(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
単元ごとに出題すべき問題を保存し、生徒の受講する単元に属する問題を生徒へ提供し、解答データを入力して生徒を指導するコーチの取るべきアクションのタイミングを演算する学習支援装置であって、
前記アクションの種別を定める学習セッションごとに一または二以上の単元に属する問題を抽出し、該抽出した問題を生徒へ提供して解答データを入力すると共に、生徒が当該学習セッションを終了したか否かを含む学習状況データを入力する手段と、
入力した前記解答データをもとに生徒に提供した問題の属する単元に対する生徒の習熟度を演算し、該習熟度が閾値に達したか否かを判定する習熟度演算手段と、
生徒の受講する単元に対する生徒の将来の習熟度を演算する手段であって、将来の習熟度として習熟度が閾値以上になるまでに連続正解すべき問題数または習熟度が閾値以上になるまでの時間を演算する習熟度予測手段と、
夫々の生徒の前記学習状況データと、前記習熟度演算手段の演算結果と、前記習熟度予測手段の演算結果と、のうち少なくとも一つを用いて夫々の生徒を複数のカテゴリのいずれかに分類するアクションタイミング判定手段と、
生徒が前記カテゴリのいずれに属するかを識別可能にして生徒の学習状況一覧データを生成する編集手段と、
当該学習状況一覧データを出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする学習支援装置。
単元ごとに出題すべき問題を保存し、生徒の受講する単元に属する問題を生徒へ提供し、解答データを入力して生徒を指導するコーチの取るべきアクションのタイミングを演算する学習支援装置であって、
前記アクションの種別を定める学習セッションごとに一または二以上の単元に属する問題を抽出し、該抽出した問題を生徒へ提供して解答データを入力すると共に、生徒が当該学習セッションを終了したか否かを含む学習状況データを入力する手段と、
入力した前記解答データをもとに生徒に提供した問題の属する単元に対する生徒の習熟度を演算し、該習熟度が閾値に達したか否かを判定する習熟度演算手段と、
生徒の受講する単元に対する生徒の将来の習熟度を演算する習熟度予測手段と、
夫々の生徒の前記学習状況データと、前記習熟度演算手段の演算結果と、前記習熟度予測手段の演算結果と、のうち少なくとも一つを用いて夫々の生徒を複数のカテゴリのいずれかに分類するアクションタイミング判定手段と、
生徒が前記カテゴリのいずれに属するかを識別可能にして生徒の学習状況一覧データを生成する編集手段と、
当該学習状況一覧データを出力する出力手段と、
生徒ごとに設けられ、学習セッションの終了時点からスタートするタイマ手段と、
を備え、
前記アクションタイミング判定手段は、アクションの必要な生徒について、前記タイマ手段の値を用いて優先順位を演算し、
前記編集手段は、前記優先順位に基づいて前記学習状況一覧データを生成することを特徴とする学習支援装置。
単元ごとに出題すべき問題を保存し、生徒の受講する単元に属する問題を生徒へ提供し、解答データを入力して生徒を指導するコーチの取るべきアクションのタイミングを演算するコンピュータのプログラムであって、
前記コンピュータを
前記アクションの種別を定める学習セッションごとに一または二以上の単元に属する問題を抽出し、該抽出した問題を生徒へ提供して解答データを入力すると共に、生徒が当該学習セッションを終了したか否かを含む学習状況データを入力する手段、
入力した前記解答データをもとに生徒に提供した問題の属する単元に対する生徒の習熟度を演算し、該習熟度が閾値に達したか否かを判定する習熟度演算手段、
生徒の受講する単元に対する生徒の将来の習熟度を演算する手段であって、将来の習熟度として習熟度が閾値以上になるまでに連続正解すべき問題数または習熟度が閾値以上になるまでの時間を演算する習熟度予測手段、
夫々の生徒の前記学習状況データと、前記習熟度演算手段の演算結果と、前記習熟度予測手段の演算結果と、のうち少なくとも一つを用いて夫々の生徒を複数のカテゴリのいずれかに分類するアクションタイミング判定手段、
生徒が前記カテゴリのいずれに属するかを識別可能にして生徒の学習状況一覧データを生成する編集手段、
当該学習状況一覧データを出力する出力手段、
として機能させるためのプログラム。
単元ごとに出題すべき問題を保存し、生徒の受講する単元に属する問題を生徒へ提供し、解答データを入力して生徒を指導するコーチの取るべきアクションのタイミングを演算するコンピュータのプログラムであって、
前記コンピュータを
前記アクションの種別を定める学習セッションごとに一または二以上の単元に属する問題を抽出し、該抽出した問題を生徒へ提供して解答データを入力すると共に、生徒が当該学習セッションを終了したか否かを含む学習状況データを入力する手段、
入力した前記解答データをもとに生徒に提供した問題の属する単元に対する生徒の習熟度を演算し、該習熟度が閾値に達したか否かを判定する習熟度演算手段、
生徒の受講する単元に対する生徒の将来の習熟度を演算する習熟度予測手段、
生徒ごとに設けられ、学習セッションの終了時点からスタートするタイマ手段、
夫々の生徒の前記学習状況データと、前記習熟度演算手段の演算結果と、前記習熟度予測手段の演算結果と、のうち少なくとも一つを用いて夫々の生徒を複数のカテゴリのいずれかに分類する手段であって、アクションの必要な生徒について、前記タイマ手段の値を用いて優先順位を演算するアクションタイミング判定手段、
生徒が前記カテゴリのいずれに属するかを識別可能にして生徒の学習状況一覧データを生成する手段であって、前記優先順位に基づいて前記学習状況一覧データを生成する編集手段、
当該学習状況一覧データを出力する出力手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来の技術は生徒の習熟度や進捗状況などその時点のデータをリアルタイムにコーチ端末へ送信するのみである。したがって、例えば生徒が目標を達成したときに、「頑張ったね」と声掛けするような場合、そのタイミングを逸しないために、コーチはリアルタイムに送られてくるデータを間断無く監視し、目標を達成した生徒を速やかに認識して声掛けする必要がある。生徒数が少ない場合は、各生徒の進捗を常時監視することは可能であっても、生徒数が多い場合はコーチの負担は過大になる。
【0007】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、生徒への声掛けなど生徒指導や学習フォローに有効なアクションのタイミングを認識容易にコーチへ知らせることのできる学習支援装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の学習支援装置は、
単元ごとに出題すべき問題を保存し、生徒の受講する単元に属する問題を生徒へ提供し、解答データを入力して生徒を指導するコーチの取るべきアクションのタイミングを演算する学習支援装置であって、
前記アクションの種別を定める学習セッションごとに一または二以上の単元に属する問題を抽出し、該抽出した問題を生徒へ提供して解答データを入力すると共に、生徒が当該学習セッションを終了したか否かを含む学習状況データを入力する手段と、
入力した前記解答データをもとに生徒に提供した問題の属する単元に対する生徒の習熟度を演算し、該習熟度が閾値に達したか否かを判定する習熟度演算手段と、
生徒の受講する単元に対する生徒の将来の習熟度を演算する習熟度予測手段と、
夫々の生徒の前記学習状況データと、前記習熟度演算手段の演算結果と、前記習熟度予測手段の演算結果と、のうち少なくとも一つを用いて夫々の生徒を複数のカテゴリのいずれかに分類するアクションタイミング判定手段と、
生徒が前記カテゴリのいずれに属するかを識別可能にして生徒の学習状況一覧データを生成する編集手段と、
当該学習状況一覧データを出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
ここで、習熟度とは、生徒がある学習分野(単元)を理解している度合いを意味するが、区間推定や確率分布を考慮したいわゆる推定習熟度も含む。
【0010】
また、アクションの種別には、例えば生徒がある単元に合格したときに、「よく頑張ったね」と励ますような所謂「激励系」と、生徒が長時間同じ問題を解いていたり、講義の視聴を怠ったり、間違えた問題の解答を読んでいなかったときなどに助言を与えるような所謂「ヘルプ系」の種別がある。学習セッション中か否かにより、異なる種別のアクションが講師により実行される。具体的には、学習セッション中はヘルプ系のアクションが実行され、学習セッション中でないときに激励系のアクションが実行される。
【0011】
本発明では、生徒の現時点での習熟度のみならず、将来の習熟度を予測し、その予測結果に基づいて生徒の学習状況一覧を作成するので、コーチは生徒に対するアクションをいつ頃取ればよいのかを事前に精度良く把握することが可能になる。
【0012】
習熟度予測手段は、既にある学習セッションについて一定のレベル、例えば学習セッション中の単元が合格レベルに達した生徒の解答履歴、演算対象の生徒の解答履歴、演算対象の生徒の連続正解数に基づいて、または、演算対象の生徒が現在解答中あるいは将来解答予定の問題の正誤を仮想設定することにより、生徒の習熟度を予測演算することができる。
【0013】
また、編集手段により、例えば特定のカテゴリの生徒を画面の上位に表示させたり、識別記号を付したり色替表示等により識別表示することにより、コーチは容易にアクション対象の生徒及び近々アクション対象になるであろう生徒を認識することができコーチの負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上の如く、本発明によれば、生徒への声掛けなど生徒指導や学習フォローに有効なアクションのタイミングを認識容易にコーチへ知らせることが可能になる。これによりコーチは、複数の生徒の一人ひとりに対して適切なタイミングでアクションをとることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1の実施の形態]
以下に本発明に係る学習支援システムの第1の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態による学習支援システム1の機能ブロック図である。
【0017】
この学習支援システム1において、学習支援装置10は、通信ネットワーク4を介してコーチ端末2および生徒端末3とそれぞれ繋がっている。ここで、学習支援システム1は、クライアントサーバモデルやクラウドコンピューティング形態などにより構成されるが、これに限られるものではない。
【0018】
学習支援装置10は、通信ネットワーク4を介してコーチ端末2や生徒端末3と通信を行うための送受信部11、データを記憶する記憶部12、データ処理を実行する演算処理部13を有している。
【0019】
演算処理部13は、生徒端末上に表示される視聴データや問題などの教育コンテンツを送信したり、生徒端末3から送られてくる解答や学習状況等のデータを受信する生徒端末インタフェース手段(以下、「生徒端末I/F手段」)31、生徒ごとに設けられ生徒端末I/F手段31の指令により学習セッション中の各単位の開始のたびに時間計測をリスタートするタイマ手段2(39)、学習セッションの終了のたびに時間計測をリスタートするタイマ手段1(38)、生徒が受講している単元の習熟度を判定する習熟度演算手段32、前記習熟度をもとに生徒が受講する単元に初めて合格したか否かを判定する新規合格判定手段33、生徒が現在解答中あるいは将来解答するであろう問題の正誤により習熟度を予測したり、習熟度がある閾値以上(例えば合格閾値)になるまでに連続正解すべき問題数または習熟度が閾値以上になるまでの時間を算出する習熟度予測手段34、生徒の学習状況や習熟度等をもとにして生徒への声掛けなどコーチの取るべきアクションのタイミングを判定するアクションタイミング判定手段35、アクションタイミング判定手段35の判定結果に基づいてコーチ端末2へ通知すべき生徒の学習状況一覧データを生成する編集手段36、及びこの学習状況一覧データをコーチ端末2へ送信するコーチ端末インタフェース手段(以下、「コーチ端末I/F手段」)37を備えている。
【0020】
なお、演算処理部13の各手段31〜39はCPUの機能としてプログラムによって実現させることができる。
【0021】
生徒DB21には受講者の氏名,ID等の受講者属性情報や受講する単元などの情報が保存され、教育コンテンツDB22には、単元ごとの診断テスト問題、講義コンテンツ、復習テスト問題などの教育コンテンツが保存される。
【0022】
また、受講履歴DB23には、生徒の受講した単元,テスト結果(解答の正誤),各単元の習熟度などの履歴データが保存される。学習状況テーブル24には、生徒の学習状況が保存され、リアルタイムに更新される。
【0023】
次に上記の構成を有する学習支援システム1の動作を説明する。
学習支援装置10は、学習セッションに含まれる一または二以上の単元の各アクティビティ(診断、講義、復習)ごとに教育コンテンツDB22に保存されているコンテンツデータを生徒端末I/F手段31を介して、夫々の生徒端末3へ送信する。ここで、診断は生徒がその学習セッションについてどの程度知識を有しているかを予め確認するもので、例えば予め準備された問題に対する解答によって判定する。講義は動画/静止画データ等を配信することによって行う。また復習は、例えば講義後や所定期間経過後などに受講中あるいは受講済みの単元に関して予め準備された問題を配信し、その解答を採点することにより習熟度を判定するものである。なお講義データや問題は予め決められた順番に配信するようにしても良いし、講義データの後に問題配信を行い、その解答の正誤により次に配信すべき講義データを決定するようにしても良い。
【0024】
生徒端末3は、学習支援装置10から送られてくるコンテンツデータを受信すると画面上に出力する。各生徒はこのコンテンツデータに基づいて、講義コンテンツを視聴したり、あるいは学習セッションの選択時に実施される診断テストや講義コンテンツの視聴後に実施される復習テストの解答を生徒端末3を介して学習支援装置10へ送信する。
【0025】
学習支援装置10の生徒端末I/F手段31は、送受信部11を介して生徒端末3から送られてくるデータを受け取ると、受講履歴DB23に保存し、また学習状況テーブル24の当該生徒の学習状況データを更新する。
【0026】
図2は、受講履歴DB23のデータ構成例である。生徒IDごとに、セッションID、問題ID、その問題の開始時刻、終了時刻、および当該問題を終了した時点での生徒の受講する単元の習熟度が保存される。なお、
図2において、問題IDの先頭の記号は単元を識別するためのものである。したがって、問題IDからその生徒の受講した単元が特定可能になっている。
【0027】
図3は、学習状況テーブル24のデータ構成例である。生徒の識別情報(生徒ID)ごとに、学習セッションの識別情報、学習中か否かを示す学習セッション中フラグ、当該学習セッションにおける単元に初めて合格したか否かを示す新規合格フラグ、習熟度予測手段33によって算定された単元合格までの最短の問題数(予測値)、および後述する表示形態の各項目のデータが保存されている。なお、この学習状況テーブル24は
図3に示すような一種類のテーブルでなくても良く、例えば生徒IDをキーに各項目がそれぞれ検索可能であれば足りる。この学習状況テーブル24の各欄は、学習支援装置10のイニシャライズ時に、演算未実行か否かが判定可能な任意の値にセットしておくものとする。
【0028】
学習支援装置10の生徒端末I/F手段31は、生徒ごとに、一連の学習単位である学習セッション単位で配信する単元の問題を抽出して、生徒端末3へ抽出した問題を配信する。この学習セッションは、コーチの取るべきアクションの種別を定めるものである。生徒端末I/F手段31は、問題配信後その生徒から解答データを受信すると、その解答の正誤の判定を行い、その結果を受講履歴DB23へ格納すると共に習熟度演算手段32を起動する。
【0029】
(習熟度演算処理)
習熟度演算手段32は起動されると解答データをもとにその単元の習熟度を演算する。なお、解答データのIDは問題IDと紐付けされており、これにより単元が特定可能になっている。
【0030】
習熟度の演算のしかたは、例えば特開2012-93599号公報、特開2007-248773号公報、特開2006-23566号公報など既存の技術を用いることができる。なお、簡易な方法としては、直近の所定数(例えば5問)の問題に対する解答の正解率(正解数/所定数)を習熟度とすることができる。あるいは、そのセッションの開始からの出題順位で重み付けを行なったり、問題ごとに当該問題を行なった生徒の正解率を考慮して重み付けを行うようにして習熟度を算定しても良い。
【0031】
そして、習熟度演算手段32は、算出した習熟度が予め定めた値(合格閾値)以上になった場合、合格フラグをセットする。このとき新規合格判定手段33は、当該生徒がその単元に初めて合格したときは、学習状況テーブル24の当該単元欄に新規合格フラグをセットする。このフラグは、コーチが当該生徒にアクション対応を取ったときに、コーチ端末2を介してリセットされる。なお、
図3に示す新規合格フラグ欄には、合格した回数を格納する場合の例である。すなわち、未合格時は「0」、新規合格時は「1」、合格回数が2回目のときは「2」等々となる。この場合は新規合格フラグ欄の値が「1」のときに新規合格フラグがセットされているとして判定される。また、合格時には、学習状況テーブル24の当該生徒の当該単元における合格までの予測値欄(以下、単に「予測値欄」ともいう。)に「0」が書き込まれる。
【0032】
(習熟度予測処理)
次に
図4を用いて、習熟度予測手段34の処理手順について説明する。
習熟度予測手段34は、生徒端末I/F手段31が生徒端末への問題配時に起動されると、まず受講履歴DB23から正誤データを抽出する(S101)。そして、当該単元における現在までの正解数を変数Xへ格納し、不正解数を変数Yへ格納する(S102)。また、教育コンテンツDB22から当該単元の残り問題数を抽出し(S103)、それを変数Zへ格納する(S104)。ちなみに残り問題数は生徒端末への問題の配信時に更新することができるが、本実施の形態では習熟度予測手段34が起動される前に更新されているものとして説明する。したがって、単元の最後の問題が配信されたときには、残り問題数は「0」になる。
【0033】
習熟度予測手段34は、次に変数Tを初期値「1」にセットする(S105)。この変数Tは、予測演算対象の生徒が当該単元に合格するまでに、現在配信中の問題も含めて今後連続して正解しなければならない数を表すものである。
【0034】
そして、変数Xの値と変数Tの値との和を変数Xへ格納して(S106)、習熟度演算手段32を起動する(S107)。習熟度演算手段32は起動されると、この変数Xの値とその他習熟度演算に必要なデータ(例えば不正解数Y)を用いて習熟度を演算する。
【0035】
そして、習熟度予測手段34は、ステップS108において、習熟度演算手段32の算出結果が合格閾値以上か否かを判定し、合格閾値以上の場合は学習状況テーブル24の予測値欄に変数Tの値を書き込む(S109)。
【0036】
習熟度予測手段34は、またステップS108において、予測演算した習熟度が合格閾値よりも小さい場合は、次に変数Zが「0」か否かを判定し(S110)、変数Zの値が「0」の場合は、学習状況テーブル24の予測値欄に当該単元の合格可能性がゼロであることを表す所定のコード(例えば99)を書き込む(S111)。
【0037】
一方、ステップS110において「NO」の場合は、変数Zをディクリメント、変数Tをインクリメントして(S112,S113)、ステップS106へ戻り、以降の処理を繰り返す。
【0038】
上記の処理の結果、学習状況テーブル24の予測値欄は、その値が「1」の場合は現在配信中の問題を正解すれば合格することを意味している。すなわち当該値欄n(nは整数)は、現在配信中の問題も含めて、生徒が連続して正解すべき問題の数を表す。
上記の予測演算は、問題は一問ずつであってもよいし、複数の問題の集合であってもよい。すなわち生徒が連続して実施する問題群ごとに行うのが好ましい。
このように習熟度予測演算については、問題の解答受信時ではなく、問題の配信時に行うことにより、コーチにアクションのための注意喚起を適切なタイミングで事前に通知することができる。
【0039】
また上記の説明は、生徒が実施する問題あるいは問題群を都度生徒端末へ配信することを前提として説明したが、例えば単元あるいはセッションごとに当該単元あるいはセッションに属する問題群を一括して生徒端末へ配信するようにしても良い。この場合は、生徒が問題あるいは問題群に着手したことを生徒端末が認識した時点で、学習支援装置10へ生徒が着手したことを通知する。この認識方法は、例えば、生徒端末3の表示画面に当該問題を表示出力した時点でも良いし、生徒が当該問題を選択したことを生徒端末3が検知した時点でも良い。生徒端末I/F手段31は生徒端末3から生徒が問題に着手したことを検知すると習熟度予測手段34を起動する。
【0040】
なお、上記の説明において、習熟度予測演算手段34は、正解数と不正解数を用いて習熟度の算定を行うことを前提としたが、これらの一部のパラメータ、例えば正解数のみで習熟度を演算するようにしても良い。一方、これら以外の他のパラメータ、例えば問題ごとの解答時間や問題解答に対する生徒の自信の有無なども用いて習熟度を予測演算するようにしても良い
【0041】
(習熟度予測処理の他の実施例)
習熟度予測処理は、上述した生徒が現在実施しており、あるいは将来実施する予定の問題が正解であることを仮想設定して行う方法に限定されず、他の方法で実施しても良い。例えば、既にその単元に合格した生徒の解答履歴、演算対象の生徒の解答履歴、演算対象の生徒の連続正解数に基づいて、または、演算対象の生徒が現在解答中あるいは将来解答予定の問題の正誤を仮想設定することにより、生徒の習熟度を予測演算することができる。
【0042】
また、従来技術による予測器を用いることもできる。例えば予測器の一例として、全ての問題に対する正誤のデータを説明変数、あるセッションに合格するために必要な問題数を目的変数として、重回帰分析を行うようにしても良い。なお、説明変数、目標変数はこれに限らず、例えば時間など必要により任意の変数を選定すればよい。
【0043】
例えば、
図5に示すように各生徒の学習履歴として、例えば、その1行目に示すように、ユーザID1の生徒が、単元1を30分で合格し、単元2,3については未受講であたったときに、単元Y1に合格したときの、必要問題数が5、所要時間が20分であるというようなテーブルを生成する。そして、次の重回帰式により各パラメータβ0,β1,・・・を求める。
β0+β1・X1+β2・X2+β3・X3+・・・=Y1
そして、ある生徒について、当該生徒の学習履歴からX1,X2,・・の値および各パラメータ(β0,β1,・・・)とを用いてY1を算出することにより、その生徒が単元Y1に合格するまでの問題数あるいは時間を予測する。他の単元(Y2,Y3・・・)についても、同様に重回帰式を用いて、予測演算することができる。
【0044】
(アクションタイミング判定処理)
次にアクションタイミング判定手段35について、
図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0045】
アクションタイミング判定手段35は定周期あるいは生徒端末3からのデータ受信時に生徒端末I/F手段31からリアルタイムに起動されると、まず学習状況テーブル24にアクセスして、学習セッション中であるか否かを判定する(S201)。その結果、学習セッション中でない場合は(S201で「NO」)、次にタイマ値と新規合格フラグを抽出し、タイマ値が予め定めた閾値(例えば3分)以内であり、かつ新規合格フラグがセットされている場合は(S202で「YES」)、当該生徒を第3群に分類し、学習状況テーブルの当該生徒IDの表示形態欄(図示せず)に「3」を書き込む(S203)。それ以外の場合は(S202で「NO」)、当該生徒を第4群に分類し、学習状況テーブルの当該生徒IDの表示形態欄に「4」を書き込む(S204)。
【0046】
一方、ステップS201で学習セッション中の場合は(S201で「YES」)、次に生徒が努力を必要としたセッションであるか否かを判定する(S205)。例えば、そのセッションにおいて、それまで一度も問題を不正解したことがない、あるいは、講義を受けたことがない場合は、生徒が努力を要していないと判定することができる。ステップS205の判定の結果が「NO」の場合は当該生徒を第4群に分類し、学習状況テーブルの当該生徒IDの表示形態欄に「4」を書き込む(S206)。
【0047】
ステップS205の判定の結果が「YES」の場合は、次に学習状態テーブルの学習セッション中フラグを参照して現在の学習セッションの状態が終了状態であるか否かを判定し(S207)、終了状態の場合は(S207で「YES」)、新規合格フラグがセットセットされているか否かを判定し(S208)、セットされている場合は(S208で「YES」)、当該生徒を第1群に分類し、学習状況テーブルの当該生徒IDの表示形態欄に「1」を書き込む(S209)。一方、ステップS208で新規合格フラグがセットされていない場合は(S208で「NO」)、当該生徒を第4群に分類し、学習状況テーブルの当該生徒IDの表示形態欄に「4」を書き込む(S204)。
【0048】
ステップS207の判定の結果、現在の学習セッションの状態が終了状態でない場合は(S207で「NO」)、学習状態テーブルの習熟度予測値を抽出し、合格までに必要な最小正解数が「1」以下、かつセッションの最後の問題であるか否かを判定する(S210)。そしてステップS210の判定結果が「YES」の場合は、当該生徒を第2群に分類し、学習状況テーブルの当該生徒IDの表示形態欄に「2」を書き込む(S212)。
一方、ステップS210の判定結果が「NO」の場合は、当該生徒を第4群に分類し、学習状況テーブルの当該生徒IDの表示形態欄に「4」を書き込む(S206)。
【0049】
上記アクションタイミング判定手段35によって分類されたカテゴリ(表示形態欄)において、第1群は声掛けのタイミングにある生徒たち、第2群は声掛けのタイミングがもうすぐ来そうな生徒たち、第3群は声掛けのタイミングを少し過ぎた生徒たち、第4群はその他の生徒たちである。
以上の処理によって、学習状況テーブル24を更新する。
【0050】
次に、編集手段36の処理内容について説明する。
図7は、コーチ端末2に表示される受講中の生徒の一覧画面(コーチング画面)の一例である。生徒IDに対応する生徒名、学習中のセッション/単元、教材、経過時間、コーチングリコメンドの項目が表示される。ここで、第1群に属する生徒群を最上位に、第2群に属する生徒群をその次に表示し、続いて第3群、第4群の順にソートして各群ごとに色別表示する。
【0051】
経過時間は第1群、第3群(学習セッション終了のグループ)についてはセッションの終了からの経過時間、第2群、第4群(学習セッション中のグループ)についてはセッション開始(または単元開始)からの時間、コーチングリコメンド欄には、声掛けなどのコーチの取るべきアクションの内容が表示される。
【0052】
例えば、第2群、第4群に属する生徒については、単元開始からの経過時間が一定値以上の場合や、不合格になった回数が一定値以上の場合は、当該経過時間や当該回数をコーチングリコメンド欄に表示することにより、コーチはその情報を考慮して生徒に助言することができる。また、第1群に属する生徒については、セッション終了からの経過時間を考慮して激励内容をアレンジすることができる。
【0053】
以上、本実施の形態によれば、生徒への声掛けのタイミングやその種別(激励か助言か)あるいは声掛けの内容など生徒指導や学習フォローに有効な情報を適切なタイミングでコーチへ知らせることができる。この際、例えば合格など目標達成をした生徒を対象に声掛けをするような場合、目標を達成した段階でコーチへ生徒が目標を達成したことを知らせるのみではなく、習熟度予測手段により目標達成間近の生徒を精度よく判別し、その生徒をコーチ端末上に識別表示するので、コーチに予め準備をしておく時間を与え、タイムリーに声掛けを可能にする。また本実施の形態による学習支援システムを用いることにより、各生徒の進捗状況を人間系で常にウォッチする必要がなくなるため、低コストでかつ、全生徒に対して漏れなく声掛けをすることができる。
【0054】
[第2の実施の形態]
次に本発明に係る学習支援システムの第2の実施の形態を説明する。
第1の実施の形態との主な違いは、アクションタイミング判定手段35によって分類した各生徒のカテゴリにおいて、さらにコーチに提供すべき情報として優先順位の高いものからソートする機能を設けたことである。この機能を実現するため、アクションタイミング判定手段35の処理手順を以下に述べるように変更している。その他の機能については
図1と同様のため、同一記号には同一符合を付して説明を省略する。
【0055】
次に、本実施の形態による学習支援システム1の動作について、第1の実施の形態との違いを中心に説明する。
習熟度予測演算処理の後、アクションタイミング判定手段35は、
図8に示す処理手順を実行する。以下、
図8を用いて本実施の形態による習熟度予測手段34の動作を説明する。
【0056】
習熟度予測手段34は、定周期、生徒端末I/F手段31の問題送信あるいは解答受信などリアルタイムに起動すると、学習状況テーブル24にアクセスして、アクション対応を要する生徒について以下の処理を実行する(S302a,S302b)。なおアクション対応を要するか否かは、例えばアクション済みフラグを設けて、アクションを終了した生徒については、アクション済みフラグをセットし、アクション済みフラグのセットされていない生徒をアクション対応が必要と判定するようにしても良い。
【0057】
アクションタイミング判定手段35は、抽出した生徒について生徒ごとにまず学習状況テーブル24のステータスを参照して、学習セッション中か否かを判定する(S304)。そして学習セッション中の場合は、当該セッションで合格可能性があるか否かを判定する(S304)。この処理は例えば、当該生徒の合格までの予測値の欄に、合格可能性の無いコード(例えば、数値「99」)が格納されている場合は合格可能性なし、それ以外の所定範囲の数値(合格までに連続正解すべき問題数として適切な数値)が格納されている場合は合格可能性あり、と判定することができる。
【0058】
ステップS304の判定の結果、合格可能性ありと判定した場合は、当該生徒を第2群に分類し(S306)、合格可能性なしと判定した場合は、当該生徒を第4群に分類する(S305)。
【0059】
一方、ステップS303で学習セッション中でない場合は、次に学習状況テーブル24のステータスに新規合格フラグがセットされているか否かを判定する(S307)。その結果、新規合格フラグがセットされている場合は、当該生徒を第1群に分類し(S308)、新規合格フラグがセットされていない場合は、当該生徒を第3群に分類する(S309)。
【0060】
次に、アクションタイミング判定手段35は、各生徒についてステップ302a〜ステップS302bの分類処理を行なった後、第1群の生徒について、タイマ手段1(38)、タイマ手段2(39)の値に重みを付けて優先順位を演算して(S311)、当該優先順位に基づいて生徒をアクションの緊急度、重要度の高いものからソートする(S301a,S310b)。
【0061】
第1の実施の形態で述べたように、タイマ手段1(38),タイマ手段2(39)は生徒ごとに設けられ、タイマ手段1(38)は学習セッションの終了のたびに時間計測をリスタートするタイマであり、タイマ手段2(39)は学習セッションの開始のたびに時間計測をリスタートするタイマである。タイマ手段1(38)の値をT1,タイマ手段2(39)の値をT2とし、それぞれの重み付け係数をa,b(a,b>0)としたとき、優先度Pを例えば次の式で求めることができる。
P=b・T2−a・T1
そして、優先度Pの大きな生徒からソートするのである。
【0062】
上式の演算例は、当該学習セッションの合格までに多くの時間を要した生徒、すなわち苦労したことを高く評価するものであり、また、学習セッションの終了時点すなわち新規合格してから時間が短いほど高く評価するものである。
なお、評価パラメータとしては上記に限らず、例えば当該セッションが不合格になった回数を優先度判定のパラメータに加えるようにしても良い。
【0063】
アクションタイミング判定手段35は、次に第2群の生徒について、次の手順によりソート処理を実行する(S312a,S312b)。まず、生徒の平均解答時間を用いて生徒の単元合格までの時間を予測する(S313)。生徒の平均解答時間は、当該生徒の過去の問題に対する解答時間の平均値を用いても良いし、生徒が現在解いている、あるいは将来解く予定の問題に対する当該問題実施済みの他の生徒の解答時間をもとに決定しても良い。例えば各問題の配信時からリスタートするタイマ手段3(図示せず)を設け、前記平均解答時間からタイマ手段3の値を差し引いた値の小さいものから優先順位を高くしてソートする(S314)。この優先順位の決定方法は、特に、現在配信中の問題を正解すれば合格する生徒群に対して、精度良く優先順位付けすることができる。
【0064】
なお、前述した平均解答時間は、当該問題の他の生徒の平均解答時間で求めても良いし、あるいは当該学習セッションの開始から当該生徒がそれまで実施した問題の解答時間との差、例えば偏差値などをもとに算出しするようにしても良い。これにより他の生徒より解答時間が早い傾向にある場合はそれを考慮して、コーチは準備できるのでより正確に声掛けのタイミングを予測することができる。なお、重回帰分析により直接合格までの時間を求めた場合は、その演算結果を用いるようにしても良い。
【0065】
アクションタイミング判定手段35は、編集手段36を介して、上記の処理によって優先順位付けされた第1群、第2群の生徒を優先順位に基づいてソートして、コーチ端末2上へ表示出力する。このとき、必要により他の群に分類された生徒なども識別表示するようにしても良い。
上記手順によりコーチ端末2へアクション対象の生徒を識別表示する。
【0066】
なお、
図8では、第1群、第2群に属する生徒についてソート処理を行なう例を示したが、これに限らず、例えば第4群の合格の可能性の無い生徒については、不合格になった回数や学習セッション中の時間の長い順にソートして、コーチはその表示順に従って声掛けするようにしても良い。
なお、編集手段36は、ソート順に表示することに代えて、最も優先度の高い生徒のみを識別表示するようにしても良い。
【0067】
以上、本実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加えて、アクション対応が必要な生徒のうち、その優先度の高い生徒から順にアクション対応を取ることができる。また、近々にアクションの必要な生徒を精度よく認識することができる。
【0068】
本発明は、上述した実施の形態に限らずその要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実現することができる。
例えば、上記の説明において、アクションが必要か否かを予め設定した合格閾値と比較してセッションに合格したか否かで判定したが、これに限らず、生徒と相談をして生徒ごとに定めた目標値以上であるか否かで判定しても良い。また、当該目標値とアクション内容を関連付けたテーブルを設けておき、どの目標値を達成したかをコーチ端末上に識別表示し、コーチはその目標値に応じたアクションをとるようにしても良い。
【0069】
また、
図9に示すような生徒と座席位置を関連付けたテーブルを設け、
図10に示すようにアクション対象の生徒、即ち第1群に分類された生徒の座席位置をコーチ端末画面上に表示するようにしても良い。
【0070】
また上記説明では、学習支援装置10で生成した学習状況一覧データを通信ネットワークを介してコーチ端末2上に表示させる構成としているが、スタンドアロンの学習支援装置10に表示装置を設け、当該表示装置上に学習状況一覧を表示させるようにしても良い。勿論、表示装置に代えて、あるいは表示装置と共に音声出力装置など他の出力手段を設けて、音声などの表示以外の方法で学習状況一覧情報をカテゴリ別に出力することもできる。
【解決手段】生徒を指導するコーチの取るべきアクションの種別を定める学習セッションごとに一または二以上の単元に属する問題を抽出し、抽出した問題を生徒へ提供して解答データと学習状況データを入力する手段と、入力した解答データをもとに生徒の受講する単元に対する生徒の習熟度を演算し、習熟度が閾値に達したか否かを判定する習熟度演算手段と、生徒の将来の習熟度を予測演算する習熟度予測手段と、夫々の生徒の学習状況データと、習熟度演算手段の演算結果と、習熟度予測手段の演算結果と、のうち少なくとも一つを用いて各生徒を複数のカテゴリのいずれかに分類するアクションタイミング判定手段と、生徒が前記カテゴリのいずれに属するかを識別可能にして生徒の学習状況一覧データを生成する手段とを備える。