(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザによる携行性が良く、また保管時にスペースを取らない折り畳み式の電子機器が開発されている。例えば、ノート型のパーソナルコンピュータは、液晶ディスプレイ等を設けたカバー部が、CPU、磁気ディスク、メモリ、キーボード等を設けた本体部に開閉自在に取り付けられている。液晶ディスプレイ及びキーボードは、カバー部を開くことによって露出し、操作可能になる。電子機器は、カバー部を閉じることによって全体がコンパクトに折り畳まれる。
【0003】
また、近年では、液晶ディスプレイにタッチパネルを付加した電子機器が開発されている。ユーザは、キーボードに加えてタッチパネルによっても電子機器を操作することができる。タッチパネルを付加した電子機器では、カバー部の開き角度が異なる使用方法が考えられている。従来と同様に、本体部を机上に置き、カバー部を130°程度開いた状態でキーボードを操作する使用方法のほか、カバー部を180°、315°、360°程度開いた状態で、主としてタッチパネルを操作する使用方法も可能になる。
【0004】
折り畳み式の電子機器では、カバー部を180°を超えて360°まで開閉可能とする場合、カバー部の筐体に第1軸部材を、本体部の筐体に第2軸部材をそれぞれ取り付け、両軸部材を平行に配置した二軸ヒンジ装置が利用されている。二軸ヒンジ装置は、動作の観点から、第1軸部材による回転と第2軸部材による回転が同期しない非同期型と、同期する同期型とがある。例えば、特許文献1には非同期型の二軸ヒンジ装置が、特許文献2及び特許文献3には同期型の二軸ヒンジ装置が開示されている。
【0005】
特許文献1に記載の二軸ヒンジ装置は、第1筐体に取り付けられる第1軸部材、第2筐体に取り付けられる第2軸部材、第1軸部材及び第2軸部材を連結する連結部材、第1軸部材と第2軸部材との間に配置され、選択的に回転を規制する規制部材を備える。規制部材は、第1軸部材と第2軸部材のいずれか一方が回転する際に、他方が回転しないように規制する。
【0006】
特許文献2に記載の二軸ヒンジ装置は、第1軸部材及び第2軸部材の周側部にそれぞれギアを設け、各ギアの間を直列に連結する2つの連結ギアを備える。第1軸部材と第2軸部材のいずれか一方が回転する際に、連結ギアによって回転が伝達され、他方が同期して回転する。
【0007】
特許文献3に記載の二軸ヒンジ装置は、第1筐体に取り付けられる環状の第1ヒンジ体、第2筐体に取り付けられ、第1ヒンジ体の側方に配置される環状の第2ヒンジ体、第1ヒンジ体及び第2ヒンジ体の周側部に沿うように掛け渡され、互いに交差する一対の紐又は帯状の連動帯を備える。第1ヒンジ体及び第2ヒンジ体は、一対の連動帯の張力によって、互いに逆方向に回転するように連動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の二軸ヒンジ装置では、第1筐体を第2筐体に対して180°開く際に、規制部材による規制のために、第1軸部材と第2軸部材のいずれか一方のみが回転する。第1筐体及び第2筐体には厚みがあるので、第1軸部材と第2軸部材のいずれか一方のみが180°回転して全体を平坦状にしようとしても、第1筐体及び第2筐体の厚みに応じた段差が生じてしまう。例えば、タッチパネルを内蔵する液晶ディスプレイが装着された第1筐体を第2筐体に対して180°回転させて平坦状にしても、第2筐体の厚みに応じた段差のために、該タッチパネルを押圧して入力操作を行う際に、ガタが生じてしまうという問題点がある。
【0010】
また、特許文献2に記載の二軸ヒンジ装置では、2つの連結ギアを組み込むために、該連結ギアの他、軸部品、該軸部品を支持するブラケットなどの部品点数が多くなり、さらに第1軸部材及び第2軸部材の周側部にそれぞれギアを設けるため、コスト高になる。また、2つの連結ギアを第1軸部材及び第2軸部材の周側部のそれぞれに設けたギアに嵌合させるので、3箇所で発生するバックラッシにより、第1筐体及び第2筐体の角度ずれが生じてしまうという問題点がある。
【0011】
また、特許文献3に記載の二軸ヒンジ装置では、紐又は帯状の連動帯に過大な応力が生じ、耐久性が低くなる可能性がある。電子機器の大きさに対して、二軸ヒンジ装置の第1ヒンジ体及び第2ヒンジ体の軸中心から連動帯の連結点までのうでの寸法は非常に小さい。このため、開閉する際に電子機器に加えられる力が、てこの原理により増幅され、連動帯に大きな応力が発生する。特に勢いよく電子機器を開閉したときに、連動帯を破損してしまう蓋然性がある。
【0012】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、二軸を同期回転することができ、ガタを生じにくく、さらには耐久性を向上させることができる二軸ヒンジ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る二軸ヒンジ装置は、周側部に第1案内部を設けた第1軸部材と、該第1軸部材と平行に配置されており、周側部に第2案内部を設けた第2軸部材と、前記第1案内部及び第2案内部に嵌合する嵌合部を有し、前記第1軸部材
の軸方向に摺動可能に支持されたスライド部材とを備えた二軸ヒンジ装置において、前記第1案内部及び第2案内部は互いに逆巻きの螺旋状に形成してあることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、第1軸部材の周側部に第1案内部が、第2軸部材の周側部に第2案内部が設けられており、第1軸部材と第2軸部材は平行に配置されている。第1案内部及び第2案内部に嵌合する嵌合部を有するスライド部材は第1軸部材
の軸方向に摺動する。第1案内部及び第2案内部は互いに逆巻きの螺旋状に形成してある。第1軸部材を回転させると、嵌合部が螺旋状の第1案内部によって案内され、スライド部材が第1軸部材
の軸方向に摺動する。スライド部材の摺動によって、逆巻きの螺旋状に形成した第2案内部に嵌合する嵌合部が第1軸部材
の軸方向に摺動することで、第2軸部材が第1軸部材の回転に同期して回転する。
【0015】
本発明に係る二軸ヒンジ装置は、前記第1案内部及び第2案内部が溝状に設けてあることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、第1案内部及び第2案内部は溝状であり、嵌合部が溝状の第1案内部及び第2案内部に嵌合しているので、連結ギアを用いた機構において生じるバックラッシに比較して、ガタを生じにくい。また、溝幅を広くすることによって嵌合部の外形寸法が大きくなり、嵌合部の強度が増すので、耐久性を向上させることができる。
【0017】
本発明に係る二軸ヒンジ装置は、前記第1案内部及び第2案内部が凸条形に設けてあることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、第1案内部及び第2案内部は凸条形に設けてあり、嵌合部が凸条形の第1案内部及び第2案内部に嵌合しているので、連結ギアを用いた機構において生じるバックラッシに比較して、ガタを生じにくい。また、幅広の凸条形とすることによって、第1案内部及び第2案内部の強度が増し、耐久性を向上させることができる。
【0019】
本発明に係る二軸ヒンジ装置は、前記第1軸部材の軸体に挿入され、周面に前記第1案内部を形成した第1筒体と、前記第2軸部材の軸体に挿入され、周面に前記第2案内部を形成した第2筒体とを備えたことを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては、周面に第1案内部を形成した第1筒体が第1軸部材の軸体に挿入されており、周面に第2案内部を形成した第2筒体が第2軸部材の軸体に挿入されている。第1軸部材及び第2軸部材とは別体に、周面に第1案内部を形成した第1筒体、及び周面に第2案内部を形成した第2筒体を設けることで、各部品の加工が容易になり、製造コストが抑えられる。
【0021】
本発明に係る二軸ヒンジ装置は、前記第1軸部材及び第2軸部材を回転可能に支持して連結する連結部材と、該連結部材に支持されており、前記スライド部材を摺動可能に支持する第3軸部材とを備えたことを特徴とする。
【0022】
本発明にあっては、連結部材により、第1軸部材及び第2軸部材を回転可能に支持し、さらにスライド部材を摺動可能に支持する第3軸部材も支持するので、機構部の構成が簡素化される。
【0023】
本発明に係る二軸ヒンジ装置は、前記第1案内部及び第2案内部は、螺旋のリード角が20°〜45°であることを特徴とする。
【0024】
本発明にあっては、第1案内部及び第2案内部の螺旋のリード角が20°〜45°であるので、第1軸部材及び第2軸部材の回転角のずれが抑制され、第1軸部材及び第2軸部材の回転時の抵抗が抑制される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、第1軸部材の周側部に第1案内部が、第2軸部材の周側部に第2案内部が設けられており、第1軸部材と第2軸部材は平行に配置されている。第1案内部及び第2案内部に嵌合する嵌合部を有するスライド部材は第1軸部材
の軸方向に摺動する。第1案内部及び第2案内部は互いに逆巻きの螺旋状に形成してある。第1軸部材を回転させると、嵌合部が螺旋状の第1案内部によって案内され、スライド部材が第1軸部材
の軸方向に摺動する。スライド部材の摺動によって、逆巻きの螺旋状に形成した第2案内部に嵌合する嵌合部が第1軸部材
の軸方向に摺動することで、第2軸部材を第1軸部材の回転に同期して回転させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る二軸ヒンジ装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る二軸ヒンジ装置1を用いた電子機器100の外観を示す斜視図であり、
図2は本発明の実施の形態1に係る二軸ヒンジ装置1を用いた電子機器100を所定の各角度に開閉した状態での外観を示す斜視図である。電子機器100は、例えばノート型のパーソナルコンピュータであり、携帯情報端末、電子手帳、電子辞書、携帯型ゲーム機、携帯電話機など、その他の折り畳み式の機器であっても良い。
【0029】
電子機器100は、カバー部110、本体部120、及び二軸ヒンジ装置1を備える。カバー部110は、液晶ディスプレイ111、及び液晶ディスプレイ111を装着するカバー部筐体113を有する。液晶ディスプレイ111は、情報処理されたデータ、文字、画像などを表示面112に表示する液晶パネル、表示面112に接触することにより入力操作が行えるタッチパネル等(図示略)を有する。カバー部筐体113は矩形状をなし、液晶ディスプレイ111の周縁部及び表示面112と反対側の面を覆う。
【0030】
本体部120は、キーボード121、タッチパッド122、及び本体部筐体123を有する。キーボード121及びタッチパッド122は、操作部分が露出するように本体部筐体123に装着されている。本体部筐体123は矩形状をなし、内部にCPU、磁気ディスク、メモリ等(図示略)を収容する。二軸ヒンジ装置1は、カバー部筐体113及び本体部筐体123の対応する一辺の両端部にそれぞれ1つずつ取り付けられている。カバー部110は、二軸ヒンジ装置1によって、本体部120に対して0°から360°まで開閉動作が可能である。
【0031】
図1は、カバー部110の開き角度を135°に設定した状態を示している。一般的にこの状態で、ユーザは液晶ディスプレイ111の表示面112を視認し、キーボード121及びタッチパッド122を用いて入力操作を行う。
図2Aは、カバー部110の開き角度を0°に設定した状態、即ちカバー部110を閉じた状態を示している。この状態で、液晶ディスプレイ111が外部から遮蔽されて保護されるとともに、電子機器100がコンパクトに折り畳まれるので、電子機器100の保管が容易になる。
【0032】
図2Bは、カバー部110の開き角度を180°に設定した状態を示している。この状態で、カバー部110及び本体部120の両方を机上に平坦に置くことによって、液晶ディスプレイ111に設けたタッチパネルへの入力操作時における電子機器100のガタが抑制される。従って、カバー部110の開き角度を180°に設定した状態は、液晶ディスプレイ111に設けたタッチパネルへの入力操作により電子機器100を使用する方法に適する。
【0033】
図2Cは、カバー部110の開き角度を315°に設定した状態を示している。この状態で、二軸ヒンジ装置1が設けられたカバー部110及び本体部120それぞれの一辺側を上に、カバー部110及び本体部120それぞれの対辺側を下にして机上に置くことで、液晶ディスプレイ111に設けたタッチパネルへの入力操作時の転倒が抑制される。従って、カバー部110の開き角度を315°に設定した状態は、液晶ディスプレイ111に設けたタッチパネルへの入力操作を行う電子機器100の使用方法、さらには液晶ディスプレイ111に表示される動画等を鑑賞する電子機器100の使用方法に適する。
【0034】
図2Dは、カバー部110の開き角度を360°に設定した状態を示している。この状態で、カバー部110を上に、本体部120を下にして机上に置くことで、液晶ディスプレイ111に設けたタッチパネルへの入力操作が容易になる。従って、カバー部110の開き角度を360°に設定した状態は、液晶ディスプレイ111に設けたタッチパネルへの入力操作を行う電子機器100の使用方法に適する。
【0035】
図3は本発明の実施の形態1に係る二軸ヒンジ装置1の外観を示す斜視図、
図4は二軸ヒンジ装置1の分解斜視図、
図5は二軸ヒンジ装置1の正面図、
図6はスライド部材33の外観を示す斜視図である。尚、
図5においてスライド部材33は軸方向の断面で示している。二軸ヒンジ装置1は、ブラケット11及び21、第1軸部材12、第2軸部材22、第1カム筒13、第2カム筒23、連結部材31及び34、第3軸部材32、並びにスライド部材33等を備える。ブラケット11は、矩形板状をなし、第1軸部材12の端部を取り付ける座部11aを有しており、板面11bをカバー部筐体113の当接部分に接触させ、螺子等の締結具によりカバー部筐体113に取り付けられる。ブラケット21は、L字形の板状をなし、第2軸部材22の端部を取り付ける座部21aを有しており、板面21bを本体部筐体123の当接部分に接触させ、螺子等の締結具により本体部筐体123に取り付けられる。
【0036】
第1軸部材12は、軸体12bの一端に取付部12aを有しており、取付部12aをブラケット11の座部11aへ接触させ、螺子等の締結具によりブラケット11に取り付けられる。第1軸部材12は、ブラケット11に対して軸線まわりの回転が拘束されている。軸体12bは、取付部12aを設けた一端側から先端部12cに亘って、周面の一部を切除した平坦面を有している。軸体12bに挿入する部品は、該平坦面に接触する平坦面が形成されていることで回り止めとなる。
【0037】
第2軸部材22は、軸体22bの一端に柱状の取付部22aを有しており、取付部22aをブラケット21の座部21aに設けた取付穴に差し込み、取付部22aの先端をかしめてブラケット21に取り付けられる。取付部22aの周面、及び座部21aに設けた取付穴の内周面には、互いに接触する平坦面が形成されており、第2軸部材22はブラケット21に対して軸線まわりの回転が拘束されている。軸体22bは、取付部22aを設けた一端側から先端部22cに亘って、周面の一部を切除した平坦面を有する。軸体22bに挿入する部品は、該平坦面に当接する平坦面が形成されていることで回り止めとなる。
【0038】
連結部材31は、長円板状をなし、長手方向の両端部に貫通穴を有する。連結部材31は、一方の貫通穴に第1軸部材12の軸体12bが、他方の貫通穴に第2軸部材22の軸体22bが挿通され、第1軸部材12及び第2軸部材22を連結する。また、第1軸部材12及び第2軸部材22の軸間距離は、両方の貫通穴の中心間の寸法によって決まり、一定に保たれる。第1軸部材12及び第2軸部材22は、連結部材31によって軸線まわりに回転可能に支持されている。また、連結部材31は、中央部に第3軸部材32を取り付けるための取付穴を有し、該取付穴の内周面には平坦面31aが形成されている。2つの摩擦用ワッシャ41は、連結部材31の両面を挟さむように軸体12bに挿入されている。同様に2つの摩擦用ワッシャ51は、連結部材31の両面を挟さむように軸体22bに挿入されている。摩擦用ワッシャ41及び51は、内周面に回り止め用の平坦面が設けてある。
【0039】
第1カム筒13は、円筒状をなし、周面13aにU字溝状のカム溝13bが形成されている。カム溝13bは、周面13aを螺旋状に巻回する形状で、半周(筒端から見て中心軸まわりに180°)よりもやや大きい角度に亘って設けられている。第1カム筒13は、内周面に平坦面13cが設けてあり、第1軸部材12の軸体12bに挿入した状態で軸線まわりの回転が軸体12bに拘束され、第1軸部材12と一体的に軸線まわりに回転する。第1軸部材12における軸体12bの周側部に第1カム筒13のカム溝13bが設けられ、第1軸部材12の軸線まわりの回転に伴って、カム溝13bも回転する。尚、カム溝13bは本発明の第1案内部に相当する。第1カム筒13は本発明の第1筒体に相当する。
【0040】
第2カム筒23は、第1カム筒13と同様に、円筒状をなし、周面23aにU字溝状のカム溝23bが形成されている。カム溝23bは、周面23aを螺旋状に巻回する形状で、半周(筒端から見て中心軸まわりに180°)よりもやや大きい角度に亘って設けられている。第2カム筒23は、内周面に平坦面23cが設けてあり、第2軸部材22の軸体22bに挿入した状態で軸線まわりの回転が軸体22bに拘束され、第2軸部材22と一体的に軸線まわりに回転する。第2軸部材22における軸体22bの周側部に第2カム筒23のカム溝23bが設けられ、第2軸部材22の軸線まわりの回転に伴って、カム溝23bも回転する。尚、カム溝23bは本発明の第2案内部に相当する。第2カム筒23は本発明の第2筒体に相当する。
【0041】
図5を参照し、カム溝13b及びカム溝23bについて詳述する。カム溝13b及びカム溝23bは、互いに逆巻きにそれぞれ周面13a及び周面23aを螺旋状に巻回する形状で設けられている。また、カム溝13b及びカム溝23bのリード及びリード角は同一である。リードは螺旋が1周したときの軸方向の距離であり、リード角は軸垂直断面からの螺旋の傾きの角度である。第1カム筒13を第1軸部材12の軸体12bに挿入し、第2カム筒23を第2軸部材22の軸体22bに挿入した状態で、カム溝13b及びカム溝23bのうち正対する箇所それぞれの筒端からの距離L1及び距離L2が等しくなるように構成されている。
【0042】
カム溝13b及びカム溝23bのリード角は、例えば20°から45°の範囲で設けると良く、30°程度とするのが好適である。カム溝13b及びカム溝23bにはそれぞれ、後述するように、スライド部材33の突起部33c及び突起部33dが嵌め合わされており、嵌め合い公差によって、第1カム筒13及び第2カム筒23の周方向への遊びが生じる。リード角を20°より小さくすると、遊びが大きくなり、第1軸部材12及び第2軸部材22の回転角のずれが大きくなる。リード角を20°以上とすることで、遊びが小さくなり、第1軸部材12及び第2軸部材22の回転角のずれを小さく抑えることができる。一方、リード角を45°より大きくすると、突起部33c及び突起部33dそれぞれがカム溝13b及びカム溝23bを移動する際に生じる抵抗が大きくなり、カバー部110が開きにくくなる。リード角を45°以下とすることで、第1軸部材12及び第2軸部材22の回転時の抵抗が抑制され、スムーズにカバー部110を開くことができる。第1軸部材12及び第2軸部材22の回転角のずれの許容性、並びにカバー部110の開き易さを考慮すると、カム溝13b及びカム溝23bのリード角は30°程度とするのが好適である。
【0043】
連結部材34は、長円板状をなし、長手方向の両端部に貫通穴を有している。連結部材34は、一方の貫通穴に第1軸部材12の軸体12bが、他方の貫通穴に第2軸部材22の軸体22bが挿通され、第1軸部材12及び第2軸部材22を連結する。また、第1軸部材12及び第2軸部材22の軸間距離は、両方の貫通穴の中心間の寸法によって決まり、一定に保たれる。連結部材34の長手方向の両端部に設けた貫通穴の中心間の寸法は、連結部材31の長手方向の両端部に設けた貫通穴の中心間の寸法と同一であり、第1軸部材12及び第2軸部材22は、それぞれの軸線が平行になるように配置されている。
【0044】
第1軸部材12及び第2軸部材22は、連結部材34によって軸線まわりに回転可能に支持されている。また、連結部材34は、中央部に第3軸部材32を取り付けるための取付穴を有し、該取付穴の内周面には平坦面34aが形成されている。連結部材34の第1カム筒13側には、摩擦用ワッシャ41と同等な摩擦用ワッシャ42が軸体12bに挿入されており、同様に摩擦用ワッシャ51と同等な摩擦用ワッシャ52が軸体22bに挿入されている。連結部材34の第1カム筒13と反対側には、位置決めワッシャ43、複数の皿ばね44、ワッシャ45が軸体12bに挿入され、位置決めワッシャ53、複数の皿ばね54、ワッシャ55が軸体22bに挿入されている。第1軸部材12及び第2軸部材22は、それぞれの先端部12c及び先端部22cを鍔状にかしめて抜け止めする。
【0045】
第3軸部材32は、軸線方向のほぼ全長に亘って、周面を切除した平坦面32aを有する。第3軸部材32は、連結部材31及び連結部材34それぞれの中央部に設けた取付穴に端部が挿通され、取り付けられている。第3軸部材32は、平坦面32aが連結部材31側の平坦面31a及び連結部材34側の平坦面34aに当接することにより、連結部材31及び連結部材34に対して軸線まわりの回転が拘束される。第3軸部材32は、第1軸部材12及び第2軸部材22と平行に、第1軸部材12及び第2軸部材22の各軸線間の中央に配置されている。
【0046】
スライド部材33は筒状をなし、周面33aに突起部33cを、周面33bに突起部33d(
図6参照)を有する。周面33aは第1カム筒13の周面13aに沿う湾曲した凹面形状を有する。同様に、周面33bは第2カム筒23の周面23aに沿う湾曲した凹面形状を有する。突起部33cは円錐台状をなし、カム溝13bに嵌合する。同様に、突起部33dは円錐台状をなし、カム溝23bに嵌合する。スライド部材33は、第3軸部材32に挿入されており、内周面に設けた平坦面33eが第3軸部材32の平坦面32aに当接し、第3軸部材32に対して軸線まわりの回転が拘束されている。また、スライド部材33は、第1軸部材12及び第2軸部材22に沿って、第3軸部材32の軸体に摺動可能に支持されている。尚、突起部33c及び突起部33dは本発明の嵌合部に相当する。
【0047】
位置決めワッシャ43及び位置決めワッシャ53は、内周面に回り止め用の平坦面を有し、連結部材34に対向する面に凸部が形成されている。連結部材34の長手方向の両端部に設けた貫通穴の縁部には、該凸部が嵌まる凹部が設けられている。位置決めワッシャ43及び位置決めワッシャ53に設けた凸部は、カバー部110の開き角度を0°に設定する直前の角度(例えば5°程度の角度)で、連結部材34に設けた凹部に嵌まり始める。また、位置決めワッシャ43及び位置決めワッシャ53に設けた凸部は、カバー部110の開き角度を360°に設定する直前の角度(例えば355°程度の角度)で、連結部材34に設けた別の凹部に嵌まり始める。カバー部110及び本体部120は、皿ばね44及び54の押圧力に基づいて、開き角度が0°又は360°になる方向に付勢力を受ける。
【0048】
次に二軸ヒンジ装置1の動作について説明する。
図7は二軸ヒンジ装置1を所定の各角度に回転した状態での外観を示す斜視図である。
【0049】
図7Aは、第1軸部材12及び第2軸部材22の回転角度が0°の状態を示している。この状態で、二軸ヒンジ装置1を用いる電子機器100は、カバー部110の開き角度を0°に設定した状態、即ちカバー部110を閉じた状態になっている。スライド部材33は、第3軸部材32上における第1軸部材12の先端部12c側に位置し、カバー部110を開いていくと、フランジ11側に移動していく。尚、第1カム筒13及び第2カム筒23を両筒端が逆に位置するように組み立てた場合、スライド部材33は、第3軸部材32上におけるフランジ11側に位置し、カバー部110を開いていくと、第1軸部材12の先端部12c側に移動していく。
【0050】
図7Bは、第1軸部材12及び第2軸部材22の回転角度が各67.5°であり、全体として135°開いた状態を示している。スライド部材33は、第3軸部材32上を第1軸部材12の先端部12c側からフランジ11側にスライド移動した位置にある。上述のように、第1軸部材12に設けたカム溝13b及び第2軸部材22に設けたカム溝23bは、互いに逆巻きにそれぞれ周面13a及び周面23aを螺旋状に巻回し、軸方向ピッチは同一である。このため、第1軸部材12及び第2軸部材22の回転角度は同期し、同じ角度だけ回転する。この状態で、二軸ヒンジ装置1を用いる電子機器100は、カバー部110の開き角度を135°に設定した状態になっている。
【0051】
図7Cは、第1軸部材12及び第2軸部材22の回転角度が各90°であり、全体として180°開いた状態を示している。スライド部材33は、第3軸部材32上をさらにフランジ11側にスライド移動した位置にある。また、第1軸部材12及び第2軸部材22の回転角度は同期し、同じ角度だけ回転する。この状態で、二軸ヒンジ装置1を用いる電子機器100は、カバー部110の開き角度を180°に設定した状態になっており、カバー部110及び本体部120が平坦になる。
【0052】
図7Dは、第1軸部材12及び第2軸部材22の回転角度が各157.5°であり、全体として315°開いた状態を示している。スライド部材33は、第3軸部材32上をさらにフランジ11側にスライド移動した位置にある。また、第1軸部材12及び第2軸部材22の回転角度は同期し、同じ角度だけ回転する。この状態で、二軸ヒンジ装置1を用いる電子機器100は、カバー部110の開き角度を315°に設定した状態になっている。
【0053】
図7Eは、第1軸部材12及び第2軸部材22の回転角度が各180°であり、全体として360°開いた状態を示している。スライド部材33は、第3軸部材32上をさらにフランジ11側にスライド移動した位置にある。また、第1軸部材12及び第2軸部材22の回転角度は同期し、同じ角度だけ回転する。この状態で、二軸ヒンジ装置1を用いる電子機器100は、カバー部110の開き角度を360°に設定した状態になっており、カバー部110及び本体部120が完全に折り返されている。
【0054】
図7Aから
図7Eまでの一連の回転において、皿ばね44の押圧力に基づいて生じる連結部材31及び摩擦用ワッシャ41間の摩擦力と、連結部材34及び摩擦用ワッシャ42間の摩擦力とによって、第1軸部材12の回転角度は任意の角度で保持される。同様に、皿ばね54の押圧力に基づいて生じる連結部材31及び摩擦用ワッシャ51間の摩擦力と、連結部材34及び摩擦用ワッシャ52間の摩擦力とによって、第2軸部材22の回転角度は任意の角度で保持される。
【0055】
図8は、二軸ヒンジ装置1を用いた電子機器100を315°開いた状態での外観を示す斜視図である。二軸ヒンジ装置1を設けたカバー部110及び本体部120それぞれの一辺側を上に、カバー部110及び本体部120それぞれの対辺側を下にして机上に置いたとき、連結部材31及び連結部材34の長手方向が水平になり、カバー部110及び本体部120の傾斜角度が同じになる。このため、電子機器100が転倒しにくくなり、外観上も安定感がありデザイン的にもよい。
【0056】
以上のとおり、本実施形態によれば、第1軸部材12の周側部に第1カム筒13のカム溝13bが設けられ、第2軸部材22の周側部に第2カム筒23のカム溝23bが設けられており、第1軸部材12と第2軸部材22は平行に配置されている。カム溝13b及びカム溝23bに嵌合する突起部33c及び突起部33dを有するスライド部材33は第1軸部材12に沿って摺動する。カム溝13b及びカム溝23bは互いに逆巻きの螺旋状に形成してある。第1軸部材12を回転させると、突起部33cが螺旋状のカム溝13bによって案内され、スライド部材33が第1軸部材12に沿って摺動する。スライド部材33の摺動によって、逆巻きの螺旋状に形成したカム溝23bに嵌合する突起部33dが第1軸部材12に沿って摺動することで、第1軸部材12の回転に同期して第2軸部材22を回転させることができる。
【0057】
また、突起部33cが螺旋状のカム溝13bに嵌合し、突起部33dがカム溝23bに嵌合しているので、連結ギアを用いた連結によって生じるバックラッシに比較して、ガタを生じにくい。また、カム溝13b及びカム溝23bの溝幅を広くすることによって、突起部33c及び突起部33dの外形寸法が大きくなり強度が増すので、耐久性を向上させることができる。
【0058】
また、第1軸部材12及び第2軸部材22とは別体に、周面にカム溝を形成した第1カム筒13及び第2カム筒23を設けることで、各部品の加工が容易になり、製造コストを抑えることができる。
【0059】
また、連結部材31及び連結部材34により、第1軸部材12及び第2軸部材22を回転可能に支持するとともに、スライド部材33を摺動可能に支持する第3軸部材32も支持するので、機構部の構成が簡素化される。
【0060】
(実施の形態2)
実施の形態1では、第1カム筒13及び第2カム筒23にカム溝を180°程度形成した場合を示したが、実施の形態2では、カム溝を90°程度形成する構成とする。
図9は、本発明の実施の形態2に係る二軸ヒンジ装置1の第1カム筒13及び第2カム筒23の外観を示す斜視図である。尚、実施の形態2における第1カム筒13及び第2カム筒23以外の二軸ヒンジ装置1の構成及び動作は、実施の形態1における二軸ヒンジ装置1の構成及び動作と同等であり、記載の簡潔化のため、説明を省略する。
【0061】
図9に示す第1カム筒13は、実施の形態1における第1カム筒と同様に、円筒状をなし、周面13aにU字溝状のカム溝13bが形成されている。カム溝13bは、周面13aを螺旋状に巻回する形状で、1/4周(筒端から見て中心軸まわりに90°)よりもやや大きい角度に亘って設けられている。第1カム筒13は、内周面に平坦面13cが設けてあり、第1軸部材12の軸体12bに挿入した状態で軸線まわりの回転が軸体12bに拘束され、第1軸部材12と一体的に軸線まわりに回転する(
図4参照)。第1軸部材12における軸体12bの周側部に第1カム筒13のカム溝13bが設けられ、第1軸部材12の軸線まわりの回転に伴って、カム溝13bも回転する。
【0062】
第2カム筒23は、第1カム筒13と同様に、円筒状をなし、周面23aにU字溝状のカム溝23bが形成されている。カム溝23bは、周面23aを螺旋状に巻回する形状で、1/4周(筒端から見て中心軸まわりに90°)よりもやや大きい角度に亘って設けられている。第2カム筒23は、内周面に平坦面23cが設けてあり、第2軸部材22の軸体22bに挿入した状態で軸線まわりの回転が軸体22bに拘束され、第2軸部材22と一体的に軸線まわりに回転する(
図4参照)。第2軸部材22における軸体22bの周側部に第2カム筒23のカム溝23bが設けられ、第2軸部材22の軸線まわりの回転に伴って、カム溝23bも回転する。
【0063】
カム溝13b及びカム溝23bは、互いに逆巻きにそれぞれ周面13a及び周面23aを螺旋状に巻回する形状で設けられている。また、カム溝13b及びカム溝23bのリード及びリード角は同一である。実施の形態1と同様に、カム溝13b及びカム溝23bのリード角は、例えば20°から45°の範囲で設けると良く、30°程度とするのが好適である。カム溝13b及びカム溝23bが、1/4周分設けてあるので、二軸ヒンジ装置1は、0°から180°まで開閉することができる。カバー部110と本体部120との開き角度を180°まで使用する電子機器100についても、カム溝13b及びカム溝23bを1/4周よりもやや大きい角度に亘って設け、カバー部110と本体部120とを同期して回転させることができる。
【0064】
(実施の形態3)
実施の形態1及び2では、第1カム筒13及び第2カム筒23にカム溝を形成する場合を示したが、実施の形態3では、凸条形をなすカムを形成する構成とする。
図10は本発明の実施の形態3に係る二軸ヒンジ装置1の正面図、
図11はスライド部材33の外観を示す斜視図である。
図10においてスライド部材33は軸方向の断面で示している。尚、実施の形態3における第1カム筒13、第2カム筒23、スライド部材33以外の二軸ヒンジ装置1の構成及び動作は、実施の形態1における二軸ヒンジ装置1の構成及び動作と同等であり、記載の簡潔化のため、説明を省略する。
【0065】
第1カム筒13は、実施の形態1における第1カム筒と同様に円筒状をなす。第1カム筒13は、周面13aに凸条形のカム61が形成されている。カム61は、周面13aを螺旋状に巻回する形状で、半周(筒端から見て中心軸まわりに180°)よりもやや大きい角度に亘って設けられている。第1カム筒13は、内周面に平坦面13cが設けてあり、第1軸部材12の軸体12bに挿入した状態で軸線まわりの回転が軸体12bに拘束され、第1軸部材12と一体的に軸線まわりに回転する(
図4参照)。第1軸部材12における軸体12bの周側部に第1カム筒13のカム61が設けられ、第1軸部材12の軸線まわりの回転に伴って、カム61も回転する。尚、カム61は本発明の第1案内部に相当する。
【0066】
第2カム筒23は、実施の形態1における第2カム筒と同様に円筒状をなす。第2カム筒23は、周面23aに凸条形のカム62が形成されている。カム62は、周面23aを螺旋状に巻回する形状で、半周(筒端から見て中心軸まわりに180°)よりもやや大きい角度に亘って設けられている。第2カム筒23は、内周面に平坦面23cが設けてあり、第2軸部材22の軸体22bに挿入した状態で軸線まわりの回転が軸体22bに拘束され、第2軸部材22と一体的に軸線まわりに回転する(
図4参照)。第2軸部材22における軸体22bの周側部に第2カム筒23のカム62が設けられ、第2軸部材22の軸線まわりの回転に伴って、カム62も回転する。尚、カム62は本発明の第2案内部に相当する。
【0067】
カム61及びカム62は、互いに逆巻きにそれぞれ周面13a及び周面23aを螺旋状に巻回する形状で設けられている。また、カム61及びカム62のリード及びリード角は同一である。実施の形態1と同様に、カム61及びカム62のリード角は、例えば20°から45°の範囲で設けると良く、30°程度とするのが好適である。第1カム筒13を第1軸部材12の軸体12bに挿入し、第2カム筒23を第2軸部材22の軸体22bに挿入した状態で、カム61及びカム62のうち正対する箇所それぞれの筒端からの距離が等しくなるように構成されている。
【0068】
スライド部材33は筒状をなし、周面71aに溝部71bを、周面72aに溝部72bを有する。周面71aは第1カム筒13の周面13aに対向し、周面72aは第2カム筒23の周面23aに対向する。溝部71bはU字溝状をなし、カム61に嵌合する。同様に、溝部72bはU字溝状をなし、カム62に嵌合する。スライド部材33は、第3軸部材32に挿入されており、内周面に設けた平坦面33eが第3軸部材32の平坦面32aに当接し、第3軸部材32に対して軸線まわりの回転が拘束されている(
図4参照)。また、スライド部材33は、第1軸部材12及び第2軸部材22に沿って、第3軸部材32の軸体に摺動可能に支持されている。尚、溝部71b及び溝部72bは本発明の嵌合部に相当する。
【0069】
以上のように、第1カム筒13に凸条形のカム61を、第2カム筒23に凸条形のカム62を形成し、スライド部材33に溝部71b及び溝部72bを設けることで、第1軸部材12及び第2軸部材22を同期して回転させ、0°から360°開閉動作を行わせることができる。さらに、カム61及びカム62を実施の形態2と同様に1/4周(筒端から見て中心軸まわりに90°)よりもやや大きい角度に亘って形成するようにしてもよい。
【0070】
また、第1カム筒13に形成した凸条形のカム61と溝部71bとが嵌合し、第2カム筒23に形成した凸条形のカム62と溝部72bが嵌合しているので、連結ギアを用いた機構において生じるバックラッシに比較して、ガタを生じにくい。また、幅広の凸条形とすることによって、カム61及びカム62の強度が増し、耐久性を向上させることができる。
【0071】
(変形例)
上述の実施形態では、第3軸部材32は、第1軸部材12及び第2軸部材22と平行に、第1軸部材12及び第2軸部材22の各軸線間の中央に配置する構成としたが、該中央からオフセットした位置に配置する構成としてもよい。第1軸部材12及び第2軸部材22の軸線間の距離が小さく、部品寸法及び強度の都合上、第1軸部材12及び第2軸部材22間に第3軸部材32を配置できない場合に好適である。
【0072】
また、実施の形態1におけるカム溝13b及びカム溝23bは、第1カム筒13を第1軸部材12の軸体12bに挿入し、第2カム筒23を第2軸部材22の軸体22bに挿入した状態で、カム溝13b及びカム溝23bのうち正対する箇所それぞれの筒端からの距離L1及び距離L2を等しくする例を示したが、正対する箇所が軸線方向にオフセットしていてもよい。カム溝13b及びカム溝23bに嵌合する突起部33c及び突起部33dを軸線方向に同等にオフセットしてスライド部材33に設けることで、第1軸部材12と第2軸部材22を同期して回転させることが可能である。
【0073】
上述の実施形態では、第1カム筒13、第2カム筒23、及びスライド部材33に形成する各溝の形状としてU字溝状を例としたが、これに限ることなくV字溝状等のその他の形状としてもよい。また、スライド部材33に形成する突起部33c及び突起部33dの形状として円錐台状を例としたが、これに限ることなく円柱状等のその他の形状としてもよい。
【0074】
尚、本発明は、上述の実施形態に限ることなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術範囲及びそれと均等な範囲に及ぶものとする。