【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明の乗物用シートは、左右方向に対向して配置された左右のサイドフレームを有するシートフレームと、前記左右のサイドフレームの間に配置された受圧部材と、前記シートフレームに支持されたワイヤと、を備え、前記受圧部材は、受圧部と、前記受圧部の左右両端部の少なくとも一部から左右方向外側かつ前記受圧部に対して乗員側に向けて斜めに延出した支持部とを有し、前記ワイヤは、
前記支持部に沿うように前記受圧部に対して左右方向外側かつ乗員側に向けて斜めに延びる部分を有し、前記支持部を支持することを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、受圧部によって乗員の上体を後方から支持するとともに、支持部によって乗員の上体を側方から支持することができるので、通常の着座時に乗員の上体を安定して支持することができる。
【0008】
前記した乗物用シートにおいて、前記ワイヤは、左右に延び、前記受圧部および前記支持部を支持す
る構成とすることができる。
【0009】
前記した乗物用シートにおいて、前記ワイヤは、乗員側から見て、U形状に屈曲する屈曲部を有
し、前記屈曲部の左右方向外側の端は、前記支持部の左右方向外側の端よりも左右方向内側に配置されている構成とすることができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記屈曲部は、乗員側から見て、前記支持部と重なる位置に配置されている構成とすることができる。
【0010】
前記した乗物用シートにおいて、前記支持部は、乗員側から見て、左右方向に直交する方向の一方に位置する第1端縁と、左右方向に直交する方向の他方に位置する第2端縁とを有し、前記第1端縁の左右方向の長さは、前記第2端縁の左右方向の長さよりも長い構成とすることができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記受圧部材は、前記受圧部と前記支持部の間に境界部を有し、前記ワイヤは、乗員側から見て、前記受圧部から前記支持部へ前記境界部を跨ぐように配置されて前記支持部を支持す
る構成とすることができる。
【0011】
前記した乗物用シートにおいて、前記
ワイヤは、乗員側から見て、左右に延びて前記境界部を跨ぐ第1部分と、前記支持部と重なる位置に配置された部分であって前記第1部分の端から左右方向に直交する方向に延びる第2部分とを有する構成とすることができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記受圧部材は、貫通孔を有し、前記貫通孔は、前記屈曲部の左右方向外側の端よりも左右方向内側に配置されている構成とすることができる。
【0012】
前記した乗物用シート
において、
前記受圧部材は、前記受圧部と前記支持部の間に境界部を有し、前記境界部は、乗員側から見て、左右方向に直交する方向に対して傾斜している構成とすることができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記シートフレームは、シートバックの下側のフレームを構成する下部フレームを有し、前記支持部は、乗員側から見て、左右方向に直交する方向の一方に位置する第1端縁と、左右方向に直交する方向の他方に位置する第2端縁とを有し、前記第1端縁は、左右方向に直交する方向において前記第2端縁よりも前記下部フレームから遠くに位置し、前記屈曲部は、前記第2端縁よりも前記第1端縁の近くに配置されている構成とすることができる。
【0013】
前記した乗物用シートにおいて、
前記支持部は、乗員側に向けて凸となるように湾曲している構成とすることができる。
【0014】
前記した乗物用シートにおいて、前記支持部は、前記受圧部に対して前方に向けて延び出している構成とすることができる。
【0015】
このような構成によれば、支持部が受圧部に対して前方に向けて延び出していることで、支持部と乗員との間のパッド材の厚さを薄くすることができる。これにより、通常の着座時には、パッド材が厚い場合と比較して、支持部によって乗員の上体側部をより安定して支持することができる。また、パッド材が薄くなることでパッド材が変形しやすくなるので、後突時には、乗員の上体をシートバックに速やかに、かつ、深く沈み込ませることができる。その結果、乗員の頭部が速やかにヘッドレストに近づいて支持されるため、頸部に加わる衝撃をより軽減することが可能となる。
なお、仮に、支持部と乗員との間のパッド材の厚さが厚いと乗員の上体がシートバックに沈み込みにくくなるが、上記構成によれば、パッド材を薄くできるので、乗員の上体をシートバックに速やかに、かつ、深く沈み込ませることができる。
【0016】
前記した各乗物用シートにおいて、前記支持部は、少なくとも乗員の腰部の高さに対応する位置に設けられた構成とすることができる。
【0017】
このような構成によれば、通常の着座時には、支持部によって乗員の腰部を安定して支持できるので、乗員の着座姿勢を安定させることができる。また、支持部を受圧部に対して前方に向けて延び出す構成とすることで、腰部のパッド材の厚さを薄くできるので、後突時には、乗員の腰部をシートバックに速やかに、かつ、深く沈み込ませることができる。
【0018】
前記した各乗物用シートにおいて、前記支持部は、前記受圧部と一体に形成されている構成とすることができる。
【0019】
このような構成によれば、支持部と受圧部が別部品として形成されている構成と比較して、構造を簡略化できるとともに、部品点数の増加を抑えることができる。また、支持部が受圧部に対して前方に向けて延び出す構成においては、支持部および受圧部の剛性が向上するので、乗員の上体をより安定して支持することができる。
なお、仮に、支持部と受圧部が別部品として形成された場合には、構造が複雑化する可能性や、部品点数が増加する問題が生じるが、上記構成によれば解決することができる。
【0020】
前記した支持部が乗員の腰部の高さに対応する位置に設けられた乗物用シートは、左右方向に延び、前記左右のサイドフレームと前記受圧部を連結する第1連結ワイヤを備え、前記第1連結ワイヤが、乗員の腰部の高さに対応する位置で、前記支持部の後ろを通るように配置された構成とすることができる。
【0021】
このような構成によれば、第1連結ワイヤが乗員の腰部の高さに対応する位置に設けられた支持部の後ろを通るように配置されることで、支持部にかかった荷重を第1連結ワイヤによっても支えることができる。これにより、乗員の上体(腰部)をより安定して支持することができる。
【0022】
前記した乗物用シートにおいて、前記第1連結ワイヤは、前記支持部の後方に、上および下の少なくとも一方に向けて凸となる屈曲部分を有する構成とすることができる。
【0023】
このような構成によれば、支持部の後ろに配置された第1連結ワイヤの面積が大きくなるので、支持部にかかった荷重を第1連結ワイヤによって安定して支持することができる。これにより、乗員の上体(腰部)を一層安定して支持することができる。
【0024】
前記した各乗物用シートにおいて、前記支持部は、乗員の腰部の高さに対応する位置および乗員の胸部の高さに対応する位置に設けられた構成とすることができる。
【0025】
このような構成によれば、支持部が乗員の腰部または胸部の高さに対応する位置だけに設けられている構成と比較して、支持部の面積が大きくなるので、通常の着座時には、支持部によって乗員の上体側部をより安定して支持することができる。また、支持部を受圧部に対して前方に向けて延び出す構成とすることで、腰部および胸部のパッド材の厚さを薄くできるので、速やかに、後突時には、乗員の上体全体をシートバックに速やかに、かつ、深く沈み込ませることができる。
【0026】
前記した乗物用シートは、左右方向に延び、前記左右のサイドフレームと前記受圧部を連結する第2連結ワイヤを備え、前記第2連結ワイヤが、乗員の胸部の高さに対応する位置で、前記支持部の後ろを通るように配置された構成とすることができる。
【0027】
このような構成によれば、第2連結ワイヤが乗員の胸部の高さに対応する位置に設けられた支持部の後ろを通るように配置されることで、支持部にかかった荷重を第2連結ワイヤによっても支えることができる。これにより、乗員の上体(胸部)をより安定して支持することができる。
【0028】
前記した乗物用シートにおいて、前記第2連結ワイヤは、前記支持部の後方に、上および下の少なくとも一方に向けて凸となる屈曲部分を有する構成とすることができる。
【0029】
このような構成によれば、支持部の後ろに配置された第2連結ワイヤの面積が大きくなるので、支持部にかかった荷重を第2連結ワイヤによって安定して支持することができる。これにより、乗員の上体(胸部)を一層安定して支持することができる。
【0030】
前記した支持部が乗員の腰部の高さに対応する位置および乗員の胸部の高さに対応する位置に設けられた乗物用シートにおいて、乗員の腰部の高さに対応する位置の支持部と、当該支持部の上方に設けられた乗員の胸部の高さに対応する位置の支持部とは、互いに連結している構成とすることができる。
【0031】
このような構成によれば、乗員の腰部の高さに対応する位置の支持部と、乗員の胸部の高さに対応する位置の支持部とが独立して設けられている構成と比較して、支持部の面積が大きくなるので、通常の着座時には、支持部によって乗員の上体側部を一層安定して支持することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、受圧部と、受圧部の左右両端部から左右方向外側に向けて延び出す支持部を備えるので、通常の着座時に乗員の上体を安定して支持することができる。
【0033】
また、支持部を受圧部に対して前方に向けて延び出す構成とすることで、支持部と乗員との間のパッド材の厚さを薄くすることができる。これにより、通常の着座時には、乗員の上体側部をより安定して支持することができ、また、後突時には、乗員の上体をシートバックに速やかに、かつ、深く沈み込ませることができる。
【0034】
また、支持部を少なくとも乗員の腰部の高さに対応する位置に設けることで、通常の着座時には、乗員の腰部を安定して支持できるので、乗員の着座姿勢を安定させることができる。
【0035】
また、支持部を受圧部と一体に形成することで、構造を簡略化することができるとともに、部品点数の増加を抑えることができる。
【0036】
また、第1連結ワイヤを乗員の腰部の高さに対応する位置で支持部の後ろを通るように配置することで、支持部にかかった荷重を第1連結ワイヤによっても支えられるので、乗員の上体(腰部)をより安定して支持することができる。
【0037】
また、支持部の後方で第1連結ワイヤに上や下に向けて凸となる屈曲部分を設けることで、支持部にかかった荷重を第1連結ワイヤによって安定して支持することができるので、乗員の上体(腰部)を一層安定して支持することができる。
【0038】
また、支持部を乗員の腰部および胸部の高さに対応する位置に設けることで、支持部の面積が大きくなるので、通常の着座時には、乗員の上体側部をより安定して支持することができる。
【0039】
また、第2連結ワイヤを乗員の胸部の高さに対応する位置で支持部の後ろを通るように配置することで、支持部にかかった荷重を第2連結ワイヤによっても支えられるので、乗員の上体(胸部)をより安定して支持することができる。
【0040】
また、支持部の後方で第2連結ワイヤに上や下に向けて凸となる屈曲部分を設けることで、支持部にかかった荷重を第2連結ワイヤによって安定して支持することができるので、乗員の上体(胸部)を一層安定して支持することができる。
【0041】
また、腰部に対応する支持部と胸部に対応する支持部とを互いに連結することで、支持部の面積が大きくなるので、通常の着座時には、乗員の上体側部を一層安定して支持することができる。