【実施例】
【0009】
<1>前提条件。
まず本発明の遮水シートの固定装置と装置を採用する条件について説明する。
本発明はたとえば廃棄物処理場のコンクリート構造物aの表面に遮水シートbを取り付ける場合に採用する。
そのために広いコンクリート構造物aの表面の多数の位置に固定盤1の表面を露出させる。
そしてこの固定盤1群に遮水シートbを熱溶着して固定するのであるが、前記したように固定盤1の位置は遮水シートbで被覆してしまうから肉眼で確認することができない。
【0010】
<2>固定盤。(
図1)
固定盤1は、コンクリート構造物aの表面付近に埋め込んであり、遮水シートbを熱溶着するための部材である。
そのために、固定盤1は少なくともその表面を遮水シートbと熱融着させるために、遮水シートbと同様の材料、あるいは遮水シートbと熱融着可能な材料で構成してあり、その表面をコンクリート構造物aの表面から外部に露出させてある。
固定盤1をコンクリート構造物aの内部に固定するために、コンクリート構造物a内部に固定用アンカー2を埋設し、そのアンカー2に本設ボルト3によって固定盤1を一体化して取り付ける構造を採用する。
固定盤1は円盤として形成することが好ましく、その中心には、前記の本設ボルト3を挿入する穴を、円盤の面とは直交する方向に開設してある。
ボルト3の頭部が固定盤1の平面よりも突設することがないように、頭部を収納する位置は、固定盤1に磁石設置溝11を凹設する。
この磁石設置溝11は短筒状、あるいは外向きに開いた円錐台状に形成し、その溝11を後述する磁石を設置するための凹部として利用する。
【0011】
<3>位置表示磁石。(
図2)
前記したように固定盤1の、コンクリート外への露出面には溝が凹設してあり、その溝内に位置表示磁石4をはめ込んで固定する。
この位置表示磁石4は一般の永久磁石であり、その外側の面は固定盤1の外側の平面と同一平面を維持する状態ではめ込んで取り付けることが可能である。
遮水シートbをコンクリート構造物aの表面に取り付けるためには、多数の位置に固定盤1を設け、各固定盤1ごとに位置表示磁石4を取り付けるが、この複数個所の位置表示磁石4において、すべて同一の極を外側に向けて取り付けることが好ましい。
たとえばすべての位置表示磁石4はN極を表に向けて設置する、という意味である。
【0012】
<4>アルミ網の設置。(
図3)
コンクリート構造物aの表面と、固定盤1のコンクリート構造物aからの露出面、およびと位置表示磁石4の表面はほぼ同一面を維持している。
この固定盤1の露出面を被覆する状態で、位置表示磁石4の正面を避けてアルミ網5を位置させる。
この設置は、固定盤1とアルミ網5を溶接すること、あるいは接着剤を使用することで行うことができる。
このアルミ網5を誘導加熱することで、固定盤1と遮水シートbのそれぞれ向き合った面を溶かして融着させるものである。
アルミ網5がなければ、固定盤1と遮水シートbとの熱融着を行うことができず、固定盤1の意味が失われる。
【0013】
<5>遮水シートの固定方法。
次に本発明の遮水シートbの固定方法について説明する。
【0014】
<6>固定盤の設置。
上記した固定用アンカー2をコンクリート構造物aの内部に埋め込んだ状態で固定盤1の表面をコンクリートa面に露出させて設置する。
固定盤1は、コンクリートa面において適当な間隔を介して多数分散して設置することになる。
各固定盤1にはその中央に位置表示磁石4が設置してある。
【0015】
<7>遮水シートの敷設。
コンクリート構造物aの上部から遮水シートbを垂れ下げてコンクリート構造物aの表面を被覆する。
遮水シートbでコンクリート構造物aの表面を被覆してしまうから、固定盤1やそこへ取り付けた位置表示磁石4の位置は外部から肉眼で見つけることはできない。
【0016】
<8>マーキング。(
図4)
遮水シートbの敷設が終わったら、遮水シートbの外面から位置検知具6を接近させて、固定盤1に取り付けた位置表示磁石4の位置を検知する。
この検知具6は、単なる永久磁石を検知磁石61として利用することができる。
遮水シートbの裏側に位置表示磁石4が位置していれば、検知具6の検知磁石61が反応して強い吸引力、または反発力を受けるからその検知は容易である。
検知具6は、検知磁石61を中心としてその周囲に定規としての円盤62を取り付ける。
この円盤定規62の外形を、固定盤1の露出面の外形とほぼ等しい形状に形成しておく。
すると検知した状態で定規円盤62の外形に沿ってペンなどの筆記具cで線を描けば、その範囲が固定盤1の範囲として、遮水シートbの表面に表示することができる。
ただしこのマーキング作業は不可欠ではなく、検知磁石61の反応を見たらすぐに次の溶着工程に移ることも可能である。
【0017】
<9>溶着工程。(
図5)
検知具6で検知できた位置表示磁石4の位置に、遮水シートbの外側から電磁溶着機7を接近させる。
そして電磁溶着機7に通電してアルミ網5を誘電加熱することで、固定盤1と遮水シートbのそれぞれ向き合った面を溶かして融着させる。
このような溶着作業は公知の方法である。
こうして遮水シートbを、コンクリート構造物aの表面に露出させた複数の固定盤1と溶着させることで、広い面積のコンクリート構造物aの面でも、確実に遮水シートbで被覆することができる。
その際に位置表示磁石4のすべてが同一の極を外側に向けて取り付けてあると反応が一律であるから検知作業が容易となる。