(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の一例である光センサ1の一例を示す斜視図である。
図1(A)は正面斜め右上方向から見た図であり、
図1(B)は正面斜め左下方向から見た図である。
【0015】
光センサ1は、主として、上ケース10と、下ケース11と、コネクタ20と、を備える。
【0016】
上ケース10は、遮光性樹脂、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM)等により形成される。
【0017】
上ケース10は、中空の略矩形形状であり、発光素子(図示せず)又は受光素子(図示せず)がそれぞれ挿入される凸部10a、10bを有する。
【0018】
凸部10a及び凸部10bは、上ケース10の底面から上面へ向かう向き(+z方向)に突出して設けられる。凸部10a及び凸部10bは、所定の間隔だけy方向に離れて設けられる。したがって、上ケース10、すなわち光センサ1は、正面(
図1(A)左斜め上方向)からみて、略U字形状(略コの字形状)となっている。ただし、凸部10a及び凸部10bの位置及び形状はこれに限定されない。
【0019】
凸部10a、10bには、それぞれスリット10c、10dが設けられる。スリット10cとスリット10dとは、対向して設けられる。発光素子の発光部はスリット10cに向けて設けられ、受光素子の受光部はスリット10dに向けて設けられる。スリット10c、10dは、物体の位置検出の精度を高くするために設けられる。なお、スリット10c、10dは、空洞でもよいし、ポリカーボネート(PC)、アクリル(PMMA)等の光透過性樹脂が充填されていてもよい。
【0020】
凸部10a内に設けられた発光素子からの光は、スリット10c、凸部10a及び凸部10bとの間(検出溝)の空間、及びスリット10dを通過して、受光素子で受光される。この光の通路が、光センサ1の光路である。
【0021】
光センサ1は、検出溝を物体が通過すると、受光素子での受光がなくなり、これにより検出溝を物体が移動したことが検出される。
【0022】
上ケース10には、コネクタ20が設けられる。コネクタ20は、略有底筒形状であり、各面は略矩形形状である。コネクタ20の開口部は、底面20aと対向する。コネクタ20は、開口部が上ケース10から露出するように設けられる。
【0023】
コネクタ20の開口部からは、コネクタ30が挿入される。コネクタ20の開口部から挿入されたコネクタ30がコネクタ20と係合すると、コネクタ20とコネクタ30とが電気的及び物理的に接続される。本実施の形態では、コネクタ20、30が係合されると、コネクタ20に設けられたピンがコネクタ30に設けられた中空ピンに挿入されることで、コネクタ20とコネクタ30とが電気的に接続される圧着コネクタを用いる。
【0024】
コネクタ20は、基板40に物理的、電気的に接続される。例えば、コネクタ20の底面20aから突出して設けられたピンが基板40に形成された孔に挿通されて固定されることにより、コネクタ20と基板40とが物理的、電気的に接続される。
【0025】
上ケース10には、コネクタ20の側面を覆うように、被覆部10e、10fが形成される。コネクタ20は、被覆部10e、10fにより形成される空間の内部に設けられる。被覆部10fの先端には、弾性部材10gが形成される。これにより、弾性部材10gが上ケース10に一体形成され、上ケース10の形状が簡単になる。弾性部材10gは、コネクタ20に挿入されたコネクタ30を、弾性変形を利用したいわゆるスナップフィットにより固定するための部材である。
【0026】
弾性部材10gは、上(+z方向)から見て、略矩形形状に形成されている。弾性部材10gは、コネクタ20の底面と平行方向、すなわち±z方向に弾性変形可能である。弾性部材10gの先端には、側面(x方向)から見て、略台形形状の係爪部10hが形成される。係爪部10hは、下向き(−z方向)に突出するように形成される。
【0027】
なお、弾性部材10gとコネクタ30とのスナップフィット結合力を高くするため(後に詳述)には、上(+z方向)から見た状態において、弾性部材10gの幅と被覆部10fの幅とを略同一とすることが望ましい。本実施の形態では、弾性部材10gの幅は、被覆部10fの幅より若干小さいが、弾性部材10gの幅と被覆部10fの幅とは略同一である。
【0028】
上ケース10の被覆部10eと被覆部10fとの間には、切り欠き10mが形成されている。これにより、弾性部材10gが±z方向に弾性変形しやすくなる。ただし、切り欠き10mは必須ではない。
【0029】
上ケース10の内部には、上ケース10の開口面(ここでは、底面)近傍に、基板40(
図3参照)を係止するツメ10i(
図2参照)が形成される。また、上ケース10の内部には、基板40の移動を止めるリブ10j及びピン10k(
図3参照)が形成される。リブ10j及びピン10kについては、後に詳述する。
【0030】
下ケース11は、上ケース10の開口面を覆う板状の部材である。本実施の形態では、下ケース11は、樹脂製である。また、下ケース11は、上ケース10に挿入されるが、下ケース11を開口部を有する箱形状とし、下ケース11の開口部から上ケース10が挿入されても良い。
【0031】
図2(A)は、光センサ1に設けられたコネクタ20にコネクタ30を挿入する前の状態を示す図であり、
図2(B)は、光センサ1に設けられたコネクタ20にコネクタ30が係合した状態を示す図である。
【0032】
コネクタ30をコネクタ20の開口部から挿入するときに、係爪部10hの先端がコネクタ30の上面30aに当接することで、弾性部材10gは、
図2(A)の一点鎖線で示すように、先端が上方向(+z方向)に移動するように(
図2(A)矢印参照)弾性変形する。
【0033】
そして、コネクタ30がコネクタ20に係合すると、弾性変形した弾性部材10gが元の形状に戻る。その結果、係爪部10hがコネクタ30の背面30bに係合する(いわゆるスナップフィット結合)。
【0034】
図2(C)は、コネクタ30の背面30bを示す図である。背面30bは、コネクタ30をコネクタ20に係合させたときに、コネクタ20から露出する端面である。背面30bは略長方形である。また、背面30bには、電線31の端部が内挿される。
【0035】
背面30bは、電線31により、上下左右に4つの領域に分割される。弾性部材10gの係爪部10hは、上下左右に分割された4つの領域のうちのもっとも広い領域(ここでは、上(+z)側の領域)に当接する。そのため、係爪部10hを、コネクタ30の背面30bにしっかり係合させることができる。
【0036】
コネクタ30と弾性部材10gとがスナップフィット結合された状態では、コネクタ30のコネクタ20からの抜け方向(+y方向)への移動が規制される。これにより、電線31等が引っ張られたとしても、コネクタ20とコネクタ30とが容易に外れることを防止することができる。
【0037】
コネクタ30をコネクタ20から外す場合には、弾性部材10gを、先端が上方向(+z方向)に移動するように(
図2(B)矢印参照)弾性変形させる。弾性部材10gは1個であるため、作業者が片手で弾性部材10gを弾性変形させつつ、他の手でコネクタ30を+y方向へ引っ張ることで、コネクタ20、基板40等を破壊することなく、コネクタ30をコネクタ20から容易に外すことができる。
【0038】
図3は、
図2(B)のA−A断面図である。上ケース10の内部には、主として、基板40と、基板40に立てた状態で取り付けられる発光素子(図示せず)及び受光素子(図示せず)とが設けられる。
【0039】
上ケース10の内部には、リブ10jが形成される。また、上ケース10の内部には、ピン10kが形成される。ピン10kは、基板40に形成された孔40aに挿入される。
【0040】
コネクタ30をコネクタ20から外す場合には、作業者がコネクタ30を+y方向(コネクタ20の底面から開口部に向かう方向)へ引っ張るため、基板40にも+y方向の力が加わり、基板40が+y方向に移動しようとする。このときに、基板40の端面がリブ10jと当接し、ピン10kが、孔40aの端面に当接することで、基板40が+y方向に移動することが防止される。その結果、コネクタ30を+y方向へ引っ張ることにより、コネクタ30をコネクタ20から外すことができる。
【0041】
なお、本実施の形態では、基板40が+y方向に移動すると基板40と当接する突起として、リブ10j及びピン10kを用いたが、リブ10j及びピン10kはどちらか一方のみでもよい。
【0042】
本実施の形態によれば、コネクタの背面に係爪部をスナップフィット結合させるため、コネクタを意図的に外さない場合には、コネクタ同士の係合を外れにくくすることができる。また、本実施の形態では、弾性部材が1本であるため、コネクタを意図的に外したいときにはコネクタ同士の係合を容易に外すことができる。
【0043】
また、本実施の形態では、弾性部材10gの幅が被覆部10fの幅と略同一と大きく、弾性部材10gの係爪部がコネクタ30の背面30bが電線31により上下左右に分割された4つの領域のうちのもっとも広い領域に当接するため、弾性部材10gとコネクタ30とのスナップフィット結合力を高くすることができる。したがって、コネクタ同士の係合をより外れにくくすることができる。
【0044】
<第2の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、弾性部材10gが上ケース10に形成されたが、弾性部材10gが形成される部材は下ケースでもよい。
【0045】
以下、本発明の第2の実施の形態に係る光センサ2について説明する。なお、光センサ1と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。また、光センサ2が備える部材であって、光センサ1が備える部材と機能等が同一で、一部の構成のみが異なる部材については、同一の符号の末尾に「A」を追加した符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0046】
図4は、本発明の一例である光センサ2の一例を示す斜視図である。
図4(A)は正面斜め右上方向から見た図であり、
図4(B)は正面斜め左下方向から見た図である。
【0047】
光センサ2は、主として、遮光性樹脂により形成された上ケース10Aと、下ケース11Aと、上ケース10に取り付けられたコネクタ20Aと、を備える。
【0048】
上ケース10Aは、主として、凸部10a、10bと、凸部10a、10bにそれぞれ形成されたスリット10c、10dと、ツメ10iと、リブ10jと、ピン10kと、を有する。上ケース10Aの内部には、基板40と、図示しない受光素子、発光素子等が設けられる。上ケース10Aの内部に設けられた基板40には、コネクタ20Aが物理的、電気的に接続される。
【0049】
上ケース10Aには、開口面(ここでは、底面)を覆うように、樹脂等により形成された下ケース11Aが設けられる。下ケース11Aは、コネクタ20Aの側面20bを覆うように上ケース10Aに設けられる。
【0050】
下ケース11Aの先端には、弾性部材11aが形成される。弾性部材11aの先端には、弾性部材10gと同様に、係爪部11bが形成される。係爪部11bは、上方向(+z方向)に突出するように形成される。また、弾性部材11aの根元には、弾性部材11aが弾性変形しやすいように、切り欠き11cが形成される。
【0051】
弾性部材11aの幅は、下ケース11Aの幅と略同一である。弾性部材11aとコネクタ30とのスナップフィット結合力を高くするため、弾性部材11aの幅と被覆部10fの幅とを略同一とすることが望ましい。
【0052】
図5(A)は、光センサ2に設けられたコネクタ20Aにコネクタ30Aを挿入する前の状態を示す図であり、
図5(B)は、光センサ2に設けられたコネクタ20Aにコネクタ30Aを挿入した状態を示す図である。
【0053】
コネクタ30Aをコネクタ20Aに挿入するときに、係爪部11bの先端がコネクタ30Aの下面30cに当接することで、弾性部材11aは、
図5(A)一点鎖線で示すように、先端が下方向(−z方向)に移動するように(
図5(A)矢印参照)弾性変形する。
【0054】
そして、コネクタ30Aがコネクタ20Aに挿入される(コネクタ20A、30Aが係合する)と、弾性変形した弾性部材11aが元の形状に戻る。その結果、弾性部材11aがコネクタ30Aの背面30bに係合する(いわゆるスナップフィット結合)。
【0055】
図5(C)は、コネクタ30Aの背面30bを示す図である。弾性部材11aの係爪部11bは、上下左右に分割された4つの領域のうちのもっとも広い領域(ここでは、下(−z)側の領域)に当接する。そのため、弾性部材11aの係爪部11b を、コネクタ30Aの背面30bにしっかり係合させることができる。
【0056】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様、コネクタに係爪部をスナップフィット結合させるため、コネクタを意図的に外さない場合には、コネクタ同士の係合を外れにくくすることができる。また、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様、弾性部材が1本であるため、コネクタを意図的に外したいときにはコネクタ同士の係合を容易に外すことができる。
【0057】
なお、第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、上ケース、下ケースの2部品で光センサのケースが構成されていたが、光センサのケースは、1部品のみで構成されていてもよいし、3部品以上で構成されていてもよい。また、弾性部材は、光センサのケースを構成する部品のいずれかに形成されていればよい。
【0058】
なお、第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、弾性部材(弾性部材10g又は弾性部材11a)の先端に係爪部(係爪部10h又は係爪部11b)が形成されていたが、係爪部が形成される位置は、弾性部材の先端に限定されない。例えば、係爪部は、弾性部材の中央近傍に形成されてもよいし、弾性部材の根元近傍に形成されてもよい。
図6は、光センサ3の一例を示す斜視図である。
図6(A)は正面斜め右上方向から見た図であり、
図6(B)は正面斜め左下方向から見た図である。
【0059】
弾性部材10o上(+z方向)から見て、略矩形形状に形成されている。弾性部材10oは、コネクタ20の底面と平行方向、すなわち±z方向に弾性変形可能である。つまり、弾性部材10oは、弾性部材10gよりもy方向の長さが長いが、弾性部材10gと同様の機能を有する。弾性部材10oの根元近傍には、側面(x方向)から見て、略台形形状の係爪部10hが形成される。係爪部10hは、下向き(−z方向)に突出するように形成される。このように係爪部10hを弾性部材10oの先端以外の部分に設けることにより、コネクタ30をコネクタ20から取り外すときに、弾性部材10oに作業者の指がかかりやすくなり、それにより作業者が弾性部材10oを弾性変形させやすくすることができる。
【0060】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、本発明は、光センサのみでなく、コネクタが設けられた基板を有する様々な電子部品に適用することができる。例えば、基板にコネクタやLED等の発光部を設けた表示灯にも、本発明を適用することができる。
【0061】
また、本発明において、「略」、「近傍」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。