特許第6397201号(P6397201)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397201
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】車両用の空気吹出装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   B60H1/34 611B
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-71649(P2014-71649)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-193298(P2015-193298A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2017年3月1日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】308016242
【氏名又は名称】豊和化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥野 勝章
(72)【発明者】
【氏名】松沢 洋介
【審査官】 佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−312396(JP,A)
【文献】 特開平07−266865(JP,A)
【文献】 特開2004−245488(JP,A)
【文献】 特開2001−088544(JP,A)
【文献】 特開平05−147425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の吹出口を画成すると共に風向調整板が内蔵された吹出口ユニットと、空気の流路を画成すると共に前記吹出口ユニットを相対移動不能に支持する支持体と、を備えた、車両用の空気吹出装置であって、
前記吹出口ユニットは、
前記吹出口を開口端とする四角筒状の枠体、及び、前記開口端の近傍において前記枠体の軸線に直交する回動軸周りに回動可能に支持された前記風向調整板を有し、
前記枠体は、
前記風向調整板の回動軸に平行な一対の内壁面であって、前記開口端の近傍において前記開口端に近づくにつれて該枠体の軸線に近づくように傾斜した一対の内壁面を有し、
前記支持体は、
前記流路を中空部とする筒体であって、前記筒体の内壁面に前記吹出口ユニットを支持するための支持部を有し、前記筒体の外壁面に該空気吹出装置を車両内装部に取り付けるための取付部を有
前記風向調整板が、第1位置から第2位置までの範囲内で回動可能な場合において、
前記風向調整板が前記第1位置にあるとき、前記風向調整板と、前記一対の内壁面のうちの一方の内壁面と、が平行であり、
前記風向調整板が前記第2位置にあるとき、前記風向調整板と、前記一対の内壁面のうちの他方の内壁面と、が平行であり、
前記第1位置及び前記第2位置にあるときに前記一対の内壁面のうちの前記一方の内壁面及び前記他方の内壁面にそれぞれ平行となる前記風向調整板は、前記枠体の軸線に直交する回動軸周りに回動可能に支持された1枚の風向調整板である、
車両用の空気吹出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空気吹出装置において、
前記吹出口ユニットが、前記風向調整板を回動操作するための機構の全てを内蔵する、
車両用の空気吹出装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の空気吹出装置において、
前記支持体が、該空気吹出装置が取り付けられる車両及び車両内の位置の少なくとも一方に対応して異なる形状を有し、
前記吹出口ユニットが、該空気吹出装置が取り付けられる及び車両内の位置のいずれにも依らない所定の形状を有する、
車両用の空気吹出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の空気吹出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両(自動車等)の室内の環境を調整することを目的とし、冷暖房用の空気を供給する際に吹き出される空気の流れ方向等を調整できる空気吹出装置が提案されている。
【0003】
従来の空気吹出装置の一つ(以下「従来装置」という。)は、空気の流路を画成するリテーナと、リテーナの内側に回動可能に支持される複数の風向調整板と、を備えている。従来装置は、それら複数の風向調整板の回動角度を調整することにより、空気吹出装置から吹き出される空気の流れ方向を調整できるようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。以下、便宜上、空気吹出装置から吹き出される空気の流れは「吹き出し空気流」と称呼される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−160981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両用の空気吹出装置は、従来装置に例示されるように、一般に、複数の独立した部材(例えば、リテーナ、風向調整板、及び、風向調整板の回動角度を調整するための機構等)によって構成される。そこで、これら部材を空気吹出装置が取り付けられる車両(車種)ならびに車両内の位置(運転席周辺、助手席周辺および後部座席周辺など)に対応した形状を有するように設計して順次組み付けることにより、任意の車両および車両内の位置に対応した形状の空気吹出装置を製造することが可能となっている。以下、便宜上、車両および車両内の位置を「車両等」と総称する。
【0006】
しかし、上述した製造過程を経ることから、空気吹出装置を製造するためには、複数の部材を車両等ごとに異なる金型等を用いて準備する必要があるだけでなく、それら部材を多くの工程を経て組み付ける必要がある。そのため、一般に、対応すべき車両等の種類が増えるにつれて準備すべき空気吹出装置の部材の数が増大するだけでなく、それら部材を組み付ける工程の数も増大する。即ち、空気吹出装置の製造は、性能が同一の空気吹出装置を製造する場合であっても、対応すべき車両等の種類が増えるにつれて煩雑となる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、対応すべき車両等の種類が増えた場合であっても簡易に製造することが可能な、車両用の空気吹出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明に係る車両用の空気吹出装置は、空気の吹出口を画成すると共に風向調整板が内蔵された「吹出口ユニット」と、空気の流路を画成すると共に前記吹出口ユニットを相対移動不能に支持する「支持体」と、を備える。
【0009】
具体的には、前記吹出口ユニットは、前記吹出口を開口端とする四角筒状の「枠体」、及び、前記開口端の近傍において前記枠体の軸線に直交する回動軸周りに回動可能に支持された前記「風向調整板」を有する、ように構成されている。
【0010】
更に、前記枠体は、前記風向調整板の回動軸に平行な「一対の内壁面」を有する、ように構成されている。より具体的には、前記「一対の内壁面」は、前記開口端の近傍において、前記開口端に近づくにつれて該枠体の軸線に近づくように傾斜している。
【0011】
加えて、前記支持体は、前記流路を中空部とする筒体であって、前記筒体の内壁面に前記吹出口ユニットを支持するための「支持部」を有し、前記筒体の外壁面に該空気吹出装置を車両内装部に取り付けるための「取付部」を有する、ように構成されている。
【0012】
上記構成によれば、「風向調整板が内蔵された吹出口ユニット」に空気吹出装置としての機能(例えば、吹き出し空気流の流れ方向を調整する機能等)を担わせると共に、「吹出口ユニットを相対移動不能に支持」しつつ「空気吹出装置を車両内装部に取り付けるための取付部を外壁面に」有する「支持体」を対応すべき車両等ごとに異なる形状に形成することができる。換言すると、吹出口ユニットを汎用の形状としつつ、支持体を車両等ごとに固有の形状とすることができる。その結果、空気吹出装置を構成する全ての部材を対応すべき車両等ごとに準備する場合に比べ、準備すべき部材の数を低減することができる。
【0013】
更に、吹出口ユニットに「風向調整板が内蔵され」ている(即ち、複数の部材を予め一体に形成している)ので、吹出口ユニットと支持体とを「支持部」を介して組み付けるだけで空気吹出装置を製造することができる。その結果、空気吹出装置を構成する全ての部材を個別に順次組み付ける場合に比べ、空気吹出装置を製造する工程の数を低減することができる。
【0014】
加えて、吹出口ユニットが「四角筒状の枠体」に風向調整板を設けるように形成されているので、吹出口ユニットの剛性が高まり、吹出口ユニットと支持体とを組み付ける工程自体も容易となる。
【0015】
したがって、本発明に係る空気吹出装置は、対応すべき車両等の種類が増えた場合であっても簡易に製造することが可能な構成を有する。
【0016】
ところで、本発明の空気吹出装置において、枠体は「前記風向調整板の回動軸に平行」であり且つ「前記開口端の近傍において前記開口端に近づくにつれて該枠体の軸線に近づくように傾斜した」一対の内壁面を有している。そのため、枠体の内側を吹出口に向かって流れる空気は、開口端の近傍において、枠体の軸線に向かって集められる。その結果、「開口端の近傍に」設けられた風向調整板に向かって空気が誘導されることになるので、風向調整板によって効率良く吹き出し空気流の流れ方向を調整することができる(例えば、図3を参照。)。また、同様の理由により、多数の風向調整板を設けなくても(例えば、枠体の軸線上に1枚だけ風向調整板を設けても)吹き出し空気流を調整できるので、空気吹出装置を小型化できると共に、美的外観を高めることもできる。
【0017】
なお、上記「相対移動不能」との表現は、空気吹出装置としての機能を維持可能な程度に吹出口ユニットが支持体に固定されることを表し、寸法誤差および経年劣化等によって生じる緩み及び意図的に設けられる遊び等による相対移動を排除しない。更に、上記「枠体の軸線」とは、枠体(四角筒状)の内側中心を通過して長手方向に伸びる仮想上の直線を表す。
【0018】
以上、本発明に係る車両用の空気吹出装置の構成及び効果について説明した。次いで、以下、本空気吹出装置のいくつかの態様(態様1〜3)について述べる。
【0019】
・態様1
本発明の空気吹出装置において、枠体の「一対の内壁面」の傾きの度合いは、吹き出し空気流の流れ方向を調整する観点において適切な大きさであればよく、具体的な角度は特に制限されない。
【0020】
例えば、前記枠体は、
前記風向調整板が第1位置から第2位置までの範囲内で回動可能な場合において、
前記風向調整板が前記「第1位置」にあるとき、前記風向調整板と、前記一対の内壁面のうちの「一方の内壁面」と、が平行であり、
前記風向調整板が前記「第2位置」にあるとき、前記風向調整板と、前記一対の内壁面のうちの「他方の内壁面」と、が平行である、ように構成され得る。
【0021】
上記構成によれば、風向調整板が第1位置にあるとき(吹き出し空気流の流れ方向が最も大きく傾けられるとき)には、風向調整板だけでなく一方の内壁面によっても、空気流が整流されることになる。同様に、風向調整板が第2位置にあるときには、風向調整板および他方の内壁面の双方により、空気流が整流されることになる。その結果、吹き出し空気流の指向性を更に高めることができる。
【0022】
・態様2
本発明の空気吹出装置において、空気吹出装置を出来る限り簡易に製造する観点から、風向調整板を回動操作するための機構(例えば、各種の歯車等)は吹出口ユニットが備えることが好ましい。
【0023】
そこで、前記吹出口ユニットは、「風向調整板を回動操作するための機構の全て」を内蔵するように構成され得る。
【0024】
・態様3
更に、同様の観点から、空気吹出装置を車両に取り付ける機能は支持体のみが担うことが好ましい。
【0025】
そこで、前記支持体は、該空気吹出装置が取り付けられる車両及び車両内の位置の少なくとも一方に対応して異なる形状を有するように構成され、前記吹出口ユニットは、該空気吹出装置が取り付けられる車両及び車両内の位置のいずれにも依らない所定の形状を有するように構成され得る。
【0026】
上記構成(態様2,3)によれば、吹出口ユニットの汎用性が更に高まるので、対応すべき車両の種類が増えた場合であっても空気吹出装置を更に簡易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の空気吹出装置の実施形態の一例を示す概略斜視図である。
図2図1に示した空気吹出装置の分解斜視図である。
図3図1に示した空気吹出装置をA−A軸に沿った平行で切断したときの概略断面図である。
図4図1に示した空気吹出装置をB−B軸に沿った平面で切断したときの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の空気吹出装置の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0029】
図1の概略斜視図に示すように、本発明の実施形態の一例に係る空気吹出装置10(以下「実施装置10」という。)は、空気が内部を通過可能な筒型の形状を有している。
【0030】
以下、便宜上、実施装置10の軸線AXに沿って実施装置10の前後に向かう方向は「正面方向F」及び「背面方向B」と称呼され、正面方向Fに直交して実施装置10の上下左右に向かう方向は「上方向U」、「下方向D」、「左方向L」及び「右方向R」と称呼される。なお、これら方向は、実施装置10が自動車のインストルメントパネルの周辺等に取り付けられた場合において自動車の操作者から実施装置10を見たときの正面、背面、上下および左右の方向を基準とし、定義付けられている。
【0031】
実施装置10は、図中の矢印に示すように、背面方向Bの開口部11から流入した空気を、複数の風向調整板21〜26(詳細は後述される。)によって定まる方向に向けて、正面方向Fの開口部12から吹き出すように構成されている。実施装置10のこのような機能を考慮し、以下、正面方向Fの開口部12は「吹出口12」と称呼される。なお、吹出口12の形状は、実施装置10の左右方向(L・R)が長辺であり上下方向(U・D)が短辺である長方形である。
【0032】
より詳細に述べると、図2の分解斜視図に示すように、実施装置10は、吹出口ユニット20と、支持体30と、を備えている。
【0033】
吹出口ユニット20は、空気の吹出口12を画成すると共に風向調整板21〜26が内蔵された組立品(フィン内蔵ASSY)である。具体的には、吹出口ユニット20は、吹出口12を開口端とする四角筒状の枠体27、この開口端(吹出口12)の近傍において枠体27に回動可能に支持された風向調整板21、風向調整板21よりも背面方向B(紙面奥側)において枠体27に回動可能に支持された風向調整板22〜26、及び、風向調整板21に摺動可能に取り付けられた操作用ノブ28を有している。なお、風向調整板21〜26が「内蔵される」とは、風向調整板21〜26が枠体27の内側に支持されると言い換え得る。
【0034】
風向調整板21は、吹出口12を通る空気の流れ方向を上下方向(U・D)に調整可能な板体であり、平面視において略長方形の形状を有している。風向調整板21は、枠体27の軸線AX(実施装置10の軸線AXと同一)に直交する回動軸21a(吹出口12の長手方向に平行に伸びる。)の周りに回動可能となっている。具体的には、図3の概略断面図(図1のA−A断面図)に示すように、風向調整板21は、第1位置P1から第2位置P2までの範囲において回動可能となっている。
【0035】
枠体27は、図3に示すように、風向調整板21の回動軸21aに平行な一対の内壁面27a,27bを有している。内壁面27aは枠体27の上方向Uに位置する内壁面であり、内壁面27bは枠体27の下方向Dに位置する内壁面である。内壁面27a,27bは、開口端(吹出口12)の近傍において、開口端(吹出口12)に近づくにつれて枠体27の軸線AXに近づくように傾斜している。具体的には、風向調整板21が第1位置P1にあるときには風向調整板21と内壁面27aとが平行であり、風向調整板21が第2位置P2にあるときには風向調整板21と内壁面27bとが平行であるように、内壁面27a,27bが傾斜している。
【0036】
なお、図3においては、内壁面27a,27bと風向調整板21との関係を明示するために、風向調整板21が第1位置P1又は第2位置P2にある場合、風向調整板21のみを破線で表し、操作用ノブ23の図示を省略している(実際には、風向調整板21は操作用ノブ28と共に回動する。)。
【0037】
風向調整板22〜26は、吹出口12を通る空気の流れ方向を左右方向(L・R)に調整可能な板体であり、平面視において略長方形の形状を有している(図3では風向調整板24のみが表示されている。)。具体的には、図4の概略断面図(図1のB−B断面図)に示すように、風向調整板22〜26は、枠体27の軸線AXに直交する回動軸22a〜26a(吹出口12の長手方向に垂直に伸びる。)の周りに回動可能となっている。更に、風向調整板22〜26は、連結軸22b〜26bを介して連結部材29と連結されており、互いに連動して回動可能となっている。風向調整板22〜26のうちの風向調整板24は、正面方向Fの端部に回動軸24aから離れる方向に伸びる複数の歯部から構成された扇状歯車24cを有している。
【0038】
操作用ノブ28は、平面視において略長方形の形状を有する中空の板体である。操作用ノブ28は、その長手方向に伸びる中空部を備えており、この中空部を風向調整板21が通過するように風向調整板21に装着(外嵌)されている。これにより、操作用ノブ28は、風向調整板21の長手方向に平行に摺動可能となっている。操作用ノブ28は、その背面方向Bの端部から背面方向Bに突出する複数の歯部28aを備えている。複数の歯部28aは、風向調整板24に設けられた扇状歯車24cと係合している。
【0039】
操作用ノブ28が操作されることにより、空気吹出装置11から吹き出される空気の流れ方向が調整される。より具体的に述べると、操作者が操作用ノブ28を左方向L又は右方向Rに操作すると、操作用ノブ28に設けられた複数の歯部28aにより、風向調整板24に設けられた扇状歯車24cが回転軸24a周りに回動させられる。これにより、風向調整板24、及び、連結部材29によって連結された他の風向調整板22,23,25,26が回動する。その結果、吹き出し空気流の流れ方向は、左右方向(L・R)に変化する。
【0040】
一方、図3を再び参照すると、操作者が操作用ノブ28を上方向U又は下方向Dに操作すると、風向調整板21は、回動軸21a周りに回動する。その結果、吹き出し空気流の流れ方向は、上下方向(U・D)に変化する。このとき、枠体27の内壁面27a,27bは上述したように傾斜しているので、空気は、風向調整板21に向かって誘導され、風向調整板21によって整流された後、風向調整板21の傾きに対応する方向に吹き出される(図中の矢印を参照。)。
【0041】
このように、実施装置10の吹出口ユニット20は、風向調整板21(及び他の風向調整板22〜26)を回動操作するための機構の全てを内蔵している。
【0042】
なお、風向調整板21が第1位置P1にある場合、風向調整板21と内壁面27aとは平行となるので、内壁面27aは、空気を風向調整板21に向かって誘導するだけでなく、内壁面27a自身によって吹き出し空気流の流れ方向を調整する(目標の流れ方向に向かわせる)ことになる。即ち、風向調整板21が第1位置P1にある場合、風向調整板21及び内壁面27aの双方によって空気の流れが整流されることになる。一方、風向調整板21が第2位置P2にある場合も同様に、風向調整板21及び内壁面27bの双方によって空気の流れ方向が整流されることになる。
【0043】
再び図2を参照すると、支持体30は、空気の流路を画成すると共に吹出口ユニット20を相対移動不能に支持する筒体(リテーナ)である。具体的には、支持体30は、四角筒型の形状を有しており、内壁面に吹出口ユニット20を支持(固定)するための支持部31,32を備えており、外壁面に実施装置10を車両内装部(例えば、インストルメントパネル周辺)に取り付けるための取付部33〜35を有している。
【0044】
支持体30の形状(取付部33〜35の配置及び形状を含む。)は、実施装置10が取り付けられる車両等に対応して設計されている。そのため、支持体30の形状は、実施装置10が取り付けられる車両等ごとに異なる形状(治具としての機能を満たす形状。車両固有の形状)を有する。一方、吹出口ユニット20は、このように車両等に対応した支持体30を介して車両等に取り付けられるので、実施装置10が取り付けられる車両等に依らない形状(空気吹出装置としての機能を満たす形状。汎用の形状)を有する。
【0045】
吹出口ユニット20及び支持体30のそれぞれは、上述した各構成を有するように、互いに独立して準備される。例えば、吹出口ユニット20は、各部材(風向調整板21〜26、枠体27及び操作用ノブ28等)の射出成形および各部材の組み付けの一連の処理を特殊な金型内で一体的に行う手法(いわゆる、型内一体組み付け)、又は、各部材を個別に射出成形した後に順次組み付ける手法(通常の組み付け)によって準備され得る。一方、支持体30は、例えば、通常の射出成形によって準備され得る。そして、そのように準備された吹出口ユニット20及び支持体30を組み付ける(連結する)ことにより、実施装置10が形成される。
【0046】
以上に説明したように、実施装置10は、空気吹出装置としての機能を満たす吹出口ユニット20と、車両へ取り付けるための治具としての機能を満たす支持体30と、によって構成されることにより、対応すべき車両の種類が増えた場合であっても簡易に製造することが可能となっている。
【0047】
<他の態様>
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用できる。
【0048】
例えば、実施装置10においては、吹き出し空気流の上下方向の調整は、1枚の風向調整板(風向調整板21)によって行われている。しかし、本調整は、必ずしも1枚の風向調整板によって行われる必要はなく、2枚以上の風向調整板によって行われてもよい。しかし、空気吹出装置の小型化および美的外観の向上の観点から、本風向調整板の枚数は出来る限り少ないこと(例えば、本風向調整板を1枚とすること)が好ましい。
【符号の説明】
【0049】
10…空気吹出装置、12…吹出口、20…吹出口ユニット、21〜26…風向調整板、27…枠体、27a,27b…内壁面、30…支持体、33〜35…取付部、AX…軸線

図1
図2
図3
図4