特許第6397123号(P6397123)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6397123水圧エネルギー伝達システムによってポンプを保護するシステムと方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397123
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】水圧エネルギー伝達システムによってポンプを保護するシステムと方法
(51)【国際特許分類】
   F04F 13/00 20090101AFI20180913BHJP
【FI】
   F04F13/00
【請求項の数】20
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-511884(P2017-511884)
(86)(22)【出願日】2015年8月28日
(65)【公表番号】特表2017-526858(P2017-526858A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】US2015047504
(87)【国際公開番号】WO2016033508
(87)【国際公開日】20160303
【審査請求日】2017年4月25日
(31)【優先権主張番号】62/044,095
(32)【優先日】2014年8月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/838,845
(32)【優先日】2015年8月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516099646
【氏名又は名称】エナジー リカバリー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100141081
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 庸良
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア メアリー ゲインズ−ジャーメイン
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー グラント マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ファーシャド ガスリプア
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/074944(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0128656(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転等圧圧力交換器(IPX)と前記回転等圧圧力交換器(IPX)から非腐食性流体を受け取るように構成された高圧ポンプとを備える産業用システムを含む、システムであって、
前記回転等圧圧力交換器(IPX)が、
第1の圧力の第1の量の前記非腐食性流体と、第2の圧力の第2の量の腐食性流体と、を受け取り、前記第1の圧力が、前記第2の圧力よりも大きく、前記第1の量が、前記第2の量とは異なり、
前記非腐食性流体と前記腐食性流体との間で圧力を交換し、
前記腐食性流体と前記非腐食性流体との第1の混合物を、第3の圧力で出力し、
前記非腐食性流体を、第4の圧力で出力し、前記第3の圧力が、第4の圧力よりも大きいことによって前記非腐食性流体と前記腐食性流体との接触を阻止又は制限し、これにより、前記腐食性流体によって引き起こされる前記高圧ポンプの摩耗を阻止又は制限する、
ように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記腐食性流体が、カルバミン酸アンモニウム、尿素、硝酸、又はこれらの組み合わせ、を含んでいる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の量の非腐食性流体が、前記第2の量の腐食性流体よりも多い、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記回転等圧圧力交換器(IPX)は、前記腐食性流体と前記非腐食性流体との第2の混合物を、前記第4の圧力で出力するように構成されており、前記第2の混合物中の前記腐食性流体のパーセンテージが、5%未満である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
コントローラを備え、前記コントローラが、前記第2の混合物中の前記腐食性流体のパーセンテージを制御するために、前記非腐食性流体の第1の量と前記腐食性流体の第2の量とを制御するように構成されている、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
コントローラを備え、前記コントローラが、前記第1の混合物中の非腐食性流体と腐食性流体との比を制御するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラが、前記第1の混合物中の非腐食性流体と腐食性流体との比を制御するために、前記非腐食性流体の第1の量と前記腐食性流体の第2の量とを制御するように構成されている、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記産業用システムが、
ポンプ又は弁であって、前記腐食性流体と前記非腐食性流体との第3の混合物を生成するために、前記腐食性流体と前記非腐食性流体との前記第1の混合物へ、前記非腐食性流体を、前記第1の圧力で送るように構成された、ポンプ又は弁と、
化学反応器であって、前記腐食性流体と前記非腐食性流体との前記第3の混合物を受け取り、前記第3の混合物が、前記化学反応器の内部の化学反応速度を増加させるように構成された、化学反応器と
を備えている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記産業用システムが、前記第1の圧力の前記非腐食性流体を含む圧力降下流れを提供するように構成された、化学反応器を備えている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記産業用システムが、
前記非腐食性流体を高圧で含有するように構成された、高圧容器と、
前記高圧容器から前記非腐食性流体を受け取るように、そして前記第1の圧力の前記第1の量の非腐食性流体を前記回転等圧圧力交換器(IPX)へ送るように構成された、第1のポンプと、
前記回転等圧圧力交換器(IPX)から前記第4の圧力の非腐食性流体を受け取り、前記非腐食性流体を加圧し、そして前記加圧された非腐食性流体を前記高圧容器へ送るように構成された、高圧ポンプと
を備え、
前記回転等圧圧力交換器(IPX)は、前記非腐食性流体と前記腐食性流体との前記第3の圧力の前記第1の混合物を、前記高圧容器へ送るように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
非腐食性流体と腐食性流体との間で圧力を交換するように構成された回転等圧圧力交換器(IPX)と前記回転等圧圧力交換器(IPX)から非腐食性流体を受け取るように構成された高圧ポンプとを備えるシステムであって、
前記回転等圧圧力交換器(IPX)が、
第1の入口であって、第1の圧力の第1の量の非腐食性流体を受け取るように構成された、第1の入口と、
第2の入口であって、第2の圧力の第2の量の腐食性流体を受け取るように構成されており、前記第1の圧力が前記第2の圧力よりも大きく、前記第1の量が前記第2の量とは異なる、第2の入口と、
第1の出口であって、前記腐食性流体と前記非腐食性流体との第1の混合物を第3の圧力で出力するように構成された、第1の出口と、
第2の出口であって、前記非腐食性流体を第4の圧力で出力するように構成されており、前記第3の圧力が第4の圧力よりも大きい、第2の出口と、
を備えており
前記第3の圧力が、第4の圧力よりも大きいことによって、前記非腐食性流体と前記腐食性流体との接触を阻止又は制限し、これにより、前記腐食性流体によって引き起こされる前記高圧ポンプの摩耗を阻止又は制限する、
ように構成されている、
システム。
【請求項12】
前記腐食性流体が、カルバミン酸アンモニウム、尿素、硝酸、又はこれらの組み合わせ、を含んでいる、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2の出口は、前記腐食性流体と前記非腐食性流体との第2の混合物を、前記第4の圧力で出力するように構成されており、第2の混合物中の前記腐食性流体のパーセンテージが、5%未満である、
請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2の混合物中の前記腐食性流体のパーセンテージを制御するために、前記非腐食性流体の第1の量と前記腐食性流体の第2の量とを制御するように構成されたコントローラを備えている、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記腐食性流体と前記非腐食性流体との前記第1の混合物中の非腐食性流体と腐食性流体との比を制御するために、前記非腐食性流体の第1の量と、前記腐食性流体の第2の量と、を制御するように構成された、コントローラを備えている、
請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
化学反応器であって、前記腐食性流体と前記非腐食性流体との前記第1の混合物を受け取り、前記第1の混合物が前記化学反応器の内部の化学反応速度を増加させる、ように構成された、化学反応器を備えている、
請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の圧力の前記非腐食性流体を含む圧力降下流れを提供するように構成された化学反応器を備えている、
請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載のシステムを備える方法であって、
回転等圧圧力交換器(IPX)の第1の流体の入口で、高圧の第1の量の非腐食性流体を受け取るステップと、
前記回転等圧圧力交換器(IPX)の第2の流体の入口で、低圧の第2の量の腐食性流体を受け取るステップであって、前記第1の量が、前記第2の量よりも多い、ステップと、
前記回転等圧圧力交換器(IPX)を使用して、前記非腐食性流体と前記腐食性流体との間で圧力を交換するステップと、
前記回転等圧圧力交換器(IPX)の第1の流体の出口から、前記腐食性流体と前記非腐食性流体との第1の混合物を、低圧で出力するステップと、
前記回転等圧圧力交換器(IPX)の第2の流体の出口から、前記腐食性流体を、高圧で出力するステップと、
を備える、
方法。
【請求項19】
コントローラを使用して、前記腐食性流体と前記非腐食性流体との前記第1の混合物中の非腐食性流体と腐食性流体との比を、前記非腐食性流体の第1の量と前記腐食性流体の第2の量とを制御することによって制御するステップを備える、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記回転等圧圧力交換器(IPX)の前記第2の流体の出口から、前記非腐食性流体と前記腐食性流体との第2の混合物を、高圧で出力するステップを備え、前記第2の混合物中の腐食性流体のパーセンテージが、5%未満である、
請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、「Systems and Method for Pump Protection with a Hydraulic Energy Transfer System」と題する特許文献1の優先権及び利益を主張する。特許文献1は、その全体を参照することにより本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
このセクションは、以下に説明され及び/又は特許請求の範囲で主張された本発明の様々な態様に関連する技術の様々な態様を、読者に紹介しようとするものである。この議論は、本発明の様々な態様をよりよく理解しやすくするための背景情報を読者に提供する上で役立つものと考えられる。したがって、これらの記述は、この観点から読まれるべきであり、従来技術を承認するものとして読まれるべきではないことは、明らかである。
【0003】
本明細書中に開示された主題は、回転式設備に関し、より具体的には、回転式流体取り扱い設備で腐食性流体を取り扱うシステム及び方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国仮特許出願62/044,095号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
腐食性流体を取り扱うために、又は移送するために、様々な産業用システムにおいて、ポンプ、又は他の流体押し退けシステムを利用することができる。いくつかの状況では、腐食性流体に晒されることにより、ポンプの様々な保守問題、例えば、材料の侵食、ピッティング(pitting)、チッピング(chipping)、スポーリング(spalling)、デラミネーション(delamination)、及びその他の問題を招くことがある。したがって、いくつかのポンプは、腐食性流体の影響を軽減するのを助けるために、耐腐食性材料を備える場合がある。しかしながら、ポンプ設計に修正を加え、特別の耐腐食性材料を使用すると、ポンプの製造・生産コスト全体が増加することがある。更に、ポンプ設計に修正を加え、特別な耐腐食性材料を使用するにもかかわらず、腐食性流体に晒されるポンプは、なおも寿命が短く、完全に交換するか又は構成部分を交換する費用が、高くつくことがある。したがって、様々な産業用システム内部の腐食性流体からポンプを保護するシステム及び方法を提供することが、有益である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付の図面を参照しながら下記の詳細な説明を読めば、本発明の様々な特徴、態様、及び利点をよりよく理解できるようになる。図面全体を通して、同様の符号は同様の部材を表す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、高圧ポンプを腐食性流体から保護するように構成された水圧エネルギー(hydraulic energy)伝達システムを備えた産業用システムの1実施態様を示す概略図である。
図2図2は、図1の水圧エネルギー伝達システムの1実施態様であって、回転等圧圧力交換器(IPX)を示す分解斜視図である。
図3図3は、回転IPXの1実施態様を第1の作動位置で示す分解斜視図である。
図4図4は、回転IPXの1実施態様を第2の作動位置で示す分解斜視図である。
図5図5は、回転IPXの1実施態様を第3の作動位置で示す分解斜視図である。
図6図6は、回転IPXの1実施態様を第4の作動位置で示す分解斜視図である。
図7図7は、図1の水圧エネルギー伝達システムを備えた産業用システムの1実施態様であって、産業用システムが駆動流体と腐食性流体とを混合する実施態様を示す概略図である。
図8図8は、図1の水圧エネルギー伝達システムを備えた産業用システムの1実施態様であって、産業用システムが圧力降下源から提供される駆動流体を含む実施態様を示す概略図である。
図9図9は、図1の水圧エネルギー伝達システムを備えた産業用システムの1実施態様であって、産業用システムが高圧容器を含む実施態様を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の1つ又は2つ以上の具体的な実施態様を、以下に説明する。記載されたこれらの実施態様は、本発明を例示するものにすぎない。更に、これらの模範的実施態様を簡潔に説明するために、実際の実施形の全ての特徴を明細書において記載しない場合がある。言うまでもなく、いかなる工学的又は設計上の企画においてもそうであるように、このような実際の実施形の開発に際しては、開発者固有の目標を達成するため、例えば実施形間で多様に異なるシステム関連及びビジネス関連の制約を遵守するために、実施形固有の数多くの決定を下さなければならない。更に、言うまでもなく、このような開発努力は複雑で多大な時間を費やすものであるにもかかわらず、この開示内容の恩恵を受ける当業者にとっては、設計、製作、及び製造に取り組むという日常的な仕事であると言える。
【0009】
本発明の様々な実施態様のエレメントを紹介するときに、「a」、「an」、「the」、及び「said(前記)」という冠詞は、1つ又は2つ以上のエレメントがあることを意味するものとする。「comprising(含む)」、「including(含む)」、及び「having(有する)」という用語は、包含的なものであり、挙げられたエレメント以外に付加的なエレメントがあり得ることを意味するものとする。
【0010】
上記のように、腐食性流体を取り扱う又は腐食性流体を移送するために、様々な産業用システムにおいて、ポンプを利用することができる。例えば、腐食性流体、例えばカルバミン酸アンモニウム、尿素、硝酸、硫酸、リン酸アンモニウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸、フッ化水素酸等の腐食性流体、又は、他の、研磨性(例えばフラッキング流体(frac fluids)のような粒子含有流体)の、剪断感受性の、粘性の、或いは、ポンピングを行うのが難しい、任意の腐食性流体を取り扱うために、産業用システム又はプロセス内で、様々なポンプを利用することができる。更に、ポンプは、産業用システム内部の様々なシステムのために、より高い圧力まで腐食性流体をポンピングするように構成された、高圧ポンプであってよい。いくつかの状況では、腐食性流体に晒されることにより、ポンプの様々な保守問題、例えば材料の侵食、ピッティング、チッピング、スポーリング、デラミネーション、及びその他の問題を招くことがある。したがって、様々な産業用システム内部の腐食性流体からポンプを保護するシステム及び方法を提供することが、有益である。
【0011】
以下で詳述するように、本明細書中に開示された実施態様は大まかに言えば、様々な産業用システム内で利用し得るポンプ保護システムのためのシステム及び方法に関する。ポンプ保護システムは、第1の流体と第2の流体との間、例えば駆動流体(motive fluid)と腐食性流体との間で仕事及び/又は圧力を伝達する水圧エネルギー伝達システムを含んでよい。水圧エネルギー伝達システムは、水圧保護システム(hydraulic protection system)、水圧緩衝システム(hydraulic buffer system)、又は水圧分離システム(hydraulic isolation system)と記されることもある。なぜならばこのシステムは、駆動流体と腐食性流体との間で仕事及び/又は圧力を交換しながら、腐食性流体と様々な設備(例えば高圧ポンプ)との接触を阻止又は制限するからである。様々な設備(例えば高圧ポンプ)と腐食性流体との接触を阻止又は制限することによって、水圧エネルギー伝達システムは設備の腐食、摩損及び/又は摩耗を低減し、したがって、設備の寿命を長くして性能を高める。更に、水圧エネルギー伝達システムは、システムがより低廉な設備、例えば腐食性流体のために設計されているのではない高圧ポンプを使用するのを可能にする。
【0012】
具体的には、ポンプ保護システムは、様々な腐食性流体、例えばカルバミン酸アンモニウム、尿素、硝酸、硫酸、リン酸アンモニウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸、フッ化水素酸、又は研磨性(例えばフラッキング流体のような粒子含有流体)、剪断感受性(sheer sensitive)、粘性であるか、又はポンピングを行うのが他の点で難しい任意の他の腐食性流体と一緒に利用することができる。本明細書中に使用される腐食性流体は、一定の時間にわたって構成部分と接触することにより、化学プロセス(例えば化学反応)を通して構成部分に摩耗をもたらす流体である。更に、ポンプ保護システムは、様々な駆動流体(例えば非腐食性流体)、例えば水、還流水、補給水、ボイラー供給水、再循環水、アンモニア、凝縮物などと一緒に利用することもできる。更に、ポンプ保護システムは様々な産業用システム、様々なプラント又はプロセス、又は腐食性流体がポンピングされるか、又は他の形で押し退けられるのを必要とする任意の産業環境内で利用することができる。例えば、ポンプ保護システムは、尿素生産システム、硝酸アンモニウム生産システム、尿素硝酸アンモニウム(UAN)生産システム、ポリアミド生産システム、ポリウレタン生産システム、リン酸生産システム、リン酸肥料生産システム、リン酸カルシウム肥料生産システム、油精製システム、油抽出システム、フラッキングシステム(fracing system)、石油化学システム、製薬システムのような産業システム、又は腐食性流体(例えば研磨性、剪断感受性、粘性、又は他の点で難しい流体など)を含む任意の他の産業用システム内に含まれてよい。
【0013】
ある特定の実施態様では、水圧エネルギー伝達システムは水圧ターボチャージャー、水圧圧力交換(hydraulic pressure exchange)システム、又は等圧圧力交換器(isobaric pressure exchanger)(IPX)、例えば回転IPX又は往復IPXを含んでよい。IPXは、1つ又は2つ以上のチャンバ(例えば1〜100個)を含むことによって、第1の流体及び第2の流体(例えば駆動流体及び腐食性流体)の体積間の圧力の伝達及び等化を容易にすることができる。いくつかの実施態様では、第1の流体及び第2の流体の体積の圧力は完全には等化しないことがある。このように、ある特定の実施態様では、IPXは等圧的に作動することができ、或いは、IPXは、ほぼ等圧的に作動することができる(例えば、これらの圧力は、互いにほぼ+/−1,2,3,4,5,6,7,8,9又は10パーセント以内で等化する)。ある特定の実施態様では、第1の流体の第1の圧力(例えば圧力交換流体、駆動流体、クリーン流体、非腐食性流体など)は、第2の流体(例えば腐食性流体)の第2の圧力よりも高くてよい。例えば、第1の圧力は、第2の流体の第2の圧力よりもほぼ5,000kPa〜25,000kPa、20,000kPa〜50,000kPa、40,000kPa〜75,000kPa、75,000kPa〜100,000kPa、又はそれ以上高くてよい。このように、IPXは、より高圧の第1の流体(例えば圧力交換流体、駆動流体、クリーン流体、非腐食性流体など)から、より低圧の第2の流体(例えば腐食性流体)へ圧力を伝達するために使用することができる。具体的には、作動中、水圧エネルギー伝達システムは、腐食性流体と、産業用システム内部の他の設備(例えばポンプ)との接触を阻止又は制限するのを助けることができる。ポンプと腐食性流体と接触を阻止又は制限することによって、水圧エネルギー伝達システムは、様々な産業用システム内部の様々な高圧ポンプの腐食、摩損/摩耗を低減し、結果として高圧ポンプの寿命/性能を高めることができる。
【0014】
ある特定の実施態様では、水圧エネルギー伝達システムは高圧の外部駆動流体から低圧の腐食性流体へエネルギーを伝達する一方で、産業用システム内部の高圧ポンプを腐食性流体と接触することから保護することができる。ある特定の実施態様では、水圧エネルギー伝達システムは、更に、駆動流体が腐食性流体と混合するのを可能にし、これにより産業用システム内部で更に利用し得る高圧の混合物を生成することができ、或いは、産業用システムの効率を改善することができる。ある特定の実施態様では、駆動流体は産業用システムの圧力降下領域から水圧エネルギー伝達システムへ高圧で提供することができる。更に、ある特定の実施態様では、産業用システムは、高圧の駆動流体を含有する高圧容器を含んでよく、そして水圧エネルギー伝達システムは、結果として生じる高圧の腐食性流体を高圧容器内へ注入する前に、高圧の駆動流体から低圧の腐食性流体へエネルギーを伝達するように構成されてよい。
【0015】
図1は、水圧エネルギー伝達システム12を備えた産業用システム10(例えば流体取り扱いシステム又はポンプ保護システム)の1実施態様を示す概略図である。水圧エネルギー伝達システム12は、腐食性流体から高圧ポンプを保護するように構成することができる。具体的には、図示の実施態様において、水圧エネルギー伝達システム12(例えば水圧圧力交換システム、水圧ターボチャージャー、又はIPX、例えば回転IPX又は往復IPX)は、腐食性流体を取り扱い、そして腐食性流体を加圧するように駆動流体からのエネルギーを伝達する。駆動流体は任意の非腐食性流体(例えば水、還流水、補給水、ボイラー供給水、再循環水、アンモニア、凝縮物など)であってよく、そして高圧で水圧エネルギー伝達システム12へ提供することができる。図示のように、駆動流体源16(例えば貯蔵タンク、パイプライン、化学反応器など)から水圧エネルギー伝達システム12の駆動流体領域18へ駆動流体をポンピングするように、高圧ポンプ14が構成されていてよい。具体的には、駆動流体は高圧の駆動流体の入口流れ20として水圧エネルギー伝達システム12へ提供されてよい。更に、ある特定の実施態様では、腐食性流体源24(例えば貯蔵タンク、パイプライン、化学反応器など)から水圧エネルギー伝達システム12の腐食性流体領域26へ腐食性流体をポンピングするように、低圧ポンプ22が構成されていてよい。具体的には、腐食性流体は低圧の腐食性流体の入口流れ28として水圧エネルギー伝達システム12へ提供されてよい。いくつかの実施態様では、産業用システム10は低圧ポンプ22を含まないことがある。例えば、いくつかの実施態様では、腐食性流体源24からの腐食性流体は所望の圧力にあってよい。
【0016】
作動中、水圧エネルギー伝達システム12は、(例えば高圧ポンプ14によってポンピングされる)駆動流体と(例えば低圧ポンプ22によってポンピングされる)腐食性流体との間で圧力を伝達する。具体的には、水圧エネルギー伝達システム12は、第1の圧力の駆動流体と、第1の圧力よりも低い第2の圧力の腐食性流体とを受け取り、駆動流体と腐食性流体との間で圧力を交換し、そして第3の圧力の腐食性流体と、第3の圧力よりも低い第4の圧力の駆動流体とを出力するように構成されている。例えば低圧の腐食性流体の入口28の腐食性流体は水圧エネルギー伝達システム12内部で加圧されてよく、そして高圧の腐食性流体の出口流れ30として高圧で水圧エネルギー伝達システム12を出てよい。更に、高圧の駆動流体の入口流れ20の高圧の駆動流体は水圧エネルギー伝達システム12内部で減圧されてよく、そして低圧の駆動流体の出口流れ32として水圧エネルギー伝達システム12を出てよい。こうして、水圧エネルギー伝達システム12は高圧ポンプ14と腐食性流体との接触を阻止又は制限し、これにより、腐食性流体によって典型的に引き起こされる高圧ポンプ14の摩耗を阻止又は制限する。
【0017】
ある特定の実施態様では、低圧の駆動流体は濾過又は分離システム34に提供されてよい。濾過又は分離システムは、駆動流体内部のいかなる残留腐食性流体をも除去するように構成されている。例えば、濾過又は分離システム34は、1つ又は2つ以上の異なるタイプのフィルタを含んでよい。これらのフィルタは、カートリッジフィルタ、緩速砂フィルタ、急速砂フィルタ、圧力フィルタ、バグフィルタ、膜フィルタ、粒状ミクロ媒体フィルタ、逆洗ストレーナ、逆洗砂フィルタ、ハイドロサイクロン、及びその他のものを含む。更に、濾過又は分離システム34は、濾過又は分離システム34内部にそれぞれのタイプの1つ又は2つ以上のフィルタを含む、複数のフィルタを含んでいてよい。更に、濾過済の低圧の流体は、駆動流体源16へ戻るように送られる(routed back)ことができる。駆動流体源16は産業用システム10の外部にあっても内部にあってもよい。ある特定の実施態様では、駆動流体は、腐食性流体と直接に接触したときに腐食性流体と反応しないように選択されてよい。更に、駆動流体源16は、これが高圧ポンプ14に提供される前に、任意の適宜な処理技術を用いて処理又は調製されてよい。例えば、ある特定の実施態様では、駆動流体源16は、高圧ポンプ14及び水圧エネルギー伝達システム12によって利用される前に、熱交換器内で冷却され、電気的チャージシステムを介してチャージ(例えば帯電)され、又はディスチャージシステムを介してディスチャージ(例えば放電)されてよい。
【0018】
上述のように、ある特定の実施態様では、水圧エネルギー伝達システム12は等圧圧力交換器(IPX)を含んでよい。本明細書中では、IPXは大まかに言えば、遠心技術を利用することなしにほぼ50%、60%、70%、80%、90%又はこれを超える効率で、高圧の入口流れと低圧の入口流れとの間で流体圧力を伝達する装置と定義することができる。この文脈において、高圧は、低圧よりも高い(例えば1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、又はこれ以上の)圧力を意味する。IPXの低圧の入口流れは加圧されて、高圧で(例えば低圧の入口流れの圧力よりも高い圧力で)IPXを出ることができ、そして高圧の入口流れは減圧されて、低圧で(例えば高圧の入口流れの圧力よりも低い圧力で)IPXを出ることができる。更に、IPXは、流体間の流体分離器の有無にかかわらず、高圧の流体が低圧の流体を加圧するために力を直接に加える状態で作動することもできる。IPXと一緒に使用することができる流体分離器の一例として、ピストン、ブラダー、ダイアフラム、及びこれに類するものが挙げられる。ある特定の実施態様では、等圧圧力交換器は回転装置であってよい。回転等圧圧力交換器(IPX)40、例えばカリフォルニア州San Leandro在Energy Recovery, Inc.によって製造されたものは、別個の弁を有していないことがある。それというのも、図2〜6に関して以下で詳述するように、効果的な弁作用は、エンドカバーに対するローターの相対運動を介して装置内部で達成されるからである。回転IPXは、内部ピストンで作動することによって、入口流れ体流の混合を比較的わずかにしか伴わずに流体を分離して圧力を伝達するように構成することができる。往復IPXは、流体流間で圧力を伝達するためにシリンダ内で前後運動するピストンを含んでよい。開示された実施態様ではいかなるIPX又はいかなる複数のIPXをも使用することができ、その一例としては回転IPX、往復IPX、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。更に、IPXは、流体取り扱いシステムの他の構成部分とは別個のスキッドの上に配置されてもよい。このことは、既存の流体取り扱いシステムにIPXを加える状況では望ましい場合がある。
【0019】
図2は、第1の流体と第2の流体(例えば駆動流体と腐食性流体)との間で、流体の混合を最小限にしか伴わずに圧力及び/又は仕事を伝達することができる回転等圧圧力交換器40(回転IPX)の1実施態様を示す分解斜視図である。回転IPX40は、スリーブ(例えば回転スリーブ)44とローター46とを含むほぼ円筒形のボディ部分42を含んでいてよい。回転IPX40はそれぞれ、マニホルド52及び54を含む2つのエンドキャップ48及び50を含んでいてもよい。マニホルド52はそれぞれの入口ポート及び出口ポート56及び58を含み、これに対してマニホルド54はそれぞれの入口ポート及び出口ポート60及び62を含む。作動中、これらの入口ポート56,60は、第1の流体及び第2の流体が圧力交換のために回転IPX40に入るのを可能にするのに対して、出口ポート58,62は、第1の流体及び第2の流体が回転IPX40を出るのを可能にする。作動中、入口ポート56は、高圧の第1の流体(例えば駆動流体、非腐食性流体など)を受け取ることができ、そして圧力交換後、出口ポート58は、低圧の第1の流体をIPX40から送り出すために、使用することができる。同様に、入口ポート60は、低圧の第2の流体(例えば腐食性流体)を受け取ることができ、そして出口ポート62は、高圧の第2の流体をIPX40から送り出すために、使用することができる。エンドキャップ48及び50は、それぞれのマニホルド52及び54内部に配置された、それぞれのエンドカバー64及び66を含み、エンドカバー64及び66は、ローター46との流体密な接触(fluid sealing contact)を可能にする。ローター46は円筒形であり、スリーブ44内に配置されていてよく、スリーブ44は、ローター46が軸線68を中心として回転するのを可能にする。ローター46は、ローター46を通ってほぼ長手方向に延びる複数のチャンネル70を有していてよく、各端部の開口72及び74は、長手方向軸線68を中心として対称的に配置されている。ローター46の開口72及び74は、エンドカバー52及び54の入口アパーチャー及び出口アパーチャー76及び78、及び80及び82と水力学的に連通(hydraulic communication)するように配置されて、回転中、チャンネル70が高圧の流体と低圧の流体とに晒されるようになっている。図示のように、入口アパーチャー及び出口アパーチャー76及び78、及び80及び82は、円弧又は円の一部(例えばC字形)の形態を成すように構成されていてよい。
【0020】
いくつかの実施態様では、センサーからのフィードバックを用いたコントローラが、回転IPX40内の第1の流体と第2の流体との混合の程度を制御することができる。コントローラは、流体取り扱いシステムの操作性を改善するために使用することができる。例えば、IPX40に入る第1の流体と第2の流体との比率を変化させると、プラントオペレーターは、水圧エネルギー伝達システム12内部の流体混合量を制御することが可能になる。ある特定の実施態様では、図7に関して更に説明するように、駆動流体の比率を腐食性流体に対して変化させることにより、流体取り扱いシステム内部の混合量を制御することができる。混合に影響を与える回転IPX40の3つの特徴は、(1)ローターチャンネル70のアスペクト比と、(2)第1の流体と第2の流体との短い暴露時間と、(3)ローターチャンネル70内部の第1の流体と第2の流体との間の流体バリア(例えば界面)の形成、である。第一に、ローターチャンネル70は、概ね長く狭い。このことは、回転IPX40内部の流れを安定化させる。更に、第1の流体及び第2の流体は、軸線方向の混合を最小限にしか伴わずに栓流様式でチャンネル70を通流することができる。第二に、ある特定の実施態様では、ローター46の速度は第1の流体と第2の流体との接触を低減する。例えば、ローター46の速度は、第1の流体と第2の流体との接触時間をほぼ0.15秒、0.10秒、又は0.05秒未満に低減することができる。第三に、ローターチャンネル70の小さな部分が第1の流体と第2の流体との間の圧力の交換のために使用される。したがって、一定の体積の流体が、第1の流体と第2の流体との間のバリアとしてチャンネル70内に残る。これらのメカニズム全てがIPX40内部の混合を制限することができる。更に、いくつかの実施態様では、回転IPX40は、内部ピストンで作動するように構成されていてよい。この内部ピストンは、圧力伝達を可能にしながら第1の流体と第2の流体とを分離する。
【0021】
図3〜6は、回転IPX40の1実施態様を示す分解図である。これらの図は、チャンネル70が全サイクルにわたって回転するのに伴う、ローター46に設けられた単一のチャンネル70の一連の位置を明らかにしている。なお、図3〜6は、1つのチャンネル70を示す、回転IPX40を単純化したものであり、チャンネル70は円形断面形状を有するものとして示されている。他の実施態様では、回転IPX40は、同じ又は異なる断面形状(例えば円形、楕円形、正方形、長方形、多角形など)を有する複数のチャンネル70を含んでよい。このように、図3〜6は、例示の目的で単純化したものであり、回転IPX40の他の実施態様は、図3〜6に示されたものとは異なる形態を有していてよい。以下で詳述するように、回転IPX40は、第1の流体と第2の流体と(例えば駆動流体と腐食性流体と)をローター46内部で短時間にわたって互いに接触可能にすることにより、これら第1の流体と第2の流体との間の圧力交換を容易にする。ある特定の実施態様では、この交換は、第1の流体と第2の流体との制限された混合をもたらす速度で行われる。
【0022】
図3において、チャンネル開口72は第1の位置にある。第1の位置において、チャンネル開口72は、エンドカバー64のアパーチャー78と流体連通(fluid communication)し、したがって、マニホルド52と流体連通しているのに対して、反対側のチャンネル開口74は、エンドカバー66のアパーチャー82と水力学的に連通し、したがって、マニホルド54と水力学的に連通している。下述のように、ローター46は矢印84によって示される時計回り方向に回転することができる。作動中、低圧の第2の流体86は、エンドカバー66を通過し、チャンネル70に入り、ここで、低圧の第2の流体86は、第1の流体88と、動的な流体界面90において接触する。次に、第2の流体86は、第1の流体88をチャンネル70から駆出し、エンドカバー64を貫流させ、そして回転IPX40から駆出する。しかしながら、接触時間が短いため、第2の流体86と第1の流体88との混合は最小限である。
【0023】
図4において、チャンネル70はほぼ90度の円弧を通って時計回りに回転している。この位置では、出口74はエンドカバー66のアパーチャー80及び82ともはや流体連通しておらず、そして開口72はエンドカバー64のアパーチャー76及び78ともはや流体連通していない。したがって、低圧の第2の流体86はチャンネル70内部に一時的に含まれている。
【0024】
図5において、チャンネル70は、図3に示された位置からほぼ60度を通って回転している。開口74は、今やエンドカバー66のアパーチャー80と流体連通しており、そしてチャンネル70の開口72は、エンドカバー64のアパーチャー76と流体連通している。この位置で、高圧の第1の流体88は低圧の第2の流体86に入ってこれを加圧し、第2の流体86を流体チャンネル70から駆出して、産業用システム10(例えば流体取り扱いシステム又はポンプ保護システム)において使用するためにアパーチャー80を通過させる。
【0025】
図6において、チャンネル70は、図3に示された位置からほぼ270度の円弧を通って回転している。この位置では、出口74はエンドカバー66のアパーチャー80及び82ともはや流体連通しておらず、そして開口72はエンドカバー64のアパーチャー76及び78ともはや流体連通していない。したがって、第1の流体88はもはや加圧されず、そしてローター46が更に90度回転するまでチャンネル70内に一時的に含まれ、繰り返しサイクルを始動させる。
【0026】
図7は、図1の水圧エネルギー伝達システム12を備えた産業用システム100(例えば流体取り扱いシステム又はポンプ保護システム)の1実施態様を示す概略図である。以下で詳述するように、産業用システム100は、駆動流体の一部と腐食性流体の一部とを混合することによって、駆動流体と腐食性流体との混合物(例えば高圧の混合物又は高圧のブレンド)を生成することができる。例えば、駆動流体と腐食性流体との高圧の混合物又は高圧のブレンドを有することが有用である場合がある。それというのも、これは産業用システム100内部の様々なプロセスの反応速度をスピードアップするのを助けることができるからである。例えば尿素生産の場合、液体アンモニア(例えば駆動流体)をカルバミン酸アンモニウム(例えば腐食性流体)と混合することができ、その結果生じる混合物を尿素生産プロセス中の他の工程のために利用することができる。
【0027】
図示の実施態様では、産業用システム100は高圧ポンプ102を含んでいる。高圧ポンプ102は、駆動流体源104からの駆動流体を加圧し、そして駆動流体を高圧の駆動流体の入口流れ106として水圧エネルギー伝達システム12へ提供する(例えば、送る(route))ように構成されている。例えば、高圧の駆動流体の入口流れ106は、水圧エネルギー伝達システム12の高圧の入口(例えば入口56)を通して送られてよい。更に、ある特定の実施態様では、腐食性流体源110からの腐食性流体をポンピングし、そして腐食性流体を低圧の腐食性流体の入口流れ112として水圧エネルギー伝達システム12へ提供する(例えば、送る)ように、低圧ポンプ108が構成されていてよい。例えば、低圧の腐食性流体の入口流れ112は、水圧エネルギー伝達システム12の低圧の入口(例えば入口60)を通して送られてよい。いくつかの実施態様では、産業用システム100は低圧ポンプ108を含まないことがある。例えば、いくつかの実施態様では、腐食性流体源110からの腐食性流体は既に所望の圧力にあってよい。
【0028】
作動中、水圧エネルギー伝達システム12は、高圧の駆動流体の入口流れ106と低圧の腐食性流体の入口流れ112との間で圧力を伝達する。こうして、水圧エネルギー伝達システム12は高圧ポンプ102と腐食性流体との接触を阻止又は制限し、これにより、腐食性流体によって典型的に引き起こされる高圧ポンプ102の摩耗を阻止又は制限する。具体的には、低圧の腐食性流体の入口流れ112の腐食性流体は水圧エネルギー伝達システム12内部で加圧されてよく、そして高圧で水圧エネルギー伝達システム12を出てよく、高圧の駆動流体の入口流れ106の高圧の駆動流体は水圧エネルギー伝達システム12内部で減圧されてよく、そして低圧の駆動流体の出口流れ114として低圧で水圧エネルギー伝達システム12を出てよい。例えば、低圧の駆動流体の出口流れ114は水圧エネルギー伝達システム12の低圧の出口(例えば出口58)を通って出てよい。
【0029】
更に、低圧の腐食性流体の入口流れ112からの腐食性流体は高圧の駆動流体の入口流れ106からの駆動流体と水圧エネルギー伝達システム12内部で混合することができ、そして高圧の混合物の出口流れ116として水圧エネルギー伝達システム12を出てよい。例えば、高圧の混合物の出口流れ116は水圧エネルギー伝達システムの高圧の出口(例えば出口62)を通って出てよい。具体的には、以下で詳述するように、高圧の駆動流体の入口流れ106と低圧の腐食性流体の入口流れ112との非対称流(例えば異なる量、異なる流量など)を水圧エネルギー伝達システム12によって、駆動流体と腐食性流体との所望の混合量を促進するように利用し、これにより高圧の混合物の出口流れ116中の駆動流体と腐食性流体との所望の比率又は比をもたらすことができる。更に、高圧の駆動流体の入口流れ106と低圧の腐食性流体の入口流れ112との非対称流(例えば異なる量、異なる流量など)を、低圧の駆動流体の出口流れ114とともに出て高圧ポンプと接触する腐食性流体の量を最小化又は低減するように、水圧エネルギー伝達システム12によって利用することができる。例えば、いくつかの実施態様では、低圧の駆動流体の出口流れ114と一緒に出る腐食性流体の量を低減するのを助けるために、及び/又は水圧エネルギー伝達システム12内部での駆動流体と腐食性流体との混合を容易にするために、水圧エネルギー伝達システム12へ提供される高圧の駆動流体の入口流れ106の量が低圧の腐食性流体の入口流れ112よりも多いことが、有益である。
【0030】
上記のように、高圧の駆動流体の入口流れ106と低圧の腐食性流体の入口流れ112との流量が非対称であることにより、水圧エネルギー伝達システム12内部で駆動流体と腐食性流体とを混合することができる。具体的には、駆動流体と腐食性流体とは、水圧エネルギー伝達システム12のチャンネル120(例えば複数のチャンネル70のうちの1つのチャンネル)内部の混合界面118(例えば界面90)で互いに接触し得る。ある特定の実施態様では、混合界面118は直接接触界面であってよい。なお、高圧の駆動流体の入口流れ106と低圧の腐食性流体の入口流れ112との異なる流れ(例えば量又は単位の異なる流れ)を利用して、駆動流体と腐食性流体との所望の混合を行うことができ、したがって、高圧の混合物の出口流れ116中の駆動流体と腐食性流体との所望の比を達成することができる。例えば、駆動流体と腐食性流体との所望の比は、産業プロセス又はシステム、又は駆動流体と腐食性流体との所望の反応速度に依存してよい。
【0031】
いくつかの実施態様では、水圧エネルギー伝達システム12は、第1の量(例えば第1の流量)の高圧の駆動流体の入口流れ106と、第1の量とは異なる(例えば第1の量よりも少ない)第2の量(例えば第2の流量)の低圧の腐食性流体の入口流れ112とを受け取ることができる。例えば、混合界面118で駆動流体と腐食性流体との所望の混合量を達成するために、水圧エネルギー伝達システム12は、x単位の高圧の駆動流体の入口流れ106と、y単位の低圧の腐食性流体の入口流れ112と、を受け取ることができる。yに対するxの比は、0.1〜20、0.2〜15、0.3〜10、0.4〜5、0.5〜3である。いくつかの実施態様ではxはyよりも少なくとも1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、又は10倍大きくてよい。いくつかの実施態様では、混合界面118で駆動流体と腐食性流体との所望の混合量を達成するために、水圧エネルギー伝達システム12は20単位の高圧の駆動流体の入口流れ106と、10単位の低圧の腐食性流体の入口流れ112とを受け取ることができる。例えば、結果として生じる高圧の混合物の出口流れ116はほぼ10単位の駆動流体と、ほぼ10単位の腐食性流体とを含んでいてよい。更に、高圧の駆動流体の入口流れ106と、低圧の腐食性流体の入口流れ112との非対称流は、低圧の駆動流体の出口流れ114内部の腐食性流体の量を低減するのを助けることができる。例えば、低圧の駆動流体の出口流れ114は10単位の駆動流体と、0.5%未満の腐食性流体とを含んでいてよい。いくつかの実施態様では、高圧の駆動流体の入口流れ106と低圧の腐食性流体の入口流れ112との非対称流を提供することによって、低圧の駆動流体の出口流れ114が含む腐食性流体のパーセンテージ(例えば体積パーセンテージ又は重量パーセンテージ)は、5%、4%、3%、2%、1%、0.75%、0.5%、0.25%、0.1%、又はそれ未満であってよい。
【0032】
ある特定の実施態様では、結果として生じる高圧の混合物の出口流れ116を更に駆動流体と混合することにより、高圧の流体ブレンド124を生成することができる。例えば、高圧の流体ブレンド124を使用して、産業用システム100内部の様々なプロセスの反応を容易にする(例えば反応速度を高める)ことができる。したがって、高圧の流体ブレンド124は(例えば1つ又は2つ以上の弁又はポンプを介して)産業用システム100の化学反応器125へ送られてよく、そして高圧の流体ブレンド124は化学反応器125内部の反応速度を高めることができる。例えば、いくつかの実施態様では、産業用システム100は尿素生産システムであってよく、そして高圧の流体ブレンド124は、液体アンモニア(例えば駆動流体)とカルバミン酸アンモニウム(例えば腐食性流体)とを含んでいてよく、尿素生産プロセスの一部として化学反応器125内部の工程のために利用されてよい。なお、いくつかの実施態様では、高圧の混合物の出口流れ116は駆動流体とのさらなる混合なしに化学反応器125へ送られてよい。すなわち、高圧の混合物の出口流れ116は化学反応器125内部の反応速度を高めるために、所望の比の駆動流体と腐食性流体とを既に有していてよい。
【0033】
いくつかの実施態様では、高圧ポンプ102から来た高圧の駆動流体の第1の部分を高圧の駆動流体の入口流れ106へ送ることができ、そして高圧ポンプ102から来た高圧の駆動流体の第2の部分を高圧の混合物の出口流れ116と混合することにより、高圧の流体ブレンド124を生成することができる。いくつかの実施態様では、産業用システム100は、高圧の駆動流体の第1の部分を高圧の駆動流体の入口流れ106へ送るように構成された循環ポンプ又は弁(例えば制御弁)126を含んでいてよく、そして高圧ポンプ102は、高圧の駆動流体の第2の部分を、高圧の混合物の出口流れ116と混合するように送ることができる。なお、駆動流体を送るためにいかなるタイプの送る技術(routing technique)又は流れ分割技術(flow splitting technique)を利用してもよい。更に、いくつかの実施態様では、高圧ポンプ102は、駆動流体源104からの90単位の駆動流体と、低圧の駆動流体の出口流れ114からの10単位の駆動流体とを受け取ることができる。更に、いくつかの実施態様では、ポンプ126は20単位の駆動流体を高圧の駆動流体の入口流れ106へ送ってよく、そして高圧ポンプ106は、高圧の混合物の出口流れ116(例えば10単位の駆動流体と10単位の腐食性流体)と混合して高圧の流体ブレンド124を生成するように、80単位の駆動流体を(例えばタンク又はミキサへ)送ってよい。したがって図示の実施態様では、結果として生じる高圧の流体ブレンド124は90単位の駆動流体と、ほぼ10単位の腐食性流体とを含んでよい。なお、駆動流体及び腐食性流体の記載の量及び比は概算値であり、例示を目的としたものにすぎない。更に、ある特定の実施態様では、高圧の混合物の出口流れ116及び高圧の流体ブレンド124中の駆動流体と腐食性流体との任意の比、例えば1:1比、2:1比、3:1比、4:1比、5:1比、6:1比、7:1比、8:1比、9:1比、10:1比、又はそれ以上、或いは1:2比、1:3比、1:4比、1:5比、1:6比、1:7比、1:8比、1:9比、1:10比、又はそれ以上を生成することができる。実際に、高圧の駆動流体の入口流れ106と低圧の腐食性流体の入口流れ112との非対称流は、駆動流体と腐食性流体との所望の比に基づいて確立することもできる。
【0034】
いくつかの実施態様では、産業用システム100は、高圧の駆動流体の入口流れ106の量(例えば流量)、低圧の流体の入口112の量(例えば流量)、高圧ポンプ106、及び/又は循環ポンプ又は制御弁126を制御するためのコントローラ128を含むことにより、高圧の混合物の出口流れ116及び/又は高圧の流体ブレンド124中の駆動流体と腐食性流体との比を制御することができる。更に、いくつかの実施態様では、コントローラ128は、高圧の駆動流体の入口流れ106の量(例えば流量)、低圧の流体の入口112の量(例えば流量)、高圧ポンプ106、及び/又は循環ポンプ又は制御弁126を制御することにより、低圧の駆動流体の出口流れ114中の腐食性流体のパーセンテージを制御することができる。例えば、コントローラ128は、水圧エネルギー伝達システム12、高圧ポンプ106、循環ポンプ又は制御弁126、及び/又は低圧ポンプ108に、(例えば1つ又は2つ以上の有線又は無線接続を介して)作用的に接続することができる。更に、コントローラ128は、1つ又は2つ以上のセンサー130(例えば流量センサー、圧力センサー、トルクセンサー、回転速度センサー、音響センサー、磁気センサー、光センサー、組成センサーなど)に、(例えば1つ又は2つ以上の有線又は無線接続を介して)作用的に接続することができる。1つ又は2つ以上のセンサー130は高圧の駆動流体の入口流れ106、低圧の腐食性流体の入口流れ112、低圧の駆動流体の出口流れ114、高圧の混合物の出口流れ116、高圧の流体ブレンド124、水圧エネルギー伝達システム12、又は産業用システム100の任意の他の適宜な構成部分に関連するフィードバックを生成してよい。作動中、コントローラ128は、産業用システム100を制御するためにセンサー130からのフィードバックを使用する。具体的には、コントローラ128は、高圧の混合物の出口流れ116及び/又は高圧の流体ブレンド124中の駆動流体と腐食性流体との比を制御するために、高圧の駆動流体の入口流れ106の流量、低圧の腐食性流体の入口流れ112の流量、水圧エネルギー伝達システム12の作動速度、高圧ポンプ106、及び/又は循環ポンプ又は制御弁126を制御する。コントローラ128は、プロセッサ132と、プロセッサ132によって実行可能な、具体的な非一時的コンピュータ命令を記憶するメモリ134とを含んでいてよい。例えば、コントローラ128が1つ又は2つ以上のセンサー130からのフィードバックを受信すると、プロセッサ132はメモリ134内に記憶された命令を実行することにより、高圧の混合物の出口流れ116及び/又は高圧の流体ブレンド124中の駆動流体と腐食性流体との比を制御することができる。
【0035】
図8は、図1の水圧エネルギー伝達システム12を備えた産業用システム150(例えば流体取り扱いシステム又はポンプ保護システム)の1実施態様を示す概略図である。図示の実施態様では、駆動流体は、産業用システム150内部の圧力降下領域を源として供給することができる。より具体的には、様々な産業システム及びプロセスにおいて、様々な流体の圧力を生産プロセス中に降下させることが必要となる場合がある。このことは1つ又は2つ以上の反応器列によって行うことができる。列内の各反応器は、特定の量だけ圧力を降下させるように構成されている。例えば、尿素合成システム内では、所定の流体(例えばアンモニア、尿素、カルバミン酸アンモニウムなど)の圧力を高圧から中圧へ、中圧から低圧へ、1つ又は2つ以上の反応器を介して降下させる機会が存在し得る。
【0036】
したがって、ある特定の実施態様では、産業用システム150内部の高圧の駆動流体源152を源として、高圧の駆動流体を供給することができる。例えば、いくつかの実施態様では、高圧の駆動流体源152は、高圧の駆動流体の圧力降下流れを提供するように構成された、産業用システム150内部の化学反応器(例えば高圧の又は中圧の化学反応器)であってよい。いくつかの実施態様では、高圧の駆動流体源152は、産業用システム150からの任意の適宜なプロセス流れ(例えば圧力降下流れ)であってよい。高圧の駆動流体は、高圧の駆動流体の入口流れ154として水圧エネルギー伝達システム12へ提供される。例えば、水圧エネルギー伝達システム12は、高圧の入口(例えば入口56)を通して高圧の駆動流体の入口流れ154を受け取ることができる。更に、水圧エネルギー伝達システム12は、低圧の腐食性流体の入口流れ156を(例えば低圧の腐食性流体源から)受け取ることができる。例えば、水圧エネルギー伝達システム12は、低圧の入口(例えば入口60)を通して低圧の腐食性流体の入口流れ156を受け取ることができる。上記のように、水圧エネルギー伝達システム12は、高圧の駆動流体と低圧の腐食性流体との間で圧力を交換することができるので、低圧の腐食性流体は高圧の腐食性流体の出口流れ158として(例えば出口62を通して)出力され、そして高圧の駆動流体は低圧の駆動流体の出口流れ160として(例えば出口58を通して)出力される。いくつかの実施態様では、水圧エネルギー伝達システム12からの低圧の駆動流体の出口流れ160は、低圧の駆動流体ドレン162として産業用システム150内へ戻されてよい。
【0037】
こうして、水圧エネルギー伝達システム12は、エネルギー回収及びポンプ保護の両方を可能にするように構成することができる。例えば水圧エネルギー伝達システム12を産業用システム150内へ、具体的には圧力降下領域内部に組み入れることは、圧力降下プロセスに役立ち、そしていくつかの事例では、産業用システム150がより少ない反応器で、又は反応器なしで作動するのを可能にする。更に、水圧エネルギー伝達システム12は、図1〜7に関して上述したように、産業用システム150内部のあらゆる高圧ポンプを腐食性流体と接触することから保護するのを助けることができる。
【0038】
図9は、図1の水圧エネルギー伝達システム12を備えた産業用システム180(例えば流体取り扱いシステム又はポンプ保護システム)の1実施態様を示す概略図である。具体的には、産業用システム180は高圧容器182(例えば高圧の貯蔵タンク、高圧のパイプライン、高圧の化学反応器、又は高圧の化学反応容器)を含む。高圧容器182は、駆動流体を貯え及び/又は送るように構成されている。特定の産業用システム(例えば尿素合成システム)内におけるようないくつかの実施態様では、以下で詳述するように、高圧ポンプを使用することなしに、高圧の腐食性流体を高圧容器182内に注入することが、有益である。
【0039】
ある特定の実施態様では、高圧容器182を源として高圧の駆動流体を供給することができる。例えば、高圧容器182は高圧のパイプライン、貯蔵タンク、化学反応器、又は高圧の化学反応容器であってよい。ある特定の実施態様では、高圧の駆動流体は、駆動流体を加圧するように構成された付加的な高圧ポンプを使用することなしに、高圧の駆動流体の入口流れ184として高圧容器182から直接送られてよい。例えば、高圧の駆動流体の入口流れ184は水圧エネルギー伝達システム12の高圧の入口(例えば入口56)を通して送られてよい。いくつかの実施態様では、1つ又は2つ以上の循環ポンプ又は弁186を利用して、高圧容器182から高圧の駆動流体の入口流れ184へ高圧の駆動流体を送ることができる。更に、低圧の腐食性流体を、腐食性流体源188から低圧の腐食性流体の入口流れ190内へ送ることができる。低圧の腐食性流体の入口流れ90は水圧エネルギー伝達システムの低圧の入口(例えば入口60)を通して送られてよい。上記のように、水圧エネルギー伝達システム12は、高圧の駆動流体と低圧の腐食性流体との間で圧力を交換することができ、高圧の腐食性流体を高圧の腐食性流体の出口流れ192として(出口62を通して)出力することができる。高圧の腐食性流体の出口流れ192は(例えば1つ又は2つ以上のポンプ及び/又は制御弁を介して)高圧容器182内へ送られ及び/又は注入されてよい。更に、水圧エネルギー伝達システム12は、低圧の駆動流体を低圧の駆動流体の出口流れ194として(出口62を通して)出力することができる。いくつかの実施態様では、低圧の駆動流体の出口流れ194は高圧ポンプ196へ送られてよい。高圧ポンプ196は、駆動流体を高圧容器182内へ送る前又は注入する前に、駆動流体を適宜又は所望の圧力に(例えば高圧の駆動流体の入口流れ184に)加圧するように構成されていてよい。このように、高圧ポンプ196は、駆動流体だけを取り扱うように構成されていてよく、そして水圧エネルギー伝達システム12は高圧ポンプ196と腐食性流体との接触を阻止又は制限し、これにより腐食性流体に晒されることから生じる困難を低減するのを助けることができる。
【0040】
ある特定の実施態様では、高圧ポンプ196から来た高圧の駆動流体が高圧容器182へ送られる前に、高圧容器182内部の高圧の腐食性流体を高圧容器182から除去することができる。例えば、いくつかの実施態様では、高圧の腐食性流体は高圧容器182(例えば貯蔵タンク、パイプライン、化学反応器、又は高圧の化学反応容器)から産業用システム180の別の構成部分(例えば貯蔵タンク、化学反応器、パイプライン、化学反応容器など)へ送られてよい。いくつかの実施態様では、高圧容器182は高圧の腐食性流体と高圧の駆動流体との両方を含んでいてよい。例えば、いくつかの実施態様では、高圧容器182は、高圧の駆動流体を1つ又は2つ以上の化学反応を介して生成するように構成された化学反応器又は化学反応容器であってよい。いくつかの実施態様では、高圧容器182からの出力流を(例えば分離又は濾過システム34を使用して)濾過することにより、腐食性流体から駆動流体を分離し、及び/又は駆動流体から腐食性流体を除去してよく、そして濾過済の駆動流体は高圧の駆動流体の入口流れ184として提供されてよい。
【0041】
なお、本明細書中に記載された種々異なる実施態様及び技術のうちのいずれかを一緒に利用することができる。例えば、いくつかの実施態様では、(図9に関して説明したように)結果として生じる高圧の混合物(例えば高圧の混合物の出口流れ116又は高圧の流体ブレンド126)を高圧容器182内へ注入する前に、(図7に関して説明したように)水圧エネルギー伝達システム12は駆動流体を腐食性流体と混合するように構成されていてよい。さらなる例としては、(図1に関して説明したような)分離又は濾過システム34を、図7〜9に関して説明した実施態様のいずれかにおいて利用することもできる。更に、いくつかの実施態様では、(図7に関して説明したような)コントローラ128及び/又はセンサー130は、上記実施態様のいずれか、例えば産業用システム10、産業用システム150、及び/又は産業用システム180内に組み入れることができる。例えば、コントローラ128及び/又はセンサー130は、産業用システム10,150及び/又は180の様々な構成部分、例えば水圧エネルギー伝達システム12、高圧の駆動流体の入口流れ20,154及び/又は184、低圧の腐食性流体の入口流れ28,156及び/又は190、低圧の駆動流体の出口流れ32,160及び/又は194、高圧の腐食性流体の出口流れ30,158及び/又は192、濾過及び/又は分離システム34、ポンプ14,196及び/又は186、又は任意の他の適宜な構成部分を制御することができる。
【0042】
本発明は、様々な変更及び別の形態を許すことができるが、本明細書中では具体的な実施態様を一例として示し詳述してきた。しかしながら、言うまでもなく、本発明は開示された特定の形態に限定されるものではない。むしろ、本発明は、以下の添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の思想及び範囲の中に含まれる、あらゆる変更形、等価形、及び代替形を対象にすることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9