【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。また、以下の説明では、「前」「後」「左」「右」「上」「下」とは、特に断りのない限り、
図1に示すように遊技機10を正面側(遊技者側)から見た状態で指称するものとする。
【0012】
<遊技機10の概要について>
図2、
図4、
図5、
図7を用いて遊技機10の概要について説明する。
図2は、遊技機10内に設置される遊技盤50を示す図である。
図4は、大入賞口56の奧方に位置する連通路58を示す図である。
図4(a)は、振分部材68が通過経路58aから通過経路58cへと遊技球を振り分ける状態を示している。また、
図4(b)は、振分部材68が通過経路58aから通過経路58bへと遊技球を振り分ける状態を示している。
図5は、遊技機10の主要な制御構成を示す機能ブロック図である。
図7は、遊技機10の残存球エラーの報知制御構成を示す機能ブロック図である。
【0013】
遊技機10は、大当り抽選手段(大当り抽選部131)と、図柄選択手段(特図選択部132)と、図柄表示制御手段(第1特図表示制御部151および第2特図表示制御部152)と、大入賞口56と、連通路58と、残存球導出手段(残存球導出部240)と、報知制御手段(異常報知制御部250)と、を備える。
大当り抽選部131は、始動口(第1始動口57または第2始動口59)への遊技球の入賞を契機として大当りの当否抽選を行う。
特図選択部132は、大当り抽選部131による当否抽選の結果に基づいて特別図柄を選択する。
第1特図表示制御部151および第2特図表示制御部152は、変動表示した後に、特図選択部132によって選択された特別図柄を停止表示する特別図柄変動ゲームを実行させる。
大入賞口56は、大当りの特典として行われる大当り遊技において開放されて遊技球の入球を受け付ける。
連通路58は、大入賞口56に連通しており、大入賞口56に入球した遊技球の通過経路となる。
残存球導出部240は、連通路58に残存している遊技球の数量を導出する。
異常報知制御部250は、残存球導出部240によって導出された遊技球の数量に応じた複数とおりの報知態様のいずれかにて、連通路に遊技球が残存している旨を示す残存球エラーを報知させる。
ここで数量とは、定量的に示されるもの(例えば、遊技球の数)に限らず、定性的に示されるもの(例えば、遊技球が多いまたは遊技球が少ない)も含まれる。
以下、残存球導出部240によって導出された遊技球の数量を「残存数量」と呼称して説明する場合がある。
【0014】
遊技機10が前段に述べた構成を備えているので、連通路58に残存している遊技球の数量に鑑みた報知態様で残存球エラーを報知させることができる。
例えば、残存数量が多い場合には、遊技者によって意図的に不正が行われている蓋然性が高いため、遊技機が設置されているホール管理者に知得しやすい報知態様で報知することもできる。
また、残存数量が少ない場合には、遊技者による不正行為に起因しない(遊技者に過失がない)蓋然性が高いため、遊技者に対して緩やかに注意を喚起するような報知態様で報知することもできる。
すなわち、本実施形態の遊技機10は、遊技者によって不正行為が行われている蓋然性の高低に応じて異なる報知態様で残存球エラーを報知することができる。
【0015】
<遊技機10の構造について>
図1〜
図6を用いて遊技機10の構造について説明する。
図1は、遊技機10の正面図である。
図2は、遊技機10内に設置される遊技盤50を示す図である。
図3は、遊技機10内に配設される図柄表示装置90を示す図である。
図4は、大入賞口56の奧方に位置する連通路58を示す図である。
図4(a)は、振分部材68が通過経路58aから通過経路58cへと遊技球を振り分ける状態を示している。また、
図4(b)は、振分部材68が通過経路58aから通過経路58bへと遊技球を振り分ける状態を示している。
図5は、遊技機10の主要な制御構成を示す機能ブロック図である。
図6は、遊技機10の払出制御構成を示す機能ブロック図である。
【0016】
本実施形態の遊技機10は、いわゆるパチンコ遊技機であり、多数の遊技釘(図示せず)が立設された遊技盤50の前面領域(以下、遊技領域50aと称す)に遊技球を発射し、遊技球が特定の入賞口(例えば、大入賞口55等)に入球すると賞球が得られる遊技を行うものである。
【0017】
遊技機10は、
図1または
図2に示すように、前後に開口する矩形枠状の外枠15と、外枠15の開口前面側に遊技盤50を着脱可能に保持する中枠(図示せず)と、遊技盤50(中枠)の前面側を覆うよう構成された前枠20と、を備える。
【0018】
前枠20は、ヒンジ機構21により左端側を回動自在に支持され、中枠に対して開閉可能となっている。なお、前枠20は、シリンダ錠23により施錠・解錠が可能となっている。
前枠20は、遊技領域50aを覆うように配置された透明部材25を備え、透明部材25によって遊技領域50aおよび遊技盤50を透視保護している。
前枠20は、遊技球を貯留する上球受け皿27および下球受け皿29を備え、上球受け皿27と下球受け皿29は上下に離間して前枠20と一体的に設けられている。
前枠20は、下球受け皿29の右側方に操作ハンドル31を備え、操作ハンドル31の回動操作によって、上球受け皿27に貯留された遊技球が遊技領域50aに向けて発射されるようになっている。
【0019】
前枠20の上枠部32の左側と右側にそれぞれ一対のスピーカ33(33a、33b)が配設されている。また、前枠20の上枠部32と左右側枠部34、36は光透過性のカバーにより形成されており、その内部にはそれぞれ照明装置35(35a、35b、35c、35d、35e、35f、35g)が配設されている。スピーカ33や照明装置35は、遊技中に発生する演出やエラー報知等と連動して音声出力または点灯若しくは消灯することができる。
前枠20は、上球受け皿27の前方部にボタン37が配設されている。ボタン37は、遊技中に発生する演出を切り替えるまたは遊技者が遊技機10に関わる種々の情報を得るために行う遊技者の操作を受け付けることができる。
【0020】
下球受け皿29の下部には、下球受け皿29に貯留された遊技球を下方へ排出する球抜き機構39が設けられている。この球抜き機構39を操作することにより、下球受け皿29の底面に形成された底面口(図示せず)が開口して、該底面口から遊技球が自然落下して排出される。
【0021】
演出表示装置80は、遊技盤50の略中央に配設されている。演出表示装置80は、演出図柄の変動を含む各種の演出を表示することができる。ここで演出図柄とは、遊技機10における遊技の興趣をより高めるために、演出表示装置80に表示される図柄であり、具体的には数字や絵柄またはそれらの組み合わせから構成されている。
一般的に、遊技機10の遊技者は演出表示装置80に表示される演出図柄の変動演出により当該遊技の興趣を喚起されており、演出表示装置80は遊技者にとって視認しやすい位置に配置されている。
演出表示装置80としては、一般的には液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式やドットマトリックス式等、多様な方式の表示装置を採用し得る。
【0022】
演出表示装置80は、その表示領域の略中央に演出図柄が表示され、さらに当該演出図柄の左側および右側にもそれぞれ演出図柄が表示される。すなわち、演出表示装置80には、「左」「中」「右」にそれぞれ演出図柄が表示され、表示された演出図柄が一または複数の列をなしている。これらの演出図柄が上下方向あるいは左右方向にスクロールすることにより、演出図柄が演出表示装置80の表示領域に変動表示される。
【0023】
図柄表示装置90は、演出表示装置80の右下側など、演出表示装置80よりも遊技者が視認しにくい位置に配設される。また、図柄表示装置90の表示領域は、演出表示装置80の表示領域よりも小さい面積になっている。
図柄表示装置90は、複数のランプが配列されている。本実施形態で図柄表示装置90に用いられるランプとは、発光ダイオード(以下、LEDと称す)である。図柄表示装置90は、発光するLEDの配列によって種々の情報を示し、特別図柄表示装置91と普通図柄表示装置92とを含んでいる。
【0024】
特別図柄表示装置91は複数個(例:16個)のLEDの発光パターンにより特別図柄変動ゲームの抽選結果(特別図柄)を表示する。より詳細に言えば、本実施形態の特別図柄表示装置91は、第1特図表示制御部151によって制御される第1特別図柄表示装置91aと、第2特図表示制御部152によって制御される第2特別図柄表示装置91bと、を含んでいる。
図3に示すように、第1特別図柄表示装置91aは、特別図柄表示装置91を構成するLED16個のうち左側の8個から構成される。また、第2特別図柄表示装置91bは、特別図柄表示装置91を構成するLED16個のうち右側の8個から構成される。
【0025】
普通図柄表示装置92は特別図柄表示装置91より少ない数(例:2個)のLEDの発光パターンにより普通図柄変動ゲームの抽選結果(普通図柄)を表示する。
【0026】
なお、
図3に示すように、図柄表示装置90は、特別図柄表示装置91または普通図柄表示装置92の表示に用いられないLEDも含んでおり、特別図柄変動ゲームまたは普通図柄変動ゲームの抽選結果の他にも、保留記憶されている抽選値の数や大当り遊技のラウンド数等の情報も表示しうる。
【0027】
ここで特別図柄とは、特別図柄表示装置91に表示するために選択されうるデータ群、あるいは特別図柄表示装置91に表示されうる図柄(特別図柄表示装置91におけるLEDの発光パターン)をいう。なお、以下、特別図柄のことを「特図」と略して表記する場合がある。また、ここで特別図柄変動ゲームとは、特別電動役物65や特別電動役物66(いわゆるアタッカー)を開放させるための抽選結果(大当りの当否抽選結果)を示すために、特別図柄表示装置91を変動表示させた後に特定の特別図柄を停止表示させることをいう。本明細書において、特別図柄変動ゲームの実行とは、特別図柄表示装置91における特別図柄変動ゲームの表示(変動表示および停止表示)をいう場合と、当該表示のために行われる一連の内部処理の実行をいう場合とがある。
【0028】
ここで普通図柄とは、普通図柄表示装置92に表示するために選択されうるデータ群、あるいは普通図柄表示装置92に表示されうる図柄(普通図柄表示装置92におけるLEDの発光パターン)をいう。なお、以下、普通図柄のことを「普図」と略して表記する場合がある。また、ここで普通図柄変動ゲームとは、普通電動役物61(いわゆる電動チューリップ)を開放させるための抽選結果(普通図柄当りの当否抽選結果)を示すために、普通図柄表示装置92を変動表示させた後に特定の普通図柄を停止表示させることをいう。本明細書において、普通図柄変動ゲームの実行とは、普通図柄表示装置92における普通図柄変動ゲームの表示(変動表示および停止表示)をいう場合と、当該表示のために行われる一連の内部処理の実行をいう場合とがある。
【0029】
本実施形態において、図柄表示装置90に配列される複数のランプはLEDとするが、ランプの種別はこれに限定されるものではない。そして、当該ランプの配置についても
図3に図示するものに限らず、多様な配置を採用しうる。
【0030】
遊技盤50の前面には、多数の遊技釘(図示せず)や風車52、装飾部材といった障害物が配置されていることにより、打ち出された遊技球が転動するように遊技領域50aが画成されている。また、遊技領域50aの左側および上側には、操作ハンドル31の回転操作により発射された遊技球を遊技領域50aの上部に案内するために設けられた湾曲形状の外レール51および内レール53が配置されている。なお、外レール51は、遊技領域50a中央から視て内レール53より外側に位置している。
ここで風車52とは、遊技球の落下の方向に変化を与えるための機構で、くぎ状のものをいう。
【0031】
遊技機10は操作ハンドル31の回転操作量(例えば回転角度)の大小によって遊技球の打ち出しの強弱をつけることが可能になっており、より弱く打ち出された遊技球が転動する第1流路X(いわゆる左打ち)、より強く打ち出された遊技球が転動する第2流路Y(いわゆる右打ち)、のいずれか一方を遊技球が転動するように各種障害物が遊技領域50aに配置されている。
【0032】
遊技領域50aには、各種の入賞口(例えば大入賞口55等)が配設され、各入賞口の後方には入球した遊技球を検知する各種スイッチ(例えばカウントスイッチSW4等)が配設されている。なお、以下の説明において入賞とは、遊技球が特定の入賞口に入球することをいう。
本実施形態においては、上記の各種スイッチは遊技者が視認できない位置に配置されており、
図1および
図2においては図示しない。
【0033】
図2には、主要な入賞口として、大入賞口55、大入賞口56、第1始動口57、第2始動口59、作動ゲート63、普通入賞口67(67a、67b、67c)を図示する。ここで図示する入賞口は一例であり、その数や配置は適宜変更しても構わない。
【0034】
第1始動口57は、遊技領域50aの中央下部(演出表示装置80の下方)に配置されており、一般的に「ヘソ」と呼ばれる。
第1始動口57の後方には入球した遊技球を検知する第1始動口スイッチSW1が配置されている。
第1始動口57に入球した遊技球を第1始動口スイッチSW1で検知することにより、特別図柄変動ゲームを始動させる始動条件と、予め定めた数の遊技球を賞球として払い出す払出条件と、が付与される。
本実施形態において、遊技領域50aは、遊技球が第2流路Yから転動したときよりも、遊技球が第1流路Xから転動したときに、第1始動口57に入球しやすくなるように、各種障害物が配置されている。つまり、第1始動口57は、遊技領域50aの左側を主とする第1流路Xに設けられている。
【0035】
第2始動口59は、遊技領域50aの右下部(演出表示装置80の右下側)に配置されており、第2始動口59には普通電動役物61が付設されている。普通電動役物61は、第2始動口59に遊技球が入球しやすい開放状態または入球しにくい閉鎖状態に可換に遷移する開閉部材であり、アクチュエータAC1の作動により当該開放状態または当該閉鎖状態のいずれかに遷移する。なお、普通電動役物61の制御については、後に詳述する。
第2始動口59の後方には入球した遊技球を検知する第2始動口スイッチSW2が配置されている。第2始動口59に入球した遊技球を第2始動口スイッチSW2で検知することにより、特別図柄変動ゲームの始動条件と、賞球の払出条件と、が付与される。
本実施形態において、遊技領域50aは、遊技球が第1流路Xから転動したときよりも、遊技球が第2流路Yから転動したときに、第2始動口59に入球しやすくなるように、各種障害物が配置されている。つまり、第2始動口59は、遊技領域50aの右側を主とする第2流路Yに設けられている。
【0036】
作動ゲート63は、第2始動口59の上方(演出表示装置80の右側)に配置されている。作動ゲート63の後方には、通過した遊技球を検知する普通図柄変動スイッチSW3が配設されている。作動ゲート63は、入球した遊技球を普通図柄変動スイッチSW3で検知することにより、普通図柄変動ゲームの始動条件が付与され得る。
なお、本実施形態の遊技機10においては、
図6に普通図柄変動スイッチSW3が図示されていないことから明らかであるように、普通図柄変動スイッチSW3の検知は賞球の払出条件に含まれていない。すなわち、本実施形態の作動ゲート63に遊技球が入球しても賞球はゼロである。
また、作動ゲート63は通過した遊技球が通過後再び遊技領域50aを転動する、いわゆるゲートタイプの入賞口であってもよい。この場合において、作動ゲート63を通過することも、本明細書では「入球」と称す。
【0037】
大入賞口55は、第2始動口59の上方(演出表示装置80の右下側)に配置されている。大入賞口55の開口部は、アクチュエータAC2の作動により開閉動作を行う特別電動役物65が配置されている。大入賞口55の後方には、入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW4が配置されている。カウントスイッチSW4が大入賞口55に入球した遊技球を検知することにより、賞球の払出条件が付与される。
【0038】
大入賞口56は、大入賞口55の上方(演出表示装置80の右側)に配置されている。大入賞口56の開口部は、アクチュエータAC3の作動により開閉動作を行う特別電動役物66が配置されている。大入賞口56の後方には連通路58が設けられており、連通路58には、入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW6、カウントスイッチSW7およびカウントスイッチSW8が配置されている。なお、
図4(a)または
図4(b)における上段の白抜き矢印は、大入賞口56から流下してきた遊技球が連通路58(通過経路58a)を通過する方向を示している。
カウントスイッチSW6が大入賞口56に入球した遊技球を検知することにより、賞球の払出条件が付与される。また、カウントスイッチSW6、カウントスイッチSW7およびカウントスイッチSW8による検知結果は、残存球エラーの報知制御に用いられる。当該報知制御については、後に詳述する。
【0039】
大入賞口55は、特別図柄変動ゲームで当選して行われる大当り遊技中には特別電動役物65の開動作によって開放されて遊技球の入球が許容される。また、大入賞口56は、特別図柄変動ゲームで当選して行われる大当り遊技中には特別電動役物66の開動作によって開放されて遊技球の入球が許容される。なお、特別電動役物65または特別電動役物66は、第1始動口57への入球および第2始動口59への入球のいずれに起因する大当り遊技においても開動作しうるように構成されている。
また、第1始動口57への入球および第2始動口59への入球のいずれに起因する大当り遊技が行われる場合にも、遊技者は賞球を獲得できる機会が大幅に増大しうる。なお、本実施形態において、遊技球が第2流路Yから転動するときには、第1流路Xから転動するときよりも、大入賞口55または大入賞口56に入球しやすくなるように各種障害物が配置されている。
【0040】
連通路58には振分部材68が設けられている。振分部材68は、通過する遊技球を複数の通過経路(通過経路58bまたは通過経路58c)のいずれかに振り分ける。
より詳細には、振分部材68の位置によって、
図4(a)に示す状態と
図4(b)に示す状態とを切り替える。
図4(a)の状態においては、連通路58(大入賞口56)に入球した遊技球は、振分部材68によって通過経路58bへの流下が規制されて、通過経路58cへと流下するように振り分けられる。また、
図4(b)の状態においては、連通路58(大入賞口56)に入球した遊技球は、振分部材68によって通過経路58cへの流下が規制されて、通過経路58bへと流下するように振り分けられる。
振分部材68は、経路切替制御部185によって制御されるアクチュエータAC4の作動に応じて動作し、その位置が切り替えられる。
【0041】
なお、本実施形態においては、通過経路58bに設置されているカウントスイッチSW7による遊技球の検知を契機として、その時に行われている大当り遊技の終了後に確変状態が特典として付与される。すなわち、確変状態の付与を制御している当選確率制御部141が特典付与手段として機能し、遊技球が特定の通過経路(通過経路58b)を通過することに起因して遊技者にとって有利な特典を付与する。
なお、当選確率制御部141の機能については、後に詳述する。
【0042】
連通路58(通過経路58bまたは通過経路58c)から排出された遊技球は、遊技機10の外部に設置されている貯留タンク(図示せず)に蓄えられる。当該貯留タンクについては詳細な説明は省略する。
なお、
図4(a)または
図4(b)における下段の白抜き矢印は、遊技球が連通路58(通過経路58bまたは通過経路58c)から排出される方向を示している。
【0043】
ここで確変状態とは、大当り抽選部131による大当りの当否抽選の当選確率が通常状態より高確率になることをいう。
なお、以下の説明において大当り遊技終了後に確変状態が付与される大当りを"確変大当り"、確変状態が付与されない大当りを"非確変大当り"と表現する場合がある。
【0044】
確変状態の方式は、一般的にループ方式・ST方式・転落抽選方式の三種類に大別される。
ループ方式の確変とは、確変大当りに係る大当り遊技の後に確変状態に移行し、少なくとも次回大当りまで継続する確変をいう。
ST方式の確変とは、"スペシャルタイム確変"あるいは"回数切り確変"等とも称され、確変大当りに係る大当り遊技の後に確変状態に移行した後、所定回数の特別図柄変動ゲームのうちに大当り抽選に当選しない場合に、通常状態に移行する確変をいう。
転落抽選方式の確変とは、確変大当りに係る大当り遊技の後に確変に移行した後に行われる特別図柄変動ゲームにおいて確変状態から通常状態へ転落するか否かを抽選(転落抽選)し、転落抽選に当選した場合に通常状態へ移行する確変をいう。
なお、本実施形態における遊技機10はST方式の確変を実行するものとして説明するが、他の確変方式を有している遊技機に本発明を適用してもよい。
【0045】
また、以下の説明において変短状態とは、(i)普通電動役物61の開放抽選の当選確率が通常状態より高確率になる、(ii)普通電動役物61の一回当たりの開放時間が通常状態より延長される、(iii)普通電動役物61の開放抽選の当選に応じて普通電動役物61が開放される回数が通常状態より増加される、(iv)普通図柄表示装置92における一回あたりの変動表示時間が短縮される、の少なくとも一つが行われることをいう。本実施形態において変短状態が付与された場合には、上記の四つのいずれも実行されるものとする。
なお、上記の(ii)および(iii)の少なくとも一つが行われることを"電チューサポート"または"電サポ"と称する。
【0046】
普通入賞口67(67a、67b、67c)は、演出表示装置80の左下部に配置されている。普通入賞口67の後方には入球した遊技球を検知する普通入賞口スイッチSW5が配置されている。普通入賞口67に入球した遊技球を普通入賞口スイッチSW5で検知することにより、賞球の払出条件が付与され得る。
なお、本実施形態においては三つの普通入賞口67a、67b、67cに対して一つの普通入賞口スイッチSW5が設けられている実施例で説明したが、個別にセンサ(普通入賞口スイッチ)を設けてもよい。このとき、それぞれのセンサによって賞球の払出条件が異なってもよく、同一であってもよい。
【0047】
アウト口69は、遊技領域50aの最下部に配置されている。上述した各入賞口に入球しなかった遊技球(作動ゲート63がゲートタイプである場合には、作動ゲート63を通過して他の入賞口に入賞しなかった遊技球を含む)はアウト口69に落入し、アウト球として処理される。
【0048】
<遊技機10の制御構成について>
続いて、
図5から
図10を用いて遊技機10の制御構成について説明する。
図5は、遊技機10の主要な制御構成を示す機能ブロック図である。
図6は、遊技機10の払出制御構成を示す機能ブロック図である。
図7は、遊技機10の残存球エラーの報知制御構成を示す機能ブロック図である。
図8は、大当り遊技の制御に用いられる大当り遊技制御テーブルである。(a)は第1始動口57への入球に起因して大当り図柄が選択された場合に用いられる大当り遊技制御テーブルである、(b)は第2始動口59への入球に起因して大当り図柄が選択された場合に用いられる大当り遊技制御テーブルである。
図9は、残存球導出処理のフローチャートである。
図10は、残存球エラーの報知に用いられる制御テーブルである。
【0049】
なお、
図5から
図7で図示される各機能は本実施形態の遊技機10を説明する上で必要な機能を挙げたものであり、ここに図示しない機能を遊技機10に追加してもよい。また、遊技機10はここに図示する機能の全部を必ずしも備えなくてもよく、本発明の効果を阻害しない範囲で一部の機能が省かれても良い。
【0050】
遊技機10は、基板(図示せず)を自機の内部に備えており、
図5から
図7に図示している機能を含む種々の機能を基板と当該基板に電気的に接続している機能部品との処理によって実現している。より具体的には当該基板は、制御動作を所定の手順で実行するCPU(図示せず)と、当該CPUの制御プログラムを格納するROM(図示せず)と、必要なデータの書き込みおよび読み出しができるRAM(図示せず)を備えている。当該CPUが当該ROMから読み出した制御プログラムを実行し、RAMに種々のデータを書き込みまたは読み出すことによって種々の機能を実現することができる。
なお、
図5から
図7に図示している各種機能は、一の基板のみで実現できる機能、複数の基板の間で種々のデータ授受を行うことにより実現できる機能、基板と当該基板に非搭載の機能部品とが電気的に接続していることにより実現できる機能等が混在している。これらの各種機能を実現するためのハードウェア構成は幾通りも存在しうるものであって、必ずしも一つに限定されない。
【0051】
主制御部100は、遊技を統括的に制御する主制御部100を備える。主制御部100は、遊技の結果に影響を及ぼし、または及ぼす虞がある機能を有する基板、いわゆる主基板として機能する構成要素である。
図5に示すように、主制御部100は多数の機能を有し、これらの機能が互いに接続している構成となっているが、ここに図示している構成は一例であって、必ずしもこれに限るものではない。
【0052】
主制御部100が備える主な機能としては、特図抽選制御部130、普図抽選制御部170、遊技状態制御部140、図柄表示制御部150、変動パターン決定部110等が挙げられる。
特図抽選制御部130は、特別図柄変動ゲームに関連して他の構成要素を制御する機能または大当り遊技を管理する機能を有している。
普図抽選制御部170は、普通図柄変動ゲームに関連して他の構成要素を制御する機能または当り遊技を管理する機能を有している。
遊技状態制御部140は、確変状態の有無や変短状態の有無を管理し、これらの付与や解除(通常状態への移行)を制御する機能を有している。
図柄表示制御部150は、特別図柄変動ゲームの結果として選択された特別図柄、または普通図柄変動ゲームの結果として選択された普通図柄、を図柄表示装置90に表示させる機能を有している
変動パターン決定部110は、特別図柄変動ゲームに関連して行われる表示演出の決定に用いられる変動パターンを、選択された特別図柄に起因して決定し、決定された変動パターンを演出制御部220に伝達する。
【0053】
また、遊技機10は、主制御部100が備える機能の他に、演出制御部220、払出制御部230、異常報知制御部250等を備えている。
演出制御部220は、遊技機10によって行われる遊技、特に特別図柄変動ゲームに関連する演出を制御する機能を有している。
払出制御部230は、各入賞口への入賞の特典として付与される賞球の払い出しを制御する機能を有している。
異常報知制御部250は、遊技機10に発生する種々の異常(エラー)に起因して、遊技者やホール管理者等に対して行われる異常報知を制御する機能を有している。
【0054】
前段および前々段にて列挙した各機能について、以下ではより詳細に説明する。
【0055】
<大当り判定用乱数と特図保留について>
主制御部100は、第1特図抽選値取得部111と、第2特図抽選値取得部112と、特図保留制御部120と、を備える。
【0056】
第1特図抽選値取得部111は、第1始動口57に遊技球が入賞して取得された抽選値を保留記憶しておく。第2特図抽選値取得部112は、第2始動口59に遊技球が入賞して取得された抽選値を保留記憶しておく。
特図選択部132は、第2特図抽選値取得部112に抽選値が保留記憶されている場合、第1特図抽選値取得部111に抽選値が保留記憶されているか否かに拘らず、第2特図抽選値取得部112に保留記憶された抽選値に基づいて当否抽選を行うことができる。
【0057】
より具体的には、第1特図抽選値取得部111は、第1始動口スイッチSW1によって第1始動口57の入賞が検知されると、特別図柄変動ゲームの抽選値として用いられる大当り判定用乱数を取得し、専用の記憶領域に格納(保留記憶)する。第1特図抽選値取得部111が保留記憶可能な抽選値の上限数は予め定められており、本実施形態において当該上限数は4個とする。
第2特図抽選値取得部112は、第2始動口スイッチSW2によって第2始動口59の入賞が検知されると、特別図柄変動ゲームの抽選値として用いられる大当り判定用乱数を取得し、専用の記憶領域に格納(保留記憶)する。第2特図抽選値取得部112が保留記憶可能な抽選値の上限数は予め定められており、本実施形態において当該上限数は4個とする。
【0058】
特図保留制御部120は、特図抽選制御部130が特別図柄変動ゲームに係る制御または大当り遊技に係る制御を行っていないとき、所定の周期で第1特図抽選値取得部111または第2特図抽選値取得部112によって保留記憶されている抽選値(大当り判定用乱数)を読み出す。第1特図抽選値取得部111と第2特図抽選値取得部112が共に一つ以上の抽選値を保留記憶している場合については、特図保留制御部120は第2特図抽選値取得部112によって保留記憶されている抽選値を優先的に読み出すことができる。
大当り抽選部131は、特図保留制御部120によって読み出された抽選値を用いて大当り抽選を実行するので、結果的に第1特図抽選値取得部111に保留記憶されている抽選値より、第2特図抽選値取得部112に保留記憶されている抽選値を優先的に処理することになる。
【0059】
ここで乱数とは、無秩序でかつ全体として出現頻度が等しい数の系列を指す。本実施形態の遊技機10が稼働しているときに自機内部で常に乱数が生成されており、当該乱数は用いて種々の抽選処理に用いられている。乱数の生成方式については、専用ICにより生成する方式(ハードウェア方式)、専用のプログラムにより生成する方式(ソフトウェア方式)、あるいはこれらの組み合わせによって生成する方式がある。本実施形態では既述の大当り判定用乱数を含めて数種の乱数を用いるが、これらの生成は上に上げた方式のいずれを用いても構わない。
【0060】
特図保留制御部120は第1特図抽選値取得部111または第2特図抽選値取得部112に保留格納されている抽選値の数をそれぞれについて監視している。また、特図保留制御部120は、監視している抽選値の数を、図柄表示装置90に表示させるように図柄表示制御部150に指令を出してもよいし、演出表示装置80に表示させるように演出制御部220に指令を出してもよい。
【0061】
<大当り抽選と大当り遊技について>
特図抽選制御部130は大当り抽選と大当り遊技を司る機能であり、大当り抽選部131と特図選択部132と大当り遊技制御部133とを有している。
【0062】
大当り抽選部131は、第1始動口57または第2始動口59への遊技球の入賞を契機として取得された抽選値(大当り判定用乱数)を用いて大当りの当否抽選を行う。なお、大当り抽選部131によって行われる抽選の当選確率は、通常状態であるときは確変状態であるときより低くなっており、確変状態であるときは通常状態であるときより高くなっている。
ここで「入賞を契機として所定の処理を行う」とは、入賞を検知することを一つの条件として、その後に当該所定の処理が実行されうることをいう。すなわち、入賞が検知されたとしても、必ずしも当該所定の処理が実行されなくてもよい。例えば、本実施形態においては、第1特図抽選値取得部111の抽選値保留数が上限を超えた場合に第1始動口スイッチSW1によって検知された入賞、あるいは第2特図抽選値取得部112の抽選値保留数が上限を超えた場合に第2始動口スイッチSW2によって検知された入賞は、特別図柄変動ゲームの始動条件にならない。
【0063】
特図選択部132は、大当り抽選部131による当否抽選の結果に基づいて特別図柄を選択し、選択された特別図柄を図柄表示制御部150(第1特図表示制御部151または第2特図表示制御部152)に伝達して特別図柄表示装置91(第1特別図柄表示装置91aまたは第2特別図柄表示装置91b)に表示させる。
ここでいう選択とは、当否抽選に用いられた抽選値と、予め用意されている特別図柄の種類が同数であって"選択"をせずに一意に"決定"される場合も含む。
【0064】
本実施形態における大当り遊技は、大当り遊技制御部133により制御される。
まず、大当り抽選部131による当否抽選で大当りに当選し、特別図柄表示装置91に表示される特別図柄変動ゲームで特図選択部132により選択された大当り図柄が停止表示された後、大当り遊技は開始される。
大当り遊技が開始される前に、大当り遊技制御部133は特図保留制御部120や普図保留制御部160等に指令を出し、大当り抽選に関する処理または当り抽選に関する処理を、大当り遊技中については一時停止させる旨の指令を出す。
大当り遊技が開始すると、大当り遊技制御部133は演出制御部220に大当り遊技の開始を示すオープニング演出に関する指令を出す。演出制御部220は大当り遊技制御部133の指令に従い所定時間(オープニング時間)にわたってオープニング演出を実行する。
オープニング演出の終了後には、大入賞口55が開放されるラウンド遊技が予め定めた規定回数(ラウンド数)を上限として複数回行われる。1回のラウンド遊技は、大入賞口55または大入賞口56の開閉が所定回数(例えば1回)行われる迄であり、1回のラウンド遊技中に大入賞口55または大入賞口56に規定個数(例えば15個)の遊技球が入賞する迄の間、または規定時間(ラウンド遊技時間)が経過するまでの間、開放される。ラウンド遊技では、ラウンド演出が行われる。
【0065】
ラウンド遊技の終了後には、大入賞口55または大入賞口56が所定の時間(インターバル時間)だけ閉鎖され、次のラウンド遊技の開始と共に再び大入賞口55または大入賞口56が開放される。
【0066】
大当り遊技制御部133は、大入賞口55または大入賞口56を開放させるために、ラウンド数・ラウンド遊技時間・インターバル時間等を制御情報として含む指令を特別電役制御部190に伝送する。特別電役制御部190は、大当り遊技制御部133から受けた指令に従って、アクチュエータAC2またはアクチュエータAC3を作動させて特別電動役物65または特別電動役物66を開放させる。また、特別電役制御部190は、特別電動役物65または特別電動役物66を開放させている間、1回のラウンド遊技中に大入賞口55または大入賞口56に入賞した遊技球の個数をカウントスイッチSW4またはカウントスイッチSW6の検知に基づいて監視しており、入賞上限数に達したとき、アクチュエータAC2またはアクチュエータAC3を作動させて特別電動役物65または特別電動役物66を閉鎖させる。
【0067】
大当り遊技制御部133は、演出制御部220にラウンド遊技中に係る演出に関する指令を出す。演出制御部220は大当り遊技制御部133の指令に従ってラウンド演出を実行する。
規定ラウンド数のラウンド遊技が終了すると、大当り遊技制御部133は演出制御部220に大当り遊技の終了を示すエンディング演出に関する指令を出す。演出制御部220は大当り遊技制御部133の指令に従い所定時間(エンディング時間)にわたってエンディング演出を実行し、大当り遊技は終了される。
なお、本実施形態の大当り遊技においては、遊技球が第2流路Yを転動する方が大入賞口55に入賞し易いため、いわゆる右打ちの方が遊技者にとって有利である。
【0068】
より詳細に、本実施形態における大当り遊技の制御(大当り遊技制御部133)について説明する。大当り遊技制御部133は、大当り抽選部131による当否抽選の結果が大当りであるときに特図選択部132により選択された特別図柄(大当り図柄)と、専用の記憶領域に格納している大当り遊技制御テーブル(
図8に示す)とを比較して、選択された大当り図柄に対応している大当り遊技制御パターンを参照し、当該大当り遊技制御パターンに従って種々の機能および機構を制御する。
【0069】
図8(a)は、第1始動口57への入球(第1始動口スイッチSW1による検知)に起因して大当り図柄が選択された場合に用いられる大当り遊技制御テーブルである。また、
図8(b)は、第2始動口59への入球(第2始動口スイッチSW2による検知)に起因して大当り図柄が選択された場合に用いられる大当り遊技制御テーブルである。
図8に示すように、各大当り遊技制御パターンには、ラウンド数、オープニング時間、ラウンド遊技時間、振分部材切替ラウンド、インターバル時間、エンディング時間が含まれる。ここで挙げている各項目は一例であり、大当り遊技制御パターンとして含まれる情報として、これらの一部が欠落していてもよいし、ここに挙げていない項目が含まれていてもよい。
【0070】
図8(a)に示すとおり、第1始動口57の入球に起因する大当り当選については、4ラウンドの大当り遊技と7ラウンドの大当り遊技とが行われうる。第1始動口57の入球に起因する大当り当選に対して特別図柄は100通りに設けられており、特別図柄群A(1〜40)または特別図柄群B(41〜80)が選択された場合には14ラウンドの大当り遊技が付与され、特別図柄群C(81〜90)または特別図柄群D(91〜100)が選択された場合には6ラウンドの大当り遊技が付与される。
また、
図8(b)に示すとおり、第2始動口59の入球に起因する大当り当選については、4ラウンドの大当り遊技と16ラウンドの大当り遊技とが行われうる。第2始動口59の入球に起因する大当り当選に対して特別図柄は100通りに設けられており、特別図柄群E(1〜70)が選択された場合には16ラウンドの大当り遊技が付与され、特別図柄群F(71〜100)が選択された場合には4ラウンドの大当り遊技が付与される。
上記のように各特別図柄に対してラウンド数が振り分けられているので、第1始動口57への入球に起因する大当り遊技に当選している場合には14ラウンドが選択されやすい。また、第2始動口59への入球に起因する大当り遊技に当選している場合には16ラウンドが選択されやすい。
【0071】
特別図柄群Aと特別図柄群Bとでは、各ラウンドに割り当てられているラウンド遊技時間が異なる。より詳細には、特別図柄群Aについては、1ラウンドから7ラウンドまでに25秒が割り当てられ、8ラウンドから14ラウンドまでに0.04秒が割り当てられている。特別図柄群Bについては、1ラウンドから3ラウンドまでと5ラウンドから8ラウンドまでとに25秒が割り当てられ、4ラウンドと9ラウンドから14ラウンドまでとに0.04秒が割り当てられている。
また、特別図柄群Cと特別図柄群Dとでは、各ラウンドに割り当てられているラウンド遊技時間が異なる。より詳細には、特別図柄群Cについては、1ラウンドから4ラウンドまでに25秒が割り当てられ、5ラウンドと6ラウンドとに0.04秒が割り当てられている。特別図柄群Dについては、1ラウンドから3ラウンドまでと5ラウンドとに25秒が割り当てられ、4ラウンドと6ラウンドとに0.04秒が割り当てられている。
このように、第1始動口57への入球に起因する大当り遊技については、一部のラウンドに極めて短時間のラウンド遊技時間が割り当てられており、当該ラウンドにおいて遊技球が大入賞口55または大入賞口56に入球しがたいように構成されている。このような構成により特別図柄群Aまた特別図柄群Bに対応する大当り遊技は実質的に7ラウンド、特別図柄群Cまたは特別図柄群Dに対応する大当り遊技は実質的に4ラウンドに相当する賞球の払出しか受けられない。
【0072】
一方で、特別図柄群Eと特別図柄群Fとについては、各ラウンドに割り当てられているラウンド遊技時間が等しい。より詳細には、特別図柄群Eについては1ラウンドから16ラウンドまでに25秒が割り当てられ、特別図柄群Fについては1ラウンドから4ラウンドまでに25秒が割り当てられている。
このようにラウンド遊技時間が割り当てられているため、第2始動口59への入球に起因する大当り遊技は、実際に与えられているラウンド数に相当する賞球の払出を受けることができる。
【0073】
本実施形態では、いずれの特別図柄に対応している大当り遊技においても4ラウンドにて大入賞口56が開放され(特別電動役物66が開動作し)、他のラウンドにて大入賞口55が開放される(特別電動役物65が開動作する)ようになっている。
この態様は実施例の一つであり、他の態様を採っても構わない。本発明を実施するためには、少なくとも一部の大当り遊技に、大入賞口56が開放されるラウンドが少なくとも一つ含まれていればよい。
【0074】
図8(a)または(b)に示す「振分部材切替ラウンド」とは、この欄に示すラウンド(所定のラウンド)においてアクチュエータAC4が作動し、振分部材68が予め定められた一定の動作を行うことを意味している。
ここで「一定の動作」とは、振分部材68が、所定のラウンドが実行されている期間の少なくとも一部にて特定の通過経路(通過経路58b)に遊技球を振り分けうるように動作することをいう。より詳細には、大当り遊技制御部133が経路切替制御部185を介してアクチュエータAC4を作動させることによって振分部材68の停止位置を切り替え、通過経路58bまたは通過経路58cのいずれか一方に遊技球を振り分ける。
なお、「一定の動作」において通過経路58bが開放される(遊技球を通過経路58bに振り分ける)回数は、一回であってもよいし、複数回であってもよい。
【0075】
ここで「所定のラウンドが実行されている期間」とは、所定のラウンドにおけるラウンド遊技時間またはインターバル時間のいずれかに含まれる期間である。なお、振分部材68が一定の動作を行う(アクチュエータAC4が作動する)タイミングは、必ずしも当該期間に含まれなくてもよい。例えば、当該期間の事前から通過経路58bを開放する位置に振分部材68が停止していてもよい。
【0076】
図8に示すように「振分部材切替ラウンド」は4ラウンドであり、大入賞口56が開放されるラウンドと一致している。また、4ラウンドはラウンド遊技時間の長い場合と短い場合とが混在している。
例えば、特別図柄群A、特別図柄群C、特別図柄群Eまたは特別図柄群Fに対応する大当り遊技において、4ラウンドには25秒という比較的長いラウンド遊技時間が与えられており、その間に大入賞口56に入球した遊技球を通過経路58bに振り分けることが十分に可能である。
一方で、特別図柄群Bまたは特別図柄群Dに対応する大当り遊技において、4ラウンドには0.04秒という極めて短いラウンド遊技時間が与えられており、その間に大入賞口56に入球した遊技球を通過経路58bに振り分けることは困難である。
【0077】
通過経路58bの中途にはカウントスイッチSW7が配設されており、カウントスイッチSW7の検知は特典付与(確変状態の付与)の契機となる。すなわち、4ラウンド(所定のラウンド)に対して長いラウンド遊技時間が与えられている大当り遊技(特別図柄群A、特別図柄群C、特別図柄群Eまたは特別図柄群Fに対応する大当り遊技)が実行される場合には特典(確変状態)の付与が実質的に確定する仕様となっており、当該大当り遊技は実質的に確変大当りといってもよい。
ただし、当該大当り遊技において、大当り遊技中に遊技者が遊技を止める、または遊技球が通過経路58bを通過できない等の異常事態が発生する場合には確変状態および変短状態の付与されない場合もありうる。
なお、遊技球が通過経路58bを通過できず、大当り遊技中に連通路58に遊技球が残存するような場合には、異常報知制御部250によって残存球エラーが報知されるように構成されている。
【0078】
また、4ラウンド(所定のラウンド)に対して短いラウンド遊技時間が与えられている大当り遊技(特別図柄群Bまたは特別図柄群Dに対応する大当り遊技)が実行される場合には特典(確変状態)の付与が実質的に否定される仕様となっており、当該大当り遊技は実質的に非確変大当りといってもよい。
【0079】
<遊技状態制御について>
遊技状態制御部140は遊技状態を制御する機能であり、当選確率制御部141と変短制御部142とを有している。
【0080】
当選確率制御部141にはカウントスイッチSW7による検知が伝達され、当選確率制御部141は当該検知を契機として確変状態を付与する。より詳細には、大入賞口56が開放されている大当り遊技の終了時に、当該大当り遊技の開始から終了までにカウントスイッチSW7による検知が発生したか否かを判定し、当該検知が発生した場合には、当選確率制御部141は確変状態を付与する。
変短制御部142は、大当り遊技制御部133によって実行されるすべての大当り遊技の終了を契機として変短状態を付与する。
【0081】
当選確率制御部141は、確変状態の終了条件が成立する特別図柄変動ゲームにおいて、確変状態から通常状態へと移行させる。
ここで確変状態の終了条件とは、付与されている確変状態の方式によって異なる。
例えば、ループ方式の確変である場合には、大当り遊技が行われることを終了条件とする。また、ST方式の確変である場合には、その確変状態に移行してから所定回数の特別図柄変動ゲームが行われること、または当該所定回数に到達する前に大当り遊技が行われること、を終了条件とする。また、転落抽選方式の確変である場合には、転落抽選に当選すること、または転落抽選に当選する前に大当り遊技が行われること、を終了条件としている。
【0082】
変短制御部142は、すべての大当り遊技の終了時に通常状態から変短状態へと移行させ、変短状態の終了条件が成立する特別図柄変動ゲームにおいて、変短状態から通常状態へと移行させる。
本実施形態における変短状態は、変短状態に移行してから所定回数の特別図柄変動ゲームが行われることを終了条件としている。本実施形態においては全ての大当り遊技の終了時に変短状態が付与されるので、各大当り遊技の終了時からその後に行われた特別図柄変動ゲームの回数が所定回数に達するまで変短状態が維持される。
【0083】
<当り抽選と当り遊技について>
遊技機10は、普図抽選値取得部113と普図保留制御部160を備える。
普図抽選値取得部113は、普通図柄変動スイッチSW3によって作動ゲート63の入賞が検知されると、普通図柄変動ゲームの抽選値として用いられる当り判定用乱数を取得し、専用の記憶領域に格納(保留記憶)する。普図抽選値取得部113が保留できる抽選値の上限数は予め定められており、本実施形態において当該上限数は4個とする。
普図保留制御部160は、普図抽選制御部170が普通図柄変動ゲームに係る制御または当り遊技に係る制御を行っていないとき、または特図抽選制御部130が大当り遊技に係る制御を行っていないとき、所定の周期で普図抽選値取得部113によって保留記憶されている抽選値(当り判定用乱数)を読み出す。
【0084】
普図保留制御部160は普図抽選値取得部113に保留格納されている抽選値の数を監視している。また、普図保留制御部160は、監視している抽選値の数を、図柄表示装置90に表示させるように図柄表示制御部150に指令を出してもよいし、演出表示装置80に表示させるように演出制御部220に指令を出してもよい。
【0085】
遊技機10は、普図抽選制御部170と普通電役制御部180を備える。普図抽選制御部170は当り抽選と当り遊技を司る機能であり、当り抽選部171と普図選択部172と当り遊技制御部173とを有する。
【0086】
当り抽選部171は、普図保留制御部160によって普図抽選値取得部113から読み出された当り判定用乱数を用いて、普通電動役物61を開放状態に遷移させるか否かの開放抽選を行う。なお、当り抽選部171によって行われる抽選の当選確率は、通常状態であるときは変短状態であるときより低くなっており、変短状態であるときは通常状態であるときより高くなっている。
【0087】
普図選択部172は、当り抽選部171による開放抽選の当否結果に基づいて普通図柄を選択し、選択された普通図柄を図柄表示制御部150(普図表示制御部153)に伝達して普通図柄表示装置92に表示させる。普通図柄表示装置92に対応している二つのLEDは一方が当り、一方がはずれに対応しており、普図表示制御部153は普図選択部172が選択した普通図柄に従っていずれか一方を発光させる。
なお、ここでいう選択とは、特図選択部132による選択と同様に、開放抽選に用いられた抽選値と、予め用意されている特別図柄の種類が同数であって"選択"をせずに一意に"決定"される場合も含まれる。
【0088】
当り遊技制御部173は、当り抽選部171による当り抽選に当選したとき、普通電役制御部180に指令を伝達し、アクチュエータAC1を作動させて所定の開放条件で普通電動役物61を開放させる。
【0089】
普通電役制御部180は、開放状態をとる時間が大当り遊技の終了後に単位時間あたりで増加するように普通電動役物61を制御する。
なお、この段落において説明した普通電役制御部180の制御は、変短状態が付与されたときに普通電動役物61を制御する態様を具体的に表したものである。すなわち、普通電役制御部180の制御は、変短制御部142による変短状態の付与に起因している。
【0090】
<演出制御について>
遊技機10は、演出表示装置80、照明装置35、スピーカ33を制御する演出制御部220を備える。より詳細には、演出制御部220は、特図選択部132によって選択された特別図柄、変動パターン決定部110によって決定された変動パターン、またはボタン37で受け付けた遊技者の操作等に基づいて各種演出を実行する。演出制御部220はボタン37から受け付けた遊技者の操作に応じて演出を可変に切り替えてもよい。また、演出制御部220は、
図4では図示していないが、いわゆる演出ギミックを制御してもよい。
【0091】
変動パターン決定部110は、特図保留制御部120・特図抽選制御部130・遊技状態制御部140・普図保留制御部160・普図抽選制御部170と接続しており、これらの機能から信号(データ)を得ることにより、主制御部100による遊技制御に適った変動パターンを生成することができる。変動パターンには、演出図柄が変動表示を開始してから終了(停止表示)するまでの時間等が規定されている。
【0092】
演出制御部220は、特図選択部132によって選択された特別図柄や変動パターン決定部110によって決定された変動パターンを用いて演出図柄の変動演出(例えば、リーチ演出等)やその他演出の演出態様を決定し、決定された演出を演出表示装置80、照明装置35またはスピーカ33に実行させる。なお、本実施形態における演出制御部220は、特図選択部132によって選択された特別図柄を、変動パターン決定部110を介して取得している。
演出制御部220によって決定される演出態様には、演出表示装置80における図柄変動演出の発展態様の他に、演出表示装置80に表示される背景や色彩、スピーカ33により音声出力される演出音(音楽)、照明装置35の発光色や発光強度、ボタン37の操作を受け付けるタイミング等が含まれうる。
【0093】
<払出制御について>
遊技機10は、上球受け皿27に連通している払出機構部70を制御し、上球受け皿27へ賞球を払い出すことができる払出制御部230を備える。より詳細には、主制御部100は、各入賞口スイッチによる入賞検知に応じて所定の賞球を払い出すように払出制御部230に対して指令を伝達する。そして、払出制御部230は、主制御部100から受け付けた指令に基づいて払出機構部70を制御する。なお、払出機構部70は中枠(図示せず)の後方に配設されており、前枠20が閉じた状態では視認することができない。
本実施形態において、具体的には、第1始動口スイッチSW1による検知で3個の賞球、第2始動口スイッチSW2による検知で3個の賞球、カウントスイッチSW4またはカウントスイッチSW6による検知で14個の賞球、普通入賞口スイッチSW5による検知で8個の賞球と払出条件が予め設定されている。
なお、ここで挙げた賞球の払出条件は一例であり、実施の態様に合わせて適宜設定してもよい。
【0094】
<異常報知制御について>
遊技機10は、残存球導出部240と異常報知制御部250とを備える。
残存球導出部240は、連通路58に残存している遊技球の数量を導出する。
異常報知制御部250は、残存球導出部240によって導出された遊技球の数量に応じた複数とおりの報知態様のいずれかにて、連通路に遊技球が残存している旨を示す残存球エラーを報知させる。
【0095】
残存球導出部240は、以下のように連通路58の残存球を導出する。
既に述べたように、連通路58は、遊技球の通過経路が複数に分岐するように構成されており、各通過経路にはカウントスイッチSW6、カウントスイッチSW7およびカウントスイッチSW8が配設されている(
図4参照)。
カウントスイッチSW6(第一検出手段)は、連通路58における通過経路の分岐点より上流側(通過経路58a)に配設され、遊技球の通過を検出する。
カウントスイッチSW7およびカウントスイッチSW8(複数の第二検出手段)は、連通路58における通過経路の分岐点より下流側にて複数の通過経路(通過経路58bおよび通過経路58c)ごとに配設され、遊技球の通過を検出する。
残存球導出部240(残存球導出手段)は、カウントスイッチSW6による検出結果とカウントスイッチSW7およびカウントスイッチSW8による検出結果とを用いて、カウントスイッチSW6とカウントスイッチSW7とカウントスイッチSW8との間に残存している遊技球の数量を導出する。
【0096】
上記のように連通路58の通過経路の構成は複雑であり、更に通過経路の分岐点には振分部材68も配設されているため、残存球エラーが起こりやすい。換言すれば、遊技者の過失がない残存球エラーが発生しやすい。
異常報知制御部250は、このような連通路58に対して好適に用いられ、過失のない遊技者に対する誤報知によって当該遊技者の興趣を阻害する虞を低減させることができる。
【0097】
ここで、
図9のフローチャートを用いて、残存球導出部240および異常報知制御部250によって行われる処理(残存球エラー処理)を、より詳細に説明する。
本実施形態の残存球導出部240は、作動条件が成立していない場合(ステップS102のNO)、停止している。
また、残存球導出部240は、作動条件が成立している場合(ステップS102のYES)、作動してカウンタ:nに「初期値」を与える(ステップS104)。ここで「初期値」は任意の数値を設定してよい。
なお、本実施形態における作動条件は、大当り遊技における所定のラウンド(4ラウンド)の開始時と設定されている。
【0098】
残存球導出部240は、所定の報知タイミングに達するまで(ステップS106のNO)、各カウントスイッチを用いて以下の処理を行う。
すなわち、カウントスイッチSW6による検知が行われるときには(ステップS108のYES)、カウンタ:nに「1」を加算する(ステップS110)。また、カウントスイッチSW7またはカウントスイッチSW8による検知が行われるときには(ステップS112またはステップS116のYES)、カウンタ:nから「1」を減算する(ステップS114およびステップS118)。
一方、カウントスイッチSW6、カウントスイッチSW7またはカウントスイッチSW8による検知が行われない場合には(ステップS108、ステップS112またはステップS116のNO)、カウンタ:nの値が維持される。
これらの処理により、カウンタnの値は「初期値」+「残存球導出部240が作動した以降に連通路58に残存した遊技球の数量」となる。ただし、加算処理(ステップS110)より減算処理(ステップS114およびステップS118)の回数が多い場合には、「残存球導出部240が作動した以降に連通路58に残存した遊技球の数量」がマイナスになる場合もありうる。
なお、本実施形態における所定の報知タイミングは、原則は大当り遊技における所定のラウンドの次のラウンドの開始時、すなわち5ラウンドの開始時となっている。ただし、特別図柄群Fに対応している大当り遊技は4ラウンドで終了となるので、エンディング演出の開始時が所定の報知タイミングになっている。
【0099】
所定の報知タイミングに達した場合(ステップS106のYES)であって、残存球導出部240によって導出されたカウンタ:nの値が「初期値+1」を超えているとき(ステップS120のYES)、異常報知制御部250は残存球エラーの報知を実行させる(ステップS122)。
より厳密には、残存球導出部240は、所定の報知タイミングに達する前のラウンドが終了した後のインターバル時間の中でステップS120の判定処理を行う。そして、当該判定処理が肯定される場合には、異常報知制御部250は所定の報知タイミングの到達に合わせてステップS122の報知処理を実行させる。
【0100】
なお、異常報知制御部250はステップS122の報知処理を実行させるとき、制御対象となる構成をカウンタ:nの値に応じて変える。
図10は、異常報知制御部250の制御対象となる構成を示している。
例えば、カウンタ:nの値が「初期値+2」であるとき、異常報知制御部250は、演出表示装置80を制御して残存球エラーが生じている旨を表示させる。また、カウンタ:nの値が「初期値+3」以上であるとき、異常報知制御部250は、演出表示装置80による表示に加えて照明装置35の点灯とスピーカ33による音声も用いて残存球エラーを報知する。
【0101】
本実施形態において異常報知制御部250の制御対象となる照明装置35は、スピーカ33aの両脇に配設されている照明装置35d、35f、およびスピーカ33bの両脇に配設されている照明装置35e、35gになっている。これにより、照明装置35d、35e、35f、35gの点灯によって各スピーカ33a、33bの音声出力に注意を向けさせることができる。
【0102】
所定の報知タイミングに達した場合(ステップS106のYES)であって、残存球導出部240によって導出されたカウンタ:nの値が「初期値+1」以下であるとき(ステップS120のNO)、S122の報知処理は実行されない。換言すれば、異常報知制御部250は、カウンタ:nの値が「初期値+1」となることを許容し、残存数量が1個の場合は報知処理を実行させない。なぜならば、残存数量が1個の場合に不正行為が行われている蓋然性は低く、実質的に問題が生じる虞も低いからである。
これにより、残存球エラーの報知が頻出することを防止し、遊技者の興趣を削ぐ機会を低減させることができる。
【0103】
上記の一連の処理は、残存球導出部240の停止条件が成立するまで(ステップS124のNO)、繰り返し行われる。
そして、残存球導出部240の停止条件が成立した場合には(ステップS124のYES)、残存球導出部240は停止する(ステップS126)。
【0104】
ステップS126において残存球導出部240が停止したとしても、異常報知制御部250によってステップS122の報知処理が実行されている場合には、報知状態を維持することが好ましい。なぜならば、一度でも報知条件(ステップS120の判定条件)が肯定されたのであれば、不正行為が行われている虞があるからである。
【0105】
これまでに述べた残存球エラー処理の特徴を整理すると次のようになる。
すなわち、異常報知制御部250は、所定のラウンド(本実施形態では4ラウンドまたは15ラウンド)の終了時において残存球導出部240(残存球導出手段)によって導出されている遊技球の数量に起因して報知態様を選択し、選択された報知態様による残存球エラーを所定のラウンドの終了時または当該終了時以降に報知させる。
なお、本実施形態における大当り遊技は、複数のラウンドを含んでおり、大入賞口56は、ラウンドの開始を契機として開放され、ラウンドの終了を契機として閉鎖されることについては、既述のとおりである。
【0106】
上記の構成により、所定のラウンドにおける残存球の数に応じて、それ以降のラウンドに対して残存球エラーを報知することができる。従って、所定のラウンドの終了時またはそれ以降について不正による恩恵を抑制することができる。
【0107】
特に、連通路58の内部において振分部材68による遊技球の通過経路の切り替えが行われる所定のラウンド(4ラウンド)の終了時またはそれ以降に残存球エラーを報知する。仮に、不正行為によって確変状態を狙う遊技者が遊技する場合、当該ラウンド以降は狙われがちなタイミングである。従って、上記の構成によって効果的に不正行為を抑制することができる。
また、既述のとおり、4ラウンドは振分部材68が作動する時間帯であり、振分部材68の作動によって遊技球が詰まる虞が他の時間帯よりも高い。従って、5ラウンドまたはエンディング演出の開始時を報知タイミングとすることによって、効果的に遊技球の詰まりを検知することができる。
【0108】
なお、上述した所定の報知タイミング(連通路58に連通している大入賞口56が閉鎖されてから残存球エラーが報知されるまでの時間)は、遊技球が当該大入賞口56に入球してから連通路58から排出される時間より長く設定されていることが好ましい。すなわち、大入賞口56が閉鎖されてから残存球エラーの判定処理(ステップS120の判定処理)を行うまでの時間に余裕が設けられているとよい。
遊技球が連通路58を通過する時間は有限であり、大入賞口56の閉鎖時に直ちに残存球エラーの判定処理を行うと、滞りなく連通路58を遊技球が通過していたとしても当該判定処理が肯定される虞がある。従って、大入賞口56の閉鎖からある程度の時間を経てから当該判定処理を行うことが望ましい。
本実施形態の連通路58に入球した遊技球が排出されるまでの時間は、何も異常がない状態では最大でも2秒弱であると見込まれているため、4ラウンドのインターバル時間を2.0秒としている。これにより、5ラウンドの開始時またはエンディング演出の開始時のいずれにおいて残存球エラーの判定処理を実行しても、十分な時間的余裕を保って当該判定処理を実行することができる。
なお、ここでは所定のラウンド(4ラウンド)のインターバル時間と他のラウンド時間とが等しく与えられているが、所定のラウンドには他のラウンドより長いインターバル時間を与えてもよい。例えば、オープニング演出やエンディング演出の時間に相当するインターバル時間を設けてもよい。この場合、長いインターバル時間を利用して何らかの演出処理を演出制御部220に実行させ、遊技者の意欲低下を防止することが望ましい。
【0109】
また、本実施形態の残存球導出部240(残存球導出手段)によって導出された遊技球の数量が多いほど、異常報知制御部250(報知制御手段)はより遊技者が知得しやすい報知態様にて残存球エラーを報知させる。より具体的には、異常報知制御部250は、残存球導出部240によって導出された遊技球の数量(残存数量)が多いほど、多種類の報知手段(演出表示装置80、照明装置35、スピーカ33)を制御して報知させる。
【0110】
これは、導出された遊技球の数量が多いほど遊技者によって意図的に不正が行われている蓋然性が高いため、より周囲(ホール管理者等)にとって知得しやすい報知態様で報知する必要があるからである。また、導出された遊技球の数量が少ないほど意図的ではない(遊技者に過失がない)エラーである蓋然性が高いため、遊技者に対して緩やかな報知で留めてもよいからである。
上記の構成により、意図的な不正の抑制を担保しつつ、過失のない遊技者に対する誤報知によって当該遊技者の興趣を阻害する虞を低減させることができる。
【0111】
以上、ここまで本実施形態の残存球エラーの報知制御について詳細に説明したが、これは一例であり、他の変形例も採りうる。
【0112】
例えば、残存球導出部240の作動条件は、大当り遊技の開始であるとして説明したが、大当り遊技中のいずれかのラウンドの開始でもよい。
また、残存球導出部240による導出は、大当り遊技の開始から所定のラウンド(4ラウンドまたは15ラウンド)まで複数のラウンドに跨がって行われる例で説明したが、単一のラウンドに限定して行われる態様を採ってもよい。
【0113】
本実施形態において、所定の報知タイミングは、大当り遊技におけるエンディング演出の開始時、または5ラウンド開始時として説明したが、これに限られない。ただし、異常報知制御部250は、大当り遊技が開始してから終了するまでに残存球エラーの報知を実行させることが好ましい。すなわち、異常報知制御部250は、残存球エラーの報知を大当り遊技の最中に開始することが好ましい。なぜならば、大当り遊技の終了を待たずに残存球エラーを報知するので、不正行為によって恩恵を受ける機会を狭めることができるからである。
なお、ここで残存球エラーの報知を実行とは、ステップS122の処理を実行して各報知手段(演出表示装置80、照明装置35、スピーカ33)による報知を開始することをいう。
【0114】
本実施形態における異常報知制御部250の制御対象となる報知手段は、遊技機10が備えている構成要素に限定して説明しているが、外部装置(図示せず)に通知して報知する態様を採ってもよい。ここで外部装置とは、例えばホール監視システムのコンピュータ等が挙げられる。
また、遊技機10は、異常報知制御部250の制御対象となる報知手段を、演出表示装置80、照明装置35およびスピーカ33の他にも備えてよい。
【0115】
本実施形態における異常報知制御部250は、照明装置35d、35e、35f、35gを制御対象としているが、他の照明装置35a、35b、35cを制御対象に含めてもよい。
また、異常報知制御部250は、カウンタ:nの値に応じて異なる態様で照明装置35を制御してもよい。例えば、カウンタ:nの値と初期値との誤差(残存数量)が大きくなるほど、多くの照明装置35を点灯させてもよい。
【0116】
本実施形態の残存球導出部240は、カウントスイッチSW6、カウントスイッチSW7およびカウントスイッチSW8を用いた導出方式によって、連通路58に残存している遊技球の数量を導出したが、この方式に限られなくてもよい。
例えば、連通路58の壁面や振分部材68にかかる荷重を計測して導出してもよいし、連通路58の壁面を透明部材として撮像し、画像処理によって残存球の数量を導出してもよい。
【0117】
本実施形態における残存球導出部240や異常報知制御部250は、主制御部100の外部に設けられる構成要素として説明したが、これらと同等の機能を主制御部100に含めてもよい。すなわち、主制御部100が
図9に示す残存球エラー処理を実行してもよい。
【0118】
本実施形態では、連通路58の残存球に対しては残存球エラーを報知するのみを説明したが、前段で述べたように、主制御部100が残存球導出部240や異常報知制御部250に相当する機能を有しているならば、より積極的な対策を採ってもよい。
例えば、主制御部100は、異常報知制御手段によって残存球エラーが報知されるとき、大当り遊技または特別図柄変動ゲームの実行を規制する手段(遊技規制手段)を備えてもよい。これにより、残存球エラーの報知と合わせて積極的に遊技を規制することができるので、遊技者による意図的な不正をより確実に防止することができる。
なお、ここで規制するとは、例えば、大当り遊技の中断や取り消し、大当り遊技終了後に特別図柄変動ゲームが実行されない等が挙げられる。
【0119】
以上、残存球エラーに対する報知制御について説明してきたが、異常報知制御部250は他のエラーに対して報知制御することも可能である。
例えば、大入賞口56が開放していない状態においてカウントスイッチSW6、カウントスイッチSW7またはカウントスイッチSW8による遊技球の検知が生じた場合には、異常報知制御部250は大入賞口56への不正入球エラーを報知させてもよい。
または、残存球導出部240によって導出された遊技球の数量が負の値(カウンタ:nが初期値未満)になったとき、異常報知制御部250は連通路58における遊技球の不正排出エラーを報知させてもよい。
または、振分部材68が作動していない(
図4の(a)の状態にある)場合に、確変状態が付与されるカウントスイッチSW7による遊技球の検知が生じたとき、異常報知制御部250はカウントスイッチSW7の不正通過エラーを報知させてもよい。
上述の各エラーの報知は、残存球エラー処理に用いられるカウントスイッチ(第一検出手段および第二検出手段)と共通である。すなわち、異常報知制御部250は、残存球エラー処理と共通のカウントスイッチの検出結果を用いて複数とおりのエラー報知を実行させることができる。
【0120】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)始動口への遊技球の入賞を契機として大当りの当否抽選を行う大当り抽選手段と、前記大当り抽選手段による前記当否抽選の結果に基づいて特別図柄を選択する図柄選択手段と、変動表示した後に、前記図柄選択手段によって選択された前記特別図柄を停止表示する特別図柄変動ゲームを実行させる図柄表示制御手段と、前記大当りの特典として行われる大当り遊技において開放されて前記遊技球の入球を受け付ける大入賞口と、前記大入賞口に連通しており、前記大入賞口に入球した前記遊技球の通過経路となる連通路と、前記連通路に残存している前記遊技球の数量を導出する残存球導出手段と、前記残存球導出手段によって導出された前記遊技球の数量に応じた複数とおりの報知態様のいずれかにて、前記連通路に前記遊技球が残存している旨を示す残存球エラーを報知させる報知制御手段と、を備える遊技機。
(2)前記残存球導出手段によって導出された前記遊技球の数量が多いほど、前記報知制御手段はより遊技者が知得しやすい前記報知態様にて前記残存球エラーを報知させる(1)に記載の遊技機。
(3)前記大当り遊技は、複数のラウンドを含んでおり、前記大入賞口は、前記ラウンドの開始を契機として開放され、前記ラウンドの終了を契機として閉鎖され、前記報知制御手段は、所定の前記ラウンドの終了時において前記残存球導出手段によって導出されている前記遊技球の数量に起因して前記報知態様を選択し、選択された前記報知態様による前記残存球エラーを前記所定のラウンドの終了時または当該終了時以降に報知させる(1)または(2)に記載の遊技機。
(4)前記連通路は、前記遊技球の前記通過経路が複数に分岐するように構成されており、前記連通路における前記通過経路の分岐点より上流側に配設され、前記遊技球の通過を検出する第一検出手段と、前記連通路における前記通過経路の分岐点より下流側にて複数の前記通過経路ごとに配設され、前記遊技球の通過を検出する複数の第二検出手段と、を備え、前記残存球導出手段は、前記第一検出手段による検出結果と複数の前記第二検出手段による検出結果とを用いて、前記第一検出手段と複数の前記第二検出手段との間に残存している前記遊技球の数量を導出する(1)から(3)のいずれか一つに記載の遊技機。
(5)前記連通路に設けられ、通過する前記遊技球を複数の前記通過経路のいずれかに振り分ける振分部材と、前記遊技球が特定の前記通過経路を通過することに起因して遊技者にとって有利な特典を付与する特典付与手段と、を備え、前記振分部材は、前記所定のラウンドが実行されている期間の少なくとも一部にて前記特定の通過経路に前記遊技球を振り分けうる(3)に従属している(4)に記載の遊技機。
(a)前記報知制御手段は、前記残存球導出手段によって導出された前記遊技球の数量が多いほど、多種類の報知手段を制御して報知させる(1)または(2)に記載の遊技機。
(b)前記報知制御手段は、前記大当り遊技が開始してから終了するまでに前記残存球エラーの報知を実行させる(1)または(2)に記載の遊技機。
(c)前記連通路に連通している前記大入賞口が閉鎖されてから前記残存球エラーが報知されるまでの時間が、前記遊技球が当該大入賞口に入球してから前記連通路から排出される時間より長い(1)に記載の遊技機。
(d)前記報知制御手段によって前記残存球エラーが報知されるとき、前記大当り遊技または前記特別図柄変動ゲームの実行を規制する遊技規制手段を備える(1)から(5)のいずれか一つに記載の遊技機。