【実施例】
【0022】
1.適合性試験
実施例1a
適合性試験のため、ベンダムスチン塩酸塩と賦形剤を1:1(m/m)の比で含む混合物を調製した。マンニトール及びラクトースから賦形剤を選択した。調製後、混合物をクリアガラスHPLC-バイアル(6ml)Agilentに入れ、下表1に示す種々の貯蔵条件で貯蔵した。規定時点でサンプルを貯蔵から取り出して純度(HPLC;カラム:Zorbax Bonus-RP、5μm;カラムオーブンの温度:30℃;オートサンプラーの温度:5℃;検出器:254nm)及び外観について試験した。
【0023】
表1:貯蔵条件
*50℃で1カ月貯蔵後、70℃で貯蔵
**25℃/60%r.h.で1カ月貯蔵後40℃/75%で貯蔵
【0024】
全てのこれらの混合物では、ベンダムスチン塩酸塩含量(HPLCで測定)はほとんど変化せず、全てのこれらの貯蔵条件で常に99%を超えたままだった。加水分解生成物HP1はこれらの全ての貯蔵条件でほとんど検出されなかった(面積%<0.2)。
指定ベンダムスチン塩酸塩混合物の外観試験を裸眼で行なった。調査した全ての混合物は仕様に従い、調製直後及び全てのこれらの貯蔵条件下で1カ月の貯蔵後の両方で白色乃至オフホワイトの粉末を与えた。
【0025】
実施例1b
実施例1aの方法に従うさらなる適合性試験のため、ベンダムスチン塩酸塩と賦形剤を1:1(m/m)の比で含む混合物を調製した。Opadry(登録商標)、Eudragit(登録商標)E PO、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(Avicel(登録商標) RC 591)及び架橋ポリビニルピロリドン(Crospovidone)から賦形剤を選択した。
Eudragit(登録商標)E POの場合、不純物HP1(加水分解生成物)及びBM1DIMERの初期量が有意に増加したが(HP1:1.5%、BM1DIMER:1%)、貯蔵中に湿度の影響とは無関係に全ての貯蔵条件でこれらの不純物の減少を検出することができた。架橋ポリビニルピロリドンの場合、貯蔵条件40℃/75%R.H./開いたバイアルではHP1の0.1%から0.4%への有意な増加を検出できた。全ての他の貯蔵条件(閉じたバイアル)ではHP1の増加を検出できなかった。
Eudragit(登録商標)E PO及び架橋ポリビニルピロリドンを含む混合物の外観は、貯蔵条件70℃/閉じたバイアルで変化した。両混合物はわずかに粘着性になった。さらに架橋ポリビニルピロリドンとの混合物の色が白色からクリーム色に変化した。
Opadry(登録商標)及びAvicel(登録商標)RC591を含む混合物の場合も、貯蔵条件70℃/閉じたバイアルで色がクリーム色に変わった。
【0026】
2. 錠剤製剤
実施例2
主賦形剤としてマンニトールを含み、下表2aに示す相対量で微結晶性セルロース、Ac-Di-Sol(登録商標)、コロイド状二酸化ケイ素、タルク及びステアリン酸を含む混合物253gを1リットルのキューブブレンダー(Erweka)で15分間混合することによって調製した。その後、10.612gの混合物と3.0gのベンダムスチン塩酸塩を0.425mmの篩いを通して選別してから、50mlのガラスバイアルを備えたTurbulaミキサーT2Aに移し、引き続き60rpmで10分間混合した。
この混合物から、以下の特性を有する円形錠剤を圧縮成形した:
平均粒径:9.1mm;平均値質量:247.7mg;平均値硬度:81N。
【0027】
【0028】
錠剤を40℃/75%RH(開いたガラスバイアル)又は50℃(閉じたガラスバイアル)で貯蔵した。ベンダムスチン塩酸塩並びに分解生成物、合成の副生物のような関連物質の量をHPLCで測定した(カラム:Zorbax Bonus-RP、5μm;カラムオーブンの温度:30℃;オートサンプラーの温度:5℃;検出器:254nm)。結果を下表2bに示す。
【0029】
*1:NP1:4-[6-(2-クロロエチル)-3,6,7,8-テトラ-ヒドロ-3-メチル-イミダゾ[4,5-h]-[1,4]ベンゾチアジン-2-イル]ブタン酸
BM1Dimer:4-{5-[N-(2-クロロエチル)-N-(2-{4-[5-ビス(2-クロロエチル)アミノ-1-メチルベンズイミダゾール-2-イル]ブタノイルオキシ}エチル)アミノ]-1-メチルベンズイミダゾール-2-イル}ブタン酸
BM1EE:4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-ベンズイミダゾ-2-イル]ブタン酸エチルエステル
*2:n.d.:検出不能、すなわち検出限界超え(0.05%未満の面積パーセンテージ)
【0030】
実施例3
実施例2で述べたのと同様に混合物及び錠剤を調製したが、下表3aに示す化合物及び相対量を用いた。
錠剤は以下の特徴を有した:
平均値径:9.1mm;平均値質量:248.9mg。
【0031】
【0032】
錠剤を40℃/75%RH(開いたガラスバイアル)又は50℃(閉じたガラスバイアル)で貯蔵した。ベンダムスチン塩酸塩及び関連物質の量を上述したようにHPLCで測定した。結果を下表3bに示す。
【0033】
【0034】
実施例4
実施例2で述べたのと同様に錠剤を調製したが、下表4aに示した化合物及び相対量を用いた。
錠剤は以下の特徴を有した:
平均値径:9.1mm;平均値質量:247.8mg。
【0035】
【0036】
錠剤を40℃/75%RH(開いたガラスバイアル)又は50℃(閉じたガラスバイアル)で貯蔵した。ベンダムスチン塩酸塩及び関連物質の量を上述したようにHPLCで測定した。結果を下表4bに示す。
【0037】
【0038】
従来技術の参考例
20.0±1mgのベンダムスチン塩酸塩を空の硬ゼラチンカプセルのボディに量り入れ、AgilentのクリアガラスHPLCバイアル(6ml)に入れた。ボディの上部にキャップを置いてわずかに押すことによってカプセルを閉じた。このカプセル剤を40℃/75%RH(開いたガラスバイアル)又は50℃(閉じたガラスバイアル)で貯蔵した。ベンダムスチン塩酸塩及び関連物質の量を上述したようにHPLCで測定した。結果を下表5に示す。
【0039】
【0040】
すぐに分かるように、いずれのさらなる加工工程もなしで純粋なベンダムスチン塩酸塩からカプセル製剤を調製したが、カプセル製剤は、本発明の錠剤製剤より不安定なロットだった。40℃/75%RH(開いたガラスバイアル)及び50℃(閉じたバイアル)の両方で1カ月の貯蔵内に加水分解生成物が形成された。40℃及び75%RH(相対湿度)で開いたバイアルの場合、1カ月の貯蔵後に加水分解生成物HP1の量が4倍に増えた。閉じたバイアルではHP1含量がさらに高く、これはカプセルとの反応のためであろう。要約すると、錠剤はカプセル剤よりずっと安定な固体剤形を提供した。
【0041】
実施例5
8.0gのヒドロキシプロピルメチルセルロース及び1.5gのPEG6000を88.5gの精製水に溶解させる。その後2.0gの黄色酸化第二鉄及び0.5gの酸化チタンをその中に分散させてコーティング液を得る。実施例2で得た錠剤を、フィルムコーティング装置を用いて錠剤質量毎にこの溶液3%でコーティングする。
【0042】
実施例6
【0043】
(1000錠剤の製造方法)
コロイド状二酸化ケイ素及びステアリン酸以外の全ての錠剤コア成分をSomakon容器(5L)中に装填した。ベンダムスチンを加えて4分間1000rpm(ワイパー10rpm)でブレンディングを行なった。結果として生じたブレンドを0.5mmの篩いを通して選別した。容器にブレンドを装填し、コロイド状二酸化ケイ素を加えた。上記条件でブレンディングを2分間行なった。その後ステアリン酸を加え、ブレンディングを1分間続けた。引き続きブレンドを0.5mmの篩いを通して選別し、再び容器中に装填し、全て同一条件でさらに30秒間ブレンドした。
この混合物から下記特徴を有する円形錠剤を圧縮成形した:
平均値径:9.5mm;平均値質量:254.6mg(初め)〜257.2mg(終わり);脆砕性0.1%;平均値硬度:122N(初め)〜128N(終わり)。
引き続き錠剤をOpadry(登録商標)分散系で5%の質量増加が達成されるまでフィルムコーティングした。
フィルムコーティング錠の平均質量は268.4mgだった。
錠剤コアとフィルムコーティング錠を両方とも閉じた琥珀色ガラスバイアル内で40℃/75%RHにて貯蔵した。ベンダムスチン塩酸塩並びに分解生成物、合成の副生物のような関連物質の量を上述したようにHPLCで測定した。結果を下表6b.1及び6b.2に示す。
【0044】
*3:主ピークと比べて0.69の相対保持時間の未同定化合物ピーク
【0045】
【0046】
実施例7
【0047】
(1000錠剤の製造方法)
コロイド状二酸化ケイ素及びステアリン酸以外の全ての錠剤コア成分をSomakon容器(5L)中に装填した。ベンダムスチンを加えて4分間1000rpm(ワイパー10rpm)でブレンディングを行なった。結果として生じたブレンドを0.5mmの篩いを通して選別した。容器にブレンドを装填し、コロイド状二酸化ケイ素を加えた。上記条件でブレンディングを2分間行なった。その後ステアリン酸を加え、ブレンディングを1分間続けた。引き続きブレンドを0.5mmの篩いを通して選別し、再び容器中に装填し、全て同一条件でさらに30秒間ブレンドした。
この混合物から下記特徴を有する円形錠剤を圧縮成形した:
平均値径:9.5mm;平均値質量:262.4mg(初め)〜254.4mg(終わり);脆砕性0.1%(初め)〜0.2%(終わり);平均値硬度:98N(初め)〜91N(終わり)。
引き続き錠剤をEudragit(登録商標)分散系で3%の質量増加が達成されるまでフィルムコーティングした。
フィルムコーティング錠の平均質量は273.5mgだった。
錠剤コアとフィルムコーティング錠を両方とも閉じた琥珀色ガラスバイアル内で40℃/75%RHにて貯蔵した。ベンダムスチン塩酸塩及び関連物質の量を上述したようにHPLCで測定した。結果を下表7b.1及び7b.2に示す。
【0048】
【0049】
【0050】
実施例8
【0051】
(1000錠剤の製造方法)
コロイド状二酸化ケイ素及びステアリン酸以外の全ての錠剤コア成分をSomakon容器(2.5L)中に装填した。ベンダムスチンを加えて4分間1000rpm(ワイパー10rpm)でブレンディングを行なった。結果として生じたブレンドを0.5mmの篩いを通して選別した。容器にブレンドを装填し、コロイド状二酸化ケイ素を加えた。上記条件でブレンディングを2分間行なった。その後ステアリン酸を加え、ブレンディングを1分間続けた。引き続きブレンドを0.5mmの篩いを通して選別し、再び容器中に装填し、全て同一条件でさらに30秒間ブレンドした。
この混合物から下記特徴を有する円形錠剤を圧縮成形した:
平均値径:9.5mm;平均値質量:252.2mg(初め)〜250.7mg(終わり);脆砕性0.1%(初め)〜0.2%(終わり);平均値硬度:65N(初め)〜73N(終わり)。
引き続き錠剤をEudragit(登録商標)分散系で3%の質量増加が達成されるまでフィルムコーティングした。
フィルムコーティング錠の平均質量は253.6mgだった。
錠剤コアとフィルムコーティング錠を両方とも閉じた琥珀色ガラスバイアル内で40℃/75%RHにて貯蔵した。ベンダムスチン塩酸塩及び関連物質の量を上述したようにHPLCで測定した。結果を下表8b.1及び8b.2に示す。
【0052】
【0053】
【0054】
実施例9
【0055】
600錠剤のための製剤PF1の製造方法:
33.06gのベンダムスチン、111.60gのブドウ糖、40.92gのラクトース、11.22gの微結晶性セルロース及び1.20gのステアリン酸マグネシウムを秤量し、二重ポリエチレンバッグに移して5分間混合した。その後、該粉末ブレンドを偏心性錠剤機(Korsch EK0)のホッパーに移し、下記特徴を有する円形錠剤に圧縮成形した:平均値径:10.0mm;平均値質量:336.9mg(初め)〜335.98mg(終わり);脆砕性:0.15%;平均硬度値:69.25N(初め)〜68.60N(終わり)。
引き続き錠剤コアをコーティングパン(4M8 ForMate PanCoat)内で9%のOpadry(登録商標)TM White水性懸濁液を用いてコーティングして乾燥させた。錠剤の平均質量は342.42mgだった。その後、ねじ込みプラグで閉じた琥珀色ガラス瓶に錠剤を詰めて40℃/75%RHで貯蔵した。
600錠剤のための製剤PF2の製造方法:
33.06gのベンダムスチン、111.42gのラクトース、39.60gのトレハロース、12.60gの架橋ポリビニルピロリドン及び1.32gのステアリン酸マグネシウムを秤量し、二重ポリエチレンバッグに移して5分間混合した。その後、該粉末ブレンドを偏心性錠剤機(Korsch EK0)のホッパーに移し、下記特徴を有する円形錠剤に圧縮成形した:平均値径:10.0mm;平均値質量:332.95mg(初め)〜332.12mg(終わり);脆砕性:0.3%;平均硬度値:65.9N(初め)〜59.0N(終わり)。
引き続き錠剤コアをコーティングパン(4M8 ForMate PanCoat)内で9%のOpadry(登録商標)TM White水性懸濁液を用いてコーティングして乾燥させた。錠剤の平均質量は340.1mgだった。その後、ねじ込みプラグで閉じた琥珀色ガラス瓶に錠剤を詰めて40℃/75%RHで貯蔵した。
製剤PF3の製造方法:
ソルビトール及びブドウ糖無水物を秤量した。140.64gのソルビトールを105.48gの精製水に溶解させ、得られた溶液を引き続きFluid Bed Granulator(4M8ForMate FluidBed)内で用いて659.36gのブドウ糖を造粒した。その後、該顆粒を60℃で乾燥させ、850μmの篩いを通して選別した。
33.06gのベンダムスチン塩酸塩、149.82gのソルビトール/ブドウ糖顆粒、13.8gの微結晶性セルロース及び1.32gのステアリン酸マグネシウムを二重ポリエチレンバッグに量り入れて5分間混合した。その後、該粉末ブレンドを偏心性錠剤機(Korsch EK0O)のホッパーに移し、10.0mmの平均径を有する円形錠剤に圧縮成形した。錠剤は335.99mg(初め)〜339.50mg(終わり)の質量の平均値;脆砕性:0%;平均硬度値:125.60N(初め)〜129.7N(終わり)を有した。次に錠剤を下記2工程のコンディショニングプロセスに供した(選択したバッチについてのみ行なった):錠剤を25℃/60%R.Hに2時間置き、引き続き40℃に2時間置いた。
引き続き錠剤をコーティングパン(4M8 ForMate PanCoat)内で9%のOpadry(登録商標)TM White水性懸濁液を用いてコーティングした。錠剤の平均質量:341.43mg。その後、ねじ込みプラグで閉じた琥珀色ガラス瓶に錠剤を詰めて40℃/75%RHで貯蔵した。
貯蔵したフィルムコーティング錠中のベンダムスチン塩酸塩及び関連物質の量を上述したようにHPLCで測定した。結果を下表9b.1〜9b.3に示す。
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
3. 溶解試験
実施例10
実施例2及び3の錠剤製剤についての溶解試験を人工胃液内でT=0にて行なった。HPLC(カラム:Zorbax Bonus-RP、5μm;カラムオーブンの温度:30℃;オートサンプラーの温度:5℃;検出器:254nm)によるアッセイのため溶解サンプルを試験した。2gの塩化ナトリウムp.A.を1000mlの水に溶解させ、5N塩酸でpHを1.5±0.05に調整することによって、人工胃液pH1.5を調製した。欧州薬局方6.0の2.9.3章に準拠してApparatus 2(パドル装置)を用いて溶解試験を行なった。パドルの回転速度は50rpm、温度は37±0.5℃、溶解媒体の量は500mlだった。
実施例2の錠剤製剤(錠剤製剤1)及び実施例3の錠剤製剤(錠剤製剤2)の結果を表10aに示す。
【0060】
【0061】
実施例6、実施例7及び実施例8のコーティング錠製剤についてT=0で行なったのと同じ溶解試験の結果を下表10bに示す。
表10b
【0062】
実施例9の錠剤についての対応する溶解データは下表のとおりだった。
【0063】
【0064】
上記から得られるように、本発明の全ての錠剤製剤は、ベンダムスチンの速い溶解を示す。特に本発明の製剤は、本明細書で前述したベンダムスチンの溶解プロファイルを示す。
4. in vivo試験
ベンダムスチンの動物バイオアベイラビリティー研究をビーグル犬で行なった:PK研究概要
研究1
目的は、3種の錠剤製剤(T1〜3)及び1種のカプセル製剤(C)、全部で4種の経口製剤中の1用量(すなわち50mg)のベンダムスチンのバイオアベイラビリティーを決定することだった:AUC及びCmax。
要した動物の総数:16
基本設計:
交差設計、治療群(arm)毎に8匹の動物:
【0065】
表11a:期間1(単回用量の錠剤、又はカプセル剤、日1):
【0066】
1週間の休薬(wash-out)
【0067】
表11b:期間2(期間1の1週間後、以下のいずれかの単回用量、日8):
【0068】
1週間の休薬
【0069】
表11c:期間3(期間2の1週間後、以下のいずれかの単回用量、日15):
【0070】
研究2
目的は、1種の錠剤製剤T4、1種のカプセル製剤、全部で3種の経口製剤中の1用量(すなわち50mg)のベンダムスチンのバイオアベイラビリティーを決定することだった:AUC及びCmax。
要した動物の総数:16
基本設計:
交差設計、治療群毎に8匹の動物:
【0071】
表12a:期間1(単回用量のカプセル剤、日1):
【0072】
1週間の休薬
【0073】
表12b:期間2(期間1の1週間後、以下の製剤のどちらかの単回用量、日8):
【0074】
実施例11
50mgのベンダムスチンを含む実施例9のコーティング錠(製剤3、Opadry(登録商標)でコーティングした錠剤T4)をオスとメスのイヌに経口投与して参考例のカプセル剤と比較した。
カプセル製剤と実施例9のコーティング錠の両者について平均血漿プロファイル対時間を
図1に示す。
実施例12
50mgのベンダムスチンを含む実施例6、7、又は8のコーティング錠(錠剤T1〜T3)をオスとメスのイヌに経口投与して参考例のカプセル剤と比較した。
カプセル製剤と実施例6〜8のコーティング錠の平均血漿プロファイル対時間を
図1に示す。
実験は以下のために行なった:
−糖類又は糖類混合物が、速い溶解プロファイルとコーティングに適した硬度値とを有する化学的に安定した錠剤を得るのに適しているかを評価する;
−APIと賦形剤との適合性を評価する;
−異なる製造プロセス(乾式造粒、直接圧縮及び湿式造粒)を調査することによって、プラセボ及びAPI含有バッチを開発する;
−種々のベンダムスチン塩酸塩/糖類比を評価する;
−製造される錠剤の技術的特性及び安定性に及ぼす含水量の影響を調査する;
−商業的に入手可能な凍結乾燥ベンダムスチン塩酸塩製品(Ribomustin(登録商標))を用いて錠剤を製造し、かつこれらの錠剤を対応量のマンニトールとベンダムスチン塩酸塩を用いて作製した錠剤の特性と比較する。
本発明の錠剤、すなわち50mgのベンダムスチン(ベンダムスチン塩酸塩として55mg)を含む錠剤の製造のために以下の糖類を用いた。
【0075】
表13.
【0076】
作られたバッチの品質を物理的外観の観察、同定試験(HPLC)、溶解試験、含量及び関連物質アッセイ(HPLC)、含量均一性試験(HPLC)、硬度試験及び含水量(Karl Fischer法)によって評価した。下表に詳細に示す貯蔵条件下で琥珀色ガラス瓶に詰め込まれる加速安定性研究にバッチを委ねた。それぞれ製造されたAPI含有バッチについていくつかの錠剤をバックアップサンプルとして5℃で貯蔵した。
以下、それらの製造プロセスに関して種々の賦形剤を調査した。これらの賦形剤を使用することによって、乾式造粒でいくつかのプラセボ製造試験を行なって、良い品質の錠剤を得るのに適した製造方法についての予備情報を得た。
2タイプの崩壊剤を使用した:標準的崩壊剤として微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)PH 112)を用い、バッチD001T/002だけ架橋ポリビニルピロリドン(Crospovidone(登録商標))を用いた。バッチD001T/002(充填剤:無水ラクトース)に対するCrospovidone(登録商標)の選択は、この製剤と実施例9の原型製剤の間の類似性に基づいた。プラセボ試験の乾式造粒製造プロセスによって作製した全てのバッチ用の、以下の工程に存する潤沢剤として、ステアリン酸マグネシウムを使用した:
1. 糖類及び部分量の潤沢剤(総量の83.3%
w/w)を正確に秤量してから2分間ポリエチレンバッグ内で混合した。
2. 得られた混合物を18mm径パンチを備えた錠剤機を用いて圧縮した。
3. 得られたスラグを850μmネットを用いて篩過した。
4. 顆粒を秤量し、2分間ポリエチレンバッグ内で崩壊剤及び残量の潤沢剤(16.7%
w/w)と混合してから10mm径パンチを用いて打錠した。
【0077】
表14及び表15は、各プラセボ製剤の組成並びに最終混合物と錠剤の両方について行なった分析試験の結果を要約する。
表16には、プラセボバッチの製造プロセス中及び/又はそれらの分析特徴づけ中に行なった観察を報告する。
プラセボバッチD001T/001-D001T/002-D001T/004-D001T/013-D001T/015について行なった分析的及び/又は物理的試験結果は、これらの製剤が乾式造粒で製造し、かつAPIを添加してさらに調査するのに適していることを示した。全ての他の製剤は固めるのが難しく、得られても非常に脆砕性の錠剤によって特徴づけられる。
バッチD001T/005(充填剤:β-シクロデキストリン)は、乾式製造プロセスにおける良い挙動、高い硬度、低い脆砕性、長い崩壊時間を示した。超崩壊剤(Crospovidone(登録商標))を利用し、かつAPIを添加することによって、この製剤をさらに検討した(下記パラグラフ参照)。
【0078】
表14. 乾式造粒−プラセボバッチの組成及び分析結果(バッチD001T/001〜D001T/010)。
【0079】
(表14続き)
【0080】
(表14続き)
N.A. = 混合物が打錠プロセスに適していないので該当データなし(表5aに報告された観察参照)
【0081】
表15. 乾式造粒−プラセボバッチの組成及び分析結果(バッチD001T/011〜001T/025)。
【0082】
(表15続き)
【0083】
(表15続き)
N/A = 混合物が打錠プロセスに適さないので該当データなし(表5aに報告された観察参照)
【0084】
表16:それぞれ製造されたプラセボバッチの製造プロセス、製品の技術的特性及び分析試験についての所見
【0085】
(表16続き)
【0086】
(1:5のベンダムスチン塩酸塩/糖類質量比で乾式造粒によって製造したバッチ)
活性医薬成分(API)を含む錠剤を乾式造粒で製造するのに適していると評価されたプラセボ製剤を修正してAPIを含め、2つのAPI/糖類質量比1:5及び1:2を探究した。
このパラグラフでは、1:5のAPI/糖類質量比の製剤について述べる。
2タイプの崩壊剤を使用した:標準的崩壊剤として微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)PH 112)を用い、バッチD001T/022だけ架橋ポリビニルピロリドン(Crospovidone)を使用した。作製した全てのバッチの潤沢剤としてステアリン酸マグネシウムを用いた。
API含有バッチの乾式造粒による製造プロセスは以下の工程に存した:
1. 糖類、部分量の潤沢剤(総量の83.3%
w/w)及びベンダムスチン塩酸塩を正確に秤量し、5分間二重ポリエチレンバッグ内で混合した。
2. 粉末ブレンドを18mm径パンチを備えた錠剤機を用いて圧縮した。
3. 顆粒を得るため、生成されたスラグを850μmネットを用いて篩過した。
4. 顆粒を秤量し、5分間二重ポリエチレンバッグ内で崩壊剤及び残量の潤沢剤(16.7%
w/w)と混合した。
5. 得られた混合物を10mm径パンチを用いて打錠した。
表17は、製造された各API含有製剤の組成及びAPI含有最終混合物について行なった分析試験の結果を要約し;表18は、得られた製品について行なった分析試験の結果を要約する。
【0087】
表17. 乾式造粒−API/糖類質量比1:5。API含有バッチ最終混合の組成及び分析結果
【0088】
表18. 乾式造粒−API//糖類質量比1:5。API含有バッチ錠剤の分析結果
【0089】
最終混合物と最終製品の両者について行なった分析試験の結果は、主に含量均一性及び純度についてほとんどの場合に良かった。全てのAPI含有バッチは、満足のいく質量均一性、API含量の均質性、及び低い不純物含量を示した。全ての製剤のこの不純物プロファイルは、APIの仕様に従ったので(表中の仕様限界参照)、製造プロセス中に分解は起こらない。
2種のAPI含有バッチは、APIアッセイで低い値を示した;この結果は、小さいバッチサイズのため並びに製造プロセス中の損失及び最終混合物についてのIPC用サンプルのためであろう。
【0090】
(1:2のAPI/糖類質量比で乾式造粒によって製造したAPI含有バッチ)
1:5のAPI/糖類質量比を有する錠剤を製造するために乾式造粒で以前に調査した全ての糖類を1:2の比でも評価した。
製造プロセスについては上記を参照されたい。この場合、得られた混合物を8mm径パンチを用いて打錠した。
2タイプの崩壊剤を使用した:標準的崩壊剤として微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)PH 112)を用い、バッチD001T/105だけ架橋ポリビニルピロリドン(Crospovidone(登録商標))を使用した。このバッチでは、我々はAvicel(登録商標)PH 112及びCrospovidone(登録商標)の使用を検討した。1:5のAPI/糖類(以前の結果参照)で乾式造粒によって製造した前記シクロデキストリンベース製剤に従ってCrospovidone(登録商標)を選択した。
表19及び表20は、1:2のAPI/糖類質量比で乾式造粒によって製造した各API含有製剤の組成及び最終混合物と錠剤の両方について行なった分析試験の結果を要約する。全てのAPI含有バッチは、適切な質量均一性、API含量の均質性及び低不純物含量を示した。脆砕性及び硬度値は、ほとんどの場合に仕様に従っている。バッチD001T/093、D001T/095及びD001T/096の場合、6錠剤について行なった溶解試験の結果は、RSDが高く、仕様値の範囲外を示したので試験を12錠剤のサンプルに拡張した。
シクロデキストリンベース錠剤は、両崩壊剤(Avicel(登録商標)PH 112及びCrospovidone(登録商標))で良い特性を示す。
【0091】
表19. 乾式造粒−API/糖類質量比1:2。API含有バッチ最終混合物組成及び分析結果。
【0092】
表20. 乾式造粒−API/糖類質量比1:2。API含有バッチ錠剤分析結果。
【0093】
(表20続き)
n.d. = 検出されず
【0094】
(1:5のAPI/糖類質量比で直接圧縮によって製造したAPI含有バッチ)
乾式造粒で製造するのに適した特徴を有する糖類を直接圧縮を利用して1:5のAPI/糖類比を有する錠剤を開発することをも検討した。
2タイプの崩壊剤を使用した:標準的崩壊剤として微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)PH 112)を用い、バッチD001T/029だけ架橋ポリビニルピロリドン(Crospovidone(登録商標))を使用した。
この製造プロセスは以下の工程から成った。
1. API及び賦形剤を秤量する工程。
2. 原材料を二重ポリエチレンバッグに移して均質粉末ブレンドが得られるまで約5分間混合する工程。
3. 粉末ブレンドを錠剤機のホッパーに移す工程。
4. 10mm径パンチを備えた偏心性錠剤機を用いた粉末ブレンドの圧縮。
直接圧縮によって製造したAPI含有バッチの特性を下表に示す。
【0095】
表21. 直接圧縮−API/糖類質量比1:5。API含有バッチ最終混合物組成及び分析結果。
得られた分析試験結果を表22に掲載する。
【0096】
表22. 直接圧縮−API/糖類質量比1:5。API含有バッチ錠剤分析結果。
【0097】
上表で報告したように、直接圧縮で製造したAPI含有錠剤は、不均質なAPI含量と脆砕性のわずかな増加を示したバッチD001T/030(充填剤:ショ糖97%+マルトデキストリン3%)を除き、乾式造粒で作製した錠剤との重大な意味を持つ差異を示さなかった。
【0098】
湿式造粒:
(プラセボ探索的試験)
本プロジェクトの第一及び第二部で得られた結果に基づいて、乾式造粒又は直接圧縮に適さない糖類を湿式造粒によって調査した。
湿式造粒技術を調査するための本アプローチを以下に示す。
図2のフローシートに示す工程に従って各糖類を造粒した。各工程の最後に湿式造粒糖類を乾燥させ、圧縮試験を行なって該顆粒が打錠に適しているか評価した。圧縮試験の結果が疑わしい造粒糖類についてのみプラセボバッチを製造した。プラセボ試験の組成及び関連分析結果を表23で報告する。
以下の工程に従ってプラセボバッチを製造した。
1. 流動床又は高せん断造粒機を用いた水又はソルビトール溶液との糖類の湿式造粒(上記湿式造粒試験のフローシート、及び表23参照)。
2. 流動床造粒機又はオーブン内での湿式造粒糖類の乾燥工程。
3. 850及び710μmネットを用いて造粒糖類を篩過する工程。
4. 製剤の全成分の秤量及びポリエチレンバッグ内で2分間混合する工程。
5. 10mm径パンチを備えた偏心性錠剤機を用いた粉末ブレンドの圧縮。
作製した全てのバッチでは、Avicel PH 112及びステアリン酸マグネシウムをそれぞれ崩壊剤及び潤沢剤として使用した。
【0099】
表23. 湿式造粒。プラセボバッチ組成及びIPC結果。
【0100】
(表23続き)
【0101】
(表23続き)
【0102】
(表23続き)
【0103】
(1:5のAPI/糖類質量比で湿式造粒によって製造したAPI含有バッチ)
乾式造粒又は直接圧縮技術による錠剤製造に適さないことが分かった全ての糖類について湿式造粒プロセスを含む製造試験を行なった。
実験室規模で行なったこれらの試験の製造プロセスは以下のように要約される。
1. 流動床又は高せん断造粒機を用いた水又はソルビトール溶液との糖類の湿式造粒(湿式造粒製造試験の上記フローシート、及び表24参照)。
2. 流動床造粒機又はオーブン内での湿式造粒糖類の乾燥工程。
3. 850及び710μmネットを用いた篩過工程。
4. APIと賦形剤の秤量及びポリエチレンバッグ内で2分間混合する工程。
5. 10mm径パンチを備えた偏心性錠剤機を用いた粉末ブレンドの圧縮。
作製した全てのバッチでは、Avicel PH 112及びステアリン酸マグネシウムをそれぞれ崩壊剤及び潤沢剤として使用した。
【0104】
表24及び表25は、湿式造粒で製造した各API含有製剤の組成及び最終混合物と錠剤の両者について行なった分析試験の結果を掲載する。
最終混合物及び最終製品について行なった分析試験の結果は、ほとんどの場合、仕様に従う。製造プロセス中に分解は起こらない。
調査した糖類のうち、Fructose MS(Galam)だけが湿式造粒による加工に適さず:API含有バッチD001T/047は高い脆砕性を有し、バッチD001T/082は仕様の範囲外の脆砕性と硬度を示す。
バッチD001T/060、D001T/061、D001T/082、D001T/086はAPIアッセイで低い値を示し、バッチD001T/082及びD001T/086では、850μm及び710μmネットを用いて顆粒が篩過されたが、含量の均一性が従わない。この結果はおそらく不十分な粉末の混合のためであろう。
【0105】
表24. 湿式造粒−API/糖類質量比1:5。API含有バッチ最終混合物組成及び分析結果
【0106】
(表24続き)
【0107】
(表24続き)
【0108】
(表24続き)
(
*) 好ましくはバッチは過剰のA.P.I(5.9%)を含む;(
**) これらの糖類は空気流で流動化されないので、流動床を用いた糖類溶液による造粒工程を調査できなかった;(
***) 最終混合物は打錠に適さない
【0109】
表25. 湿式造粒−API/糖類質量比1:5。API含有バッチ錠剤分析結果。
【0110】
(表25続き)
【0111】
(表25続き)
【0112】
(表25続き)
【0113】
(1:2のAPI/糖類質量比で湿式造粒によって製造したAPI含有バッチ)
1:5のAPI/糖類質量比の錠剤を製造するために湿式造粒で以前に調査した全ての糖類を1:2の比についても評価した。
フルクトースは得られた顆粒が打錠に適さないので、1:2の比では評価しなかった。
作製した全てのバッチでは、Avicel PH 112及びステアリン酸マグネシウムをそれぞれ崩壊剤及び潤沢剤として使用した。
API含量の均一性を改善するため、以下のアプローチを適用してこれらのAPI含有バッチを製造した。
1. 以前に最適化した手順を用いて糖類の湿式造粒
2. API含有混合物の調製
3. 混合物の乾式造粒(スラグ製造→スラグ篩過)
4. 得られた混合物を8mm径パンチを用いて打錠。
工程3(混合物の乾式造粒)については上記を参照されたい。
表26及び表27は、1:2のAPI/糖類質量比で湿式造粒した糖類を用いて製造したAPI含有バッチの組成及び分析結果を報告する。脆砕性は、ほとんどの場合、仕様の範囲外である。API/糖類の質量変化は、D001T/084バッチ(充填剤;顆粒化マンニトール)の技術的特性に影響を及ぼさない。
【0114】
表26. 湿式造粒−A.P.I./糖類質量比1:2。API含有バッチ最終混合物組成及び分析結果。
【0115】
(表26続き)
【0116】
(表26続き)
(*) 以前の製剤(API/糖類質量比1:5)を開発するために用いたラクチトールはもはや商業的に入手できないので、新しい製造業者によって購入したラクチトールを用いてこのバッチを製造した(DaniscoによるLactitol)。
【0117】
表27. 湿式造粒−A.P.I./糖類質量比1:2。API含有バッチ錠剤分析結果。
【0118】
(表27続き)
【0119】
(表27続き)
【0120】
(API/マンニトール質量比の影響)
マンニトールベース錠剤を製造して以下のAPI/マンニトール比(1:0.01、1:0.1、1:0.5、1:1.7、1:4、1:5、1:6及び1:10)を調査した。1:5のAPI/マンニトール質量比を有する製剤(標準的製剤)については上述した。
これらのバッチの製造では、Avicel PH 112及びステアリン酸マグネシウムをそれぞれ崩壊剤及び潤沢剤として使用した。製造プロセスに関し、1:1.7、1:4、及び1:6比では、湿式造粒したマンニトール、ベンダムスチン塩酸塩及び賦形剤を正確に秤量し、二重ポリエチレンバッグ内で5分間混合した。バッチD001T/110(1:10比)では、前混合を行なった。この場合、ベンダムスチン塩酸塩を5分間、半量の賦形剤混合物と混合した。次に、得られた混合物を残存量の賦形剤に加えてさらに5分間混合した。最終混合物を適切なパンチ(1:1、1:1.7及び1:2比には8mm径、1:4及び1:6比の場合は10mm、1:7比には12mm、1:10比には14mm)を備えた錠剤機を用いて打錠した。
1:0.01、1:0.1、1:0.5比については、我々は上述した製造プロセス(糖類の湿式造粒後に乾式造粒)を適用して、API含量の均一性を改善した。得られた混合物を6mm径パンチで打錠した。
下表(表28及び表29)は、異なるAPI/マンニトール比の影響を研究するために製造したAPI含有製剤の組成及び分析結果を要約する。バッチD001T/111、D001T/083及びD001T/106は高い脆砕性を示し、バッチD001T/106、D001T/108及びD001T/109では、含量の均一性が以前に得られたデータの傾向から逸脱して従わなかった。この結果は、これらのバッチが異なる物理的性質を有し得る新しいロット(ロット番号:F08-05873)のベンダムスチンHClを用いて作製したという事実のためであろう。
【0121】
表28. A.P.I./マンニトール質量比。API含有バッチ最終混合物組成
【0122】
(表28続き)
【0123】
(表28続き)
(
*) 上記実験アプローチを用いて製造したバッチ
□ 標準製剤1:5API/糖類質量比
【0124】
表29. A.P.I./マンニトール質量比の研究。API含有バッチ錠剤分析結果。
【0125】
(表29続き)
【0126】
(表29続き)
□ 標準製剤1:5のAPI/糖類質量比
【0127】
(糖類の組合せの研究)
表30及び表31は、糖類の組合せの研究に関する結果を報告する。
以下の組合せを調査した。
−単糖/二糖1:1
(*)マンニトール(Pearlitol 200 SD)/ラクトース無水物(SuperTab 21 AN)
ソルビトール(Neosorb P60W)/マルトース(Sunmalt S)
−オリゴ糖/単糖1:1
(*)D-メレジトース一水和物/
(*)ブドウ糖無水物ST 0.5
(*)ラフィノース五水和物(顆粒化)/
(*)マンニトール(顆粒化)(Pearlitol 200 SD)
−オリゴ糖/二糖1:1
(*)ラフィノース五水和物(顆粒化)/ラクトース一水和物(Supertab 14SD)
β-シクロデキストリン(Kleptose DC)/ショ糖(EV Saccharide)
(
*)これらの糖類は湿式造粒で顆粒化された(32ページ参照)。
製造プロセスは、未加工又は顆粒化糖類の直接圧縮に存した。
Avicel PH 112及びステアリン酸マグネシウムをそれぞれ崩壊剤及び潤沢剤として用いて、以下の工程を実施してこれらのバッチを製造した。
1. 糖類(又は顆粒化糖類)、ベンダムスチン塩酸塩及び賦形剤を正確に秤量し、二重ポリエチレンバッグ内で5分間混合した。
2. 得られた混合物を10mm径パンチを用いて打錠した。
【0128】
表30. 糖類の組合せの研究。API含有バッチ最終混合物組成及び分析結果。
【0129】
表31. 糖類の組合せの研究。API含有バッチ錠剤分析結果。
【0130】
(表31続き)
【0131】
一般に、糖類の組合せの研究用に製造した錠剤は良い特性を示す。しかしながら、バッチD001T/102(ラフィノース五水和物/マンニトール(Pearlitol 200 SD))は高い脆砕性を示し、バッチD001T/100及びD001T/049はAPI含量の不均質性を示す。
【0132】
実施例14. 凍結乾燥ベンダムスチンHCl(Ribomustin)及びベンダムスチンHCl/マンニトール錠剤(Api/糖類質量比1:1.2)
静脈内適用のための市販製品(Ribomustin(登録商標))から得た凍結乾燥材料を使用するか又は湿式造粒したマンニトールとベンダムスチンHClを使用して、1:1.2の質量比でベンダムスチン塩酸塩/マンニトールを含む錠剤を調製した。
以下の実験操作に従って製造プロセスを行なった:Ribomustin(登録商標)バイアルから凍結乾燥粉末を取り出し、850μmネットを用いて篩過した。得られた粉末と潤沢剤(ステアリン酸マグネシウム)を正確に秤量し、ポリエチレンバッグ内で5分間混合した。混合物をゆっくり錠剤機のプレスチャンバーに移し、8mm径パンチを用いて手動でプレスして小スラグを得た。850μmネットを用いてスラグを篩過し、得られた顆粒を8mm径パンチを用いて手動でプレスした。
この実施例では、上述したのと同じ操作手順を施してベンダムスチン HCl/マンニトール錠剤を製造した。
製剤の組成を表32に示す。
【0133】
表32. Ribomustin及びベンダムスチン/マンニトール錠剤。API含有バッチ最終混合物組成
(
*) 45.16%のベンダムスチンHCl及び54.20%のマンニトールに相当する
【0134】
表33は、凍結乾燥ベンダムスチン塩酸塩/マンニトール混合物及び非凍結乾燥ベンダムスチン塩酸塩/マンニトール混合物を用いて得た錠剤間の比較に関するデータを報告する。
【0135】
表33. Ribomustin及びベンダムスチン/マンニトール錠剤。API含有バッチ錠剤分析結果
【0136】
参考目標としてベンダムスチン塩酸塩APIの不純物プロファイルを例として挙げると(表中の仕様限界参照)、バッチD001T/125は、HP1不純物について仕様範囲外の値を示した。溶解試験の結果は、10分後には凍結乾燥ベンダムスチン塩酸塩/マンニトール混合物を含む錠剤の溶解プロファイルの方が速いが、30分後には両製剤で溶解が現仕様に従うことを明らかにしている。脆砕性は、バッチD001T/126では仕様の範囲外であり、バッチD001T/125については原料の十分な量を欠いたため試験を行なわなかった。
【0137】
(産業上の利用可能性)
本発明の組成物は多くの利点を示す。管理医療スタッフの補助なしで患者が容易に本組成物を使用することができる。従って、時間のかかる通院は時代遅れになり、それによって患者のコンプライアンスを向上させ得る。
剤形が固体なので、そのまま嚥下することができ、活性成分の溶解が達成されるまで患者が待つ必要がないことを意味する。さらに本剤形の良い安定性のため、室温で、かつ如何なる特殊な貯蔵条件をも必要とせずに本組成物を容易に貯蔵することができる。
本発明の剤形を利用することによって、剤形の体積のかなりの減少を果たすことができる。サイズの減少は、製造及び取扱いの観点からも患者のコンプライアンスの観点からも望ましい。
医薬組成物はin vitroで高い溶解を示し、in vivoでのベンダムスチンの分解を減少させ、それによってin vivoでのベンダムスチンのバイオアベイラビリティーを改善することになる。
本発明の好ましい態様は、下記の通りである。
1.経口投与に適した固体剤形の医薬組成物であって、活性成分としてのベンダムスチン又はその医薬的に許容できるエステル、塩若しくは溶媒和物と、1種以上の単糖、二糖、オリゴ糖、環状オリゴ糖、多糖及び糖アルコールから成る群より選択される医薬的に許容できる糖類である少なくとも1種の医薬的に許容できる賦形剤とを含み、前記活性成分と前記糖類賦形剤の質量比が1:1〜5の範囲内である、医薬組成物。
2.前記活性成分と前記糖類の質量比が1:2〜5である、前記1に記載の医薬組成物。
3.錠剤、顆粒剤、又は丸剤の形態である、前記1又は2に記載の医薬組成物。
4.前記錠剤若しくは錠剤顆粒剤、顆粒剤又は丸剤がコーティングを備えている、前記1〜3のいずれか1つに記載の医薬組成物。
5.前記活性成分がベンダムスチン塩酸塩である、前記1〜4のいずれか1つに記載の医薬組成物。
6.10〜1000mgの前記活性成分と、30〜5000mgの前記糖類賦形剤とを含む、前記1〜5のいずれか1つに記載の医薬組成物。
7.前記糖類賦形剤が、マンニトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、ラクトース、ショ糖、グルコース、ソルビトール、マルトース、トレハロース、ラクチトール、ブドウ糖及びフルクトースから選択される、前記1〜6のいずれか1つに記載の医薬組成物。
8.前記糖類賦形剤が、ブドウ糖無水物、ブドウ糖一水和物、ラクチトール一水和物、トレハロース、ソルビトール、エリスリトール、マルトース一水和物、マンニトール、ラクトース無水物、ラクトース一水和物、マルチトール、キシリトール、ショ糖、ショ糖 97%+マルトデキストリン3%、β-シクロデキストリン、D-ラフィノース五水和物、D-メレジトース一水和物及び微結晶性セルロースから選択される、前記1〜6のいずれか1つに記載の医薬組成物。
9.医薬的に許容できる潤沢剤、充填剤及び/又は崩壊剤をさらに含む、前記1〜8のいずれか1つに記載の医薬組成物。
10.前記医薬組成物が、欧州薬局方に準拠して50rpmでパドル装置を用いて500mlの溶解媒体中1.5のpHで測定した場合、10分で少なくとも60%、20分で70%及び30分で80%のベンダムスチンの溶解を示す、前記1に記載の医薬組成物。
11.慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、乳癌、卵巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、及び自己免疫疾患から選択される医学的状態の治療用の、前記1〜10のいずれか1つに記載の医薬組成物。
12.前記医薬組成物が少なくとも1種のさらなる活性薬と併用投与されるものであり、前記さらなる活性薬が、前記医薬組成物の投与前、投与と同時、又は投与後に与えられる、前記1〜11のいずれか1つに記載の医薬組成物。
13.前記さらなる活性薬が、CD20に特異的な抗体、アントラサイクリン誘導体、ビンカアルカロイド又はプラチン誘導体である、前記12に記載の医薬組成物。
14.前記CD20に特異的な抗体がリツキシマブであり、前記アントラサイクリン誘導体がドキソルビシン又はダウノルビシンであり、前記ビンカアルカロイドがビンクリスチンであり、かつ前記プラチン誘導体がシスプラチン又はカルボプラチンである、前記13に記載の医薬組成物。
15.前記医薬組成物が少なくとも1種のコルチコステロイドと併用投与されるものであり、前記コルチコステロイドが前記医薬組成物の投与前、投与と同時、又は投与後に与えられる、前記1〜14のいずれか1つに記載の医薬組成物。
16.前記コルチコステロイドがプレドニゾン又はプレドニゾロンである、前記15に記載の医薬組成物。