(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397182
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】エアフォイル及びエアフォイルプラットフォームの冷却方法
(51)【国際特許分類】
F01D 5/18 20060101AFI20180913BHJP
F02C 7/18 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
F01D5/18
F02C7/18 A
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-249720(P2013-249720)
(22)【出願日】2013年12月3日
(65)【公開番号】特開2014-114810(P2014-114810A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2016年11月28日
(31)【優先権主張番号】13/705,804
(32)【優先日】2012年12月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】シューツァン・ジェイムズ・ツァン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ポール・ワッシンザジャー
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・エゼキエル・スミス
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・ルイス・ジグリオ
【審査官】
金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第08221055(US,B1)
【文献】
特開2012−077745(JP,A)
【文献】
特開2007−138942(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0082567(US,A1)
【文献】
特開2012−102726(JP,A)
【文献】
特開2005−140119(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0236178(US,A1)
【文献】
特開2011−064207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/12−5/18,
5/22−5/24,
5/28−5/32,
9/00−11/10
F02C 7/18
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.前縁と、該前縁の下流側の後縁と、前記前縁と前記後縁との間の凸表面とを有する外表面と、
b.前記外表面の内側の空洞と、
c.前記外表面に接続され、前記外表面の少なくとも一部の周囲に上表面を画成するプラットフォームと、
d.前記前縁の上流側の前記プラットフォームの前記上表面の下に設けられ、第1の複数のトレンチの各々のトレンチが前記外表面の内側の前記空洞と流体連通する前記第1の複数のトレンチと、
e.前記第1の複数のトレンチから前記プラットフォームの前記上表面を通る流体連通をもたらす第1の複数の冷却用通路と、
f.複数の別個のチャンバを備えるプレナムであって、前記空洞及び前記第1の複数のトレンチと流体連通するプラットフォームの内側に画成されたプレナムと、
g.前記空洞と、前記プレナム内の前記複数の別個のチャンバとの間の流体連通をもたらす第1の複数の供給通路と、
を備え、
前記第1の複数の冷却用通路のそれぞれが、前記プレナムと流体連通する、
エアフォイル。
【請求項2】
a.前縁と、該前縁の下流側の後縁と、前記前縁と前記後縁との間の凸表面とを有する外表面と、
b.前記外表面の内側の空洞と、
c.前記外表面に接続され、前記外表面の少なくとも一部の周囲に上表面を画成するプラットフォームと、
d.前記前縁の上流側の前記プラットフォームの前記上表面の下に設けられ、第1の複数のトレンチの各々のトレンチが前記外表面の内側の前記空洞と流体連通する前記第1の複数のトレンチと、
e.前記第1の複数のトレンチから前記プラットフォームの前記上表面を通る流体連通をもたらす第1の複数の冷却用通路と、
f.複数の別個のチャンバを備えるプレナムであって、前記空洞及び前記第1の複数のトレンチと流体連通するプラットフォームの内側に画成されたプレナムと、
g.前記プレナム内の前記複数の別個のチャンバと前記複数のトレンチとの間の流体連通をもたらす第2の複数の供給通路と、
を備え、
前記第1の複数の冷却用通路のそれぞれが、前記プレナムと流体連通する、
エアフォイル。
【請求項3】
エアフォイルであって、
a.前縁と、該前縁の下流側の後縁と、前記前縁と前記後縁との間の凸表面とを有する外表面と、
b.前記外表面の内側の空洞と、
c.前記外表面に接続され、前記外表面の少なくとも一部の周囲に上表面を画成するプラットフォームと、
d.前記空洞と流体連通する前記プラットフォームの内側の、複数の別個のチャンバを含むプレナムと、
e.前記前縁の上流側の前記プラットフォームの前記上表面の下に設けられ、第1の複数のトレンチの各々のトレンチが前記プラットフォームの前記上表面と実質的に平行であると共に、前記プレナムと流体連通する前記第1の複数のトレンチと、
f.前記第1の複数のトレンチから前記プラットフォームの前記上表面を通る流体連通をもたらす第1の複数の冷却用通路と、
g.前記空洞と、前記プレナム内の前記複数の別個のチャンバとの間の流体連通をもたらす第1の複数の供給通路と、
を備える、エアフォイル。
【請求項4】
エアフォイルであって、
a.前縁と、該前縁の下流側の後縁と、前記前縁と前記後縁との間の凸表面とを有する外表面と、
b.前記外表面の内側の空洞と、
c.前記外表面に接続され、前記外表面の少なくとも一部の周囲に上表面を画成するプラットフォームと、
d.前記空洞と流体連通する前記プラットフォームの内側の、複数の別個のチャンバを含むプレナムと、
e.前記前縁の上流側の前記プラットフォームの前記上表面の下に設けられ、第1の複数のトレンチの各々のトレンチが前記プラットフォームの前記上表面と実質的に平行であると共に、前記プレナムと流体連通する前記第1の複数のトレンチと、
f.前記第1の複数のトレンチから前記プラットフォームの前記上表面を通る流体連通をもたらす第1の複数の冷却用通路と、
g.前記プレナム内の前記複数の別個のチャンバと前記複数のトレンチとの間の流体連通をもたらす第2の複数の供給通路と、
を備える、エアフォイル。
【請求項5】
前記第1の複数の冷却用通路が、前記プラットフォームの前記上表面を横断してずらして配置される、請求項1乃至4のいずれかに記載のエアフォイル。
【請求項6】
前記第1の複数のトレンチが、前記前縁の上流側の前記上表面と実質的に平行である、請求項1乃至5のいずれかに記載のエアフォイル。
【請求項7】
前記第1の複数のトレンチの上方の前記プラットフォームの前記上表面に熱遮蔽コーテイングが施される、請求項1乃至6のいずれかに記載のエアフォイル。
【請求項8】
前記第2の複数の供給通路の各々は、複数の出口を有する対応する第1の冷却用通路に接続される、請求項2または4に記載のエアフォイル。
【請求項9】
前記前縁の下流側の前記プラットフォームの前記上表面の下の、前記凸表面の近傍に第2の複数のトレンチを備え、前記第2の複数のトレンチの各々のトレンチが前記プラットフォームの前記上表面と実質的に平行である、請求項1乃至6のいずれかに記載のエアフォイル。
【請求項10】
前記第2の複数のトレンチから前記プラットフォームの前記上表面を通って流体連通をもたらす第2の複数の冷却用通路を備える請求項9に記載のエアフォイル。
【請求項11】
a.ケーシングと、
b.前記ケーシングの内側に周方向に配置され、各々のエアフォイルが請求項1乃至10のいずれかに記載のエアフォイルである、複数のエアフォイルと、
を備える、
タービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、エアフォイル及びエアフォイルプラットフォームの冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タービンは多様な航空機、産業用、及び発電の用途で仕事を行うために広く使用されている。各々のタービンは一般に周囲方向に実装された静止ベーンと回転ブレードの交互の段を含んでいる。各々の静止ベーンと回転ブレードとは、プラットフォームに接続されたエアフォイルを含んでもよい。蒸気、燃焼ガス、又は空気などの圧縮された作動流体はタービン内の静止ベーンと回転ブレードとを横切るガス通路に沿って流れる。静止ベーンは回転ブレードに運動を付与し、仕事を行うために圧縮作動流体を加速させ、回転ブレードの後続の段に向ける。
【0003】
一般に圧縮作動流体の温度が上昇すると、タービンの性能、効率及び/又は出力が向上する。しかし、温度の上昇は静止ベーンと回転ブレードのエアフォイル及びプラットフォームに腐食、クリープ、及び/又は低サイクル疲労を誘発する。エアフォイル及び/又はプラットフォームを通して放出される冷却用媒体はこれらの表面全体にわたる膜冷却を行い、エアフォイル及び/又はプラットフォーム内のトレンチはこれらの表面全体にわたる冷却用媒体の均一な分布を促進し得る。しかし、トレンチへの腐食又はその他の損傷により、エアフォイル及び/又はプラットフォーム全体にわたって冷却用媒体が流動することがあり、その結果、エアフォイル及び/又はプラットフォームの冷却が不均一になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7416391号明細書
【発明の概要】
【0005】
したがって、エアフォイル及び/又はプラットフォームの外表面全体にわたる冷却用媒体の分布を変更する改良型のエアフォイル及びエアフォイルプラットフォームの冷却方法は有用であろう。
【0006】
本発明の態様及び利点は以下の説明で開示され、又は説明から明らかになり、又は本発明の実践を通して習得されよう。
【0007】
本発明の一実施形態は、前縁、前縁の下流側の後縁、及び前縁と後縁との間の凸表面を含むエアフォイルである。外表面の内側に空洞が設けられ、プラットフォームが外表面に接続され、外表面の少なくとも一部の周囲に上表面を画成している。第1の複数のトレンチが前縁の上流側のプラットフォームの上表面の下に設けられ、第1の複数のトレンチの各々のトレンチは外表面の内側の空洞と流体連通している。第1の複数の冷却用通路は、第1の複数のトレンチからプラットフォームの上表面を通る流体連通をもたらす。
【0008】
本発明の別の実施形態は、前縁、前縁の上流側の後縁、及び前縁と後縁との間の凸表面を含むエアフォイルである。外表面の内側に空洞が設けられ、プラットフォームが外表面に接続され、外表面の少なくとも一部の周囲に上表面を画成している。プラットフォームの内側のプレナムが空洞と流体連通し、複数の別個のチャンバを画成している。第1の複数のトレンチが前縁の上流側の上表面の下に設けられ、第1の複数のトランチの各々のトレンチはプラットフォームの上表面と実質的に平行であり、プレナムと流体連通している。第1の複数の冷却用通路は、第1の複数のトレンチからプラットフォームの上表面を通る流体連通をもたらす。
【0009】
更に別の実施形態は、タービンはケーシングと、ケーシングの内側に周方向に配置された複数のエアフォイルとを含んでいる。各々のエアフォイルは前縁、前縁の下流側の後縁、及び前縁と後縁との間の凸表面を含んでいる。各々のエアフォイルの内側に空洞が設けられ、プラットフォームが各々のエアフォイルの外表面に接続され、各々のエアフォイルの外表面の少なくとも一部の周囲に上表面を画成している。第1の複数のトレンチが前縁の上流側の各々のプラットフォームの上表面の下に設けられ、第1の複数のトレンチの各々のトレンチは各々のエアフォイルの内側の空洞と流体連通している。第1の複数の冷却用通路は、第1の複数のトレンチから各々のプラットフォームの上表面を通る流体連通をもたらす。
【0010】
当業者は明細書を検討することによって上記のような、及びその他の実施形態の特徴及び態様をより理解するであろう。
【0011】
最良の形態を含め、当業者への本発明の完全な且つ実施可能な開示が、添付図面の参照を含め、特に本明細書の以下の部分により具体的に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の様残な実施可能を組み込んでもよい例示的タービンの簡略断面図である。
【
図2】本発明の一実施可能による
図1に示すエアフォイルの斜視図である。
【
図3】
図2に示すエアフォイルの前面の拡大斜視図である。
【
図5】本発明の代替実施形態による
図2に示すエアフォイルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、1つ又は複数の実施例が添付図面に示されている本発明の実施形態を詳細に参照する。詳細な説明は、図中の特徴を示すために数字及び文字表示を用いている。図及び説明中の同一の、又は同様の表示は本発明の同一の、又は同様の部品を示すために用いられている。本明細書で用いる「第1の」、「第2の」及び「第3の」という用語は1つのコンポーネントと他のコンポーネントとを区別するために置き換え可能に用いてもよく、個々のコンポーネントの位置又は重要性を示すことを意図するものではない。加えて、「上流側」及び「下流側」という用語は流体通路内のコンポーネントの相対位置を示す。例えば、流体がコンポーネントAからコンポーネントBへと流れる場合は、コンポーネントAはコンポーネントBの上流側にある。逆に、コンポーネントBがコンポーネントAから流体を受ける場合は、コンポーネントBはコンポーネントAの下流側にある。
【0014】
各々の実施例は本発明を限定するためではなく、本発明を説明するために提示される。実際に、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく修正及び変更が可能であることは当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示、又は記載された特徴が別の実施形態で使用されて、更に別の実施形態を生みだしてもよい。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲に含まれるこのような修正及び変更を網羅することを意図するものである。
【0015】
次に図面全体を通して同一の番号が同一の要素を示す図面を参照すると、
図1は本発明の様々な実施形態による例示的タービン10の簡略横断面図を示している。
図1に示すように、タービン10は一般にロータ12と、タービン10を通るガス通路16を少なくとも部分的に画成するケーシング14とを含んでいる。ロータ12は一般に、タービン10の軸方向の中心線18と位置合わせされ、発電機、圧縮機、又は仕事を生成するその他の機械に接続されてもよい。ロータ12は、ボルト24によって互いに接続され、一体となって回転するロータホイール20とロータスペーサ22の交互のセクションを含んでもよい。ガス通路16を通って流れる圧縮作動流体26を収容するようにロータ12の少なくとも一部を囲んでいる。圧縮作動流体26には、例えば燃焼ガス、圧縮空気、飽和蒸気、又はこれらの混合物が含まれてもよい。
【0016】
図1に示すように、タービン10は更に、ケーシング14の内側に、又、ロータ12の周囲に周方向にロータ12とケーシング14との間に径方向に延在するように配置された回転ブレード30と固定ベーン32の交互の段を含んでいる。回転ブレード30は当技術分野で知られる様々な手段を使用してロータホイール20に接続される。これに対して、固定ベーン32は、ロータスペーサ22とは反対側のケーシング14の内側の周囲に周方向に配置されてもよい。回転ブレード30と固定ベーン32の各々は一般に、当技術分野で知られるように、一凹表面の圧力側、凸表面の吸引側、及び前縁と後縁とを有するエアフォイルの形状を有している。圧縮作動流体26は、
図1に示すように、タービン10を通ってガス通路16に沿って左から右に流れる。圧縮作動流体26が回転ブレード30の第1段を通過すると、圧縮作動流体は膨張し、回転ブレード30と、ロータホイール20と、ロータスペーサ22と、ボルト24と、ロータ12とを回転させる。圧縮作動流体26は次いで固定ベーン32の次の段を横切って流れ、それによって圧縮作動流体26を加速させ、且つ回転ブレード30の次の段へと方向転換させ、プロセスは以下の段についても反復される。
図1に示す例示的実施形態では、タービン10は回転ブレード30の3つの段の間に2段の固定ベーン32を有している。しかし、当業者は、特許請求の範囲に特に記載されない限り、回転ブレード30と固定ベーン32の段の数は本発明の限定性ではないことが容易に理解されよう。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態による
図1に示したエアフォイル40の斜視図を示す。前述のようにエアフォイル40は、圧縮作動流体26に関連する運動エネルギを機械エネルギに変換するためにタービン10内の回転ブレード30又は固定ベーン32に組み込まれてもよい。
図2に示すように、エアフォイル40は一般に、プラットフォーム44に接続された外表面42を含んでいる。外表面42は一般に、前縁46と、前縁46の下流側の後縁46とを有する空気力学的形状を画成する。前縁46と後縁48との間の凹表面52とは逆の凸表面50は、圧縮作動流体26がそれを越えて流れる空気力学的形状を形成する。
【0018】
プラットフォーム44は一般に、一般にタービン10の内側のガス通路16の径方向の境界として機能する外表面42の少なくとも一部の周囲に上表面54を画成する。特定の実施形態では、プラットフォーム44の上表面54の一部又は全部は、上表面54の熱防護を増強する熱遮蔽コーテイング56を含んでもよい。熱遮蔽コーテイング56は、以下の特徴の1つ又は複数を含んでもよい。すなわち、低い熱放射率、又は高い熱反射率、平滑な仕上がり、及び下にある上表面54への良好な接着である。例えば、当技術分野で知られている熱遮蔽コーテイングは、酸化イットリウム(Y
2O
3)、マグネシア(MgO)、又はその他の酸化貴金属で部分的、又は全面的に安定化されたジルコニア(ZrO
2)などの酸化金属を含んでいる。選択された熱遮蔽コーテイング56は、ひずみ耐性がある柱状の粒子構造を生じる大気プラズマ溶射(APS)、低圧プラズマ溶射(LPPS)、又は電子ビーム物理蒸着(EBPVD)などの物理蒸着(PVD)技術を用いた従来の方法で蒸着されてもよい。選択された熱遮蔽コーテイング56は更に、例えば本発明と同一の譲受人に譲渡された米国特許第6、165、600号に記載されているような下地基板に貼付するために引き続いて転写されるテープを形成する上記の方法のいずれかの組み合わせを用いて施されてもよい。しかし、熱遮蔽コーテイング56の特定の材料及び適用方法は、特許請求の範囲に特に記載されないかぎり、本発明の限定性ではないことが当業者には容易に理解されよう。
【0019】
図3は、エアフォイル40の前面の拡大斜視図を示しており、
図4は
図2に示すエアフォイル40の平面図を示している。
図2〜4に示すように、エアフォイル40は、プラットフォーム44の上表面54の下の一連のトレンチ60と流体連通している外表面42の内側の空洞58を含んでもよい。空洞58は、鋳造、成形、又は押出し成形などの当技術分野で知られている様々な方法によって形成されてもよい。特定の実施形態では、空洞58は外表面43の内側の蛇行する通路を画成してもよく、又、空気や蒸気などの冷却用媒体は空洞58を通って流れて、エアフォイル40の外表面42から対流式に、及び/又は伝導式に除熱してもよい。
【0020】
トレンチ60は、ドリル、研磨などの当技術分野で知られる方法、又は電子放電機械(EDM)技術を用いて形成されてもよい。トレンチ60はプラットフォーム44のどの位置に形成されてもよく、直線的でもアーチ状でもよく、可変的な長さ、幅、及び/又は深さを有してもよく、トレンチ60を通る冷却用媒体の分布を変更するために互いに位置合わせされてもよく、ずらして配置されてもよい。
図3及び4に最も明解にされるように、トレンチ60は例えば、プラットフォーム44を横切り、前縁46の上流側の上表面54と実質的に平行に延びる、互いにずらされ、又は重複する列に配置されてもよい。
【0021】
図3及び4に更に示されるように、プラットフォーム44の内側のプレナム62は、空洞58及びトレンチ60の様々な部分の間の流体連通をもたらしてもよい。特定の実施形態では、プレナム62は複数のチャンバ64に区分されてもよく、各々のチャンバ64は空洞58の一部を特定のトレンチ群60に接続してもよい。例えば、第1群の供給通路66は、空洞58の異なる部分とプレナム62内の別個のチャンバ64との間の流体連通をもたらしてもよく、第2群の供給通路68は、プレナム62内の別個のチャンバ64と特定のトレンチ60との間の流体連通をもたらしてもよい。空洞58の内部を流れる冷却用媒体の圧力は、空洞58内の位置に応じてやや変化する。その結果、各々のチャンバ64に、又、各々のチャンバ64から各々のトレンチ60に供給される冷却用媒体の圧力及び流量は、第1群の供給通路66が空洞58内に分岐する位置に応じて変化する。このようにして、プレナム62内のチャンバ64と、関連する第1群及び第2群の供給通路66,68との組み合わせによって、より高温にさらされ、又は従来から高い腐食、クリープ、及び/又は低サイクル疲労を受ける特定のトレンチ60により多くの冷却用媒体を供給できるようになる。
【0022】
トレンチ60に供給される冷却用媒体は、腐食、クリープ、及び/又は低サイクル疲労を軽減するために上表面54及び/又は(存在する場合は)熱遮蔽コーテイング56を伝導式に及び/又は対流式に冷却する。加えて、各々のトレンチ60は、トレンチ60からプラットフォーム44の上表面54を通る流体連通をもたらす1つ又は複数の冷却用通路70を含んでもよい。
図3及び4に示すように、冷却用通路70は、冷却用媒体を膜として上表面54全体により均一に分布させるために、プラットフォーム44の上表面54を横断してずらして配置されてもよい。
【0023】
図5は、本発明の代替実施形態による
図2に示すエアフォイル40の平面図を示している。
図5に示すように、この場合もエアフォイル40は一般に、
図2に示した実施形態に関して前述したように、外表面42、プラットフォーム44、及び上表面54を含んでもよい。加えて、
図5に鎖線で示すように、エアフォイル40は更に、
図3及び4に示した実施形態に関連して前述したように、空洞58、トレンチ60、及び冷却用通路70を含んでもよい。
図5に示す特定の実施形態では、エアフォイル40はそれに加えて、前縁46の下流側のプラットフォーム44の上表面54の下の、凸表面50の近傍にトレンチ80を含んでいる。トレンチ80はこの場合も、上表面54と実質的に平行に延びる、ずらされ、又は重複する列に配置されてもよい。加えて、第3群の供給通路82は、
図3及び4に関連して前述したように、空洞58の異なるセクションと1つ又は複数のトレンチとの間の流体連通をもたらして、各々のトレンチ80に供給される冷却用媒体の圧力及び流量を変化させるようにしてもよい。このようにして、トレンチ80に供給される冷却用媒体は、腐食、クリープ、及び/又は低サイクル疲労を軽減するために上表面54及び/又は(存在する場合は)熱遮蔽コーテイング56を伝導式に及び/又は対流式に冷却する。加えて、各々のトレンチ80は、トレンチ80からプラットフォーム44の上表面54を通る流体連通をもたらす1つ又は複数の冷却用通路70を含んでもよい。
図5に示すように、冷却用通路70は、冷却用媒体を膜として上表面54全体により均一に分布させるために、プラットフォーム44の上表面54を縦断及び/又は横断してずらして配置されてもよい。
【0024】
このように、記載し、
図1〜5に図示した実施形態は、エアフォイル40のプラットフォーム44を冷却する方法を提供する。方法は、エアフォイル40の外表面42の内側の空洞58の少なくとも一部を通って冷却用媒体を流し、次いで前縁46の上流側のプラットフォーム44の上表面54の下のトレンチ60を通って冷却用媒体を流すステップを含んでもよい。方法は更に、トレンチ60からプラットフォーム44の上表面54を通って流体連通をもたらす冷却用通路70を通って冷却用媒体を流すステップを含んでもよい。特定の実施形態では、方法は空洞58の特定の部分から空洞58とトレンチ60との間のプレナム62内の1つ又は複数のチャンバ64に冷却用媒体を流し、次いで冷却用媒体をプレナム62内の特定のチャンバ64から特定のトレンチ60に流して、トレンチ60に供給される冷却用媒体の圧力及び/又は流量を変更するようにしてもよい。別の特定の実施形態では、方法は、前縁46と隣接したエアフォイルの凸表面の下流側のプラットフォーム44の上表面54の下のトレンチ80を通って、冷却用媒体を流すステップを含んでもよい。
【0025】
本記載要件は、最良の態様を含めて本発明を開示し、いずれかのデバイス又はシステムを製造し、使用し、組み込まれたいすれかの方法を実施することを含めて、どの当業者も本発明を実施できるように実施例を用いている。本発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到するその他の実施例を含み得る。そのようなその他の実施例は、特許請求の範囲の文字言語と相違せず、又は文字言語とは非実質的な相違しか有していない等価の構造要素を含む場合は、特許請求の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0026】
10 タービン
12 ロータ
14 ケーシング
16 ガス通路
18 軸方向中心線
20 ロータホイール
22 ロータスペーサ
24 ボルト
26 作動流体
30 回転ブレード
32 固定ベーン
40 エアフォイル
42 外表面
44 プラットフォーム
46 前縁
48 後縁
50 凸表面
52 凹表面
54 プラットフォームの上表面
56 熱遮蔽コーテイング
58 空洞
60 トレンチ
62 プレナム
64 プレナム内のチャンバ
66 第1の供給通路
68 第2の供給通路
70 冷却用通路
80 トレンチ
82 供給通路