行の向きを持つことができる。又は、アンカーはランダムの向きを持つことができる。別の実施形態において、マイクロアンカーは、相互に取り付けてチェーンを形成できる。その後チェーンがスリーブに取り付けられる。
【0016】
図1Dに示す器具は、カテーテル器具へ挿入するのに適する小さい形態へパックできる。展開のために、パックされた器具は、カテーテルに沿って体内の所望の展開点まで前進できる。展開後、グラフト16上の組織係合部材は、組織接近メカニズムを介して組織に近接できる。組織接近メカニズムの1例は、グラフト16及びマイクロアンカー器具1を係合相手の組織に近接させるために膨張式バルーンを使用することである。
【0017】
マイクロアンカー器具1を組織へ接近させた後、操作者典型的には医師は、テザーライン15を操作する。テザーラインは、コネクタ12内に蓄積されたポテンシャルエネルギーを解放することによって(図1B)第1組織係合部材10及び第2組織係合部材11を解放して、上述のようにペンチを形成して組織を係合する。
【0018】
本発明の第2実施形態を図2Aに示す。図2Aは、マイクロアンカー器具2を示す。マイクロアンカー器具2は、第1部分20と、第2部分21と、第1部分20を第2部分21に接続するコネクタ部分23とを有する。第1部分20は、体内に固定される装置に取り付けるように作られる。マイクロアンカー器具2の第2部分21は、体組織へ挿入するように作られた組織係合部材22を有する。組織係合部材22は、例えば、マイクロアンカー器具2の埋植及び展開時に組織の粘膜下層の中のみへ延びる寸法を持つマイクロアンカーである。組織係合部材22のサイズは、固定部材22が組織の壁を貫通しないようにかつ取り外すときに組織係合部材が組織を切り裂かないように、制限される。
【0019】
マイクロアンカー器具2の第1部分20と第2部分21は、可逆的に変形可能な又は弾性のコネクタ部分23を介して一緒に結合される。体内への装置の埋植時に、組織係合部材22は、体組織に係合し、第1部分は装置に結合される。身体が埋植された装置に力を加えるとき、装置は、この外的力に反応して移動する可能性がある。弾性又は可逆的に変形可能な部分23は、変形可能な部分23の長さに沿って伸張又は変形することによって前記の力を吸収できるひずみ軽減を与えることができる。力の分散は、係合部材22が組織から外れる可能性を減少するはずである。装置に対して力を加えると、コネクタ区分23を伸張又は変形させて、組織係合部材を介して組織自体へ力を直接加えることなく力からの衝撃又はエネルギーを吸収する。
【0020】
図2Aに図解する実施形態において、コネクタ区分23は、マイクロアンカー器具の残り部分と同じワイヤから形成される。材料は、ニチノール又はステンレス鋼などの材料又はその他の可逆的に変形可能な(弾性)材料とすることができる。図解する実施形態において、コネクタ区分23はS字形である。第1部分20に力を加えると、S字形コネクタ区分23はまっすぐに又は実質的にまっすぐになって(伸張して又は長くなって)、衝撃を吸収する。S字形の変形は、マイクロアンカー器具2の第1部分20を介して第2部分21及び係合部材22へ伝達する力の量を減少できる。コネクタ区分23は、力を吸収して、組織係合部材22が組織から引き出される可能性を減少する。力を解除すると、コネクタ区分23は、可逆的にその当初のS字形を取り戻して、マイクロアンカー器具2に対する更なる力を吸収するために再び変形する準備をする。このようにして、この実施形態の複数のマイクロアンカー器具2が体内に固定される装置の周りに配置されたとき、マイクロアンカー器具2は腸内などで装置に加えられる力の反復的衝撃を吸収できる。これによって腸内に固定された装置が確実に維持される。
【0021】
図1A〜1Cにおいて図解するマイクロアンカー器具と同様、マイクロアンカー器具2の組織係合部材22は、組織の粘膜下層のみへ貫入する。従って、組織係合部材22に対して適切な力を加えると、係合部材は組織から取り外されて、組織壁に対して最小限の損傷又は切り裂きで装置を体内から取り外せるようにする。
【0022】
使用時に、複数の図2Aに図解するマクロアンカー器具は、体内に固定される器具の一部の周りに取り付けることができる。例えば、図2Bに示すように、複数のマイクロアンカー器具2が、ステントを使用せずに体内に固定されるスリーブ器具16の様々な場所に取り付けられる。マイクロアンカーは、個別にスリーブに取り付けられ、スリーブの遠位移動に抵抗するために平行の向きを持つことができる。又は、アンカーは、ランダムな向きを持つことができる。
【0023】
図2Bに示す器具は、カテーテル器具へ挿入するのに適する小さい形態にパックできる。展開のために、パックされた器具は、カテーテルに沿って体内の所望の展開点まで前進できる。展開後、グラフト16上のマイクロアンカー器具2の組織係合部材は、組織接近メカニズムを介して組織に近接できる。組織接近メカニズムの一例は、グラフト16及びマイクロアンカー器具2を係合相手の組織へ近接させるために膨張式バルーンを使用することを含む。
【0024】
マイクロアンカー器具2を組織へ接近させた後、操作者典型的には医師は、カテーテルを引っ張ることによって組織と一緒に係合部材を操作する。これによって係合部材は組織の中へ入る。
【0025】
本発明の別の実施形態を図3A〜3Dにおいて図解する。図3Aに示すように、マイクロアンカー器具3は、中央ハブ30と、中央ハブから延びる複数の組織係合部材31とを有する。典型的には、このマイクロアンカー器具3は、ニチノールなどの形状記憶材料で形成される。図3Aに示す形態は後退状態の器具である。複数のマイクロアンカー器具3を、図3C及び3Dに示すように装置のステントフレームの周りなど体内に固定される装置の周りに取り付けできる。体内の所望の場所に装置を挿入し展開した後、マイクロアンカー器具3は後退状態から図3Bに示す係合状態へ解除される。典型的には、形状記憶金属を使用する場合、このように後退状態から係合状態への解除は、ストレス誘発性であるが、この作動を熱誘発性とすることも想定できる。係合状態において、組織係合部材31は、相互に並置される。即ち、係合部材は、体組織を効果的に掴む形態で実質的に相互に対面する。前の2つの実施形態と同様、マイクロアンカー器具3は、組織の中へ約1ミリメートル、粘膜下層のみへ貫入するように作られる。その結果、適切な力を加えると、マイクロアンカー器具を組織から取り外せる。但し、マイクロアンカー器具3によって固定された装置は、体内のその位置にしっかりと維持され、装置が受ける力及び衝撃に耐えて、装置を所定の位置にしっかりと保持する。アンカー部材は多方向なので、器具は体腔内での力に耐えることができる。体腔内での力は一方向ではなく、アンカー部材が多方向なので、器具を体腔内で維持できるようにする。
【0026】
次に図3C及び3Dを見ると、マイクロアンカー器具3は、インプラントに結合されている。マイクロアンカー器具3は、管状部材の外面の周りに均等の間隔で、直接、管状部材の端部に結合できる。図3Cにおいて、マイクロアンカー器具は、管状部材16の外面において後退状態で示され、図3Dにおいて、マイクロアンカー器具3は、管状部材16の外面において係合状態で示される。管状部材即ち埋植器具に対して、アンカー器具3の位置は、任意のパターンで結合できる。
【0027】
図4A〜4Dは、本発明の別の実施形態を示す。マイクロアンカー器具4は、図2A及び2Bの実施形態と同様である。マイクロアンカー器具4は、2つの組織係合部42を持つことができる。組織係合部42の各々は、器具係合部44に結合され、組織係合部と器具係合部との間にコネクタ部46を持つ。マイクロアンカー器具4の組織係合部材42は、患者に埋植されたとき器具を体組織に結合できるようにする。組織係合部材42のサイズ及び形状は、組織壁貫入の深さを組織壁の粘膜下層に制限するように設計される。組織貫入深さの制限は、マイクロアンカー器具4を組織壁から取り外せるようにし、組織係合部材42によって生じる可能性のある損傷も制限できる。
【0028】
コネクタ部46は、マイクロアンカー器具4が体腔内に埋植されたときひずみ軽減を与えることができる。身体からの力がマイクロアンカー器具4に結合された器具に作用するとき(図4B〜4D)、コネクタ部46は伸張又は変形して、組織係合部42へ伝達される力を減少する。組織係合部42への力が減少することによって、組織係合部が組織壁から引っ張り出されるのを防止でき、同時に、埋植された器具が埋植位置から移動するのを防止できる。器具は、例えば、図4B及び4Cに示すようなスリーブ器具16又は図4Dに示すようにスリーブ器具16と結合されたステントフレーム19から構成できる。埋植可能な器具に複数のマイクロアンカー器具4を含めることによって、器具が埋植部位から早期に取り外される可能性を更に減少できる。
【0029】
図5に図解する、図1Aの実施形態と同様の別の実施形態において、開放形態で示すマイクロアンカー器具5は、コネクタ12によって接合された第1組織係合部材と第2組織係合部材を有する。この実施形態において、コネクタ12は、ニチノール又はステンレス鋼などの金属で作られた2つのコイルばねである。コイルばねの間の間隔は、組織係合部材の間の距離を大きく又は小さくするために変えることができる。2つ又は3つ又はそれ以上など複数のコイルばねを使用して、解剖学的構造の様々なマイクロアンカーの要件に合わせて様々な固定力及び角度を与えることができる。
【0030】
想定される他の実施形態は、1つ又はそれ以上のマイクロアンカー器具1〜5を任意の配列又はパターンで任意の埋植可能な器具に結合することによって、本出願において説明するマイクロアンカー器具を組み合わせて使用することを含む。いくつかの実施形態において、この複数の可変的なアンカー器具は、埋植可能な器具の長さに沿って延在できる。マイクロアンカー器具は、様々な方向で埋植可能器具に結合できる。マイクロアンカー器具が様々な角度で留置されることによって、個別のアンカー器具が、体内へ埋植されたとき複数の方向からの力を吸収できるようにする。
【0031】
本発明の特定の実施形態について図解し、説明したが、本発明は、これらの図解及び説明に限定されるべきではない。変更及び修正を下記の請求項の範囲内で本発明の一部として組み込めることが明かであるはずである。
【実施例】
【0032】
図1に示すのと同様のマイクロアンカーを、まず直径0.018インチ(0.0457cm)のニチノールワイヤ(インディアナ州フォートウェイン、Ft.Wayne Metals)を入手することによって製造した。小さい間隙で相互に平行に取り付けられた3本のロッドを持つ金属取付け具を作った。次に、ニチノールワイヤを3本のロッドの周りに蛇行的に巻付け、ワイヤの2つの端が外側の2本のロッドの周りに完全に巻き付けられるようにした。蛇行形ニチノールワイヤの熱処理は、480℃の流動床炉の中に7分間ニチノールワイヤと一緒に取付け具を入れることによって行われた。ニチノールワイヤと一緒に取付け具を炉から取り出して、水中急冷した。水中急冷後、ニチノールワイヤを取付け具から外した。熱処理の結果、ワイヤはその蛇行形態を維持した。次に外側ループをトリミングして、それぞれ外側ロッドの周りの約200度の位置で鋭利先端を製作した。
【0033】
ニチノールワイヤがほぼ図1Aに示す形状になるまで1本の小さい直径のロッドの周りにワイヤを巻くことによって、蛇行形のニチノールワイヤに予荷重を与えた。縫合糸を用いて、荷重が与えられたニチノールワイヤの交差部においてクイックリリースノットを結んだ。
【0034】
次に、成形されロックされたマイクロアンカーについて組織保持性能を評価した。ステントフレームをシミュレートするために、ロックされたマイクロアンカーを小直径のロッドに付着させた。犬の十二指腸を代表的組織として使用した。マイクロアンカーを組織に押し付けて保持して、縫合糸クイックリリースを引っ張って、マイクロアンカーを解除した。マイクロアンカーの2つのペンチ端が組織の中へ固定されるように、マイクロアンカーは直ちに巻きほどけた。
【0035】
固定されたマイクロアンカーの耐荷力は、紐をマイクロアンカーのループに結んで、この紐の反対端に錘を垂直に吊るすことによって測定した。開始錘として20グラムを使用した。錘は、約5分間吊るした。組織の切り裂き又はマイクロアンカーの外れの兆しがない場合には、更に20グラムを追加した。このプロセスを、錘が200グラムに達するまで繰り返した。マイクロアンカーから200グラムを吊るして約3分間経過した後、マイクロアンカーは組織から自然に外れた。組織の切り裂きはなかった。以下、本発明の実施形態の一部を列記する。
〔1〕
a.第1組織係合部材と、
b.第2組織係合部材と、
c.前記第1組織係合部材を前記第2組織係合部材に接合する弾性のひずみ軽減コネクタと、
を備えるマイクロアンカーであって、
前記器具が後退状態及び係合状態を有し、前記第1組織係合部材と前記第2組織係合部材が前記係合状態においてペンチ(pincer)を形成することを特徴とする、マイクロアンカー。
〔2〕
前記コネクタが、前記器具が前記後退状態と前記係合状態との間で可逆的に変形できるようにかつ前記係合状態において前記第1組織係合部材及び前記第2組織係合部材が張力を受けるように、弾性であることを特徴とする、項目1に記載のマイクロアンカー。
〔3〕
ステンレス鋼を含む、項目1に記載のマイクロアンカー。
〔4〕
ニチノールを含む、項目1に記載のマイクロアンカー。
〔5〕
前記第1及び第2組織係合部材が、前記係合状態において約1mmのみ組織へ貫入することを特徴とする、項目1に記載のマイクロアンカー。
〔6〕
前記後退状態において前記第1及び第2組織係合部材を拘束する解除ラインをさらに備える、項目1に記載のマイクロアンカー。
〔7〕
前記コネクタがコイルばねであることを特徴とする、項目1に記載のマイクロアンカー。
〔8〕
器具を体組織に固定する方法であって、
a.前記器具に少なくとも1つのマイクロアンカーを取り付けるステップであって、前記マイクロアンカーが
i)第1組織係合部材と、
ii)第2組織係合部材と、
iii)前記第1組織係合部材を前記第2組織係合部材に接合するコネクタと、
を備え、
iv)前記器具が後退状態及び係合状態を有し、
v)前記後退状態において、解除ラインが前記第1及び第2組織係合部材を拘束する、
ステップと、
b.前記器具を前記後退状態にして前記器具を腔内埋植するステップと、
c.前記解除ラインを解除して、前記器具を前記係合状態に転換するステップであって、前記第1組織係合部材と前記第2組織係合部材が前記係合状態においてペンチを形成する、ステップと、
を含む方法。
〔9〕
体腔内に器具を固定するためのマイクロアンカーであって、
a.前記器具に取り付けられた第1部分と、
b.前記体腔の壁へ挿入するための少なくとも1つの組織係合部材を有する第2部分と、
c.前記第1部分と前記第2部分との間に配置された可逆的に変形可能かつ回復可能な区分と、
を備える、マイクロアンカー。
〔10〕
前記アンカーがステンレス鋼を含むことを特徴とする、項目9に記載のマイクロアンカー。
〔11〕
前記アンカーがニチノールを含むことを特徴とする、項目9に記載のマイクロアンカー。
〔12〕
前記可逆的に変形可能かつ回復可能な区分が実質的にS字形を備えることを特徴とする、項目9に記載のマイクロアンカー。
〔13〕
前記組織係合部材が約1mmのみ組織へ貫入することを特徴とする、項目9に記載のマイクロアンカー。
〔14〕
腔内固定要素であって、
a.腔内器具に取り付けるように作られた近位端部と、
b.体腔の壁に取り付けるように作られた遠位端部と、
c.前記近位端部と遠位端部との間の、前記固定要素にひずみ軽減を与えるための可逆的に変形可能かつ回復可能な区分と、
を備える、腔内固定要素。
〔15〕
マイクロアンカーであって、
a.中央ハブと、
b.前記中央ハブにおいて半径方向を向く少なくとも3つの組織係合部材と、
を備え、
c.前記器具が拘束状態及び係合状態を有し、前記組織係合部材が前記係合状態において相互に並置されることを特徴とする、
マイクロアンカー。
〔16〕
ニチノールを備える、項目15に記載のマイクロアンカー。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5