特許第6397181号(P6397181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397181
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】注出口具
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/20 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   B65D47/20 111
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-244074(P2013-244074)
(22)【出願日】2013年11月26日
(65)【公開番号】特開2015-101382(P2015-101382A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】391003794
【氏名又は名称】押尾産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正和
【審査官】 田口 傑
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−026250(JP,A)
【文献】 特表2011−515290(JP,A)
【文献】 実開昭60−038240(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44 − 35/54
B65D 39/00 − 55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体状の内容物を収容する容器に取り付けて用いられる注出口具であって、
注出口に接続される流路を内部に形成する注出部を備え、
前記流路内には、注出口側から容器側への流通を規制する逆止弁が設けられ、
前記逆止弁は、
前記流路を注出口側と容器側とに区画する区画壁部と、
前記区画壁部の注出口側に配置されて、前記区画壁部に貫通形成された複数の流通路を塞ぐフィルム状の弁体と、
前記弁体の更に注出口側に配置されて、前記区画壁部との間に前記弁体を保持する保持部材とを備え、
前記区画壁部の注出口側の面には、内容物を収容する凹部が設けられ、
前記凹部は、複数の前記流通路の開口部分の周囲にそれぞれ形成された第1凹部であることを特徴とする注出口具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体状の内容物を収容する容器に取り付けて用いられる注出口具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装袋等の容器の開口部分に取り付けられる注出口具として、内部に形成される流路を通じた容器内への外気の流入を抑制するように構成された注出口具が知られている。例えば、特許文献1には、注出部内に易破断可能な隔壁を形成し、この隔壁によって注出部内の流路を塞いだ構成の注出口具が開示されている。特許文献1の注出口具によれば、注出部内に隔壁が存在することによって、注出部の流路を通じた容器内への外気の流入を抑制することができる。そして、開封時に注出部内の隔壁を破断することにより、注出部の流路が開放されて、内容物を注出可能な状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−87786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の注出口具の場合、注出部内の隔壁を破断させて開封した後は、注出部の流路から隔壁が除去される。そのため、短時間の間に何度も注出を行う場合のように、注出口具からキャップ等の蓋部材を取り外した状態として、そのまま放置されるような状況においては、注出部の流路を通じて容器内へ外気が流入してしまう。
【0005】
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、注出口具において、注出部の流路を通じた外気の流入に対する抑制効果を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の注出口具は、液体状の内容物を収容する容器に取り付けて用いられる注出口具であって、注出口に接続される流路を内部に形成する注出部を備え、前記流路内には、注出口側から容器側への流通を規制する逆止弁が設けられ、前記逆止弁は、前記流路を注出口側と容器側とに区画する区画壁部と、前記区画壁部の注出口側に配置されて、前記区画壁部に貫通形成された流通路を塞ぐフィルム状の弁体と、前記弁体の更に注出口側に配置されて、前記区画壁部との間に前記弁体を保持する保持部材とを備ることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、内容物の注出時、すなわち注出口具を取り付けた容器を傾ける等して、区画壁部の流通路から弁体に圧力が作用した際に、弁体が変位や変形することにより、区画壁部に形成された流通路が限定的に流通可能な状態となる。そのため、短時間の間に何度も注出を行う場合のように、注出口具からキャップ等の蓋部材を取り外した状態として、そのまま放置されるような状況においても、弁体が流通路を閉鎖した状態にある逆止弁が注出部の流路内に存在することにより、当該流路を通じた外気の流入を抑制することができる。
【0008】
上記注出口具において、前記区画壁部と前記保持部材との間隔は、前記弁体の厚みよりも大きく設定されていることが好ましい。
この場合には、内容物の注出時、逆止弁は、弁体が区画壁部側から保持部材側へ変位することにより開いた状態となる。そして、逆止弁が開いた状態から閉じた状態に戻る際に、すなわち弁体が変位した位置から元の位置に戻る際に、弁体と区画壁部との間に内容物が入り込む。これにより、弁体と区画壁部との間に内容物の液膜が形成される。この弁体と区画壁部との間に形成された液膜がガスバリア層として機能することにより、注出部の流路を通じた外気の流入をより効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の注出口具によれば、注出部の流路を通じた外気の流入に対する抑制効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】注出口具の断面図。
図2】注出下部の下面図。
図3】逆止弁の上面図。
図4図3のA−A線断面図。
図5】開封処理後の注出口具の断面図。
図6】(a)は注出前の逆止弁を示す断面図、(b)は注出時の逆止弁を示す断面図、(c)は注出後の逆止弁を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の注出口具を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、注出口具1は、内部に流路を形成する注出部2を備えている。この注出部2は、共に略筒状に形成される注出下部10と注出上部20とを上下に組み合わせることによって構成されている。
【0012】
注出部2の下側部分を構成する注出下部10は、円筒状の筒壁11と、筒壁11の下端を閉塞する閉塞壁12とを備える有底円筒状に形成されている。筒壁11の外周面(側面)の上部には、注出上部20に対する係合部位としての雄螺子11aが設けられている。また、筒壁11の外周面の下部には、注出口具1を容器の開口部分に取り付けるための取付部13が突設されている。
【0013】
図1及び図2に示すように、筒壁11の下端を塞ぐ閉塞壁12には、薄肉状に形成された破断誘導部12aが設けられている。破断誘導部12aは、閉塞壁12の上面(内面)側から断面略V字状の溝を形成することによって薄肉状とされ、その外形は、一部が膨出した略円形(水滴形状)の環状に形成されている。破断誘導部12aにおける上記膨出した部分の内側位置の上面側には、破断誘導部12aの一部に沿うようにして引張部14が設けられている。引張部14は、閉塞壁12から上方に延びる軸体14bと、軸体14bの上端に形成されるリング状の把持部14aとから構成される。
【0014】
図1に示すように、注出部2の上側部分を構成する注出上部20は、下端側が開放されるとともに、上端側が上壁21によって塞がれた有蓋円筒状に形成されている。注出上部20の上壁21は、その外周側部分に平面部22が形成されるとともに、その中央部分に、上方に向かって膨出するドーム状の膨出部23が形成されている。そして、膨出部23の頂点となる中央位置には略円筒状の注出口24が設けられている。
【0015】
注出上部20の内周面には注出下部10に対する係合部位としての雌螺子25が設けられている。また、上壁21における膨出部23の下面(内面)には、注出口24を中心とする環状の支持壁26が設けられている。支持壁26は、注出下部10の雄螺子11aと注出上部20の雌螺子25とを係合させた際に、注出下部10に設けられる引張部14の把持部14aの内側に収容されるように形成されている。環状の支持壁26内は、注出口24に接続される流路の一部を構成し、その支持壁26内には、逆止弁30が取り付けられている。
【0016】
図3及び図4に示すように、逆止弁30は、上面側に収容部Sが形成された皿形状のケース部材31を備えている。ケース部材31は、円板形状の底壁31aと、底壁31aの外周に沿って立設される周壁31bと、周壁31bの上縁から外側方へ延びるフランジ31cとから構成され、その内側に底壁31aの上面と周壁31bの内周面とに囲まれる収容部Sが形成されている。
【0017】
ケース部材31の底壁31aには、底壁31aを貫通する複数の流通路32が設けられている。各流通路32は、底壁31aの上面側に位置する開口が、底壁31aの外周側の位置に形成されるように設けられている。また、底壁31aの上面には、各流通路32の開口を囲む環状の第1凹部33が形成されるとともに、底壁31aの外周に沿って環状の第2凹部34が形成されている。
【0018】
ケース部材31の収容部S内には、弁体35及び保持部材36が収容されている。弁体35は、可撓性を有するフィルムからなる部材であり、底壁31a上面の直径よりも僅かに小さい直径を有する円形状に形成されている。そして、弁体35は、ケース部材31の底壁31aの上に配置されて、その外周側の部分において、底壁31aに設けられた各流通路32の開口を塞いでいる。なお、弁体35としては、可撓性を有するフィルムであって、液体不透過性の公知のフィルムを用いることができる。特には、液体不透過性かつガスバリア性のフィルムを用いることが好ましい。
【0019】
保持部材36は、円の両側部を円弧状に切り欠いた形状をなす板状の部材であって、その上下両面には、保持部材36の一端側から他端側へ延びる二本の突条36aがそれぞれ設けられている。ケース部材31の収容部S内において、保持部材36は、弁体35の上方に位置するように、ケース部材31の周壁31bの内面に取り付けられている。例えば、周方向に延びる二本の突条を周壁31bの内面に設け、この突条の間に保持部材36の外周部分を嵌め込む、或いは周方向に延びる凹条を周壁31bの内面に設け、この凹条内に保持部材36の外周部分を嵌め込む等の構成を採用することによって、保持部材36は周壁31bの内面に取り付けられている。そして、保持部材36と底壁31aとの間に弁体35が挟まれることによって、底壁31aの上部に弁体35が保持されている。
【0020】
図4に示すように、ケース部材31に対する保持部材36の取り付け位置は、保持部材36における突条36aの先端とケース部材31の底壁31aとの間隔が、弁体35の厚みよりも大きくなる位置に設定されている。つまり、ケース部材31の底壁31a上に配置された弁体35と保持部材36の突条36aの先端との間には隙間が存在する。
【0021】
そして、図6に示すように、逆止弁30は、ケース部材31のフランジ31c部分において、注出上部20に設けられる支持壁26の内周面に固定されている。これにより、支持壁26内に形成される流路は、逆止弁30のケース部材31(区画壁部)によって、注出口24側と容器側とに区画されている。
【0022】
また、図1に示すように、注出上部20にはヒンジ51を介してキャップ部50が取り付けられている。キャップ部50はヒンジ51を基点として、上壁21の膨出部23を覆う閉位置と同膨出部23を露出させる開位置との間で回動する。キャップ部50の上部内面には、キャップ部50を閉位置に位置させたときに注出口24に挿入されて注出口24を塞ぐ挿入突起52が設けられている。
【0023】
注出下部10の下面にはシート状のガスバリア部材60が貼り付けられている。具体的には、閉塞壁12の下面、筒壁11の下端縁、及び取付部13の下端縁に対して、ガスバリア部材60が貼り付けられている。ガスバリア部材60としては、例えば、アルミニウム箔層、エチレンビニル−アルコール共重合体層、セラミック蒸着フィルム層等をガスバリア層として有する多層樹脂シートを用いることができる。なお、図2においては、ガスバリア部材60の図示を省略している。
【0024】
次に、本実施形態の注出口具1の使用方法について、本実施形態の作用とともに記載する。
注出口具1は、液体状の内容物を収容する容器(例えば、樹脂シートにより袋状に形成された包装袋)の開口部に取り付けて使用される。注出口具1を取り付けた容器においては、注出下部10の下面に貼り付けられたガスバリア部材60によって、注出口具1を通じた容器内への酸素等の外気の侵入が抑制される。
【0025】
そして、注出口具1は以下に記載する開封処理を行うことによって、容器内から内容物を注出可能な状態とされる。先ず、注出上部20を回転させて注出上部20及びキャップ部50を注出下部10から取り外す。これにより、引張部14の把持部14aが注出下部10の上部開口から露出されて、把持部14aを容易に把持することができる状態となる。そして、把持部14aを把持して上方に引っ張ることにより、閉塞壁12の破断誘導部12a及びガスバリア部材60を引き裂いて注出下部10の下端を開口させる。その後、注出上部20及びキャップ部50を注出下部10に取り付けることにより、注出口具1は図5に示す開封状態となる。
【0026】
開封後の注出口具1のキャップ部50を開けて容器を傾けると、容器内の内容物は注出下部10内の流路を通過して、注出上部20の支持壁26内に取り付けられた逆止弁30に達する。そして、内容物の圧力(注出圧)が逆止弁30のケース部材31に設けられた流通路32を通じて弁体35に作用する(図6(a)参照)。
【0027】
これにより、図6(b)に示すように、弁体35は内容物に押されて、ケース部材31の底壁31aから浮き上がり、保持部材36の下面(底壁31a側の面)に当接するとともに、保持部材36の下面形状に沿った断面円弧形状に撓んだ状態となる。つまり、保持部材36の下面の中央部分には、二本の突条36aが設けられている。そのため、保持部材36の突条36aに当接する弁体35の中央部分は、浮き上がり度合が小さく、突条36aに当接しない弁体35の両側部分は浮き上がり度合が大きくなって、弁体35は全体として下側に凸の断面円弧状に撓んだ状態となる。なお、ここでは、保持部材36に設けられた突条36aを基準として、突条36aの近傍位置を中央部分、突条36aを挟んだ両側を両側部分として記載している。
【0028】
また、流通路32は底壁31aの外周側に設けられていることから、弁体35には、上記両側部分を含む外周側に対して大きな注出圧が作用する。そのため、弁体35は上記両側部分を含む外周側ほど、保持部材36に強く押し付けられて、下側に凸の断面円弧状に撓みやすくなっている。
【0029】
そして、弁体35がケース部材31の底壁31aから浮き上がりつつ撓んだ状態となることによって、弁体35による各流通路32の開口に対する閉鎖状態が解消されて、逆止弁30は、容器側から注出口24側への内容物の通過が許容される状態(開いた状態)となる。これにより、逆止弁30に達した内容物は、流通路32を通過するとともに、弁体35とケース部材31の底壁31aとの間、及び弁体35とケース部材31の周壁31bとの間を通過して、注出口24から注出される。
【0030】
また、図6(c)に示すように、容器を傾けた状態から元の状態に戻すと、流通路32を通じて弁体35に作用する内容物の注出圧が低下して、弁体35は浮き上がりつつ撓んだ状態から元の状態に戻ろうとする。このとき、底壁31aから保持部材36側に浮き上がった弁体35と底壁31aとの間に形成される隙間に内容物が入り込み、弁体35と底壁31aとの間に内容物の液膜Mが形成される。その結果、底壁31aに形成された流通路32の開口は、内容物の液膜M及び弁体35によって二重に塞いだ状態となって、流通路32を通じた容器内への酸素等の外気の侵入が効果的に抑制される。
【0031】
次に、本実施形態の効果について、以下に記載する。
(1)注出口具1は、注出口24に接続される流路を内部に形成する注出部2を備えている。流路内には、注出口24側から容器側への流通を規制する逆止弁30が設けられている。逆止弁30は、流路を注出口側と容器側とに区画するケース部材31と、ケース部材31の注出口24側に配置されて、ケース部材31に貫通形成された流通路32を塞ぐフィルム状の弁体35と、弁体35の注出口24側に配置されて、ケース部材31との間に弁体35を保持する保持部材36とを備えている。
【0032】
上記構成によれば、内容物の注出時に、逆止弁30のケース部材31に設けられた流通路32が限定的に流通可能な状態となる。そのため、短時間の間に何度も注出を行う場合のように、注出口具1からキャップ等の蓋部材を取り外した状態として、そのまま放置されるような状況においても、弁体35が流通路32を塞いだ状態にある逆止30弁が注出部2の流路内に存在することにより、当該流路を通じた外気の流入を抑制することができる。
【0033】
(2)また、フィルム状の弁体35を備える逆止弁30は、厚みを薄く形成することができる。そのため、逆止弁30を備える注出口具1の大型化を抑制することができる。
(3)ケース部材31の底壁31aと保持部材36との間隔は、弁体35の厚みよりも大きく設定されている。
【0034】
上記構成によれば、内容物を注出した後、弁体35が元の状態に戻ろうとする際に、底壁31aから保持部材36側に浮き上がった弁体35と底壁31aとの間に形成される隙間に内容物が入り込み、弁体35と底壁31aとの間に内容物の液膜Mが形成される。この液膜Mがガスバリア層として機能することにより、注出部2の流路を通じた外気の流入をより効果的に抑制することができる。
【0035】
(4)ケース部材31の底壁31aの上面(注出口24側の面)において、流通路32の開口部分の周囲に第1凹部33が形成されている。
上記構成によれば、内容物を注出した後に、第1凹部33に内容物が収容されることにより、弁体35と底壁31aとの間における流通路32の開口部分の周囲に一定量の内容物が確保される。そのため、容器側へ内容物が流れる部位である流通路32の開口部分においても、好適に液膜Mを形成することができる。
【0036】
(5)ケース部材31の底壁31aの上面(注出口24側の面)において、底壁31aの上面の外周に沿って第2凹部34が形成されている。
内容物を注出した後、撓んだ状態の弁体35の両側部分とケース部材31の底壁31aとの間に多量の内容物が残留すると、弁体35が撓んだ状態から元の状態に戻り難くなるおそれがある。上記構成によれば、撓んだ状態の弁体35の両側部分と底壁31aとの間に残留した内容物が外周側へ流れて第2凹部34内に収容されるため、弁体35が撓んだ状態から元の状態に戻りやすくなる。
【0037】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。また、次の変更例を互いに組み合わせ、その組み合わせの構成のように上記実施形態を変更することも可能である。
【0038】
・ 逆止弁30を構成するケース部材31の形状は適宜、変更することができる。例えば、ケース部材31の外形形状は、ケース部材31を支持壁26に取り付けた際に、支持壁26内の流路を注出口24側と容器側とに区画する可能な形状であればよく、上面視楕円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。また、周壁31b及びフランジ31cを省略してもよい。この場合には、底壁31aに対して保持部材36を取り付けるように構成すればよい。また、ケース部材31の底壁31aに対する流通路32の形成数、及び形成位置は適宜変更することができる。また、底壁31aに設けられていた第1凹部33及び第2凹部34の一方又は両方を省略してもよい。
【0039】
・ 逆止弁30を構成する弁体35の形状は適宜、変更することができる。例えば、上記実施形態では、丸形状のフィルムからなる弁体35を採用していたが、楕円形状のフィルムからなる弁体を採用してもよいし、多角形状のフィルムからなる弁体を採用してもよい。また、弁体35が保持部材36の下面に押し付けられた際における弁体35の撓み形状についても特に限定されるものではなく、流通路32の開口が開放させるような撓み形状であればよい。
【0040】
・ 逆止弁30を構成する保持部材36の形状は適宜、変更することができる。つまり、保持部材36は、ケース部材31の底壁31aの注出口24側の面に弁体35を保持可能に構成されるものであればよく、その形状は特に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、裏表なく取り付け可能とするために、上下両面に突条36aを設けていたが、片面のみに突条36aを設けた構成としてもよい。
【0041】
また、弁体35が保持部材36の下面に押し付けられた際に弁体35を撓ませるために保持部材36に設けられる構成は、突条36aに限定されるものではない。例えば、保持部材36の下面(容器側の面)に対して、中央側が低く両側側が高くなるような何らかの傾斜や凹凸が設けられていれば、上記実施形態と同様に弁体35を撓ませることが可能である。
【0042】
・ 上記実施形態では、逆止弁30は、片面側に収容部Sを有する皿形状に形成されてなるケース部材31と、ケース部材31の収容部Sに収容される弁体35及び保持部材36とを備える弁ユニットとして、注出部2とは別体に形成されていた。これに代えて、逆止弁30の一部を注出部2と一体に形成してもよい。例えば、ケース部材31に代えて、注出上部20の支持壁26に対して、支持壁26内の流路を注出口24側と容器側とに区画する区画壁部を一体に形成し、その区画壁部の注出口24側に弁体35及び保持部材36を取り付ける構成とすることもできる。
【0043】
・ 上記実施形態では、逆止弁30の弁体35がケース部材31の底壁31aから浮き上がりつつ撓んだ状態となることによって、弁体35による各流通路32の開口に対する閉鎖状態が解消されるように構成されていた。これに代えて、弁体35が底壁31aから浮き上がること(変位すること)のみ、又は撓んだ状態となるとなることのみによって弁体35による各流通路32の開口に対する閉塞状態が解消されるように構成してもよい。
【0044】
例えば、保持部材36の突条36aを省略して、保持部材36の下面を平面状に形成した場合には、弁体35が底壁31aから浮き上がることのみによって弁体35による各流通路32の開口に対する閉塞状態が解消される構成となる。この場合には、弁体35として可撓性の低いフィルムを用いることも可能である。また、保持部材36の突条36aの先端と底壁31aとの間隔を、弁体35の厚みに略等しく設定した場合には、弁体35が撓んだ状態となるとなることのみによって、弁体35による各流通路32の開口に対する閉塞状態が解消される構成となる。
【0045】
・ 注出部2を一の部材から形成してもよいし、三以上の複数の部材に分離及び組立可能に構成してもよい。また、注出上部20にヒンジ51を介してキャップ部50を取り付けていたが、注出上部20そのものを有蓋筒状のキャップとしてもよい。さらに、注出下部10にヒンジを介してキャップ部を取り付けるようにしてもよい。
【0046】
・ 閉塞壁12及びガスバリア部材60の一方又は両方を省略してもよい。なお、閉塞壁12を省略した場合には、閉塞壁12に設けられる引張部14も省略される。
・ 注出口具1は、樹脂シートにより袋状に形成された容器に限らず、紙製の容器等、様々な容器に適用することができる。その場合、取付部13については、容器の形態に合わせて適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【0047】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記逆止弁は、前記流通路を通じて前記弁体に注出圧が作用した際に、前記弁体が前記保持部材側へ変位することにより、容器側から注出口側への流通を許容するように構成されている前記注出口具。
【0048】
(ロ)前記逆止弁は、前記流通路を通じて前記弁体に注出圧が作用した際に、前記弁体が撓むことにより、容器側から注出口側への流通を許容するように構成されている前記注出口具。
【0049】
(ハ)前記区画壁部の注出口側の面における前記流通路の開口部分の周囲には、第1凹部が形成されている前記注出口具。
(ニ)前記区画壁部の注出口側の面には、その外周に沿って第2凹部が形成されている前記注出口具。
【符号の説明】
【0050】
1…注出口具、2…注出部、10…注出下部、20…注出上部、24…注出口、26…支持壁、30…逆止弁、31…ケース部材(区画壁部)、32…流通路、35…弁体、36…保持部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6