(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
(ヘアコンディショナー組成物)
本発明のヘアコンディショナー組成物は、(A)カチオン性界面活性剤、(B)高級アルコール、(C)多価アルコール、(D)ピリチオン亜鉛、及び(E)アミノ変性シリコーンを含有してなり、(F)ジメチルシリコーンを含有することが好ましく、更に必要に応じて、その他成分を含有してなる。
【0014】
<(A)カチオン性界面活性剤>
前記(A)成分のカチオン性界面活性剤は、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さ、高温高湿度の環境下での毛髪のなめらかさ、及びヘアコンディショナー組成物の保存安定性を向上させるために含有されている。
前記(A)成分のカチオン性界面活性剤としては、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物から選択される少なくとも1種が用いられる。
【0015】
<一般式(1)>
【化2】
ただし、前記一般式(1)中、R
1は、アルキル基を示し、X
−は、ハロゲンイオンを表す。
【0016】
<一般式(2)>
【化2】
ただし、前記一般式(2)中、R
2は、炭素数11〜27の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、及びアルケニル基のいずれかを表す。R
3は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。kは、2〜4の整数を表す。
【0017】
前記一般式(1)におけるR
1は、炭素数12〜28の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、炭素数は16〜24がより好ましく、18〜22が更に好ましい。これらの中でも、直鎖のアルキル基が特に好ましい。
前記一般式(1)におけるX
−は、ハロゲンイオンを表し、例えば、塩素イオン、フッ素イオン、臭素イオンなどが挙げられる。
【0018】
前記一般式(1)で表されるカチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さ、及び保存安定性の点から、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムが好ましい。
前記塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムの市販品としては、例えば、GENAMIN KDMP(BASF社製)などが挙げられる。
前記塩化ステアリルトリメチルアンモニウムの市販品としては、例えば、アーカードT800(ライオンアクゾ株式会社製)などが挙げられる。
【0019】
前記一般式(2)におけるR
2は、炭素数11〜27の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、及びアルケニル基のいずれかを示し、炭素数は15〜23が好ましく、炭素数21がより好ましい。
前記一般式(2)におけるR
3は、炭素数1〜4のアルキル基であり、メチル基、エチル基などが好ましい。
【0020】
前記一般式(2)で表されるアミドアミン型界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ヤシ油脂肪酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さ、及び保存安定性の点から、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミドが好ましい。
前記ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドの市販品としては、例えば、カチナールMPAS(東邦化学株式会社製)などが挙げられる。
前記ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミドの市販品としては、例えば、カチナールAEAS(東邦化学株式会社製)などが挙げられる。
【0021】
前記(A)成分のカチオン性界面活性剤としては、高温高湿環境下における毛髪の軽さ、及び保存安定性の点から、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが特に好ましい。
【0022】
前記(A)成分のカチオン性界面活性剤の含有量は、ヘアコンディショナー組成物全量に対して、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さ、高温高湿度の環境下での毛髪のなめらかさ、及び保存安定性の点から、0.5質量%〜10質量%が好ましく、1質量%〜5質量%がより好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さ、高温高湿度の環境下での毛髪のなめらかさ、及び保存安定性が得られないことがあり、10質量%を超えると、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さに悪影響を及ぼすことがある。
【0023】
<(B)高級アルコール>
前記(B)成分の高級アルコールは、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さ、高温高湿度の環境下での毛髪のなめらかさ、及びヘアコンディショナー組成物の保存安定性を向上させるために含有されている。
前記(B)成分の高級アルコールは、直鎖で炭素数が16〜22の高級アルコールであり、下記一般式(3)で表される。
R
4−OH ・・・ 一般式(3)
ただし、前記一般式(3)中、R
4は、直鎖で炭素数が16〜22のアルキル基を表す。
前記R
4の炭素数が、16未満及び22を超えると、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さ、及び保存安定性が得られないことがある。また、R
4が分岐状であると、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さ、及び保存安定性が得られないことがある。
【0024】
前記(B)成分の高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さ、及び保存安定性の点から、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコールが好ましい。
前記(B)成分の高級アルコールとしては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、セチルアルコール(ラネッテ16)、セトステアリルアルコール(ラネッテ20)、ステアリルアルコール(ラネッテ18)、ベヘニルアルコール(ラネッテ22)(いずれも、BASF社製)などが挙げられる。
前記(B)成分の高級アルコールの含有量は、ヘアコンディショナー組成物全量に対して、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さ、高温高湿度の環境下での毛髪のなめらかさ、及び保存安定性の点から、0.5質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さ、高温高湿度の環境下での毛髪のなめらかさ、及び保存安定性が得られないことがあり、20質量%を超えると、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さに悪影響を及ぼすことがある。
【0025】
<質量比(A/B)>
前記(A)成分の含有量と前記(B)成分の含有量との質量比(A/B)は、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さ、高温高湿度の環境下での毛髪のなめらかさ、及び保存安定性の点から、0.2〜2が好ましい。前記質量比(A/B)が、0.2未満であると、高温高湿度の環境下での毛髪のなめらかさに悪影響を及ぼしたり、保存安定性が得られないことがあり、2を超えると、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さに悪影響を及ぼしたり、保存安定性が得られないことがある。
【0026】
<(C)多価アルコール>
前記(C)成分の多価アルコールは、ピリチオン亜鉛の皮膚残留性を高め、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さ、及びヘアコンディショナー組成物の保存安定性を向上させるために含有される。
前記(C)成分の多価アルコールとしては、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコールが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ピリチオン亜鉛の皮膚残留性、及び高温高湿度の環境下での毛髪の軽さの点から、ソルビトールが好ましい。
前記(C)成分の多価アルコールの含有量は、ピリチオン亜鉛の皮膚残留性、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さ、及び保存安定性の点から、ヘアコンディショナー組成物全量に対して、10質量%〜50質量%であり、12質量%〜30質量%が好ましい。前記含有量が、10質量%未満であると、ピリチオン亜鉛の皮膚残留性、保存安定性が得られないことがあり、50質量%を超えると、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さに悪影響を及ぼすことがある。
【0027】
<(D)ピリチオン亜鉛>
前記(D)成分のピリチオン亜鉛は、フケ防止効果の向上、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さ、及び高温高湿度の環境下での毛髪のなめらかさを付与するために含有される。
前記ピリチオン亜鉛は、ピリジン−2−チオール−N−オキサイド亜鉛、又はビス[1−ヒドロキシ−2(H)−ピリジンチオネート]亜鉛と称されることもある。
前記(D)成分のピリチオン亜鉛の含有量は、ヘアコンディショナー組成物全量に対して、フケ防止効果、高温高湿度の環境下での毛髪のなめらかさ、及び高温高湿度の環境下での毛髪の軽さの点から、0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.25質量%〜2質量%がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、フケ防止効果、及び高温高湿度の環境下での毛髪の軽さが劣ることがあり、5質量%を超えると、高温高湿度の環境下での毛髪のなめらかさが劣ることがある。
【0028】
<質量比(D/C)>
前記(D)成分の含有量と前記(C)成分の含有量との質量比(D/C)は、ピリチオン亜鉛の皮膚残留性、高温高湿度の環境下での毛髪のなめらかさ、及び保存安定性の点から、0.006〜0.4であり、0.008〜0.2が好ましい。前記質量比(D/C)が、0.006未満であると、ピリチオン亜鉛の皮膚残留性、及び保存安定性が得られないことがあり、0.4を超えると、高温高湿度の環境下での毛髪のなめらかさ、ピリチオン亜鉛の皮膚残留性、及び保存安定性が低下することがある。
【0029】
<(E)アミノ変性シリコーン>
前記(E)成分のアミノ変性シリコーンは、高温高湿度の環境下での毛髪のなめらかさ、及び高温高湿度の環境下での毛髪の軽さを付与するために含有される。
前記(E)成分のアミノ変性シリコーンは、1分子中に少なくとも1個のアミノアルキル基を有するオルガノシロキサンの重合体である。
前記アミノ変性シリコーン重合体を形成するオルガノシロキサン中には、アミノアルキル基以外の官能基としてメチル基を含むものが一般に用いられる。また、エチル基、プロピル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基なども含むことができる。
前記(E)成分のアミノ変性シリコーンは、乳化剤で予めエマルション化したものでもよい。前記(E)成分のアミノ変性シリコーンをエマルション化する際の乳化剤や乳化方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0030】
前記アミノ変性シリコーンとしては、例えば、下記一般式(4)で表されるジメチルシロキサン・メチルアミノプロピルシロキサン(アミノプロピルジメチコン)、下記一般式(5)で表されるアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アモジメチコンの名称で、CTFA辞典(米国Cosmetic Ingredient Dictionary)第3版中に記載)、下記一般式(6)で表されるアミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(トリメチルシリルアモジメチコン)、又はこれらにメチルポリシロキサン及び水の少なくともいずれかを加え、非イオン性界面活性剤で乳化したアミノ変性シリコーンエマルションなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
<一般式(4)>
【化3】
ただし、前記一般式(4)中、m及びnは、それぞれ独立した整数であり、mは1〜20,000、nは1〜20,000を表す。
【0032】
<一般式(5)>
【化4】
ただし、前記一般式(5)中、m及びnは、それぞれ独立した整数であり、mは1〜20,000、nは1〜20,000を表す。a及びbは、それぞれ独立した整数であり、aは1〜10、bは1〜10を表す。
【0033】
<一般式(6)>
【化5】
ただし、前記一般式(6)中、m及びnは、それぞれ独立した整数であり、mは1〜20,000、nは1〜20,000を表す。a及びbは、それぞれ独立した整数であり、aは1〜10、bは1〜10を表す。
【0034】
前記一般式(4)で表されるジメチルシロキサン・メチルアミノプロピルシロキサン共重合体(アミノプロピルジメチコン)としては、例えば、KF−8020、X−52−2362(いずれも信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
前記一般式(5)で表されるアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アモジメチコンの名称でCTFA辞典(米国Cosmetic Ingredient Dictionary)第3版中に記載)としては、例えば、SM−8904C(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、XF42−B892、XF42−C0330、XS65−C0032、XS65−C0726、SILSOFT 200 EF(いずれもモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
前記一般式(6)で表されるアミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(トリメチルシリルアモジメチコン)としては、例えば、FZ−4671、FZ−4672、BY22−079、SF8452C、SS−3551(いずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、KF−8004、KF−8015、KF−867S(いずれも信越化学工業株式会社製)、ADM1650、ADM−8101E、ADM−6057E(いずれも旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)、KS65−B4280、XS65−C1539、XS65−6413、XS65−B8124、KF42B1989(いずれもモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、高温高湿度の環境下での毛髪のなめらかさ、及び高温高湿度の環境下での毛髪の軽さの点から、前記一般式(4)で表わされるジメチルシロキサン・メチルアミノプロピルシロキサン共重合体に相当するKF−8020、X−52−2362、前記一般式(5)で表されるアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体のエマルションに相当するSM−8904C、前記一般式(6)で表されるアミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体のエマルションに相当するFZ−4671、FZ−4672が好ましい。
【0037】
前記(E)成分のアミノ変性シリコーンの含有量は、ヘアコンディショナー組成物全量に対して、高温高湿度の環境下での毛髪のなめらかさ、及び高温高湿度の環境下での毛髪の軽さの点から、0.05質量%〜10%質量が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましい。前記含有量が、0.05質量%未満であると、高温高湿度の環境下での毛髪のなめらかさの向上効果が十分に得られないことがあり、10質量%を超えると、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さに悪影響を及ぼすことがある。
【0038】
<(F)ジメチルシリコーン>
前記(F)成分のジメチルシリコーンは、高温高湿度の環境下での毛髪のなめらかさ、及び高温高湿度の環境下での毛髪の軽さを付与するために含有される。
前記(F)成分のジメチルシリコーンの25℃における動粘度は、400万mm
2/s以上が好ましい。
前記ジメチルシリコーンの25℃における動粘度は、例えば、下記に示す方法により測定することができる。
まず、1g/100mL濃度のジメチルシリコーンのトルエン溶液を調製し、下記式(7)により、比粘度ηsp(25℃)を求める。次に、下記式(8)に示すHugginsの関係式に代入し、固有粘度〔η〕を求める。Huggins定数は中牟田、日化、77 588[1956]に記載のものを用いる。次に、固有粘度〔η〕を下記式(9)に示すA.Kolorlovの式に代入し、分子量Mを求める。
最後に、分子量Mを下記式(10)に示すA.J.Barryの式に代入し、ジメチルシリコーンの動粘度ηを求めることができる。
ηsp=(η/η
0)−1・・・式(7)
ηsp=〔η〕+K’〔η〕
2・・・式(8)
〔η〕=0.215×10
−4M
0.65・・・式(9)
logη=1.00+0.0123M
0.5・・・式(10)
前記式(7)中、η
0はトルエンの粘度を表し、ηは溶液の粘度を示す。
前記η
0及び前記ηは、化粧品原料基準一般試験法粘度測定法第1法に準拠して測定したものである。
【0039】
前記(F)成分のジメチルシリコーンとしては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製の「SH200 Fluid 1,000,000CS(25℃における動粘度が1000万mm
2/s)」、信越化学工業株式会社製の「X−21−5615(1000万mm
2/s/400万mm
2/s/1000mm
2/s=15/15/70)」、又はこれらにジメチルシリコーン及び水の少なくともいずれかを加え、非イオン性界面活性剤で乳化したジメチルシリコーンエマルションなどが挙げられる。前記ジメチルシリコーンエマルションとしては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製の「BY22−083(25℃における動粘度が1000万mm
2/s)」などが挙げられる。
【0040】
前記(F)成分のジメチルシリコーンの含有量は、ヘアコンディショナー組成物全量に対して、高温高湿度の環境下での毛髪のなめらかさ、及び高温高湿度の環境下での毛髪の軽さの点から、0.05質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜2質量%がより好ましい。前記含有量が、0.05質量%未満であると、高温高湿度の環境下での毛髪のなめらかさが劣ることがあり、5質量%を超えると、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さに悪影響を及ぼすことがある。
【0041】
<その他の成分>
本発明のヘアコンディショナー組成物には、前記(A)〜前記(F)成分以外にも剤型に応じて、通常ヘアコンディショナー組成物に含有されるその他の成分を添加することができる。
前記その他の成分としては、例えば、炭化水素油、エステル油、ワックス類、前記(B)成分以外の高級アルコール、前記(E)成分及び前記(F)成分以外のシリコーン油、(A)成分以外のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、半極性界面活性剤、紫外線吸収剤、水溶性高分子、増粘剤、前記(C)成分以外の多価アルコール、有機塩類、糖類、低級アルコール等の水性成分、前記(D)成分以外のフケ防止剤、グリチルリチン酸ジカリウム等の抗炎症剤、パラベン類、ケーソンCG等の防腐剤、エチレングリコールジ脂肪酸エステル等のパール化剤、乳濁剤、清涼剤、美容成分、粉体、ビタミン類、色素、香料などが挙げられる。
なお、前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、本発明の効果を妨げない範囲で目的に応じて適宜選択することができる。
【0042】
<ヘアコンディショナー組成物の製造方法>
本発明のヘアコンディショナー組成物は、例えば、まず、前記(A)カチオン性界面活性剤、前記(B)高級アルコール、前記(E)アミノ変性シリコーン、必要に応じて前記(F) ジメチルシリコーン、及び非水溶性の前記その他の成分を70℃〜80℃に加温溶解し、油相を調製する。
次に、前記油相に、予め70℃に加温した精製水を加えてホモミキサーで乳化する。これを30℃〜40℃まで冷却し、予め精製水に溶解しておいた前記(C)多価アルコール、前記(D)ピリチオン亜鉛、及び水溶性の前記その他の成分を加え、ホモミキサーで撹拌混合することにより製造することができる。
【0043】
<pH>
本発明のヘアコンディショナー組成物のpHは、pH調整剤によって、pH2〜8に調整されることが好ましく、3〜7がより好ましい。前記pHは、例えば、pHメータ(HM−30R、東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて、25℃で測定することができる。
前記pH調整剤としては、例えば、塩酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸等の有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノルールアミン等の各種アミン類、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリム等のリン酸塩、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等の有機塩類、グリコール酸アンモニウムなどが挙げられる。
前記pH調整剤の含有量は、特に制限はなく、設定pHに応じて適宜選択することができる。
【0044】
<粘度>
本発明のヘアコンディショナー組成物の粘度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃で、1Pa・s〜20Pa・sが好ましい。
前記粘度は、例えば、粘度計(BM型粘度計、TOKIMEC社製)を用い、No.4ローターにて、30rpm、20秒間後、25℃の条件で測定することができる。
【0045】
<容器>
前記ヘアコンディショナー組成物は、容器に充填して用いることができる。前記容器としては、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートチューブ、EVALチューブ、アルミニウムチューブ、ガラス蒸着プラスチックチューブ等のチューブ、機械的又は差圧によるディスペンサー容器、スクイーズ容器、ラミネートフィルム容器、スポイト容器、ボトル容器、ポンプ式容器などが挙げられる。
前記ラミネートフィルムの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、二軸延伸ポリプロピレン、無延伸ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂、紙、アルミニウム蒸着プラスチック等が挙げられる。また、前記ラミネートフィルムの構造としては、通常2層以上の多層を有しており、強度、柔軟性、耐候性等を考慮し、一般的には2層〜5層が好ましい。
前記ボトルの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−ビニルアルコール樹脂、アクリロニトリル・スチレン樹脂、ABS樹脂、ポリアミド等の樹脂及びガラスから適宜選択される。また、前記容器の構造としては、単層又は2層以上の層構造とすることが好ましい。
【0046】
<用途>
本発明のヘアコンディショナー組成物は、良好な保存安定性を示し、高温高湿度の環境下での毛髪の軽さと、高温高湿環境下での毛髪のなめらかさとを兼ね備え、ピリチオン亜鉛の皮膚残留性が高まり、優れたフケ防止効果を有するので、例えば、洗い流すタイプのフケ防止用ヘアリンス、フケ防止用ヘアコンディショナー、フケ防止用ヘアトリートメントなどが好ましい。
【実施例】
【0047】
以下に本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、各成分の含有量は、純分換算値を示す。
【0048】
(実施例1〜51及び比較例1〜15)
下記表1〜表12に示す組成に従って、常法により、フケ防止用ヘアコンディショナー組成物を調製した。即ち、まず、(A)カチオン性界面活性剤、(B)高級アルコール、(E)アミノ変性シリコーン、必要に応じて、(F)ジメチルシリコーン、及び非水溶性の共通成分を70℃〜80℃に加温溶解し、油相を調製した。
次に、前記油相に、予め70℃〜80℃に加温した精製水を加えてホモミキサーで乳化した。これを30℃〜40℃まで冷却し、予め精製水に溶解しておいた(C)多価アルコール、(D)ピリチオン亜鉛、及び水溶性の共通成分を前記乳化物に加え、ホモミキサーで撹拌混合し、グリコール酸及びグリコール酸アンモニウムで、25℃のpHを3.5に調整し、実施例1〜51及び比較例1〜15のフケ防止用ヘアコンディショナー組成物を調製した。ただし、(E)成分及び(F)成分がエマルションの場合には、70℃〜80℃ではなく、30℃〜40℃に冷却した後に加えた。
なお、実施例1〜51及び比較例1〜15における25℃での粘度(25℃)は2Pa・s〜18Pa・sであった。
【0049】
次に、得られた実施例1〜51及び比較例1〜15のフケ防止用ヘアコンディショナー組成物について、以下のようにして、高温高湿度の環境下での「毛髪の軽さ」、高温高湿度の環境下での「毛髪のなめらかさ」、「フケ防止効果」、「ピリチオン亜鉛の皮膚残留性」、及び「保存安定性」を評価した。結果を表1〜表12に示した。
【0050】
<「毛髪の軽さ」及び「毛髪のなめらかさ」>
25才〜40才の20名の女性専門パネルにより、以下のようにして、「毛髪の軽さ」及び「毛髪のなめらかさ」を評価した。
20名の女性専門パネルの毛髪を40℃の温水で十分に濡らし、ライオン株式会社製のシャンプー「植物物語」6gを塗布し、洗髪後、40℃の温水で前記シャンプーを洗い流した。
その後、調製した各フケ防止用ヘアコンディショナー組成物6gを、前記女性専門パネルの毛髪に塗布した後、1分間静置し、40℃の温水で前記ヘアコンディショナー組成物を洗い流した。その後、軽くタオルドライし、東南アジアの気候を再現した温度27℃で70%RHの部屋に入り、3時間自然乾燥させた。前記シャンプーによる洗髪から自然乾燥までの工程を1日1回、6日間繰り返した。7日目に、前記シャンプー、及び前記フケ防止用ヘアコンディショナー組成物による洗髪後、軽くタオルドライし、温度27℃で70%RHの部屋に入り、3時間自然乾燥を行った。自然乾燥後、前記温度27℃で70%RHの部屋にて、前記「毛髪の軽さ」及び前記「毛髪のなめらかさ」を評価した。
ここで、前記「毛髪の軽さ」とは、洗髪後の毛髪が束として固まらず、毛髪の一本一本の毛がばらけている状態を意味する。
前記「毛髪のなめらかさ」とは、洗髪後の毛髪表面の摩擦が少なく、前記毛髪を指で梳いたときに、指がなめらかに通る状態を意味する。
【0051】
20名の女性専門パネルのうち、「毛髪の軽さ」が良好と回答した人数から、下記基準に従って評価した。
〔「毛髪の軽さ」の評価基準〕
◎:20名中16名以上
◎〜○:20名中13名以上15名以下
○:20名中11名以上12名以下
△:20名中6名以上10名以下
×:20名中5名以下
【0052】
20名の女性専門パネルのうち、「毛髪のなめらかさ」が良好と回答した人数から、下記基準に従って評価した。
〔「毛髪のなめらかさ」の評価基準〕
◎:20名中16名以上
◎〜○:20名中13名以上15名以下
○:20名中11名以上12名以下
△:20名中6名以上10名以下
×:20名中5名以下
【0053】
<フケ防止効果>
40才〜60才の30名の女性専門パネルにより、以下のようにして、「フケ防止効果」を評価した。
30名の女性専門パネルの毛髪を40℃の温水で十分に濡らし、ライオン株式会社製のシャンプー「植物物語」6gを塗布し、洗髪後、40℃の温水で前記シャンプーを洗い流した。
その後、調製した各フケ防止用ヘアコンディショナー組成物を6g塗布し、1分間静置し、40℃の温水で前記ヘアコンディショナー組成物を洗い流した。その後、軽くタオルドライし、自然乾燥させた。前記シャンプーの洗髪から自然乾燥までの工程を1日1回、7日間繰り返した後の「フケ防止効果」を評価した。
30名の女性専門パネルのうち、「フケ防止効果」が良好と回答した人数から、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:30名中25名以上
◎〜○:30名中19名以上24名以下
○:30名中10名以上18名以下
△:30名中1名以上9名以下
×:30名中0名
【0054】
<ピリチオン亜鉛の皮膚残留性>
25才〜35才の男性3名の被験者により、以下のようにして、「ピリチオン亜鉛の皮膚残留性」の評価を行った。
図1に示すように、25才〜35才の男性3名の前腕内側部に、カップの口の部分が直径2cmの円状になっているカップシェイク用カップ1を、片腕に3個ずつ(両腕で6箇所)、関節から拳方向に向かって、間隔をあけてカップシェイク用カップ1をテープで取り付けた。なお、
図1中2は、直径2cmの円状のカップ処理部を表す。
前記カップ内に40℃の温水を10mL加え、十分に皮膚を濡らした後、前記カップ内の前記温水を捨てた。次に、前記カップ内に40℃の温水で10倍希釈したシャンプー(ライオン株式会社製「植物物語」)溶液を10mL加え、2分間放置した後、前記カップ内の前記シャンプー溶液を捨てた。
更に、前記カップ内に40℃の温水を10mL加え洗浄後、前記温水を捨て、前記カップ内に40℃の温水で10倍希釈した各フケ防止用コンディショナー組成物溶液を10mL加え、5分間放置した後、前記カップ内の前記溶液を捨てた。
その後、前記カップ内に40℃の温水を10mL加え、洗浄後、前記カップ内の前記温水を捨て、前記カップを前腕内側部から外し、前記カップ処理部2にティッシュを載せ、軽く水分をとった。
乾燥後、直径2cmの円状の前記カップ処理部2を肩から拳方向へ引いた直線3によって、右半円部分2bと左半円部分2aとに分け、右半円部分2bに面積1cm
2の半円形テープ(D−Squame D100、Cuderm社製)を貼り(
図2参照)、テープストリッピングを行い初期量のピリチオン亜鉛を回収した。なお、高温高湿度下で静置後に左半円部分2aから、ピリチオン亜鉛を回収するため、左半円部分2aにテープが貼られないように注意する。
その後、温度40℃で75%RHの部屋にて30分間安静にした。30分間後、温度40℃で75%RHの部屋から出て乾燥させた。
前記カップ処理部の左半円部分2aに面積1cm
2の半円形テープを貼り、再度テープストリッピングを行い、30分間後のピリチオン亜鉛を回収した。以上の工程を、片腕3箇所、両腕で6箇所、被験者3名について合計18箇所行った。
得られた前記半円形テープを5質量%硝酸に浸して、ピリチオン亜鉛を抽出し、前記抽出物をICP発光分光分析装置(Optima 5300DV、Perkin Elmer社製)にかけて、ピリチオン亜鉛に含まれる亜鉛量を測定し、前記測定値を前記半円形テープによって回収されたピリチオン亜鉛量とした。
前記温度40℃で75%RHの部屋で30分間後の量と初期量とからピリチオン亜鉛の皮膚残留性を下記の計算式から計算し、18箇所の測定値の平均値を求め、下記基準によりピリチオン亜鉛の皮膚残留性を評価した。
[計算式]
皮膚残留性(%)=[(温度40℃で75%RHの部屋で30分間静置後のピリチオン亜鉛量)/(初期のピリチオン亜鉛量)]×100
〔評価基準〕
◎:皮膚残留性が90%以上
◎〜○:皮膚残留性が75%以上90%未満
○:皮膚残留性が60%以上75%未満
△:皮膚残留性が40%以上60%未満
×:皮膚残留性が40%未満
【0055】
<保存安定性>
調製した各フケ防止用ヘアコンディショナー組成物を、容量50gのポリエチレン製の半透明の正立容器(口内径30mm、テーオー科学社製、CR−50)に50g充填した。その後、前記正立容器の蓋を閉じ、前記正立容器を50℃にて1ヶ月間保存し、1ヶ月経過後の前記正立容器内の各フケ防止用ヘアコンディショナー組成物を目視観察して、下記基準により、「保存安定性」を評価した。
〔評価基準〕
◎:全く分離していない
○:分離していない
△:やや分離している
×:分離している
【0056】
【表1】
*表1中(E)成分の( )内の値は、固形分濃度、即ち、原料中のアミノ変性シリコーンの量(質量%)を表す(以下同様)
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【0063】
【表8】
【0064】
【表9】
【0065】
【表10】
*表10中F成分の( )内の値は、動粘度400万mm
2/s以上の濃度、即ち、原料中の25℃における動粘度が400万mm
2/s以上であるジメチルシリコーンの量(質量%)を表す(以下同様)。
【0066】
【表11】
【0067】
【表12】
【0068】
実施例及び比較例における各成分の詳細については、下記の表13に記載のとおりである。
【0069】
【表13】