(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<実施形態の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る有害物質含有塗装材除去システムの構成を示す断面図である。
図1に示す有害物質含有塗装材除去システム(単に、システムともいう)10は、建造物の室内1の壁面2に塗装された有害物質含有塗装材(単に、塗装材ともいう)3を除去するものである。塗装材3は、壁面2に拘らず、床5や天井並びに柱等の露出面にも塗装されている場合もある。しかし、本実施形態では、室内1の壁面2に塗装されている場合を例に挙げて説明するが、建造物の外壁等にも同様に適用することができる。また、本実施形態において、有害物質はアスベストであるとするが、この他に、前述した鉛等の重金属やPCB等がある。
【0020】
システム10は、作業者4が持って使用する吸引式グラインダ20と、バグレシーバタンク(集塵装置)30と、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)装置40と、バキューム装置50と、バキューム装置50の電源60と、収納室70とを備えて構成されている。
【0021】
バグレシーバタンク30及びHEPAフィルタ装置40は、室内1の床5に配置され、この室内1において、更に収納室70により気密状(又は密閉状ともいう)に収納されている。バキューム装置50及び電源60は、室外へ配置されている。
【0022】
また、吸引式グラインダ20とバグレシーバタンク30は吸引ホース80aにより接続され、HEPAフィルタ装置40とバグレシーバタンク30は吸引ホース80bにより接続され、HEPAフィルタ装置40とバキューム装置50は吸引ホース80cにより接続されている。この接続により、バキューム装置50の吸引力で、吸引ホース80aの先端開口から粉塵等を含む空気が吸引されるようになっている。
【0023】
吸引式グラインダ20は、
図2に示すように、内部に図示せぬモータが組み込まれた本体部21、及び、本体部21から突き出たモータの軸22の先端に、中心部が連結された円盤状の研削部23を備えて成るグラインダ部24と、椀状(凹状)のケース25とが組み合わされて構成されている。この組合せ構成を説明する。グラインダ部24とケース25とは、本体部21の先端側の外周面が、ケース25の中心部に形成された貫通孔に挿通されて固定されている。更に、グラインダ部24とケース25とは、その挿通された本体部21から突き出た軸22の先端に連結された研削部23の研削面23aが、ケース25の開口25aから露出する状態で組み合わされている。モータの回転力で研削部23が回転するようになっている。なお、研削部23は、研削砥石等の表面に凹凸を多数有する硬質材を円盤状等にして形成される。
【0024】
また、ケース25の開口25aの周囲の周端には、ブラシ26が所定長さ突き出る状態で固定されている。ケース25の外面25bには、外面25bの壁を貫通して内部と連通する貫通孔25cと、吸引ホース80aの先端開口(一端)とが連通状態に接合されている。なお、ケース25は、金属材料や強化樹脂材料等の容易に破損しない材料で形成されている。吸引ホース80a〜80cは、可撓性を有する材料で形成されている。また、ブラシ26に代え、空気は通すが、塗装材粉塵は通さないような、スポンジ等の多孔性の柔軟材料を用いてもよい。塗装材粉塵とは、吸引式グラインダ20で塗装材3を研削した際に分離する塗装材3の粉末を含む粉塵のことである。
【0025】
このような構成の吸引式グラインダ20は、次のように研削を行う。即ち、作業者4が本体部21を把持してモータを起動させ、この起動により回転する研削部23のケース25のブラシ26を、壁面2の塗装材3に押し当てる。更に、作業者4がブラシ26を押しつぶして変形させ、研削部23を塗装材3に押し付けることで、研削面23aが塗装材3を研削して除去するようになっている。これと同時に、除去された塗装材粉塵は、
図1に示すバキューム装置50の吸引により吸引ホース80aの先端開口から吸引され、吸引ホース80a,80b,80cを通る過程で、バグレシーバタンク30及びHEPAフィルタ装置40で捕集されるようになっている。この際、ケース25と壁面2との間は、ブラシ26で塞がれているので、ケース25外からブラシ26を介してケース25内へ空気が入ってくる。この空気の流れで塗装材粉塵が吸引ホース80aに吸引され易くなり、塗装材粉塵がケース25の外へ出ることはない。
【0026】
バグレシーバタンク30は、この内部に、集塵を行うバグフィルタ(図示せず)が搭載されて構成されている。バグフィルタは、塗装材粉塵を含む空気を、ろ布(図示せず)に通すことにより集塵を行い、ろ布の裏側から空気をぶつけて集塵した塗装材粉塵を集塵袋(図示せず)に払い落すようになっている。集塵袋が塗装材粉塵で満杯となった際に、バキューム装置50による吸引を停止し、集塵袋の口を閉じてレシーバタンクから引き出し、新しい集塵袋と交換するようになっている。なお、集塵袋を交換することを、バグフィルタを交換するという場合もある。
【0027】
バグフィルタの集塵袋が満杯となったことは、バグレシーバタンク30に取り付けられた図示せぬブザー及びランプ等の警報装置によって、作業者4又は他の作業者に知らせるようになっている。この他、バグレシーバタンク30と吸引式グラインダ20とが電気的に繋がっており、集塵袋が満杯となった際に、吸引式グラインダ20が自動的に停止するインターロック機能を備えていてもよい。
【0028】
HEPAフィルタ装置40は、HEPAフィルタ(図示せず)を着脱自在に内蔵している。HEPAフィルタは、JIS規格で煙草の煙(0.3μmの粒子)を試験粉塵としてフィルタを1回通過させたときの集塵率が99.97%以上のフィルタである。このHEPAフィルタでは、バグレシーバタンク30で捕集されず、吸引ホース80bを介して排出された空気中に含まれる微細な塗装材粉塵を略完全に捕捉することができる。このため、HEPAフィルタ装置40の排気中に含まれる塗装材粉塵は略皆無となる。
【0029】
なお、HEPAフィルタ装置40に吸引ホース80bを介して流入される空気は、この前段でバグレシーバタンク30を通過することにより、殆どの塗装材粉塵が既に除去された空気である。このため、HEPAフィルタ装置40に過度の負担がかかることがなく、その寿命が大幅に長くなっている。
【0030】
HEPAフィルタが、捕集した塗装材粉塵で一杯となり捕集不可能状態となった場合、HEPAフィルタ装置40に取り付けられた図示せぬブザー及びランプ等の警報装置によって、作業者4又は他の作業者に知らせるようになっている。捕集不可能状態には、目詰まりも含むとする。この他、HEPAフィルタ装置40と吸引式グラインダ20とが電気的に繋がっており、
HEPAフィルタが前記捕集不可能状態となった際に、吸引式グラインダ20が自動的に停止するインターロック機能を備えていてもよい。
以降、バグフィルタやHEPAフィルタの交換を、フィルタ交換とも称す。
【0031】
バキューム装置50は、電源60の給電により吸引動作を行うものであり、ケーシング内に、図示せぬルーツブロワ(容積式送風機)と、電動モータと、ルーツブロワの排気管に接続された排気サイレンサとを備えて構成されている。
【0032】
電動モータの駆動によりルーツブロワを作動させ、ルーツブロワの吸気管を介して吸引口に吸引力を発生させるようになっている。この発生した吸引力は、吸引ホース80c,80bを通って、HEPAフィルタ装置40及びバグレシーバタンク30を介して吸引ホース80aに伝わり、吸引ホース80aの先端開口から塗装材粉塵を吸引するようになっている。この際、ルーツブロワの排気音は、排気サイレンサで低減される。
【0033】
なお、ルーツブロワによる吸引は真空圧が高いので、塗装材粉塵の吸引を効率良く行うことができ、遠距離吸引が可能となる。このため、バキューム装置50を作業空間(室内1)外にも設置することができる。
【0034】
収納室70は、バグレシーバタンク30及びHEPAフィルタ装置40を密閉状に囲うものである。これは、バグレシーバタンク30の集塵袋が塗装材粉塵で満杯となった際に、新しい集塵袋と交換する場合、又は、HEPAフィルタ装置40のHEPAフィルタが塗装材粉塵を捕集不可能状態となった場合に、塗装材粉塵が室内1の中空に飛散しないようにするためである。なお、密閉状は、完全な密閉で無くとも、ほぼ密閉と見做せれる状態である。この概念は、気密状も同様である。
【0035】
収納室70は、
図3に示すように、下部シート71と、下部シート71の上面に載置された直方体形状の骨組72と、骨組72の上面及び側面を覆う上部シート73とを備えて構成されている。
【0036】
下部シート71は、床面に敷かれた1枚のシートであり、ビニール製、ポリエチレン製又はポリプロピレン製等の樹脂製のシートである。
【0037】
骨組72は、樹脂製や軽量金属等による真直ぐな複数のパイプを、パイプ継手によって縦方向及び横方向に連結した直方体構造を成す。この骨組72は、
図4に示すように、下部シート71の上面に載置される。下部シート71は、骨組72の底面よりも大きい面積を有し、その外周縁部は、矢印Y1で示すように、上向きに折り曲げられる。この折り曲げた部分が、
図3に示すように、骨組72の側面の下部を覆っている。下部シート71には、
図4に示すように吸引ホース80a(
図3参照)を挿通する貫通孔71aと、吸引ホース80c(
図3参照)を挿通する貫通孔71bとが、折り曲げた外周縁部の概略対向位置に形成されている。
【0038】
上部シート73は、骨組72の上面及び側面を覆うシートであり、下部シート71と同じ材質である。本実施形態の場合、
図4に示すように上部シート73は、骨組72の上方から被せて、骨組72の上面及び側面の殆どの部分を被覆する形状を成す。この他、1枚の平坦なシートを、骨組72の上方から被せ、その上面及び側面を被覆してテープ等で固定し、これを上部シート73としてもよい。
【0039】
図3に示すように、上部シート73の下縁部と下部シート71の上縁部とは、骨組72の内側から粘着テープ75によって貼り合わされている。このように下部シート71及び上部シート73で、骨組72が覆われた直方体形状の収納室70の内部空間(又は閉鎖空間ともいう)に、バグレシーバタンク30及びHEPAフィルタ装置40が設置されている。
【0040】
直方体形状の収納室70の1側面には、作業者がフィルタ交換のために出入りする出入口73aが形成されている。この出入口73aは、収納室70の1側面の上部シート73の部分に、正面視でL字型の線ファスナ(チャック)74が、次のように取り付けられて形成されている。即ち、1側面の1側辺(例えば左辺)に近い部分に縦方向に直線に延在してスリットが形成され、この縦方向のスリットの下端から右横方向に直線に延在してスリットが形成されている。更に、その縦横のスリットの部分に、当該スリットに沿って上部シート73を開閉自在に操作するL字型の線ファスナ74が取り付けられている。
【0041】
L字型の線ファスナ74は、通常閉じられているが、フィルタ交換等で作業者が収納室70に入る場合に、L字型に開けられる。これにより出入口73aが開口する。この逆に、線ファスナ74をL字型に閉じると、出入口73aが閉塞する。
【0042】
次に、収納室70を組み立てる手順について説明する。まず、
図4に示すように、床面に下部シート71を拡げて敷き、下部シート71の上面に直方体の骨組72を構築する。或いは、別途構築した骨組72を下部シート71の上面に載置してもよい。この後、骨組72の内側において、下部シート71の上に、バグレシーバタンク30及びHEPAフィルタ装置40の双方を設置して、双方を吸引ホース80bで接続する。
【0043】
次に、下部シート71の外周縁部を矢印Y1で示すように上向きに折り曲げて、
図5に示すように骨組72の4側面の下部を覆う。次に、
図4に示すように、上部シート73を骨組72の上方から被せて、
図5に示すように上部シート73によって骨組72の上面及び側面を覆う。更に、上部シート73の下縁部と下部シート71の上縁部とを、骨組72の内側から粘着テープ75によって貼り合わせる。
【0044】
この後、下部シート71を上方に折り曲げた部分(下部側面)に設けられた貫通孔71aに吸引ホース80aを挿通して、バグレシーバタンク30に
図3に示すように接続する。更に、
図5に示す下部シート71の貫通孔71aに対向する側面に開口された貫通孔71bに吸引ホース80cを挿通して、HEPAフィルタ装置40に
図3に示すように接続する。これにより、バグレシーバタンク30及びHEPAフィルタ装置40が、収納室70に密閉状に収納された状態となる。
【0045】
なお、各貫通孔71a,71bの開口径は、吸引ホース80a,80cを挿入した際に隙間が無くなる寸法とするのが好ましい。また、各貫通孔71a,71bの周回部分は、吸引ホース80a,80cの挿入で破れないように、図示せぬ円環状シール等の補強材で補強するのが好ましい。
【0046】
<実施形態の動作>
次に、上述した有害物質含有塗装材除去システム10により、
図1に示す室内1の壁面2に塗装された有害物質含有塗装材3を除去する際の作業手順を説明する。
まず、上述で
図1を参照して説明したように、作業者(研削を行う作業者4、又は別の作業者の何れでもよい)は、室内1において、収納室70を組み立て、バグレシーバタンク30及びHEPAフィルタ装置40を、収納室70に密閉状に収納する。
【0047】
次に、作業者は、電源60を投入してバキューム装置50を起動する。これにより、バキューム装置50の吸引力で、吸引式グラインダ20に取り付けられた吸引ホース80aの先端開口から吸引が開始される。
【0048】
次に、作業者4は、壁面2の前方において、吸引式グラインダ20の本体部21を持ちモータを起動する。これにより研削部23が回転するので、作業者4は、ケース25のブラシ26を壁面2の塗装材3に押し当て、更に、研削部23を塗装材3に押し付ける。これによって、研削面23aが塗装材3を研削して除去する作業が開始される。
【0049】
その研削により除去された塗装材粉塵が、吸引ホース80aの先端開口から吸引される。この吸引された塗装材粉塵は、まず、吸引ホース80aを通ってバグレシーバタンク30へ流入する。この流入した塗装材粉塵は、バグレシーバタンク30内のバグフィルタで捕集される。
【0050】
この際、バグフィルタを通過した微細な塗装材粉塵は、吸引ホース80bを通ってHEPAフィルタ装置40へ流入する。この流入した微細な塗装材粉塵は、HEPAフィルタ装置40で略完全に捕捉される。このため、HEPAフィルタ装置40の吸引ホース80cへの排気中に含まれる塗装材粉塵は略皆無となる。従って、吸引ホース80cを通ってバキューム装置50へ流入する成分は略空気のみとなる。
【0051】
このような塗装材3の研削が実施されている途中で、バグレシーバタンク30において、集塵袋が満杯になったとする。これは、例えば前述した警報等で作業者に通報される。この場合、作業者4は塗装材3の研削作業を中止し、集塵袋の交換を行う。この交換は、別の作業者が行ってもよい。
【0052】
集塵袋の交換を行う場合、作業者4が、
図3に示す収納室70のL字型の線ファスナ74を開けて、開口した出入口73aから収納室70の中に入り、線ファスナ74を閉じて出入口73aを閉じる。次に、作業者4は、満杯となった集塵袋の口を紐やファスナ等で閉じて密閉し、これをバグレシーバタンク30から引き出し、新しい集塵袋をセットする。この後、作業者4は、線ファスナ74を開けて出入口73aから密閉した集塵袋を搬出し、この後、線ファスナ74を閉じる。そして、作業者4は、その搬出した集塵袋を所定の場所に保管する。
【0053】
一方、塗装材3の研削が実施されている途中で、HEPAフィルタ装置40のHEPAフィルタが塗装材粉塵を捕集不可能状態になったとする。これは、例えば前述した警報等で作業者に通報される。この場合、作業者4は塗装材3の研削作業を中止し、HEPAフィルタ装置40のHEPAフィルタを交換する。この交換も、別の作業者が行ってもよい。
【0054】
HEPAフィルタの交換を行う場合、作業者は、上述した集塵袋が満杯になった場合と同様に収納室70の中に入る。次に、作業者は、HEPAフィルタ装置40から捕集不可能状態になったHEPAフィルタを取り出し、新しいHEPAフィルタをセットする。そして、作業者4は、線ファスナ74を開けて出入口73aから捕集不可能状態になったHEPAフィルタを袋に密閉して搬出した後、線ファスナ74を閉じて、捕集不可能状態になったHEPAフィルタを所定の場所に保管する。
【0055】
このようなフィルタ交換を行った後、作業者4は塗装材3の除去作業を再開する。また、塗装材3の除去作業が完了するまで、集塵袋が満杯となったり、HEPAフィルタが捕集不可能状態になったりしなければ、除去作業終了後にフィルタ交換を行う。
【0056】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の有害物質含有塗装材除去システム10は、建造物の壁面2等の面に塗装され、有害物質を含有する塗装材3を除去するものである。
本実施形態のシステム10の特徴は、吸引式グラインダ20と、バキューム装置50と、集塵装置としてのバグレシーバタンク30と、HEPAフィルタ装置40と、収納室70とを備える構成としたことにある。
【0057】
吸引式グラインダ20は、塗装材3を研削して除去する研削部23が、ケース25の開口から露出するようにケース25内に収容され、ケース25の外面25bにケース25内に通じる貫通孔25cを介して吸引ホース80a〜80cの一端(先端開口)が接合されて構成されている。
【0058】
バキューム装置50は、吸引ホース80a〜80cの他端から吸引を行う。
【0059】
レシーバタンク30は、吸引式グラインダ20とバキューム装置50との間の吸引ホース80a〜80cの途中に介在され、吸引式グラインダ20で研削されて吸引ホース80a〜80cで吸引される塗装材粉塵を捕集するバグフィルタが収納されて構成されている。
【0060】
HEPAフィルタ装置40は、吸引ホース80a〜80cの途中に介在され、バグフィルタを通過した塗装材粉塵を捕集するように構成されている。
【0061】
収納室70は、バグレシーバタンク30及びHEPAフィルタ装置40を内部空間に密閉状に閉じ込め、当該内部空間を形成する外面(収納室70の側面)に、縦方向及び横方向に連通するスリットを開閉自在に操作するファスナとしてのL字型の線ファスナ74が取り付けられて構成されている。
【0062】
この構成によれば、作業者4が吸引式グラインダ20で壁面2の塗装材3を除去する際に、バキューム装置50の吸引力で吸引ホース80aの先端開口からケース25内を吸引しながら、ケース25内の研削部23で塗装材3を研削する。このため、研削により分離した塗装材粉塵を、ケース25の外部に飛散させることなく、吸引ホース80aで吸い込んでバグレシーバタンク30及びHEPAフィルタ装置40へ送ることができる。
【0063】
バグレシーバタンク30では、送られて来た塗装材粉塵をバグフィルタに捕集し、ここで捕集できなかった微細な塗装材粉塵が、更にHEPAフィルタ装置40で略完全に捕集される。この際、バグフィルタの集塵袋が満杯となった場合や、HEPAフィルタが捕集不可能状態になった場合に、フィルタ交換が必要となる。
【0064】
この交換を作業者が行う場合、収納室70の線ファスナ74を開けて内部空間に入り、この後、線ファスナ74を閉じて内部空間を密閉状にする。この状態でフィルタ交換を行う。この交換後は、線ファスナ74を開け、交換済みの集塵袋やHEPAフィルタを収納室70から搬出し、この後、線ファスナ74を閉じて収納室70の内部空間を密閉状にする。
【0065】
このため、フィルタ交換の際に、塗装材粉塵が、塗装材3の研削を行う室内1などの空間に飛散することは無い。このように研削を行う空間に塗装材粉塵が飛散しないので、従来のように、研削時に、塗装材粉塵が空間に飛散して作業者4の衣服や身体等に付着するといったことが無くなる。
【0066】
これによって、従来のように、壁面2等から塗装材3を除去する際に、除去面が広範囲であっても、除去面をシートで覆って閉鎖空間を形成するといった作業が不要となる。また、作業員の衣服や身体に塗装材粉塵が付着しないので、塗装材粉塵をエアシャワーで落とすセキュリティ室の設置も不要となる。
【0067】
本実施形態のシステム10では、セキュリティ室の設置が不要となり、塗装材3の除去面をシートで覆って閉鎖空間を形成する作業も不要となる。このため、有害物質を含む塗装材3を除去するための作業コストを、従来システムよりも安価にすることができる。言い換えれば、壁面2等から有害物質を含む塗装材3を低コストで除去することができる効果がある。
【0068】
<実施形態の変形例>
上記のシステム10において、
図6に示すように、収納室70に負圧装置100を追加して配置してもよい。
【0069】
負圧装置100は、収納室70の閉鎖空間において矢印Y2で示すように吸気を行い、この吸気した空気を収納室70の外部へ排気することにより、収納室70の閉鎖空間を負圧に保持するものである。負圧装置100は、収納室70に配置されており、負圧装置100の吸気口(図示せず)と対向する位置に設けられた排気口に、排気ホース101の一端が接続され、この排気ホース101の他端側が収納室70を貫通して収納室70の外部の床5に置かれている。
【0070】
この構成によれば、負圧装置100の吸気口から収納室70内の空気の吸気が行われる。この吸気された空気が負圧装置100の排気口から排気ホース101を介して収納室70の外部へ排気される。この吸気及び排気動作により収納室70内が負圧に保持される。なお、負圧装置100は、吸排気を行う際にフィルタ等で除塵を行うように構成されていてもよい。
【0071】
このように負圧装置100で収納室70内を負圧に保持することにより、次のような作用効果が得られる。即ち、前述したように作業者が収納室70の閉鎖空間内でフィルタ交換を行う場合、塗装材粉塵が僅かに飛散したとする。この際、収納室70は負圧となっているため、収納室70の外側へ空気が移動することは無い。このため、その僅かに飛散した塗装材粉塵が収納室70の外に漏れることはない。従って、収納室70の閉鎖空間を、塗装材粉塵が僅かでも浮遊しないように、清浄に保つことができる。
【0072】
これによって、フィルタ交換時に、収納室70において、塗装材粉塵が作業者の衣服や身体等に付着しないようにすることができる。
【0073】
この他、具体的な構成について、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、負圧装置100が収納室70の外部に設置され、特定機能の吸気口のみが収納室70の側面を貫通して内部空間に連通した構成としてもよい。この場合も、負圧装置100の吸気口から収納室70内の空気が吸気され、この吸気された空気が収納室70の外部へ排気されることになる。この構成は、
図3に示したように、バグレシーバタンク30及びHEPAフィルタ装置40を収納室70に収納した後でも、後付けで、負圧装置100を追加できるメリットがある。
【0074】
また、HEPAフィルタ装置40が、吸引ホース80bからの吸入及び吸引ホース80cからの排出動作以外に、周囲の空気をHEPAフィルタを介して吸気口から吸気してバキューム装置50へ排気する特定機能を更に備えてもよい。但し、特定機能においては、吸引ホース80bから吸入された空気が、排気口へ向かうことのない構造となっている。
【0075】
特定機能を更に備えたHEPAフィルタ装置40は、吸引ホース80bからの吸入以外に、周囲の空気をHEPAフィルタを介して吸気する。この場合、前述したように作業者が収納室70の内部空間でフィルタ交換した後に、別の作業者がバキューム装置50を起動させる。これによって、HEPAフィルタ装置40が吸引ホース80bからの吸入に加え、収納室70内の空気を吸気するので、フィルタ交換時に閉鎖空間内に極僅かな塗装材粉塵が飛散したとしても、この飛散した塗装材粉塵がHEPAフィルタ装置40で吸引される。これによっても、収納室70の内部空間を、塗装材粉塵が僅かでも浮遊しないように清浄に保つことができ、塗装材粉塵が作業者の衣服や身体等に付着しないようにすることができる。
【0076】
更に、
図3〜
図5に示した収納室70を、下部シート71を備えず、上部シート73が骨組72の上面及び側面のみを被覆し、底面が開口した構造としてもよい。この場合、上部シート73の対向側面には、吸引ホース80a,80cを挿通するための貫通孔71a,71b(
図5参照)が形成されている。以降、底面が開口した収納室を、前述の収納室70と区別するため符号70Aを付して説明する。
【0077】
収納室70Aを用いる場合、まず、骨組72に上部シート73を被せて収納室70Aを作成する。次に、
図5を参照するように、床面に、バグレシーバタンク30及びHEPAフィルタ装置40の双方を設置して、双方を吸引ホース80bで接続する。
【0078】
次に、その双方の上から収納室70Aを被せ、貫通孔71aに吸引ホース80a、貫通孔71bに吸引ホース80cを挿入し、
図3を参照するように、バグレシーバタンク30及びHEPAフィルタ装置40が収納室70Aの内部空間に配置された状態とする。この状態の収納室70Aは、底面が開口しているものの、4側面の下辺が床5(
図1参照)と当接しているので、略密閉状態となる。
【0079】
なお、上部シート73の対向側面には、各貫通孔71a,71bに代えて、縦横に交差する十字形状のスリットを形成してもよい。このスリットの場合、各吸引ホース80a,80cを挿入した後、隙間をテープで塞げばよい。