特許第6397173号(P6397173)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397173
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 55/10 20060101AFI20180913BHJP
   B65B 55/04 20060101ALI20180913BHJP
   A61L 2/16 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   B65B55/10 F
   B65B55/04 C
   A61L2/16
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-209886(P2013-209886)
(22)【出願日】2013年10月7日
(65)【公開番号】特開2015-74452(P2015-74452A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】竹迫 慶幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 大輔
(72)【発明者】
【氏名】竹内 靖恵
(72)【発明者】
【氏名】西村 渉
(72)【発明者】
【氏名】上田 敦士
(72)【発明者】
【氏名】油井 杉彦
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−134003(JP,U)
【文献】 国際公開第2007/015586(WO,A1)
【文献】 実公昭47−037008(JP,Y1)
【文献】 特開2001−300561(JP,A)
【文献】 特表2013−523307(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0129975(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0196790(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02008667(EP,A1)
【文献】 国際公開第2013/061956(WO,A1)
【文献】 国際公開第03/022689(WO,A1)
【文献】 特開2003−175917(JP,A)
【文献】 特許第4526820(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 55/10
A61L 2/16
B65B 55/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌対象となる正立状態のプラスチック飲料容器の内部に上方から挿入され、殺菌剤を噴射する殺菌剤供給管と、
前記殺菌剤供給管が前記プラスチック飲料容器に挿入された際に、前記プラスチック飲料容器の口部を所定の間隔をおいて上方から覆い、前記プラスチック飲料容器内で噴射された前記殺菌剤が前記口部から排出されることを抑制する第1抵抗体と、を備え、
前記第1抵抗体は、
前記殺菌剤供給管の外周面と前記口部の内周面の間の開口面積A1と、
前記第1抵抗体と前記口部の上端の間の開口面積A2が、
A1≧A2
の関係式を満たす、
ことを特徴とする殺菌装置。
【請求項2】
前記抵抗体は、前記殺菌剤供給管に設けられる、
請求項1に記載の殺菌装置。
【請求項3】
前記第1抵抗体の周縁から垂下し、所定の間隔をおいて前記口部を周囲から覆う第2抵抗体が設けられ、
前記口部の外周面と前記第2抵抗体の内周面の間に形成される第3流路の開口面積A3が、
A1≧A2≧A3
の関係式を満たす、
請求項1又は請求項2に記載の殺菌装置。
【請求項4】
前記第1抵抗体と前記第2抵抗体の接続部分の内側がR状に形成されている、
請求項3に記載の殺菌装置。
【請求項5】
殺菌対象となる正立状態のプラスチック飲料容器の内部に上方から挿入され、殺菌剤を噴射する殺菌剤供給管と、
前記殺菌剤供給管が前記プラスチック飲料容器に挿入された際に、前記プラスチック飲料容器の口部の内周面と対向する前記殺菌剤供給管の外面に、
前記プラスチック飲料容器内で噴射された前記殺菌剤が前記口部から排出されることを抑制する第3抵抗体と、を備え、
前記第3抵抗体は螺旋状からなる、
ことを特徴とする殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用の容器、典型的にはペットボトルの内部を殺菌する殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
お茶、果汁飲料、コーヒー飲料等を無菌充填する場合、飲料を充填する前に、充填される容器の内外を殺菌する必要がある。そのため、紙容器やペットボトル等のプラスチック容器等は、無菌充填システムで殺菌される。
【0003】
従来の殺菌方法として、例えば、特許文献1に記載の殺菌方法が知られている。
特許文献1の殺菌方法は、殺菌剤供給管(ノズル)に殺菌剤供給管と同軸のフランジと、そのフランジの外周から飲料容器側に突出する環状の壁とが設けられた案内部材を口部の近傍に配置している(特許文献1 図5)。
そして、特許文献1は、この殺菌剤供給管を用いて飲料容器を殺菌すると、飲料容器の口部の外面と内面との境界部分を効率よくかつ確実に殺菌できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4526820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、口部を介して容器の内部に挿入されたノズルから吐出された殺菌剤は、容器の底部から口部に向けて気流とともに移動する過程で、容器の内面に付着され、殺菌に供される。しかし、飲料容器の口部は開口径が狭くなっているために、口部を通過する殺菌剤は、それまでよりも速度が速くなる。したがって、口部の内面は、付着する殺菌剤の量が少なくなる。口部の内面を十分に殺菌するためにはより多くの殺菌剤を吐出すればよいが、口部よりも下方の部分に対しては過剰となってしまう。
本発明は、このような課題に基づいてなされたもので、飲料容器の口部の内面における殺菌の程度を向上させることができる殺菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明の殺菌装置は、殺菌対象となる正立状態のプラスチック飲料容器の内部に上方から挿入され、殺菌剤を噴射する殺菌剤供給管と、殺菌剤供給管がプラスチック飲料容器に挿入された際に、プラスチック飲料容器の口部近傍に配置され、プラスチック飲料容器内で噴射された殺菌剤が口部から排出されることを抑制する抵抗体と、を備え、抵抗体は口部から所定の間隔をおいて配置されることで、口部の上面を覆う第1抵抗体であって、殺菌剤供給管の外面と口部の内面の間の開口面積A1と、第1抵抗体と口部の上面の間の開口面積A2が、A1≧A2の関係式を満たすことを特徴とする。
殺菌対象となるプラスチック飲料容器の内部に挿入され、殺菌剤を噴射する殺菌剤供給管と、殺菌剤供給管がプラスチック飲料容器に挿入された際に、プラスチック飲料容器の口部近傍に配置され、プラスチック飲料容器内で噴射された殺菌剤が口部から排出されることを抑制する抵抗体とを備える。
プラスチック飲料容器の口部近傍に抵抗体を設けることで、口部を通過する殺菌剤の速度を小さくできる。そのため、口部の内面に付着する殺菌剤の量を増加させることができるため、口部の内面における殺菌の程度を向上させることができる。
開口面積A2を開口面積A1以下とすることで、殺菌剤が第1流路を通過する速度を小さくできる。そのため、口部の内面に付着する殺菌剤の量を増加させることができる。
【0007】
また、本発明の殺菌装置における抵抗体は、殺菌剤供給管に設けられることが好ましい。
抵抗体を殺菌剤供給管に設けることで、抵抗体を殺菌剤供給管の動作に追従させて動かすことができるため、抵抗体を所定の位置に手間をかけずに配置できる。
【0008】
また、本発明の殺菌装置において、第1抵抗体から容器側に延びる第2抵抗体が設けられ、口部の外面と第2抵抗体との間に形成される第3流路の開口面積A3が、A1≧A2≧A3の関係式を満たすことが好ましい。
第2抵抗体を設け、第3流路の開口面積A3を第2流路の開口面積A2以下とすることで、さらに第1流路を通過する殺菌剤の速度を小さくできる。そのため、第2抵抗体を設けない場合と比べて、口部の内面に付着する殺菌剤の量を増加させることができる。
【0009】
さらに、第2抵抗体を設けた殺菌装置において、第1抵抗体と第2抵抗体の接続部分の内側がR状に形成されていることが好ましい。
接続部分の内側をR状とすることで、第2流路から排出される殺菌剤を対流しやすくできる。対流が生じると、殺菌剤が第3流路で滞留するため、殺菌剤が第3流路から排出する速度が小さくなる。そうすると、殺菌剤が第1流路を通過する速度がさらに小さくなるため、口部の内面に殺菌剤の付着する量を増加させることができる。
【0010】
本発明の殺菌装置は、殺菌対象となる正立状態のプラスチック飲料容器の内部に上方から挿入され、殺菌剤を噴射する殺菌剤供給管と、殺菌剤供給管がプラスチック飲料容器に挿入された際に、プラスチック飲料容器の口部の内周面と対向する殺菌剤供給管の外面に、プラスチック飲料容器内で噴射された殺菌剤が口部から排出されることを抑制する第3抵抗体と、を備え、第3抵抗体は螺旋状からなることを特徴とする。
第3抵抗体により螺旋状の流路を形成することで、殺菌剤が口部を通過する距離が長くなり、かつ、通過する速度が小さくなるため、殺菌剤が口部の内面に殺菌剤の付着量を増加させることができる。また、殺菌剤を螺旋流路に沿って通過することで生じた旋回流により、遠心力が殺菌剤に加わるため、殺菌剤は内面に付着しやすくなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、飲料容器の口部の近傍に抵抗体を設けるため、口部を通過する殺菌剤の速度を小さくできる。そのため、口部の内面に殺菌剤を十分に付着させることができ、口部における殺菌の程度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態における無菌飲料充填機の概略構成を示す図である。
図2図1の無菌飲料充填機に適用される容器の殺菌装置を示す図である。
図3図2における容器の口部付近を示す拡大図である。
図4】第2流路の開口面積を説明するための図である。
図5】本発明の第2実施形態を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態の変形例を示す図である。
図7】本発明の第3実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、本発明の殺菌装置を無菌飲料充填機に適用した実施形態に基づいて説明する。
図1に示すように、無菌飲料充填機1は、容器100を無菌飲料充填機1内に搬入する搬入コンベア10と、容器100を殺菌する殺菌装置11と、容器100をすすぐすすぎ装置13と、殺菌およびすすぎを終えた容器100に液体(飲料)を充填する充填装置14と、飲料が充填された容器100にキャップ20を装着するキャッパ15と、容器100を無菌飲料充填機1外に搬出する搬出コンベア16と、を各構成要素として備えている。これら、各構成要素の間には、搬送スターホイール17が設けられ、これによって、各構成要素の間で容器100の受け渡しが行われるようになっている。
【0014】
無菌飲料充填機1に搬送される容器100は、図2に示すように、本体部101と、本体部101に連通する口部103と、から構成される。
本体部101は、有底角筒状をなし、飲料が充填される。口部103は、円筒状をなし、殺菌処理の際に殺菌剤供給管31が挿入される。
【0015】
殺菌装置11、すすぎ装置13、充填装置14、キャッパ15において容器100の搬送経路は、ベース架台21上に設けられ、ベース架台21上には、殺菌装置11、すすぎ装置13、充填装置14、キャッパ15における容器100の搬送経路を無菌環境に維持するため、ベース架台21上の空間の側方および上方を覆うチャンバーCが設けられている。
そして、チャンバーC内には、チャンバーCの内部に殺菌剤、すすぎ液等を散布するため、シャワー状、あるいはスプリンクラー状の散布ノズル(図示無し)が設けられている。
また、ベース架台21には、散布された殺菌剤やすすぎ液を回収するドレン口(図示無し)が形成され、回収された殺菌剤等はドレン口を通って外部の回収部に排出される。
【0016】
殺菌装置11には、殺菌剤供給タンク11aが付随して設けられている。殺菌剤供給タンク11aは、殺菌剤をチャンバーC及び殺菌装置11に供給する。チャンバーCに供給される殺菌剤はチャンバーCの内部を殺菌するのに用いられ、殺菌装置11に供給される殺菌剤は容器100の内部及び外部を殺菌するのに用いられる。殺菌剤には、例えば、過酢酸、過酸化水素などの薬剤を広く適用できる。
【0017】
殺菌装置11は、殺菌剤供給部30と容器保持部50を備えている。殺菌装置11は、搬送スターホイール17の容器保持部50で容器100を保持しながら搬送する過程で、容器100の内面を殺菌する。
殺菌剤供給部30は、図2に示すように、殺菌剤供給管31を容器100の内部の所定位置まで挿入すると、殺菌剤供給管31に液状の殺菌剤を供給する。殺菌剤供給部30は、殺菌剤を殺菌剤供給管31の先端から噴射させる(矢印A)ことで、容器100の内面に付着させて殺菌を行う。
殺菌剤供給部30は、所定量の殺菌剤を噴射した後、容器100から殺菌剤供給管31を引き上げる。
【0018】
殺菌剤供給管31は、中空円筒状の管本体32と、管本体32の内部に形成され、殺菌剤が通過する通路38と、通路38に連なり管本体32の先端に開口するノズル孔39と、管本体32の後端側の周囲に張出す円板状の抵抗フランジ(第1抵抗体)33とから構成される。
管本体32が容器100内に挿入されると、図3(a)に示すように、管本体32と口部103の内周面(内面)103cの間に、第1流路41が形成される。なお、第1流路41の開口面積をA1とする。容器100の底内で噴射された殺菌剤はその一部が本体部101の内部に付着されながら上昇し、口部103に達する。殺菌剤は口部103においても内面103cに付着して殺菌に供されるが、付着しなかった殺菌剤は、容器100の外部に排出される。
以上のように、殺菌剤は本体部101に付着して相当量が消費されるので、口部103に達する量は少なくなる。また、口部103は開口径が狭くなるために、口部103を通過する殺菌剤は、それまでよりも速度が速くなる。したがって、口部103に付着する殺菌剤の量はどうしても不足しがちになる。
【0019】
抵抗フランジ33は、口部103の上方に殺菌剤の流路上に配置されることで、殺菌剤の流れに対して抵抗となって、殺菌剤が排出される速度を小さくする。
抵抗フランジ33は、その直径が口部103の開口径を越えるように形成されている。また、抵抗フランジ33は、管本体32に対し垂直となるように設けられている。殺菌処理時に、殺菌剤供給管31は口部103(容器100)と軸が一致するように、容器100に挿入される。したがって、抵抗フランジ33は、第1流路41から排出される殺菌剤の流路に対して、垂直に設けられている。
抵抗フランジ33は、図4に示すように、殺菌処理時に口部103の先端103aとの間に第2流路42が形成されるように、先端103aから鉛直方向Yに所定の間隔Gをあけて配置される。間隔Gは殺菌剤供給管31の容器100に対する挿入位置によって調整することができる。第1流路41を通過した殺菌剤は、第2流路42をさらに通過して、容器100の外部に排出される。なお、第2流路42の開口面積をA2とすると、開口面積A2は、口部103の外周の長さLに間隔Gを乗じて算出される。
本実施形態では、第2流路42の開口面積A2が、第1流路41の開口面積A1以下(A1≧A2)となるように間隔Gを設定する。
【0020】
次に、管本体32に抵抗フランジ33を設ける効果について説明する。
口部103を通過した殺菌剤は、抵抗フランジ33に衝突する。そうすると、殺菌剤は運動エネルギーを失うことで速度が小さくなり、さらに進行方向を変える。このように殺菌剤が抵抗フランジ33に衝突すると、第2流路42の内部で殺菌剤の流れが乱れる。
また、開口面積A2を開口面積A1以下とすることで、殺菌剤の自由度が制限される。そうすると、殺菌剤は第2流路42から排出されにくくなる。つまり、第2流路42を通過する殺菌剤の速度が小さくなる。
第2流路42から排出する殺菌剤の速度が小さくなると、第1流路41から排出する殺菌剤の速度も小さくなる。
したがって、開口面積A2が開口面積A1以下となるように、抵抗フランジ33を設けると、第1流路41を通過する殺菌剤の速度は小さくなる。そのため、内面103cに対する殺菌剤の付着量は増加し、内面103cの殺菌の程度は向上する。
したがって、抵抗フランジ33を設け、内面103cに付着する殺菌剤の量を増加させることで、口部103の内面103cの殺菌の程度を向上させることができる。
【0021】
[第2実施形態]
本実施形態では、図5(a)に示すように、第1実施形態の構成に加えて抵抗スリーブ35(第2抵抗体)を形成する。
抵抗スリーブ35を形成する以外は、第1実施形態と同様な構成をとるため、同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
抵抗スリーブ35は、抵抗フランジ33の周縁から鉛直方向Yに垂下し、口部を周囲から覆うように形成されている。抵抗スリーブ35を設けることで、図5(b)に示すように、抵抗スリーブ35と口部103の外面103dの間に第3流路43が形成される。
そのため、容器100に噴射され、口部103に達した殺菌剤は、第1流路41、第2流路42、及び第3流路43をこの順に通過し、外部に排出される。
ここで、第3流路43の開口面積をA3とすると、抵抗スリーブ35は、第3流路43の開口面積A3が、第2流路42の開口面積A2以下となるように設けられている。そのため、各流路(41,42及び43)の各開口面積の間には、A1≧A2≧A3の関係が成立する。
このように、本実施形態は、開口面積A3を開口面積A2以下となるように抵抗スリーブ35を設けるところに特徴を有する。
【0022】
抵抗スリーブ35は、第2流路42から排出される殺菌剤に対して抵抗となる。さらに、開口面積A3を開口面積A2以下とすることで、抵抗スリーブ35を設けない場合と比較し、第2流路42を通過する殺菌剤の速度は小さくなる。第2流路42における通過の速度が小さくなると、第1流路41の通過の速度も小さくなる。そのため、内面103cに付着する殺菌剤の量をさらに増加させることができる。したがって、内面103cにおける殺菌の程度をより向上させることができる。
【0023】
[変形例]
本実施形態では、図6に示すように、抵抗フランジ33と抵抗スリーブ35の接続部分の内側にR部(図6点線部)を形成することもできる。
接続部分にR部を設けることで、殺菌剤が第2流路42から第3流路43へ排出される際に、矢印Bで示すような殺菌剤の対流が生じやすくなる。対流が生じると、第3流路43において滞留する殺菌剤の量が増加するため、殺菌剤が第3流路43から外部に排出されにくくなる。
そうすると、殺菌剤が第1流路41及び第2流路42を通過する速度が小さくなるため、口部103の内面103cに付着する殺菌剤の量が増加する。そのため、内面103cの殺菌の程度をさらに向上させることができる。
【0024】
[第3実施形態]
上記実施形態では、抵抗体(抵抗フランジ33)が容器100の外部に配置されるように、管本体32に設けた殺菌剤供給管31を説明した。
本実施形態では、抵抗体が容器100の内部に配置されるように管本体32に設ける。
具体的には、図7に示すように、管本体32の外周面に螺旋板37を設ける。
螺旋板37は、殺菌剤供給管31を容器100に挿入した際、管本体32の口部103の内面103cと対向する位置に配置される。
螺旋板37は、左巻きに形成され、螺旋板37と管本体32によって螺旋状の第4流路44を形成する。容器100に噴射され、本体部101を通過した殺菌剤は、第4流路44を通過し、外部に排出される。
なお、螺旋板37のピッチの幅は適宜変更できるし、螺旋板37の巻き方向も右巻きとしてもよい。
【0025】
本実施形態の螺旋板37によれば、本体部101から直線的に排出される殺菌剤の進行方向を、螺旋状の第4流路44が形成されている方向に変換する。そして、内面103cに付着した殺菌剤以外は、第4流路44を通過した後、外部に排出される。
そのため、螺旋板37は、殺菌剤に対して抵抗となり、殺菌剤が口部103を通過する速度が小さくなる。そうすると、内面103cに付着する殺菌剤の量が増加する。
また、螺旋板37を設けると、殺菌剤が口部103を直線的に通過する距離よりも、第4流路44を通過する距離の方が長くなる。そうすると、殺菌剤が通過するためにかかる時間が長くなる。
さらに、殺菌剤を第4流路44に沿って通過させることで、旋回流が生じる。そうすると、旋回流による遠心力が殺菌剤に加わり、殺菌剤が内面103cと接触する確率が高まるため、内面103cに付着しやすくなる。
以上説明したように、第4流路44を形成することで、殺菌剤が口部103を直線的に通過する場合と比べ、内面103cにおける殺菌の程度を向上させることができる。
【0026】
以上、本実施形態について説明したが、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
例えば、抵抗体は、殺菌剤供給管31が容器に挿入された際に、口部103からの殺菌剤の排出を抑制すればよいため、抵抗体の設ける箇所は殺菌剤供給管31以外でも構わない。ただし、抵抗体を殺菌剤供給管31に設けることが好ましい。抵抗体は殺菌剤供給管31の動作に追従して動くため、抵抗体を所定の位置に手間をかけずに配置できるためである。
また、本実施形態の抵抗フランジ33は、円形に限定されず、矩形や多角形の板を使用しても構わない。
さらに、本発明は第1流路41から排出される殺菌剤の進行を妨げればよいため、抵抗フランジ33は口部103の先端103aの一部を覆っていればよい。
【0027】
また、第2実施形態の変形例において、さらに殺菌剤を第3流路に滞留させるために、抵抗スリーブ35の先端から口部103に向けて、突出する部材を設けてもよい。
【0028】
さらに、第3実施形態では、内面103cと対向する位置に殺菌剤に対し、抵抗体が形成されていればよい。そのため、螺旋板37以外の抵抗体、例えば、内面103cに向けて形成する突起が設けられていても、本発明の効果を享受できる。
【符号の説明】
【0029】
1 無菌飲料充填機
10 搬入コンベア
11 殺菌装置
11a 殺菌剤供給タンク
13 すすぎ装置
14 充填装置
15 キャッパ
16 搬出コンベア
17 搬送スターホイール
20 キャップ
21 ベース架台
30 殺菌剤供給部
31 殺菌剤供給管
32 管本体
33 抵抗フランジ(第1抵抗体)
35 抵抗スリーブ(第2抵抗体)
37 螺旋板
41 第1流路
42 第2流路
43 第3流路
44 第4流路
50 容器保持部
100 容器
101 本体部
103 口部
103a 先端
103c 内周面(内面)
103d 外面
C チャンバー
Y 鉛直方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7