(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記NMOSトランジスタと前記PMOSトランジスタとは、複数の前記論理回路の各々に対応して配置されている、または複数の前記論理回路のうちの2つ以上の前記論理回路に対応して配置されている、
請求項1に記載の撮像装置。
【背景技術】
【0002】
TDC(=Time to Digital Converter)型AD変換回路とSS(=Single Slope)型AD変換回路とを組み合せたtdcSS(=time to digital converter Single Slope)型AD変換回路を用いた撮像装置の一例として、特許文献1に開示された構成が知られている。
図15は、第1の従来例のtdcSS型AD変換回路の構成の一部を示している。以下では、
図15に示す回路の構成および動作について説明する。
【0003】
図15に示す回路は、比較部1031、ラッチ部1033、カウント部1034、バッファ回路BUFを有する。比較部1031は、電圧比較器COMPを有する。AD変換の対象となるアナログ信号Signalと、時間の経過と共に減少する参照信号Rampとが電圧比較器COMPに入力される。電圧比較器COMPは、アナログ信号Signalと参照信号Rampとを比較した結果に基づく比較信号COを出力する。ラッチ部1033は、複数のラッチ回路L_0〜L_7を有する。複数のラッチ回路L_0〜L_7は、互いに位相の異なる複数の位相信号CK[0]〜CK[7]の論理状態をラッチする。カウント部1034は、カウンタ回路CNTを有する。カウンタ回路CNTは、ラッチ回路L_7から出力される位相信号CK[7]に基づいてカウントを行う。制御信号RSTは、カウンタ回路CNTのリセット動作を行うための信号である。
【0004】
比較部1031において、アナログ信号Signalの振幅に応じたタイムインターバル(時間軸方向の大きさ)が生成される。バッファ回路BUFは、入力信号を反転して出力する反転バッファ回路である。
【0005】
ラッチ部1033を構成するラッチ回路L_0〜L_7は、バッファ回路BUFからの制御信号HoldがH状態(High状態)のときにイネーブル(有効、トグル)状態である。このとき、ラッチ回路L_0〜L_7は、入力された位相信号CK[0]〜CK[7]をそのまま出力する。また、ラッチ回路L_0〜L_7は、バッファ回路BUFからの制御信号HoldがH状態からL状態(Low状態)に遷移するときにディスエーブル(無効、ホールド)状態となる。このとき、ラッチ回路L_0〜L_7は、入力された位相信号CK[0]〜CK[7]の論理状態をラッチする。
【0006】
次に、第1の従来例の回路の動作について説明する。
図16は、参照信号Ramp、アナログ信号Signal、スタートパルスStartP、位相信号CK[0]〜CK[7]、比較信号CO、バッファ回路BUFからの制御信号Hold、ラッチ部1033のラッチ回路L_0〜L_7の出力信号Q0〜Q7の波形を示している。
図16の横方向は時間を示し、
図16の縦方向は電圧を示している。
【0007】
比較部1031が比較を開始する第1のタイミングで、スタートパルスStartPにより、位相信号CK[0]〜CK[7]の生成が開始される。生成された位相信号CK[0]〜CK[7]はラッチ部1033のラッチ回路L_0〜L_7に入力される。バッファ回路BUFからの制御信号HoldがH状態であるため、ラッチ回路L_0〜L_7はイネーブル状態である。このとき、ラッチ回路L_0〜L_7は、位相信号CK[0]〜CK[7]をそのまま出力する。
【0008】
カウント部1034は、ラッチ部1033のラッチ回路L_7から出力される位相信号CK[7]に基づいてカウントを行う。このカウントでは、位相信号CK[7]の立上りまたは立下りのタイミングでカウント値が増加または減少する。アナログ信号Signalと参照信号Rampとの電圧が略一致した第2のタイミングで比較部1031からの比較信号COが反転する。比較信号COがバッファ回路BUFでバッファリングされた後、第3のタイミングでバッファ回路BUFからの制御信号HoldがL状態となる。
【0009】
これによって、ラッチ回路L_0〜L_7がディスエーブル状態となる。このとき、位相信号CK[0]〜CK[7]の論理状態がラッチ回路L_0〜L_7にラッチされる。カウント部1034は、ラッチ回路L_7が動作を停止することによりカウント値をラッチする。ラッチ部1033がラッチしている論理状態と、カウント部1034がラッチしているカウント値とにより、アナログ信号Signalに対応したデジタルデータが得られる。
【0010】
tdcSS型AD変換回路を用いた撮像装置の他の例として、特許文献2に開示された構成が提案されている。
図17は、第2の従来例のtdcSS型AD変換回路の構成の一部を示している。以下では、
図17に示す回路の構成および動作について説明する。
【0011】
図17に示す回路は、比較部1031、ラッチ制御部1032、ラッチ部1033、カウント部1034を有する。比較部1031、カウント部1034は、
図15に示す比較部1031、カウント部1034とそれぞれ同一である。
【0012】
ラッチ制御部1032は、反転遅延回路DLY、AND回路AND1を有する。ラッチ制御部1032は、ラッチ部1033の動作を制御するための制御信号を生成する。反転遅延回路DLYには、比較部1031からの比較信号COが入力される。反転遅延回路DLYは、比較信号COを反転して遅延させることにより遅延比較信号xCO_Dを生成する。AND回路AND1には、反転遅延回路DLYからの遅延比較信号xCO_Dと比較部1031からの比較信号COとが入力される。AND回路AND1は、遅延比較信号xCO_Dと比較信号COとの論理積(AND)をとった制御信号Hold_Lを出力する。
【0013】
ラッチ部1033は、ラッチ回路L_0〜L_7、AND回路AND2を有する。ラッチ回路L_0〜L_7は、
図15に示すラッチ回路L_0〜L_7と同一である。AND回路AND2は、ラッチ制御部1032の反転遅延回路DLYからの遅延比較信号xCO_Dと制御信号Enableとの論理積(AND)をとった制御信号Hold_Cをラッチ回路L_7に出力する。
【0014】
次に、第2の従来例の回路の動作について説明する。
図18は、スタートパルスStartP、位相信号CK[0]〜CK[7]、遅延比較信号xCO_D、比較信号CO、AND回路AND1からの制御信号Hold_L、制御信号Enable、AND回路AND2からの制御信号Hold_C、ラッチ部1033のラッチ回路L_0〜L_7の出力信号Q0〜Q7の波形を示している。
図18の横方向は時間を示し、
図18の縦方向は電圧を示している。
【0015】
以下では、第1の従来例の回路の動作と異なる部分について説明する。比較部1031が比較を開始する第1のタイミングの後、比較部1031に入力されるアナログ信号Signalと参照信号Rampとの電圧が略一致するまで、比較部1031からの比較信号COはL状態である。比較信号COがL状態である間、反転遅延回路DLYからの遅延比較信号xCO_DはH状態である。反転遅延回路DLYからの遅延比較信号xCO_DがH状態であり、比較部1031からの比較信号COがL状態であるため、AND回路AND1からの制御信号Hold_LはL状態である。このため、ラッチ回路L_0〜L_6はディスエーブル状態である。
【0016】
一方、比較部1031が比較を開始する第1のタイミングで制御信号EnableはH状態であり、反転遅延回路DLYからの遅延比較信号xCO_DがH状態であるため、AND回路AND2からの制御信号Hold_CはH状態である。このため、ラッチ回路L_7はイネーブル状態である。
【0017】
続いて、アナログ信号Signalと参照信号Rampとの電圧が略一致した第2のタイミングで比較部1031からの比較信号COが反転する。反転遅延回路DLYからの遅延比較信号xCO_DがH状態であり、比較部1031からの比較信号COがL状態からH状態に変化するため、AND回路AND1の制御信号Hold_LはL状態からH状態に変化する。これによって、ラッチ回路L_0〜L_6はイネーブル状態となる。
【0018】
さらに、比較部1031からの比較信号COが反転したタイミングから所定の時間が経過した第3のタイミングで反転遅延回路DLYからの遅延比較信号xCO_DがH状態からL状態に変化する。これによって、AND回路AND1の制御信号Hold_LおよびAND回路AND2の制御信号Hold_CがH状態からL状態に変化するため、ラッチ回路L_0〜L_7はディスエーブル状態となる。
【0019】
上記の動作では、第2のタイミングから第3のタイミングまでの期間のみ、ラッチ回路L_0〜L_6が動作する。このため、第1の従来例と比較して、消費電流を低減することができる。
【0020】
反転遅延回路DLYの具体的な構成として、多数のインバータ回路が接続された、いわゆるDelay Lineを適用した構成が考えられる。例えば、Delay Lineは非特許文献1に開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
【0035】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の撮像装置1の構成の一例を示している。
図1に示すように、撮像装置1は、撮像部2、垂直選択部12、水平選択部14、カラム処理部15、出力部17、クロック生成部18、参照信号生成部19、制御部20を有する。
【0036】
撮像部2は、行列状に配置された複数の単位画素3を有する。単位画素3は、入射される電磁波の大きさに応じた画素信号を生成する。単位画素3は、複数の単位画素3の配列の列毎に設けられた垂直信号線13に画素信号を出力する。垂直選択部12は、複数の単位画素3の配列の各行を選択する。クロック生成部18は、互いに位相の異なる複数の位相信号を生成する。参照信号生成部19は、時間の経過とともに増加または減少する参照信号(ランプ波)を生成する。カラム処理部15は、単位画素3から出力された画素信号をAD変換する。水平選択部14は、AD変換されたデジタルデータを水平信号線に読み出す。出力部17は、水平選択部14によって読み出されたデジタルデータを後段の回路に出力する。制御部20は各部を制御する。
【0037】
図1では、簡単のため4行×6列の単位画素3を有する撮像部2が示されている。単位画素3の配列の行数および列数は2以上の任意の自然数であればよい。現実には、撮像部2の各行や各列には、数十から数万の単位画素3が配置される。単位画素3は、フォトダイオード/フォトゲート/フォトトランジスタなどの光電変換素子と、トランジスタ回路とを有する。
【0038】
以下では、各部のより詳細な説明を行う。撮像部2では、単位画素3が4行6列分だけ2次元に配置されている。また、複数の単位画素3の配列の行毎に行制御線11が配線されている。それぞれの行制御線11の一端は、垂直選択部12において各行に対応した出力に接続されている。垂直選択部12は、シフトレジスタあるいはデコーダなどを有する。垂直選択部12は、撮像部2の単位画素3の駆動の際、行制御線11を介して撮像部2の行アドレスと行走査との制御を行う。複数の単位画素3の配列の列毎に垂直信号線13が配置されている。
【0039】
カラム処理部15は、複数の列AD変換部16(列回路)を有する。例えば、複数の列AD変換部16は、複数の単位画素3の配列の列毎、すなわち垂直信号線13毎に配置されている。列AD変換部16は、撮像部2の各単位画素3から複数の単位画素3の配列の列毎に垂直信号線13を介して読み出されるアナログの画素信号をデジタルデータに変換する。本例では、複数の単位画素3の配列の1列毎に1つの列AD変換部16が配置されている。これは一例であり、複数の単位画素3の配列と列AD変換部16との対応関係は、この関係に限定されない。例えば、複数の単位画素3の配列の複数の列に対して1つの列AD変換部16が配置され、この1つの列AD変換部16を複数の列間で時分割により使用することも可能である。カラム処理部15と、出力部17と、クロック生成部18と、参照信号生成部19とは、選択された行の単位画素3から読み出されるアナログの画素信号をデジタルの画素データに変換するアナログ−デジタル変換手段(AD変換回路)を構成している。
【0040】
クロック生成部18は、複数の遅延ユニット(反転素子)が環状に接続された円環遅延回路であって対称発振回路であるVCO(=Voltage Controlled Oscillator)100を有する。VCO100は、各遅延ユニットから、それぞれ一定の位相差を有する複数の位相信号を出力する。出力される位相信号の数が2のべき乗となる非対称発振回路等をクロック生成部18に用いても構わない。クロック生成部18として円環遅延回路が好適である。しかし、それに限らない。
【0041】
例えば、参照信号生成部19は、積分回路を有する。参照信号生成部19は、制御部20による制御に従って、時間の経過に応じてレベルが傾斜状に変化する参照信号、いわゆるランプ波を生成する。参照信号生成部19は、参照信号線を介してカラム処理部15の列AD変換部16に参照信号を供給する。参照信号生成部19は、積分回路を用いた回路に限られない。参照信号生成部19にDAC回路を用いても構わない。DAC回路を用いてデジタル的にランプ波が生成される場合、ランプ波がより細かいステップを有する、あるいはランプ波がそれと同等の性質を有することが望ましい。
【0042】
水平選択部14は、シフトレジスタあるいはデコーダなどを有する。水平選択部14は、カラム処理部15の列AD変換部16の列アドレスと列走査との制御を行う。この水平選択部14による制御に従って、列AD変換部16によってAD変換されたデジタルデータは順に水平信号線を介して出力部17に読み出される。
【0043】
制御部20は、TG(=Timing Generator)の機能ブロックと、このTGと通信を行うための機能ブロックとを有する。TGは、垂直選択部12、クロック生成部18、参照信号生成部19、水平選択部14、カラム処理部15、出力部17などの各部の動作に必要なクロックと、所定タイミングを示すためのパルス信号とを供給する。
【0044】
出力部17は、2進化されたデジタルデータを出力する。出力部17はバッファリング機能を有する。また、出力部17は、例えば黒レベル調整、列バラツキ補正、色処理などの信号処理機能を内蔵しても構わない。さらに、出力部17がnビットパラレルのデジタルデータをシリアルデータに変換し、シリアルデータを出力してもよい。
【0045】
次に、列AD変換部16の構成について説明する。列AD変換部16は、単位画素3から読み出されるアナログの画素信号を参照信号生成部19からの参照信号と比較することにより、画素信号の大きさに対応した時間軸方向の大きさ(パルス幅)を持つパルス信号を生成する。列AD変換部16は、このパルス信号のパルス幅の期間に対応したデジタルデータを生成することによってAD変換を行う。
【0046】
列AD変換部16の構成の詳細について説明する。列AD変換部16は複数の単位画素3の配列の列毎に配置されている。
図1では6つの列AD変換部16が配置されている。各列の列AD変換部16は同一である。列AD変換部16は、複数の機能回路部を有する。列AD変換部16が有する複数の機能回路部は、比較部31(第1の機能回路部)、ラッチ制御部32(第4の機能回路部)、比較遅延部33(第3の機能回路部)、ラッチ部34(第2の機能回路部)、カウント部35である。
【0047】
比較部31は、複数の単位画素3の配列の列に対応して配置されている。前述したように、複数の単位画素3の配列の複数の列に対して1つの列AD変換部16が配置されていてもよい。このため、複数の単位画素3の配列の複数の列に対して1つの比較部31が配置されていてもよい。つまり、複数の単位画素3の配列の1列毎または複数列毎に比較部31が配置される。
【0048】
比較部31は、撮像部2の単位画素3から垂直信号線13を介して出力されるアナログの画素信号に応じた信号電圧と、参照信号生成部19から供給される参照信号のランプ電圧とを比較する。これによって、比較部31は、画素信号の大きさを、時間軸方向の情報(パルス信号のパルス幅)に変換する。比較部31が出力する比較信号は、例えばランプ電圧が信号電圧よりも大きいときにはHighレベル(Hレベル)になり、ランプ電圧が信号電圧以下のときにはLowレベル(Lレベル)になる。
【0049】
比較部31は、単位画素3から出力される画素信号と参照信号とを比較する処理(比較処理)を第1のタイミングで開始する。また、比較部31は、参照信号が画素信号に対して所定の条件を満たした第2のタイミングで比較処理を終了する。本例では、第2のタイミングは、参照信号と画素信号との電圧が略一致したタイミングである。比較部31が比較処理を終了するタイミングで比較部31からの比較信号が反転する。したがって、比較部31は、画素信号と参照信号とを比較し、参照信号が画素信号に対して所定の条件を満たしたタイミングで比較信号を出力する。
【0050】
ラッチ制御部32、比較遅延部33、ラッチ部34、カウント部35は、比較部31に対応して配置されている。ラッチ部34は、複数のラッチ回路L_0〜L_7を有する。複数のラッチ回路L_0〜L_7は、クロック生成部18から出力された複数の位相信号の論理状態をラッチ(保持/記憶)する。したがって、ラッチ部34は、複数の位相信号の論理状態をラッチする。ラッチ部34がラッチした複数の位相信号の論理状態に基づいて出力部17でエンコードが行われる。これによって、デジタルデータを構成する下位ビットのデータ(下位データ)が得られる。
【0051】
ラッチ制御部32は、ラッチ部34の動作を制御するための制御信号を生成する。ラッチ制御部32は、比較遅延部33を有する。比較遅延部33は、比較部31からの比較信号を所定の時間だけ遅延させることにより遅延比較信号を生成する。第1の電圧VDD1と、第2の電圧GND1と、第3の電圧VDD2と、第4の電圧GND2とが比較遅延部33に供給される。これらの電圧については後述する。
【0052】
ラッチ制御部32は、比較部31からの比較信号が反転した第2のタイミングでラッチ部34を有効にする。第2のタイミングの後、ラッチ制御部32は、比較遅延部33からの遅延比較信号に基づく第3のタイミングでラッチ部34にラッチを実行させる。つまり、ラッチ制御部32は、反転した比較信号に基づくタイミングでラッチ部34を有効にし、その比較信号に対応した遅延比較信号に基づくタイミングでラッチ部34にラッチを実行させる。
【0053】
カウント部35は、クロック生成部18から出力される位相信号(本例では位相信号CK[7])に基づいてカウントを行う。カウント部35がカウントを行うことによって、デジタルデータを構成する上位ビットのデータ(上位データ)が得られる。
【0054】
ラッチ部34にラッチされる複数の位相信号CK[0]〜CK[7]の論理状態に応じた信号は、例えば8ビットのデータを構成する。また、カウント部35のカウント値に応じた信号は、例えば10ビットのデータを構成する。10ビットは一例であって、10ビット未満のビット数(例えば、8ビット)や10ビットを超えるビット数(例えば、12ビット)などであっても構わない。
【0055】
次に、本例の動作について説明する。ここでは、単位画素3の具体的な動作については説明を省略する。周知のように単位画素3ではリセットレベルと信号レベルとが出力される。
【0056】
AD変換は、以下のようにして行われる。例えば、所定の傾きで下降する参照信号と、画素信号との各電圧が比較される。この比較が開始された第1のタイミングから、参照信号の電圧(ランプ電圧)と画素信号の電圧とが第2のタイミングで一致した後、さらに所定時間が経過した第3のタイミングまでの期間の長さが計測される。この計測は、カウント部35のカウント値と、ラッチ部34にラッチされた複数の位相信号CK[0]〜CK[7]の論理状態とに基づく。これによって、画素信号の大きさに対応したデジタルデータが得られる。
【0057】
本例では、単位画素3から読み出されたリセットレベルと信号レベルとのそれぞれに対して、上記のAD変換が行われる。具体的には、選択された行の単位画素3から、1回目の読出し動作により、画素信号の雑音を含むリセットレベルが読み出され、AD変換が行われる。続いて、2回目の読出し動作により、単位画素3に入射された電磁波に応じた信号レベルが読み出され、AD変換が行われる。その後、リセットレベルと信号レベルとの減算(CDS処理)をデジタル的に行うことにより、信号成分に応じたデジタルデータが得られる。1回目の読出し動作で信号レベルを読み出してAD変換し、その後の2回目の読出し動作でリセットレベルを読み出してAD変換しても構わない。また、これに限る必要もない。
【0058】
(1回目の読出し)
複数の単位画素3の配列における任意の行の単位画素3から垂直信号線13に出力された画素信号(リセットレベル)が安定した後、制御部20は、参照信号生成部19に対して、参照信号生成の制御データを供給する。これによって、参照信号生成部19は、波形が全体として時間的にランプ状に変化する参照信号を出力する。参照信号は、比較部31の第1の入力端子に与えられる。画素信号は、比較部31の第2の入力端子に与えられる。比較部31は、この参照信号と画素信号とを比較する。ラッチ制御部32は、比較部31により比較が開始されたタイミング(第1のタイミング)でラッチ部34のラッチ回路L_7をイネーブル(有効、トグル)状態とする。また、カウント部35は、クロック生成部18からの位相信号CK[7]をカウントクロックとしてカウントを行う。
【0059】
比較部31は、参照信号生成部19から与えられる参照信号と、画素信号とを比較し、双方の電圧が略一致したとき(第2のタイミング)に、比較信号を反転させる。比較部31からの比較信号が反転したとき、ラッチ制御部32はラッチ部34のラッチ回路L_0〜L_6をイネーブル状態とする。
【0060】
比較部31からの比較信号が反転した後、ラッチ制御部32からの制御信号が反転したとき(第3のタイミング)、ラッチ部34のラッチ回路L_0〜L_7がディスエーブル(無効、ホールド)状態となる。これによって、ラッチ部34のラッチ回路L_0〜L_7は、クロック生成部18からの複数の位相信号CK[0]〜CK[7]の論理状態をラッチする。同時に、カウント部35は、カウント値をラッチする。これによって、リセットレベルに応じたデジタルデータが得られる。制御部20は、所定の期間が経過すると、参照信号生成部19への制御データの供給と、クロック生成部18からの位相信号の出力とを停止する。これによって、参照信号生成部19は、参照信号の生成を停止する。
【0061】
(2回目の読出し)
複数の単位画素3の配列における任意の行の単位画素3から垂直信号線13に出力された画素信号(信号レベル)が安定した後、制御部20は、参照信号生成部19に対して、参照信号生成の制御データを供給する。これによって、参照信号生成部19は、波形が全体として時間的にランプ状に変化する参照信号を出力する。参照信号は、比較部31の第1の入力端子に与えられる。画素信号は、比較部31の第2の入力端子に与えられる。比較部31は、この参照信号と画素信号とを比較する。ラッチ制御部32は、比較部31により比較が開始されたタイミング(第1のタイミング)でラッチ部34のラッチ回路L_7をイネーブル状態とする。また、カウント部35は、クロック生成部18からの位相信号CK[7]をカウントクロックとしてカウントを行う。
【0062】
比較部31は、参照信号生成部19から与えられる参照信号と、画素信号とを比較し、双方の電圧が略一致したとき(第2のタイミング)に、比較信号を反転させる。比較部31からの比較信号が反転したとき、ラッチ制御部32はラッチ部34のラッチ回路L_0〜L_6をイネーブル状態とする。
【0063】
比較部31からの比較信号が反転した後、ラッチ制御部32からの制御信号が反転したとき(第3のタイミング)、ラッチ部34のラッチ回路L_0〜L_7がディスエーブル状態となる。これによって、ラッチ部34のラッチ回路L_0〜L_7は、クロック生成部18からの複数の位相信号CK[0]〜CK[7]の論理状態をラッチする。同時に、カウント部35は、カウント値をラッチする。これによって、信号レベルに応じたデジタルデータが得られる。制御部20は、所定の期間が経過すると、参照信号生成部19への制御データの供給と、クロック生成部18からの位相信号の出力とを停止する。これによって、参照信号生成部19は、参照信号の生成を停止する。
【0064】
リセットレベルに応じたデジタルデータと、信号レベルに応じたデジタルデータとは、水平選択部14により水平信号線を介して出力部17に転送される。出力部17が、デジタルデータに基づくエンコード処理および減算(CDS処理)を行うことによって信号成分のデジタルデータが得られる。出力部17がカラム処理部15に内蔵されていても構わない。
【0065】
次に、比較遅延部33の構成の詳細について説明する。
図2は、比較遅延部33の構成の一例を示している。
図2では、複数の単位画素3の配列の3列に対応する3つの比較遅延部33が示されている。3つの比較遅延部33は同一である。
図2では、3つの比較遅延部33のうち中央の比較遅延部33のみの構成が示されている。便宜のため、他の2つの比較遅延部33の構成は省略されている。
【0066】
図2に示すように、比較遅延部33は、インバータ回路INV1,INV2,INV3、NMOSトランジスタN1,N2,N3、PMOSトランジスタP1,P2,P3、第1の電圧線L11,L12,L13、第2の電圧線L21,L22,L23、第3の電圧線L31,L32,L33、第4の電圧線L41,L42,L43、電圧線L91,L92,L93,L94を有する。電圧線L91,L92,L93,L94は、必ずしも必要ではない。
【0067】
比較遅延部33は、入力された信号を遅延させて出力する複数のインバータ回路INV1,INV2,INV3を有する。インバータ回路INV1,INV2,INV3は、比較遅延部33の論理回路である。インバータ回路INV1,INV2,INV3は直列に接続されている。インバータ回路INV1,INV2,INV3は、入力された信号を反転する。
【0068】
インバータ回路INV1,INV2,INV3は、入力端子と出力端子とを有する。比較部31からの比較信号COがインバータ回路INV1の入力端子に入力される。インバータ回路INV1の出力端子から出力された信号はインバータ回路INV2の入力端子に入力される。インバータ回路INV2の出力端子から出力された信号はインバータ回路INV3の入力端子に入力される。遅延比較信号xCO_Dがインバータ回路INV3の出力端子から出力される。
図2では3つのインバータ回路が示されている。比較遅延部33は1つまたは2つのインバータ回路を有していてもよいし、4つ以上のインバータ回路を有していてもよい。
【0069】
インバータ回路INV1は、第1の電源端子Tu1と第2の電源端子Td1とを有する。インバータ回路INV2は、第1の電源端子Tu2と第2の電源端子Td2とを有する。インバータ回路INV3は、第1の電源端子Tu3と第2の電源端子Td3とを有する。インバータ回路INV1の第1の電源端子Tu1は、NMOSトランジスタN1のソースに電気的に接続されている。インバータ回路INV1の第2の電源端子Td1は、PMOSトランジスタP1のソースに電気的に接続されている。インバータ回路INV2の第1の電源端子Tu2は、NMOSトランジスタN2のソースに電気的に接続されている。インバータ回路INV2の第2の電源端子Td2は、PMOSトランジスタP2のソースに電気的に接続されている。インバータ回路INV3の第1の電源端子Tu3は、NMOSトランジスタN3のソースに電気的に接続されている。インバータ回路INV3の第2の電源端子Td3は、PMOSトランジスタP3のソースに電気的に接続されている。インバータ回路INV1,INV2,INV3の入力信号と出力信号との間の遅延時間は、第1の電源端子Tu1,Tu2,Tu3と第2の電源端子Td1,Td2,Td3との各々に供給される電圧の差の大きさに応じて変化する。
【0070】
第1の電圧線L11,L12,L13と、第2の電圧線L21,L22,L23と、第3の電圧線L31,L32,L33と、第4の電圧線L41,L42,L43とは、水平方向(
図2の横方向)に配置されている。電圧線L91,L92,L93,L94は、垂直方向(
図2の縦方向)に配置されている。
【0071】
NMOSトランジスタN1のドレインは、第1の電圧線L11に電気的に接続されている。NMOSトランジスタN1のゲートは、第3の電圧線L31に電気的に接続されている。NMOSトランジスタN2のドレインは、第1の電圧線L12に電気的に接続されている。NMOSトランジスタN2のゲートは、第3の電圧線L32に電気的に接続されている。NMOSトランジスタN3のドレインは第1の電圧線L13に電気的に接続されている。NMOSトランジスタN3のゲートは第3の電圧線L33に電気的に接続されている。
【0072】
PMOSトランジスタP1のドレインは、第2の電圧線L21に電気的に接続されている。PMOSトランジスタP1のゲートは、第4の電圧線L41に電気的に接続されている。PMOSトランジスタP2のドレインは、第2の電圧線L22に電気的に接続されている。PMOSトランジスタP2のゲートは、第4の電圧線L42に電気的に接続されている。PMOSトランジスタP3のドレインは、第2の電圧線L23に電気的に接続されている。PMOSトランジスタP3のゲートは、第4の電圧線L43に電気的に接続されている。
【0073】
第1の電圧線L11,L12,L13と第3の電圧線L31,L32,L33とは、複数の比較遅延部33に対して共通に配置されている。本例では、第1の電圧線L11,L12,L13と第3の電圧線L31,L32,L33とは、水平方向(
図3の横方向)に並ぶ複数の比較遅延部33を横切るように配置されている。また、第1の電圧線L11,L12,L13と第3の電圧線L31,L32,L33とは、複数の比較遅延部33の各々において電気的に分離されている。
【0074】
第2の電圧線L21,L22,L23と第4の電圧線L41,L42,L43とは、複数の比較遅延部33に対して共通に配置されている。本例では、第2の電圧線L21,L22,L23と第4の電圧線L41,L42,L43とは、水平方向(
図3の横方向)に並ぶ複数の比較遅延部33を横切るように配置されている。また、第2の電圧線L21,L22,L23と第4の電圧線L41,L42,L43とは複数の比較遅延部33の各々において電気的に分離されている。
【0075】
第1の電圧線L12と第1の電圧線L13とは、比較遅延部33が配置されている領域の外側で第1の電圧線L11に接続されている。第2の電圧線L22と第2の電圧線L23とは、比較遅延部33が配置されている領域の外側で第2の電圧線L21に接続されている。第3の電圧線L32と第3の電圧線L33とは、比較遅延部33が配置されている領域の外側で第3の電圧線L31に接続されている。第4の電圧線L42と第4の電圧線L43とは、比較遅延部33が配置されている領域の外側で第4の電圧線L41に接続されている。
【0076】
比較遅延部33が配置されている領域の外側で第1の電圧VDD1が第1の電圧線L11に与えられる。第1の電圧VDD1は一定電圧である。例えば、第1の電圧VDD1は、撮像装置1の外部から撮像装置1に入力される電源電圧である。したがって、第1の電圧線L11,L12,L13はそれぞれ、一定の第1の電圧VDD1をNMOSトランジスタN1,N2,N3のドレインに供給する。
【0077】
比較遅延部33が配置されている領域の外側で第2の電圧GND1が第2の電圧線L21に与えられる。第2の電圧GND1は、第1の電圧VDD1よりも低い一定電圧である。例えば、第2の電圧GND1は、撮像装置1の外部から撮像装置1に入力されるグランド電圧である。したがって、第2の電圧線L21,L22,L23はそれぞれ、第1の電圧VDD1よりも低く一定の第2の電圧GND1をPMOSトランジスタP1,P2,P3のドレインに供給する。また、第2の電圧GND1は、第3の電圧VDD2よりも低い一定電圧である。
【0078】
比較遅延部33が配置されている領域の外側で第3の電圧VDD2が第3の電圧線L31に与えられる。第3の電圧VDD2は一定電圧である。また、第3の電圧VDD2は、第1の電圧VDD1と同一である、または第1の電圧VDD1と異なる。例えば、第3の電圧VDD2は、撮像装置1の外部から撮像装置1に入力される電源電圧である。したがって、第3の電圧線L31,L32,L33はそれぞれ、一定の第3の電圧VDD2をNMOSトランジスタN1,N2,N3のゲートに供給する。
【0079】
比較遅延部33が配置されている領域の外側で第4の電圧GND2が第4の電圧線L41に与えられる。第4の電圧GND2は、第3の電圧VDD2よりも低い一定電圧である。また、第4の電圧GND2は、第2の電圧GND1と同一である、または第2の電圧GND1と異なる。例えば、第4の電圧GND2は、撮像装置1の外部から撮像装置1に入力されるグランド電圧である。したがって、第4の電圧線L41,L42,L43はそれぞれ、第3の電圧VDD2よりも低く一定の第4の電圧GND2をPMOSトランジスタP1,P2,P3のゲートに供給する。また、第4の電圧GND2は、第1の電圧VDD1よりも低い一定電圧である。
【0080】
電圧線L91は第1の電圧線L11,L12,L13に接続されている。NMOSトランジスタN1,N2,N3のドレインは電圧線L91に共通に接続されている。電圧線L92は第2の電圧線L21,L22,L23に接続されている。PMOSトランジスタP1,P2,P3のドレインは電圧線L92に共通に接続されている。電圧線L93は第3の電圧線L31,L32,L33に接続されている。NMOSトランジスタN1,N2,N3のゲートは電圧線L93に共通に接続されている。電圧線L94は第4の電圧線L41,L42,L43に接続されている。PMOSトランジスタP1,P2,P3のゲートは電圧線L94に共通に接続されている。
【0081】
図2に示す各電圧線の配置は一例である。各電圧線の配置はこれに限らない。
【0082】
次に、比較遅延部33を構成するインバータ回路INV1,INV2,INV3に対する電源およびグランドのバウンスの影響を低減する原理と、その効果とについて説明する。NMOSトランジスタN1,N2,N3のドレイン電圧は第1の電圧VDD1により決定される。また、NMOSトランジスタN1,N2,N3のチャネルポテンシャルは、ゲートに入力される第3の電圧VDD2に応じて決定される。同様に、PMOSトランジスタP1,P2,P3のドレイン電圧は第2の電圧GND1により決定される。また、PMOSトランジスタP1,P2,P3のチャネルポテンシャルは、ゲートに入力される第4の電圧GND2に応じて決定される。
【0083】
インバータ回路INV1,INV2,INV3の実質的な電源電圧は第1の電源端子Tu1,Tu2,Tu3の電圧すなわちNMOSトランジスタN1,N2,N3のソース電圧である。NMOSトランジスタのソース電圧はNMOSトランジスタのチャネルポテンシャルに応じて決定される。同様に、インバータ回路INV1,INV2,INV3の実質的なグランド電圧は第2の電源端子Td1,Td2,Td3の電圧すなわちPMOSトランジスタP1,P2,P3のソース電圧である。PMOSトランジスタP1,P2,P3のソース電圧はPMOSトランジスタP1,P2,P3のチャネルポテンシャルに応じて決定される。つまり、インバータ回路INV1,INV2,INV3の実質的な電源電圧とグランド電圧とは、第3の電圧VDD2と第4の電圧GND2とに応じて決定される。したがって、第3の電圧VDD2と第4の電圧GND2とを制御することにより、インバータ回路INV1,INV2,INV3の実質的な電源電圧とグランド電圧とを制御することができる。
【0084】
比較遅延部33に入力された電流は、第1の電圧線L11,L12,L13とNMOSトランジスタN1,N2,N3とを経由してインバータ回路INV1,INV2,INV3に流れる。さらに、インバータ回路INV1,INV2,INV3から出力された電流は、PMOSトランジスタP1,P2,P3と第2の電圧線L21,L22,L23とを経由して比較遅延部33から出力される。
【0085】
比較部31からの比較信号COが反転するとき、インバータ回路INV1,INV2,INV3の状態の変化により、NMOSトランジスタN1,N2,N3とPMOSトランジスタP1,P2,P3とに流れる電流が変化する。複数の単位画素3の配列の多くの列に対応する比較部31からの比較信号COが略同時に反転する場合、上記の電流の変化が多くの列の比較遅延部33で発生する。これによって、NMOSトランジスタN1,N2,N3のドレイン電圧とPMOSトランジスタP1,P2,P3のドレイン電圧とが変化する。
【0086】
例えば、一般的なNMOSトランジスタが飽和領域で動作しているとき、そのNMOSトランジスタのドレイン電流I
d,nは(1)式により表される。β
nは係数である。V
g,nは、NMOSトランジスタのゲート電圧である。V
s,nは、NMOSトランジスタのソース電圧である。V
th,nは、NMOSトランジスタの閾値電圧である。
【0088】
例えば、一般的なPMOSトランジスタが飽和領域で動作しているとき、そのPMOSトランジスタのドレイン電流I
d,pは(2)式により表される。β
pは係数である。V
s,pは、PMOSトランジスタのソース電圧である。V
g,pは、PMOSトランジスタのゲート電圧である。V
th,pは、PMOSトランジスタの閾値電圧である。
【0090】
(1)式はNMOSトランジスタのドレイン電圧を含まない。つまり、NMOSトランジスタのドレイン電流に対するドレイン電圧の影響は非常に小さい。このため、NMOSトランジスタのドレイン電圧がチャネルポテンシャルよりも大きい状態が維持されるという条件において、NMOSトランジスタのドレイン電圧が過渡的に変化したとき、NMOSトランジスタのドレイン電流はほぼ変化しない。この結果、NMOSトランジスタのソース電圧に対するドレイン電圧の変化の影響は非常に小さい。つまり、インバータ回路INV1,INV2,INV3の実質的な電源電圧に対する電源のバウンスの影響は非常に小さい。
【0091】
同様に、(2)式はPMOSトランジスタのドレイン電圧を含まない。つまり、PMOSトランジスタのドレイン電流に対するドレイン電圧の影響は非常に小さい。このため、PMOSトランジスタのドレイン電圧がチャネルポテンシャルよりも小さい状態が維持されるという条件において、PMOSトランジスタのドレイン電圧が過渡的に変化したとき、PMOSトランジスタのドレイン電流はほぼ変化しない。この結果、PMOSトランジスタのソース電圧に対するドレイン電圧の変化の影響は非常に小さい。つまり、インバータ回路INV1,INV2,INV3の実質的なグランド電圧に対するグランドのバウンスの影響は非常に小さい。
【0092】
したがって、多数の比較部31からの比較信号COが略同時に変化した場合でも、電源およびグランドのバウンスが所定の電圧以下であれば、インバータ回路INV1,INV2,INV3の電源電圧およびグランド電圧に対するバウンスの影響を非常に小さくすることができる。例えば、電源電圧が3.3[V]となるように比較遅延部33を構成する場合、1.0[V]程度のバウンスに対して、遅延機能が維持され、かつバウンスの影響がほぼ除去されるように比較遅延部33を構成することが可能である。
【0093】
上記に加えて、実質的な電源電圧とグランド電圧との差が小さくなるように第3の電圧VDD2と第4の電圧GND2とを制御してもよい。これによって、インバータ回路INV1,INV2,INV3に流れる電流を低減することができる。この結果、電源およびグランドのバウンスを小さくすることができる。つまり、インバータ回路INV1,INV2,INV3の電源電圧およびグランド電圧に対するバウンスの影響をより小さくすることができる。
【0094】
(変形例)
図3は、比較遅延部33の他の構成の一例である比較遅延部33aの構成を示している。
図3では、複数の単位画素3の配列の3列に対応する3つの比較遅延部33aが示されている。3つの比較遅延部33aは同一である。
図3では、3つの比較遅延部33aのうち中央の比較遅延部33aのみの構成が示されている。便宜のため、他の2つの比較遅延部33aの構成は省略されている。
【0095】
図3に示すように、比較遅延部33aは、インバータ回路INV1,INV2,INV3、NMOSトランジスタN1、PMOSトランジスタP1、第1の電圧線L11、第2の電圧線L21、第3の電圧線L31、第4の電圧線L41を有する。
【0096】
図3に示す構成について、
図2に示す構成と異なる点を説明する。
図3に示す構成では、NMOSトランジスタN2,N3、PMOSトランジスタP2,P3、第1の電圧線L12,L13、第2の電圧線L22,L23、第3の電圧線L32,L33、第4の電圧線L42,L43、電圧線L91,L92,L93,L94が配置されていない。
【0097】
インバータ回路INV1,INV2,INV3の第1の電源端子Tu1,Tu2,Tu3は、NMOSトランジスタN1のソースに共通に電気的に接続されている。インバータ回路INV1,INV2,INV3の第2の電源端子Td1,Td2,Td3は、PMOSトランジスタP1のソースに共通に電気的に接続されている。
図2に示す構成では、NMOSトランジスタN1,N2,N3とPMOSトランジスタP1,P2,P3とは、インバータ回路INV1,INV2,INV3の各々に対応して配置されている。しかし、
図3に示す構成では、NMOSトランジスタN1とPMOSトランジスタP1とは、インバータ回路INV1,INV2,INV3のうちの2つ以上(
図3では3つ)に対応して配置されている。つまり、インバータ回路の数とNMOSトランジスタの数とが同一でなくてもよい。また、インバータ回路の数とPMOSトランジスタの数とが同一でなくてもよい。
【0098】
上記以外の点については、
図3に示す構成は
図2に示す構成と略同一である。
【0099】
撮像装置1において、垂直選択部12、水平選択部14、出力部17、制御部20は、tdcSS型AD変換回路の特徴的な構成ではない。また、これらの構成は、第1の実施形態の特徴的な効果を得るために必須ではない。また、クロック生成部18と参照信号生成部19とは、第1の実施形態の特徴的な効果を得るための構成ではない。また、カウント部35は、第1の実施形態の特徴的な効果を得るために必須ではない。
【0100】
第1の実施形態によれば、行列状に配置された複数の画素(単位画素3)を有し、複数の画素は光電変換素子を有する撮像部2と、複数の画素の配列の1列または複数列毎に配置され、対応する列の画素から出力される画素信号に対応するデジタル信号を出力する列回路(列AD変換部16)と、を有する撮像装置1が構成される。撮像装置1において、列回路は、複数の機能回路部(比較部31、ラッチ制御部32、比較遅延部33,33a、ラッチ部34)と、一定の第1の電圧VDD1を供給する第1の電圧線L11,L12,L13と、第1の電圧VDD1よりも低く一定の第2の電圧GND1を供給する第2の電圧線L21,L22,L23と、第1の電圧線L11,L12,L13および第2の電圧線L21,L22,L23と異なる電圧線であって一定の第3の電圧VDD2を供給する第3の電圧線L31,L32,L33と、第1の電圧線L11,L12,L13および第2の電圧線L21,L22,L23と異なる電圧線であって第3の電圧VDD2よりも低く一定の第4の電圧GND2を供給する第4の電圧線L41,L42,L43と、第1の電圧線L11,L12,L13がドレインに電気的に接続され、第3の電圧線L31,L32,L33がゲートに電気的に接続されたNMOSトランジスタN1,N2,N3と、第2の電圧線L21,L22,L23がドレインに電気的に接続され、第4の電圧線L41,L42,L43がゲートに電気的に接続されたPMOSトランジスタP1,P2,P3と、を有する。複数の機能回路部の少なくとも1つは、第1の電源端子Tu1,Tu2,Tu3と第2の電源端子Td1,Td2,Td3とを有する論理回路(インバータ回路INV1,INV2,INV3)を有する。第1の電源端子Tu1,Tu2,Tu3はNMOSトランジスタN1,N2,N3のソースに電気的に接続され、第2の電源端子Td1,Td2,Td3はPMOSトランジスタP1,P2,P3のソースに電気的に接続されている。
【0101】
第1の実施形態では、インバータ回路INV1,INV2,INV3に対する電圧変化(バウンス)の影響を低減することが可能となる。このため、AD変換精度の低下を抑制することができる。この結果、画質の劣化を抑制することができる。
【0102】
比較遅延部33の構成は、
図2に示す構成と
図3に示す構成とのどちらであってもよい。このため、レイアウトの自由度が向上する。
【0103】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態の撮像装置1における比較遅延部33の他の構成の一例である比較遅延部33bの構成を示している。
図4では、複数の単位画素3の配列の3列に対応する3つの比較遅延部33bが示されている。3つの比較遅延部33bは同一である。
図4では、3つの比較遅延部33bのうち中央の比較遅延部33bのみの構成が示されている。便宜のため、他の2つの比較遅延部33bの構成は省略されている。
【0104】
図4に示すように、比較遅延部33bは、インバータ回路INV1,INV2,INV3、NMOSトランジスタN1,N2,N3、PMOSトランジスタP1,P2,P3、第1の電圧線L11,L12,L13、第2の電圧線L21,L22,L23、第3の電圧線L31,L32,L33、第4の電圧線L41,L42,L43、電圧線L91,L92,L93,L94を有する。
【0105】
図4に示す構成について、
図2に示す構成と異なる点を説明する。比較遅延部33bが配置されている領域の外側で第1の電圧線L11,L12,L13と第3の電圧線L31,L32,L33とが接続されている。このため、第1の電圧線L11,L12,L13によって供給される第1の電圧と、第3の電圧線L31,L32,L33によって供給される第3の電圧とは同一である。本例では、第1の電圧VDD1が第1の電圧線L11,L12,L13と第3の電圧線L31,L32,L33とによって供給される。
【0106】
比較遅延部33bが配置されている領域の外側で第2の電圧線L21,L22,L23と第4の電圧線L41,L42,L43とが接続されている。このため、第2の電圧線L21,L22,L23によって供給される第2の電圧と、第4の電圧線L41,L42,L43によって供給される第4の電圧とは同一である。本例では、第2の電圧GND1が第2の電圧線L21,L22,L23と第4の電圧線L41,L42,L43とによって供給される。
【0107】
上記以外の点については、
図4に示す構成は
図2に示す構成と略同一である。
【0108】
図4に示す構成では、
図2に示す構成と同様に、第1の電圧線L11,L12,L13と第3の電圧線L31,L32,L33とは、複数の比較遅延部33bに対して共通に配置されている。本例では、第1の電圧線L11,L12,L13と第3の電圧線L31,L32,L33とは、水平方向(
図4の横方向)に並ぶ複数の比較遅延部33bを横切るように配置されている。また、第1の電圧線L11,L12,L13と第3の電圧線L31,L32,L33とは、複数の比較遅延部33bの各々において電気的に分離されている。
【0109】
図4に示す構成では、
図2に示す構成と同様に、第2の電圧線L21,L22,L23と第4の電圧線L41,L42,L43とは、複数の比較遅延部33bに対して共通に配置されている。本例では、第2の電圧線L21,L22,L23と第4の電圧線L41,L42,L43とは、水平方向(
図4の横方向)に並ぶ複数の比較遅延部33bを横切るように配置されている。また、第2の電圧線L21,L22,L23と第4の電圧線L41,L42,L43とは複数の比較遅延部33bの各々において電気的に分離されている。
【0110】
複数の比較遅延部33bの各々は、複数の列AD変換部16の各々に対応している。したがって、第1の電圧線L11,L12,L13と第3の電圧線L31,L32,L33とは、複数の列AD変換部16(列回路)に対して共通に配置されている。本例では、第1の電圧線L11,L12,L13と第3の電圧線L31,L32,L33とは、水平方向(
図4の横方向)に並ぶ複数の列AD変換部16を横切るように配置されている。また、第1の電圧線L11,L12,L13と第3の電圧線L31,L32,L33とは、複数の列AD変換部16の各々において電気的に分離されている。
【0111】
同様に、第2の電圧線L21,L22,L23と第4の電圧線L41,L42,L43とは、複数の列AD変換部16に対して共通に配置されている。本例では、第2の電圧線L21,L22,L23と第4の電圧線L41,L42,L43とは、水平方向(
図4の横方向)に並ぶ複数の列AD変換部16を横切るように配置されている。また、第2の電圧線L21,L22,L23と第4の電圧線L41,L42,L43とは複数の列AD変換部16の各々において電気的に分離されている。
【0112】
NMOSトランジスタN1,N2,N3のドレイン電圧の変化がNMOSトランジスタN1,N2,N3のゲートに伝わりにくくするため、第3の電圧線L31,L32,L33は電圧源により近い位置で第1の電圧線L11,L12,L13に接続されることが望ましい。このため、第3の電圧線L31,L32,L33は比較遅延部33bが配置されている領域の外側で第1の電圧線L11,L12,L13に接続されている。
【0113】
同様に、PMOSトランジスタP1,P2,P3のドレイン電圧の変化がPMOSトランジスタP1,P2,P3のゲートに伝わりにくくするため、第4の電圧線L41,L42,L43は電圧源により近い位置で第2の電圧線L21,L22,L23に接続されることが望ましい。このため、第4の電圧線L41,L42,L43は比較遅延部33bが配置されている領域の外側で第2の電圧線L21,L22,L23に接続されている。
【0114】
第2の実施形態では、第1の実施形態よりも電源の数を低減することができる。
【0115】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態の撮像装置1における比較遅延部33の他の構成の一例である比較遅延部33cの構成を示している。
図5では、複数の単位画素3の配列の3列に対応する3つの比較遅延部33cが示されている。3つの比較遅延部33cは同一である。
図5では、3つの比較遅延部33cのうち中央の比較遅延部33cのみの構成が示されている。便宜のため、他の2つの比較遅延部33cの構成は省略されている。
【0116】
図5に示すように、比較遅延部33cは、インバータ回路INV1,INV2,INV3、NMOSトランジスタN1,N2,N3、PMOSトランジスタP1,P2,P3、第1の電圧線L11,L12,L13、第2の電圧線L21,L22,L23、第3の電圧線L31,L32,L33、第4の電圧線L41,L42,L43、電圧線L91,L92,L93,L94を有する。
【0117】
図5に示す構成について、
図4に示す構成と異なる点を説明する。
図5では、NMOSトランジスタN1,N2,N3とPMOSトランジスタP1,P2,P3との各々の閾値電圧が調整されている。
図5に示すように、第1の電圧VDD1がNMOSトランジスタN1,N2,N3のゲートに供給され、第2の電圧GND1がPMOSトランジスタP1,P2,P3のゲートに供給される場合、各トランジスタの閾値電圧は以下のようになる。
【0118】
例えば、
図2に示す比較遅延部33において、NMOSトランジスタN1,N2,N3の閾値電圧が0.7[V]であり、PMOSトランジスタP1,P2,P3の閾値電圧が−0.7[V]である場合を考える。例えば、
図2に示す比較遅延部33において、第1の電圧VDD1が3.3[V]、第2の電圧GND1が0[V]、第3の電圧VDD2が4[V]、第4の電圧GND2が−0.7[V]であり得る。
【0119】
図2に示すNMOSトランジスタN1,N2,N3のゲートに供給される電圧は4[V]であり、
図5に示すNMOSトランジスタN1,N2,N3のゲートに供給される電圧は3.3[V]である。
図4と
図5とでドレイン電流が同一であるためには、(1)式により、
図5に示すNMOSトランジスタN1,N2,N3の閾値電圧は0[V]である。また、
図2に示すPMOSトランジスタP1,P2,P3のゲートに供給される電圧は−0.7[V]であり、
図5に示すPMOSトランジスタP1,P2,P3のゲートに供給される電圧は0[V]である。
図4と
図5とでドレイン電流が同一であるためには、(2)式により、
図5に示すPMOSトランジスタP1,P2,P3の閾値電圧は0[V]である。
【0120】
上記以外の点については、
図5に示す構成は
図4に示す構成と略同一である。
【0121】
第3の実施形態では、NMOSトランジスタN1,N2,N3とPMOSトランジスタP1,P2,P3との各々の閾値電圧を最適にすることにより、第1の実施形態における第3の電圧VDD2と第4の電圧GND2とが不要となる。また、比較遅延部33cの動作点を最適にすることができる。
【0122】
(第4の実施形態)
図6は、本発明の第4の実施形態の撮像装置1における比較遅延部33の他の構成の一例である比較遅延部33dの構成を示している。
図6では、複数の単位画素3の配列の3列に対応する3つの比較遅延部33dが示されている。3つの比較遅延部33dは同一である。
図6では、3つの比較遅延部33dのうち中央の比較遅延部33dのみの構成が示されている。便宜のため、他の2つの比較遅延部33dの構成は省略されている。
【0123】
図6に示すように、比較遅延部33dは、インバータ回路INV1,INV2,INV3、NMOSトランジスタN1,N2,N3、PMOSトランジスタP1,P2,P3、第1のスイッチ素子SW1、第2のスイッチ素子SW2、第1の電圧線L11,L12,L13、第2の電圧線L21,L22,L23、第3の電圧線L31,L32,L33、第4の電圧線L41,L42,L43、電圧線L91,L92,L93,L94を有する。
【0124】
図6に示す構成について、
図2に示す構成と異なる点を説明する。
図6では、第1のスイッチ素子SW1と第2のスイッチ素子SW2とが配置されている。第1のスイッチ素子SW1と第2のスイッチ素子SW2とは、第1の端子と第2の端子とを有する。第1のスイッチ素子SW1の第1の端子は比較部31の出力端子に接続されている。比較部31からの比較信号COが第1のスイッチ素子SW1の第1の端子に入力される。第1のスイッチ素子SW1の第2の端子はインバータ回路INV1の入力端子に接続されている。第2のスイッチ素子SW2の第1の端子は第1の電圧線L11に接続されている。第1の電圧VDD1が第2のスイッチ素子SW2の第1の端子に入力される。第2のスイッチ素子SW2の第2の端子はインバータ回路INV1の入力端子に接続されている。
【0125】
第1の制御信号CTL1が制御部20から第1のスイッチ素子SW1に供給される。第1のスイッチ素子SW1のオンとオフとの切替は第1の制御信号CTL1によって制御される。第2の制御信号CTL2が制御部20から第2のスイッチ素子SW2に供給される。第2のスイッチ素子SW2のオンとオフとの切替は第2の制御信号CTL2によって制御される。
【0126】
上記以外の点については、
図6に示す構成は
図2に示す構成と略同一である。
【0127】
次に、比較遅延部33dの動作について説明する。AD変換が行われる前の比較信号COがL状態であるときに、第1のスイッチ素子SW1がOFF状態に設定され、第2のスイッチ素子SW2がON状態に設定される。これによって、第1の電圧VDD1がインバータ回路INV1の入力端子に入力される。つまり、インバータ回路INV1の入力端子の電圧がH状態になる。インバータ回路INV1の入力端子の電圧がL状態からH状態に変化することにより、後段のインバータ回路INV2,INV3の入力端子の電圧が順次変化する。
【0128】
その後、第1のスイッチ素子SW1がON状態に設定され、第2のスイッチ素子SW2がOFF状態に設定される。これによって、第1の電圧VDD1がインバータ回路INV1の入力端子から切り離される。このとき、比較信号COがL状態であるため、インバータ回路INV1の入力端子の電圧がL状態になる。インバータ回路INV1の入力端子の電圧がH状態からL状態に変化することにより、後段のインバータ回路INV2,INV3の入力端子の電圧が順次変化する。
【0129】
上記のように比較遅延部33dが動作することにより、インバータ回路INV1,INV2,INV3の出力端子と、NMOSトランジスタN1,N2,N3のソースと、PMOSトランジスタP1,P2,P3のソースとの各ノードの電圧がリフレッシュされる。つまり、各ノードの電圧が所定電圧となる。例えば、AD変換が行われる前の所定の期間に上記のように比較遅延部33dの初期化が行われる。比較遅延部33dの初期化が行われた後、AD変換が行われる。比較遅延部33dの初期化を行う構成は、
図6に示す構成に限らない。
【0130】
上記の各ノードには配線容量などの容量が付加される。AD変換の開始時の容量の電圧がAD変換毎に異なる場合、容量の充電または放電に要する時間がAD変換毎に異なる。このため、比較遅延部33dの遅延時間がAD変換毎にばらつく。
【0131】
第4の実施形態では、比較遅延部33dの初期化を行うことにより、比較遅延部33dにおけるAD変換前の各ノードの電圧を、どのAD変換においても略同一にすることが可能となる。これによって、比較遅延部33dの遅延時間のばらつきが発生しにくくすることができる。
【0132】
(第5の実施形態)
図7は、本発明の第5の実施形態の撮像装置1における比較遅延部33の他の構成の一例である比較遅延部33eの構成を示している。
図7では、複数の単位画素3の配列の3列に対応する3つの比較遅延部33eが示されている。3つの比較遅延部33eは同一である。
図7では、3つの比較遅延部33eのうち中央の比較遅延部33eのみの構成が示されている。便宜のため、他の2つの比較遅延部33eの構成は省略されている。
【0133】
図7に示すように、比較遅延部33eは、インバータ回路INV1,INV2,INV3、NMOSトランジスタN1,N2,N3、PMOSトランジスタP1,P2,P3、OR回路OR1、第1の電圧線L11,L12,L13、第2の電圧線L21,L22,L23、第3の電圧線L31,L32,L33、第4の電圧線L41,L42,L43、電圧線L91,L92,L93,L94を有する。
【0134】
図7に示す構成について、
図2に示す構成と異なる点を説明する。
図7では、OR回路OR1が配置されている。OR回路OR1は、第1の入力端子と、第2の入力端子と、出力端子とを有する。OR回路OR1の第1の入力端子は比較部31の出力端子に接続されている。比較部31からの比較信号COがOR回路OR1の第1の入力端子に入力される。制御部20からの第3の制御信号CTL3がOR回路OR1の第2の入力端子に入力される。第3の制御信号CTL3は、H状態またはL状態の信号である。OR回路OR1の出力端子はインバータ回路INV1の入力端子に接続されている。OR回路OR1は、比較部31からの比較信号COと第3の制御信号CTL3との論理和(OR)をとった信号を出力する。
【0135】
上記以外の点については、
図7に示す構成は
図2に示す構成と略同一である。
【0136】
次に、比較遅延部33eの動作について説明する。AD変換が行われる前の比較信号COがL状態であるときに、第3の制御信号CTL3がL状態からH状態に変化し、その後、L状態に変化する。これによって、インバータ回路INV1の入力端子の電圧がL状態からH状態に変化し、その後、L状態に変化する。インバータ回路INV1の入力端子の電圧がこのように変化することにより、後段のインバータ回路INV2,INV3の入力端子の電圧が順次変化する。
【0137】
上記のように比較遅延部33eが動作することにより、インバータ回路INV1,INV2,INV3の出力端子と、NMOSトランジスタN1,N2,N3のソースと、PMOSトランジスタP1,P2,P3のソースとの各ノードの電圧がリフレッシュされる。つまり、各ノードの電圧が所定電圧となる。例えば、AD変換が行われる前の所定の期間に上記のように比較遅延部33eの初期化が行われる。比較遅延部33eの初期化が行われた後、AD変換が行われる。比較遅延部33eの初期化を行う構成は、
図7に示す構成に限らない。
【0138】
第5の実施形態では、比較遅延部33eの初期化を行うことにより、比較遅延部33eにおけるAD変換前の各ノードの電圧を、どのAD変換においても略同一にすることが可能となる。これによって、比較遅延部33eの遅延時間のばらつきが発生しにくくすることができる。
【0139】
(第6の実施形態)
図8は、本発明の第6の実施形態の撮像装置1における比較遅延部33の他の構成の一例である比較遅延部33fの構成を示している。
図8では、複数の単位画素3の配列の3列に対応する3つの比較遅延部33fが示されている。3つの比較遅延部33fは同一である。
図8では、3つの比較遅延部33fのうち中央の比較遅延部33fのみの構成が示されている。便宜のため、他の2つの比較遅延部33fの構成は省略されている。
【0140】
図8に示すように、比較遅延部33fは、インバータ回路INV1,INV2,INV3、NMOSトランジスタN1,N2,N3、PMOSトランジスタP1,P2,P3、第1の電圧線L11,L12,L13、第2の電圧線L21,L22,L23、第3の電圧線L31,L32,L33、第4の電圧線L41,L42,L43、第5の電圧線L51,L52,L53、第6の電圧線L61,L62,L63、電圧線L91,L92を有する。
【0141】
図8に示す構成について、
図4に示す構成と異なる点を説明する。
図8では、第5の電圧線L51,L52,L53と、第6の電圧線L61,L62,L63とが配置されている。第5の電圧線L51,L52,L53と、第6の電圧線L61,L62,L63とは、水平方向(
図8の横方向)に配置されている。NMOSトランジスタN1,N2,N3のバックゲートは第5の電圧線L51,L52,L53に電気的に接続されている。PMOSトランジスタP1,P2,P3のバックゲートは第6の電圧線L61,L62,L63に電気的に接続されている。
【0142】
第5の電圧線L51,L52,L53と、第6の電圧線L61,L62,L63とは、複数の比較遅延部33fに対して共通に配置されている。本例では、第5の電圧線L51,L52,L53と、第6の電圧線L61,L62,L63とは、水平方向(
図8の横方向)に並ぶ複数の比較遅延部33fを横切るように配置されている。第1の電圧線L11,L12,L13と、第6の電圧線L61,L62,L63とは、複数の比較遅延部33fの各々において電気的に分離されている。また、第3の電圧線L31,L32,L33と、第6の電圧線L61,L62,L63とは、複数の比較遅延部33fの各々において電気的に分離されている。同様に、第2の電圧線L21,L22,L23と第5の電圧線L51,L52,L53とは、複数の比較遅延部33fの各々において電気的に分離されている。また、第4の電圧線L41,L42,L43と第5の電圧線L51,L52,L53とは、複数の比較遅延部33fの各々において電気的に分離されている。
【0143】
比較遅延部33fが配置されている領域の外側で第5の電圧GND3が第5の電圧線L51,L52,L53に与えられる。第5の電圧GND3は、第2の電圧GND1と異なる一定電圧である。したがって、第5の電圧線L51,L52,L53はそれぞれ、第2の電圧GND1と異なる一定の第5の電圧GND3をNMOSトランジスタN1,N2,N3のバックゲートに供給する。また、第5の電圧GND3は、第2の電圧GND1よりも高い一定電圧である。第5の電圧GND3と、NMOSトランジスタN1,N2,N3のゲートに与えられる第1の電圧VDD1との大小関係は特に限定されない。
【0144】
比較遅延部33fが配置されている領域の外側で第6の電圧VDD3が第6の電圧線L61,L62,L63に与えられる。第6の電圧VDD3は、第1の電圧VDD1と異なる一定電圧である。したがって、第6の電圧線L61,L62,L63はそれぞれ、第1の電圧VDD1と異なる一定の第6の電圧VDD3をPMOSトランジスタP1,P2,P3のバックゲートに供給する。また、第6の電圧VDD3は、第1の電圧VDD1よりも低い一定電圧である。また、第6の電圧VDD3は、第5の電圧GND3よりも高い一定電圧である。第6の電圧VDD3と、PMOSトランジスタP1,P2,P3のゲートに与えられる第2の電圧GND1との大小関係は特に限定されない。
【0145】
図8では、第1の電圧VDD1が第3の電圧線L31,L32,L33によって供給され、第2の電圧GND1が第4の電圧線L41,L42,L43によって供給される。
図2に示す構成と同様に、第3の電圧VDD2が第3の電圧線L31,L32,L33によって供給されてもよい。また、
図2に示す構成と同様に、第4の電圧GND2が第4の電圧線L41,L42,L43によって供給されてもよい。
【0146】
第6の実施形態では、第5の電圧GND3を制御することによって、NMOSトランジスタN1,N2,N3のバックゲートの電圧を制御することができる。つまり、NMOSトランジスタN1,N2,N3の閾値電圧を制御することができる。また、第6の実施形態では、第6の電圧VDD3を制御することによって、PMOSトランジスタP1,P2,P3のバックゲートの電圧を制御することができる。つまり、PMOSトランジスタP1,P2,P3の閾値電圧を制御することができる。
【0147】
図5に示す構成の製造工程では、NMOSトランジスタN1,N2,N3とPMOSトランジスタP1,P2,P3との各トランジスタの閾値電圧を調整するために半導体プロセスの追加工程が必要である。しかし、
図8に示す構成では、この工程が不要である。第5の電圧線L51,L52,L53と、第6の電圧線L61,L62,L63とは、他の電圧線が形成される工程と同じ工程で形成される。したがって、第5の電圧線L51,L52,L53と、第6の電圧線L61,L62,L63とを形成するための追加の工程は不要である。また、NMOSトランジスタN1,N2,N3のソースとバックゲートとを接続するための狭ピッチのウェルの分離が不要である。さらに、PMOSトランジスタP1,P2,P3のソースとバックゲートとを接続するための狭ピッチのウェルの分離が不要である。
【0148】
(第7の実施形態)
図9は、本発明の第7の実施形態の撮像装置1における比較遅延部33の他の構成の一例である比較遅延部33gの構成を示している。
図9では、複数の単位画素3の配列の3列に対応する3つの比較遅延部33gが示されている。3つの比較遅延部33gは同一である。
図9では、3つの比較遅延部33gのうち中央の比較遅延部33gのみの構成が示されている。便宜のため、他の2つの比較遅延部33gの構成は省略されている。
【0149】
図9に示すように、比較遅延部33gは、インバータ回路INV1,INV2,INV3、NMOSトランジスタN1,N2,N3、PMOSトランジスタP1,P2,P3、第1の容量Cd1,Cd2,Cd3、第2の容量Cg1,Cg2,Cg3、第1の電圧線L11,L12,L13、第2の電圧線L21,L22,L23、第3の電圧線L31,L32,L33、第4の電圧線L41,L42,L43、電圧線L91,L92,L93,L94を有する。
【0150】
図9に示す構成について、
図2に示す構成と異なる点を説明する。
図9では、第1の容量Cd1,Cd2,Cd3と第2の容量Cg1,Cg2,Cg3とが配置されている。第1の容量Cd1,Cd2,Cd3と第2の容量Cg1,Cg2,Cg3とは、第1の端子と第2の端子とを有する。第1の容量Cd1,Cd2,Cd3の第1の端子は第1の電圧線L11,L12,L13に接続されている。第1の容量Cd1,Cd2,Cd3の第2の端子は第2の電圧線L21,L22,L23に接続されている。つまり、第1の容量Cd1,Cd2,Cd3は、第1の電圧線L11,L12,L13と第2の電圧線L21,L22,L23との間に接続されている。第2の容量Cg1,Cg2,Cg3の第1の端子は第3の電圧線L31,L32,L33に接続されている。第2の容量Cg1,Cg2,Cg3の第2の端子は第4の電圧線L41,L42,L43に接続されている。つまり、第2の容量Cg1,Cg2,Cg3は、第3の電圧線L31,L32,L33と第4の電圧線L41,L42,L43との間に接続されている。
【0151】
第7の実施形態では、各電圧線に重畳するノイズを抑制することができる。
【0152】
(第8の実施形態)
図10は、本発明の第8の実施形態の撮像装置1における比較遅延部33の他の構成の一例である比較遅延部33hの構成を示している。
図10では、複数の単位画素3の配列の3列に対応する3つの比較遅延部33hが示されている。3つの比較遅延部33hは同一である。
図10では、3つの比較遅延部33hのうち中央の比較遅延部33hのみの構成が示されている。便宜のため、他の2つの比較遅延部33hの構成は省略されている。
【0153】
図10に示すように、比較遅延部33hは、インバータ回路INV1,INV2,INV3、NMOSトランジスタN1,N2,N3、PMOSトランジスタP1,P2,P3、第3の容量Cb1,Cb2,Cb3、第1の電圧線L11,L12,L13、第2の電圧線L21,L22,L23、第3の電圧線L31,L32,L33、第4の電圧線L41,L42,L43、電圧線L91,L92,L93,L94を有する。
【0154】
図10に示す構成について、
図8に示す構成と異なる点を説明する。
図10では、第3の容量Cb1,Cb2,Cb3が配置されている。第3の容量Cb1,Cb2,Cb3は、第1の端子と第2の端子とを有する。第3の容量Cb1,Cb2,Cb3の第1の端子は第5の電圧線L51,L52,L53に接続されている。第3の容量Cb1,Cb2,Cb3の第2の端子は第6の電圧線L61,L62,L63に接続されている。つまり、第3の容量Cb1,Cb2,Cb3は、第5の電圧線L51,L52,L53と第6の電圧線L61,L62,L63との間に接続されている。
【0155】
第8の実施形態では、第5の電圧線L51,L52,L53と第6の電圧線L61,L62,L63とに重畳するノイズを抑制することができる。
【0156】
(第9の実施形態)
図11は、本発明の第9の実施形態の撮像装置1におけるラッチ部34の構成の一例を示している。
図11では、複数の単位画素3の配列の3列に対応する3つのラッチ部34が示されている。3つのラッチ部34は同一である。
図11では、3つのラッチ部34のうち中央のラッチ部34のみの構成が示されている。便宜のため、他の2つのラッチ部34の構成は省略されている。
【0157】
図11に示すように、ラッチ部34は、ラッチ回路L_0,L_1,L_2、NMOSトランジスタN1,N2,N3、PMOSトランジスタP1,P2,P3、第1の電圧線L11,L12,L13、第2の電圧線L21,L22,L23、第3の電圧線L31,L32,L33、第4の電圧線L41,L42,L43、電圧線L91,L92,L93,L94を有する。
【0158】
ラッチ部34は、複数の位相信号の論理状態をラッチする複数のラッチ回路L_0,・・・,L_7を有する。ラッチ回路L_0,・・・,L_7によってラッチされた論理状態は、H状態またはL状態の信号である。この構成によって、ラッチ部34は、画素信号に対応するデジタル信号をラッチする。ラッチ回路L_0,・・・,L_7は、ラッチ部34の論理回路である。便宜のため、ラッチ回路L_3〜L_7は省略されている。
【0159】
ラッチ回路L_0,L_1,・・・,L_7は、制御信号入力端子と、クロック入力端子と、出力端子とを有する。ラッチ制御部32からの制御信号Hold_Lがラッチ回路L_0〜L_6の制御信号入力端子に入力される。例えば、制御信号Hold_Lは、比較部31からの比較信号COと比較遅延部33からの遅延比較信号xCO_Dとの論理積(AND)をとった信号である。また、遅延比較信号xCO_Dと制御部20からの制御信号Enableとの論理積(AND)をとった制御信号が、図示されていないラッチ回路L_7の制御信号入力端子に入力される。クロック生成部18のVCO100からの位相信号CK[0]〜CK[7]がラッチ回路L_0〜L_7のクロック入力端子に入力される。ラッチ回路L_0〜L_7にラッチされた位相信号CK[0]〜CK[7]の論理状態に基づく信号がラッチ回路L_0〜L_7の出力端子から出力される。ラッチ回路L_0〜L_7から出力された信号は、出力信号OUTとしてラッチ部34から出力される。
【0160】
ラッチ回路L_0は、第1の電源端子Tu1と第2の電源端子Td1とを有する。ラッチ回路L_1は、第1の電源端子Tu2と第2の電源端子Td2とを有する。ラッチ回路L_2は、第1の電源端子Tu3と第2の電源端子Td3とを有する。第1の電源端子Tu1,Tu2,Tu3とNMOSトランジスタN1,N2,N3との接続関係は、比較遅延部33における接続関係と略同一である。第2の電源端子Td1,Td2,Td3とPMOSトランジスタP1,P2,P3との接続関係は、比較遅延部33における接続関係と略同一である。
【0161】
上記以外の部分は、比較遅延部33において対応する部分と略同一である。また、
図11に示されていない、ラッチ回路L_3〜L_7に関する構成は、ラッチ回路L_0〜L_2に関する構成と略同一である。
【0162】
第1から第8の実施形態で説明した事項は、
図11に示すラッチ部34に対して同様に適用可能である。第9の実施形態では、比較遅延部33の構成は、
図2に示す構成でなくてもよい。
【0163】
第9の実施形態では、ラッチ回路L_0〜L_7に対する電圧変化(バウンス)の影響を低減することが可能となる。このため、AD変換精度の低下を抑制することができる。この結果、画質の劣化を抑制することができる。
【0164】
(第10の実施形態)
図12は、本発明の第10の実施形態の撮像装置1におけるカウント部35の構成の一例を示している。
図12では、複数の単位画素3の配列の3列に対応する3つのカウント部35が示されている。3つのカウント部35は同一である。
図12では、3つのカウント部35のうち中央のカウント部35のみの構成が示されている。便宜のため、他の2つのカウント部35の構成は省略されている。
【0165】
図12に示すように、カウント部35は、カウンタ回路C0,C1,C2、NMOSトランジスタN1,N2,N3、PMOSトランジスタP1,P2,P3、第1の電圧線L11,L12,L13、第2の電圧線L21,L22,L23、第3の電圧線L31,L32,L33、第4の電圧線L41,L42,L43、電圧線L91,L92,L93,L94を有する。
【0166】
カウント部35は、所定の時間にパルス信号が通過した遅延回路の数に応じたカウントを行う複数のカウンタ回路C0,C1,C2を有する。所定の時間は、比較部31が比較を開始する第1のタイミングから、ラッチ部34がラッチを行う第3のタイミングまでの時間である。パルス信号は、クロック生成部18を構成する複数の遅延ユニットを通過する信号である。遅延回路は、クロック生成部18内の遅延ユニットである。カウンタ回路C0,C1,C2は、カウント部35の論理回路である。カウンタ回路C0のカウント値が、デジタルデータを構成する上位データの最下位ビット(LSB)に対応する。カウンタ回路C2のカウント値が、デジタルデータを構成する上位データの最上位ビット(MSB)に対応する。
【0167】
カウンタ回路C0,C1,C2は、入力端子と出力端子とを有する。ラッチ部34のラッチ回路L_7から出力された位相信号CK[7]が、入力信号INとしてカウンタ回路C0の入力端子に入力される。カウンタ回路C0の出力端子から出力された信号はカウンタ回路C1の入力端子に入力される。カウンタ回路C1の出力端子から出力された信号はカウンタ回路C2の入力端子に入力される。カウンタ回路C2の出力端子から出力された信号は、出力信号OUTとしてカウント部35から出力される。
図12では3つのカウンタ回路が示されている。カウント部35は1つまたは2つのカウンタ回路を有していてもよいし、4つ以上のカウンタ回路を有していてもよい。
【0168】
カウンタ回路C0は、第1の電源端子Tu1と第2の電源端子Td1とを有する。カウンタ回路C1は、第1の電源端子Tu2と第2の電源端子Td2とを有する。カウンタ回路C2は、第1の電源端子Tu3と第2の電源端子Td3とを有する。第1の電源端子Tu1,Tu2,Tu3とNMOSトランジスタN1,N2,N3との接続関係は、比較遅延部33における接続関係と略同一である。第2の電源端子Td1,Td2,Td3とPMOSトランジスタP1,P2,P3との接続関係は、比較遅延部33における接続関係と略同一である。
【0169】
上記以外の部分は、比較遅延部33において対応する部分と略同一である。
【0170】
第1から第8の実施形態で説明した事項は、
図12に示すカウント部35に対して同様に適用可能である。
【0171】
第10の実施形態では、カウンタ回路C0,C1,C2に対する電圧変化(バウンス)の影響を低減することが可能となる。このため、AD変換精度の低下を抑制することができる。この結果、画質の劣化を抑制することができる。
【0172】
(第11の実施形態)
図13は、本発明の第11の実施形態の撮像装置1aの一例を示している。
図13に示すように、撮像装置1aは、撮像部2、垂直選択部12、水平選択部14、カラム処理部15a、出力部17、制御部20を有する。
【0173】
図13に示す構成について、
図1に示す構成と異なる点を説明する。
図13では、
図1におけるカラム処理部15がカラム処理部15aに変更される。カラム処理部15aは、複数の列AD変換部16a(列回路)を有する。
図13では、
図1における列AD変換部16が列AD変換部16aに変更される。
【0174】
列AD変換部16aの構成の詳細について説明する。列AD変換部16aは複数の単位画素3の配列の列毎に配置されている。
図13では6つの列AD変換部16aが配置されている。各列の列AD変換部16aは同一である。列AD変換部16aは、複数の機能回路部を有する。列AD変換部16aが有する複数の機能回路部は、V/F部41、カウント部42、メモリ43である。
【0175】
V/F部41は、撮像部2の単位画素3から垂直信号線13を介して出力されるアナログの画素信号の電圧を周波数に変換する。例えば、電圧制御発振器(VCO)の制御電圧として画素信号の電圧を用いることにより、画素信号の電圧に応じた周波数を有する信号を得ることが可能である。カウント部42は、V/F部41から出力された信号をカウントクロックとして、制御部20から出力されるパルスの幅をカウントする。第1の電圧VDD1と、第2の電圧GND1と、第3の電圧VDD2と、第4の電圧GND2とがカウント部42に供給される。例えば、カウント部42は、
図12に示すカウント部35と同様に構成されている。メモリ43は、カウント部42のカウント値を保持する。
【0176】
上記以外の構成は、
図1に示す撮像装置1の構成と略同一である。
【0177】
第11の実施形態では、カウント部42が有するカウンタ回路に対する電圧変化(バウンス)の影響を低減することが可能となる。このため、AD変換精度の低下を抑制することができる。この結果、画質の劣化を抑制することができる。
【0178】
(第12の実施形態)
図14は、第1から第10の実施形態のいずれか1つの撮像装置1または第11の実施形態の撮像装置1aを適用した撮像システムの一例であるデジタルカメラ200の構成を示している。撮像システムは、撮像機能を有する電子機器であればよく、デジタルカメラのほか、デジタルビデオカメラ、内視鏡等であってもよい。
図14に示すデジタルカメラ200は、レンズ部101、レンズ制御装置102、撮像装置103、駆動回路104、メモリ105、信号処理回路106、記録装置107、制御装置108、表示装置109を有する。
【0179】
レンズ部101は、ズームレンズとフォーカスレンズとを有する。レンズ部101は、被写体からの光に基づく被写体像を撮像装置103の受光面に形成する。レンズ制御装置102は、レンズ部101のズーム、フォーカス、絞りなどを制御する。レンズ部101を介して取り込まれた光は撮像装置103の受光面で結像される。撮像装置103は、受光面に結像された被写体像をデジタルデータすなわち画像データに変換して出力する。撮像装置103の受光面には、複数の画素が行方向および列方向に2次元に配置されている。撮像装置103は、第1から第10の実施形態のいずれか1つの撮像装置1または第11の実施形態の撮像装置1aである。
【0180】
駆動回路104は、撮像装置103を駆動し、その動作を制御する。メモリ105は、画像データを一時的に記憶する。信号処理回路106は、撮像装置103から出力された画像データに対して、予め定められた処理を行う。信号処理回路106によって行われる処理は、画像データの各種の補正、画像データの圧縮などである。
【0181】
記録装置107は、画像データの記録または読み出しを行うための半導体メモリなどを有する。記録装置107は、デジタルカメラ200に対して着脱可能である。表示装置109は、動画像(ライブビュー画像)の表示、静止画像の表示、デジタルカメラ200の状態の表示などを行う。
【0182】
制御装置108は、デジタルカメラ200全体の制御を行う。制御装置108の動作は、デジタルカメラ200に内蔵されたROMに格納されているプログラムに規定されている。制御装置108は、このプログラムを読み出して、プログラムが規定する内容に従って、各種の制御を行う。
【0183】
第12の実施形態によれば、第1から第10の実施形態のいずれか1つの撮像装置1または第11の実施形態の撮像装置1aを有することを特徴とする撮像システム(デジタルカメラ200)が構成される。
【0184】
第12の実施形態では、第1から第11の実施形態と同様に、AD変換精度の低下を抑制することができる。この結果、画質の劣化を抑制することができる。
【0185】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。