(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397186
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】誘導加熱はんだ付け法を用いて車両ウィンドウアセンブリを製作するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H05B 6/10 20060101AFI20180913BHJP
H05B 6/44 20060101ALI20180913BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20180913BHJP
B23K 1/002 20060101ALI20180913BHJP
B23K 3/00 20060101ALI20180913BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20180913BHJP
B23K 101/18 20060101ALN20180913BHJP
【FI】
H05B6/10 331
H05B6/44
B23K1/00 330N
B23K1/002
B23K3/00 310F
B60J1/00 Z
B23K101:18
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-262038(P2013-262038)
(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公開番号】特開2014-130814(P2014-130814A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2016年10月31日
(31)【優先権主張番号】61/746,179
(32)【優先日】2012年12月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591229107
【氏名又は名称】ピルキントン グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・イー・アッシュ
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・シターレット
【審査官】
黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−521609(JP,A)
【文献】
特表2012−532021(JP,A)
【文献】
米国特許第4563563(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/00−6/10
H05B 6/14−6/44
B23K 1/00−3/08
B60J 1/00
B23K 101/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ウィンドウアセンブリの製作方法であって、
内側主面、前記内側主面の1以上の予め定められた領域に配置された導電性材料、外側主面及び、前記両主面の周縁部を取り囲む周縁部分を有する車両ウィンドウを用意するステップと、
主要要素設置面を有し、かつ前記主要要素設置面上に設置された、1以上の誘導コイルアセンブリ及び1以上の可動式アセンブリ補助具を有するアセンブリ取付具を用意するステップであって、前記1以上の可動式アセンブリ補助具は、回転可能シャフトと、一端が前記回転可能シャフトに取り付けられ、他端が1以上の物品を保持するための1以上の物品保持部材のなかの対応する1つの物品保持部材に取り付けられた1以上のアームとを含む、該ステップと、
前記アセンブリ取付具上に、前記車両ウィンドウを配置するステップであって、前記1以上の可動式アセンブリ補助具の前記回転可能シャフトが回転したときに該車両ウィンドウの前記外側主面が前記1以上の可動式アセンブリ補助具に面することが可能となるように配置する、該ステップと、
所定量のはんだが表面に配置されている前記1以上の物品を、前記1以上の可動式アセンブリ補助具のそれぞれの前記対応する1つの物品保持部材に保持させるステップと、
前記車両ウィンドウの前記内側主面の、前記導電性材料が配置されている前記1以上の予め定められた領域を、前記1以上の物品の表面に配置されている前記はんだを融解させるのに十分な温度まで加熱するために、1以上の電磁場を前記車両ウィンドウへ選択的に導くべく、前記車両ウィンドウの前記外側主面の近傍に位置する前記1以上の誘導コイルアセンブリに電圧を印加するステップと、
前記1以上の可動式アセンブリ補助具に保持されている前記1以上の物品を前記車両ウィンドウの前記内側主面の前記1以上の加熱された領域に接触させて結合させるべく、前記1以上の可動式アセンブリ補助具を前記車両ウィンドウの前記内側主面の前記1以上の加熱された領域に近位する位置へ変位させるステップとを含み、
前記変位させるステップが、
前記回転可能シャフトを回転させ、前記回転可能シャフトに取り付けられている前記1以上の可動式アセンブリ補助具を最大180°の回転角度で円弧状に回転させることにより、該1以上の可動式アセンブリ補助具を前記車両ウィンドウに近位する位置へ変位させることを含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記導電性材料を、37.78℃〜315.55℃(100°F〜600°F)の温度まで加熱するようにしたことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記導電性材料を、誘導コイルアセンブリ1つあたり1000Wを超える出力で、前記所望の温度まで20秒未満で加熱するようにしたことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記アセンブリ取付具が、該主要要素設置面上に設置された、1以上のガス式垂直方向位置決め弾性部材、及び1以上の可動式xy方向位置決め部材を更に含み、
前記方法は、
前記アセンブリ取付具上に、前記車両ウィンドウを配置するステップの後に、前記アセンブリ取付具上で前記車両ウィンドウをxy平面において適切に位置決めすべく、前記1以上の可動式xy方向位置決め部材を駆動するステップと、
前記車両ウィンドウの前記外側主面を引き寄せて、前記1以上のガス式垂直方向位置決め弾性部材の弾性接触部分には密接に接触するが前記1以上の誘導コイルアセンブリには密接には接触しない位置までz方向に変位させるべく、前記1以上のガス式垂直方向位置決め弾性部材を介して負圧ガスを印加するステップとを更に含み、
前記1以上の誘導コイルアセンブリに電圧を印加するステップにおいて、前記誘導コイルアセンブリ1つあたり1000Wを超える出力で前記導電性材料が37.78℃〜315.55℃(100°F〜600°F)の温度になるまで20秒未満で加熱するように電圧を印加し、
前記方法が、
前記1以上の物品を、前記1以上の物品の表面に配置された前記はんだを融解させるのに十分な温度まで加熱されている前記車両ウィンドウの前記内側主面の前記導電性材料が配置された前記1以上の予め定めされた領域に接触させて、前記物品及び前記車両ウィンドウの加熱部分間の全結合可能面積の50%を超える結合面積で結合させるべく、前記1以上の物品保持部材から前記1以上の物品を排出させるステップと、
前記1以上の物品を前記車両ウィンドウの前記内側主面に結合させるために、前記車両ウィンドウを冷却させるべく、前記1以上の誘導コイルアセンブリへの電圧印加を停止するステップと、
前記1以上のガス式垂直方向位置決め弾性部材を介した前記負圧ガスの印加を停止するステップと、
前記内側主面に前記1以上の物品が結合された前記車両ウィンドウを、前記アセンブリ取付具から取り外すステップとを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記導電性材料が、セラミックフリット材料を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法であって、
前記物品保持部材に、前記物品を保持するための1以上の凹部が形成されていることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記1以上の凹部の少なくとも一部に、前記1以上の可動式アセンブリ補助具の形成材料を貫通する1以上の貫通孔が形成されていることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
伸張可能部材を有する1以上の空気圧シリンダが、前記1以上の可動式アセンブリ補助具の前記1以上の貫通孔に整合されていることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記1以上の空気圧シリンダを駆動して前記伸張可能部材を伸張させ、前記1以上の可動アセンブリ補助具の前記貫通孔を通過させて前記1以上の凹部に保持された前記物品に当接させることにより、前記物品を前記1以上の可動アセンブリ補助具から排出させて前記車両ウィンドウの前記加熱された内側主面に接触させて結合させるようにしたことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、35 U.S.C. 119(e)に基づいて、2012年12月27日に35 U.S.C. 111(b)に基づいて出願された米国仮特許出願第61/746,179号の優先権を主張するものである。前記米国仮特許出願の開示内容の全体は、参照により本明細書に援用されるものとする。
【0002】
(技術分野)
本発明は、物品を基板に結合させるための方法及び装置に関する。より詳細には、本発明は、アセンブリ取付具を使用して行う誘導加熱はんだ付けによって、物品(金属製品等)をガラス基板に結合させることに関する。
【背景技術】
【0003】
はんだ付けのための誘導加熱が、下記の特許文献に記載されている。
【0004】
特許文献1には、誘導加熱を用いて個別の裏面接着剤付き物品を支持体表面に適用するための取付具が開示されている。U字状コアの端面を加熱される物品に対して隣接した状態を保つために、位置合わせ及び位置決定手段がU字状コアの表面に結合されており、支持面の変化または湾曲に適合するように物品とコアとの組み合わせを合成方向に若干移動するのを可能にするとされている。
【0005】
特許文献2には、誘導加熱ろう付け作業台用の取付具が開示されており、前記取付具は、ワークピースホルダが載置される取り外し可能な前側プレートを含む。誘導ユニットの基部が、前記作業台の作業面上に配置された前側プレートと互いに同一平面をなすように設置された後側プレート上に取り付けられる。誘導ユニットの誘導コイルは、前側プレート及びワークピースホルダに対して一意的に一致する。誘導コイルは、使用しないときは前側プレートに取り外し可能に取り付けられる。前側プレートは、ワークピースホルダ及び該ホルダ上に載置された誘導コイルと共にワーク表面から取り外すことができる。その後、別の前側プレートを、様々なコイル構造及びワークピースホルダを有する前記作業面上に載置することができる。
【0006】
特許文献3には、接着剤層間に配置されたかあるいは接着剤層に隣接して配置された熱磁気感受性材料を、磁界を用いて加熱することにより、前記熱磁気感受性材料を介して固体材料を互いに接着、結合または締結させる方法が開示されている。このシステムは、交流磁界を使用して、サセプタ内で渦電流を誘導して熱を生成する。誘導加熱ツールが使用され、該ツールのワークコイルから磁界を放射する。電子制御装置によって、磁界を生成するワークコイルを駆動させる交流電流を生成する電力変換装置が使用したエネルギーを測定する。
【0007】
特許文献4には、誘導加熱を用いて物品をガラス基板にはんだ付けする装置及び方法が開示されている。前記ガラス基板は、好ましくは車両ウィンドウであり、前記ガラス基板に物品を結合させることによって車両ウィンドウアセンブリが製作される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,128,449号明細書
【特許文献2】米国特許第5,977,527号明細書
【特許文献3】米国特許第6,849,837号明細書
【特許文献4】米国特許第8,299,401号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、物品を基板に結合させるための方法及び装置に関する。より詳細には、本発明は、アセンブリ取付具を使用して行う誘導加熱はんだ付けによって、物品(金属製品等)をガラス基板に結合させることに関する。
【0010】
車両ウィンドウは通常、2つの主面と、周縁部分とを有する。前記2つの主面は、本明細書では、内側主面と外側主面と称する。例えば導電性セラミックフリットなどの導電性材料が一般的に、前記車両ウィンドウの前記内側主面の1以上の予め定められた領域に配置される。
【0011】
本発明のアセンブリ取付具は、車両ウィンドウアセンブリの製作に使用される様々な構成要素が設置される主面(主要要素設置面)を有する。前記構成要素には、1以上のガス式垂直方向位置決め弾性部材、1以上の誘導コイルアセンブリ、1以上の固定式または可動式のxy方向位置決め部材、及び1以上の可動式アセンブリ補助具が含まれる。前記1以上のアセンブリ補助具は、1以上の物品(items of hardware)を保持する。一般的に、前記物品の表面に、所定量のはんだが配置される。
【0012】
本発明の方法では、車両ウィンドウなどのガラス基板をアセンブリ取付具上に配置するときは、車両ウィンドウの外側主面がアセンブリ取付具の主要要素設置面を向くようにする。車両ウィンドウが、アセンブリ取付具上で適切に位置決めされることを確実にするために、1以上のxy方向位置決め部材が用いられる。そして、1以上のガス式垂直方向位置決め弾性部材を介して負圧ガスを印加することによって、車両ウィンドウの外側主面を引き寄せ、z方向に変位させた外側主面を前記垂直方向位置決め弾性部材に密接に接触させる。この位置決め過程では、1以上の誘導コイルアセンブリは車両ウィンドウの近傍に位置することとなるが、誘導コイルアセンブリは車両ウィンドウの外側主面に密接に接触しないようにすることが好ましい。特に、1以上の誘導コイルアセンブリは、車両ウィンドウの内側主面の、導電性材料が配置されている1以上の部分の反対側に位置することが望ましい。
【0013】
連続的にまたは同時に、1以上の誘導コイルアセンブリに電圧を印加して、1以上の電磁場を、車両ウィンドウの導電性材料が配置されている前記1以上の予め定められた領域へ選択的に導き、それにより、前記車両ウィンドウを構成するガラスの厚さを実質的に通過して加熱する。そして、1以上のアセンブリ補助具を駆動して、該アセンブリ補助具を、車両ウィンドウの内側主面の前記1以上の加熱された領域に近位する所定位置へ移動させる。
【0014】
車両ウィンドウの内側主面の近傍に位置したアセンブリ補助具から前記1以上の物品を排出し、該物品を車両ウィンドウの内側主面の前記1以上の加熱された領域に接触させて結合させる。その代わりにまたはそれに加えて、1以上の誘導コイルアセンブリによって、前記1以上の物品を加熱することができる。車両ウィンドウの内側主面の前記1以上の加熱された領域、及び/または前記車両ウィンドウに結合される物品を、前記1以上の物品の表面に配置されたはんだを溶融させるのに十分な温度まで加熱する。車両ウィンドウの内側主面の前記1以上の予め定められた領域を、車両ウィンドウの外側主面の近傍に位置する1以上の誘導コイルアセンブリで加熱する本発明の方法は、とりわけ、物品と車両ウィンドウの内側主面との間の有効結合領域を従来の結合方法よりも増加させることができることが分かった。
【0015】
その後、1以上の誘導コイルアセンブリへの電圧印加を停止し、車両ウィンドウを冷却させて溶融したはんだを固化させ、前記物品の車両ウィンドウの内側主面への所望の結合を実現する。その後、アセンブリ取付具から車両ウィンドウを取り外す。前記1以上の物品が結合された車両ウィンドウアセンブリは、追加的な工程、または車両への取り付けを実施可能な状態となる。
【0016】
好ましい構成では、1以上のアセンブリ補助具は回転可能アセンブリの構成要素であり、待機位置から車両ウィンドウの内側主面に近位する位置へ円弧状の経路に沿って変位させることにより、アセンブリ補助具に保持された1以上の物品を車両ウィンドウの内側主面の前記1以上の予め定められた領域に接触させて結合させることができるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の上記の利点並びに他の利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことにより、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0018】
【
図1】本発明によるアセンブリ取付具の斜視図である。
【
図2】本発明によるアセンブリ取付具の斜視図であり、アセンブリ取付具上に車両ウィンドウを載置した状態を示す。
【
図3】本発明による誘導コイルアセンブリの斜視図である。
【
図4】本発明による可動式アセンブリ補助具の斜視図である。
【
図5】本発明によるアセンブリ取付具の断面図であり、アセンブリ取付具が、該アセンブリ取付具上に配置された車両ウィンドウに対して変位可能なアセンブリ補助具を含むことを示す。
【
図6】本発明による誘導コイルアセンブリの断面図である。
【
図7a】物品保持部材の平面図であり、物品保持部材内に物品を保持した状態を示す。
【
図7b】
図7aに示した物品保持部材及び、物品保持部材内の所定位置に物品を保持するのに使用される負圧ガス供給装置を示す断面図である。
【
図8】物品保持部材及び、物品保持部材に形成された1以上の貫通孔を介して物品保持部材から物品を機械的に押し出すために使用される機械的手段を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、物品を基板に結合させるための方法及び装置に関する。より詳細には、本発明は、アセンブリ取付具10を使用して行う誘導加熱はんだ付けによって、物品(金属製品等)8をガラス基板に結合させることに関する。
【0020】
車両ウィンドウ12は、通常、ガラス製である。車両ウィンドウ12は一般的に、2つの主面(14、16)と、該主面の周縁部を取り囲む周縁部分18とを有している。2つの主面(14、16)は、本明細書では、内側主面14及び外側主面16と称する。導電性材料20、例えば導電性セラミックフリット(例えば銀などの導電性金属を含有していることが好ましい)などが、任意の公知の方法(例えばスクリーン印刷)によって、車両ウィンドウ12の内側主面14の1以上の予め定められた領域に配置される。
【0021】
図1に示すようなアセンブリ取付具10が、本発明に従って車両ウィンドウアセンブリを製作するのに好適な装置である。アセンブリ取付具10はベースプレート22を含む。ベースプレート22は主要要素設置面24を有する。主要要素設置面24上には、下記の構成要素が設置される。
【0022】
1以上のガス式垂直方向位置決め弾性部材26。この部材26は、車両ウィンドウ12を、均等に、かつ主要要素設置面24から実質的に均一な所定の垂直距離上方で支持するように配置されている。この部材26は、正圧及び負圧ガスの供給源(図示せず)に接続されている。
【0023】
1以上の誘導コイルアセンブリ28。このアセンブリ28は、主要要素設置面24上に設置された基板部材30と、基板部材30に取り付けられ該基板部材から上方へ実質的に均一な所定の垂直距離延在している1以上の誘導コイル32とを含む。
【0024】
1以上の傷付け防止材料34。この材料34は、車両ウィンドウ12をアセンブリ取付具10上に配置したとき、より具体的には車両ウィンドウ12が1以上のガス式垂直方向位置決め弾性部材26と接触したときに、誘導コイル32の、車両ウィンドウ12の外側主面16に近位する部分を覆う。
【0025】
1以上のアセンブリ補助具36。この補助具36は、主要要素設置面24上に設置された基板37と、基板37に取り付けられた1以上のベアリングマウント38と、1以上のベアリングマウント38及び1以上の支持アーム44の第2の端部42を貫通して延在する回転可能シャフト40と、1以上の支持アーム44の第1の端部に結合された1以上の物品保持部材46と、回転可能シャフト40に連結された任意の適切な種類のモータ54(例えば電気モータ)とを含む。回転可能シャフト40は、ベアリングマウント38に軸支されており、かつ、支持アーム44に結合されている。1以上の物品保持部材46は、該部材に形成された1以上の物品保持凹部50と、物品保持凹部50に貫通形成された1以上の貫通孔52とを有する。貫通孔52は、正圧及び負圧ガスの供給源53に連通されている。
【0026】
アセンブリ取付具10の上記の構成要素の動作は、任意の適切な従来型の1以上の電子制御装置(図示せず)によって制御される。このような制御装置は、任意の適切な従来の手段によって電源に接続される。
【0027】
主要要素設置面24を有するアセンブリ取付具10の基板プレート22は、任意の適切な幾何学的形状を有し得るが、正方形または長方形であることが好ましい。また、基板プレート22は、任意の適切な材料から製作することができるが、アルミニウムなどの金属から製作することが好ましい。
【0028】
1以上のガス式垂直方向位置決め弾性部材26は、主要要素設置面24の任意の位置に設置することができるが、車両ウィンドウ12を主要要素設置面24に対して均一な高さで確実に支持することができるように設置することが好ましい。ガス式垂直方向位置決め弾性部材26は、垂直支持部分56と弾性接触部分58とを含む。垂直支持部分56は、例えば金属などの耐久性を有しかつ寸法的に適切な材料から製作された、所定の長さを有する中空チューブであることが好ましい。弾性接触部分58は一般的に、垂直支持部分56の上端に接続されており、車両ウィンドウ12をアセンブリ取付具10上に載置したときに、車両ウィンドウ12の一部、通常は外側主面16に密接に接触する。車両ウィンドウ12は通常はガラス製であり傷付くおそれがあるので、弾性接触部分58は、柔らかい傷付け防止材料、例えばプラスチックやゴム材料などから製作することが望ましい。
【0029】
図3に示すような1以上の誘導コイルアセンブリ28は、一般に市販されているかまたは特注生産された1以上の誘導コイル32を含むことができる。好適な誘導コイル32としては、例えば、米国オハイオ州ウォレン所在のマグフォース社(Magneforce Inc.)製のものがある。コイル32自体の構造は、電磁石33によって生成された電磁場を、例えば所望に応じて広範囲のパターンまたは極めて限定されたパターンで導くのに最適な任意の適切な構造であり得る。各誘導コイルアセンブリ28の出力は、好適な構造では互いに同一であってもよいしまたは互いに異なっていてもよいが、各誘導コイルアセンブリ28は少なくとも1000Wの出力を有することが好ましい。
【0030】
誘導コイル32は一般的に、車両ウィンドウ12と接触したときに車両ウィンドウ12の外側主面16を傷付けるおそれがある金属材料から製作されるが、ガラスに対するそのような損傷は避けることが望ましいので、車両ウィンドウ12をアセンブリ取付具10上に載置したときに車両ウィンドウ12の外側主面16に近位する誘導コイル32の部分を、耐久性を有する傷付け防止材料の1以上の相で覆うことが好ましい。このような材料には、例えば、繊維ガラス、ステンレス鋼メッシュ、適切なプラスチック及びゴム材料、適切なシリコーン材料及び綿布が含まれる。あるいは、誘導コイル自体を適切なエポキシ材料で被覆してもよい。
【0031】
上述したアセンブリ取付具10を使用して行う車両ウィンドウアセンブリの製作方法を以下に説明する。
【0032】
内側主面14と、好ましくは内側主面14の1以上の予め定められた領域に配置された導電性材料と、外側主面16と、前記両主面の周縁部を取り囲む周縁部分18とを有する車両ウィンドウ12を、該車両ウィンドウ12の外側主面16が、主要要素設置面24上に設置された1以上のガス式垂直方向位置決め弾性部材26に密接に接触し、かつ主要要素設置面24上に設置された1以上の誘導コイルアセンブリ28に近位するようにしてアセンブリ取付具10上に載置する。車両ウィンドウ12の主面のx方向及びy方向の両方向において、車両ウィンドウ12がアセンブリ取付具10上に正確に配置されるように、車両ウィンドウ12の周縁部分18を、固定式または可動式であり得る1以上の位置決め部材(60、62)の近傍に配置することが好ましい。
図1に示すように、x方向の位置決め部材60が固定式であり、y方向の位置決め部材62が可動式であることが好ましい。車両ウィンドウ12がアセンブリ取付具10上にx方向及びy方向の両方向において正確に配置されたら、車両ウィンドウ12をz方向に引き下げてガス式垂直方向位置決め弾性部材26により密接に接触させるために、ガス式垂直方向位置決め弾性部材26に形成された1以上の孔を通じて負圧ガスを印加することが好ましい。さらに、正確に位置決めされた車両ウィンドウ12は、該車両ウィンドウの表面に配置された導電性材料20が1以上の誘導コイルアセンブリ28に近位する1以上の部分を有することとなる。
【0033】
その後、1以上の誘導コイルアセンブリ28に電圧を印加し、該誘導コイルアセンブリによって生成された1以上の電場を、車両ウィンドウ12を構成するガラスへ選択的に導くことにより、車両ウィンドウ12の導電性材料20を有する内側主面14の1以上の領域を加熱する。本発明の方法を、大規模なガラス製作工程に適合させるためには、誘導コイルアセンブリ281つあたり1000Wを超える出力で、導電性材料20を100F°〜600F°の温度まで20秒未満で加熱するようにすることが好ましい。
【0034】
1以上の誘導コイルアセンブリ28の電磁石33によって生成された電磁場が、車両ウィンドウ12を構成する誘電性ガラスシートの厚さを容易に通過することができ、かつそのエネルギーの大部分が、前記車両ウィンドウに結合される物品8及び該物品上に配置されたはんだ並びに導電性材料20(例えば、車両ウィンドウ12の内側主面14上に設けられた導電性セラミックフリット)に対して印加されることを、当業者であれば理解できるであろう。
【0035】
1以上の可動式アセンブリ補助具36に関する本発明のさらなる態様では、物品8を、車両ウィンドウ12の内側主面14上に配置された加熱された導電性材料20に近位する位置へ変位させる。アセンブリ補助具36の、1以上の物品が配置(保持)される部分を、本明細書では物品保持部材46と称する。物品保持部材46は、例えば樹脂や他のポリマー材料などの誘電性材料から製作されることが好ましい。車両ウィンドウ12に結合させる1以上の物品8を保持するために、物品保持部材46に凹部52が形成されることが好ましい。好適な構造では、貫通凹部52が、物品保持部材46の形成材料を厚さ方向に貫通しており、正圧及び負圧ガスの供給源53に連通されている。負圧ガスを印加することにより、物品保持部材46内に物品8を確実に保持することができる。そして、正圧ガスを印加することにより、物品保持部材46から物品8を排出させることができる。
【0036】
物品保持部材46から物品8を排出させるのに正圧ガスを用いる代わりに、機械的手段68を使用して物品保持部材46の凹部52から物品8を押し出すようにしてもよい。このような機械的手段68には、物品保持部材46の貫通凹部52に対して整合された伸張可能部材70を有するシリンダが含まれ得る。このようなシリンダは、例えば、空気圧シリンダまたは油圧シリンダであり得る。シリンダを駆動して伸張可能部材70を凹部52内まで伸張させることにより、車両ウィンドウ12の内側主面(表面に導電性材料20が配置されている)に物品52を接触させて結合させる目的のために、凹部52内に保持されている物品52を凹部52から排出させることができる。機械的手段はまた、物品保持部材46内に物品8を保持するために使用することもできる。
【0037】
物品保持部材46を構成要素として含む可動式アセンブリ補助具36を任意の適切な手段で駆動させることにより、物品保持部材46を、車両ウィンドウ12の内側主面14における、導電性材料20が設けられており、かつ1以上の誘導コイルアセンブリ28で加熱された1以上の部分に近位する位置へ変位させる。車両ウィンドウ12の内側主面の前記部分及び/または物品8を、物品8上に配置されたはんだを融解させるのに十分な温度まで加熱する。
【0038】
好適な構造では、物品保持部材46は、1以上の支持アーム44の第1の端部48に取り付けられている。1以上の支持アーム44の第2の端部42は、回転可能シャフト40に結合されている。回転可能シャフト40はまた、1以上のベアリングマウント38、またはアセンブリ取付具10の主要要素設置面24上に設置された同様の構造体を貫通している。回転可能シャフト40は、ベアリングマウント38に軸支されている。回転可能シャフト40の一端は、モータ54に連結されている。シャフト40を回転させると、アセンブリ補助具36、特に物品保持部材46が例えば最大約180°の回転角度で円弧状に変位し、それにより、物品保持部材46が車両ウィンドウ12の内側主面14の近位に位置することとなる。その後、物品8を、上述したようにして、物品保持部材46から排出させる。
【0039】
誘導コイルアセンブリ28への電圧印加を停止して車両ウィンドウ12及びはんだを冷却し、それにより、1以上の物品8を車両ウィンドウ12の内側主面14に結合させる。そして適切な時点で、1以上のガス式垂直方向位置決め弾性部材26を介した負圧ガスの印加を停止し、その後、完成した車両ウィンドウをアセンブリ取付具から取り外す。
【0040】
本願発明者は、上述した本発明の方法によって製作した場合、はんだの「濡れ広がり性(wetting out)」が向上するため、物品8と車両ウィンドウ12の加熱部分との間の結合領域が従来の方法と比較して著しく増加し、全結合可能面積の50%以上、好ましくは90%以上になることを見出した。さらに、誘導コイルアセンブリ28及びアセンブリ補助具36などの構成要素への摩擦も、従来の公知の方法と比較して減少することが分かった。加えて、はんだは、車両ウィンドウ12を挟んで誘導コイルアセンブリ28の反対側、すなわちアセンブリ補助具36側に配置されるので、誘導コイルアセンブリ28上に堆積しない。
【0041】
特許法の規定に従って、本発明の好適な実施形態を表すと考えられるものについて説明した。しかし、本発明はその趣旨または範囲から逸脱しない範囲で、具体的に例示および説明されたもの以外でも実施することができることに留意されたい。