特許第6397275号(P6397275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397275
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】アンテナユニット
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/08 20060101AFI20180913BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20180913BHJP
   H01P 1/06 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   H01Q13/08
   H01Q1/38
   H01P1/06
【請求項の数】1
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-178457(P2014-178457)
(22)【出願日】2014年9月2日
(65)【公開番号】特開2016-54348(P2016-54348A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2017年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥長 剛
(72)【発明者】
【氏名】中津 彰
【審査官】 橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−035511(JP,A)
【文献】 特開2000−138525(JP,A)
【文献】 特開2012−146237(JP,A)
【文献】 特開2007−228223(JP,A)
【文献】 実開昭62−039303(JP,U)
【文献】 実開昭58−096301(JP,U)
【文献】 実開昭63−131401(JP,U)
【文献】 特開昭62−268201(JP,A)
【文献】 特開2008−025785(JP,A)
【文献】 特開2013−232742(JP,A)
【文献】 特開2001−298301(JP,A)
【文献】 特開2010−103978(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0049435(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/08
H01P 1/06
H01Q 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管軸方向に電波を伝搬する導波管と、
前記導波管の管軸方向一方側と電磁的に結合される第1素子を有する第1基板と、
前記導波管の管軸方向他方側と電磁的に結合される第2素子を有する第2基板と、
を備え、
前記導波管は、前記第1素子を囲むようにして前記第1基板に取り付けられている短円筒形状の第1管部と、当該第1管部と別体であり前記第2素子を囲むようにして前記第2基板に取り付けられている短円筒形状の第2管部と、前記第1管部の一部と前記第2管部の一部とを嵌合させる嵌合部と、を有し、
前記第2管部は、前記第1管部の内周面と直径が同じである第1内周面と、当該第1内周面よりも直径が大きい第2内周面とを有していて、
前記嵌合部は、前記第2内周面に全周にわたって形成されている凹部と、前記第1管部の外周面の一部に全周にわたって形成されており前記凹部に嵌合する形状の凸部と、によって構成され、
前記第2内周面は前記第1管部の一部に対して外嵌し前記凹部と前記凸部とが嵌合することで前記第1管部と前記第2管部とは連結されていて、前記第1管部と前記第2管部とが連結されることによって前記導波管が構成され
直径が同じである前記第1管部の前記内周面と前記第2管部の前記第1内周面とにより、前記導波管は、平滑な直線状の内周面を有する、
ことを特徴とするアンテナユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナユニット及びアンテナ用部品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばミリ波を利用したレーダや通信機は、送受信アンテナ及び発信回路を備えており、送受信アンテナが第1基板上に設けられ、発信回路が第2基板上に実装され、これら第1基板と第2基板とが導波管により接続されているものがある。
このように、二つの基板を導波管により接続したアンテナユニットとして、例えば特許文献1に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−138525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二つの基板が導波管により接続されているアンテナユニットでは、図16に示すように、第1基板91に給電用配線93及び給電導体94が設けられており、第2基板92に無給電導体95が設けられている。そして、これら基板91,92の間に導波管となる円筒形状の壁状部材96が介在している。
【0005】
これら第1基板91、第2基板92及び壁状部材96を含むアンテナユニット90を組み立てる際、給電導体94と無給電導体95とを対向させる必要があり、更に、給電導体94の周縁と無給電導体95の周縁とを結んで得られる導体間空間部の周囲に、壁状部材96を配置する必要があり、アンテナユニット90の組み立ての作業が難しくなることがある。
【0006】
また、円筒形状である壁状部材96の管軸方向一方側と第1基板91とを固定し、壁状部材96の管軸方向他方側と第2基板92とを固定する際、基板91,92の間隔が狭いことから、つまり、壁状部材96の管軸方向の長さが短いことから、前記固定の作業に手間を要しアンテナユニットの組み立ての作業性が悪くなる。
【0007】
そこで、本発明は、アンテナユニットの組み立てを容易とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のアンテナユニットは、管軸方向に電波を伝搬する導波管と、前記導波管の管軸方向一方側と電磁的に結合される第1素子を有する第1基板と、前記導波管の管軸方向他方側と電磁的に結合される第2素子を有する第2基板とを備え、前記導波管は、前記第1素子を囲むようにして前記第1基板に取り付けられている第1管部と、当該第1管部と別体であり前記第2素子を囲むようにして前記第2基板に取り付けられている第2管部とを有し、前記第1管部と前記第2管部とが連結されることによって前記導波管が構成される。
【0009】
本発明によれば、アンテナユニットの組み立ては、第1基板に取り付けられている第1管部と、第2基板に取り付けられている第2管部とを連結すればよく、その組み立てが容易となる。
【0010】
また、前記導波管は、前記第1管部の一部と前記第2管部の一部とを嵌合させる嵌合部を有しているのが好ましい。
この構成によれば、第1管部と第2管部とを嵌合させることで連結することができ、嵌合部によって第1管部と第2管部とを一体化させることができる。
【0011】
また、前記第1管部及び前記第2管部は短円筒形状を有しているのが好ましい。
この構成によれば、第1基板と第2基板とを相対的に導波管の軸中心線回りに回転させることが可能となる。このため、例えば、第1基板と第2基板との相対的な向きを変更することができる。
【0012】
また、本発明は、管軸方向に電波を伝搬する導波管、前記導波管の管軸方向一方側と電磁的に結合される第1素子を有する第1基板、及び、前記導波管の管軸方向他方側と電磁的に結合される第2素子を有する第2基板を備えるアンテナユニットを構成するためのアンテナ用部品であって、前記第2基板と、前記第1素子を囲むようにして前記第1基板に取り付けられて前記導波管の一部となる第1管部に連結可能であって、当該第1管部と別体であり前記第2素子を囲むようにして前記第2基板に取り付けられて前記導波管の他部となる第2管部とを有している。
【0013】
本発明によれば、アンテナユニットの組み立ては、第1基板に取り付けられている第1管部と、第2基板に取り付けられている第2管部とを連結すればよく、その組み立てが容易となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アンテナユニットの組み立ては、第1基板に取り付けられている第1管部と、第2基板に取り付けられている第2管部とを連結すればよく、その組み立てが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のアンテナユニット1の実施の一形態をモデル化して示す断面構造図である。
図2図1に示すアンテナユニットの分解斜視図である。
図3】第1基板と第1管部を示す平面図である。
図4】第1管部と第2管部とが連結されて構成された導波管の斜視図である。
図5】(A)は、図4のX−X矢視の断面図であり、(B)は、図4のY−Y矢視の断面図である。
図6】第1管部と第2管部とが連結されて構成された導波管の斜視図である。
図7】(A)は、図6のX−X矢視の断面図であり、(B)は、図6のY−Y矢視の断面図である。
図8図5に示す導波管の変形例を示す断面図である。
図9】第1管部と第2管部とが連結されて構成された導波管の斜視図である。
図10】(A)は、図9のX−X矢視の断面図であり、図(B)は、図9のY−Y矢視の断面図である。
図11】第1基板と第1管部を示す平面図である。
図12】反射量と周波数のブラフである。
図13】透過量と周波数のグラフである。
図14】第1管部と第2管部とが連結されて構成された導波管の斜視図である。
図15】(A)は、図14のX−X矢視の断面図であり、(B)は、図14のY−Y矢視の断面図である。
図16】従来のアンテナユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のアンテナユニット1の実施の一形態をモデル化して示す断面構造図である。本実施形態のアンテナユニット1は、例えばミリ波を利用したレーダや通信機に組み込まれるものであり、前記通信機には、例えば、携帯電話機のような携帯型端末器が含まれる。更に具体的に説明すると、本実施形態のアンテナユニット1は、携帯型端末器に組み込まれ、60GHz帯の無線通信規格であるWiGig(Wireless Gigabit)に対応した無線通信を行うためのものである。
【0017】
図1に示すアンテナユニット1は、送受信用アンテナ(アンテナ本体)2及び発信回路3を備えている。更に、このアンテナユニット1は、第1基板11、第2基板12、及び、導波管20を備えている。
【0018】
図1に示す発信回路3は、モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)からなり、第1基板11上に実装されている。発信回路3は、アンテナ2を用いた電波の送信及び受信の制御を行う。
アンテナ2は、電波を放射する複数のアンテナ素子2aを有しており、これらアンテナ素子2aは、第2基板12上に形成され、平面線路(マイクロストリップライン)42に電気的に接続されている。
【0019】
第1基板11は、ガラスエポキシ樹脂やフッ素樹脂等を含む誘電体からなり、プリント基板を構成する。つまり、第1基板11の一面側11aには、放射素子31と、この放射素子31から延びて設けられている平面線路(マイクロストリップライン)32が設けられており、発信回路3はこの平面線路32に接続されている。これら放射素子31及び平面線路32は、導電性金属の薄膜パターンからなる。第1基板11の他面側11bには、導電性金属の薄膜からなるグランド導体33が設けられている。そして、第1基板11の放射素子31は、導波管20の管軸方向一方側と電磁的に結合される。
【0020】
第2基板12は、ガラスエポキシ樹脂やフッ素樹脂等を含む誘電体からなり、プリント基板を構成する。つまり、第2基板12の一面側12aには、放射素子41と、この放射素子41から延びて設けられている平面線路(マイクロストリップライン)42が設けられており、アンテナ2はこの平面線路42と接続されている。これら放射素子41及び平面線路42は、導電性金属の薄膜パターンからなる。第2基板12の他面側12bには、導電性金属の薄膜からなるグランド導体43が設けられている。そして、第2基板12の放射素子41は、導波管20の管軸方向他方側と電磁的に結合される。
【0021】
第1基板11の一面側11aと第2基板11の一面側12aとの間に導波管20が介在しており、導波管20は、第1基板11と第2基板との間において管軸方向に電波を伝搬する。つまり、導波管20は、二枚の基板11,12を高周波帯において接続することができる。
導波管20は、導電性を有する部材からなり、例えば銅製である。また、後に説明するが、導波管20は、第1管部21と第2管部22とに分割されている分割構造であり、これら管部21,22が組み合わされることで、一つの導波管20が構成される。
【0022】
図2は、図1に示すアンテナユニット1の分解斜視図である。なお、図2では、第1基板11の発信回路3側を省略し、第2基板12のアンテナ2側を省略している。導波管20は、図2に示すように、管軸方向一方側(第1基板11側)にある第1管部21と、第1管部21と別体として管軸方向他方側(第2基板12側)にある第2管部22とを有している。第1管部21は、放射素子31を囲むようにして第1基板11に取り付けられており、第2管部22は、放射素子41を囲むようにして第2基板12に取り付けられている。
【0023】
本実施形態では、後に説明するが放射素子31(41)が円偏波素子であることから、導波管20の形状も円筒形としている。このため、第1管部21及び第2管部22は短円筒形状を有している。
また、導波管20は、アンテナユニット1におけるアンテナ性能を高めるために管軸方向の長さが短く、導波管20の管軸方向の長さは導波管20の内径よりも短く設定されている。特に本実施形態では、導波管20の管軸方向の長さは導波管20の内径の半分よりも短く設定されている。
【0024】
図3は、第1基板11と第1管部21を示す平面図である。第1基板11上に形成されている放射素子31は、四角形の一対の対角をそれぞれ面取りした形状を有しており、円偏波素子を構成している。この放射素子31を囲むようにして第1管部21が第1基板11の一面側11aに設けられている。第1管部21と第1基板11とは例えば半田によって固定されているのが好ましく、この固定のために、第1基板11に半田用のランド部が設けられていてもよい。
【0025】
また、この放射素子31と同様に、第2基板12(図2参照)上に形成されている放射素子41(図2参照)も、四角形の一対の対角をそれぞれ面取りした形状を有しており、円偏波素子を構成している。そして、第1管部21と第1基板11との関係と同様に、この放射素子41を囲むようにして第2管部22が第2基板12の一面側12aに設けられている。第2管部22と第2基板12とは例えば半田によって固定されているのが好ましく、この固定のために、第2基板12に半田用のランド部が設けられていてもよい。
【0026】
このように、第1基板11と第1管部21とが一体となって、これら基板11及び管部21により第1のアンテナ用部品U1が構成されている。そして、第2基板12と第2管部22とが一体となって、これら基板12及び管部22により第2のアンテナ用部品U2が構成されている。そして、第1管部21と第2管部22とが連結されることによって導波管20が構成され、また、この連結によって、第1のアンテナ用部品U1と第2のアンテナ用部品U2とが組み合わされてアンテナユニット1が構成される。
【0027】
以下、第1管部21及び第2管部22の構成、及び、これら第1管部21と第2管部22との連結構造について説明する。
〔第1の形態〕
図4は、第1管部21と第2管部22とが連結されて構成された導波管20の斜視図である。図5(A)は、図4のX−X矢視の断面図であり、図5(B)は、図4のY−Y矢視の断面図である。
【0028】
第1管部21は、全体として円筒形状であるが、周方向の一部に、周壁の一部を切り欠いて形成された欠損部23を有している。欠損部23は、第1基板11上の平面線路32(図2参照)を跨ぐための部分であり、第1管部21と平面線路32とがショート(短絡)するのを防いでいる。
第2管部22は、全体として円筒形状であるが、周方向の一部に、周壁の一部を切り欠いて形成された欠損部24を有している。欠損部24は、第2基板12上の平面線路42(図2参照)を跨ぐための部分であり、第2管部22と平面線路42とがショート(短絡)するのを防いでいる。
【0029】
第1管部21の外周面21aには凸部25が設けられており、第2管部22の内周面(22c)には前記凸部25が嵌る凹部26が設けられている。凸部25は全周にわたって設けられており、凹部26も全周にわたって設けられている。本実施形態の凸部25は、断面円弧形状を有しており、第1管部21の外周面21aから突出している。
この凸部25に対応するように、凹部26は断面円弧形状を有している。なお、第2管部22は、第1管部21の内周面21bと直径が同じである第1内周面22bと、この第1内周面22bよりも直径が大きい第2内周面22cとを有している。そして、凹部26は、第2内周面22cに形成されており、第2管部22の一部は、第1管部21の一部に対して外嵌して連結される。また、第1管部21の内周面21bと第2管部22の第1内周面22bとにより、導波管20は、平滑な直線状の内周面を有している。なお、第2管部22の一部に第1管部21の一部が挿入されることから、第1管部21の外周面21aは、第2管部22の外周面22aよりも、直径が小さく構成されている。
【0030】
このように、図4及び図5に示す形態では、第1管部21の一部(凸部25)と第2管部22の一部(凹部26)とが嵌合しており、これら第1管部21の一部及び第2管部22の一部により、第1管部21と第2管部22とを連結させる嵌合部27が構成されている。この嵌合部27によれば、第1管部21と第2管部22とを一体化させることができ、管部21,22の抜け止めが行われる。
なお、第1管部21と第2管部22との嵌合は、両者を管軸方向に接近させ更に接触させ、管部21,22の一方又は双方の周壁の一部を弾性変形させることで行われ、これにより、第1管部21と第2管部22とは密着して嵌合した状態となる。
【0031】
また、第2管部22の一部に第1管部21の一部を挿入させることで、前記嵌合が行われるが、この挿入を容易とするために、第1管部21の軸方向端面は、テーパー形状(テーパー面21c)を有している。つまり、第2管部22の一部に第1管部21の一部を挿入させる際に、第2管部22の軸方向端部22dが、このテーパー面21cに沿って凸部25側へ移動することができ、これにより、この軸方向端部22d及びその内周面22cが弾性的に拡径され、軸方向端部22dが凸部25を乗り越え、この軸方向端部22dに隣接して設けられている凹部26が凸部25に嵌合することができる。
【0032】
〔第2の形態〕
図6は、第1管部21と第2管部22とが連結されて構成された導波管20の斜視図である。図7(A)は、図6のX−X矢視の断面図であり、図7(B)は、図6のY−Y矢視の断面図である。
【0033】
前記第1の形態(図4)と同様に、第2の形態の第1管部21は、全体として円筒形状であり、周方向の一部に欠損部23を有している。また、第2管部22は、全体として円筒形状であり、周方向の一部に欠損部24を有している。欠損部23は、第1基板11上の平面線路32(図2参照)を跨ぐための部分であり、第1管部21と平面線路32とがショート(短絡)するのを防いでいる。欠損部24は、第2基板12上の平面線路42(図2参照)を跨ぐための部分であり、第2管部22と平面線路42とがショート(短絡)するのを防いでいる。
【0034】
第1管部21の外周面21aには凸部25が設けられており、第2管部22の管壁には前記凸部25が嵌る凹部26が設けられている。凸部25は、外周面21aから突出している半球状の突起からなり、凹部26は、第2管部22の管壁を内周面22cから外周面22aに貫通している穴からなる。凸部25は周方向に少なくとも2箇所設けられており、凹部26も凸部25と同じ周方向位置に設けられている。
第2管部22は、第1管部21の内周面21bと直径が同じである第1内周面22bと、この第1内周面22bよりも直径が大きい第2内周面22cとを有している。そして、貫通穴からなる凹部26は、第2内周面22cで開口しており、第2管部22の一部は、第1管部21の一部に対して外嵌して連結される。また、第1管部21の内周面21bと第2管部22の第1内周面22bとにより、導波管20は、平滑な直線状の内周面を有している。なお、第2管部22の一部に第1管部21の一部が挿入されることから、第1管部21の外周面21aは、第2管部22の外周面22aよりも、直径が小さく構成されている。
【0035】
このように、図6及び図7に示す形態では、第1管部21の一部(凸部25)と第2管部22の一部(凹部26)とが嵌合しており、これら第1管部21の一部及び第2管部22の一部により、第1管部21と第2管部22とを連結させる嵌合部27が構成されている。この嵌合部27によれば、第1管部21と第2管部22とを一体化させることができ、管部21,22の抜け止めが行われる。
なお、第1管部21と第2管部22との嵌合は、両者を管軸方向に接近させ更に接触させ、管部21,22の一方又は双方の周壁の一部を弾性変形させることで行われ、これにより、第1管部21と第2管部22とは密着して嵌合した状態となる。
【0036】
〔第3の形態〕
図8は、図5に示す導波管20の変形例を示す断面図である。図8に示す形態は、図5に示す形態と比べて、凸部25と凹部26の形態が異なり、その他は同じである。図8に示す形態では、凸部25が第1傾斜面28と第2傾斜面29とにより構成されている。第1傾斜面28は、第2傾斜面29側に向かうにしたがって直径が大きくなるテーパー面からなり、第2傾斜面29は、第1傾斜面側に向かうにしたがって直径が大きくなるテーパー面からなる。そして、第1傾斜面28と第2傾斜面29との交点で直径が最も大きくなっている。
【0037】
そして、この凸部25の形状と一致するようにして、凹部26が第2管部22の内周面22cに形成されている。つまり、凹部26も二つの傾斜面により構成されている。なお、図8に示す形態の斜視図は、図4に示す斜視図とほぼ同じとなる。
【0038】
この図8に示す実施形態においても、前記各形態と同様に、第1管部21の一部(凸部25)と第2管部22の一部(凹部26)とが嵌合しており、これら第1管部21の一部及び第2管部22の一部により、第1管部21と第2管部22とを連結させる嵌合部27が構成されている。この嵌合部27により、第1管部21と第2管部22とを一体化させることができ、管部21,22の抜け止めが行われる。
なお、第1管部21と第2管部22との嵌合は、両者を管軸方向に接近させ更に接触させ、管部21,22の一方又は双方の周壁の一部を弾性変形させることで行われ、これにより、第1管部21と第2管部22とは密着して嵌合した状態となる。
【0039】
また、第2管部22の一部に第1管部21の一部を挿入させることで、前記嵌合が行われるが、前記第1傾斜面28により、この挿入を容易としている。つまり、第2管部22の一部に第1管部21の一部を挿入させる際に、第2管部22の軸方向端部22dが、この第1傾斜面28に沿って移動することができ、これにより、この軸方向端部22d及びその内周面22cが弾性的に拡径され、軸方向端部22dが第1傾斜面28と第2傾斜面29との交点である頂部25aを乗り越え、凹部26が凸部25に嵌合することができる。
【0040】
〔第4の形態〕
図9は、第1管部21と第2管部22とが連結されて構成された導波管20の斜視図である。図10(A)は、図9のX−X矢視の断面図であり、図10(B)は、図9のY−Y矢視の断面図である。
【0041】
前記第1の形態(図4)と同様に、第4の形態の第1管部21は、全体として円筒形状であり、周方向の一部に欠損部23を有している。また、第2管部22は、全体として円筒形状であり、周方向の一部に欠損部24を有している。欠損部23は、第1基板11上の平面線路32(図2参照)を跨ぐための部分であり、第1管部21と平面線路32とがショート(短絡)するのを防いでいる。欠損部24は、第2基板12上の平面線路42(図2参照)を跨ぐための部分であり、第2管部22と平面線路42とがショート(短絡)するのを防いでいる。
【0042】
第1管部21の外周面21aには凸部25が設けられており、第2管部22の内周面(22c)には前記凸部25が嵌る凹部26が設けられている。凸部25は全周にわたって設けられており、凹部26も全周にわたって設けられている。本実施形態の凸部25は、断面円弧形状を有しており、第1管部21の外周面21aから突出している。そして、この凸部25に対応するように、凹部26は断面円弧形状を有している。
【0043】
この第4の形態では、第1管部21及び第2管部22の成形は、絞り加工により行われることから、図10に示すように、第1管部21の内周面21bに凹部15を形成することで、この凹部15の径方向外側の肉部が径方向外側へ流れ、この結果、外周面21aに凸部25が形成される。これと同様に、第2管部22の内周面22cに凹部26を形成することで、この凹部26の径方向外側の肉部が径方向外側へ流れ、この結果、外周面22aに凸部16が形成される。なお、前記各形態においても、絞り加工によって第1管部21及び第2管部22の成形を行うことができる。
【0044】
第2管部22は、第1管部21の内周面21bと直径が同じである第1内周面22bと、この第1内周面22bよりも直径が大きい第2内周面22cとを有している。そして、凹部26は、第2内周面22cに形成されており、第2管部22の一部は、第1管部21の一部に対して外嵌して連結される。そして、第1管部21の内周面21bと第2管部22の第1内周面22bとにより、導波管20は、平滑な直線状の内周面を有している。なお、第2管部22の一部に第1管部21の一部が挿入されることから、第1管部21の外周面21aは、第2管部22の外周面22aよりも、直径が小さく構成されている。
【0045】
このように、図9及び図10に示す形態では、第1管部21の一部(凸部25)と第2管部22の一部(凹部26)とが嵌合しており、これら第1管部21の一部及び第2管部22の一部により、第1管部21と第2管部22とを連結させる嵌合部27が構成されている。この嵌合部27により、第1管部21と第2管部22とを一体化させることができ、管部21,22の抜け止めが行われる。
なお、第1管部21と第2管部22との嵌合は、両者を管軸方向に接近させ更に接触させ、管部21,22の一方又は双方の周壁の一部を弾性変形させることで行われ、これにより、第1管部21と第2管部22とは密着して嵌合した状態となる。
【0046】
〔第5の形態〕
図14は、第1管部21と第2管部22とが連結されて構成された導波管20の斜視図である。図15(A)は、図14のX−X矢視の断面図であり、図15(B)は、図14のY−Y矢視の断面図である。
【0047】
前記第1の形態(図4)と同様に、第5の形態の第1管部21は、全体として円筒形状であり、周方向の一部に欠損部23を有している。また、第2管部22は、全体として円筒形状であり、周方向の一部に欠損部24を有している。欠損部23は、第1基板11上の平面線路32(図2参照)を跨ぐための部分であり、第1管部21と平面線路32とがショート(短絡)するのを防いでいる。欠損部24は、第2基板12上の平面線路42(図2参照)を跨ぐための部分であり、第2管部22と平面線路42とがショート(短絡)するのを防いでいる。
【0048】
第1管部21が有する周壁21eの外周面21aは、テーパー面を有しており、(分解し同軸上に配置した状態にある)第2管部22側に向かって縮径している。そして、第2管部22が有する周壁22eの内周面22cは、テーパー面を有しており、(分解し同軸上に配置した状態にある)第1管部21側に向かって拡径している。第1管部21側の前記テーパー面と第2管部22側の前記テーパー面とは平行である。そして、第2管部22の前記テーパー面(周壁22e)が第1管部21の前記テーパー面(周壁21e)に対して外嵌し、相互が締まり嵌めの状態となることで、第1管部21と第2管部22とが連結される。
【0049】
このように、図14及び図15に示す形態では、第1管部21の一部(周壁21e)と第2管部22の一部(周壁22e)とが嵌合しており、これら第1管部21の一部及び第2管部22の一部により、第1管部21と第2管部22とを連結させる嵌合部27が構成されている。この嵌合部27によれば、第1管部21と第2管部22とを一体化させることができ、管部21,22の抜け止めが行われる。
なお、第1管部21と第2管部22との嵌合は、両者を管軸方向に接近させ更に接触させ、管部21,22の一方又は双方の周壁21e,22eを弾性変形させることで行われる。これにより、第1管部21と第2管部22とは密着して嵌合した状態となる。また、前記の両テーパー面により、第1管部21を第2管部22に挿入させ嵌合させやすくしている。
【0050】
そして、この形態では、第2管部22の周壁22eの一部に、切り欠き部22f(図14参照)が設けられている。切り欠き部22fは、管軸方向に平行な方向に沿って周壁22eに設けられているスリットである。この切り欠き部22fによれば、周壁22eは半径方向の弾性変形(拡径及び縮径)が容易となる。第1管部21の周壁21eに第2管部22の周壁22eを外嵌させると、周壁22eは拡径し、この拡径により、周壁22eは、その径方向内側で嵌合する周壁21eに対して半径方向の締付け力を付与することができる。
この切り欠き部22fを、半径方向内側に位置する第1管部21の周壁21eではなく、半径方向外側に位置する第2管部22の周壁22eに設けることで、導波管20内を進む電磁波に影響を与えない。
【0051】
また、第1管部21の端部には周壁21eから径方向外側へ拡大している円環状(略円環状)の鍔部21gが設けられている。また、第2管部22の端部には周壁22eから径方向外側へ拡大している円環状(略円環状)の鍔部22gが設けられている。
後にも説明するが、第1管部21と第2管部22とを連結させて組み立てた後に、これらを分離させる場合があり、この場合に、図外の作業用の治具を前記鍔部21e(22e)に接触させる。これにより、基板(11,12)に傷等の損傷を与えないで済む。また、前記鍔部21e,22eを、半田付けの際に半田を載せる半田代とすることが可能となる。なお、鍔部21g,22gは、円環状(略円環状)とする以外に、四角(略方形状、略矩形状)としてもよい。
【0052】
なお、図15に示す形態では、第1管部21の内周面21bの端部側(鍔部21gの径方向内側)は、断面において円弧形状を有しているが、角形状であってもよい。また、第1管部21の内周面21bは、管軸方向に平行となるストレート円筒面を有しているが、外周面21aに平行となるテーパー面であってよい。テーパー面とした場合、周壁21eの管厚は一定となる。
【0053】
また、図示しないが、図14及び図15に示す形態においても、前記第1の形態、前記第2の形態及び前記第4の形態で説明した凸部25及び凹部26の組み合わせを更に有する嵌合部27であってもよい。
また、図14及び図15に示す鍔部21g,22gや切り欠き部22fを、前記第1から第4の形態のアンテナユニット1に適用してもよい。
【0054】
〔各形態のアンテナユニット1について〕
以上、前記各形態のアンテナユニット1によれば、二枚の基板11,12に形成された放射素子31,41を導波管20によって電磁的に接続することが可能となる。更に、各アンテナユニット1の導波管20は、放射素子31を囲むようにして第1基板11に取り付けられている第1管部21と、この第1管部21と別体であり放射素子41を囲むようにして第2基板12に取り付けられている第2管部22とを有しており、これら第1管部21と第2管部22とが連結されることによって導波管20が構成されている。このため、アンテナユニット1の組み立ては、第1基板11に取り付けられている第1管部21と、第2基板12に取り付けられている第2管部22とを連結すればよく、導波管20全体の管軸方向の長さが短くても、その組み立てが容易となる。
【0055】
更に、導波管20は、第1管部21と第2管部22とを連結することで構成されるので、例えば第1基板11及び第2基板12の内の一方の基板の仕様(設計)を変更する場合(ここでは、アンテナ2の仕様を変更するために第2基板12を変更する場合)、その一方の第2基板12とこの第2基板12に取り付けられている第2管部22(つまり、第2アンテナ用部品U2)を変更すればよい。このため、基板(12)等の仕様の変更に対応しやすいアンテナユニット1が得られる。
また、例えば、第1基板11及び第1管部21を含む第1アンテナ用部品U1を共通とし、この第1アンテナ用部品U1に対して、様々な仕様を有する第2基板12(第2アンテナ用部品U2)を適用することができる。なお、この際、各第2アンテナ用部品U2に含まれる第2基板12の仕様は様々であるが、各第2アンテナ用部品U2に含まれる第2管部22の構成は同じである。
このように、分割構造である導波管20は、コネクタとして機能することができ、特に本実施形態の場合、第1基板11と第2基板12とを接続するミリ波帯で使用可能なコネクタとなる。
【0056】
また、前記各形態のアンテナユニット1の導波管20は、第1管部の一部と第2管部の一部とを嵌合させる嵌合部27を有していることから、第1管部21と第2管部22とを嵌合させることで連結することができ、嵌合部27によって第1管部21と第2管部22とを一体化させることができる。そして、この嵌合部27により第1管部21と第2管部22との抜け止めが実現される。
【0057】
また、前記各形態では、第1管部21及び第2管部22は短円筒形状を有していることから、第1基板11と第2基板12とを相対的に導波管20の軸中心線C1(図2参照)回りに回転させることが可能となる。このため、例えば、第1基板11と第2基板12との相対的な向きを変更することができる。
特にアンテナユニット1を、アンテナ指向性が強い無線システムに適用する場合、アンテナ指向性を好ましい状態とするために、アンテナ2が設けられている第2基板12の長手方向を、例えば第1基板11の長手方向と異なる方向に向けて、第1基板11及び第2基板12を配置することが可能となる。これにより、発信回路3を有する第1基板11及びアンテナ2を有する第2基板12を含むアンテナユニット1を、コンパクトな携帯型端末器に組み込む場合にも有利となる。
【0058】
そして、前記各形態のアンテナユニット1では、導波管20は、第1管部21と第2管部22とが着脱可能として連結されることで構成されている。つまり、第1管部21と第2管部22とが連結後(組み立て後)において分離可能(分解可能)となっている。導波管20は嵌合部27を有しているが、この嵌合部27における嵌合を解くことで分離可能となる。
このように導波管20が分離可能となっていることで、前記のような基板(第1基板11又は第2基板12)の変更、取り換え、交換が可能でかつ容易となる。例えば、アンテナユニット1の組み立て後において検査を行い、不具合がある場合、導波管20を分解する必要があり、この際の作業が容易となる。
【0059】
また、図12及び図13は、図2に示すアンテナユニット1のシミュレーション結果を示しており、図12は反射量と周波数のブラフであり、図13は透過量と周波数のグラフである。図12及び図13それぞれにおいて、実線は、放射素子31(41)を円偏波素子(図3)とした場合を示し、破線は、放射素子31(41)を垂直偏波素子(図11)とした場合を示している。更に、これらグラフは、アンテナユニット1の第1基板11の平面線路32を入力側とし、第2基板12の平面線路42を出力側とした結果である。
【0060】
本実施形態のアンテナユニット1は、60GHz帯のアンテナとして使用するために設計されており、図12及び図13に示すように、60GHzの周波数において、垂直偏波の場合及び円偏波の場合の双方において良好な結果が得られている。特に、円偏波の場合、60GHzを中心として反射帯域幅が広くなっており、良好なアンテナ特性を有することができる。
【0061】
〔放射素子の変形例について〕
図2及び図3に示す形態では、第1基板11(及び第2基板12)に設けられている放射素子31(41)が円偏波素子である場合について説明したが、放射素子31(41)は、図11の平面図に示すように、垂直偏波素子であってもよい。図11に示す放射素子31は、四角形の素子の一辺に凹部が設けられた形状を有しており、この一辺に平面線路32が繋がっている。そして、この放射素子31を覆うようにして第1管部21が設けられている。なお、図示しないが、第2基板12に設けられる放射素子41も、図11に示す形態と同じ形状を有している。また、放射素子31(41)は、図3及び図11に示すもの以外の形状であってもよい。
【0062】
また、導波管20についても、他の形状であってもよい。つまり、前記各形態では、導波管20を円筒形状とするために、第1管部21及び第2管部22は短円筒形状を有しているが、導波管20は矩形の筒形状であってもよい。この場合、第1管部21及び第2管部22を矩形筒形状とすればよい。
【0063】
さらに、本発明のアンテナユニット1は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。例えば、アンテナユニット1をミリ波帯(60GHz)で使用できるものとして説明したが、電波帯(周波数帯)としては、ミリ波以外であってもよい。なお、第2基板12に形成されるアンテナ2の形態は様々なものを採用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1:アンテナユニット 11:第1基板 12:第2基板
20:導波管 21:第1管部 22:第2管部
27:嵌合部 31:放射素子(第1素子) 41:放射素子(第2素子)
U1:第1のアンテナ用部品 U2:第2のアンテナ用部品
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11
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図16