(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切断装置は、前記フレキシブルコンテナの上面を切断すると共にその側面を前記上面から下方に向かって所定の深さまで切断することを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブルコンテナ破袋システム。
前記ワイヤーソーは、切断方向に循環移動するワイヤーを前記フレキシブルコンテナの上面に向けて押し付けて切断するように構成されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のフレキシブルコンテナ破袋システム。
前記切断装置は、前記フレキシブルコンテナの上面を一方向に切断する第1のワイヤーソーと、前記フレキシブルコンテナの上面を前記一方向と交差する方向に切断する第2のワイヤーソーと、を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のフレキシブルコンテナ破袋システム。
前記搬送路の終端に、前記フレキシブルコンテナを転倒させて収容物を排出させる排出位置が設定されていることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のフレキシブルコンテナ破袋システム。
前記搬送路の終端に連結され、前記上面が切断されたフレキシブルコンテナを反転させて前記上面が下方を向いた状態とする反転装置を更に含むことを特徴とする、請求項6に記載のフレキシブルコンテナ破袋システム。
前記反転装置は、前記上面が切断されたフレキシブルコンテナの側面を把持した状態でフレキシブルコンテナを反転させることを特徴とする、請求項7に記載のフレキシブルコンテナ破袋システム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
まず、第1の実施形態のフレコン破袋システムによって破袋されるフレコン1について説明する。
図1は、フレコン1の斜視図であり、
図1(A)は上部を開口した状態を、
図1(B)は上部を閉じた状態を示している。
【0019】
フレコン1は、除染に伴い発生した除去土壌などの除去物(除染で取り除いた土壌や放射性物質に汚染された廃棄物)を保管・運搬するための袋である。除去物には、除去土壌(不燃物)や、落葉、枝、草木等の可燃物が含まれる他、コンクリート片や金属片などの極めて硬い物質が含まれることがある。
【0020】
フレコン1は、具体的には、
図1(A)に示すように、除去物が収容される内袋2と、内袋2が収容される外袋3と、外袋3を吊り上げるための吊りベルト4とを含む。
【0021】
内袋2及び外袋3は、有底円筒状に形成されている。但し、これに限るものではなく、内袋2及び外袋3は、例えば、有底四角筒状に形成されていてもよい。
【0022】
内袋2は、例えば、ポリエチレン製のシート又はアルミ化合物を含有したシートで形成されており、不透水性及び可撓性を有している。外袋3及び吊りベルト4は、例えば、ポリプロピレン製のシートで形成されており、不透水性及び可撓性を有している。
【0023】
外袋3は、より具体的には、内袋2を収容する円筒状の袋体下部3aと、袋体下部3aの円筒上縁部に接続され上端が開口している袋体上部3bと、を含む。
【0024】
袋体下部3aは、円筒状の側面3a1と、側面3a1の下端側を閉塞する底面3a2とを有している。側面3a1の上端側には、開口部3a3が形成されている。
【0025】
図1(B)に示すように、袋体上部3bが内側に絞られて紐3cにより縛られると、開口部3a3が閉ざされる。
内袋2は、
図1(A)に破線で示すように、外袋3の内部において、外袋3と同様に袋体上部が内側に絞られて紐により縛られている。
【0026】
除去物(収容物S)は、内袋2を外袋3に収容した状態で内袋2の開口部(図示省略)から投入される。但し、これに限るものではなく、除去物(収容物S)を収容した内袋2を外袋3の開口部3a3に投入してもよい。
【0027】
吊りベルト4は、底面3a2において交差してから側面3a1を経て、袋体下部3aの上方で吊り手部4aを形成するように一体的に繋がっている。また、吊りベルト4は、底面3a2の交差部において外袋3に対して二重に縫い付けられると共に、側面3a1の4箇所において外袋3に縫い付けられている。
【0028】
次に、中間貯蔵施設に搬入された大量のフレコン1から収容物Sを取り出すために、複数のフレコン1を順次破袋するフレコン破袋システムについて、
図2、3を参照して説明する。
図2は、第1の実施形態によるフレコン破袋システムの側面図、
図3は、第1の実施形態によるフレコン破袋システムの正面図である。
【0029】
フレコン破袋システム10は、中間貯蔵施設に設けられており、複数のフレコン1を所定の方向に順次搬送する搬送装置20と、搬送装置20の搬送路の途中で、フレコン1の上面を一方向に切断すると共にフレコン1の上面を前記一方向と交差する方向に切断する切断装置と、を含む。
【0030】
搬送装置20は、フレコン1を載置した状態で矢印Aの方向(以下、「搬送方向A」とする)に搬送するものであって、搬送装置20は、フレコン1が載置される搬送部20aと、搬送部20aを設置面Gから所定の高さで支持する複数の支柱20bとを有している。
【0031】
第1の実施形態において、搬送装置20としては、搬送方向に搬送部20aとしての輪状にした幅広のベルトを循環移動させることによりフレコン1をベルト上で搬送するベルトコンベアが用いられる。但し、これに限るものではなく、コンベアチェーンに搬送部20aとしての平板状のスラットを連続的に取り付けてスラットを循環移動させることによりフレコン1をスラット上で搬送するスラットコンベアや、搬送部20aとしての複数のローラが並べられ、各ローラを回転させることによりフレコン1をローラ上で搬送するローラコンベアなどを用いてもよい。
【0032】
また、搬送装置20の最下流側には、設置面G又は設置面G上に設けられた図示省略のホッパに向かうように搬送部20aに対して傾斜した転倒ガイド20cが設けられている。転倒ガイド20cは、切断装置によって切断され搬送されるフレコン1を設置面G(又はホッパ)に向けて転倒させながら落下させるものである。転倒させたフレコン1の収容物Sは、例えば、後述の建設機械等によって設置面G又はホッパに排出される。すなわち、搬送装置20の搬送路の終端に、フレコン1を転倒させて収容物Sを排出させる排出位置が設定されている。
【0033】
また、搬送装置20は、図示省略の制御部によって搬送部20aに載置されたフレコン1の移動開始及び停止が制御されるようになっている。
【0034】
切断装置としては、ワイヤーソーが用いられる。第1の実施形態において、切断装置は、フレコン1の上面を一方向に切断する第1のワイヤーソー30と、フレコン1の上面を前記一方向と交差する方向に切断する第2のワイヤーソー40と、を含む。また、第1及び第2のワイヤーソー30、40は、搬送装置20の上方において、複数のフレーム等によって組み立てられた組立フレーム60によって支持されている。第2のワイヤーソー40は、搬送方向Aにおいて第1のワイヤーソー30よりも下流側に配置されている。また、第1のワイヤーソー30と第2のワイヤーソー40とは、同一の構成部品からなり、取付けの向きのみが異なる。
以下、第1及び第2のワイヤーソー30、40及び組立フレーム60の詳細について
図4を参照して説明する。
【0035】
ワイヤーソー30(40)は、少なくともコンクリートを切断可能であって、駆動部(図示省略)と、複数のプーリ31a〜31d(41a〜41d)と、ワイヤー32(42)と、複数のプーリ31a〜31d(41a〜41d)を支持する支持体33(43)と、支持体33(43)を昇降可能なように構成された昇降手段34(44)と、を有する。
【0036】
駆動部は、例えば、その内部に、ワイヤー32(42)が巻回されたメインプーリ(図示省略)と、メインプーリを回転させる電動式のモータ(図示省略)と、駆動部から延出されるワイヤー32(42)の緩み防止及び長さ調節のための複数のサブプーリ(図示省略)を収納している。
【0037】
ワイヤー32(42)は、駆動部から延出されると共に複数のプーリ31a〜31d(41a〜41d)を介して駆動部に収納されている。駆動部のモータを駆動させてメインプーリを回転させると、それに伴ってワイヤー32(42)が複数のプーリ31a〜31d(41a〜41d)を介して循環移動する。これにより、ワイヤーソー30(40)は、プーリ31b、31d(41b、41d)間に延在するワイヤー32(42)を切断部32a(42a)として対象物を切断可能な状態となる。
【0038】
このようなワイヤー32(42)としては、例えば、1本の鉄製のワイヤーに複数の人工ダイヤモンドを焼結したビーズが所定の間隔をあけて配置された、いわゆるダイヤモンドソーが挙げられる。ダイヤモンドソーは、一般に石材や鉄筋コンクリートなどの比較的硬い物質を切削加工する際に用いられるものであり、フレコン1の外袋3及び内袋2を構成するポリプロピレン、ポリエチレン及びアルミ化合物などの物質を迅速かつ容易に切断することができる。また、フレコン1の収容物Sに含まれるコンクリート片や金属片なども容易に切断することができる。
【0039】
支持体33(43)は、プーリ31a、31b(41a、41b)のそれぞれの両側面を支持する一対の支柱33a(43a)と、プーリ31c、31d(41c、41d)のそれぞれの両側面を支持する一対の支柱33b(43b)と、支柱33a(43a)と支柱33b(43b)とをそれらの上端部同士で結合する結合部33c(43c)と、を有する。
【0040】
昇降手段34(44)は、支持体33(43)を所定の高さに支持しつつ、支持体33(43)を
図4に実線で示す初期位置と
図4に破線で示す切断位置との間で移動可能なように構成されている。すなわち、昇降手段34(44)は、ワイヤー32(42)の切断部32a(42a)を、搬送装置20の上方において、初期位置と切断位置との間で昇降させる。このような昇降手段34(44)としては、例えば、油圧式ジャッキが挙げられる。
【0041】
組立フレーム60は、第1及び第2のワイヤーソー30、40(昇降手段34(44))のそれぞれが取付けられた天板60aと、搬送装置20の複数の支柱20bを囲むように略矩形状に形成されたフレーム60bと、フレーム60bから上方に延び天板60aを設置面Gから所定の高さで支持する複数の支柱60cと、フレーム60bを設置面Gから所定の高さで支持する複数の支柱60dと、を有する。
【0042】
また、ワイヤーソー30(40)は、図示省略の制御部によってワイヤー32(42)の循環移動及び支持体33(43)の昇降が制御されるようになっている。尚、ワイヤーソー30(40)の駆動部は、支持体33(43)の結合部33c(43c)上に設置され、昇降手段34(44)によって支持体33(43)と共に昇降するようになっている。
但し、これに限るものではなく、第1及び第2のワイヤーソー30、40の各駆動部は、組立フレーム60の天板60a上に設置されていてもよい。この場合、ワイヤーソー30(40)の昇降時におけるワイヤー32(42)の経路長は、上述した駆動部のサブプーリにより調節されるようになっている。
【0043】
第1の実施形態において、上記のように構成された第1及び第2のワイヤーソー30、40のそれぞれは、より具体的には、以下のように配置される。
【0044】
第1のワイヤーソー30は、搬送装置20の上方において、ワイヤー32の切断部32aが搬送装置20の搬送部20a側を向くように下向きに配置されると共に、切断部32aの循環方向が搬送装置20の搬送方向A及び搬送部20aの中心線に沿うように配置される(
図3、
図4を参照)。
【0045】
一方、第2のワイヤーソー40は、搬送装置20の上方において、ワイヤー42の切断部42aが搬送装置20の搬送部20a側を向くように下向きに配置されると共に、切断部42aの循環方向が搬送方向Aに直角な方向(すなわち、搬送部20aの幅方向)に沿うように配置される(
図3を参照)。
但し、これに限るものではなく、第1及び第2のワイヤーソー30、40は、フレコン1の上面を交差して切断可能であれば、いかなる位置に配置されていてもよい。したがって、フレコン1の上面の切断方向は、第1のワイヤーソー30による切断方向と第2のワイヤーソー40による切断方向とが直角に交わることに限るものではなく、また、搬送装置20の搬送方向Aと無関係であってもよい。
【0046】
次に、第1の実施形態によるフレコン破袋システム10の動作について、
図5、6を参照して説明する。
尚、本システムは、放射性物質を取り扱うことから、基本的に無人状態で且つ外部から遠隔操作可能な状態で自動運転され、その運転状態は監視カメラにより監視される。
【0047】
図5、6は、フレコン1の破袋工程を説明するための図であって、フレコン破袋システム10の側面図である。
尚、
図5、6においては、便宜上、搬送装置20の複数の支柱20b及び組立フレーム60の複数の支柱60dは省略してある。
【0048】
まず、中間貯蔵施設に運搬されたフレコン1は、例えば、図示省略のクレーンによって吊り手部4aを介して吊り上げられ、搬送装置20の搬送部20aに載置される。このとき、手作業によって、フレコン1の上面側にある吊り手部4aを側面3a1側に退避させておくことが好ましい。これにより、フレコン1の外袋3と比較して分厚く形成され切断されにくい吊り手部4aの切断を回避することができるので、第1及び第2のワイヤーソー30、40による切断を迅速に実行することが可能となる。
【0049】
フレコン1が搬送部20aに載置されると、搬送装置20が作動し、フレコン1が搬送方向Aに沿って搬送される。フレコン1が第1のワイヤーソー30の下方に搬送されると、搬送装置20は停止する。
【0050】
搬送装置20が停止すると、
図5(A)に示すように、第1のワイヤーソー30が作動し、駆動部によりワイヤー32を搬送方向Aに沿って循環移動させつつ、昇降手段34によって支持体33を切断位置まで下降させる。これにより、フレコン1の上面が搬送方向Aに沿って切断される。
【0051】
第1のワイヤーソー30によってフレコン1の上面が切断されると、昇降手段34によって支持体33を初期位置まで上昇させる(
図5(B)を参照)。そして、支持体33が初期位置に戻ると、再度、搬送装置20が作動し、フレコン1の搬送方向Aに沿った搬送が再開される。
【0052】
搬送装置20は、フレコン1が第2のワイヤーソー40の下方(フレコン1の上面の中心が切断部42aの下方となる位置)に搬送されると、再び停止する(
図6(A)を参照)。そして、
図6(B)に示すように、第2のワイヤーソー40が作動し、第1のワイヤーソー30と同様に、駆動部によりワイヤー42を循環移動させつつ、昇降手段44によって支持体43を下降させる。これにより、フレコン1の上面が搬送方向Aと直角な方向(すなわち、搬送装置20の幅方向)に沿って切断される。したがって、フレコン1の上面は、第2のワイヤーソー40によって第1のワイヤーソー30の切断方向と直角な方向に切断され、これにより十字切り(見方によってはX字切り)が完成する。すなわち、第1及び第2のワイヤーソー30、40は、切断方向に循環移動するワイヤー32(42)(切断部32a(42a))をフレコン1の上面に押し付けて切断するように構成されている。
【0053】
また、第1の実施形態の第1及び第2のワイヤーソー30、40において、ワイヤー32、42の切断部32a、42aのそれぞれは、フレコン1の上面から下方に向かって所定の深さ(例えば、約15cm)まで下降させられる。したがって、第1及び第2のワイヤーソー30、40によって、フレコン1の上面が切断されると共にその側面3a1が上面から下方に向かって所定の深さまで切断される。尚、ワイヤー32(42)の切断部32a(42a)の鉛直方向への変位は、収容物の種類(例えば、その粘性)、フレコンの種類(例えば、その曲率、たわみ幅)、搬送装置20に載置されたフレコン1の形状などに応じて、適宜調整されるようにしてもよい。
【0054】
また、以上示した実施形態では、第1のワイヤーソー30及び第2のワイヤーソー40の動作について別々に説明したが、例えば、
図6(B)に示すように、1つ目のフレコン1が第2のワイヤーソー40の作動位置で停止したときに、2つ目のフレコン1が第1のワイヤーソー30の作動位置で停止するように、複数のフレコン1を搬送装置20に順次載置するようにすれば、第1のワイヤーソー30と第2のワイヤーソー40とを同時に作動させてもよい。これにより、複数のフレコン1の上面(及び側面3a1)を同時に切断することができる。
【0055】
フレコン1が破袋された後、フレコン1の収容物Sは、以下のようにして取り出される。
図7、8は、フレコン1破袋後の処理を説明するための図であって、
図7は、フレコン1の転倒工程を示すフレコン破袋システム10の側面図、
図8は、収容物Sの取り出し工程を示すフレコン1の正面図である。
尚、
図7においては、フレコン破袋システム10の下流側のみを示し、組立フレーム60については、便宜上、省略してある。また、
図8においては、フレコン破袋システム10は、便宜上、省略してある。
【0056】
第2のワイヤーソー40によって切断されたフレコン1は、搬送装置20の下流側において、
図7において破線で示す位置から実線で示す位置に移動する。すなわち、フレコン1は、
図7に示す矢印Bの方向に、搬送装置20の転倒ガイド20cを介して設置面G(又はホッパ)に向かって転倒し始め、切断された上面が下方(設置面G側又はホッパ側)を向くように落下する。
【0057】
設置面G又はホッパ上に落下したフレコン1の収容物Sは、例えば、所定のアタッチメント(グラップル)を有する建設機械70を使用して、以下のように取り出される。
【0058】
図8(A)に示すように、建設機械70のアーム71の先端には、対象物を把持可能なアタッチメントとしてフォーク72が取付けられている。フォーク72は、例えば、先端に向けて二股に分かれるように形成された爪部を有する第1のフォーク部72aと、先端に向かって三股に分かれるように形成された爪部を有する第2のフォーク部72bと、これら第1及び第2のフォーク部72a、72bを開閉可能な第1のリンク機構72cと、第1のリンク機構72cとアーム71との間に設けられた第2のリンク機構72dと、を有している。
【0059】
第2のリンク機構72dは、第1のリンク機構72c及びフォーク部72a、72bを、アーム71との連結部を支点として前後に揺動可能且つ鉛直方向を軸線として回転可能なように構成されている。
【0060】
また、第1及び第2のフォーク部72a、72bは、各爪部のそれぞれに、フォーク部72a、72bを閉じて対象物を把持する際に、その対象物に突き刺さるように形成された切刃72a1、72b1を有している。
【0061】
設置面G又はホッパ上に落下したフレコン1は、まず、フォーク72によって把持される(
図8(A))。そして、フレコン1は、
図8(B)に示すように、第2のリンク機構72dによって、鉛直軸Oを中心として回転されたり、矢印C、D方向に揺動されたりする。これにより、フレコン1の上面の十字状の切り込みから収容物Sが落下する。このとき、フレコン1の側面3a1には、切刃72a1、72b1が突き刺さっているため、フレコン1と収容物Sとが分離される。分離されたフレコン1は、別途回収される。
【0062】
以上示した第1の実施形態によれば、切断装置として、一般に石材や鉄筋コンクリートなどの極めて硬い物質を切削加工する際に用いられるワイヤーソー30(40)を用いることで、除去土壌などの除去物を収容したフレコン1の上面を迅速且つ容易に切断することができる。また、例えば、除去土壌そのものが極めて硬い場合やフレコン1の収容物Sにコンクリート片や金属片などの極めて硬い物質が含まれている(特に、フレコン1の上部付近に存在する)場合であっても、フレコン1の上面を容易に切断することができる。これにより、フレコン1の破袋の確実性を向上させることができる。
【0063】
また、第1の実施形態では、ワイヤーソー30(40)によってフレコン1の上面(及び側面3a1)が切断されるので、例えば、収容物Sに水分を多量に含んだ粘性の低い土砂が含まれる場合であっても、搬送中に収容物Sが漏れ出ることなく、フレコン1の破袋作業を実行することが可能となる。さらに、フレコン1上部においては、底部と比較して収容物Sが締め固められていないものと考えられるので、底面3a2を切断する方式と比較して、切断された上面を下方に向けて収容物Sを落下させる際の収容物の取出しを容易に行うことができる。
【0064】
また、第1の実施形態では、ワイヤーソー30(40)の切断部32a(42a)をフレコン1の上方から下方に向けて下降させる構成のため、フレコン1の上面の搬送方向A及びそれと交差する(直角な)方向に沿った領域の完全な切断が可能となると共に、側面3a1を上面から下方に向かって所定の深さまで切断することができる。これにより、収容物Sがフレコン1の側面3a1に及ぼす側圧が開放されるので、フレコン1を反転させて収容物Sを取り出す際、側面3a1と上面との間に収容物Sが滞留するのを抑制することができる。したがって、フレコン1の上面が十分に開放されるので、収容物Sを容易に取り出す(落下させる)ことが可能となる。
【0065】
さらに、第1の実施形態では、ワイヤーソー30(40)の切断部32a(42a)をフレコン1の上方から下方に向けて下降させる構成のため、フレコン1の底面3a2を切断する方式と比較してフレコン1の切断状況の確認を容易に行うことができる。したがって、フレコン1の切断後の工程に移行するか否かの判断を適切に行うことが可能となるので、複数のフレコン1を連続的に破袋する処理の効率性を向上させることができる。
【0066】
このように、ワイヤーソー30(40)を適用したフレコン破袋システム10を用いることで、除染に伴い発生した除去物を収容している複数のフレコン1を順次破袋して、収容物を短時間で確実に排出することができ、大量のフレコン1を処理する必要があり、しかも放射性物質を取り扱うことから、基本的に無人状態でなされる作業の効率化を図ることができる。
【0067】
また、以上示した第1の実施形態において、第1のワイヤーソー30によって搬送方向Aに沿った切断を先に行い、その後、搬送方向Aにおいて第1のワイヤーソー30よりも下流側に配置された第2のワイヤーソー40によって搬送装置20の幅方向に沿った切断を行うものとして説明したが、これに限るものではない。すなわち、第1のワイヤーソー30の配置と第2のワイヤーソー40の配置とを入れ替え、第1のワイヤーソー30によって搬送装置20の幅方向に沿った切断を行い、第2のワイヤーソー40によって搬送方向Aに沿った切断を行うようにしてもよい。
【0068】
また、以上示した第1の実施形態において、フレコン1の破袋を、切断装置としてのワイヤーソーを2つ(第1及び第2のワイヤーソー30、40)用いて実行するようにしたが、これに限るものではない。例えば、切断装置としてのワイヤーソーを1つのみ用いてフレコン1を破袋するようにしてもよい。
以下では、切断装置を1つだけ用いた第2の実施形態について
図9、10を参照して説明する。
【0069】
図9は、第2の実施形態によるフレコン破袋システム100の側面図である。
第2の実施形態において、フレコン破袋システム100は、搬送装置200と、切断装置300と、を含む。
【0070】
切断装置300は、第1の実施形態の第1のワイヤーソー30と同様に配置されており、所定の組立フレーム600に支持されている。組立フレーム600は、第1の実施形態における組立フレーム60と同様に、天板600aと、フレーム600bと、複数の支柱600c、600dと、を有する。
【0071】
ここで、天板600aには、切断装置300(ワイヤーソー30の昇降手段34)が取付けられており、組立フレーム600は、切断装置300としてのワイヤーソー30を1つだけ支持している点で第1の実施形態とは相違する。
【0072】
搬送装置200は、例えば、複数のフレコン1を搬送方向Aに沿って搬送するローラコンベアであって、搬送部200aと、複数の支柱200bと、転倒ガイド200cと、を有する。また、搬送装置200は、切断装置300の下方に位置する搬送部200aの一部が鉛直軸周りに回転するように構成されている。
【0073】
図10は、搬送装置200の平面図である。
搬送部200aは、
図11(A)、(B)に示すように、搬送方向Aにおいて上流側から順に、第1の搬送部200a1と、第2の搬送部200a2と、第3の搬送部200a3と、を有する。第1、第2及び第3の搬送部200a1〜200a3のそれぞれは、同時に駆動され搬送方向Aに沿ってフレコン1を搬送するようになっている。
【0074】
第1の搬送部200a1の搬送方向Aにおける下流側の端部は、略半円形状に形成されている。
第3の搬送部200a3の搬送方向Aにおける上流側の端部は、略半円形状に形成されている。
【0075】
第2の搬送部200a2は、切断装置300の下方に配置されており、第1及び第3の搬送部200a1、200a3の略半円形状に形成された端部と対応するように略円形状に形成されている。また、第2の搬送部200a2は、図示省略の回転手段によって、鉛直軸周りで搬送方向Aから搬送方向Aと直角な方向(すなわち、搬送装置200の幅方向)に約90度回転するようになっている。
【0076】
以下、第2の実施形態によるフレコン破袋システム100の動作について説明する。
フレコン1が搬送装置200の第1の搬送部200a1に載置されると、搬送装置200が作動する。そして、搬送装置200は、フレコン1が第2の搬送部200a2の中央付近、すなわち、切断装置300の下方に搬送されると停止する。
【0077】
搬送装置200が停止すると、切断装置300としてのワイヤーソー30が作動し、第1の実施形態と同様に、フレコン1の上面(及び側面3a1)が切断される。すなわち、フレコン1の上面が搬送方向Aに沿って切断される。その後、支持体33は、昇降手段34によって初期位置まで上昇する。
【0078】
支持体33が初期位置に戻ると、第2の搬送部200a2の回転手段が作動し、第2の搬送部200a2を鉛直軸周りで約90度回転させる。第2の搬送部200a2が約90度回転すると、回転手段は停止する。そして、切断装置300が再度作動し、フレコン1の上面が切断される。フレコン1は鉛直軸周りに約90度回転されているので、フレコン1の上面が搬送方向Aと直角な方向に沿って切断される。したがって、フレコン1の上面は、十字状に切断される。すなわち、切断装置300(ワイヤーソー30)は、1つのフレコン1につき2回切断動作する1つのワイヤーソーである。
【0079】
フレコン1が十字状に切断されると、再度、第2の搬送部200a2の回転手段が作動し、第2の搬送部200a2を鉛直軸周りで逆方向に約90度回転させる。すなわち、回転手段は、第2の搬送部200a2を元の位置に戻すように回転させる。第2の搬送部200a2が元の位置に戻ると、回転手段は停止する。そして、搬送装置200が再度作動し、フレコン1の搬送方向Aに沿った搬送が再開する。その後、フレコン1は、転倒ガイド200cを介して、設置面G(又はホッパ)に向かって転倒する。
【0080】
第2の実施形態においては、搬送装置200がフレコン1を鉛直軸周りで搬送方向Aから搬送装置200の幅方向に回転させるように構成されているので、切断装置としてのワイヤーソーを1つだけ用いることによってフレコン1の上面の十字切りを完成させることが可能となる。したがって、切断装置としてのワイヤーソーを2つ用いた場合と比較して搬送方向Aに沿ったフレコン破袋システム100全体の長さを短縮することが可能となり、設置スペースを節約することができる。
【0081】
また、以上示した第2の実施形態では、切断装置300を第1の実施形態の第1のワイヤーソー30と同様に配置したが、これに限るものではない。例えば、切断装置300を、第1の実施形態の第2のワイヤーソー40と同様に、切断部42aの循環方向が搬送装置200の幅方向に沿うように配置してもよい。この場合、搬送方向Aに沿ったフレコン破袋システム100全体の長さをより一層短縮することが可能となる。
【0082】
尚、第2の実施形態においては、回転手段によって搬送装置200の一部(第2の搬送部200a2)を回転させるようにしたが、これに限るものではない。例えば、第2の搬送部200a2を回転させる回転手段に代えて、組立フレーム600の天板600aを回転させる回転手段(図示省略)を設け、これにより、切断装置300を鉛直軸周りで約90度回転させるようにしてもよい。すなわち、第2の実施形態によるフレコン破袋システム100は、切断装置300の1回目の切断動作と2回目の切断動作との間で、フレコン1又はワイヤーソー30(40)を鉛直軸周りに回転させる回転手段を含んでもよい。
【0083】
以上示した第1及び第2の実施形態では、破袋後のフレコン1を転倒ガイド20c(200c)によって転倒させながら所定の場所に落下させた後、建設機械70を用いて収容物Sを取り出すようにしたが、これに限るものではない。例えば、転倒ガイド20c(200c)に代えて、破袋後のフレコン1を反転させて上面が下方を向いた状態とする反転装置80を設けてもよい。
【0084】
図11及び
図12は、フレコン破袋システム10(100)の反転装置80を説明するための図であって、
図11(A)は、反転装置80を含むフレコン破袋システム10(100)の側面図、
図11(B)は、反転装置80の正面図、
図12(A)は、反転装置80の平面図、
図12(B)は、反転装置80の側面図である。尚、
図11(A)において、搬送装置20(200)については、最下流側のみが示され、組立フレーム60(600)については、便宜上、省略してある。
【0085】
反転装置80は、搬送装置20(200)の搬送方向Aにおいて切断装置よりも下流側であって、搬送装置20(200)の下流側端部、すなわち、搬送路の終端に連結されるものであって、フレコンケース81と、フレコンケース81を回転させる回転手段82と、フレコンケース81及び回転手段82のそれぞれを設置面Gから所定の高さで支持する組立フレーム83と、を含む。
【0086】
フレコンケース81は、
図11、12に示すように、矩形状の底板81aと、底板81aの四隅から上方に延びる4本の支柱81b〜81eと、各支柱81b〜81eの上端に連結され搬送装置20(200)側が開放された略コ字形状のフレーム81fと、底板81a上の4箇所に設置されフレコン1を把持する把持手段81g〜81jと、搬送装置20(200)と逆側の側面をフレーム81fから下方に向かって所定の深さまで覆う側板81kと、を有する。
【0087】
各把持手段81g〜81jは、
図12(A)に示すように、遠隔操作可能な電動モータなどの駆動部81g1〜81j1と、駆動部81g1〜81j1によって駆動され略L字状に形成された切刃81g2〜81j2と、を有する。切刃81g2〜81j2は、反転装置80の上方から視て基端側を支点として回動し、先端側がフレコン1下部の側面3a1に突き刺さるようになっている。但し、切刃81g2〜81j2の形状は、略L字状に限るものではなく、直線状のものであってもよい。この場合、駆動部81g1〜81j1は、直線状の切刃81g2〜81j2の先端側がフレコン1の外方から側面3a1に突き刺さるように、切刃81g2〜81j2を往復動させるものが好ましい。
【0088】
回転手段82は、搬送方向Aから視てフレコンケース81の両側に設けられるものであって(
図11(B)を参照)、遠隔操作可能な電動モータなどの2つの駆動部82a、82bと、各駆動部82a、82bからフレコンケース81に向かって延び底板81aの側面に対して回動自在に連結された駆動軸82c、82dと、を有する。
【0089】
各駆動軸82c、82dは、それぞれ駆動部82a、82bによって駆動されるものであり、
図12(B)に示すように、フレコン1が収容されたフレコンケース81を回転させることで、フレコン1の上面が下方(設置面G側又はホッパ側)を向くように反転させるようになっている。
【0090】
組立フレーム83は、矩形状の天板83aと、複数(例えば4本)のフレーム83b1〜83b4によって矩形状に組み立てられたフレーム83bと、天板83aの四隅にその上端が結合されフレーム83bを設置面Gから所定の高さで支持する複数(例えば6本)の支柱83c〜83hと、搬送方向Aから視てフレーム83bの両側面のそれぞれに取り付けられ駆動部82a、82bがそれぞれ設置される設置台83i、83jと、を有する。
尚、
図12(A)において、フレコンケース81の天板81a、並びに組立フレーム83の天板83a及び複数の支柱83c〜83hについては、便宜上、省略してある。また、
図12(B)において、回転手段82の駆動部82a及び駆動軸82c、並びに組立フレーム83のフレーム83b2、支柱83c〜83e及び設置台83iについては、便宜上、省略してある。
【0091】
また、組立フレーム83bの搬送装置20(200)側のフレーム83b1上には、緩衝材83b5が設けられており、フレコンケース81の底板81aが緩衝材83b5を介して載置されるようになっている(
図12(B)を参照)。より具体的には、フレコンケース81は、フレーム83b1によって、底板81aが設置面G(又はホッパ)に向かうように搬送装置20(200)(搬送部20a(200a))に対して傾斜した状態で支持されている。
【0092】
このように構成された反転装置80は、以下のように動作する。
破袋後のフレコン1は、搬送方向Aに沿って搬送装置20(200)の最下流側に搬送されると、フレコンケース81内に収容される。ここで、フレコン1は、フレコンケース81が搬送装置20(200)(搬送部20a(200a))に対して傾斜しているので、フレコンケース81の最下流側に移動する(
図12(A)を参照)。また、側板81kは、フレコン1がフレコンケース81の支柱81cと支柱81eとの間から設置面Gに向かって落下するのを防ぐ障壁として機能する。
【0093】
次いで、フレコンケース81の把持手段81g〜81jが作動し、駆動部81g1〜81j1によって切刃81g2〜81j2を回動させ、フレコン1下部の側面3a1に突き刺す。これにより、フレコン1は、フレコンケース81内で把持される。
【0094】
フレコン1が把持手段81g〜81jによって把持されると、回転手段82が作動し、駆動部82a、82bによって駆動軸82c、82dを回動させ、フレコンケース81を
図12(B)に示す矢印E方向に回転させる。これにより、フレコン1は、フレコンケース81内に把持された状態で上面が下方(設置面G又はホッパ)を向くように反転する(
図12(B)を参照)。反転したフレコン1の収容物Sは、上面の切れ込みから落下することでフレコン1から取り出される。すなわち、反転装置80は、上面が切断されたフレコン1の側面3a1を把持した状態でフレコン1を反転させる。
【0095】
以上のように、反転装置80を用いることで、建設機械70を用いることなく、破袋後のフレコン1から収容物Sを取り出すことが可能となる。また、フレコン1そのもの、すなわち、内袋2及び外袋3は、フレコンケース81内の把持手段81g〜81jによって把持されたままであるので、収容物Sとフレコン1とを分離することができる。分離されたフレコン1は、別途回収される。
したがって、放射性物質を取り扱うことから、基本的に無人状態でなされる作業の効率化を図ることができる。
【0096】
以上、本発明の好ましい実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上記各実施形態に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形及び変更が可能である。