特許第6397120号(P6397120)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6397120無線LANシステムにおいてマルチユーザーフレーム伝送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397120
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】無線LANシステムにおいてマルチユーザーフレーム伝送方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/08 20090101AFI20180913BHJP
   H04W 74/08 20090101ALI20180913BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20180913BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20180913BHJP
【FI】
   H04W72/08 110
   H04W74/08
   H04W84/12
   H04W72/04 131
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-506778(P2017-506778)
(86)(22)【出願日】2015年7月28日
(65)【公表番号】特表2017-530590(P2017-530590A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】KR2015007832
(87)【国際公開番号】WO2016021858
(87)【国際公開日】20160211
【審査請求日】2017年2月6日
(31)【優先権主張番号】62/033,651
(32)【優先日】2014年8月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/082,560
(32)【優先日】2014年11月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】リ ウクポン
(72)【発明者】
【氏名】リュ キソン
(72)【発明者】
【氏名】キム チョンキ
(72)【発明者】
【氏名】チェ チンソ
(72)【発明者】
【氏名】チョ ハンキュ
【審査官】 三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/169389(WO,A1)
【文献】 John (Ju-Hyung) Son,Further Considerations on Enhanced CCA for 11ax,IEEE 802.11-14/0847r0,インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/14/11-14-0847-00-00ax-further-considerations-on-enhanced-cca-for-11ax.pptx>,2014年 7月15日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおいてステーション(STA)が下りリンク(DL)信号を受信する方法であって、
前記STAが、BSS(basic service set)を示すカラーリング情報を含むDL信号を受信するステップと、
記STAが上りリンク(UL)送信を実行するステップと、
を含み、
前記DL信号がトリガーフレームに対応する、前記DL信号は動作に関連するリソース再利用の遅延を示す情報を含
前記DL信号が動作に関連するリソース再利用の遅延を示す情報と、前記STAが属さない前記BSSを示す前記カラーリング情報を含む時、前記STAは前記動作に関連するリソース再利用にしたがって前記UL送信を遅延し、
前記動作に関連するリソース再利用の遅延を示す情報はHE−SIG(High Efficiency Signal)フィールドに含まれる、方法。
【請求項2】
前記DL信号は、HE PPDU(High Efficiency Physical Layer protocol data unit)に対応する、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記HE−SIGフィールドは前記HE PPDUに含まれる、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記動作に関連するリソース再利用は、CCA(clear channel assessment)レベル変化に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記動作に関連するリソース再利用の制限を示す情報は、BSS(basic service set)ディスエーブルビットに対応する、請求項に記載の方法。
【請求項6】
無線通信システムにおいて下りリンク(DL)信号を受信するステーション(STA)であって、
受信モジュールと、
プロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、BSS(basic service set)を示すカラーリング情報を含む下りリンク(DL)信号を受信し、前記STAが前記DL信号で示される時、上りリンク(UL)送信を行うように構成され、
前記DL信号がトリガーフレームに対応する、前記DL信号は、動作に関連するリソース再利用の遅延を示す情報を含
前記DL信号が動作に関連するリソース再利用の遅延を示す情報と、前記STAが属さない前記BSSを示す前記カラーリング情報を含む時、前記STAは前記動作に関連するリソース再利用にしたがって前記UL送信を遅延し、
前記動作に関連するリソース再利用の遅延を示す情報はHE−SIG(High Efficiency Signal)フィールドに含まれる、ST
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の説明は、無線通信システムにおいてマルチユーザーフレームを送信する方法及びそれを行うステーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
まず、本発明を適用可能なシステムの一例として無線LAN(wireless local area network;WLAN)システムについて説明する。
【0003】
無線LAN技術の標準がIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11標準として開発されている。IEEE 802.11a及びbは2.4.GHz又は5GHzで非免許帯域(unlicensed band)を利用し、IEEE 802.11bは11Mbpsの伝送速度を提供し、IEEE 802.11aは54Mbpsの伝送速度を提供する。IEEE 802.11gは2.4GHzで直交周波数分割多重化(Orthogonal frequency−division multiplexing;OFDM)を適用して54Mbpsの伝送速度を提供する。IEEE 802.11nは多重入出力OFDM(multiple input multiple output−OFDM;MIMO−OFDM)を適用して4個の空間的なストリーム(spatial stream)に対して300Mbpsの伝送速度を提供する。IEEE 802.11nではチャネル帯域幅(channel bandwidth)を40MHzまで支援し、この場合には600Mbpsの伝送速度を提供する。
【0004】
上述した無線LAN標準は、最大で160MHz帯域幅を使用し、8個の空間ストリームを支援して最大で1Gbit/sの速度を支援するIEEE 802.11ac標準を経て、IEEE 802.11ax標準化が議論されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明では、マルチユーザーフレームを送信する方法、特に、複数のSTAがマルチユーザーフレーム伝送のための同期をどのように扱うかを技術的課題とする。
【0006】
本発明で遂げようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していない他の技術的課題は、以下の記載から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例は、無線通信システムにおいてSTAがCCA(Clear Channel Assessment)を行う方法であって、カラーリングビットが含まれたフレームを受信するステップと、前記カラーリングビットが、前記STAの属したBSS(Basic Service Set)であることを示す場合、CCAレベルを第1レベルに変更し、カラーリングビットが、前記STAの属していないBSSであることを示す場合、CCAレベルを第2レベルに変更するステップと、前記第1レベル又は第2レベルによってCCAを行うステップとを含み、前記フレームがOFDMに基づくフレームフォーマットである場合、前記フレームはカラーリングディスエーブルビットを含み、前記カラーリングディスエーブルビットが、前記フレームがマルチユーザー伝送に関連したトリガーフレームであることを示す場合、前記STAは、前記カラーリングビットが示す情報にかかわらずにCCAレベルの変更を行わない、CCA実行方法である。
【0008】
本発明の一実施例は、無線通信システムにおいてCCAを行うSTA装置であって、受信モジュールと、プロセッサとを備え、前記プロセッサは、カラーリングビットが含まれたフレームを受信し、前記カラーリングビットが、前記STAの属したBSS(Basic Service Set)であることを示す場合、CCAレベルを第1レベルに変更し、カラーリングビットが、前記STAの属していないBSSであることを示す場合、CCAレベルを第2レベルに変更し、前記第1レベル又は第2レベルによってCCAを行い、前記フレームがOFDMに基づくフレームフォーマットである場合、前記フレームはカラーリングディスエーブルビットを含み、前記カラーリングディスエーブルビットが、前記フレームがマルチユーザー伝送に関連したトリガーフレームであることを示す場合、前記STAは、前記カラーリングビットが示す情報にかかわらずにCCAレベルの変更を行わない、STA装置である。
【0009】
前記カラーリングディスエーブルビットが、前記フレームがマルチユーザー伝送に関連したトリガーフレームであることを示す場合、前記CCAレベルの変更は、前記トリガーフレームに関連した上りリンクフレーム受信時に行われてもよい。
【0010】
前記STAは前記フレームをデコードしてプロテクション区間の情報を取得することができる。
【0011】
前記STAは前記プロテクション区間で伝送を行わなくてもよい。
【0012】
前記カラーリングビットが前記STAの属したBSSであることを示す場合、前記STAは前記第1レベルにかかわらずにプロテクション区間で伝送を行わなくてもよい。
【0013】
前記カラーリングビットが、前記STAの属していないBSSであることを示し、前記STAは、前記上りリンクフレームの受信レベルが前記第2レベルより大きい場合、プロテクション区間で伝送を行わなくてもよい。
【0014】
前記カラーリングビットが、前記STAの属していないBSSであることを示し、前記STAは、前記上りリンクフレームの受信レベルが前記第2レベルより小さい場合、プロテクション区間で伝送を行うことができる。
【0015】
前記第1レベルは、前記CCAレベルの変更が行われていない場合に比べて低い値であり、前記第2レベルは、前記CCAレベルの変更が行われていない場合に比べて高い値であってもよい。
【0016】
前記フレームは、HE−PPDU(High Efficiency PLCP protocol data unit))フレームであってもよい。
【0017】
前記カラーリングビット及び前記カラーリングディスエーブルビットは、HE−SIGフィールドに含まれたものであってもよい。
【0018】
前記フレームがOFDMに基づくフレームフォーマットでない場合、前記STAは前記フレームをデコードして、前記フレームがマルチユーザー伝送に関連したトリガーフレームであることを認識することができる。
【0019】
前記STAは前記フレームをデコードしてプロテクション区間情報を取得することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、STAが効率的に同期を調節し、マルチユーザーフレームを送信することができる。
【0021】
本発明から得られる効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及していない他の効果は、以下の記載から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本明細書に添付される図面は、本発明に関する理解を提供するためのものであり、本発明の様々な実施の形態を示し、明細書の記載と共に本発明の原理を説明する。
図1】無線LANシステムの構成の一例を示す図である。
図2】無線LANシステムの構成の他の例を示す図である。
図3】無線LANシステムで利用可能なフレーム構造を説明するための図である。
図4】IEEE 802.11ac標準技術に基づくフレームフォーマットを示す図である。
図5】フレーム時間間隔を説明するための図である。
図6】本発明の実施例に係るマルチユーザーフレーム伝送方法を説明するための図である。
図7】本発明の実施例に係るマルチユーザーフレーム伝送方法を説明するための図である。
図8】送受信装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る好適な実施の形態を、添付の図面を参照して詳しく説明する。添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施の形態を説明するためのものであり、本発明を実施できる唯一の実施の形態を示すためのものではない。
【0024】
以下の詳細な説明は本発明の完全な理解を提供するために具体的な細部事項を含む。しかし、当業者は、本発明をこのような具体的な細部事項無しにも実施できるということを理解する。いくつかの場合、本発明の概念が曖昧になることを避けるために、公知の構造及び装置を省略してもよく、各構造及び装置の核心機能を中心にしたブロック図の形式で示してもよい。
【0025】
上述したように、以下の説明は、無線LANシステムにおいてフレームを送信する方法及びそれを行うステーション装置に関する。そのために、まず、本発明が適用される無線LANシステムについて具体的に説明する。
【0026】
図1は、無線LANシステムの構成の一例を示す図である。
【0027】
図1に示すように、無線LANシステムは、1つ以上の基本サービスセット(Basic Service Set;BSS)を含む。BSSは、同期化に成功して互いに通信できるステーション(Station;STA)の集合である。
【0028】
STAは、媒体接続制御(Medium Access Control;MAC)と無線媒体に対する物理層(Physical Layer)インターフェースを含む論理個体であり、アクセスポイント(access point;AP)STAと非AP STA(Non−AP Station)を含む。単純にAPという時はAP STAを指し、STAという時はNon−AP STAを示すこともある。Non−AP STAは、端末(terminal)、無線送受信ユニット(Wireless Transmit/Receive Unit;WTRU)、ユーザ装置(User Equipment;UE)、移動局(Mobile Station;MS)、携帯用端末(Mobile Terminal)、又は移動加入者ユニット(Mobile Subscriber Unit)などの他の名称で呼ぶこともできる。
【0029】
そして、APは、自身に結合されたSTA(Associated Station)に、無線媒体を介して分配システム(Distribution System;DS)への接続を提供する個体である。APは、集中制御機、基地局(Base Station;BS)、Node−B、BTS(Base Transceiver System)、又はサイト制御機などと呼ぶこともできる。
【0030】
BSSは、インフラストラクチャー(infrastructure)BSSと独立した(Independent)BSS(IBSS)とに区別できる。
【0031】
図1に示すBBSは、IBSSである。IBSSは、APを含まないBSSを意味し、APを含まないことから、DSへの接続が許容されず、自己完備的ネットワーク(self−contained network)をなす。
【0032】
図2は、無線LANシステムの構成の他の例を示す図である。
【0033】
図2に示すBSSは、インフラストラクチャーBSSである。インフラストラクチャーBSSは、1つ以上のSTA及びAPを含む。インフラストラクチャーBSSにおいて非AP STA間の通信はAPを経由してなされるのが原則であるが、非AP STA間に直接リンク(link)が設定されている場合には、非AP STA間で直接通信も可能である。
【0034】
図2に示すように、複数のインフラストラクチャーBSSは、DSを介して相互接続することができる。DSを介して接続した複数のBSSを拡張サービスセット(Extended Service Set;ESS)という。ESSに含まれるSTAは相互に通信することができ、同じESS内で非AP STAはシームレスに通信しながら一つのBSSで他のBSSに移動することができる。
【0035】
DSは、複数のAPを接続させるメカニズム(mechanism)であり、必ずしもネットワークである必要はなく、所定の分配サービスを提供できるものであれば、その形態には何ら制限もない。例えば、DSは、メッシュ(mesh)ネットワークのような無線ネットワークであってもよく、APを相互に接続させる物理的な構造物であってもよい。
【0036】
以上に基づいて無線LANシステムで利用可能なフレーム構造について説明する。
【0037】
図3は、無線LANシステムで利用可能なフレーム構造を説明するための図である。
【0038】
具体的に、図3の図面符号310は、IEEE 802.11a/g標準に従う端末用物理層プロトコルデータユニット(PPDU: Physical Layer Protocol Data Unit)フォーマットを示し、図面符号320及び330は、IEEE 802.11n標準に従う端末用PPDUフォーマットを示している。図3に示すように、IEEE 802.11n方式を支援する端末は「HT−」と呼ばれるフレームを用いる。
【0039】
より具体的に、図面符号320は、IEEE 802.11n端末のHT−mixed format PPDUを、図面符号330は、HT−greenfield format PPDUを示している。
【0040】
図面符号340は、それぞれのPPDUにおけるデータ領域の構成を示しており、データ領域はPSDU(Physical Service Data Unit)を含む。
【0041】
図4には、IEEE 802.11ac標準技術に基づくフレームフォーマットを示す。
【0042】
図4に示すように、IEEE 802.11ac標準に従う端末は、「VHT−」と表記されるフィールドを支援する。
【0043】
具体的に、図4に表記された各フィールドは次のとおりである。
【0044】
【表1】
【0045】
フレーム間時間間隔(IFS:Inter−Frame Space)
2つのフレーム間の時間間隔をIFS(Inter−Frame Space)と定義することができる。STAは、キャリアセンシング(carrier sensing)を用いてIFSの間にチャネルが用いられているか否かを判断することができる。DCF MAC層は4つのIFSを定義しており、これによって、無線媒体を占有する優先権を決定付けることができる。
【0046】
IFSは、STAのビット率とは関係なく物理層によって特定の値に設定することができる。IFSの種類には、SIFS(Short IFS)、PIFS(PCF IFS)、DIFS(DCF IFS)、EIFS(Extended IFS)がある。SIFS(Short IFS)は、RTS/CTS、ACKフレーム伝送時に用いられ、最高の優先順位を有することができる。PIFS(PCF IFS)はPCFフレーム伝送時に用いられ、DIFS(DCF IFS)はDCFフレーム伝送時に用いられ得る。EIFS(Extended IFS)は、フレーム伝送誤りの発生時にのみ用いられ、固定した間隔を有しない。
【0047】
各IFS間の関係は媒体上で時間間隔(time gap)と定義され、関連した属性は、図5のように物理層によって提供される。
【0048】
図5は、IFSの関係を例示する図である。全ての媒体タイミングにおいてPPDUの最後のシンボルの終了時点が伝送終了を示し、次のPPDUのプリアンブルの最初のシンボルが伝送開始を示す。全てのMACタイミングは、PHY−TXEND.confirmプリミティブ、PHYTXSTART.confirmプリミティブ、PHY−RXSTART.indicationプリミティブ及びPHY−RXEND.indicationプリミティブを参照して定めることができる。
【0049】
図5を参照すると、SIFS時間(aSIFSTime)とスロット時間(aSlotTime)は、物理層別に決定することができる。SIFS時間は固定値を有し、スロット時間は無線遅延時間(aAirPropagationTime)の変化によって動的に変化し得る。SIFS、PIFS、DIFSはそれぞれ下記の式1〜式3のように定義することができ、各式で括弧中の値は、一般に使われる数値である。ただし、この値は端末別及び/又は位置別に変わり得る。
【0050】
【数1】
【0051】
【数2】
【0052】
【数3】
【0053】
図6には、本発明の実施例に適用可能なHE−PPDU(High Efficiency PLCP protocol data unit)フレームフォーマットの例示を示す。
【0054】
図6(a)の例は、12.8usのHE−SIGAフィールドを含み、1シンボルのHE−STFフィールド、HE−LTFフィールド、1シンボルのHE−SIGBフィールドを含むことができる。HE−STFの最初から、256、512、1024、2048FFTを20MHz、40MHz、80MHz、160MHzのHE PPDUフォーマットにそれぞれ適用することができる。HE PPDUのプリアンブル長は、8(L−STF)+8(L−LTF)+4(L−SIG)+12.8(HE−SIGA)+16(HE−STF)+X(times)16(HE−LTF)+16(HE−SIGB)=80.8us(X=1の場合)であってもよい。
【0055】
図6(b)のPPDUフォーマットは、1シンボルのHE−STFフィールド、1シンボルのHE−SIGフィールド、HE−LTFフィールドを含むことができる。HE−STFの最初から、256、512、1024、2048FFTを20MHz、40MHz、80MHz、160MHzのHE PPDUフォーマットにそれぞれ適用することができる。HE PPDUのプリアンブル長は、8(L−STF)+8(L−LTF)+4(L−SIG)+16(HE−STF)+16(HE−SIGA)+X(times)16(HE−LTF)=68us(X=1の場合)であってもよい。
【0056】
図6(c)のPPDUフォーマットは、1シンボルのHE−STFフィールド、1シンボルのHE−SIGフィールドを含むことができる。HE−STFの最初から、256、512、1024、2048FFTを20MHz、40MHz、80MHz、160MHzのHE PPDUフォーマットにそれぞれ適用することができる。HE PPDUプリアンブル長は、8(L−STF)+8(L−LTF)+4(L−SIG)+16(HE−STF)+16(HE−SIGA)=52usであってもよい。
【0057】
IEEE 802.11axではSTAとAPが非常に多く存在する状況を考慮しており、このような場合に周波数再使用(frequency reuse)率を上げるために、様々な方法でCCAレベルを上げようと努力している。
【0058】
例えば、媒体がビジー(busy)であると判断する基準(preamble detectionの場合)を−82dBmから−70dBmに変え、このとき、信号が−75dBmで受信されると、既存には媒体がビジーであると判断したが、変更されたCCAレベルでは媒体がアイドル(idle)であると判断することができる。この場合、同じBSS(同じAPと通信するSTAとそのAPからなるセット)に属するか否かを判断する必要がある。より詳しくは、もし同じBSSに属する場合、同じ受信局に伝送をするようになるか又は送信している装置に伝送をするようになり、衝突/干渉が発生しうる。
【0059】
このような問題を解決するために、BSSカラーリング(coloring)を用いることができる。具体的に、BSSカラーリングビットをBSS別に極力異なるように設定し、STAが信号を受信するとBSSカラーリングビットを確認し、それが自身の属したBSSである場合に、非常に小さいレベルの信号が受信されても信号を送信せず、自身の属していないBSSである場合には、変更されたCCAレベルから、媒体がビジーであるか否かを判断することができる。
【0060】
一方、802.11axでは、マルチユーザー上りリンク伝送のためにAPが媒体にアクセスし、アイドルであれば、OFDMに基づくトリガーフレーム(又は、CTXフレーム)を送信することができる。トリガーフレームが示すSTAは、上りリンクデータを送信することができる。ここで、トリガーフレームに含まれた上りリンク割り当て情報は、MACデータ又は物理制御チャネル(例えば、HE−SIG)で送信され得る。図7に、このようなトリガーフレームの伝送と多重ユーザ(multi user;MU)の上りリンク伝送を簡略に示す。
【0061】
以下では、802.11ax環境でBSSカラーリングを適用してCCAレベルが変更される場合に、効率的な伝送を行うための方法を説明する。
【0062】
実施例1
上で簡略に述べたように、STAは、カラーリングビットが含まれたフレームを受信した後、カラーリングビットがSTAの属したBSSであることを示すと、CCAレベルを第1レベルに変更し、カラーリングビットが上記STAの属していないBSSであることを示すと、CCAレベルを第2レベルに変更することができる。そして、第1レベル又は第2レベルによってCCAを行うことができる。ここで、第1レベルは、CCAレベルの変更が行われていない場合に比べて低い値であり、第2レベルは、上記CCAレベルの変更が行われていない場合に比べて高い値であってもよい。例えば、第1レベルは0に設定され、受信信号がSTA自身の属したBSSである場合、常に媒体がビジーであると判断するようにしてもよい。
【0063】
上記受信されたフレームがOFDMに基づくフレームフォーマットである場合(すなわち、トリガーフレーム又はCTXフレームである場合)、上記フレームはカラーリングディスエーブルビットを含むことができる。そして、カラーリングディスエーブルビットが、上記フレームがマルチユーザー伝送に関連したトリガーフレームであることを示す場合、上記STAは、上記カラーリングビットが示す情報に関係なく、CCAレベルの変更を行わなくてもよい。すなわち、トリガーフレームにカラーリングディスエーブルビット(この名称は例示的なものであり、本発明の説明に係る動作を行わせるビット、指示子であれば、本発明の範囲に含まれる。)を含ませ、このカラーリングディスエーブルビットは、現在フレームがトリガーフレームであることを示す役割を担う。これは、現在フレームがトリガーフレームであるから、CCAレベルの変更、媒体がビジーであるか否かの判断を行わないように指示するビットとして解釈してもよい。
【0064】
カラーリングディスエーブルビットが、上記フレームがマルチユーザー伝送に関連したトリガーフレームであることを示す場合、CCAレベルの変更は、上記トリガーフレームに関連した上りリンクフレームの受信時に行われ得る。これは、トリガーフレームがAPから送信されると、これに相応してSTAの上りリンクフレームが送信されるので、トリガーフレームにおけるCCAレベルの変更、媒体がビジーであるか否かの判断を行わないようにするわけである。仮に、トリガーフレームと関連してCCAレベルの変更、それに基づいて媒体がビジーであるか否かの判断を行ってSTAが伝送を行うと、トリガーフレームに関連した上りリンク信号の受信に干渉として作用するはずである。
【0065】
続いて、STAは上記フレームをデコードしてプロテクション区間情報を取得することができ、STAは上記プロテクション区間で伝送を行わない。
【0066】
カラーリングビットが、STAの属したBSSであることを示すと、上記STAは上記第1レベルにかかわらず、プロテクション区間で伝送を行わなくてもよい。
【0067】
カラーリングビットが、STAの属していないBSSであることを示し、上記上りリンクフレームの受信レベルが上記第2レベルよりも大きいと、上記STAはプロテクション区間で伝送を行わなくてもよい。カラーリングビットが、上記STAの属していないBSSであることを示し、上りリンクフレームの受信レベルが上記第2レベルより小さいと、STAはプロテクション区間で伝送を行うことができる。
【0068】
仮にフレームがOFDMに基づくフレームフォーマットでない場合、すなわち、カラーリングビットが802.11axフレームフォーマット以外のフレームで送信される場合、STAはフレームをデコードして、上記フレームがマルチユーザー伝送に関連したトリガーフレームであることを認識することができる。また、STAはフレームをデコードしてプロテクション区間情報を取得することができる。
【0069】
トリガーフレームはHE−PPDU(High Efficiency PLCP protocol data unit)フレームであり、カラーリングビット及び上記カラーリングディスエーブルビットはHE−SIGフィールドに含まれたものであってもよい。
【0070】
上述した説明で、カラーリングディスエーブルビットを別に定義せず、既存BSSカラーリングビット(BSS−IDビット)フィールドの留保された(reserved)フィールドを使用してもよい。
【0071】
実施例2
実施例1の延長線上で、トリガーフレームを同一のBSS内の装置が送信した場合、トリガーフレームを聞いたSTAは、CCAレベルに適用することなくプロテクション区間において伝送を行わなくてもよい。仮に、STAは、トリガーフレームは聞けず、ULデータを聞いた場合、CCAレベルに適用することなくプロテクション区間において伝送を行わなくてもよい。
【0072】
一方、トリガーフレームを他のBSS内の装置が送信した場合、他のBSS内の装置は、次のように動作することができる。
【0073】
第一に、トリガーフレームが新しいCCAレベルより大きい場合、プロテクション区間において送信しなくてもよい。
【0074】
第二に、トリガーフレームが新しいCCAレベルより大きくなく、(待機して)ULデータは新しいCCAレベルより大きい場合、プロテクション区間において伝送を行わなくてもよい。
【0075】
第三に、トリガーフレームが新しいCCAレベルより大きくなく、ULデータも新しいCCAレベルより大きくない場合、媒体がアイドルであると判断し、バックオフ及びデータ伝送を行うことができる。
【0076】
実施例3
実施例3は、トリガーフレームではなくRTS、CTSフレームに関連する。
【0077】
RTS/CTSが802.11axフレームフォーマットで送信される場合、装置は、802.11axのフレームがRTS/CTSであるということを認知する。このとき、送信側は、802.11axフレームのHE−SIG内にBSSカラーリングディスエーブルビットを1に設定し、当該フレームがRTS/CTSフレームであるということを知らせることができる。この時、装置は追加的に当該フレームをデコードしてプロテクション区間を取得することができる。(L−SIG又はMACデュレーション)
RTS/CTSを同一のBSS内の装置が送信する場合、当該BSS内の装置は次の各場合においてそれぞれの動作を行うことができる。
【0078】
STAがRTSを聞き、CTSを聞いた場合、CCAレベルに適用することなくプロテクション区間において送信しなくてもよい。仮に、STAがRTSを聞き、CTSを聞けなく、RTSを送った装置からDATA伝送がある場合、CCAレベルに適用することなくプロテクション区間において送信しなくてもよい。また、STAがRTSを聞き、CTSを聞けなく、RTSを送った装置からDATA伝送を聞いていない場合、NAV(又は、TXOP)を終了(terminate)させ、再びバックオフ手順(backoff procedure)を行うことができる。STAが、RTSは聞けなく、CTSは聞いた場合、CCAレベルに適用することなくプロテクション区間において送信しなくてもよい。
【0079】
RTS/CTSを他のBSS内の装置が送信する場合、他のBSS内の装置は次のように動作することができる。
【0080】
RTSとCTSが新しいCCAレベルより大きい場合、プロテクション区間において送信しなくてもよい。RTSが新しいCCAレベルより大きく、CTSは新しいCCAレベルより大きくなく、RTSを送った装置からのDATAが新しいCCAレベルより大きい場合、プロテクション区間において送信しなくてもよい。RTSが新しいCCAレベルより大きく、CTSは新しいCCAレベルより大きくなく、RTSを送った装置からのDATAが新しいCCAレベルより大きくない場合、NAV(又は、TXOP)を終了(terminate)させ、再びバックオフ手順を行う。RTSが新しいCCAレベルより大きくなく、CTSは新しいCCAレベルより大きい場合、プロテクション区間において送信しなくてもよい。
【0081】
上記の説明で、新しいCCAレベルより大きくないということは、信号レベルが低すぎて当該フレームを認知さえできない場合を含む。
【0082】
仮に、RTS/CTSが802.11axフレームフォーマット以外のフレームで送信される場合、装置は、当該フレームをデコードして、当該フレームがRTS/CTSであるということ、及びプロテクション区間を取得することができる。
【0083】
以上の実施例は、RTS及びCTS、トリガーフレーム/CTXを802.11axフレームフォーマットで送信する場合、BSSカラーリングビットに加えてBSSカラーリングディスエーブルビットを含めて、当該フレームがRTS、CTS又はCTXであるということを、当該フレームを受信する装置に知らせ、他のフレームとは別の方法でCCAを適用するようにする。
【0084】
このとき、TXOPデュレーションはL−SIGの長さフィールド(length field)から取得することもでき、当該PPDUのMACデュレーションから取得することもできる。L−SIGの長さフィールドでTXOPデュレーションを知らせる場合、HE−SIGでPPDUの長さをさらに知らせることができる。加えて、CTXを送信する装置はULデータ受信局(すなわち、AP)であるから、CTXを送信する装置と干渉を与える装置とが強い干渉を与える位置にいると、ULデータを送信する装置の信号大きさにかかわらず、媒体がビジーであると判断するようにしてもよい。
【0085】
本発明の実施例に係る装置の構成
図8は、本発明の一実施例に係る無線装置の構成を示すブロック図である。
【0086】
AP10は、プロセッサ11、メモリ12、送受信器13を備えることができる。STA20は、プロセッサ21、メモリ22、送受信器23を備えることができる。送受信器13及び23は、無線信号を送信/受信することができ、例えば、IEEE 802システムによる物理層を具現することができる。プロセッサ11及び21は、送受信器13及び21と接続して、IEEE 802システムによる物理層及び/又はMAC層を具現することができる。プロセッサ11及び21は、前述した本発明の様々な実施例に係る動作を行うように構成することができる。また、前述した本発明の様々な実施例に係るAP及びSTAの動作を具現するモジュールがメモリ12及び22に格納され、プロセッサ11及び21によって実行されてもよい。メモリ12及び22は、プロセッサ11及び21の内部に含まれてもよく、プロセッサ11及び21の外部に設置されてプロセッサ11及び21と公知の手段によって接続されてもよい。
【0087】
上記のようなAP及びSTA装置の具体的な構成は、前述した本発明の様々な実施例で説明した事項が独立して適用されたり又は2つ以上の実施例が同時に適用されるように具現することができ、重複する内容は明確性のために説明を省略する。
【0088】
上述した本発明の実施例は、様々な手段によって具現することができる。例えば、本発明の実施例は、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェア又はそれらの結合などによって具現することができる。
【0089】
ハードウェアによる具現の場合、本発明の実施例に係る方法は、1つ又はそれ以上のASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、DSPD(Digital Signal Processing Device)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって具現することができる。
【0090】
ファームウェアやソフトウェアによる具現の場合、本発明の実施例に係る方法は、以上で説明した機能又は動作を実行するモジュール、手順又は関数などの形態として具現することができる。ソフトウェアコードはメモリユニットに格納され、プロセッサによって駆動されてもよい。上記メモリユニットは、上記プロセッサの内部又は外部に設けられて、既に公知の様々な手段によって上記プロセッサとデータを授受することができる。
【0091】
以上開示した本発明の好ましい実施の形態に関する詳細な説明は、当業者が本発明を具現し実施できるように提供された。上記では本発明の好ましい実施の形態を参照して説明したが、当該技術の分野における熟練した当業者は、添付する特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を様々に修正及び変更可能であるということが理解できる。したがって、本発明は、ここに現れた実施の形態によって制限しようとするものではなく、ここで開示された原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えようとするものである。
【産業上の利用可能性】
【0092】
上述したような本発明の実施の形態は様々な移動通信システムに適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8