特許第6397242号(P6397242)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼネラル・エレクトリック・カンパニイの特許一覧

特許6397242原位置で発電機ローターを再バランシングするための方法
<>
  • 特許6397242-原位置で発電機ローターを再バランシングするための方法 図000002
  • 特許6397242-原位置で発電機ローターを再バランシングするための方法 図000003
  • 特許6397242-原位置で発電機ローターを再バランシングするための方法 図000004
  • 特許6397242-原位置で発電機ローターを再バランシングするための方法 図000005
  • 特許6397242-原位置で発電機ローターを再バランシングするための方法 図000006
  • 特許6397242-原位置で発電機ローターを再バランシングするための方法 図000007
  • 特許6397242-原位置で発電機ローターを再バランシングするための方法 図000008
  • 特許6397242-原位置で発電機ローターを再バランシングするための方法 図000009
  • 特許6397242-原位置で発電機ローターを再バランシングするための方法 図000010
  • 特許6397242-原位置で発電機ローターを再バランシングするための方法 図000011
  • 特許6397242-原位置で発電機ローターを再バランシングするための方法 図000012
  • 特許6397242-原位置で発電機ローターを再バランシングするための方法 図000013
  • 特許6397242-原位置で発電機ローターを再バランシングするための方法 図000014
  • 特許6397242-原位置で発電機ローターを再バランシングするための方法 図000015
  • 特許6397242-原位置で発電機ローターを再バランシングするための方法 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397242
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】原位置で発電機ローターを再バランシングするための方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20180913BHJP
   H02K 15/16 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   H02K15/02 A
   H02K15/16 A
【請求項の数】20
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-146371(P2014-146371)
(22)【出願日】2014年7月17日
(65)【公開番号】特開2015-27252(P2015-27252A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2017年7月7日
(31)【優先権主張番号】13/953,620
(32)【優先日】2013年7月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッチ・ワーナー・ニューマン
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー・ランダール・バーンズ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・アーランド・オール
(72)【発明者】
【氏名】ブレント・ハミルトン・ホロウェイ
【審査官】 小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05174011(US,A)
【文献】 特開昭62−131729(JP,A)
【文献】 特開昭53−049202(JP,A)
【文献】 特開昭50−084801(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/099120(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0258834(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/02
H02K 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機のローターを補修するための方法であって、
前記発電機の非駆動端部を分解するステップと、
既設のワイリングおよび既設の接続ラグの部分から絶縁材を取り外すステップと、
前記既設の接続ラグの近くで、前記既設のワイリングの部分を取り外すステップと、
前記発電機の中に交換用ワイリングを設置するステップと、
前記交換用ワイリングを前記既設の接続ラグに接続するステップと、
前記交換用ワイリングおよび前記既設の接続ラグを絶縁するステップと
を含み、
前記発電機の上で、原位置で行われる、方法。
【請求項2】
前記分解するステップが、
前記非駆動端部を分解して、前記ローター、既設のワイリング、および既設の接続ラグを露出させるステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
絶縁材を前記取り外すステップが、
前記既設のワイリングおよび前記既設の接続ラグの部分から、ブロッキングおよび支持材料を取り外すステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
部分を前記取り外すステップが、
前記ローターから前記既設のワイリングを電気的に切断するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記設置するステップが、
前記既設のワイリングの半径方向内側に、前記ローターと同軸に、前記交換用ワイリングを位置決めするステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記接続するステップが、
前記既設の接続ラグのそれぞれの中へ貫通穴を開けるステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記接続するステップが、
前記交換用ワイリングを前記既設の接続ラグに機械的に締結するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記機械的に締結するステップが、
ボルト、ナット、および1つまたは複数のシムを用いて、前記既設の接続ラグのそれぞれに前記交換用ワイリングを締結するステップをさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記ナットが、回転防止ナットである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記発電機を部分的に再組立するステップと、
仮の軸受シールドを前記発電機の前記非駆動端部に取り付けるステップと、
ローターバランスまたはアンバランスの状態を検出するステップと、
ローターアンバランス状態が検出された場合には、前記ローターにウェイトを付加して、前記ローターアンバランスを修正するステップと
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
風力タービンの中の発電機のローターを修繕するための方法であって、
前記発電機の非駆動端部を分解するステップと、
既設のワイリングおよび既設の接続ラグの部分から絶縁材を取り外すステップと、
前記既設の接続ラグの近くで、前記既設のワイリングの部分を取り外すステップと、
前記発電機の中に交換用ワイリングを設置するステップと、
前記交換用ワイリングを前記既設の接続ラグに接続するステップと、
前記交換用ワイリングおよび前記既設の接続ラグを絶縁するステップと
を含み、
前記発電機の上で、原位置で行われる、方法。
【請求項12】
前記分解するステップが、
前記非駆動端部を分解して、前記ローター、既設のワイリング、および既設の接続ラグを露出させるステップをさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
絶縁材を前記取り外すステップが、
前記既設のワイリングおよび前記既設の接続ラグの部分から、ブロッキングおよび支持材料を取り外すステップをさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
部分を前記取り外すステップが、
前記ローターから前記既設のワイリングを電気的に切断するステップをさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記設置するステップが、
前記既設のワイリングの半径方向内側に、前記ローターと同軸に、前記交換用ワイリングを位置決めするステップをさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記接続するステップが、
前記既設の接続ラグのそれぞれの中へ貫通穴を開けるステップをさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記接続するステップが、
前記交換用ワイリングを前記既設の接続ラグに機械的に締結するステップをさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記機械的に締結するステップが、
ボルト、ナット、および1つまたは複数のシムを用いて、前記既設の接続ラグのそれぞれに前記交換用ワイリングを締結するステップをさらに含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記ナットが、回転防止ナットである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記発電機を部分的に再組立するステップと、
仮の軸受シールドを前記発電機の前記非駆動端部に取り付けるステップと、
ローターバランスまたはアンバランスの状態を検出するステップと、
ローターアンバランス状態が検出された場合には、前記ローターにウェイトを付加して、前記ローターアンバランスを修正するステップと
をさらに含む、請求項15記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で説明されているシステムおよび方法は、一般に、発電機の修繕に関する。より詳細には、システムおよび方法は、原位置で風力タービン発電機を修繕することに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくともいくつかの公知の風力タービンは、風力タービンのブレードからの可変速度の機械的な入力を、配電網に準拠する電力へ転換するための機械を含む。たとえば、いくつかの公知の風力タービンは、可変速度の機械的な入力を転換するための二重給電誘導発電機(DFIG)を含む。
【0003】
いくつかの公知のDFIG発電機ローターは、浮遊式のニュートラル点(floating neutral point)を有している。これは、ワイリング(Wye ring)によって提供されることが多い。ワイリングは、通常、銅棒から作製され、かつ発電機の非駆動端部(NDE)に位置付けされている。ワイリングとそのローター接続点(または端子ラグ)との間のろう付けされた接続を疲労させる運転上の応力に起因して、不連続をもたらす亀裂が進展する可能性がある。第1の亀裂が発生すると、電流は、依然として、3つのローター接続点に到達することが可能であるので、発電機は、満足に機能し続ける。しかし、第2の亀裂がワイリングの中に発生した場合には、ローター巻線のうちの少なくとも1つの部分(たとえば、1つの相)が、ここで、浮遊式のニュートラルから切断させられる。これは、亀裂のうちの1つを横切る激しいアーク放電を結果として生じさせ、かつワイリングの周りの絶縁の故障につながる。結局は、クロスオーバーアーク放電が、ワイリングと相リード線との間に起こる。風力タービン監視システムは、このクロスオーバーアーク放電状態を検出し、それを相障害として認識し、したがって、風力タービンを停止させる。
【0004】
過去において、亀裂の入ったワイリングを修繕する唯一の方法は、発電機全体を交換することであった。この修繕を達成するために、(たとえば、80メートル〜100メートル)のかなりの高さまで重い荷重(たとえば、10メートルトン)を持ち上げることが可能なクレーンが必要とされる。このタイプのクレーンは、高価であり、発電機交換作業は、コストがかかり、かつ時間がかかる。加えて、風力タービンは、新しい発電機が設置されるまで、運転休止されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0258834号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明の態様では、発電機のローターを補修するための方法は、発電機の非駆動端部を分解するステップと、既設のワイリングおよび既設の接続ラグの部分から絶縁材を取り外すステップと、既設の接続ラグの近くで、既設のワイリングの部分を取り外すステップと、発電機の中に交換用ワイリングを設置するステップと、交換用ワイリングを既設の接続ラグに接続するステップと、交換用ワイリングおよび既設の接続ラグを絶縁するステップとを含む。この方法は、発電機の上で、原位置で行われる。
【0007】
本発明の別の態様では、風力タービンの中の発電機のローターを修繕するための方法が提供される。方法は、発電機の非駆動端部を分解するステップと、既設のワイリングおよび既設の接続ラグの部分から絶縁材を取り外すステップと、既設の接続ラグの近くで、既設のワイリングの部分を取り外すステップと、発電機の中に交換用ワイリングを設置するステップと、交換用ワイリングを既設の接続ラグに接続するステップと、交換用ワイリングおよび既設の接続ラグを絶縁するステップとを含む。この方法は、発電機の上で、原位置で行われる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示的な風力タービンの斜視図である。
図2】公知の発電機の概略図である。
図3】発電機の非駆動端部の斜視図である。
図4】軸受シールドが取り外されている状態の発電機の非駆動端部の斜視図である。
図5】ローターファンが取り外されている状態の発電機の非駆動端部の斜視図である。
図6】ワイリングに接続されているローター端部巻線の概略図である。
図7】本発明の態様による、交換用ワイリングが設置された後のローターの概略図である。
図8】本発明の態様による、仮の軸受シールドの正面斜視図である。
図9】本発明の態様による、仮の軸受シールドの背面斜視図である。
図10】本発明の態様による、ポニーモーターアッセンブリの斜視図である。
図11】本発明の態様による、発電機ローター入力シャフトに接続されているポニーモーターアッセンブリの斜視図である。
図12】本発明の態様による、原位置で発電機ローターを再バランシングするための方法のフローチャートである。
図13】本発明の態様による、原位置で発電機ローターを再バランシングするためのシステムの概略図である。
図14】本発明の態様による、風力タービンの中の発電機のローターを修繕するための方法のフローチャートである。
図15】本発明の態様による、交換用ワイリングを接続ラグに接続するために使用される接続構成体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の1つまたは複数の具体的な態様/実施形態が、以下に説明されることとなる。これらの態様/実施形態の簡潔な説明を提供する目的で、実際の実装形態の全ての特徴が、明細書の中に説明されてはいない可能性がある。任意のエンジニアリングまたは設計プロジェクトなどの任意の実際の実装形態の開発において、機械関連の制約、システム関連の制約、およびビジネス関連の制約(それは、実装形態ごとに変化する可能性がある)を順守するなど、開発者の特定の目標を実現するために、多数の実装形態固有の決断がなされなければならないということが認識されるべきである。その上、そのような開発努力は、複雑であり、時間がかかるが、それにもかかわらず、この開示の利益を有する当業者にとって、設計、組立、製造の日常的業務であるいうことが認識されるべきである。
【0010】
本発明の様々な実施形態の要素を導入するとき、冠詞の「1つの(a)」、「1つの(an)」、「前記(the)」、および「前記(said)」は、要素のうちの1つまたは複数が存在するということを意味するように意図されている。用語の「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」は、包含的であることが意図されており、リストアップされている要素以外の追加的な要素が存在することが可能であるということを意味することが意図されている。動作パラメーターおよび/または環境状態の任意の例は、開示されている実施形態の他のパラメーター/状態に限らない。追加的に、本発明の「一実施形態」、「一態様」、または「実施形態」もしくは「態様」に対する参照は、記載されている特徴も組み込んでいる追加的な実施形態または態様の存在を除外するものとして解釈されるように意図されていないということが理解されるべきである。
【0011】
図1は、例示的な風力タービン100の概略図を示している。例示の実施形態では、風力タービン100は、水平軸の風力タービンである。代替的に、風力タービン100は、垂直軸線風力タービンであることが可能である。例示の実施形態では、風力タービン100は、タワー102を含み、タワー102は、支持表面104から延在し、支持表面104に連結されている。タワー102は、たとえば、アンカーボルトによって、または基礎据付けピースを介して(いずれも示されていない)、表面104に連結することが可能である。ナセル106が、タワー102に連結されており、メインシャフトアッセンブリ108が、ナセル106に連結されている。メインシャフトアッセンブリ108は、回転可能なハブ110と、ハブ110に連結されている複数のローターブレード112とを含む。例示の実施形態では、メインシャフトアッセンブリ108は、3つのローターブレード112を含む。代替的に、メインシャフトアッセンブリ108は、風力タービン100が本明細書で説明されているように機能することを可能にする任意の適切な数のローターブレード112を有することが可能である。タワー102は、風力タービン100が本明細書で説明されているように機能することを可能にする任意の適切な高さおよび/または構造を有することが可能である。
【0012】
ローターブレード112は、ハブ110の周りに間隔を置いて配置され、メインシャフトアッセンブリ108を回転させることを促進し、それによって、風114からの運動エネルギーを、使用可能な機械的なエネルギーへ、およびその後に、電気エネルギーへ変換する。メインシャフトアッセンブリ108およびナセル106は、ヨー軸線116の上のタワー102の周りに回転させられ、風114の方向に対するローターブレード112の姿勢を制御する。複数の荷重伝達領域120においてローターブレードルート部分118をハブ110に連結することによって、ローターブレード112は、ハブ110と一体にされている。荷重伝達領域120は、ハブ荷重伝達領域と、ローターブレード荷重伝達領域とをそれぞれ有している(両方とも、図1には示されていない)。ローターブレード112に誘導される荷重は、荷重伝達領域120を介して、ハブ110に伝達される。また、それぞれのローターブレード112は、ローターブレード先端部分122を含む。
【0013】
例示の実施形態では、ローターブレード112は、おおよそ30メートル(m)(99フィート(ft))からおおよそ120m(394ft)の間の長さを有している。代替的に、ローターブレード112は、風力タービン100が本明細書で説明されているように機能することを可能にする任意の適切な長さを有することが可能である。たとえば、ローターブレード112は、30mよりも小さいか、または120mよりも大きい適切な長さを有することが可能である。風114がローターブレード112に接触すると、揚力が、ローターブレード112に誘導され、ローターブレード先端部分122が加速されながら、回転軸線124の周りのメインシャフトアッセンブリ108の回転が誘導される。
【0014】
ローターブレード112のピッチ角度(図示せず)、すなわち、風114の方向に対するローターブレード112の姿勢を決定する角度は、ピッチアッセンブリ(図1には示されていない)によって、変化させることが可能である。より具体的には、ローターブレード112のピッチ角度を増加させることによって、風114に露出されるローターブレード表面積126の量が減少させられ、逆に、ローターブレード112のピッチ角度を減少させることによって、風114に露出されるローターブレード表面積126の量が増加させられる。ローターブレード112のピッチ角度は、それぞれのローターブレード112において、ピッチ軸線128の周りで調節される。例示の実施形態では、ローターブレード112のピッチ角度は、個別に制御される。さらに、風力タービン100は、ナセル106の中にメインギヤボックス130および発電機200を含む。例示の実施形態では、メインシャフトアッセンブリ108は、メインギヤボックス130の中へ延在する低速シャフト(図1には示されていない)と、発電機200へ延在する高速シャフト(図1には示されていない)とを含む。
【0015】
図2は、発電機200の概略図を示している。発電機200は、ステーター210およびローター212を含む。発電機入力シャフト220は、カップリング221を介してギヤボックス出力シャフト225に連結されている。典型的には、カップリング221は、ボルト締めされるフランジ構成である。発電機入力シャフト220は、発電機の駆動端部(DE)214に位置付けされている。発電機200の反対側の端部は、非駆動端部(NDE)216である。非駆動端部216は、軸受シールド230を含む。また、軸受シールド230は、内側軸受カバー231を含むことが可能であり、軸受シールド230の外側は、オイルスリンガー232、およびスリップリング234を含有するスリップリングハウジング233の取付けのために構成することが可能である。
【0016】
図3は、発電機200の非駆動端部216の斜視図を示している。軸受シールド230は、発電機200に取り付けられて示されているが、しかし、スリップリングハウジング233、スリップリング234、および他のパーツは、取り外されている。既設の軸受シールドは、中実のカバー(ローターシャフトが通過する部分を除く)であることを理解することが可能である。
【0017】
図4は、軸受シールド230が取り外されている状態の発電機200の非駆動端部216の斜視図を示している。発電機ローターファン440が、ローターに取り付けられており、かつ半径流式ファンとして構成されている。しかし、ローターファン440は、同様に、軸流タイプのファンであることも可能である。ローターファンへのアクセスは、以下でより詳細に説明されるように、再バランシング操作中に重要である。
【0018】
図5は、ローターファン440が取り外されている状態の発電機200の非駆動端部216の斜視図を示している。ローターの端部巻線513は、ローターの周りに円周方向に延在している。端部巻線513は、端部巻線513の内側に半径方向にフィットするワイリング514に接続されている。ワイリング514は、典型的には、概して円形形状に湾曲した1つまたは複数の銅棒であり、ワイリング514は、(典型的には)ローター巻線の3つの相のために、浮遊式のニュートラル接続を提供する。ワイリング514は、通常、誘電材料の中に包み、かつ/またはカプセル化することによって、絶縁されている。
【0019】
先述のように、運転上の損傷は、ワイリング514に亀裂を発生させる可能性がある。2つ以上の亀裂が進展する場合には、発電機は、正常に機能せず、停止されなければならない。図6は、ワイリング514に接続されているローター端部巻線513の概略図を示している。接続ラグ651、652、および653が使用され、ワイリング514を端部巻線513に電気的に接続している。典型的には、接続ラグは、ワイリング514にろう付けされている(両方とも銅から作製されているとき)。ろう付けされた接合部は、発電機の操作中に歪みを経験する。たとえば、熱膨張および熱収縮は、ローター端部巻線513とワイリング514との間で均一でない可能性があり、この不均等な膨張および収縮は、ワイリング自身だけでなく、ろう付けされた接合部にもストレスを加える。残念ながら、長期間の後に、亀裂661が、接続ラグ651の近くにおいて、ワイリングの中に形成され得る。単一の亀裂は、電流が依然として近くの接続点に流れることが可能であるので、壊滅的ではない。しかし、亀裂661は、やはり、他の2つの接続ラグ652および653に追加的な荷重を与える。第2の亀裂662が接続ラグ662の近くに進展する場合には、(接続ラグ651を介する)相のうちの1つは、ここで、浮遊式のニュートラルから分離される。亀裂同士の間のアーク放電が、絶縁を劣化させることとなり、機械故障を引き起こすこととなる。
【0020】
図7は、交換用ワイリング714が設置された後のローター212の概略図を示している。過去には、亀裂の入った(またはそうでなければ、正常に機能しない)ワイリング514を、タワーの上で、または原位置で修繕する方法は存在しなかった。古い発電機全体は、取り外されなければならず、新しい発電機をナセルまで持っていき設置していた。予期され得るように、これは、非常に費用がかかり、かつ時間のかかる操作であったが、発電機を修理する唯一の知られた方法であった。本発明の態様によれば、新しい(または交換用)ワイリング714が、古いワイリング514の半径方向内側に設置および配設されている。
【0021】
接続ラグ651〜653を露出させるために、既設の絶縁材は、古いワイリング514から取り外されなければならない。交換用ワイリング714は、接続ラグに締結されることとなる。締結システムは、ボルト771、回転防止ナット772、および1つまたは複数のシム773を含むことが可能である。交換用ワイリング714は、銅またはアルミニウムから作製することが可能であり、かつ以前のワイリング514のちょうど内側に(しかし、直接的には接触していない)入れ子になるのに十分な直径となっている。また、締結システムは、伝導度を増加させるためにめっき表面(たとえば、銀めっき)を含むことも可能である。交換用ワイリング714の設置後に、接続ラグ651〜653、露出された古いワイリング514部分、ならびに新しいワイリング714(および締結システム)は、誘電(または絶縁)材料の中にカプセル化される。
【0022】
この新しいハードウェアの設置は、ローター212に関するアンバランス問題を生み出す。ここで、この新しいハードウェアの付加に起因して、ローター212はバランスが崩れた状態になることとなり、いくつかのローターは、非対称的に位置付けされた接続ラグを有し、非対称的に位置付けされた接続ラグは、ローターバランス問題をさらに悪化させる可能性が非常に高い。工場で製作された新しい発電機は、製作プロセスの間にバランス調整がされるので、この問題を有さない。しかし、現場での発電機ローターのそのような改造は、ほとんどいつも、いくらかのローターアンバランスを発生させることとなる。非駆動端部216だけが改造されたときには、許容可能なバランス状態に発電機を戻すために、非駆動端部216だけがバランス調整されることが必要になる可能性が最も高くなる。かなりの必要距離に、2つの軸受点が存在するので、新しい発電機に行われるバランシングのタイプは、2面バランシングと称される。本発明の態様によれば、方法は、動的バランシングを結果として生じさせることとなり、動的バランシングは、工場バランシングに近づくこととなるが、残留アンバランスおよび許容可能なアンバランスが残り得る。これは、完全な2面バランシングを行うことによってのみ、対処することが可能であり、これを達成するために、駆動端部214の軸受シールド(図示せず)が取り外され、かつ図8および図9に示されているような仮のものと交換されなければならないこととなる。典型的には、工場(新しい発電機を製作するとき)は、スリップリング234またはスリップリングアッセンブリ全体がローター212に取り付けられている状態で、ローター212をバランス調整しない。したがって、特定の用途において望まれる場合には、スリップリング(またはスリップリングアッセンブリ)は、原位置で再バランシング操作する間に、ローターから外すことが可能である。しかし、再バランシング操作の間に、ローターまたはローターシャフトに取り付けられる所定の位置に、他のローター付属品(たとえば、内側軸受カバー、オイルスリンガーなど)を有することが望ましい可能性がある。ここで、そのような原位置での(およびタワーの上での)ローター再バランシングを達成するシステムおよび方法を説明する。
【0023】
図8は、本発明の態様による、軸受シールド800の正面斜視図を示している。軸受シールド800は、仮の軸受シールドであり、仮の軸受シールドは、発電機200の上に設置され、かつオリジナルの軸受シールド230を寸法的に模造しており、ローターの全ての回転パーツが、通常運転状態にあるかのように据え付けられ得るようになっている。回転パーツは、オイルスリンガー、スリップリング、またはローターのバランスに影響を及ぼすこととなる任意の他のローターの回転パーツを含むことが可能である。
【0024】
仮の軸受シールド800は、第1の半割部801を含み、第1の半割部801は、ナット811およびボルト812の構成によって、第2の半割部802に接合されている。また、2つの半割部801、802は、任意の他の適切な接合方法によって、接合することが可能である。仮の軸受シールド800は、通過するローターシャフトの非駆動部分を支持するための中央開口部を含む。複数の窓804、805、806、807が、オペレーターが発電機ローターファン440にアクセスすることを可能にするように構成されており、バランシングウェイトをそこに取り付けることが可能であるようになっている。ファン440は、ウェイト取付けのために適した表面積を多くの点に提供するので、ウェイト取付けの良い候補である。また、仮の軸受シールド800は、発電機ローターのNDE非回転パーツを据え付けるための据付け手段も含み、これらの据付け手段は、ねじ穴821、822、823、824、またはオリジナルの軸受シールド230の上に設けられるような他の適切なブラケットもしくはハンガーを含むことが可能である。非回転パーツは、内側軸受カバー、内側軸受キャップ、または他の非回転パーツを含むことが可能である。
【0025】
図9は、本発明の態様による、仮の軸受シールド800の背面斜視図を示している。仮の軸受シールド800は、複数の貫通穴901〜908を含み、複数の貫通穴901〜908は、ボルト通路のための、および発電機200の非駆動端部216の上へのシールド800の据付けのためのものである。貫通穴821〜824は、内側軸受カバー231を仮の軸受シールド800に取り付けるために使用することが可能である。再バランシング操作の間に、バランスの状況は検出されなければならず、したがって、仮の軸受シールド800は、ローターバランスまたはアンバランスの状況を検出するように構成されている加速度計910も含む。加速度計910は、単一の軸線タイプの加速度計であることが可能であり、かつ据付け部915に磁気的に取り付けることが可能である。単一の軸線タイプの加速度計は、好ましくは、旋回の中心に向かって半径方向に配向されており、アンバランスのローター状態によって生成される振動をピックアップする。1つの加速度計が示されているが、ローターの再バランシング操作の間に複数の加速度計を使用することが可能であるということが理解されるべきである。単に、1つの例として、1つの加速度計を非駆動端部216に配設することが可能であり、別の加速度計を駆動端部214に配設することが可能である。
【0026】
図10は、本発明の態様によるポニーモーターアッセンブリ1000の斜視図を示している。ポニーモーターアッセンブリ1000は、発電機200の駆動端部214に取り付けるために構成されており、かつ再バランシング操作の間に、発電機ローター入力シャフト220を回転させるようにも構成されている。ポニーモーターアッセンブリ1000は、モーターハウジング1012の中に含有されたモーター1010を含む。モーターハウジング1012は、ポニーモーター据付け部によって、発電機200に取り付けられている。ポニーモーター据付け部は、2つのブラケット1020、1022およびブラケット据付け部1024を含む。ブラケット1020、1022は、ブラケット据付け部1024を介して発電機200に取り付けられるように構成されている。モーター1010は、駆動プーリー1014を駆動し、駆動プーリー1014は、ローター入力シャフト220に接続されているベルト1116を回転させる。ベルト116に張力を提供するために、ターンバックルロッド1030は、ポニーモーターアッセンブリ1000を発電機200に取り付けるために構成されている。ターンバックルロッド1030は、ボルト1032に取り付けることが可能であり、ボルト1032は、発電機200の中へ、または発電機もしくは他の支持構造体の上の任意の他の適切な据付け場所の中へ、ねじ込まれている。ターンバックルロッド1030を回転させ、ベルト1116にかかる張力を増加または減少させることが可能である。
【0027】
発電機ローター212は、非常に重く(たとえば、約2メートルトン)、かつその質量は、かなり大きい半径の周りに集中されている。これは、非常に大きい慣性を結果として生じさせ、それは、克服される必要がある。「直入れで」(すなわち、そのスイッチを入れることによって)始動されることとなるモーターを使用する場合には、(1つまたは複数の)ベルトは、ローター212が所定の速度に達する前に、破壊されるか、またはスリップするか、および燃える可能性がある。「ソフトスタート」のモーター制御装置は、非常に大型で重く、その上、そのような制御装置を伴うモーターも大型で重くなり、そのことは、モーターおよび制御装置をタワーの上に輸送する作業を困難にする。より好ましい選択肢として、コンピューターを介して制御されるサーボドライブモーター1010が使用される。サーボドライブモーターは、非常に低い毎分回転数において、巨大なトルクで始動され、かつ制御された方式で加速され得る。たとえば、ベルト1116をスリップさせることなく、またはドライブ要素またはモーター1010に過負荷を加えることなく、ローター212を動かすために、モーター110は、非常に小さい速度増加率を有することが可能である。
【0028】
図11は、本発明の態様による、発電機ローター入力シャフトに接続されているポニーモーターアッセンブリ1000の斜視図を示している。プーリー1118は、任意の適切な据付け手段(たとえば、ボルト締めされるフランジ接続など)を介して、ローター入力シャフト220に接続することが可能である。発電機ローター212を回転させるために、モーターが電圧を印加されて駆動プーリー1014を回転させ、ひいては、これが、ベルト1116を駆動し、ベルト1116が、プーリー1116およびローター入力シャフト220を回転させる。単に、1つの例として、モーター1010は、再バランシング操作の間に、約200rpmから約400rpmで、ローター212を駆動することが可能である。
【0029】
図12は、原位置で発電機ローター212をバランシング(または再バランシング)するための方法1200のフローチャートを示している。発電機200が風力タービンタワー102の上部にあるナセル106の内側に位置付けされている間に、この方法を行うことが可能である。方法は、仮の軸受シールド800を発電機200の非駆動端部216に取り付けるステップ1210を含む。また、このステップは、発電機ローターの回転パーツを発電機ローターに取り付けるステップ、および非回転パーツを仮の軸受シールドに取り付けるステップを含むことも可能である。取り付けるステップ1220は、ポニーモーターアッセンブリ1000を発電機200の駆動端部214に取り付ける。接続するステップ1230は、ポニーモーターアッセンブリ1000を発電機ローター入力シャフト220(およびしたがってローター212)に接続する。また、このステップは、プーリー1118をローター212(または入力シャフト220)に取り付けるステップ、およびベルト1116を介してプーリー1118をポニーモーターアッセンブリ1000に接続するステップを含むことも可能である。ベルトは、ターンバックルロッド1030を発電機およびポニーモーターアッセンブリ1000に取り付けることによって、張力をかけることが可能である。ターンバックルロッドは、その長さを増加または減少させるために回転させることが可能であり、それによって、ベルト1118にかかる張力の量を増加または減少させる。ローターのバランスをテストするために、作動させるステップ1240が、ポニーモーターアッセンブリ(すなわち、モーター1010)を作動させ、発電機ローター212を回転させ、検出するステップ1250が、発電機ローターバランスまたはアンバランスの状態を検出する。また、検出するステップ1250は、1つまたは複数の加速度計(たとえば、加速度計910)からデータを受信するステップを含むことも可能であり、1つまたは複数の加速度計は、ローターバランス/アンバランスの状態を示すために使用されるデータを出力する。ウェイト付加ステップ1260は、ローターアンバランス状態が検出される場合には、発電機ローター212にウェイトを付加して、ローターアンバランスを修正する。ウェイト付加ステップは、ファン440の特定の部分(またはローター212の他のパーツ)にウェイトを付加して、ローターバランスを修正するステップを含むことが可能である。
【0030】
図13は発電機200が風力タービン100の中にある状態で、発電機ローターを再バランシングするための概略図を示している。システムは、仮の軸受シールド800、およびポニーモーターアッセンブリ1100を含み、その両方が、発電機200およびコンピューター1300に取り付けられて示されている。本発明の再バランシングシステム1310は、ソフトウェア(たとえば、ファームウェア)、ハードウェア、またはそれらの組合せにより実施することが可能である。現在考えられる最良の形態では、再バランシングシステム1310は、実行可能プログラムとして、ソフトウェアにより実施され、かつパーソナルコンピューター(PC;IBMと互換性のあるもの、Appleと互換性のあるもの、またはその他)、ワークステーション、ミニコンピューター、またはメインフレームコンピューターなど、専用のまたは汎用のデジタルコンピューターによって実行される。本発明の再バランシングシステム1310を実施することが可能な汎用コンピューターの例が、図13に示されている。
【0031】
概して、ハードウェアアーキテクチャーの観点から、図13に示されているように、コンピューター1300は、プロセッサー1312、メモリー1314、ならびに1つまたは複数の入力および/または出力(I/O)デバイス1316(または周辺機器)を含み、それらは、ローカルインターフェース1318を介して、通信可能に連結されている。ローカルインターフェース1318は、たとえば、当技術分野で知られているような、1つまたは複数のバス、または他のワイヤード接続もしくはワイヤレス接続であることが可能であるが、それに限定されない。ローカルインターフェース1318は、制御装置、バッファー(キャッシュ)、ドライバー、リピーター、およびレシーバーなど、追加的な要素(それらは、簡単にするために省略されている)を有し、通信を可能にすることが可能である。さらに、ローカルインターフェースは、アドレス、コントロール、および/またはデータ接続を含むことが可能であり、上述の構成要素の間の適当な通信を可能にする。
【0032】
プロセッサー1312は、ソフトウェア(とりわけ、メモリー1314の中に保存されているソフトウェア)を実行するためのハードウェアデバイスである。プロセッサー1312は、任意の特注のまたは市販のプロセッサー、中央処理装置(CPU)、コンピューター1300に関連付けされたいくつかのプロセッサーの間の補助プロセッサー、(マイクロチップまたはチップセットの形態の)半導体ベースのマイクロプロセッサー、マクロプロセッサー、または概してソフトウェア命令を実行するための任意のデバイスであることが可能である。適切な市販のマイクロプロセッサーの例は、以下の通りである。すなわち、Hewlett−Packard Company製のPA−RISCシリーズのマイクロプロセッサー、Intel Corporation製の80x86もしくはPentium(登録商標)シリーズのマイクロプロセッサー、IBM製のPowerPCマイクロプロセッサー、Sun Microsystems、Inc.製のSparcマイクロプロセッサー、またはMotorola Corporation製の68xxxシリーズのマイクロプロセッサーである。
【0033】
メモリー1314は、揮発性のメモリー要素(たとえば、ランダムアクセスメモリー(DRAM、SRAM、SDRAMなどのRAM))、および不揮発性のメモリー要素(たとえば、ROM、ハードドライブ、テープ、CDROMなど)のうちの任意の1つ、またはそれらの組合せを含むことが可能である。その上、メモリー1314は、電子的な、磁気的な、光学的な、および/または他のタイプの記憶媒体を組み込むことが可能である。メモリー1314は、分散型アーキテクチャーを有することが可能であり、分散型アーキテクチャーでは、様々な構成要素が互いから離れて位置するが、プロセッサー12によってアクセスされ得るということに留意されたい。
【0034】
メモリー1314の中のソフトウェアは、1つまたは複数の別々のプログラムを含むことが可能であり、そのそれぞれは、論理関数を実施するための実行可能命令の順序付きのリストを含む。図13の例では、メモリー1314の中のソフトウェアは、本発明による再バランシングシステム1310と、適切なオペレーティングシステム(O/S)1322とを含む。適切な市販のオペレーティングシステム1322の例の包括的でないリストは、以下の通りである。すなわち、(a)Microsoft Corporationから市販されているWindows(登録商標)オペレーティングシステム、(b)Novell、Inc.から市販されているNetwareオペレーティングシステム、(c)Apple Computer、Inc.から市販されているMacintoshオペレーティングシステム、(d)UNIX(登録商標)オペレーティングシステム(Hewlett−Packard Company、Sun Microsystems、Inc.、およびAT&T Corporationなど、多くのベンダーから購入可能である)、(e)LINUX(登録商標)オペレーティングシステム(インターネット上で容易に入手可能なフリーウェア)、(f)WindRiver Systems、Inc.製のランタイムVxworksオペレーティングシステム、または(g)電気機器用ベース(appliance−based)のオペレーティングシステム(携帯型コンピューターまたは個人情報端末(PDAs)(たとえば、Palm Computing、Inc.製のPalmOS、およびMicrosoft Corporationから市販されているWindows(登録商標) CEなど)により実施されるものなどである)である。オペレーティングシステム1322は、再バランシングシステム1310などの他のコンピュータープログラムの実行を本質的に制御し、かつスケジューリング、入力/出力コントロール、ファイルおよびデータ管理、メモリー管理、および通信制御、ならびに関連のサービスを提供する。
【0035】
再バランシングシステム1310は、ソースプログラム、実行可能プログラム(オブジェクトコード)、スクリプト、または行われるべき一組の命令を含む任意の他のエンティティーである。ソースプログラムである場合、プログラムは、O/S1322に接続して適正に動作するように、コンパイラ、アッセンブラ、インタープリタなど(メモリー1314の中に含まれるかどうかは分からない)を介して変換される必要がある。その上、再バランシングシステム1310は、(a)オブジェクト指向のプログラミング言語(それは、データおよび方法のクラスを有する)、または(b)たとえば、それに限定されないが、C、C++、Pascal、Basic、Fortran、Cobol、Perl、Java(登録商標)、およびAdaなどの、手続き型プログラミング言語(それは、ルーチン、サブルーチン、および/または関数を有する)として書くことが可能である。本発明を実施する現在考えられる最良の形態では、再バランシングシステム1310は、加速度計911〜914に接続されており、加速度計から受信されるデータが使用され、ローター212のバランス/アンバランスの状況、ローターがアンバランス状態であるかどうか、次いで、バランシングウェイトをどこに配設するか、およびローター212(またはファン440もしくは任意の他の適切なローター場所)の上のそれぞれの指定された場所にどのくらいのウェイトを配設するかを示す。
【0036】
I/Oデバイス1316は、入力デバイスを含むことが可能であり、入力デバイスは、たとえば、加速度計910、キーボード、マウス、スキャナー、マイクロホンなどであるが、それに限定されない。その上、I/Oデバイス1316は、出力デバイスも含むことが可能であり、出力デバイスは、たとえば、プリンター、ディスプレイなどであるが、それに限定されない。最後に、I/Oデバイス1316は、入力と出力の両方を伝達するデバイスをさらに含むことが可能であり、それは、たとえば、変調器/復調器(モデム;別のデバイス、システム、またはネットワークにアクセスするためのもの)、無線周波数(RF)または他のトランシーバー、電話によるインターフェース、ブリッジ、ルーターなどであるが、それに限定されない。
【0037】
コンピューター1300が、PC、ワークステーション、ラップトップ型コンピューター、スマートフォン、タブレットなどである場合には、メモリー1314の中のソフトウェアは、基本入出力システム(BIOS)(簡単にするために省略されている)をさらに含むことが可能である。BIOSは、一組の必須のソフトウェアルーチンであり、それは、始動時にハードウェアを初期化およびテストし、O/S1322を始動させ、ハードウェアデバイス同士の間のデータの伝達を支持する。BIOSは、ROMの中に保存されており、コンピューター1300が作動させられるときに、BIOSが実行され得るようになっている。コンピューター1300が動作中のときには、プロセッサー1312は、メモリー1314の中に保存されているソフトウェアを実行するように構成されており、メモリー1314へ、およびメモリー1314から、データを通信し、概して、ソフトウェアにしたがってコンピューター1300の動作を制御する。再バランシングシステム1310およびO/S1322は、全体的にまたは部分的に(しかし、典型的には後者である)、プロセッサー1312によって読まれ、おそらく、プロセッサー1312の中にバッファリングされ、次いで、実行される。
【0038】
再バランシングシステム1310が、図13に示されているように、ソフトウェアにより実施されるときには、再バランシングシステム1310は、任意のコンピューター関連のシステムまたは方法によって、または任意のコンピューター関連のシステムまたは方法に接続して、使用するための任意のコンピューター可読媒体に保存することが可能であるということが留意されるべきである。この書類の文脈において、コンピューター可読媒体は、電子的な、磁気的な、光学的な、または他の物理的なデバイスまたは手段であり、それは、コンピューター関連のシステムまたは方法によって、またはコンピューター関連のシステムまたは方法に接続して、使用するためのコンピュータープログラムを含有または保存することが可能である。再バランシングシステム1310は、命令実行システム、装置、またはデバイス(コンピューターベースのシステム、プロセッサーを含有するシステム、または命令実行システム、装置、もしくはデバイスからの命令をフェッチし、かつその命令を実行することが可能な他のシステムなど)によって、またはそれに接続して、使用するための任意のコンピューター可読媒体の中に具現化することが可能である。本願の文脈において、「コンピューター可読媒体」は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって、または命令実行システム、装置、またはデバイスに接続して、使用するためのプログラムを、保存、通信、伝搬、または輸送することが可能な任意の手段であることが可能である。コンピューター可読媒体は、たとえば、電子的な、磁気的な、光学的な、電磁気的な、赤外線の、もしくは半導体のシステム、装置、デバイス、または伝搬媒体であることが可能であるが、それに限定されない。コンピューター可読媒体のより具体的な例(包括的でないリスト)は、以下を含むこととなる。すなわち、1つまたは複数のワイヤーを有する電気的接続(電子的な)、携帯型コンピューターディスケット(磁気的な)、ランダムアクセスメモリー(RAM)(電子的な)、読み取り専用メモリー(ROM)(電子的な)、消去可能なプログラム可能型読み取り専用メモリー(EPROM、EEPROM、またはフラッシュメモリー)(電子的な)、光ファイバー(光学的な)、および携帯型コンパクトディスク読み取り専用メモリー(CDROM)(光学的な)である。プログラムは、たとえば紙または他の媒体の光学的なスキャニングを介して、電子的にキャプチャーされ、次いで、コンパイルされ、解釈され、またはそうでなければ、必要であれば、適切な様式で処理され、次いで、コンピューターメモリーの中に保存され得るので、コンピューター可読媒体は、その上にプログラムが印刷される紙または別の適切な媒体であることも可能であるということが留意されるべきである。
【0039】
再バランシングシステム1310がハードウェアにより実施される代替的な実施形態では、再バランシングシステム1310は、以下の技術(それらは、当技術分野において、それぞれ知られている)のうちの任意のもの、またはそれらの組合せにより実施することが可能である。すなわち、データ信号を受けて論理関数を実施するための論理ゲートを有する(1つまたは複数の)個別論理回路、適当な組合せの論理ゲートを有する特定用途向け集積回路(ASIC)、(1つまたは複数の)プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などである。
【0040】
図14は、風力タービン100の中の発電機200のローター212を修繕する(または補修する)ための方法1400のフローチャートを示している。方法1400は、原位置で、または発電機200が風力タービン100のナセル106の中に収容されている状態で、行うことが可能である。方法1400は、発電機200の非駆動端部216を分解するステップ1410を含む。図3図5も参照されたい。また、このステップは、非駆動端部216を分解して、ローター212、既設のワイリング514、および既設の接続ラグ651、652、653を露出させるステップを含むことも可能である。ステップ1420は、既設のワイリング514、および既設の接続ラグ651、652、653の部分から絶縁材を取り外す。また、このステップは、既設のワイリング514、および既設の接続ラグ651、652、653の部分から、ブロッキング材料および支持材料を取り外すステップを含むことも可能である。ステップ1430は、既設の接続ラグ651、652、653の近くで既設のワイリング514の部分を取り外す。また、このステップは、ローター212またはローター端部巻線513から、既設のワイリング514を電気的に切断するステップを含むことも可能である。
【0041】
ステップ1440は、発電機200の中に交換用ワイリング714を設置する。図7を参照されたい。また、このステップは、既設のワイリング514の半径方向内側に、ローター212、またはローターの中心シャフトと同軸に、交換用ワイリング714を位置決めするステップを含むことも可能である。ステップ1450は、交換用ワイリングを既設の接続ラグ651、652、653に接続する。このステップは、既設の接続ラグのそれぞれの中へ貫通穴1570を開けるステップ、およびボルト771、ナット772(回転防止ナットであることが可能である)、および1つまたは複数のシム773を用いて、交換用ワイリング714を既設の接続ラグのそれぞれに機械的に締結するステップを含むことが可能である。図15は、交換用ワイリング714を接続ラグ651に接続するために使用される接続構成体の分解斜視図である。ナット772は、オーバーハング1580を含み、オーバーハング1580は、ナット772が接続ラグ651の上に配設されるときに、回転するのを防止するために使用される。
【0042】
ステップ1460は、交換用ワイリング714、および既設の接続ラグ651、652、653を絶縁する。また、方法1400は、発電機を部分的に再組立するステップと、仮の軸受シールドを発電機の非駆動端部に取り付けるステップと、ローターバランスまたはアンバランスの状態を検出するステップと、ローターアンバランス状態が検出された場合には、ウェイトをローターに付加して、ローターアンバランスを修正するステップとを含むことも可能である。
【0043】
本発明の方法およびシステムは、風力タービンにおいて、原位置で、およびタワーの上で、欠陥があるワイリングを有する発電機を修繕することが可能になったので、予期されていなかった実質的に改善された結果を実証している。以前には、知られていた唯一の解決策は、発電機全体を取り外し、新しい発電機を設置することであった(コストがかかり、かつ時間のかかる試みであった)。本発明の方法およびシステムは、はるかに速く、かつはるかに安価に、風力タービンが動作状態に復旧されることを可能にする。
【0044】
本発明の方法およびシステムは、風力タービンにおいて、原位置で、およびタワーの上で、欠陥があるワイリングを有する発電機を修繕することが可能になったので、予期されていなかった実質的に改善された結果を実証している。以前には、知られていた唯一の解決策は、発電機全体を取り外し、新しい発電機を設置することであった(コストがかかり、かつ時間のかかる試みであった)。本発明の方法およびシステムは、はるかに速く、かつはるかに安価に、風力タービンが動作状態に復旧されることを可能にする。
【0045】
本明細書は、本発明を開示するために、また、任意の当業者が本発明を実施する(任意のデバイスまたはシステムを製造および使用すること、ならびに任意の組み込まれた方法を実行することを含む)ことができるように、例(最良の形態を含む)を使用している。本発明の特許の範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が考え付く他の例を含むことが可能である。そのような他の例が、特許請求の範囲の文言と異ならない構造的要素を含んでいる場合には、または特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない等価な構造的要素を含んでいる場合には、そのような他の例は、特許請求の範囲内に含まれるということが意図されている。
【符号の説明】
【0046】
100 風力タービン
102 タワー
104 支持表面
106 ナセル
108 メインシャフトアッセンブリ
110 ハブ
112 ローターブレード
114 風
116 ヨー軸線
118 ローターブレードルート部分
120 荷重伝達領域
122 ローターブレード先端部分
126 ローターブレード表面積
128 ピッチ軸線
130 ギヤボックス
200 発電機
210 ステーター
212 ローター
214 駆動端部
216 非駆動端部
220 発電機入力シャフト
221 カップリング
225 ギヤボックス出力シャフト
230 軸受シールド
231 内側軸受カバー
232 オイルスリンガー
233 スリップリングハウジング
234 スリップリング
440 発電機ローターファン
513 ローター端部巻線
514 ワイリング
651、652、653 接続ラグ
661 亀裂
662 亀裂
714 交換用ワイリング
771 ボルト
772 回転防止ナット
773 シム
800 仮の軸受シールド
801 第1の半割部
802 第2の半割部
804、805、806、807 窓
811 ナット
812 ボルト
821、822、823、824 ねじ穴
901〜908 貫通穴
911、912、913、914 加速度計
1000 ポニーモーターアッセンブリ
1010 モーター
1012 モーターハウジング
1014 駆動プーリー
1020、1022 ブラケット
1024 ブラケット据付け部
1030 ターンバックルロッド
1032 ボルト
1116 ベルト
1118 プーリー
1210 仮の軸受シールドを取り付ける
1220 ポニーモーターアッセンブリを取り付ける
1230 ポニーモーターアッセンブリを発電機ローターに接続する
1240 ポニーモーターアッセンブリを作動させる
1250 発電機ローターバランスまたはアンバランスの状態を検出する
1260 ローターアンバランス状態が検出される場合には、発電機ローターにウェイトを付加する
1300 コンピューター
1310 再バランシングシステム
1312 プロセッサー
1314 メモリー
1316 入力/出力(I/O)デバイス
1318 ローカルインターフェース
1322 オペレーティングシステム(O/S)
1410 発電機の非駆動端部を分解する
1420 ワイリングおよび接続ラグから絶縁材を取り外す
1430 ワイリングの部分を取り外す
1440 交換用ワイリングを設置する
1450 交換用ワイリングを接続ラグに接続する
1460 交換用ワイリングおよび接続ラグを絶縁する
1570 穴
1580 オーバーハング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15