特許第6396976号(P6396976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6396976太陽光発電装置および太陽光発電装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6396976
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】太陽光発電装置および太陽光発電装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/10 20140101AFI20180913BHJP
【FI】
   H02S20/10 Q
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-238790(P2016-238790)
(22)【出願日】2016年12月8日
(65)【公開番号】特開2018-98840(P2018-98840A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2016年12月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】592091529
【氏名又は名称】東光電気工事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119943
【弁理士】
【氏名又は名称】南 敦
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東條 晃
(72)【発明者】
【氏名】宇津木 一秀
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−132780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 20/10
E04D 13/00
E04D 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の列をなして配置される複数の第1の支持部と、
前記第1の列と並列な第2の列をなし、前記複数の第1の支持部より高く配置された複数の第2の支持部と、
前記複数の第1の支持部の上に固定される第1の側板と、前記第1の側板の一辺に接続され、前記第1、第2の支持部の高さの差に対応する第1の傾斜を有する第1の上板と、
前記第1の側板の一辺と対向する他辺に接続される第1の下板とを有する第1の溝形鋼と、
前記複数の第2の支持部上に固定される第2の側板と、前記第2の側板の一辺に接続され、前記第1の傾斜に対応する第2の傾斜を有する第2の上板と、前記第2の側板の前記一辺と対向する他辺に接続される第2の下板とを有する第2の溝形鋼と、
前記第1、第2の上板にボルト締結される第3の下板と、パネル固定用の第1の穴を設けた第3の上板と、前記第3の下板と前記第3の上板を接続する第3の側板をそれぞれ有し、並列に配置される複数のZ形鋼と、
横方向に溝部が形成された縁部と、前記第3の上板の前記第1の穴に対応する前記溝部の位置に設けた第2の穴とを有し、ボルトの軸を下方に向けて前記第2の穴と前記第1の穴に通し前記第3の上板の下からナットを締め付けて固定される太陽光発電パネルと
を備える太陽光発電装置。
【請求項2】
前記複数のZ形鋼を、1対毎に互いが向き合う方向に対向させて配置したことを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
記第1の傾斜および前記第2の傾斜の角度を5°以上30°以下の範囲にしたことを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置。
【請求項4】
複数の第1の支持部を、第1の列をなして配置するステップと、
複数の第2の支持部を、前記第1の列と並列な第2の列をなし、前記複数の第1の支持部より高く配置するステップと、
前記複数の第1の支持部に第1の溝形鋼を載置しボルト締結するステップと、
前記複数の第2の支持部に第2の溝形鋼を載置しボルト締結するステップと、
前記第1の溝形鋼の傾斜した第1の上板と前記第2の溝形鋼の傾斜した第2の上板との上に複数のZ形鋼を並列に架け渡して載置し、各Z形鋼の第3の下板と前記第1の溝形鋼の第1の上板とをそれぞれに設けた穴に下からボルトを通して上からナットで固定するステップと、
前記複数のZ形鋼の前記第3の上板に太陽光発電パネルを載置し、軸を下方に向けたボルトを太陽光発電パネルの穴から前記第3の上板の穴に通して下からナットで固定するステップと
を有する太陽光発電装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、太陽光発電装置および太陽光発電装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばメガソーラー発電所などの大規模な太陽光発電所を建設する上で、太陽光発電パネルを支持するアレイ装置(鋼鉄製の太陽光発電パネル設置用の架台)の設置工事にかかる作業(組立作業およびパネル取り付け作業など)が、全体の作業の35%程度を占めるため、作業性の向上が望まれている。
【0003】
アレイ装置の組み立て作業の中で、特にボルト締め付け作業は作業の大半を占める。このボルト締め付け作業は、締め付ける部材の形状や取り付け位置の違いよって作業の手間が異なり、コストや工期に多大な影響を与える。
【0004】
例えば15MWクラスのメガソーラー発電所には、940基のアレイ装置とこれらアレイ装置の上に敷き詰める太陽光発電パネルが62040枚必要になり、アレイ装置の組み立てに用いるボルトの使用数とアレイ装置に太陽光発電パネルを固定するためのボルトの使用数の合計は、62040×4×22×2=289520本にも及ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−70133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の場合、アレイ装置の骨組みと太陽光発電パネルと接合部にはC形鋼材などと呼ばれる溝形鋼材が用いられるが、鋼材の穴に上からボルトを通し鋼材の下側からナットで締め付ける作業は、工具を入れ難い他、工具の先端部が鋼材に当たることで作業性が至って悪いという問題があった。
【0007】
また、太陽光発電パネルに太陽光を効率よくとらえさせるために、パネル面を傾斜させて配設する必要があるため、地面に平行に設置されるアレイ装置の水平材(横梁)と太陽光発電パネルを固定する傾斜材(傾斜方向の梁)とに傾斜角度に応じた隙間が生じるため、梁どうしを、ピースアングルなどの金具を介して固定する必要があった。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、太陽光発電パネルの設置作業にかかる作業工数を削減することができる太陽光発電装置および太陽光発電装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の太陽光発電装置は、第1の列をなして配置される複数の第1の支持部と、前記第1の列と並列な第2の列をなし、前記複数の第1の支持部より高く配置された複数の第2の支持部と、前記複数の第1の支持部の上に固定される第1の側板と、前記第1の側板の一辺に接続され、前記第1、第2の支持部の高さの差に対応する第1の傾斜を有する第1の上板と、前記第1の側板の一辺と対向する他辺に接続される第1の下板とを有する第1の溝形鋼と、前記複数の第2の支持部上に固定される第2の側板と、前記第2の側板の一辺に接続され、前記第1の傾斜に対応する第2の傾斜を有する第2の上板と、前記第2の側板の前記一辺と対向する他辺に接続される第2の下板とを有する第2の溝形鋼と、
前記第1、第2の上板にボルト締結される第3の下板と、パネル固定用の第1の穴を設けた第3の上板と、前記第3の下板と前記第3の上板を接続する第3の側板をそれぞれ有し、並列に配置される複数のZ形鋼と、横方向に溝部が形成された縁部と、前記第3の上板の前記第1の穴に対応する前記溝部の位置に設けた第2の穴とを有し、ボルトの軸を下方に向けて前記第2の穴と前記第1の穴に通し前記第3の上板の下からナットを締め付けて固定される太陽光発電パネルとを備える。
【0010】
本発明の太陽光発電装置の製造方法は、複数の第1の支持部を、第1の列をなして配置するステップと、複数の第2の支持部を、前記第1の列と並列な第2の列をなし、前記複数の第1の支持部より高く配置するステップと、前記複数の第1の支持部に第1の溝形鋼を載置しボルト締結するステップと、前記複数の第2の支持部に第2の溝形鋼40を載置しボルト締結するステップと、前記第1の溝形鋼の傾斜した第1の上板と前記第2の溝形鋼の傾斜した第2の上板との上に複数のZ形鋼を並列に架け渡して載置し、各Z形鋼の第3の下板と前記第1の溝形鋼の第1の上板とをそれぞれに設けた穴に上からボルトを通して下からナットで固定するステップと、前記複数のZ形鋼の前記第3の上板に太陽光発電パネルを載置し、軸を下方向に向けたボルトを太陽光発電パネルの穴から前記第3の上板の穴に通して下からナットで固定するステップとを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、太陽光発電パネルの設置作業にかかる作業工数を削減することができる太陽光発電装置および太陽光発電装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明にかかる一つの実施の形態の太陽光発電装置の概要構成を示す正面図である。
図2図1の符号Aの部分の側面拡大図である。
図3図1の符号Bの部分の拡大図である。
図4図1の符号Cの部分の拡大斜視分解図である。
図5】ボルト締め作業を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の一つの実施の形態の太陽光発電装置の概要構成を示す正面図、図2図1の符号Aの部分の拡大斜視図、図3図1の符号Bの部分の拡大図、図4図1の符号Cの部分の側面拡大図である。
図1に示すように、この太陽光発電装置は、架台1の上に太陽光発電パネル90を載置したものである。
【0014】
架台1は、第1の列をなして配置された複数(例えば4台など)の第1の支持部としての支持部10と、これら複数の支持部10の列から横にずれた位置に第2の列をなしこれら支持部10より高く配置された複数の第2の支持部としての複数の支持部20(図4参照)とを備える。
【0015】
複数の支持部10の上には、横梁としての溝形鋼30が配置されている。また、複数の支持部20の上には、横梁としての第2の溝形鋼としての溝形鋼40が配置されている。これら溝形鋼30と溝形鋼40は並列に配置されている。
【0016】
これら溝形鋼30、40の上には、溝形鋼30、40と交差すように傾斜梁(縦梁)としての複数のZ形鋼50、60が所定間隔(1枚の太陽光発電パネル90の幅と対応)で並列に配置されている。つまりZ形鋼50、60は、複数の溝形鋼30、40の間に掛け渡するように列設されている。複数のZ形鋼50、60の上部には、太陽光発電パネル90がボルトおよびナットで固定されている。ボルトとナットで固定することを「ボルト締結」と定義するものとする。ものによってはワッシャーを介在させることもある。
【0017】
各支持部10は、地中に打ち込まれた鋼管杭11と、この鋼管杭11の上部に固定された支持板12と、この支持板12の上に固定されたL形鋼13と、このL形鋼13に斜めに固定された斜材14および火打ち材15とを備える。斜材14は溝形鋼30を支持するものである。火打ち材15はZ形鋼50、60を支持するものである。
【0018】
各支持部20は、地中に打ち込まれた鋼管杭21と、この鋼管杭21の上部に固定された支持板22と、この支持板22の上に固定されたL形鋼23と、このL形鋼23に斜めに固定された斜材24および火打ち材25(図4参照)とを備える。
【0019】
斜材24は、溝形鋼40を支持するものである。斜材24と斜材14の傾斜角度を変えることで、支持部10が支持する溝形鋼30と支持部20が支持する溝形鋼40との高低差を出することができる。火打ち材25はZ形鋼50、60を支持するものである。
【0020】
図2に示すように、溝形鋼30は、断面がほぼコの字形の溝形鋼である。溝形鋼30は、複数の支持部10の上部(斜材14)にボルト16とナット17で固定される第1の側板33と、この第1の側板33の面に直交する方向Pに対して支持部10、20の高さの差に対応する第1の傾斜αを有するように第1の側板33の上側の一辺(上辺)に接続される第1の上板32と、第1の側板33の一辺と対向する他辺(下辺)に接続される第1の下板31とを有する。方向Pは架台1の一部として溝形鋼30を固定した状態の方向としては水平方向である。この例のボルト16の径はM16である。
【0021】
なお、溝形鋼40も溝形鋼30と同様であり、図4に示すように、複数の支持部20の上部(斜材24)に固定される第2の下板41と、上記第1の傾斜αに対応する第2の傾斜を有する第2の上板42と、第2の側板43の一辺と対向する他辺に接続される第2の下板41とを有する。
【0022】
第1の傾斜α(および第2の傾斜)の角度は、この装置の設置場所が平地か降雪地かによって異なる。平地であれば、傾斜の角度は、例えば水平方向に対して10°などとすることが好ましく、降雪地であれば20°乃至25°程度にすることもある。第1の傾斜α(および第2の傾斜)の角度は、おおよそ5°以上30°範囲にすることが好ましい。
なお、ここに記載した角度は一例にしか過ぎず、設置場所(設置環境)に応じて適宜変更するものとする。第1の傾斜αと第2の傾斜とは平地であれば同じ角度とするが、設置記場所が凹凸のある傾斜地などの場合は異なるようにする場合もある。
【0023】
図3に示すように、Z形鋼50は、溝形鋼30の第1の上板32(および溝形鋼40の第2の上板42)にボルト71とナット74で固定される第3の下板51と、太陽光発電パネル90にボルト81とナット84で固定される第3の上板52と、第3の下板51と第3の上板52を接続する第3の側板53を有する。
【0024】
第3の下板51の左縁部と第3の側板53の下縁部が接続され、第3の上板52の右縁部と第3の側板53の上縁部が接続されている。つまりZ形鋼50は、第3の上板52の下には第3の下板51が位置しない形状であり、ナット84を締め付ける際に下方に作業スペースが生じる。
【0025】
この例の第3の側板53は、強度とコストを勘案し、高さHを80mmとしている。またボルト71の軸径はM12である。ボルト81の軸径はM8であり、外部へ露出する部位のためステンレス(SUS)素材(材質)のものを使用している。なおここに示したボルト71、81の軸径は一例であり、他の場合もある。
【0026】
ナット74と第1の上板32との間にはワッシャー75、76(図4参照)が介挿されている。ナット84と第3の上板52の間にはスプリングワッシャー85および平ワッシャー86が介挿されている。
【0027】
太陽光発電パネル90の両縁部には、横方向に溝部(段部)92が設けられており、その溝部(段部)92に、上板52の穴55と対応する穴91が設けられている。太陽光発電パネル90を上板52に固定する際には、太陽光発電パネル90に設けられた穴91にボルト81の軸を差し込み、上板52側の穴55に通して下側からナット84で締め付けて固定する。
【0028】
この例では、複数のZ形鋼(Z形鋼50とZ形鋼60)は、1枚の太陽光発電パネル90の両側縁を固定するため、対をなしており、互いが向き合う方向に対向させて配置している。
【0029】
なお、Z形鋼50と並べて配置されるZ形鋼60の構成も同じであり、図4に示すように、溝形鋼30の第1の上板32(および溝形鋼40の第2の上板42)にボルト71とナット74で固定される第3の下板61と、太陽光発電パネル90にボルト81とナット84で固定される第3の上板62と、第3の下板61と第3の上板62を接続する第3の側板63を有する。
【0030】
第3の上板62には穴65が設けられており、太陽光発電パネル90の穴91にボルト81の軸を差し込み、上板62側の穴65に通して下側からナット84で固定する。ナット84と第3の上板62の間にはスプリングワッシャー85および平ワッシャー86が介挿されている。
【0031】
ここで、図4を参照して架台1と太陽光発電パネル90との固定構造を説明する。
図4に示すように、架台1の支持部10と溝形鋼30とは斜材14を介して固定されている。溝形鋼30と斜材14はボルト16とナット17で固定されている(図2参照)。架台1の支持部20と溝形鋼40とは斜材24を介して固定されている。各斜材14、24の固定角度を変えることで、支持部10と支持部20の高さの差を出している。
【0032】
なお、この例では、溝形鋼30の第1の側板33に斜材14を固定したが、斜材14の上端部の形状を変えることで、第1の下板31に固定してもよい。
【0033】
溝形鋼30とZ形鋼50とは互いが交差する位置に設けた穴54に、下からボルト71の軸を挿通し、上から平ワッシャー76、スプリングワッシャー75およびナット74を電動ドライバー95で締め付けて固定している。溝形鋼30とZ形鋼60の固定や、溝形鋼40とZ形鋼60との固定も同様である。電動ドライバー95はM12サイズに対応する先端径のものである。
【0034】
このようにして組み立てた架台1の上に太陽光発電パネル90を載置し、太陽光発電パネル90の穴91に上からボルト81の軸を挿通し、Z形鋼50、60の下からスプリングワッシャー85、平ワッシャー86およびナット84を電動ドライバー96で締め付け固定している。電動ドライバー96はボルト81の軸径が例えばM8であればそのサイズに対応する先端径のものを用いる。ボルト81の軸径はM8以外に例えばM6などの場合もある。
【0035】
続いて、図1乃至図4を参照してこの実施形態の太陽光発電装置の製造方法を説明する。
この場合、まず、複数の鋼管杭11を、第1の列をなすように地面に打ち込み、複数の支持部10を一列に配置する。
【0036】
そして、鋼管杭11の上部に支持板12をボルト・ナットで固定し、支持板12の上にL形鋼13をボルト・ナットで固定し、さらにL形鋼13に斜材14を傾斜させてボルト・ナットで固定する。
【0037】
続いて、複数の鋼管杭21を、第1の列と並列な第2の列をなすよう地面に打ち込み、複数の支持部20を一列に配置する。
【0038】
そして、鋼管杭21の上部に支持板22をボルト・ナットで固定し、支持板22の上にL形鋼23をボルト・ナットで固定し、さらにL形鋼23に斜板24を傾斜させてボルト・ナットで固定する。
【0039】
この際、斜板24の角度を支持部10の斜材14よりも斜板24を立たせる方向に傾斜させて固定することで、複数の支持部20の溝形鋼支持位置を、複数の支持部10の溝形鋼支持位置よりも高い位置にする。
【0040】
次に、支持部10側の複数の斜材14の上端に、コの字形の溝形鋼30を重ねて配置し、溝形鋼30の側方よりコの字の内側(図3の向かって右側)から第1の側板33の穴(図示せず)にボルト16を通し、第1の側板33の外側(図3の向かって左側)からナット17を電動ドライバー(図示せず)で締め付けて、溝形鋼30を複数の第1の支持部10の上部に固定する。
【0041】
また、支持部20側の複数の斜板24の上端に、溝形鋼40を配置し、側方よりボルト16を通してナット17を電動ドライバー(図示せず)で締め付けて、溝形鋼40を複数の第2の支持部20の上部に固定する。
【0042】
次に、支持部10側の溝形鋼30の傾斜した第1の上板32と、支持部20側の溝形鋼40の傾斜した第2の上板42の上に、複数のZ形鋼50、60を並列に架け渡すように載置する。そして、各Z形鋼50、60の下板51、61と各溝形鋼30、40の上板32、42の対応位置に設けた穴54、64に、下からボルト71の軸を通して上からナット74を電動ドライバー95で締め付けて固定する。
【0043】
複数のZ形鋼50、60の上板52、62の上に太陽光発電パネル60を載置し、太陽光発電パネル60の穴91にボルト81の軸を通し下側へ突出させ、その軸を上板52、62の穴55、65に通し、上板52、62の下に突出した軸に、上板52、62の下側からナット84を電動ドライバー96で締め付けて、太陽光発電パネル60をZ形鋼50、60に固定する。
【0044】
(効果)
このようにこの実施形態の太陽光発電装置によれば、架台1の横梁に断面がほぼコの字形の溝形鋼30、40を用い、その上に配置する傾斜梁にZ形鋼50、60を用いたことで、以下のような効果が得られる。
【0045】
10°傾斜した上板32、42を有する溝形鋼30、40を採用したことにより、溝形鋼30、40にZ形鋼50、60を直接固定できるようになり、従来必要であったピースアングルなどの金具が不要になり、材料コストを削減できる。なお従来使用していた溝形鋼をZ形鋼50、60に変えることでのコストアップはない。
【0046】
また、傾斜梁にZ形鋼50、60を採用したことで、太陽光発電パネル90を架台1に載置した状態で、作業者が架台1の骨組み内部に潜り込んで、図5に示すように、ボルト軸81aへのナット84の締め付け作業を行う際に、下板51を避けることなく、電動ドライバー96を真上に移動させることで、締め付け作業をスムーズに行うことができ、従来の溝形鋼に比べて作業性が格段に向上した。
【0047】
(具体的な施工例の比較)
例えば15MWクラスのメガソーラー発電所の設備を例にすると、940基の架台1(アレイ装置)とこれらアレイ装置の上に敷き詰める太陽光発電パネル90が62040枚必要になり、架台1の組み立てに用いるボルトの使用数と架台1に太陽光発電パネル90を固定するためのボルトの使用数の合計は、62040×4×22×2=289520本になる。
【0048】
289520本のボルトの締め付け作業について、従来と本発明とで比較した結果、従来の架台1の組み立て作業では、作業者6人で1日8台を施工していたが、本発明では、作業者6人で1日10台を施工できるようになり、作業工数として25%改善された。
【0049】
また従来のパネル設置作業では、作業者4人で1日320枚を施工していたが、本発明では、作業者4人で1日400枚を施工できるようになり、作業工数として25%改善された。
【0050】
すなわち、本発明によれば、太陽光発電パネル90の設置作業にかかる作業工数を大幅に削減することができる。
【0051】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。ここに示した実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1…架台、
10、20…支持部
11、21…鋼管杭
12、22…支持板
13、23…L形鋼
14、24…斜材
15、25…火打ち材
16、71、81…ボルト
17、74、84…ナット
30、40…溝形鋼
31、41…下板
32、42…上板
33、43…側板
50、60…Z形鋼
51、61…下板
52、62…上板
53、63…側板
54、55、65、91…穴
75、85…スプリングワッシャー
76、86…平ワッシャー
81a…ボルト軸
90…太陽光発電パネル
92…溝部(段部)
95、96…電動ドライバー
図1
図2
図3
図4
図5