特許第6397024号(P6397024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6397024マルチパス・デジタル・プレディストーション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397024
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】マルチパス・デジタル・プレディストーション
(51)【国際特許分類】
   H04J 1/00 20060101AFI20180913BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   H04J1/00
   H04B1/04 R
【請求項の数】14
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2016-533033(P2016-533033)
(86)(22)【出願日】2014年11月20日
(65)【公表番号】特表2017-503381(P2017-503381A)
(43)【公表日】2017年1月26日
(86)【国際出願番号】US2014066667
(87)【国際公開番号】WO2015077479
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2017年11月13日
(31)【優先権主張番号】14/088,252
(32)【優先日】2013年11月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591025439
【氏名又は名称】ザイリンクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】XILINX INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コーペランド,グレゴリー・シィ
【審査官】 吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0069931(US,A1)
【文献】 米国特許第6973141(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0316157(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/156189(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/044238(WO,A1)
【文献】 平井 義人 他,センサー無線通信用メモリ効果を有するパワーアンプにおける適応型デジタルプリディストーションの開発,電子情報通信学会2013年総合大会講演論文集 エレクトロニクス2 ,2013年 3月 5日,p.104
【文献】 前田 昌克 他,センサー無線通信向けリアルクイムデジタルプリディストーションにおける適応誤差算出手法の開発,電子情報通信学会2013年総合大会講演論文集 エレクトロニクス2 ,2013年 3月 5日,p.105
【文献】 安藤 生真 他,2バンドマルチキャリア信号同時増幅時の直交多項式を用いたデジクルプリディストーションにおけるパラメタ最適化の一検討,電子情報通信学会2013年通信ソサイエティ大会講演論文集1 ,2013年 9月 3日,p.509
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 1/00
H04B 1/04
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル・プリディストーションのための装置であって、
偶数サンプルパスおよび奇数サンプルパスを有するシングルバンド・デジタル・プレディストータエンジンと、
入力サンプルを受信するように結合され、前記入力サンプルを偶数サンプルおよび奇数サンプルに分離するように構成された、前記デジタル・プレディストータエンジンの入力段と、
前記偶数サンプルを受信し、前記偶数サンプルの偶数絶対値を供給するように結合された、前記入力段における第1の絶対値ブロックと、
前記奇数サンプルを受信し、前記奇数サンプルの奇数絶対値を供給するように結合された第2の絶対値ブロックと、
前記偶数サンプル、前記偶数絶対値および前記奇数絶対値を受信するように結合された、前記デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第1のと、
前記奇数サンプル、前記奇数絶対値および前記偶数絶対値を受信するように結合された、前記デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第2のと、
前記デジタル・プレディストータの第1のおよび前記デジタル・プレディストータの第2のから予歪み出力を受信するように結合され、前記デジタル・プレディストータの第1のおよび前記デジタル・プレディストータの第2のからの前記予歪み出力のデジタル予歪み複合信号を供給するように構成された、前記デジタル・プレディストータエンジンの出力段とを含む、装置。
【請求項2】
前記出力段は、前記デジタル・プレディストータの第1の対の出力を組合わせるように結合された第1の加算器と、前記デジタル・プレディストータの第2の対の出力を組合わせるように結合された第2の加算器と、前記第1の加算器の出力または前記第2の加算器の出力を交互に選択するように結合されたマルチプレクサとを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記入力段は、前記入力サンプルを受信して、前記偶数サンプルおよび前記奇数サンプルをそこから供給するように結合されたデマルチプレクサを含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
デジタル・プリディストーションのための装置であって、
第1のバンドパスおよび第2のバンドパスを有するマルチバンド・デジタル・プレディストータエンジンと、
前記第1のバンドパスを介して第1のサンプルと、前記第2のバンドパスを介して第2のサンプルとを受信するように結合された、前記デジタル・プレディストータエンジンの入力段と、
前記第1のサンプルの第1の絶対値および前記第2サンプルの第2の絶対値をそれぞれ受信し、第1の変換済み絶対値および第1のクロス結合された変換済み絶対値を供給するように結合された第1の線形変換ブロックと、
前記第1の絶対値および前記第2の絶対値を受信し、第2の変換済み絶対値および第2のクロス結合された変換済み絶対値を供給するように結合された第2の線形変換ブロックと、
前記第1のサンプル、前記第1の変換済み絶対値および前記第1のクロス結合された絶対値を受信するように結合された、前記デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第1の対と、
前記第2のサンプル、前記第2の変換済み絶対値および前記第2のクロス結合された絶対値を受信するように結合された、前記デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第2の対と、
前記デジタル・プレディストータの第1の対および前記デジタル・プレディストータの第2の対から予歪み出力を受信するように結合され、前記デジタル・プレディストータの第1の対および前記デジタル・プレディストータの第2の対からの前記予歪み出力のデジタル予歪み複合信号を供給するように構成された、前記デジタル・プレディストータエンジンの出力段とを含む、装置
【請求項5】
前記入力段はさらに、
前記第1のサンプルについての第1の補間済みサンプルおよび前記第2のサンプルについての第2の補間済みサンプルと、
前記第1の絶対値を供給するために前記第1の補間済みサンプルについての第1の補間済み絶対値、および、前記第2の絶対値を供給するために前記第2の補間済みサンプルについての第2の補間済み絶対値と、
を供給するように構成される、請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記デジタル・プレディストータエンジンの前記デジタル・プレディストータの第1の対は、前記第1のサンプル、前記第1の絶対値および前記第2の絶対値として、前記第1の補間済みサンプル、前記第1の補間済み絶対値および前記第2の補間済み絶対値をそれぞれ受信するように結合され
前記デジタル・プレディストータエンジンの前記デジタル・プレディストータの第2の対は、前記第2のサンプル、前記第2の絶対値および前記第1の絶対値として、前記第2の補間済みサンプル、前記第2の補間済み絶対値および前記第1の補間済み絶対値をそれぞれ受信するように結合される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記出力段は、前記デジタル・プレディストータの第1の対の出力を組合わせるように結合された第1の加算器と、前記デジタル・プレディストータの第2の対の出力を組合わせるように結合された第2の加算器と、前記第1の加算器および前記第2の加算器の出力を組合わせるように結合された第3の加算器とを含む、請求項4から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記プレディストータの第1の対および前記プレディストータの第2の対における各々のデジタル・プレディストータは、2次元非線形関数を実現する、請求項4から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記プレディストータの第1の対および前記プレディストータの第2の対における各々のデジタル・プレディストータは、1次元非線形関数を実現する、請求項4から7のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
デジタル・プリディストーションのための方法であって、
偶数サンプルパス、奇数サンプルパス、入力段、デジタル・プレディストータおよび出力段を有するシングルバンド・デジタル・プレディストータエンジンを設けるステップと、
前記入力段で、入力サンプルを受信するステップと、
前記入力段で、前記入力サンプルを偶数サンプルおよび奇数サンプルに分離するステップと、
前記偶数サンプルについての偶数絶対値および前記奇数サンプルについての奇数絶対値を前記入力段で供給するステップと、
前記デジタル・プレディストータエンジンの前記デジタル・プレディストータの第1ので、前記偶数サンプル、前記偶数絶対値および前記奇数絶対値を受信するステップと、
前記デジタル・プレディストータエンジンの前記デジタル・プレディストータの第2ので、前記奇数サンプル、前記奇数絶対値および前記偶数絶対値を受信するステップと、
前記デジタル・プレディストータの第1のおよび前記デジタル・プレディストータの第2のから、予歪み出力を、前記出力段で受信するステップと、
前記デジタル・プレディストータの第1のおよび前記デジタル・プレディストータの第2のからの前記予歪み出力のデジタル予歪み複合信号を、前記出力段から供給するステップとを含む、方法。
【請求項11】
第1の加算器を用いて、前記デジタル・プレディストータの第1の対の出力を組合わせるステップと、
第2の加算器を用いて、前記デジタル・プレディストータの第2の対の出力を組合わせるステップと、
マルチプレクサを用いて、前記第1の加算器の出力または前記第2の加算器の出力を交互に選択するステップとをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記入力段のデマルチプレクサによって前記入力サンプルを逆多重化して、前記偶数サンプルおよび前記奇数サンプルをそこから供給するステップをさらに含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項13】
デジタル・プリディストーションのための方法であって、
第1のバンドパスおよび第2のバンドパスを有するマルチバンド・デジタル・プレディストータエンジンを設けるステップと、
入力段において、前記第1のバンドパスを介して第1のサンプルおよび前記第2のバンドパスを介して第2のサンプルを受信するステップと、
第1の線形変換ブロックを用いて、前記第1のサンプルの第1の絶対値および前記第2のサンプルの第2の絶対値に基づいて、第1の変換済み絶対値および第1のクロス結合された変換済み絶対値を供給するステップと、
第2の線形変換ブロックを用いて、前記第1の絶対値および前記第2の絶対値に基づいて、第2の変換済み絶対値および第2のクロス結合された変換済み絶対値を供給するステップと、
前記デジタル・プレディストータエンジンの前記デジタル・プレディストータの第1の対で、前記第1のサンプル、前記第1の変換済み絶対値および前記第1のクロス結合された絶対値を受信するステップと、
前記デジタル・プレディストータエンジンの前記デジタル・プレディストータの第2の対で、前記第2のサンプル、前記第2の変換済み絶対値および前記第2のクロス結合された絶対値を受信するステップと、
前記デジタル・プレディストータの第1の対および前記デジタル・プレディストータの第2の対から、予歪み出力を、前記出力段で受信するステップと、
前記デジタル・プレディストータの第1の対および前記デジタル・プレディストータの第2の対からの前記予歪み出力のデジタル予歪み複合信号を、前記出力段から供給するステップとを含む、方法
【請求項14】
前記入力段によって、前記第1のサンプルおよび前記第2のサンプルを補間して、それぞれ、第1の補間済みサンプルおよび第2の補間済みサンプルを供給するステップと、
前記第1の絶対値を供給するために前記第1の補間済みサンプルについての第1の補間済み絶対値と、前記第2の絶対値を供給するために前記第2の補間済みサンプルについての第2の補間済み絶対値とを前記入力段で生成するステップとをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
以下の説明は集積回路装置(integrated circuit device:「IC」)に関する。より特定的には、以下の説明は、ICのためのマルチパス・デジタル・プリディストーション(digital pre-distortion:「DPD」)に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
デジタル・プリディストーションは、従来より、基地局からワイヤレス信号を送信するために電力増幅器の出力の直線性を向上させるために用いられている。マルチバンドまたはマルチ無線アクセス技術(Multi-Radio Access Technology:「マルチRAT」)は、従来より、各帯域ごとに少なくとも2つの帯域を単一のキャリー型で送信することをサポートできる電力増幅器を必要としている。これらの帯域は、このような動作帯域の各々の帯域幅と比較して、互いから広く離されていてもよい。
【0003】
したがって、信号を送信するために電力増幅器への入力のためのデジタル・プリディストーションを改善させることが所望され、かつ有用である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
例示的な装置は、概して、デジタル・プリディストーションに関する。このような装置においては、デジタル・プレディストータエンジンは第1のパスおよび第2のパスを有する。デジタル・プレディストータエンジンの入力段は、入力サンプルを受信するよう結合され、入力サンプルを第1のサンプルおよび第2のサンプルに分離するように構成される。入力段はさらに、第1のサンプルについての第1の絶対値と、第2のサンプルについての第2の絶対値とを供給するように構成される。デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第1のセットは、第1のサンプル、第1の絶対値および第2の絶対値を受信するように結合される。デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第2のセットは、第2のサンプル、第2の絶対値および第1の絶対値を受信するように結合される。デジタル・プレディストータエンジンの出力段は、デジタル・プレディストータの第1のセットおよびデジタル・プレディストータの第2のセットから予歪み出力を受信するように結合され、デジタル・プレディストータの第1のセットおよびデジタル・プレディストータの第2のセットから予歪み出力のデジタル予歪み複合信号を供給するように構成される。
【0005】
さらに別の装置は、概して、マルチパス・デジタル・プリディストーションに関する。このような装置においては、シングルバンド・デジタル・プレディストータエンジンは第1のサンプルパスおよび第2のサンプルパスを有する。デジタル・プレディストータエンジンの入力段は入力サンプルを受信するように結合され、入力サンプルを第1のサンプルおよび第2のサンプルに分離するように構成される。入力段はさらに、第1のサンプルについての第1の絶対値および第2のサンプルについての第2の絶対値を供給するように構成される。デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第1のセットは、第1のサンプル、第1の絶対値および第2の絶対値を受信するように結合される。デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第2のセットは、第2のサンプル、第2の絶対値および第1の絶対値を受信するように結合される。デジタル・プレディストータエンジンの出力段は、デジタル・プレディストータの第1のセットおよびデジタル・プレディストータの第2のセットから予歪み出力を受信するように結合され、デジタル・プレディストータの第1のセットおよびデジタル・プレディストータの第2のセットから予歪み出力のデジタル予歪み複合信号を供給するように構成される。
【0006】
さらに別の装置は、概して、マルチバンド・デジタル・プリディストーションに関する。このような装置においては、マルチバンド・デジタル・プレディストータエンジンは第1のバンドパスおよび第2のバンドパスを有する。デジタル・プレディストータエンジンの入力段は、第1のバンドパスを介して第1の入力サンプルと、第2のバンドパスを介して第2の入力サンプルとを受信するように結合される。入力段は、第1の入力サンプルについての第1の補間済みサンプルと、第2の入力サンプルについての第2の補間済みサンプルとを供給するように構成される。入力段はさらに、第1の補間済みサンプルについての第1の補間済み絶対値と、第2の補間済みサンプルについての第2の補間済み絶対値とを供給するように構成される。デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第1の対は、第1の補間済みサンプル、第1の補間済み絶対値および第2の補間済み絶対値を受信するように結合される。デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第2の対は、第2の補間済みサンプル、第2の補間済み絶対値および第1の補間済み絶対値を受信するように結合される。出力段は、デジタル・プレディストータの第1の対およびデジタル・プレディストータの第2の対から予歪み出力を受信するように結合され、デジタル・プレディストータの第1の対およびデジタル・プレディストータの第2の対から予歪み出力のデジタル予歪み複合信号を供給するように構成される。
【0007】
さらに別の装置は、概して、マルチバンド・デジタル・プリディストーションに関する。このような装置においては、デジタル・プレディストータエンジンはシングルバンドパスを有する。デジタル・プレディストータエンジンの入力段は、バンドパスを介して入力サンプルを受信するように結合される。入力段は、入力サンプルについての第1の絶対値および第2の絶対値を供給するように構成される。入力サンプルは、2次元非線形関数のためのものである。第1の絶対値および第2の絶対値は各々、1次元非線形関数についての線形変換である。デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの対は、入力サンプル、第1の絶対値および第2の絶対値を受信するように結合される。デジタル・プレディストータエンジンの出力段は、デジタル・プレディストータの対から予歪み出力を受信するように結合され、デジタル・プレディストータの対から予歪み出力のデジタル予歪み複合信号を供給するように構成される。
【0008】
この明細書中に記載された例示的な方法は、概して、デジタル・プリディストーションに関する。デジタル・プリディストーションのためのこのような方法は、第1のパス、第2のパス、入力段、デジタル・プレディストータおよび出力段を有するデジタル・プレディストータエンジンを設けるステップと、入力段で入力サンプルを受信するステップと、入力段で、入力サンプルを第1のサンプルおよび第2のサンプルに分離するステップと、入力段で、第1のサンプルについての第1の絶対値および第2のサンプルについての第2の絶対値を供給するステップと、デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第1のセットで、第1のサンプル、第1の絶対値および第2の絶対値を受信するステップと、デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第2のセットで、第2のサンプル、第2の絶対値および第1の絶対値を受信するステップと、出力段で、デジタル・プレディストータの第1のセットおよびデジタル・プレディストータの第2のセットから予歪み出力を受信するステップと、デジタル・プレディストータの第1のセットおよびデジタル・プレディストータの第2のセットからの予歪み出力のデジタル予歪み複合信号を出力段から供給するステップとを含む。
【0009】
これらの局面および他の局面は、以下の詳細な説明に関連付けて理解され得る。
図面の簡単な説明
添付の図面は例示的な装置および/または方法を示す。しかしながら、添付の図面は、添付の特許請求の範囲を限定するものと理解されるべきではなく、説明および理解だけを目的としたものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】例示的なカラム型フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:「FPGA」)アーキテクチャを示す簡略ブロック図である。
図2】例示的な従来の空洞フィルタ応答を示すグラフ図である。
図3図2の空洞フィルタ応答のない例示的な線形システムを示すグラフ図である。
図4A】例示的なデジタル・プレディストータエンジンを示すブロック図である。
図4B】例示的なデジタル・プレディストータエンジンを示すブロック図である。
図5】別の例示的なデジタル・プレディストータエンジンを示すブロック図である。
図6】さらに別の例示的なデジタル・プレディストータエンジンを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
以下の説明においては、多数の具体的な詳細は、この明細書中に記載される具体例をより十分に説明するために記載されている。しかしながら、1つ以上の他の例および/またはこれらの例の変形例が以下に記載のすべての具体的な詳細なしでも実施され得ることが、当業者にとって明らかになるはずである。他の例においては、周知の特徴は、この明細書中における例の説明を不明瞭にすることを避けるために詳細に記載されていない。例示を容易にするために、同じ構成要素を参照するために異なる図面においても同じ番号の標識を用いている。しかしながら、代替例においては、構成要素が異なる場合もある。
【0012】
いくつかの図において例示的に図示される例を説明する前に、さらなる理解のために全般的な概要が記載される。
【0013】
間隔を空けて配置されたキャリアスタックがわずかな部分のエンド・ツー・エンド帯域幅を占めていることにより、サンプリングレートが高くなり、複雑さがさらに高まる。以下により詳細に説明されるように、モジュール式デジタル・プリディストーション(digital predistortion:「DPD」)は、入力サンプルを複数のサンプルパスにパーズすることによって、および/または、このような別々に処理されたバンドのサンプル間のクロス結合で各々のバンドを別々に処理することによって、提供される。
【0014】
上述の一般的な理解を留意しつつ、デジタル・プレディストータエンジンのためのさまざまな構成を以下に概略的に記載する。
【0015】
上述の例の1つ以上が、特定のタイプのICを用いてこの明細書中において記載されているので、このようなICの詳細な説明を以下において提供する。しかしながら、この明細書中に記載された技術の1つ以上から他のタイプのICが利益を得る可能性があることが理解されるはずである。
【0016】
プログラマブルロジックデバイス(programmable logic device:「PLD」)は、指定された論理関数を実行するようにプログラミング可能である周知のタイプの集積回路である。一種のPLDであるフィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)は典型的には一連のプログラマブルタイルを含む。これらのプログラマブルタイルは、たとえば、入出力ブロック(input/output block:「lOB」)、コンフィギュラブル論理ブロック(configurable logic block:「CLB」)、専用のランダムアクセスメモリブロック(dedicated random access memory block:「BRAM」)、乗算器、デジタル信号処理ブロック(digital signal processing:「DSP」)、プロセッサ、クロックマネージャ、遅延ロックループ(delay lock loop:「DLL」)などを含み得る。この明細書中において用いられる場合、「含む」および、「含んでいる」は、限定ではなく、含むことを意味する。
【0017】
各々のプログラマブルタイルは、典型的には、プログラマブルインターコネクトおよびプログラマブルロジックの両者を含む。プログラマブルインターコネクトは、典型的には、プログラマブルインターコネクトポイント(programmable interconnect point:「PIP」)によって相互接続された様々な長さの多数のインターコネクトラインを含む。プログラマブルロジックは、たとえば、関数生成器、レジスタ、算術論理などを含み得るプログラマブル素子を用いてユーザ設計のロジックを実現する。
【0018】
プログラマブルインターコネクトおよびプログラマブルロジックは、典型的には、プログラマブル素子がどのように構成されるかを規定する内部構成メモリセルにコンフィギュレーションデータのストリームをロードすることによってプログラムされる。コンフィギュレーションデータは外部デバイスによりメモリから(たとえば外部PROMから)読み出されたりFPGAに書き込まれたりし得る。次いで、個別のメモリセルの集合的な状態によってFPGAの機能が決定される。
【0019】
別の種類のPLDはコンプレックスプログラマブルロジックデバイスまたはCPLDである。CPLDは、共に接続されるとともに、インターコネクトスイッチマトリックスによって入力/出力(I/O)リソースに接続された2つ以上の「機能ブロック」を含む。CPLDの各々の機能ブロックは、プログラマブルロジックアレイ(Programmable Logic Array:「PLA」)およびプログラマブルアレイロジック(Programmable Array Logic:「PAL」)デバイスで用いられるものと同様の2レベルAND/OR構造を含む。CPLDにおいて、コンフィギュレーションデータは典型的には不揮発性メモリ内のチップ上に記憶される。いくつかのCPLDでは、コンフィギュレーションデータは不揮発性メモリ内のチップ上に記憶され、次に初期コンフィギュレーション(プログラミング)シーケンスの一部として揮発性メモリにダウンロードされる。
【0020】
これらのプログラマブルロジックデバイス(PLD)のすべてについて、デバイスの機能性は、その目的のためにデバイスに与えられるデータビットによって制御される。データビットは、揮発性メモリ(たとえばFPGAおよびいくつかのCPLDのようなスタティックメモリセル)、不揮発性メモリ(たとえばいくつかのCPLDにおけるようなFLASHメモリ)、またはいずれの他の種類のメモリセルにも記憶可能である。
【0021】
他のPLDは、デバイス上のさまざまな素子をプログラマブルに相互接続する金属層などの処理層を適用することによってプログラムされる。これらのPLDはマスクプログラマブルデバイスとして公知である。PLDは、たとえば、ヒューズまたはアンチヒューズ技術を用いる他のやり方で実現することもできる。「PLD」および「プログラマブルロジックデバイス」という用語はこれらの例示的なデバイスを含むがこれらに限定されるものではなく、部分的にしかプログラマブルでないデバイスも包含する。たとえば、1つの種類のPLDは、ハードコードされたトランジスタロジックとハードコードされたトランジスタロジックをプログラマブルに相互接続するプログラマブルスイッチファブリックとの組合せを含む。
【0022】
以上注記したように、高度なFPGAは、アレイにいくつかの異なる種類のプログラマブルロジックブロックを含むことができる。たとえば、図1は、マルチギガビットトランシーバ(multi-gigabit transceiver:MGT)101、コンフィギュラブルロジックブロック(configurable logic block:CLB)102、ランダムアクセスメモリブロック(random access memory block:BRAM)103、入力/出力ブロック(input/output block:IOB)104、コンフィギュレーションおよびクロッキングロジック(configuration and clocking logic:CONFIG/CI/OCKS)105、デジタル信号処理ブロック(digital signal processing block:DSP)106、専用入力/出力ブロック(input/output block:I/O)107(たとえばコンフィギュレーションポートおよびクロックポート)、ならびにデジタルクロックマネージャ、アナログ−デジタル変換器、システムモニタロジックなどの他のプログラマブルロジック108を含む多数の異なるプログラマブルタイルを含むFPGAアーキテクチャ100を図示する。いくつかのFPGAは専用プロセッサブロック(processor block:PROC)110も含む。
【0023】
いくつかのFPGAにおいて、各々のプログラマブルタイルは、各々の隣接するタイル中の対応するインターコネクト素子へおよびそれからの標準化された接続部を有するプログラマブルインターコネクト素子(interconnect element:INT)111を含む。したがって、プログラマブルインターコネクト素子は、図示されるFPGAのためのプログラマブルインターコネクト構造を共に実現する。プログラマブルインターコネクト素子111は、図1の上部に含まれる例によって示されるように、同じタイル内にプログラマブルロジック素子へのおよびそれからの接続部も含む。
【0024】
たとえば、CLB102は、単一のプログラマブルインターコネクト素子(INT)111と共にユーザロジックを実現するようにプログラム可能なコンフィギュラブルロジック素子(CLE)112を含むことができる。BRAM103は、1つ以上のプログラマブルインターコネクト素子に加えてBRAMロジック素子(BRL)113を含むことができる。典型的には、タイルに含まれるインターコネクト素子の数はタイルの高さに依存する。図示される例では、BRAMタイルは5つのCLBと同じ高さを有するが、他の数(たとえば4つ)を用いることも可能である。DSPタイル106は、適切な数のプログラマブルインターコネクト素子に加えてDSPロジック素子(DSPL)114を含むことができる。IOB104は、たとえば、プログラマブルインターコネクト素子111の1つのインスタンスに加えて入力/出力ロジック素子(input/output logic element:IOL)115の2つのインスタンスを含むことができる。当業者には明らかなように、たとえばI/Oロジック素子115に接続される実際のI/Oパッドは、典型的には、入力/出力ロジック素子115の領域に閉じ込められていない。
【0025】
図示される実施形態では、(図1に示される)ダイの中央近くの水平方向領域がコンフィギュレーションロジック、クロックロジックおよび他の制御ロジックのために用いられる。この水平方向領域または列から延在する鉛直方向列109はFPGAの幅に亘ってクロックおよびコンフィギュレーション信号を分配するのに用いられる。
【0026】
図1に図示されるアーキテクチャを利用するいくつかのFPGAは、FPGAのうち広い部分を構成する規則的な列状構造を分断する付加的なロジックブロックを含む。付加的なロジックブロックはプログラマブルブロックおよび/または専用ロジックであり得る。たとえば、プロセッサブロック110は、CLBおよびBRAMのいくつかの列に跨っている。
【0027】
図1は、例示的なFPGAアーキテクチャだけを図示することを意図していることに留意されたい。たとえば、1行の中のロジックブロックの数、行の相対的な幅、行の数および順番、行に含まれるロジックブロックの種類、ロジックブロックの相対的なサイズ、ならびに図1の上部に含まれるインターコネクト/ロジック実現例は純粋に例示的なものである。たとえば、実際のFPGAでは、CLBのうち2つ以上の隣接する行は、典型的には、CLBが現れる場所であればどこでも含まれて、ユーザロジックの効率的な実現を容易にするが、隣接するCLB行の数はFPGAの全体的なサイズと共に変化する。
【0028】
マルチバンドまたはマルチ無線アクセス技術(「マルチRAT」)などのために電力増幅器の出力を線形化するために、少なくとも2つのバンドが存在してもよく、各々のバンドにはシングルキャリアタイプが付随し得る。限定ではなく例示することによって明確にするために、数値の例が与えられるが、これらの値または他の値が用いられてもよい。
【0029】
図2は、例示的な従来の空洞フィルタ応答200を示すグラフ図である。空洞フィルタ応答200は、概してキャリアスタック201およびキャリアスタック202として示される2つのキャリア動作帯域を網羅するサンプリングレートのためのものである。この例においては、キャリアスタック201および202のそれぞれの動作帯域205および206は20MHzである。これらの非オーバーラップ動作帯域205および206は、保護帯域幅または保護帯域207によって分離される。この例においては、キャリアスタック201の中心間からキャリアスタック202までの保護帯域207は120MHzであって、これは、動作帯域205および206の各々の帯域幅よりも実質的に大きい。
【0030】
キャリアスタック201に関連付けられる帯域内相互変調歪(intermodulation distortion:「IMD」)211は、キャリアスタック202に関連付けられる帯域内IMD212とはオーバーラップしておらず、IMD211および212はともに、空洞フィルタ応答200によって包含される。すなわち、これらはともに包含形式の帯域内歪みである。この例においては、IMD211およびIMD212についてのそれぞれの帯域幅213および214は、60MHzである。IMD211およびIMD212の両方に跨るようにするために、DPD帯域幅215は、従来、160MHzであったかもしれない。
【0031】
キャリアスタック201に関連付けられる帯域外(out-of-band「OOB」)IMD221は、空洞フィルタ応答200の内側だけでなく外側にも存在し得る。この例においては、キャリアスタック201の中心から少なくともOOB IMD221の中心までの帯域幅223は120MHzである。同様に、キャリアスタック202に関連付けられるOOB IMD222は、空洞フィルタ応答200の外側だけでなく内側にも存在し得る。この例においては、キャリアスタック202の中心から少なくともOOB IMD224の中心までの帯域幅224は120MHzである。
【0032】
この例においては、帯域幅226は、エイリアシングのない250MHzのFB観察結果であり、空洞フィルタ応答200の帯域幅225は、2:1形状係数と想定すると、この空胴阻止帯域の場合には300MHzである。この例の場合のデジタル/アナログ変換器(digital-to-analog converter:「DAC」)のためのFFナイキスト帯域幅227は500MHzである。したがって、周波数が十分な量だけ分離されている2帯域または2キャリアの場合、それらの帯域内IMD211および212がオーバーラップしていないということは、高いサンプルレートが、両方の帯域だけでなく帯域内IMD条件をも包含する空洞フィルタ応答200を提供するのに用いられることを意味することが認識されるはずである。いくつかのシステムは、このような広い範囲をカバーするために単一の電源増幅器および単一のデジタル・プレディストータを用いる可能性があり、このため、このような高いサンプリングレートでこのような広い周波数範囲をカバーするためにこのような構成要素を設けることによって、実質的な費用が追加されてしまう。
【0033】
帯域内にある条件だけを可能にすることによって、これは、より広い帯域動作に影響を及ぼすIMD条件を補正することができないことを示唆する。この場合、各々の帯域付近にある帯域内IMD211および212は補正される可能性があるが、より広い帯域またはOOB(「帯域外」)のIMD221および222は補正されない可能性がある。各々の帯域がたとえば120MHzで分離される場合、このような2つの帯域の両側における120MHzでのIMD条件は補正することができない。
【0034】
以下にさらに詳細に記載されるように、帯域ごとに信号を処理することによって、処理された全帯域幅が少なくとも小さくされてもよく、最小限にされてもよい。さらに、その占有帯域幅(bandwidth:「BW」)が総帯域幅と比べて小さくなっている個々のキャリアを処理することによって、個々の帯域を処理することによってより経済的な結果が得られるかもしれない。たとえば、いくつかのマルチキャリヤGSM(登録商標)(multi- carrier GSM:「MC−GSM」)システムにおいては、たとえば、キャリアBWが約200kHzであり、2つ以上のキャリアが、規則的なチャネル化スキームで互いから1MHz以上間隔を空けて配置されているが、この場合、以下にさらに詳細に記載されるように、各帯域を別々に処理することによって、有意な節約が得られる可能性がある。MC−GSMは単なる一例であって、他の通信プロトコルが用いられてもよい。しかしながら、MC−GSMの例に続いて、占有帯域幅が6200KHz=1.2MHzである場合に、30MHzの帯域幅に6つのキャリアが存在する可能性がある。これは、このようなMC−GSM例の場合には総帯域幅のわずか4%にすぎないかもしれない。処理が処理済みの帯域幅に比例していると想定すると、デジタル・プリディストーション(digital pre-distortion「DPD」)動作をキャリアベースで実行することによって、実質的な節約が得られる可能性があり、この例では場合によっては約25倍であり得る。
【0035】
これらの方針に沿って、図3は、図2の空洞フィルタ応答200のない例示的な線形システム300を示すグラフ図である。線形システム300は、明確にする目的で、図2の例において用いられるのと同じ例示的な周波数を有するものと想定されてもよい。
【0036】
キャリアスタック201および202ならびにIMD211および212が、前述と同様に、図2に存在する。しかしながら、線形システムにおいては、各々の帯域は個々に処理されてもよく、このため、帯域ベースまたはキャリアベースでの処理の実行が採用されてもよい。各々の帯域を別々に処理することにより、図2の例において用いられるよりも低いサンプルレートを用いることが可能となる。
【0037】
非線形処理では、帯域/キャリア出力が他の帯域およびキャリアに依存する。以下に詳細に記載されるように、非線形処理に関する性能を維持しつつ費用を低減し得る処理が以下に述べられる。さらに、キャリア/帯域ごとにDPD動作を変えることを可能にすることによって、線形システムにおける性能を、従来の非線形処理の場合よりも向上させ得る。
【0038】
OOB IMDが各々の帯域201および202から離して隔てられている可能性があるので、このようなOOB IMDは、たとえば、エイリアジングおよびフィルタリングによって、すなわち、OOB IMD221および222であったものにそれぞれ対応するエイリアジング済みおよびフィルタリング済みのIMD301および302によって、排除され得るかまたは少なくとも実質的に縮小され得る。このようなOOB IMDは、対象となる帯域から十分に離れているので、空洞フィルタまたは同様のフィルタを用いて排除されてもよい。したがって、帯域内条件だけがDPDによって生成されて、処理の複雑さおよび費用がさらに削減され得る。
【0039】
このような帯域内条件の生成について以下に記載する。加えて、複合デジタル予歪み信号に関連付けられる係数の適応を以下に記載する。この場合、このような適合により、従来のDPDシステムの実現例と比べて、適合プロセスの複雑さが著しく低減される。
【0040】
以下に記載されるプレディストータエンジンの各々がFPGAにおいて実現され得るとしても、このような説明はFPGAにおける実現例には限定されない。これらの方針に沿って、以下のプレディストータエンジンの各々は、モノリシックICであろうとSiPであろうとも、別のタイプのSoC、ASIC、ASSPなどを含むがこれらに限定されない如何なるICにおいても実現され得る。
【0041】
図4Aおよび図4Bは、例示的なデジタル・プレディストータエンジン400をさまざまな切替え状態で示すブロック図である。デジタル・プレディストータエンジン400はさらに、同時に図4Aおよび図4Bを参照しつつ説明される。
【0042】
マルチキャリヤまたはマルチバンドクレストファクタ低減(crest factor reduction:「CFR」)は、プリディストーション処理よりも前にピーク信号振幅を、最小限にはしないにしても、少なくとも低減させるために与えられ得る。プレディストータエンジン400に関して、サンプルレートは、より直接的なプリディストーション実現例に比べて、2以上の係数ずつ減少させてもよい。しかしながら、プレディストータエンジン400の記載から、信号スペクトルに応じて、3以上の係数ずつ処理することによって、より高いサンプルレート低減が実現され得ることが認識されるだろう。たとえば、入力サンプルストリームは、入力サンプルストリームを2つに分解する、すなわち、偶数サンプルおよび奇数サンプルに分解するという記載から理解されるように、第3のストリーム、第4のストリームなどに分解されてもよい。
【0043】
図4Aにおけるデジタル・プレディストータエンジン400は、この例においては、偶数サンプルパスおよび奇数サンプルパスであるそれぞれの第1のサンプルパス481および第2のサンプルパス482を有するシングルバンド・デジタル・プレディストータエンジンである。プレディストータエンジン400は、デマルチプレクサ411、絶対値ブロック413および415、DPD441、443、445および447、加算器または、結合器442および444、ならびにマルチプレクサ445を含み得る。より概略的には、絶対値ブロック413および415は入力絶対値の如何なる単調関数であってもよい。
【0044】
デジタル・プレディストータエンジン400の入力段491は、入力サンプル401を受信するように結合され、入力サンプル401を偶数サンプル403および奇数サンプル405に分離するように構成されてもよい。入力段491はさらに、偶数サンプル403についての偶数絶対値417と奇数サンプル405についての奇数絶対値419とを供給するように構成されてもよい。
【0045】
デジタル・プレディストータエンジン400の、この例においては第1の対であるデジタル・プレディストータ441および443の第1のセットは、偶数サンプル403を受信し、偶数絶対値417および奇数絶対値419をそれぞれ受信するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータエンジン400の、この例においては第2の対であるデジタル・プレディストータ445および447の第2のセットは、奇数サンプル405を受信し、奇数絶対値419および偶数絶対値417をそれぞれ受信するように結合されてもよい。3つ以上のサンプルパスの場合、各々のサンプルパスごとに、より多くのデジタル・プレディストータが用いられてもよい。デジタル・プレディストータ441、443、445、447の場合と同様に、たとえば3つのサンプルパスの場合、3つのブロック各々のうち、3つのデジタル・プレディストータが3セット用いられてもよい。これらの方針に沿って、概して、デジタル・プレディストータエンジン400はより多くのサンプルパスに適応させるように直線的にスケーリングされてもよい。さらに、各々のデジタル・プレディストータは従来のものであってもよい。
【0046】
デジタル・プレディストータエンジン400の出力段492は、たとえば、このようなデジタル・プレディストータの第1の対およびこのようなデジタル・プレディストータの第2の対から、予歪み出力431、432、433および434などの予歪み出力を受信するように結合されてもよく、このようなデジタル・プレディストータの第1の対およびこのようなデジタル・プレディストータの第2の対から、このような予歪み出力431、432、433および434のデジタル予歪み複合信号450を供給するように構成されてもよい。
【0047】
入力段491はデマルチプレクサ411を含む。デマルチプレクサ411は、偶数サンプル403および奇数サンプル405をそこから供給するために出力のスイッチングをトグルするように入力サンプル401を受信するように結合される。入力段491の絶対値ブロック413は、偶数サンプル403を受信して偶数サンプル403の偶数絶対値417を供給するように結合されてもよい。入力段491の絶対値ブロック415は、奇数サンプル405を受信して、奇数サンプル405の奇数絶対値419を供給するように結合されてもよい。
【0048】
デジタル・プレディストータ441およびデジタル・プレディストータ433は、各々、偶数サンプル403を受信するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータ444およびデジタル・プレディストータ447は、奇数サンプル405を受信するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータ441およびデジタル・プレディストータ447は、偶数サンプル絶対値417を受信するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータ443およびデジタル・プレディストータ445は、奇数サンプル絶対値419を受信するように結合されてもよい。したがって、偶数サンプルおよび奇数サンプルの絶対値は、偶数サンプルパス481と奇数サンプルパス482との間におけるようにクロス結合される。
【0049】
デジタル・プレディストータ441は、そこに入力される偶数サンプル403および偶数サンプル絶対値417についての予歪み出力431を供給するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータ443は、そこに入力される偶数サンプル403および奇数サンプル絶対値417についての予歪み出力432を供給するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータ445は、そこに入力される奇数サンプル405および奇数サンプル絶対値419についての予歪み出力433を供給するように結合されてもよい。最後に、デジタル・プレディストータ447は、そこに入力される奇数サンプル405および偶数サンプル絶対値405についての予歪み出力434を供給するように結合されてもよい。
【0050】
出力段492は、加算器442および444だけでなくマルチプレクサ445も含み得る。加算器442は、予歪み出力431および予歪み出力432を追加するかまたは組合わせて、デジタル予歪みサンプル451を供給するように結合されてもよい。加算器444は、予歪み出力433および予歪み出力434を追加するかまたは組合わせて、デジタル予歪みサンプル452を供給するように結合されてもよい。マルチプレクサ445は、デジタル予歪みサンプル451およびデジタル予歪みサンプル452を受信するように結合されてもよく、マルチプレクサ445から出力されるデジタル予歪みサンプル451とデジタル予歪みサンプル452との間でサンプルを交互に選択して、デジタル予歪み複合信号450についてのデジタル予歪み出力サンプルを供給するように構成されてもよい。たとえば、サンプルレートのためのサンプルクロック信号(明確さのために図示されない)は、デマルチプレクサ411およびマルチプレクサ445の両方のための制御選択信号として用いられてもよい。
【0051】
たとえば、マルチパスシングルバンドDPDのためのデジタル・プレディストータ441、443、445および447などによるDPD処理は、概して以下のとおり数学的に記述され得る:
【0052】
【数1】
【0053】
出力サンプルy(n)、入力サンプルx(n)、a(i,j,k)係数、および1次元非線形関数Fとする。このような式は以下のように拡張されてもよい:
【0054】
【数2】
【0055】
これらの式においては、y(2n)が信号451に対応し、y(2n+1)が信号452に対応する。これらの式から、DPDが、偶数サンプルおよび奇数サンプルを含むがこれらに限定されない複数のパス(経路)のために、複数のDPDブロックまたはデジタル・プレディストータのセットに織り込まれ得ることが理解され得る。プレディストータ441、443、445および447などのデジタル・プレディストータは、このような式においてそれぞれの条件、すなわち、プレディストータ441、443、445および447によってそれぞれ決定されるeven/|even|条件、even/|odd|条件、odd/|odd|条件、およびodd/|even|条件、を決定または計算する役割を果たし得る。さらに、このような式におけるすべての条件が各々の実現例ごとに決定される必要はなく、すなわち、このような条件の配列全体を十分にポピュレートする必要はない。条件選択の詳細に応じて、配列エントリの1つ以上が排除されてもよい。一例として、メモリ多項式においては、対角線だけがポピュレートされるので、even/|even|配列エントリおよびodd/|odd|配列エントリだけを用いて、決定結果または演算結果を2ずつ減らしてもよい。他の形式のマスクを用いて計算上の負担を軽減することもできる。
【0056】
図5は、例示的なデジタル・プレディストータエンジン500を示すブロック図である。デジタル・プレディストータエンジン500の上部分または上半分がシングルチャネルDPDブロックとして用いられてもよい。しかしながら、デジタル・プレディストータエンジン500の下部分または下半分は、マルチバンドアプリケーションのためにこのような上部分に結合されてもよい。これらの方針に沿って、デジタル・プレディストータエンジン500の複数のインスタンスが互いに結合されて、さまざまな数のチャネルおよび/または帯域に対処することにより、マルチキャリヤまたはマルチバンドクレストファクタ低減(crest factor reduction:「CFR」)システムをもたらして、サンプルレートの低下などを実現し得る。
【0057】
デジタル・プレディストータエンジン500はバンドパス581およびバンドパス582を有する。デジタル・プレディストータエンジン500の入力段591は、バンドパス581を介して入力サンプル502と、バンドパス582を介して入力サンプル504とを受信するように結合されてもよい。バンドパス581および582は、間隔を空けて配置された2つの異なる帯域のためのものである。
【0058】
入力段591は、入力サンプル502についての補間済みサンプル541および入力サンプル504についての補間済みサンプル542を供給するように構成されてもよい。入力段591はさらに、補間済みサンプル541についての補間済み絶対値517および補間済みサンプル542についての補間済み絶対値519を供給するように構成されてもよい。
【0059】
デジタル・プレディストータエンジン500の、この例においてはデジタル・プレディストータ441および443の第1の対であるデジタル・プレディストータの第1のセットは、補間済みサンプル541を受信し、補間済み絶対値517および補間済み絶対値519を受信するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータエンジン500の、この例においてはデジタル・プレディストータ445および447の第2の対であるデジタル・プレディストータの第2のセットは、補間済みサンプル542を受信し、補間済み絶対値519および補間済み絶対値517をそれぞれ受信するように結合されてもよい。
【0060】
出力段592は、デジタル・プレディストータ441、443、445および447から予歪み出力、たとえば予歪み出力431、432、433および434などをそれぞれ受信するように結合されてもよく、出力段592は、このような予歪み出力のデジタル予歪み複合信号550を供給するように構成されてもよい。デジタル予歪み複合信号550は、このようなデジタル出力を電力増幅器(図示せず)へのアナログ入力に変換するためのDAC(図示せず)に結合されてもよい。
【0061】
入力段591は、絶対値ブロック413および415または入力絶対値の他の機能に加えて、補間器506および508を含み得る。補間器506は、入力サンプル502を受信して、補間済みサンプル541を供給するように結合されてもよい。補間器508は、入力サンプル504を受信して、補間済みサンプル542を供給するように結合されてもよい。補間器506および508はそれぞれ線形の補間器であってもよい。絶対値ブロック413は、補間済みサンプル541を受信して、補間済み絶対値517を供給するように結合されてもよい。絶対値ブロック415は、補間済みサンプル542を受信して、補間済み絶対値519を供給するように結合されてもよい。
【0062】
デジタル・プレディストータ441およびデジタル・プレディストータ443は、補間済みサンプル541を受信するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータ445およびデジタル・プレディストータ447は、補間済みサンプル542を受信するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータ441は、補間済み絶対値517を受信するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータ443は、補間済み絶対値519を受信するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータ445は、補間済み絶対値519を受信するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータ447は、補間済み絶対値517を受信するように結合されてもよい。
【0063】
デジタル・プレディストータ441は、そこに入力される補間済みサンプル541および補間済み絶対値517についての予歪み出力431を供給するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータ443は、そこに入力される補間済みサンプル541および補間済み絶対値519についての予歪み出力432を供給するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータ445は、そこに入力される補間済みサンプル542および補間済み絶対値519についての予歪み出力433を供給するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータ447は、そこに入力される補間済みサンプル542および補間済み絶対値517についての予歪み出力434を供給するように結合されてもよい。これにより、デジタル・プレディストータ441は、帯域1(「B1」)およびB1の絶対値条件を決定し得る。デジタル・プレディストータ443は、B1および帯域2(「B2」)の絶対値条件を決定し得る。デジタル・プレディストータ445は、B2およびB2の絶対値条件を決定し得る。デジタル・プレディストータ447は、B2およびB1の絶対値条件を決定し得る。
【0064】
出力段592は、デジタルアップコンバータ(digital up-converter:「DUC」)543および544に加えて、加算器または結合器442、444および545を含み得る。加算器442は、予歪み出力431および予歪み出力432を追加して、デジタル予歪みサンプル531を供給するように結合されてもよい。加算器444は、予歪み出力433および予歪み出力434を追加して、デジタル予歪みサンプル532を供給するように結合されてもよい。デジタルアップコンバータ543は、デジタル予歪みサンプル531を受信して、デジタルアップコンバート済みサンプル548を供給するように結合されてもよい。デジタルアップコンバータ444は、デジタル予歪みサンプル532を受信して、デジタルアップコンバート済みサンプル549を供給するように結合されてもよい。加算器545は、電力増幅器に入力されるべきアナログ信号に変換するためにDACへの入力として供給され得るデジタル予歪み複合信号550を供給するために、デジタルアップコンバート済みサンプル548と549とを組合わせるように結合されてもよい。同様に、デジタルアップコンバート済みサンプル548および549は、それぞれ、各帯域ごとにそれぞれのアナログ信号を供給するためにそれぞれのDACへの2つの別個の2帯域出力として供給され、アナログドメインにおいて組合わされて、電力増幅器に適用されてもよい。
【0065】
デジタル・プレディストータエンジン500は、クレストファクタ低減(「CFR」)ブロック505および507に結合され得るかまたはこれらブロックを含み得る。CFRブロック505は、キャリアスタック201などのキャリアスタックに関連付けられたB1サンプル501を受信するように結合されて、入力サンプル502を供給し、すなわち、クレストファクタの低減した入力サンプルを供給して、送信チェーンの下流電力増幅器に対する需要を低減させ得る。同様に、CFRブロック507は、キャリアスタック202などの別のキャリアスタックに関連付けられたB2サンプル503を受信するように結合され、入力サンプル504を供給し、すなわち、クレストファクタの低減した入力サンプルを供給して、送信チェーンの下流電力増幅器に対する需要を低減させ得る。また、このようなキャリアスタックは、互いから周波数の間隔を空けて配置されてもよい。さらに、このようなマルチバンド処理の場合、CFRブロック505は、絶対値信号511をB1サンプル501からCFRブロック507に供給するように結合されてもよく、同様に、CFRブロック507は、絶対値信号513をB2サンプル503からCFRブロック505に供給するように結合されてもよい。これにより、CFRブロック505および507は、マルチバンドCFRのためにクロス結合されて、計算上の負担をさらに軽減し得る。
【0066】
たとえば、送信チェーンが毎秒100メガサンプル(mega samples per second:「Msps」)で動作することができると想定し、占有帯域幅が20MHz幅であり、帯域内IMDでは、このような帯域が事実上30MHz幅であると想定する。60MHzの帯域幅割当てがある場合、各々が30MHz幅で適用される2つのサンプルストリームは、60MHzまで帯域幅を拡張するために、デジタル・プリディストーションエンジン400の2つの別個のインスタンスを用いて、デジタル・プリディストーションのために独立して処理されてもよい。しかしながら、2つの60MHz幅の帯域が用いられる場合、デジタル・プリディストーションエンジン500のインスタンスは、デジタル・プリディストーション・エンジン400の4つのネストされたインスタンスと共に用いられてもよい。
【0067】
デジタル・プレディストータエンジン400の複数のインスタンスを用いることにより、サンプルレートを増加させずに帯域幅を拡張させることができ、デジタル・プレディストータエンジン500を用いることにより、モジュール形式で2つ以上の帯域に対応させることができることが認識されるべきである。しかしながら、別のマルチバンドDPDは、以下により詳細に記載されるように、さまざまな理由から、いくつかのシステムにおいて使用されてもよい。たとえば、デジタルパス帯域幅およびRFパス帯域幅の低減は、従来のDPD実現例では帯域幅およびダイナミックレンジを同時に調整することができない場合に、一要因となる可能性がある。別の例としては、各々の帯域がシステムの総帯域幅と比べて小さく、このため、プロセスレートおよび複雑さがマルチバンドDPDの使用によって低減され得る場合もあり得る。さらに別の例として、別個のIMD条件または非オーバーラップ条件付きのさまざまな帯域、すなわち、各帯域からのこのような条件のすべてが互いに直交しており、使用されるサンプルレートの低減を含め、適合の複雑さが著しく低減され得る場合もあり得る。さらに別の例として、各々の帯域が個々にまたは別々に最適化されて、これにより、各帯域におけるさまざまな電力増幅器特徴が独立して最適化され得るのに応じて全体的な性能がより高くなる場合があり得る。
【0068】
この明細書中に記載されたような線形化されたDPDにおいて用いられる一般的な一連の条件を与えるために用いられる上述の式においては、関数Fは多項式条件(たとえば、F(x)=xまたは直交多項式条件)を有する可能性がある。さらに、このような関数Fはスプラインまたは他のいくつかの関数を有するように選択されてもよい。上述の例においては、関数Fは絶対値、すなわちF(|x|(n−k))であった。しかしながら、別の入力は、|x|または他の単調なマッピング関数であってもよい。たとえば、このような2乗を用いて、帯域幅を減じるかまたは最小限にして、より少ないハードウェアでマルチバンドアプリケーションをサポートするために用いられるサンプルレートを低減させてもよい。このような式についての係数が配列に配置されてもよい。この場合、このような配列の水平軸は指数iずつインデックス付けされ、このような配列の垂直軸は指数kずつインデックス付けされ、このような配列またはマトリックスにおけるいくつかの値は、指数kのインスタンスをマスクするためのマスク値であってもよい。たとえば、多項式マスクは、10進法であり得る2進列であってもよい。
【0069】
各々の帯域における信号を表わしているx(n)=x(n)+x(n)のために2つの入力x(n)およびx(n)についてのy(n)を決定するために、絶対値が2乗された関数が用いられてもよい。これにより、このような関数についての上述の式が以下のとおり記載され得る:
【0070】
【数3】
【0071】
このような2つの帯域を分離し、各々の帯域におけるさまざまな非線形(nonlinear:「NL」)応答を可能にすることにより、上述の式が、2つの別個の式として以下のように記載され得る:
【0072】
【数4】
【0073】
この明細書中の式においては、活用変化を示すために上付き文字*を用いる。関数Fは、非線形チャネルについての2次元メモリレス関数であってもよい。上述の2つの式を4つの1次元方程式に分解して、このような2次元方程式に正確に近似させて、複雑さを低減させ得る。このような1次元方程式は以下のとおりである:
【0074】
【数5】
【0075】
この場合、Gは1次元非線形関数を表わす。マトリックスAjは、1×2次元であってもよく、これは、2つ以上の入力絶対値を、関数Gによって使用される入力の単一線形結合に変換する。十分な数の非線形関数があれば、所望される多次元非線形関数は、1次元関数Gを用いて、十分なレベルの精度で近似させることができる。
【0076】
上述の方程式から、1次元非線形関数が各々のDPDブロックのために用いられてもよい。従来、各々のDPDブロックは、2次元ルックアップテーブル(look-up table:「LUT」)を用いて実現されてもよい。しかしながら、次元数が大きくなると、N次元のNL関数を表わすのに用いられる条件の数も同様に大きくなり、このため、より複雑なおよび/またはよりメモリ集約的なLUTが用いられる。しかしながら、以下にさらに詳細に記載されるように、たとえば、2次元非線形関数とその後続の1次元非線形関数との組合せを用いて上方から多次元の非線形関数Fを近似させ得るのではなく、線形変換を用いることにより、1次元非線形関数付きのDPDを提供して、複雑さおよびリソース使用を低減させてもよい。
【0077】
図6は、例示的なマルチバンド・デジタル・プレディストータエンジン600を示すブロック図である。デジタル・プレディストータエンジン600は、シングルバンド適用のために最後の加算器550なしでも上半分または上部分690だけを用いる可能性がある。このような実現例においては、同じものが存在し得ないので、別の部分または別の半分とのクロス結合は存在し得ないだろう。しかしながら、マルチバンド実現例を認識するために、デジタル・プレディストータエンジン600は、2つの別個の帯域のためのバンドパス681およびバンドパス682を有するように記載されている。
【0078】
デジタル・プレディストータエンジン600の入力段は、バンドパス681についての入力サンプル603−1および別個のバンドパス682についての入力サンプル603−2を受信するように結合されてもよい。別個であるものの、バンドパス681および682は、以下にさらに詳細に述べられるようにクロス結合される。
【0079】
デジタル・プレディストータエンジン600の入力段691は、入力サンプル603−1についての変換済み絶対値604−1、入力サンプル603−2についての変換済み絶対値605−2、入力サンプル603−1についてのクロス結合された変換済み絶対値605−1、および入力サンプル603−2についてのクロス結合された変換済み絶対値604−2を供給するように構成されてもよい。
【0080】
デジタル・プレディストータエンジン600の、この例においてはデジタル・プレディストータ441および443の第1の対であるデジタル・プレディストータの第1のセットは、第1のバンドについての入力サンプル603−1を受信し、変換済み絶対値604−1およびクロス結合された変換済み絶対値604−2をそれぞれ受信するように結合されてもよい。変換済み絶対値604−1がサンプル絶対値617についての非線形関数の1次元線形変換である場合、クロス結合された変換済み絶対値604−2は、サンプル絶対値619についてのこのような非線形関数の1次元線形変換である。
【0081】
デジタル・プレディストータエンジン600の、この例においてはデジタル・プレディストータ445および447の第2の対であるデジタル・プレディストータの第2のセットは、入力サンプル603−2を受信し、変換済み絶対値605−2およびクロス結合された変換済み絶対値605−1をそれぞれ受信するように結合されてもよい。
【0082】
デジタル・プレディストータエンジン600の出力段592は概して上述したものと同じであってもよいが、図5の入力段591と入力段691との間に違いがあるために、いくつかの信号が異なる可能性がある。したがって、出力段592の説明はここでは繰返されない。
【0083】
デジタル・プレディストータエンジン600の入力段691は、絶対値ブロック613および615、ならびに線形変換ブロック(linear transformation block:「L.T.」)601および602を含む。絶対値ブロック613および615は、それぞれ、絶対値が2乗されたブロックであってもよい。
【0084】
絶対値ブロック613は、入力サンプル603−1を受信して、そこから出力されるサンプル絶対値617を供給するように結合されてもよい。絶対値ブロック615は、入力サンプル603−2を受信して、そこから出力されるサンプル絶対値619を供給するように結合されてもよい。線形変換ブロック601は、サンプル絶対値617およびサンプル絶対値619を受信して、変換済み絶対値604−1およびクロス結合された変換済み絶対値604−2をそれぞれ供給するように結合されてもよい。線形変換ブロック602は、サンプル絶対値619およびサンプル絶対値617を受信して、変換済み絶対値605−2およびクロス結合された変換済み絶対値605−1を供給するように結合されてもよい。
【0085】
デジタル・プレディストータ441およびデジタル・プレディストータ443は、第1の帯域の入力サンプル603−1を受信するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータ445およびデジタル・プレディストータ447は、入力サンプル603−2を受信するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータ441は、変換済み絶対値604−1を受信するように結合されてもよく、デジタル・プレディストータ443は、クロス結合された変換済み絶対値604−2を受信するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータ445は、変換済み絶対値605−2を受信するように結合されてもよく、デジタル・プレディストータ447は、クロス結合された変換済み絶対値605−1を受信するように結合されてもよい。
【0086】
デジタル・プレディストータ441は、入力サンプル603−1と、そのための変換済み絶対値604−1とについての予歪み出力431を供給するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータ443は、入力サンプル603−1およびクロス結合された変換済み絶対値604−2についての予歪み出力432を供給するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータ445は、入力サンプル603−2および変換済み絶対値605−2についての予歪み出力433を供給するように結合されてもよい。デジタル・プレディストータ447は、入力サンプル603−2およびクロス結合された変換済み絶対値605−1についての予歪み出力434を供給するように結合されてもよい。
【0087】
図4Aおよび図4Bのデジタル・プレディストータエンジン400、図5のデジタル・プレディストータエンジン500、ならびに/または、図6のマルチバンド・デジタル・プレディストータエンジン600は、1つ以上のASIC、ASSPおよび/またはFPGAを含むがこれらに限定されない1つ以上のICを用いて実現されてもよい。たとえば、FPGA実現例の場合、エンジン400、500または600は、図1のFPGA100のDSPブロックまたはスライス106を用いて実現されてもよい。
【0088】
上述の説明に留意しつつ、利用可能なDPD帯域幅の拡張を、上述のとおりモジュール方式でおこなってもよい。この明細書中に記載されるようなデジタル・プレディストータエンジンは、より広い帯域幅およびより高い性能DPDソリューションに編成されるようにビルディングブロックとして用いられてもよい。より高性能のDPDには、このようなモジュール方式のデジタル・プレディストータエンジンが設けられてもよい。なぜなら、さまざまな周波数帯域での電力増幅器動作の変化に対応するために各々の帯域を別々に最適化することができるからである。帯域の位置および大きさは、電力増幅器、信号および性能のパラメータに一致した性能を最適化させるように調整され得る。さらに、このようなモジュール方式のデジタル・プレディストータエンジンを用いて占有帯域幅に対する複雑さが減じられる。この場合、このような占有帯域幅は、エンド・ツー・エンド帯域幅よりも実質的に狭くなっている。このようなモジュール方式のデジタル・プレディストータエンジンは、送信RFパス帯域幅に効率的に一致したDPD出力帯域幅が選択できるという観点から、より高い融通性を提供し得る。エイリアシングがDPDの性能を低下させる可能性があるので、このような調整済みDPDを用いてエイリアシングを除去してもよく、従来のDPDと比べて計算上の労力を増大させることなく、このようなモジュール方式のDPDが提供され得る。加えて、このようなモジュール方式のデジタル・プレディストータエンジンは、何らかの客観的なメトリクスによってより効率的になり得る特定のトポロジを提供するように、DPDトポロジを抽出することを可能にする。
【0089】
この明細書中に記載された例示的な装置は、概して、デジタル・プリディストーションに関する。このような装置においては、デジタル・プレディストータエンジンは第1のパスおよび第2のパスを有する。デジタル・プレディストータエンジンの入力段は、入力サンプルを受信するように結合され、入力サンプルを第1のサンプルおよび第2のサンプルに分離するように構成される。入力段はさらに、第1のサンプルについての第1の絶対値および第2のサンプルについての第2の絶対値を供給するように構成される。デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第1のセットは、第1のサンプル、第1の絶対値および第2の絶対値を受信するように結合される。デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第2のセットは、第2のサンプル、第2の絶対値および第1の絶対値を受信するように結合される。デジタル・プレディストータエンジンの出力段は、デジタル・プレディストータの第1のセットおよびデジタル・プレディストータの第2のセットから予歪み出力を受信するように結合され、デジタル・プレディストータの第1のセットおよびデジタル・プレディストータの第2のセットから予歪み出力のデジタル予歪み複合信号を供給するように構成される。
【0090】
いくつかのこのような装置においては、デジタル・プレディストータエンジンはシングルバンド・デジタル・プレディストータエンジンである。
【0091】
いくつかのこのような装置においては、第1のパスは偶数サンプルパスであり、第2のパスは奇数サンプルパスであり、デジタル・プレディストータの第1のセットはデジタル・プレディストータの第1の対であり、デジタル・プレディストータの第2のセットはデジタル・プレディストータの第2の対である。
【0092】
いくつかのこのような装置においては、入力段は、入力サンプルを受信して偶数サンプルおよび奇数サンプルをそこから供給するように結合されたデマルチプレクサと、偶数サンプルを受信して、偶数サンプルの偶数絶対値を供給するように結合された第1の絶対値ブロックと、奇数サンプルを受信して、奇数サンプルの奇数絶対値を供給するように結合された第2の絶対値ブロックとを含む。
【0093】
いくつかのこのような装置においては、デジタル・プレディストータエンジンは、第1のパスおよび第2のパスとして、それぞれ、第1のバンドパスおよび第2のバンドパスを有するマルチバンド・デジタル・プレディストータエンジンであり、デジタル・プレディストータエンジンの入力段は、第1のバンドパスを介して第1のサンプルと第2のバンドパスを介して第2のサンプルとを受信するように結合される。
【0094】
いくつかのこのような装置においては、入力段はさらに、第1のサンプルについての第1の補間済みサンプルおよび第2のサンプルについての第2の補間済みサンプルと、第1の絶対値を供給するために第1の補間済みサンプルについての第1の補間済み絶対値、および、第2の絶対値を供給するために第2の補間済みサンプルについての第2の補間済み絶対値と、を供給するように構成される。
【0095】
いくつかのこのような装置においては、デジタル・プレディストータの第1のセットは、第1のサンプル、第1の絶対値および第2の絶対値として、それぞれ、第1の補間済みサンプル、第1の補間済み絶対値および第2の補間済み絶対値を受信するように結合されたデジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第1の対であり、デジタル・プレディストータの第2のセットは、第2のサンプル、第2の絶対値および第1の絶対値として、それぞれ、第2の補間済みサンプル、第2の補間済み絶対値および第1の補間済み絶対値を受信するように結合されたデジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第2の対である。
【0096】
いくつかのこのような装置においては、デジタル・プレディストータエンジンの出力段は、デジタル・プレディストータの第1の対およびデジタル・プレディストータの第2の対から予歪み出力を受信するように結合され、デジタル・プレディストータの第1の対およびデジタル・プレディストータの第2の対から予歪み出力のデジタル予歪み複合信号を供給するように構成される。
【0097】
いくつかのこのような装置においては、入力サンプルは2次元非線形関数のためのものである。
【0098】
いくつかのこのような装置においては、第1の絶対値および第2の絶対値は各々、1次元非線形関数についての線形変換である。
【0099】
この明細書中に記載された例示的な方法は、概して、デジタル・プリディストーションに関する。デジタル・プリディストーションのためのこのような方法は、第1のパス、第2のパス、入力段、デジタル・プレディストータおよび出力段を有するデジタル・プレディストータエンジンを設けるステップと、入力段で入力サンプルを受信するステップと、入力段で、入力サンプルを第1のサンプルおよび第2のサンプルに分離するステップと、入力段で、第1のサンプルについての第1の絶対値および第2のサンプルについての第2の絶対値を供給するステップと、デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第1のセットで、第1のサンプル、第1の絶対値および第2の絶対値を受信するステップと、デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第2のセットで、第2のサンプル、第2の絶対値および第1の絶対値を受信するステップと、出力段で、デジタル・プレディストータの第1のセットおよびデジタル・プレディストータの第2のセットから予歪み出力を受信するステップと、デジタル・プレディストータの第1のセットおよびデジタル・プレディストータの第2のセットからの予歪み出力のデジタル予歪み複合信号を、出力段から供給するステップとを含む。
【0100】
いくつかのこのような方法においては、デジタル・プレディストータエンジンはシングルバンド・デジタル・プレディストータエンジンである。
【0101】
いくつかのこのような方法においては、当該方法は、入力段のデマルチプレクサによって入力サンプルを逆多重化して、そこから偶数サンプルおよび奇数サンプルを供給するステップと、入力段の第1の絶対値ブロックによって偶数サンプルを受信して、偶数サンプルの偶数絶対値を供給するステップと、入力段の第2の絶対値ブロックによって奇数サンプルを受信して、奇数サンプルの奇数絶対値を供給するステップとを含む。
【0102】
いくつかのこのような方法においては、デジタル・プレディストータエンジンは、第1のパスおよび第2のパスとして、それぞれ、第1のバンドパスおよび第2のバンドパスを有するマルチバンド・デジタル・プレディストータエンジンであり、デジタル・プレディストータエンジンの入力段は、第1のバンドパスを介して第1のサンプルと第2のバンドパスを介して第2のサンプルとを受信するように結合される。
【0103】
いくつかのこのような方法においては、当該方法は、第1のサンプルおよび第2のサンプルを入力段によって補間して、それぞれ、第1の補間済みサンプルおよび第2の補間済みサンプルを供給するステップと、第1の絶対値を供給するために第1の補間済みサンプルについての第1の補間済み絶対値と、第2の絶対値を供給するために第2の補間済みサンプルについての第2の補間済み絶対値とを、入力段で生成するステップとをさらに含み得る。
【0104】
この明細書中に記載された別の例示的な装置は、概して、マルチパス・デジタル・プリディストーションに関する。このような装置においては、シングルバンド・デジタル・プレディストータエンジンは、第1のサンプルパスおよび第2のサンプルパスを有する。デジタル・プレディストータエンジンの入力段は、入力サンプルを受信するように結合され、入力サンプルを第1のサンプルおよび第2のサンプルに分離するように構成される。入力段はさらに、第1のサンプルについての第1の絶対値および第2のサンプルについての第2の絶対値を供給するように構成される。デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第1のセットは、第1のサンプル、第1の絶対値および第2の絶対値を受信するように結合される。デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第2のセットは、第2のサンプル、第2の絶対値および第1の絶対値を受信するように結合される。デジタル・プレディストータエンジンの出力段は、デジタル・プレディストータの第1のセットおよびデジタル・プレディストータの第2のセットから予歪み出力を受信するように結合され、デジタル・プレディストータの第1のセットおよびデジタル・プレディストータの第2のセットから予歪み出力のデジタル予歪み複合信号を供給するように構成される。
【0105】
いくつかのこのような装置においては、第1のサンプルパスは偶数サンプルパスであり、第2のサンプルパスは奇数サンプルパスであり、デジタル・プレディストータの第1のセットはデジタル・プレディストータの第1の対であり、デジタル・プレディストータの第2のセットはデジタル・プレディストータの第2の対である。
【0106】
いくつかのこのような装置においては、入力段は、入力サンプルを受信して、そこから偶数サンプルおよび奇数サンプルを供給するように結合されたデマルチプレクサと、偶数サンプルを受信して、偶数サンプルの偶数絶対値を供給するように結合された第1の絶対値ブロックと、奇数サンプルを受信して、奇数サンプルの奇数絶対値を供給するように結合された第2の絶対値ブロックとを含む。
【0107】
いくつかのこのような装置においては、デジタル・プレディストータの第1の対の第1のデジタル・プレディストータおよび第2のデジタル・プレディストータは、偶数サンプルを受信するように結合され、デジタル・プレディストータの第2の対の第3のデジタル・プレディストータおよび第4のデジタル・プレディストータは、奇数サンプルを受信するように結合され、第1のデジタル・プレディストータおよび第4のデジタル・プレディストータは偶数サンプル絶対値を受信するように結合され、第2のデジタル・プレディストータおよび第3のデジタル・プレディストータは奇数サンプル絶対値を受信するように結合され、第1のデジタル・プレディストータは、偶数サンプルおよび偶数サンプル絶対値についての第1の予歪み出力を供給するように結合され、第2のデジタル・プレディストータは、偶数サンプルおよび奇数サンプル絶対値についての第2の予歪み出力を供給するように結合され、第3のデジタル・プレディストータは、奇数サンプルおよび奇数サンプル絶対値についての第3の予歪み出力を供給するように結合され、第4のデジタル・プレディストータは、奇数サンプルおよび偶数サンプル絶対値についての第4の予歪み出力を供給するように結合され、予歪み出力は、第1の予歪み出力、第2の予歪み出力、第3の予歪み出力および第4の予歪み出力を含む。
【0108】
いくつかのこのような装置においては、出力段は、第1の予歪み出力および第2の予歪み出力を追加して、第1のデジタル予歪みサンプルを供給するように結合された第1の加算器と、第3の予歪み出力および第4の予歪み出力を追加して、第2のデジタル予歪みサンプルを供給するように結合された第2の加算器と、第1のデジタル予歪みサンプルおよび第2のデジタル予歪みサンプルを受信して、マルチプレクサから出力される第1のデジタル予歪みサンプルと第2のデジタル予歪みサンプルとを交互に選択して、デジタル予歪み複合信号についてのデジタル予歪み出力サンプルを供給するように結合されたマルチプレクサとを含む。
【0109】
この明細書中に記載されたさらに別の例示的な装置は、概して、マルチバンド・デジタル・プリディストーションに関する。このような装置においては、マルチバンド・デジタル・プレディストータエンジンは第1のバンドパスおよび第2のバンドパスを有する。デジタル・プレディストータエンジンの入力段は、第1のバンドパスを介して第1の入力サンプルと第2のバンドパスを介して第2の入力サンプルとを受信するように結合される。入力段は、第1の入力サンプルについての第1の補間済みサンプルおよび第2の入力サンプルについての第2の補間済みサンプルを供給するように構成される。入力段はさらに、第1の補間済みサンプルについての第1の補間済み絶対値と、第2の補間済みサンプルについての第2の補間済み絶対値とを供給するように構成される。デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第1の対は、第1の補間済みサンプル、第1の補間済み絶対値および第2の補間済み絶対値を受信するように結合される。デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第2の対は、第2の補間済みサンプル、第2の補間済み絶対値および第1の補間済み絶対値を受信するように結合される。出力段は、デジタル・プレディストータの第1の対およびデジタル・プレディストータの第2の対から予歪み出力を受信するように結合され、デジタル・プレディストータの第1の対およびデジタル・プレディストータの第2の対から予歪み出力のデジタル予歪み複合信号を供給するように構成される。
【0110】
いくつかのこのような装置においては、入力段は、第1の入力サンプルを受信して第1の補間済みサンプルを供給するように結合された第1の補間器と、第2の入力サンプルを受信して第2の補間済みサンプルを供給するように結合された第2の補間器と、第1の補間済みサンプルを受信して第1の補間済み絶対値を供給するように結合された第1の絶対値ブロックと、第2の補間済みサンプルを受信して第2の補間済み絶対値を供給するように結合された第2の絶対値ブロックとを含む。
【0111】
いくつかのこのような装置においては、デジタル・プレディストータの第1の対の第1のデジタル・プレディストータおよび第2のデジタル・プレディストータは、第1の補間済みサンプルを受信するように結合され、デジタル・プレディストータの第2の対の第3のデジタル・プレディストータおよび第4のデジタル・プレディストータは、第2の補間済みサンプルを受信するように結合され、第1のデジタル・プレディストータは、第1の補間済み絶対値を受信するように結合され、第2のデジタル・プレディストータは、第2の補間済み絶対値を受信するように結合され、第3のデジタル・プレディストータは、第2の補間済み絶対値を受信するように結合され、第4のデジタル・プレディストータは、第1の補間済み絶対値を受信するように結合される。
【0112】
いくつかのこのような装置においては、第1のデジタル・プレディストータは、第1の補間済みサンプルおよび第1の補間済み絶対値についての第1の予歪み出力を供給するように結合され、第2のデジタル・プレディストータは、第1の補間済みサンプルおよび第2の補間済み絶対値についての第2の予歪み出力を供給するように結合され、第3のデジタル・プレディストータは、第2の補間済みサンプルおよび第2の補間済み絶対値についての第3の予歪み出力を供給するように結合され、第4のデジタル・プレディストータは、第2の補間済みサンプルおよび第1の補間済み絶対値についての第4の予歪み出力を供給するように結合され、予歪み出力は、第1の予歪み出力、第2の予歪み出力、第3の予歪み出力、および第4の予歪み出力を含む。
【0113】
いくつかのこのような装置においては、出力段は、第1の予歪み出力および第2の予歪み出力を追加して、第1のデジタル予歪みサンプルを供給するように結合された第1の加算器と、第3の予歪み出力および第4の予歪み出力を追加して、第2のデジタル予歪みサンプルを供給するように結合された第2の加算器とを含む。
【0114】
いくつかのこのような装置においては、出力段はさらに、第1のデジタル予歪みサンプルを受信して、第1のアップコンバート済みサンプルを供給するように結合された第1のデジタルアップコンバータと、第2のデジタル予歪みサンプルを受信して、第2のアップコンバート済みサンプルを供給するように結合された第2のデジタルアップコンバータと、第1のアップコンバート済みサンプルと第2のアップコンバート済みサンプルとを組合わせて、デジタル予歪み複合信号を供給するように結合された第3の加算器とを含む。
【0115】
いくつかのこのような装置においては、装置はさらに、第1のキャリアスタックを受信して第1の入力サンプルを供給するように結合された第1のクレストファクタ低減ブロックと、第2のキャリアスタックを受信して第2の入力サンプルを供給するように結合された第2のクレストファクタ低減ブロックとを含み、第1のキャリアスタックは、第2のキャリアスタックから周波数の間隔を空けて配置され、第1のクレストファク低減ブロックは、第1の絶対値信号を第2のクレストファクタ低減ブロックに供給するように結合され、第2のクレストファクタ低減ブロックは、第2の絶対値信号を第1のクレストファクタ低減ブロックに供給するように結合される。
【0116】
この明細書中に記載される別の例示的な装置は、概して、マルチバンド・デジタル・プリディストーションに関する。このような装置においては、デジタル・プレディストータエンジンはシングルバンドパスを有する。デジタル・プレディストータエンジンの入力段は、バンドパスを介して入力サンプルを受信するように結合される。入力段は、入力サンプルについての第1の絶対値および第2の絶対値を供給するように構成される。入力サンプルは2次元非線形関数のためのものである。第1の絶対値および第2の絶対値は各々、一次元非線形関数についての線形変換である。デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの対は、入力サンプル、第1の絶対値および第2の絶対値を受信するように結合される。デジタル・プレディストータエンジンの出力段は、デジタル・プレディストータの対から予歪み出力を受信するように結合され、デジタル・プレディストータの対から予歪み出力のデジタル予歪み複合信号を供給するように構成される。
【0117】
いくつかのこのような装置においては、バンドパスは第1のバンドパスであり、デジタル・プレディストータエンジンは、第2のバンドとは別個の第1のバンドのための第1のバンドパスおよび第2のバンドパスをそれぞれ含み、入力サンプルは第1の入力サンプルであり、デジタル・プレディストータエンジンの入力段は、第1のバンドパスを介して第1の入力サンプルと第2のバンドパスを介して第2の入力サンプルとを受信するように結合され、第1の絶対値は第1の線形変換済み絶対値であり、入力段は、第1の入力サンプルについての第1の線形変換済み絶対値と、第2の入力サンプルについての第2の線形変換済み絶対値とを供給するように構成され、第2の絶対値は、第1のクロス結合された線形変換済み絶対値であり、入力段はさらに、第2の入力サンプルについての第1のクロス結合された線形変換済み絶対値を供給し、第1の入力サンプルについての第2のクロス結合された線形変換済み絶対値を供給するように構成され、デジタル・プレディストータの対はデジタル・プレディストータの第1の対であり、デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第1の対は、第1の入力サンプルを受信するように結合され、それぞれ、第1の線形変換済み絶対値および第1のクロス結合された線形変換済み絶対値を受信するように結合され、デジタル・プレディストータエンジンのデジタル・プレディストータの第2の対は、第2の入力サンプルを受信するように結合され、それぞれ、第2の線形変換済み絶対値および第2のクロス結合された線形変換済み絶対値を受信するように結合され、予歪み出力は第1の予歪み出力であり、出力段は、デジタル・プレディストータの第1の対から第1の予歪み出力と、デジタル・プレディストータの第2の対から第2の予歪み出力とを受信するように結合され、出力段は、デジタル・プレディストータの第1の対およびデジタル・プレディストータの第2の対から、それぞれ、第1の予歪み出力および第2の予歪み出力のデジタル予歪み複合信号を供給するように構成される。
【0118】
いくつかのこのような装置においては、入力段は、第1の入力サンプルを受信して第1のサンプル絶対値を供給するように結合された第1の絶対値ブロックと、第2の入力サンプルを受信して第2のサンプル絶対値を供給するように結合された第2の絶対値ブロックと、第1のサンプル絶対値および第2のサンプル絶対値を受信して、第1の線形変換済み絶対値および第1のクロス結合された線形変換済み絶対値を供給するように結合された第1の線形変換ブロックと、第1のサンプル絶対値および第2のサンプル絶対値を受信して、第2の線形の変換済み絶対値および第2のクロス結合された線形変換済み絶対値を供給するように結合された第2の線形変換ブロックとを含む。
【0119】
いくつかのこのような装置においては、第1の絶対値ブロックおよび第2の絶対値ブロックは、それぞれ、絶対値が2乗化されたブロックである。
【0120】
いくつかのこのような装置においては、デジタル・プレディストータの第1の対の第1のデジタル・プレディストータおよび第2のデジタル・プレディストータは、第1の入力サンプルを受信するように結合され、デジタル・プレディストータの第2の対の第3のデジタル・プレディストータおよび第4のデジタル・プレディストータは、第2の入力サンプルを受信するように結合され、第1のデジタル・プレディストータは、第1の線形変換済み絶対値を受信するように結合され、第2のデジタル・プレディストータは、第1のクロス結合された線形変換済み絶対値を受信するように結合され、第3のデジタル・プレディストータは、第2の線形変換済み絶対値を受信するように結合され、第4のデジタル・プレディストータは、第2のクロス結合された線形変換済み絶対値を受信するように結合される。
【0121】
いくつかのこのような装置においては、第1のデジタル・プレディストータは、第1の入力サンプルおよび第1の線形変換済み絶対値についての第1の予歪み出力を供給するように結合され、第2のデジタル・プレディストータは、第1の入力サンプルおよび第1のクロス結合された線形変換済み絶対値についての第2の予歪み出力を供給するように結合され、第3のデジタル・プレディストータは、第2の入力サンプルおよび第2の線形変換済み絶対値についての第3の予歪み出力を供給するように結合され、第4のデジタル・プレディストータは、第2の入力サンプルおよび第2のクロス結合された線形変換済み絶対値についての第4の予歪み出力を供給するように結合され、第1の予歪み出力は、第1の予歪み出力および第2の予歪み出力を含み、第2の予歪み出力は、第3の予歪み出力および第4の予歪み出力を含む。
【0122】
いくつかのこのような装置においては、出力段は、第1の予歪み出力および第2の予歪み出力を追加して、第1のデジタル予歪みサンプルを供給するように結合された第1の加算器と、第3の予歪み出力および第4の予歪み出力を追加して、第2のデジタル予歪みサンプルを供給するように結合された第2の加算器と、第1のデジタル予歪みサンプルを受信して、第1のアップコンバート済みサンプルを供給するように結合された第1のデジタルアップコンバータと、第2のデジタル予歪みサンプルを受信して、第2のアップコンバート済みサンプルを供給するように結合された第2のデジタルアップコンバータとを含む。
【0123】
いくつかのこのような装置においては、出力段はさらに、第1のアップコンバート済みサンプルと第2のアップコンバート済みサンプルとを組合わせて、デジタル予歪み複合信号を供給するように結合された第3の加算器を含む。
【0124】
上述において例示的な装置および/または方法を記載してきたが、この明細書中に記載された1つ以上の局面に従った他の例およびさらなる例が、添付の特許請求の範囲およびその同等例によって決定される範囲から逸脱することなく、考案され得る。ステップを列挙する請求項は、如何なる順序のステップをも示唆するものではない。商標はそれぞれの所有者の所有物である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6