特許第6397285号(P6397285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397285
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】無線式プラグタグ
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/07 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   G06K19/07 020
   G06K19/07 160
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-191597(P2014-191597)
(22)【出願日】2014年9月19日
(65)【公開番号】特開2016-62461(P2016-62461A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】598005878
【氏名又は名称】株式会社吉川アールエフセミコン
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 信一郎
(72)【発明者】
【氏名】石井 英一
(72)【発明者】
【氏名】川島 裕嗣
【審査官】 梅沢 俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−004394(JP,A)
【文献】 特開2004−315154(JP,A)
【文献】 特開2003−070187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象機器のACインレットに差し込むアウトレットと、ACケーブルの先端に取り付けられているアウトレットが差し込まれるインレットとを備え、前記管理対象機器にAC電力を供給するための配線用の差込接続器として機能するプラグ本体部と、
前記プラグ本体部の内部に配設されたアクティブタグと、
を有することを特徴とする無線式プラグタグ。
【請求項2】
前記アクティブタグは、充電タイプのRFアクティブタグであって、
前記アウトレットと前記インレットとの間に配線されている電線に流れる電流を整流する充電回路と、
前記充電回路によって充電される2次電池とを備えることを特徴とする請求項1に記載の無線式プラグタグ。
【請求項3】
前記管理対象機器の動作電力を検出するACモニター回路を搭載したことを特徴とする請求項1または2に記載の無線式プラグタグ。
【請求項4】
前記管理対象機器の温度を管理する温度センサを搭載したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の無線式プラグタグ。
【請求項5】
前記管理対象機器に加えられる衝撃を管理するGセンサを搭載したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の無線式プラグタグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線式無線タグに関し、電子機器の所在管理システムに用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
管理する機器に無線タグを取り付け、無線タグと通信することにより機器を管理する動態管理システムが特許文献1にて提案されている。この動態管理システムは、工場、倉庫、店舗、学校、病院内等の管理対象エリアの通過チェックポイントに取り付けたリーダーと当該チェックポイント内で通信することで、通信日時、リーダーID(エリア情報)を無線タグのメモリに記録する。
【0003】
この記録を取り出してデータ処理することにより、貸出/メンテナンス/稼働率/温度履歴/衝撃有無などの状態を自動判別するような工場、倉庫、学校、店舗、病院等での機器の所在管理用途に用いられている。
【0004】
このような用途に用いる無線タグは、理想的には電池をもたないパッシブ型のタグが望ましいが、広い管理エリアでの所在管理には通信距離を取る必要がある。このため、リーダー側にタグへの給電用に大きな無線電力の供給能力が必要になってしまうし、リーダーのアンテナで給電されるエリア外では動作させることが原理的にできない。全ての管理対象エリアをカバーしようとすると設置するアンテナを甚だ多くしなければならない問題点があった。
【0005】
このため、機器の所在管理用のタグはアクティブ方式を採用するケースが多く、その殆どは1次電池を搭載したものであった。この場合、電池の寿命がきた際に電池交換が大きな手間であり、管理コストがかさむことから導入する上での大きな障害となっていた。
【0006】
例えば、特許文献2にて提案された所在管理システムのように、電池の残量電圧をモニターし、システム側に電池交換時期を知らせるような提案もなされている。
特許文献2にて提案された技術によれば、より正確に電池寿命を判断することができ、電池内蔵型の無線タグが稼働不能となる前の適切な時期に無線タグの交換を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−48399号公報
【特許文献2】特開2010−33134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2の所在管理システムの場合は、管理コストを低減するための根本的な解決にはなっていない問題点があった。
すなわち、無線タグによる電子機器の所在管理システムに、1次電池搭載タグを用いる場合に、管理する機器に取り付けられた無線タグの1次電池を交換する必要がある。無線タグは、所在管理対象の電子機器に取り付けられていて機器の数が多いので、無線タグの1次電池を交換するには多くの手間が必要であった。
【0009】
また、一般的に、所在管理システムで管理している電子機器の種類は複数であるので、電子機器の種類によって無線タグの取り付け位置なども異なることになり、取り付け位置を把握するのに多少なりとも経験が必要であった。
本発明は前述の問題点に鑑み、電池内蔵型の無線タグを用いた電子機器の所在管理システムの管理コストを低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の無線式プラグタグは、管理対象機器のACインレットに差し込むアウトレット部分と、ACケーブルの先端に取り付けられているアウトレットが差し込まれるインレットとを備え、前記管理対象機器にAC電力を供給するための配線用の差込接続器として機能するプラグ本体部と、前記プラグ本体部の内部に配設されたアクティブタグとを有することを特徴とする。このタグを、以後プラグタグと呼ぶ。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、管理対象機器の種類が複数種類であっても、ACインレットの構造は標準化されているので無線タグの取り付け態様は同じであるので、無線タグの電池交換や、無線タグ自体の交換などの保守作業を簡素化することができる。これにより、電池内蔵型の無線タグを用いた電子機器の所在管理システムの管理コストを低減することができる。
また、本発明の他の特徴によれば、プラグタグのプラグ部とインレットとの間に配線されている電線間に印加される電圧を整流する充電回路と、前記充電回路によって充電される2次電池とを備えているので、電池交換作業を行う頻度を大幅に下げることができる。
また、本発明のその他の特徴とするところは、管理対象機器の動作電力を検出するACモニター回路を搭載したので、管理対象の機器の消費電力を検出することで動作中であることを検出することができ、機器の稼働率を管理することができる。
また、本発明のその他の特徴とするところは、管理対象機器の温度を管理する温度センサを搭載したので、機器の温度が管理範囲外にあった場合の有無を確実に管理することができる。
また、本発明のその他の特徴とするところは、管理対象機器に加えられる衝撃を検出するGセンサを搭載したので、管理する機器が規定以上の衝撃を受けた履歴の有無を確実に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態を示し、電子機器の所在管理システムの構成例を示す図である。
図2】無線式プラグタグの外観と内部基板の概略を示す図である。
図3】管理する機器にプラグタグを取付ける一例を示す図である。
図4】無線式プラグタグの内部基板の構成例を示すブロック図である。
図5】ACモニター回路の一例を示す図である。
図6】制御用マイコンの構成例を示すブロック図である。
図7】機器貸出し管理の運用例の一例を説明する図である。
図8】無線式プラグタグの内部構成の一例を示す図である。
図9】制御基板および充電・ACモニター基板に対する配線の一例を示す図である。
図10】機器にプラグタグを取り付けて使用する様子を説明する図である。
図11】規格統一されているACケーブルのアウトレット、電極プラグおよびAC3極コンセントを示す図である。
図12】機器からACケーブルが直接出ている場合にプラグタグを使用する例を説明する図である。
図13】AC入力のゼロクロス信号を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
最初に本発明の無線式プラグタグの概略を説明する。
本実施形態の無線式プラグタグ(以下、プラグタグとする)は、管理対象機器本体のACインレットに挿して使用する充電タイプのRFアクティブタグである。
【0014】
本実施形態のプラグタグは充電可能な2次電池と、充電回路と、無線回路とID番号を付与したメモリとを搭載している。そして、工場、倉庫、店舗、学校、病院内等の管理対象エリアの通過チェックポイントに取り付けたリーダーと当該チェックポイント内で通信することで、通信日時、リーダーID(エリア情報)、をメモリに記録する。また温度、衝撃などのセンサを搭載することで、温度が管理範囲外にあった場合や規定以上の衝撃の記録も行う。
【0015】
本実施形態のプラグタグは、充電可能な2次電池を搭載して、プラグタグの形状を機器のAC電源入力インレットに取り付けられるプラグ形状とし、ACケーブルを介して供給されるACコンセントからのAC電力で充電可能な構造に構成されている。
【0016】
プラグタグの2次電池は、電池の寿命を長く保つためにプラグタグを取り付けた機器がACコンセントに挿されて通電されたときにトリクル充電(2次電池の自然放電を補うために、絶えず微小電流により充電する方法)で行うようにした。充電を行う場所は、機器の貸出しセンターでも機器を使用する場所でもよい。
【0017】
また、本実施形態のプラグタグは、機器を使用する際にはAC電源が通電されることから機器の電源のON/OFF状態を検出し、動作状態を内蔵メモリに記録するような機能を搭載することもできる。このことは、電源のON/OFF状態を時間情報とセットで管理することで機器の稼働率管理を実現することができる。
【0018】
時間情報は、プラグタグ内に専用に設けるRTC(Real time clock)回路や、電源周波数50Hz/60Hzのゼロクロスカウンタ回路で積算する方法によってもよい。この時間情報は、タグ内のメモリに定期的に保存して別に用意するリーダーからのコマンドで非接触で取り出すことで行う。
電源のON/OFF状態の検出は、待機電力と動作電力の違いを判別する回路を設けることによって実現することができる。
【0019】
プラグタグは、機器とACケーブル間に挟まれる形で使われるが、保管時には通常ACケーブルを取り外すことがあるため、機器側に固定的に取り付けておかないと、機器のID番号の特定ができない。よって、プラグタグは、ロック機構を備える構造にするなどして、機器側のインレットにしっかり取りつく構造とし、ACケーブルを取り外しても機器側に残るように取り付けることが望ましい。
また、接着剤や両面テープなどを用いて機器とプラグタグとを固着するようにしてもよい。
【0020】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照しながら本発明のプラグタグの実施形態を説明する。
図1は、本発明のプラグタグを用いて電子機器の所在管理システムを構成して例を示す図である。
本実施形態による電子機器の所在管理システムは、機器2に取り付けられているプラグタグ20の所在を管理するものであり、複数のRFIDリーダー31〜33、データベースサーバー40とクライアントPC50とで構成されている。RFIDリーダー31〜33、データベースサーバー40とクライアントPC50はLANネットワーク60で接続されている。
プラグタグ20は、配線用の差込接続器として機能し、管理したい機器2のACインレット2aに取り付けて用いられる。
【0021】
図2は、プラグタグ20の外観と内部基板の構造図である。図2(a)に示すように、プラグタグ20は、機器側のACインレット2aに直接差し込むアウトレット20aと、使用時に電流を渡せるようACケーブルの先端に取り付けられている電極プラグを接続できるインレット20bとを具備している。また、プラグタグ20のプラグ本体部の内部には、図2(b)に示すように無線タグ1が配設されている。無線タグ1には後述するように制御基板、ACモニター回路、充電回路などが設けられている。
【0022】
図3に、プラグタグ20の使用形態の一例を示す。
図3に示すように、プラグタグ20は機器2のACインレット2aにアウトレット20aを差し込んで、機器2に取り付けて使用する。この状態において、プラグタグ20のインレット20bが機器2のACインレット2aとして機能し、機器2を動作させる場合にはインレット20bにACケーブル70のアウトレット70aを差し込んで、機器2にAC電力を供給する。この接続状態の詳細は、図10を参照しながら後述する。
【0023】
図4に、プラグタグ20のブロック図を示す。この構造体内は3つのAC電極(L,N,FG)をアウトレット20aとインレット20bとの間を電線で配線してある。また、内部には電線間に印加される電圧を整流して2次電池6を充電する充電回路3、ACモニター回路4、センサ5、充電可能な2次電池6、RFの送受信を行う制御基板7を搭載している。
【0024】
制御基板7には、プラグタグ20固有IDを保持した制御用マイコン8、リーダーからのRF電波を受信する第1のアンテナ1(11)、第1のアンテナ1(11)で受信した電波を受信してフィルタ・増幅・デジタル処理するRF受信回路9、プラグタグ固有ID信号を制御用マイコン8から受け取り、変調・増幅してRFアナログ信号に変換するRF送信回路10、RF送信信号を電波で発する第2のアンテナ2(12)が搭載されている。
【0025】
電波の一例としてリーダーからのRF信号は125KHz、プラグタグ20からのRF信号は315MHzがキャリアに用いられる。これは、一般的に通信可能な距離が125KHzは数mの範囲内であり、必要以上に遠くに飛び過ぎないこと、プラグタグ20からは部品の小型化のために周波数を高くするメリットがある。
【0026】
図5に、ACモニター回路4の構成例を説明するブロック図を示す。
ACモニター回路4は、電圧検出回路41、電流検出回路42、掛け算回路43により構成した。また、図5にはAC入力を整流回路44により整流して充電回路3に供給し、2次電池6を充電する回路構成も示している。
【0027】
図6に、制御用マイコン8の構成例を示す。
本実施形態の制御用マイコン8は、CPU81、メモリ82、入力ポート83、出力ポート84などにより構成されている。
メモリ82には、CPU81を動作させるプログラムが記憶されており、CPU81はプログラムに従って予め設定された所定の動作を実行する。
また、CPU81は、RFIDリーダー31〜33との通信記録や、センサ5から入力されるデータなどをメモリ82に記録する。
【0028】
図7に、本実施形態のプラグタグ20を用いた電子機器の所在管理システムの運用例を示す。
保管状態S1、貸出状態S2、貸出中S3、返却・メンテナンス状態S4の4状態を管理するためのリーダーMERD1〜4の取付け位置と、管理フローの対応を示している。
【0029】
図7(b)に示すように、所在管理に適切な場所に機器管理用のリーダーMERDが取り付けられている。たとえば、多くの機器を管理する機器管理センター700にあっては、保管庫71に第1のリーダーMERD1、貸出しカウンター72の前に第2のリーダーMERD2、管理センターの出入り口の通路73に第3のリーダーMERD3、管理センターの返却口74に第4のリーダーMERD4といった具合に取り付ける。
【0030】
したがって、貸出し時の機器の移動と管理の流れは、保管庫71→貸出しカウンター72→管理センターの出入り口の通路73となり、機器2に取り付けられているプラグタグ20が第2のリーダーMERD2および第3のリーダーMERD3と通信することで、機器の貸し出し管理を実現することができる。
【0031】
返却時の機器の移動と管理の流れは、管理センターの出入り口の通路73→管理センターの返却口74→保管庫71となる。したがって、この場合は、機器2に取り付けられているプラグタグ20は、第3のリーダーMERD3、第4のリーダーMERD4と通信してメンテナンス室75に入室する。
【0032】
プラグタグ20は、ACが給電されていない状態保管状態S1、貸出状態S2、返却・メンテナンス状態S4では、制御基板7は2次電池6からの給電で動作するので、通常省電力モードで動作して、2次電池6の消耗を極力抑えるようになっている。そして、センサ5でプラグタグ20の移動を検出すると制御用マイコン8を起動するようになっており、このときリーダーMERDからの125KHzのRF信号を検出すると、約1秒周期で315MHzのID信号を送信する。
【0033】
そして、125KHzのRF信号を検出しなくなるとID送信を止めて省電力モードに移行する。これによって、リーダーMERDはプラグタグ20のID信号を検出することができるので、機器管理センター700では、プラグタグ20の所在を把握することができる。
【0034】
プラグタグ20が貸出中の状態S3では、機器2が利用される状況として管理される。この状態においては、機器管理センター700では、機器2が貸出中であることを把握できる。
また、本実施形態のプラグタグ20の特徴である稼働率の管理については、貸出中S3の下にあるプラグタグ20が、機器2が使用される際にAC給電されることから、プラグタグ20に内蔵したACモニター回路4にて消費電力を計測して、機器2が稼働中か否かを検出することによって行う。
【0035】
貸出中S3の下において、消費電力を検出すれば使われたこと示す情報をプラグタグ20のメモリ82に記録する。また、図面に示していないが、RTC(リアルタイムクロック)を内蔵するか、ACのゼロクロス回数をカウントする機能を無線タグ1に搭載して、時刻情報・時間情報をメモリ82に刻々追記録するように、制御用マイコン8にプログラムすることで使用している時間を後で知ることができる。
【0036】
貸出中S3での機器の動作時間を知ることで、メモリ82に記録されている情報をリーダーMERDで後から読み出すことにより、後で稼働率を把握することができる。これは、機器2の有効利用、設備投資を図る上で利用の実態を知ることができるので、大変有用な機能である。
【0037】
返却・メンテナンス状態S4では、このときに通電されたかどうかを表す情報をメモリ82に記録する。そして、リーダーMERDで後から読み出すことにより、メンテナンス動作のチェックを実施したか否かの管理をすることもできる。
【0038】
前述の実施形態によれば、プラグタグ20は充電回路3と、充電可能な2次電池6と、無線回路(RF受信回路9、RF送信回路10、第1のアンテナ1(11)、第2のアンテナ2(12))と、ID番号を付与したメモリ82とを搭載している。これにより、プラグタグ20は工場、倉庫、学校、病院内等の管理対象エリアの通過チェックポイントに取り付けたリーダーと通信することが可能であり、記録時の情報、例えば、通信日時、リーダーID(エリア情報)、タグID(機器情報)をメモリ82に記録することができる。
【0039】
また、本実施形態のプラグタグ20は、温度、衝撃などを検出するために、温度センサ、Gセンサなどのセンサ5を搭載したので、温度が管理範囲外にあった場合の有無や、規定以上の衝撃を受けた場合の有無をメモリ82に記録することができる。これにより、メモリ82に記録した情報を読み出してデータ処理することにより、貸出/メンテナンス/稼働率/温度履歴/衝撃の有無などの状態を確実に管理することができる。
【0040】
特に、本実施形態のプラグタグ20は、機器2を使用している際に充電される2次電池6を設けているので、リーダーのアンテナで給電されるエリア外で動作させることが可能な電子機器の所在管理システムにおいて、電池を交換する手間を不要にすることができるので、電子機器の所在管理システムのメンテナンスを軽減することができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、プラグタグ20のアウトレット20aとインレット20bとの間に配線されている電線L、Nに流れる電流を整流する充電回路3と、充電回路3によって充電される2次電池6とを備えているので、電池交換作業を行う頻度を大幅に長くすることができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、管理対象機器の動作電力とAC波形のゼロクロス点を検出するACモニター回路4を搭載したので、管理対象の機器2の消費電力を検出することができる。検出した値から機器2のON状態(稼働中)とOFF状態(待機中)を判定し、消費電力検出出力(ON・OFF信号)とゼロクロス検出信号をマイコン8に出力する。
【0043】
消費電力検出出力(ON・OFF信号)はレベル信号であり、ゼロクロス検出信号は、ゼロクロス点のタイミングで発生するパルス信号である。この信号波形を図13に示す。この信号はたとえばAC50Hzのときには1秒間に100回のパルスを出力する。マイコン8は機器2がON状態にある間中、ゼロクロス検出信号の回数をカウントし、OFF状態になったときにカウントを停止する。このカウント値をマイコン8内のメモリ82に記録する。
【0044】
本実施形態では時間の計測にACモニター回路4にゼロクロス検出機能を用意してこれを用いた例を示したが、図4に示すように、時計用のICであるリアルタイムクロック(real-time clock、RTCと略記)13を制御基板7に搭載してマイコン8で消費電力検出出力の変化時刻をマイコン8内のメモリ82に記憶してもよい。機器管理センター700にてプラグタグからこのメモリ82内のデータを読み出すことで、貸出しから返却までの時間と、稼働中の時間を知ることができる。これにより、機器2の稼働率を管理することができる。
【0045】
また、返却・メンテナンス状態S4では、ACモニター回路4によりこのときに通電されたかどうかを表す情報を検出してメモリ82に記録する。そして、リーダーMERDで後から読み出すことにより、メンテナンス動作のチェックを実施したか否かの管理をすることもできる。
【0046】
[第2の実施形態]
前述した実施形態においては、内部に充電回路3および2次電池6を備えた例を説明した。しかし、本発明のプラグタグは、1次電池を備えた無線タグに適用しても好適である。
すなわち、機器2のACインレット2aに差し込んで使用されるプラグタグ20内に配設されるので、管理する機器2の種類が変わっても、交換する1次電池は同じ形状のプラグタグ20内に一様に取り付けられている。したがって、1次電池を交換する際の手間を簡略化することができる。
【0047】
図8に、プラグタグ20の内部構成の一例を示す。
図8に示すように、蓋20cを取り外すことによりプラグタグ20の内部を露出することができる。図8(a)に示すように、プラグタグ20の内部には制御基板7および充電・ACモニター基板36が収納されており、2次電池6は充電・ACモニター基板36に配設されている。
【0048】
ユーザーが電池パックを分解したりすることは好ましくないので、本実施形態においては、図8(b)に示すように、制御基板7および充電・ACモニター基板36は熱収縮チューブ80で絶縁して、配線80a、80b、80cを介してプラグタグ20のACラインに接続するようにした例を示している。
図9に、制御基板7および充電・ACモニター基板36に対する配線の一例を示す。
【0049】
[第3の実施形態]
前述した実施形態では、プラグタグ20を管理したい機器2のACインレット2aに差し込んで使用する例を示した。
図10に、実施形態のプラグタグ20を介してACケーブル70を機器2に接続する例を説明する。
図10(a)に示すように、機器2にはインレット2aが設けられている。また、図10(b)に示すように、プラグタグ20にはアウトレット20aおよびインレット20bが設けられている。また、ACケーブル70にはアウトレット70aおよび電極プラグ70bが設けられている。
【0050】
これらのインレットおよびアウトレットは規格統一されているので、プラグタグ20のアウトレット20aは、機器2のインレット2aに嵌合することができる。また、ACケーブル70のアウトレット70aは、プラグタグ20のインレット20bに嵌合することができる。さらに、ACケーブル70の電極プラグ70bは、図10(c)に示すAC3極コンセント100に嵌合することができる。
図11に、規格統一されているACケーブル70のアウトレット70a、電極プラグ70bおよびAC3極コンセント100を示す。
【0051】
本実施形態のプラグタグ20は、機器2のインレット2aに嵌合した状態からは容易に抜けないようにしている。容易に抜けない仕組みについては、ロック機構を設けるなど、任意の仕組みを利用することができる。これにより、ユーザーはACケーブル70のアウトレット70aをプラグタグ20のインレット20bに抜き差しを行って機器2を使用することになり、プラグタグ20を機器2に常に取り付けておくことができる。
【0052】
[第4の実施形態]
管理したい機器2からACケーブルが直接出ている場合がある。このような場合には、プラグタグのインレットにACケーブルの電極プラグを差し込んで使用するようにする。
図12に、機器2からACケーブル170が直接出ている例を説明する。この例の場合、電極プラグはL、N2極の電極プラグ170bの場合であるが、3極プラグであってもよい。本実施形態のプラグタグ120は、ACケーブル170の電極プラグ170bと嵌合するインレット120bと、2極のACコンセント200に嵌合するアウトレット120aを備えている。
【0053】
本実施形態においては、機器2とACケーブル170とが一体的であるので、ACケーブル170の電極プラグ170bとプラグタグ120とが容易に外れないようにすることにより、プラグタグ120を機器2に常に取り付けておくことができる。
【符号の説明】
【0054】
1 無線タグ
2a インレット
2 機器
3 充電回路
4 ACモニター回路
5 センサ
6 2次電池
7 制御基板
8 制御用マイコン
9 RF受信回路
10 RF送信回路
11 アンテナ1
12 アンテナ2
20 プラグタグ
20a アウトレット
20b インレット
31〜33 RFIDリーダー
40 データベースサーバー
50 クライアントPC
60 LANネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13