(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
油脂を固形化する技術としては、従来から基材に浸漬する方法、乳化後噴霧乾燥する方法などが示されてきたが、いずれも加工上、および食品原料としての使い勝手は良くなく、限られた用途でしか使われていなかった。そのため近年には種々の検討が行われてきた(特許文献1〜特許文献8)。
【0003】
例えば、特許文献2は、油脂、油脂包含用基材およびポリオールとを含んでなる油脂含有組成物であって、その水分含量が15重量%以下であり、粒子径が最大10 mm以下で、かつ平均粒子径が5 mm以下、安息角が70゜以下であることを特徴とする粉状または顆粒状油脂を開示する。特許文献3は、油脂、油脂包含用基材、およびポリオールを含有し、水分含有量が15重量%以下であると共に、最大粒径が10 mm以下、平均粒径が5 mm以下であり、さらに、安息角が70°以下であることを特徴とする粉状または顆粒状油脂であって、好ましくは固め見掛け比重が0.55〜0.85 g/cm
3であることを特徴とする粉状または顆粒状油脂を開示する。
【0004】
しかしながら、これらの粉状または顆粒状に固形化された油脂は、得られた固形物からの油脂の染み出しが生じる等の問題点があり、使い勝手がよくない場合が散見された。
【0005】
この様な欠点を解消することを目的として、油脂吸収性と顆粒化の性質とを併せ持つ基材(油脂吸収性顆粒化基材、例えば、ある種のデキストリン)とを組み合わせて使用することにより、高濃度油脂含有顆粒を製造することができることを示した(特許文献7)。しかし、この様な高濃度油脂含有顆粒は、水溶性のエキス成分などを固形化することが困難であるという問題点があり、結果として調味料としては利用することができなかった。
【0006】
一方、中華料理などでは、鶏肉や豚肉のエキスと野菜のエキスとをスパイスと共に配合した半練り状の調味料が広く使用されている。この様な半練り状の調味料は、中華料理特有の濃厚な風味を加えられ、また風味が通常の粉末調味料などよりも優れていることから、一般に中華料理用の調味料として広く使用されている(特許文献8)。
【0007】
しかしながら、この様な半練り状の調味料は、粉末状の調味料と比較して油脂分が多く含有されているため、利用時に取り出しにくいという欠点や、調理時に分散しにくい特性があるために味ムラができやすいといった問題点、ならびに保存時に油分がしみ出すなど保存性が悪く、保管もビンや缶などでの保管をしなければならないという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような種々の製造方法が検討されてきているものの、実際には油脂含量が固形物当たり30重量%を超えると、得られた固形物からの油脂の染み出しが生じる等の、使い勝手がよくない場合が見られた。食品原料としての使い勝手などを考えた場合には、これまでのように単に基材に包含させるのみではなく、油脂分を封じ込める更なる技術の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これまで、油脂を粉末化・顆粒化するための基材としては、ゼラチン、カゼイン等の親水性タンパク質、澱粉、デキストリン、加工澱粉等の澱粉系のもの、ガム類等の親水性多糖類、核酸、アミノ酸、糖等の低分子のものが知られてきた。しかしながら、その役割や適性については精査されておらず、単に水への溶解性や油脂の吸収性等の観点から選択されてきた。
【0011】
そこで、基材の組み合わせを検討したところ、油脂を吸収し、包含する機能が高いものと、油脂を包含した基材を顆粒化するための機能が高いものとを併用することにより、高い比率で油脂を含量し、しかも油脂の染み出しの少ない顆粒が製造できることを見いだし、本発明を完成した。
【0012】
本発明は以下のものを提供する。
(1) 5〜30重量%の油脂、油脂包含用基材、およびポリオール、を含む、粉末または顆粒状の調味料組成物。
(2) 油脂が、複数種類の油脂を混合したものである、(1)に記載の粉末または顆粒状の調味料組成物。
(3) それぞれの油脂が、植物油脂、動物油脂、加工油脂から選択される、(2)に記載の粉末または顆粒状の調味料組成物。
(4) 動物油脂が、豚、牛などの背脂、豚、鶏、牛などのファット、オイルを含む、(3)に記載の粉末または顆粒状の調味料組成物。
(5) 油脂包含用基材が、デキストリン、デンプン、結晶セルロース、またはこれらの任意の組み合わせから選択される、(1)〜(4)のいずれかに記載の粉末または顆粒状の調味料組成物。
(6) 油脂包含用基材が、調味料組成物重量に対して、10〜60重量%である、(1)〜(5)のいずれかに記載の粉末または顆粒状の調味料組成物。
(7) ポリオールが、無毒性グリコール(例えば、グリセリンまたはプロピレングリコール)、糖類または糖アルコール類から選択される、(1)〜(6)のいずれかに記載の粉末または顆粒状の調味料組成物。
(8) ポリオールが、油脂1重量部に対して0.050〜0.100重量部である、(1)〜(7)のいずれかに記載の粉末または顆粒状の調味料組成物。
(9) うまみ成分をさらに含む、(1)〜(8)のいずれかに記載の粉末または顆粒状の調味料組成物。
(10) うま味成分が、化学調味料(アミノ酸、核酸)、酵母エキス、野菜エキス、畜肉エキスのいずれかの組み合わせである、(7)に記載の粉末または顆粒状の調味料組成物。
(11) うま味成分が、調味料組成物重量に対して、5〜65重量%である、(9)または(10)に記載の粉末または顆粒状の調味料組成物。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、以上のような構成の高油脂含有でかつ染み出しの少ない粉末または顆粒状の調味料組成物を提供する。従来は、半練り状の調味料としてしか販売されていなかった中華料理用の調味料組成物にたいして,本発明においては粉末または顆粒状の調味料組成物として提供することにより、調理時に取り出しやすく、また溶けやすく混ぜやすいという利用時の利点だけではなく、保存性が高まり、また保存容器もビン、缶以外にパウチなど、多様な容器を使用することができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者らは鋭意検討を行った結果、従来から高濃度の油脂の顆粒化方法としてし知られている、油脂を吸収し包含する機能が高い基材と、油脂を包含した基材を顆粒化するための機能が高い基材とを併用する方法を、脂肪分が多い中華料理用の半練り状の調味料の組成に適合させることにより、保存時の油の染み出しが大幅に低下し粉末または顆粒状を維持することができ、かつ調理時には分散しやすい特性を有する、油脂と風味とを含む調味料を調製することができることを明らかにして本発明を完成した。
【0015】
[粉末または顆粒状の調味料組成物の構成成分]
本発明は、5〜30重量%の油脂、デキストリン、デンプンおよび/または結晶セルロースなどの油脂包含用基材、ならびにポリオールを含み、場合によりうま味成分をさらに含む、調味料組成物を提供することができ、成分である油脂、油脂および包含用基材、および/またはうま味成分を固形化し、粉末または顆粒状をした固形の調味料組成物として提供することができる。
【0016】
本発明の調味料組成物は、5〜30重量%の油脂を含んでいるものの、調味料組成物全体としては粉末または顆粒状の形状を維持していることを特徴としている。したがって、調味料組成物からの油脂の染み出しが、通常の家庭用調味料としての使用においては問題の無いレベルであるように、調味料組成物中の油脂、油脂包含用基材、うま味成分、ならびにポリオールの組成を決定することができる。
【0017】
本明細書の粉末または顆粒状の調味料組成物の構成成分の割合に関し、「重量%」というとき(例えば、「5〜30重量%の油脂」というとき)は、特別な場合を除き、粉末または顆粒状の調味料組成物全重量に対する重量割合(%)を指す。
【0018】
油脂:
本明細書における油脂には、植物油、動物油、または固型脂、半固型脂、液状油およびこれら2種以上の混合物のいずれも含まれる。すなわち、本発明においては、食品に用いられるものならいずれの油脂でも使用することができる。油脂の原料は特に限定されず、植物油脂、動物油脂、加工油脂のいずれも用いることができる。
【0019】
例えば、植物油脂としては、大豆油、なたね油、パーム油、ヤシ油、コーン油、綿実油、ゴマ油、米油、オリーブ油、紅花油、落花生油、グレープシード油、しそ油、亜麻仁油、椿油、月見草油、ハーブ油、などが挙げられる。また、動物油脂としては、豚脂、牛脂、鶏脂、魚油、などが挙げられる。そして、加工油脂としては、マーガリン、ショートニング、中鎖脂肪酸含有油、モノグリセリド、ジグリセリドなどが挙げられる。油脂の種類も特に限定されず、サラダ油、炒め油、天ぷら油等のいずれも用いることができる。
【0020】
本発明の粉末または顆粒状の調味料組成物中で使用する油脂として、香味が優れている油脂を使用することが特に好ましく、その様な香味が優れている油脂としては、ごま油、植物油脂、動物油脂(豚、牛などの背脂、豚、鶏、牛などのファット、オイル)、パーム油、などを使用することができる。本発明におけるこれらの例の油脂(すなわち、ごま油、植物油脂、動物油脂、パーム油)を使用することにより、強い力価を持ったまま粉末化することができ、加工食品などに広く利用することを可能にする。
【0021】
本発明の粉末または顆粒状の調味料組成物において、この様な油脂は、調味料組成物の5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%、より好ましくは15〜21重量%の重量で、調味料組成物中に含まれる。調味料組成物を粉末または顆粒状の形状にするためには、油脂の含有量をこの様な重量%範囲に収めることが好ましいことが、本明細書において初めて明らかにされた。
【0022】
油脂包含用基材:
本明細書で「油脂包含用基材」というときは、特別な場合を除き、その形態は粉状の基材であり、水に容易に分散することが好ましい。本発明においては、油脂包含用基材として、デキストリン、デンプン、および/または結晶セルロースを用いることができる。
【0023】
デキストリンとは、数個のα-グルコースがグリコシド結合によって重合した物質の総称であり、でん粉を酵素などにより加水分解したものであり、通常は、重合度(DE)が20以下のでん粉加水分解物のことをいう。油脂包含用基材として、本発明に用いることができるデキストリンは、原料は特に限定されないが、例えば、パインフロー、マックス1000、またはパインデックス#100(いずれも、松谷化学工業から入手可能)などの商業的に利用可能なデキストリンを挙げることができる。
【0024】
デンプンとは、多数のα-グルコース分子がグリコシド結合によって重合した天然高分子のことをいい、本発明において油脂包含用基材として用いることができるデンプンとしては、パインフロー(いずれも松谷化学から入手可能)等を挙げることができる。
【0025】
結晶セルロースとは、繊維性植物から得られたα−セルロースを酸で部分的に解重合して精製したもののことをいい、本発明において油脂包含用基材として用いることができる結晶セルロースとしては、セオラス、セルフィア(いずれも旭化成ケミカルズ株式会社から入手可能)等を挙げることができる。
【0026】
一般に、油脂を包含した粉状基材は、流動性、吸着性等をもつことが多く、顆粒化を悪くする方向に作用する。したがって、本発明においては、油脂を吸着する性質とともに、その顆粒化を可能にする性質を同時に有する油脂包含用基材を用いることが好ましい。その様な本発明における油脂包含用基材としては、例えば、前述したパインフロー、マックス1000、またはパインデックス#100(いずれも、松谷化学工業から入手可能)、を挙げることができる。
【0027】
さらに、油脂包含用基材の使用は、結果として、油脂包含用基材として機能可能な基材を多く配合できることになるので、油脂の含有量を上げるのみではなく、溶解性が高い高濃度油脂含有顆粒を製造することが可能になる。
【0028】
本発明においては、油脂包含用基材の一部を、エキスパウダー、アミノ酸、食塩、糖類、香辛料等の粉末調味料と置き換えることができる。
【0029】
本発明の粉末または顆粒状の調味料組成物において、この様な油脂包含用基材は、調味料組成物の10〜60量%、好ましく15〜50重量%、より好ましくは20〜40重量%の重量で、調味料組成物中に含まれる。調味料組成物を粉末または顆粒状の形状にするためには、油脂の含有量との関係で、油脂包含用基材をこの様な重量%範囲に収めることが好ましいことが、本明細書において初めて明らかにされた。
【0030】
ポリオール:
本発明に用いることのできるポリオールとしては、グリセリン、プロピレングリコール等の無毒性グリコールおよび糖類または糖アルコール類が挙げられる。中でも常温で液体のポリオールが好ましく、グリセリンがさらに好ましい。
【0031】
本発明では、油脂を吸着する特性と顆粒化する際の固形性を保つための特性とを併せ持つデキストリン、デンプン、セルロース等の油脂包含用基材、および場合によりさらに添加されるうま味成分を、ポリオールを介して凝集することにより、油脂を包含した顆粒を形成していると推測される。
【0032】
本発明では、デキストリン、デンプン、セルロース等の油脂包含用基材の中に油脂を包含した粉状物を、ポリオールを介して凝着させることにより、油脂を包含した顆粒が製造可能になるものと思われる。
【0033】
本発明におけるポリオールの使用量は、当業者であれば、適宜決定することができるが、例えば、油脂1重量部に対して0.050〜0.100、好ましくは0.055〜0.080、より好ましくは0.060〜0.075用いることができる。
【0034】
うま味成分:
うま味成分には、一般に、アミノ酸であるグルタミン酸や、核酸構成物質のヌクレオチドであるイノシン酸、グアニル酸、キサンチル酸など、その他の有機酸であるコハク酸やその塩類などが含まれる。これらは、タンパク質や核酸に富んだ細胞の原形質成分に多く含まれる一群の成分である。代表的なうま味成分のうち、アミノ酸の一種であるグルタミン酸は植物に、核酸の一種であるイノシン酸は動物に多く含まれることが多く、イノシン酸など、うま味を感じさせるヌクレオチドは呈味性ヌクレオチドとも呼ばれる。
【0035】
うま味成分は、大きくは、化学調味料(アミノ酸、核酸)、酵母エキス、野菜エキス、畜肉エキスなどに分類することができる。本発明の粉末または顆粒状の調味料組成物において、この様なうま味成分を含む材料として、タンパク質分解物、アミノ酸、核酸分解物、塩基、各種エキスパウダー、などのうま味成分を配合することができる。これらのうま味成分は、油脂包含用基材として働く場合もある。
【0036】
本発明において、高濃度油脂含有顆粒中にうま味成分を含ませたことを調味料組成物を構成するための構成の一つとすることができ、うま味成分は、本発明の調味料組成物を構成する高濃度油脂含有顆粒における構成要素の一つとなり得るものである。本発明の粉末または顆粒状の調味料組成物において、この様なうま味成分は、調味料組成物の5〜60重量%、好ましくは10〜45重量%、より好ましくは15〜35重量%の重量で、調味料組成物中に含まれる。本発明において使用する油脂調味料組成物を粉末または顆粒状の形状にするためには、油脂および油脂包含用基材の含有量との関係で、うま味成分をこの様な重量%範囲に収めることが好ましいことが、本明細書において初めて明らかにされた。
【0037】
他の成分:
本発明の粉末または顆粒状の調味料組成物において、塩類、糖類、香辛料、香料、酸味料、安定剤(カゼインナトリウム、キサンタンガム)、乳化剤、酸化防止剤等の固形成分を配合することができる。このような成分もまた、油脂包含用基材として働く場合がある。
【0038】
[粉末または顆粒状の調味料組成物の製造方法]
本発明の粉末または顆粒状の調味料組成物は、油脂、油脂包含用基材、およびポリオール、および/またはうま味成分、を均一に練合し、固化させた後に、直接メッシュに通して解砕・整粒することにより、得ることができる。あるいは、材料を均一に練合させた後に、必要により加圧によりいったんシート化したものを、解砕・整粒することにより、製造することもできる。
【0039】
練合のためには、従来の食品製造工程上用いる混合機、混練機または造粒機等が使用できる。具体的には、フードプロセッサ、リボンブレンダー、スクリューミキサー、ドゥミキサー、擂潰機、各種ニーダー、および混合造粒機、流動層造粒機、押出し造粒機等が挙げられる。当業者であれば、練合のための回転速度および練合時間等は、スケールや配合比に応じて、適宜設定することができる。
【0040】
このようにして練合した材料を、加圧しながらメッシュに通すことにより、調味料組成物を解砕しつつ、粉末または顆粒状に整粒することができる。使用することができるメッシュは、整粒後の粉末または顆粒状の調味料のサイズに応じてメッシュのサイズを選択することができる。メッシュは、1インチ(約25.4 mm)の幅にいくつの目が有るかにより企画が定められており、例えば7meshという場合には、1インチ幅に7個の目が有ることを意味する。本発明においては、5mesh、6mesh、7mesh、8mesh、9mesh等を使用することができる。5meshのメッシュを使用した場合、3.2〜4.3 mmのサイズの粉末または顆粒を製造することができ;6meshのメッシュを使用した場合、2.6〜3.6 mmのサイズの粉末または顆粒を製造することができ;7meshのメッシュを使用した場合、2.5〜3.0 mmのサイズの粉末または顆粒を製造することができ;8meshのメッシュを使用した場合、2.2〜2.7 mmのサイズの粉末または顆粒を製造することができ;9meshのメッシュを使用した場合、2.5〜3.0 mmのサイズの粉末または顆粒を製造することができる。
【0041】
練合物をシート化させる場合、練合物をローラーコンパクター等で、必要に応じ加圧することによりシート状に成型する。加圧は、例えば1〜100 kg/cm
2、好ましくは10〜50 kg/cm
2、より好ましくは30 kg/cm
2で行うことができる。シート化物は、一定時間放置し、硬化させる。シート化物は、次いで解砕し、顆粒化して整粒する。
【0042】
[粉末または顆粒状の調味料組成物の用途]
本発明の粉末または顆粒状の調味料組成物は、調味料、スープの素等の用途に適している。特に油脂として香味成分(脂溶性フレーバー等)を溶解した油脂を用いた場合、油脂を乳化することなく顆粒内部に保持しているため、香味が引き立つ。本発明の粉末または顆粒状の調味料組成物は、食品への風味付け、コク出しに適する。
【0043】
本発明の粉末または顆粒状の調味料組成物は、インスタント食品、総菜、製菓、畜肉加工品、水産加工品、漬け物、調味料等に用いることができる。具体的な用途としては、麺、スープ、カレー、シチュー、たれ、ソース等が挙げられる。
【0044】
また、通常の固形油脂の場合には、白濁した、小さな油滴しかできないのに対し、本発明の粉末または顆粒状の調味料組成物は透明感のある、大きな油滴を作ることが可能である。
【実施例】
【0045】
実施例1:油脂含有顆粒の製造
本実施例においては、ペースト状中華調味料の一例として、味覇(ウェイパー)を参考に、基本レシピを作成することを目的として検討を行った。
【0046】
以下の表1の割合で油脂(背脂オイル、ビーフオイル、チキンオイル、ごま油、鶏ガラ油の混合物)、デキストリン粉末、およびうま味成分を、容器に入れてフードプロセッサにより十分に攪拌した。この混合物に対して、フードプロセッサにかけながら、グリセリンを入れてさらに十分に攪拌した。そのまま、この混合物を50℃にて2時間加熱し、乾燥させ、固化させた。その後、9 meshのSUS製織り網で押し出すことにより解砕、整粒することにより顆粒状油脂を得た。
【0047】
油の染み出しは、ろ紙の上に0.8 gの各試料を置き、油のろ紙への染み出しを目視により観察した。
【0048】
【表1】
【0049】
試料1-1は、味覇(ウェイパー)に基づいてレシピを構成した。この組成で調製した調味料組成物は、油の染み出しが見られ、粉末または顆粒状の調味料組成物としては不適切であった。
【0050】
そのため、試料1-1の組成の内、マックス1000(デキストリン)(松谷化学工業)を増加し、試料1-2を調製した。試料1-2もまた、油の染み出しが見られ、粉末または顆粒状の調味料組成物としては不適切であった。
【0051】
そのため、試料1-2からさらにマックス1000(デキストリン)(松谷化学工業)を増加し、代わりにパインフロー(デキストリン)(松谷化学工業)を組成から抜いたところ、得られた試料1-3はべたつく感じがあり、堅くなりすぎるものもあった。
【0052】
試料1-4はこれらの欠点を解消すべく、試料1-3と同様にパインフロー(デキストリン)(松谷化学工業)を組成から抜き、一方でマックス1000の割合を増加させ、また油脂の割合を低下させた。パインフローを入れると粉質はよくなるものの、制御がしにくくなるという欠点も併せ持っていたので、全てのデキストリンをマックス1000にした。
【0053】
これらの試料のうち、試料1-4が4種の試料の中ではもっとも妥当なものであったことから、この組成をベースにさらに改良を行った。
【0054】
実施例2:油脂含有顆粒の製造・改良
次に、試料1-4をベースにして、デキストリン、およびうま味成分の組成を一定に下条件の下、主として油脂の組成を変更することにより、得られる調味料組成物の特徴を明らかにした。
【0055】
以下の表2の割合で油脂(背脂オイル、ビーフオイル、チキンオイル、ごま油、鶏ガラ油の混合物)、デキストリン粉末、うま味成分およびグリセリンを使用する以外、実施例1と同様に調味料組成物を調製した。
【0056】
油の染み出しは、ろ紙の上に0.8 gの各試料を置き、油のろ紙への染み出しを目視により観察した。
【0057】
【表2】
【0058】
油脂の成分組成を変更することにより、融点を高くしてバランスを取った。具体的には、試料2-1〜試料2-3では、ビーフオイルの量を徐々に減らす一方、試料2-4ではビーフファットを添加することにより、融点を高くした。
【0059】
これらの試料の物性評価を、以下の通りまとめる:
試料2-1:べたつく;
試料2-2および試料2-3:大分べたつき改善されたが、家庭用製品としてはまだ不十分と判定した;
試料2-4:融点を高くしたことで、べたつき改善、計量スプーンにくっつきにくくなった。
【0060】
実施例3:油脂含有顆粒の製造・改良(2)
本実施例においては、うま味成分として金華ハムエキスパウダーを追加して、調味料組成物を調製した。本実施例の各試料のうち、グリセリンの量を振って、調味料組成物を調製した。
【0061】
以下の表3の割合で油脂(背脂オイル、ビーフオイル、チキンオイル、ごま油、鶏ガラ油の混合物)、デキストリン粉末、うま味成分およびグリセリンを使用する以外、実施例1と同様に調味料組成物を調製した。
【0062】
油の染み出しは、ろ紙の上に0.8 gの各試料を置き、油のろ紙への染み出しを目視により観察した。
【0063】
【表3】
【0064】
グリセリンの添加量を変更することにより、グリセリンの粉質に対する影響を確認したところ、これらの試料の物性評価を、以下の通りまとめることができる:
試料3-3:グリセリン3.0%:粒子固くなったが、吸湿性が上がり、べたつきやすくなる;
試料3-2:グリセリン2.5%:3%時よりはよくなったが、若干べたつきやすい傾向;
試料3-1:グリセリン2.0%:べたつきなく、粒子の硬さもほどよい。溶解性もよい。
【0065】
この実施例の結果から、グリセリンは、2%の時にもっとも粉質が細かく優れていたことが分かった(試料3-1)。
【0066】
実施例4:油脂含有顆粒の製造・改良(3)
本実施例においては、油脂は試料4-4においてビーフファットを使用しつつ、デキストリンの量および比率を様々な条件によって振って、調味料組成物を調製した。本実施例の各試料では、グリセリンの量を振って、調味料組成物を調製した。
【0067】
以下の表4の割合で油脂(背脂オイル、ビーフオイル、チキンオイル、ごま油、鶏ガラ油の混合物)、デキストリン粉末、うま味成分およびグリセリンを使用する以外、実施例1と同様に調味料組成物を調製した。
【0068】
油の染み出しは、ろ紙の上に0.8 gの各試料を置き、油のろ紙への染み出しを目視により観察した。
【0069】
【表4】
【0070】
デキストリンとしてパインデックス#100を使用すると、粉質がよくなりさらさらな組成物となることが分かった(試料4-6)。しかし、あまりさらさらになりすぎると取り扱いが難しくなることから、本実施例においては、マックス1000:パインデックス#100を1:1とすることを選択した(試料4-7)。
【0071】
実施例5:チャーハンに対する効果
実施例4の試料4-7が、油脂の染み出し、粉質、香り立ち、分散性、ハンドリングなどの特徴に関して好ましい特徴を有していたことから、本実施例において、実際に試料4-7を使用して、チャーハンを調製し、味、好みなどの官能評価を行った。
【0072】
チャーハンは、フライパンにサラダ油を入れてよく熱し、細かく切った長ネギ、チャーシューを加えて軽く炒める。ここに、溶き卵を流し入れ、ご飯を加えて、ほぐしながら炒める。その後調味料を加え、よく混ぜて完成する。
【0073】
チャーハンのそれぞれの材料の組成は以下の表5にまとめた通りである。
【0074】
【表5】
【0075】
チャーハン調理時の使いやすさは、計量時において、試料4-7の方が計量しやすい。対照製品の味覇は冷蔵庫から出したばかりだと、やや硬く、スプーンからなかなか落ちないために、時間がかかる等の問題点があったが、試料4-7の場合にはその湯尾な問題点がなかった。また、炒飯に混ぜる時において、試料4-7は、分散性が良く、すぐ均一に混ざったのに対して、対照製品の味覇は、分散性が悪く、均一に混ぜるのに時間が掛かるという問題点があった。
【0076】
この様な結果、試料4-7は、味覇よりも、使いやすさが格段に良いという利点を発揮できることが明らかになった。
【0077】
次に、チャーハンの味の比較に関して、専門パネラー7名による官能評価を行った。官能評価は、二重盲検の下で行った。チャーハンの味の評価は、5段階評価で行い、対照群(味覇)の炒飯を3としたとき、試料4-7を使用したチャーハンを1(弱い)〜5(強い)の間で評価した。
【0078】
【表6】
【0079】
その結果、試料4-7を使用したチャーハンは、香り立ち・旨味の強さについては、対照群(味覇)とほぼ同等で、一方で全体的なバランスは試料4-7の方が良いとの結果がえられた。
【0080】
また、上記と同じ官能評価の専門パネラー7名により、対照群(味覇)を使用したチャーハンと試料4-7を使用したチャーハンのどちらの炒飯が好みであったかの質問を行った。
【0081】
【表7】
【0082】
この表7にもまとめた様に、試料4-7を使用したチャーハンと対照群(味覇)を使用したチャーハンでは、主観的な好みは分かれたが、同等の味・風味と感じられている傾向にあった。