特許第6397172号(P6397172)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6397172層状配列、高温ガス経路構成部品、および層状配列を形成するプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397172
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】層状配列、高温ガス経路構成部品、および層状配列を形成するプロセス
(51)【国際特許分類】
   B32B 18/00 20060101AFI20180913BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20180913BHJP
   F01D 5/28 20060101ALI20180913BHJP
   F01D 9/02 20060101ALI20180913BHJP
   F01D 9/04 20060101ALI20180913BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20180913BHJP
   C04B 37/02 20060101ALI20180913BHJP
   B32B 3/10 20060101ALI20180913BHJP
   B32B 15/04 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   B32B18/00 A
   F02C7/00 C
   F01D5/28
   F01D9/02 102
   F01D9/04
   F01D25/00 L
   C04B37/02 A
   B32B3/10
   B32B15/04 B
【請求項の数】17
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-199097(P2013-199097)
(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-69574(P2014-69574A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2016年9月16日
(31)【優先権主張番号】13/630,708
(32)【優先日】2012年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】シューツァン・ジェイムズ・ツァン
(72)【発明者】
【氏名】ハイピン・ワン
【審査官】 小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−036632(JP,A)
【文献】 特開2011−032167(JP,A)
【文献】 特開平06−246890(JP,A)
【文献】 特開2011−167994(JP,A)
【文献】 特開2004−009740(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0260364(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0166565(US,A1)
【文献】 米国特許第06767659(US,B1)
【文献】 特開2009−228606(JP,A)
【文献】 特表2009−518270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
C04B 37/02
F01D 5/00−25/00
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
層状配列を有する高温ガス経路構成部品であって、前記層状配列が、
基板層と、
セラミック・マトリックス複合材料層と、
前記基板層と前記セラミック・マトリックス複合材料層との間の非金属スペーサであって、複数のポケットを画定するように構成された非金属スペーサと、
を備え、
前記複数のポケットは、前記基板層よりも大きな断熱性を有する物質を含み、
前記基板層、前記セラミック・マトリックス複合材料層および前記非金属スペーサは、完全に囲まれた前記複数のポケットを形成して、各ポケット内への流れが防止され、
前記高温ガス経路構成部品は、タービンの高温ガス経路に沿う構成部品であり、
前記物質は、繊維、燃料、冷却液、液体、ゲル、蒸気、またはそれらの組み合わせを含み、
前記物質は前記層状配列内の前記複数のポケット内に補足されている、
高温ガス経路構成部品。
【請求項2】
前記基板層はニッケル系超合金である、請求項1に記載の高温ガス経路構成部品。
【請求項3】
前記非金属スペーサはセラミックを含む、請求項1または2に記載の高温ガス経路構成部品。
【請求項4】
前記非金属スペーサは遮熱コーティングを含む、請求項1から3のいずれかに記載の高温ガス経路構成部品。
【請求項5】
前記非金属スペーサはイットリア安定化ジルコニアを含む、請求項1から4のいずれかに記載の高温ガス経路構成部品。
【請求項6】
前記層状配列はタービン・ノズルの側壁である、請求項1から5のいずれかに記載の高温ガス経路構成部品。
【請求項7】
前記層状配列は翼表面である、請求項1から5のいずれかに記載の高温ガス経路構成部品。
【請求項8】
前記層状配列はタービン・シュラウドである、請求項1から5のいずれかに記載の高温ガス経路構成部品。
【請求項9】
前記非金属スペーサには前記層状配列に沿って延びる尾根部分が含まれる、請求項1から8のいずれかに記載の高温ガス経路構成部品。
【請求項10】
前記非金属スペーサには交差する尾根部分が含まれる、請求項1から9のいずれかに記載の高温ガス経路構成部品。
【請求項11】
前記物質は熱的に絶縁性の物質である、請求項1から10のいずれかに記載の高温ガス経路構成部品。
【請求項12】
前記非金属スペーサは前記基板層および前記セラミック・マトリックス複合材料層の一方または両方に機械的に固定される、請求項1から11のいずれかに記載の高温ガス経路構成部品。
【請求項13】
前記非金属スペーサは前記基板層または前記セラミック・マトリックス複合材料層に接合される、請求項1から12のいずれかに記載の高温ガス経路構成部品。
【請求項14】
前記非金属スペーサの熱伝導度は前記基板層の熱伝導度の1/3よりも小さい、請求項1から13のいずれかに記載の高温ガス経路構成部品。
【請求項15】
前記基板層は少なくとも10ミル厚であり、
前記セラミック・マトリックス複合材料層は少なくとも20ミル厚であり、
前記非金属スペーサは最大厚さ寸法が少なくとも30ミルである、
請求項1から14のいずれかに記載の高温ガス経路構成部品。
【請求項16】
ニッケル系超合金層と、
セラミック・マトリックス複合材料層と、
前記ニッケル系超合金層と前記セラミック・マトリックス複合材料層との間のセラミック・スペーサであって、複数のポケットを画定するように構成されたセラミック・スペーサと、
を備える、高温ガス経路構成部品であって、
前記セラミック・スペーサは、前記ニッケル系超合金層および前記セラミック・マトリックス複合材料層の一方または両方に機械的に固定され、
前記セラミック・スペーサは、前記ニッケル系超合金層または前記セラミック・マトリックス複合材料層に接合され、
前記複数のポケットは、前記ニッケル系超合金層よりも大きな断熱性を有する物質を含み、
前記ニッケル系超合金層、前記セラミック・マトリックス複合材料層および前記セラミック・スペーサは、完全に囲まれた前記複数のポケットを形成して、各ポケット内への流れが防止され、
前記高温ガス経路構成部品は、タービンの高温ガス経路に沿う構成部品であり、
前記物質は、繊維、燃料、冷却液、液体、ゲル、蒸気、またはそれらの組み合わせを含み、
前記物質は前記層状配列内の前記複数のポケット内に補足されている、
高温ガス経路構成部品。
【請求項17】
層状配列を含む高温ガス経路構成部品を形成するプロセスであって、
前記層状配列の基板層とセラミック・マトリックス複合材料層との間に非金属スペーサを固定するステップを含み、
前記非金属スペーサは、複数のポケットを画定するように構成され、
前記複数のポケットは、前記基板層よりも大きな断熱性を有する物質を含み、
前記基板層、前記セラミック・マトリックス複合材料層および前記非金属スペーサは、完全に囲まれた前記複数のポケットを形成して、各ポケット内への流れが防止され、
前記高温ガス経路構成部品は、タービンの高温ガス経路に沿う構成部品であり、
前記物質は、繊維、燃料、冷却液、液体、ゲル、蒸気、またはそれらの組み合わせを含み、
前記物質は前記層状配列内の前記複数のポケット内に補足されている、
プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造構成部品および製造構成部品を形成するプロセスに関する。より具体的には、本発明は、層状配列と層状配列内にセラミック・マトリックス複合材料層を有する構成部品とに関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック・マトリックス複合材料は高温度耐性を有することが知られている。しかし、このようなセラミック・マトリックス複合材料を用いる構成部品は、応力抵抗が低くて望ましくない可能性がある。対照的に、金属構成部品は応力抵抗が高い可能性がある。しかし、金属構成部品は高温にさらされると(たとえばタービンの高温ガス経路に沿って)、このような応力抵抗はこのような高温時には低下する。
【0003】
異なる材料を有する層状の構成部品は問題があることが知られている。このような問題は、異なる特性を有する材料が直接接触する場合により大きい。たとえば、熱膨張、熱伝導度、および他の特性の係数に差があると、これらの層の間の界面が剥離しおよび/または望ましくない特徴部を形成する可能性があり、その結果、このような層状の構成部品の用途が限定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8,047,773号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記欠点の1または複数を被ることがない層状配列、高温ガス経路構成部品、および層状配列を形成するプロセスがあれば、当該技術分野において望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
典型的な実施形態においては、層状配列が、基板層と、セラミック・マトリックス複合材料層と、基板層とセラミック・マトリックス複合材料層との間の非金属スペーサであって、1または複数のポケットを画定するように構成された非金属スペーサと、を備えている。
【0007】
別の典型的な実施形態においては、タービンの高温ガス経路構成部品が、ニッケル系超合金層と、セラミック・マトリックス複合材料層と、ニッケル系超合金層とセラミック・マトリックス複合材料層との間のセラミック・スペーサとを備えている。セラミック・スペーサは、基板層およびセラミック・マトリックス複合材料層の一方または両方に機械的に固定され、またセラミック・スペーサは、基板層またはセラミック・マトリックス複合材料層に接合されている。
【0008】
別の典型的な実施形態においては、層状配列を形成するプロセスには、層状配列の基板層とセラミック・マトリックス複合材料層との間に非金属スペーサを固定することが含まれている。
【0009】
本発明の他の特徴および利点は、以下の好ましい実施形態のより詳細な説明を添付図面とともに参照することによって明らかとなる。添付図面では、一例として、本発明の原理を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】開示内容の実施形態による典型的な層状配列の側面図である。
図2】開示内容の実施形態による典型的な層状配列の斜視図である。
図3】開示内容の実施形態による層状の側壁を有する典型的なタービン・ノズルの斜視図である。
図4】開示内容の実施形態による層状表面を有する典型的な翼の断面図である。
図5】開示内容の実施形態による層状配列を有する典型的なタービン・シュラウドの側面図である。
図6図5に示す典型的なタービン・シュラウドのラインA−Aに沿った断面図である。
図7】開示内容の実施形態による層状配列を有する典型的なタービン・シュラウドの切り欠き斜視図である。
図8】開示内容による複数の尾根部分を有する典型的な非金属スペーサの斜視図である。
図9】開示内容による複数の尾根部分を有する典型的な非金属スペーサの斜視図である。
図10】開示内容による複数の交差する尾根部分を有する典型的な非金属スペーサの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
可能な限り、図面の全体に渡って同じ参照番号を用いて同じ部品を表わしている。
【0012】
開示内容による典型的な層状配列、高温ガス経路構成部品、および層状配列を形成するプロセスが提供される。本開示の実施形態によって、たとえば、セラミック・マトリックス複合材料と金属層とが直接接触する層状の構成部品を用いる場合と比べて、構成部品をより高温でおよび/またはより長時間用いることが可能になり、セラミック・マトリックス複合材料および金属または金属基板の積極的な特質を層状の構成部品において用いることが可能になり、タービン効率を増加させることが可能になり、タービン部品(たとえば、高温ガス経路構成部品)の使用/耐久性を拡張することが可能になり、タービン品質を増加させることが可能になり、タービン内の燃焼温度を高くすることが可能になり、構成部品の層の間の温度勾配を高くすることが可能になり、またはそれらの組み合わせが可能になる。
【0013】
図1および2に層状配列100を示す。層状配列100は、基板層102と、セラミック・マトリックス複合材料層104と、基板層102とセラミック・マトリックス複合材料層104との間の1または複数の非金属スペーサ106とを備えている。一実施形態においては、タービン部品101の一部が、層状配列100を備え、タービン部品101の表面111を画定している。たとえば、高温ガス経路109(図1を参照)、タービン・ノズル300(図3を参照)の側壁302(図3を参照)、翼400(図4を参照)の翼表面402(図4を参照)、タービン・シュラウド500(図5を参照)、またはそれらの組み合わせである。それに加えてまたはその代わりに、層状配列100は、応力を受ける構成部品(たとえば、タービン・ケース)とともに用いることができる。
【0014】
図1および2を参照して、基板層102、セラミック・マトリックス複合材料層104、および非金属スペーサ106には、所望の特性に基づいて任意の好適な寸法が含まれている。たとえば、基板層102に対する好適な基板厚さ103は、少なくとも約10ミル、少なくとも約15ミル、少なくとも約20ミル、約10ミル〜約30ミル、約15ミル〜約25ミル、約10ミル〜約20ミル、約20ミル〜約30ミル、約20ミル、またはその任意の好適な組み合わせ、部分組み合わせ、範囲、もしくは部分範囲である。セラミック・マトリックス複合材料層104に対する好適なセラミック・マトリックス複合材料厚さ105は、少なくとも約20ミル、少なくとも約30ミル、少なくとも約40ミル、約30ミル〜約50ミル、約30ミル〜約40ミル、約40ミル〜約50ミル、約35ミル〜約45ミル、約40ミル、またはその任意の好適な組み合わせ、部分組み合わせ、範囲、もしくは部分範囲である。以下でより詳細に説明するように、非金属スペーサ106の寸法は非金属スペーサ106の形状に依存する。
【0015】
基板層102は任意の好適な材料である。好適な材料としては、これらに限定されないが、ニッケル系合金および超合金、クロム系合金および超合金、コバルト系合金および超合金、鉄系合金および超合金、またはそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態においては、基板層102の応力抵抗特性は、セラミック・マトリックス複合材料層104および/または他の同様のセラミック・マトリックス複合材料のそれを上回っている。
【0016】
セラミック・マトリックス複合材料層104は、所望の応用例に対する特性を与える任意の好適な材料である。特性は、たとえば高温ガス経路109に沿っての温度耐性であり、タービン部品の温度は1,000℃を超える。セラミック・マトリックス複合材料層104に対する好適な材料としては、これらに限定されないが、炭素、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si34)、アルミナ(Al23)、ムライト(Al23−SiO4)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。セラミック・マトリックス複合材料層104の繊維強化材は、炭素、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si34)、アルミナ(Al23)、ムライト(Al23−SiO4)、またはそれらの組み合わせを用いる。
【0017】
非金属スペーサ106によって、セラミック・マトリックス複合材料層104の任意の好適な部分または全部が基板層102から分離されている。一実施形態においては、非金属スペーサ106を、基板層102およびセラミック・マトリックス複合材料層104の一方または両方に機械的に固定すること(たとえば、図6に示すように)を、突出する特徴部602(セラミック・マトリックス複合材料層104および/または基板層102上)と溝604(セラミック・マトリックス複合材料層104および/または基板層102上)とを噛み合わせることによって行なう。それに加えてまたはその代わりに、非金属スペーサ106は、基板層102またはセラミック・マトリックス複合材料層104に接合されている。
【0018】
非金属スペーサ106の寸法および形状は、基板層102およびセラミック・マトリックス複合材料層104の構成に依存する。図5に示すように、一実施形態においては、複数の非金属スペーサ106の寸法は、位置決めに基づいて一貫していない。他の実施形態においては、図3に示すように、非金属スペーサ106の寸法は実質的に一定である。それに加えてまたはその代わりに、いくつかの実施形態においては、非金属スペーサ106を個別のスペーサ・ボディ108として配列する。スペーサ・ボディ108は、スペーサ・コーティング110から延び(図2に示す通り)、基板層102から延び(図7に示す通り)、および/またはセラミック・マトリックス複合材料層104から延びる。
【0019】
図8〜10に示すように、いくつかの実施形態においては、非金属スペーサ106は、配列100(図1を参照)に沿って延びる1または複数の尾根部分802として配列されている。尾根部分802には、プラトー804(図8を参照)、ピーク902(図9を参照)、交差する尾根部分1002(図10を参照)、またはそれらの組み合わせが含まれている。図1に示すように、一実施形態においては、スペーサ厚さ107(スペーサ・ボディ108と、もしあればスペーサ・コーティング110との厚さ)は、少なくとも約35ミル、少なくとも約40ミル、少なくとも約45ミル、約35ミル〜約55ミル、約35ミル〜約45ミル、約45ミル〜約55ミル、約40ミル〜約50ミル、約45ミル、またはその任意の好適な組み合わせ、部分組み合わせ、範囲、もしくは部分範囲である。
【0020】
図8〜10を再び参照して、一実施形態においては、非金属スペーサ106によってポケット806が画定されている。ポケット806は、物質112(図1を参照)を収容することができる。物質112は、たとえば空気および/または任意の他の好適な物質であって、基板層102および/またはセラミック・マトリックス複合材料層104よりも大きな断熱が可能な物質である。好適な物質としては、これらに限定されないが、停滞空気、流動空気、繊維、燃料、冷却液(停滞および/または流動)、液体、ゲル、蒸気、またはそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態においては、非金属スペーサ106およびポケット806は、基板層102およびセラミック・マトリックス複合材料層104によって完全に囲まれており、その結果、ポケット806内への流れが防止されている。あるいは、非金属スペーサ106およびポケット806は完全には囲まれておらず、その結果、ポケット806の1または複数内への流れおよびそこから出る流れが可能になっている。
【0021】
非金属スペーサ106は、任意の好適な材料であって、セラミック・マトリックス複合材料層104と基板層102との間の熱伝達を低減することができ、また基板層102からセラミック・マトリックス複合材料層104への応力の影響を低減することができる材料である。非金属スペーサ106に対する好適な材料としては、これらに限定されないが、セラミックス、イットリア安定化ジルコニア、ジルコン酸ガドリニウム、希土類ジルコン酸塩、遮熱コーティング、またはそれらの組み合わせが挙げられる。たとえば、好適な材料の熱伝導度は、少なくとも基板層102を下回る所定の量であり、たとえば、基板層102の熱伝導度の約1/10〜約1/3、基板層102の熱伝導度の約1/3〜約1/2、基板層102の熱伝導度の約1/4〜約1/2、基板層102の熱伝導度の約1/4〜約1/3、基板層102の熱伝導度の約1/10〜約1/3、約1/2、約1/4、約1/3、約1/10、またはその任意の好適な組み合わせ、部分組み合わせ、範囲、もしくは部分範囲である。
【0022】
非金属スペーサ106、個別のスペーサ・ボディ108、スペーサ・コーティング110、またはそれらの組み合わせは、基板層102および/またはセラミック・マトリックス複合材料層104に対して成長および/または付加される。一実施形態においては、このような付加は、電子ビーム物理蒸着(EBPVD)、大気プラズマ・スプレー(APS)、高速酸素燃料(HVOF)、静電スプレー・アシスト蒸着(ESAVD)、ダイレクト蒸着、他の好適なスプレー技術、またはそれらの組み合わせである。さらなる実施形態においては、非金属スペーサ106を、基板層102を機械加工した後および/またはセラミック・マトリックス複合材料層104を形成した/硬くした後に配置することによって、基板層102および/またはセラミック・マトリックス複合材料層104の幾何学的特徴を補完する。たとえば、この実施形態においては、非金属スペーサ106内のポケット806は、少なくとも部分的に、基板層102および/またはセラミック・マトリックス複合材料層104の非平面特徴部によって画定される。別の実施形態においては、非金属スペーサ106が付加されるのは、既存の層を剥がした後である。既存の層は、たとえば、長時間使用後の非金属スペーサ106、基板層102、セラミック・マトリックス複合材料層104、またはそれらの組み合わせである。
【0023】
本発明を、好ましい実施形態を参照して説明してきたが、当業者であれば分かるように、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変形を施しても良く、またその要素の代わりに均等物を用いても良い。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、多くの変更を施しても良い。したがって本発明は、本発明を行なうために考えられたベスト・モードとして開示された特定の実施形態には限定されず、本発明には、添付の請求項の範囲に含まれるすべての実施形態が含まれることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10