【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明は、第1の態様において、
捕食性ダニ種個体の個体群と、
少なくとも1種のAstigmatidダニ種個体を含む捕食性個体のための食物源であって、前記Astigmatid個体の少なくとも一部分が不動化された食物源と、
場合により、Astigmatid個体に適した食物源と、
場合により、前記ダニ種個体のための担体と
を含むダニ組成物であって、不動化されたAstigmatid個体、及び場合により、Astigmatid個体のための必要に応じた食物源が、真菌抑制剤に接触されているダニ組成物に関する。
【0010】
組成物は、捕食性ダニの個体群の個体を含む。当業者に周知の通り、捕食性Phytoseiidダニは、植物上に天然の生息場所があり、そこで有害な生物(昆虫やダニ)を捕食する。捕食性Phytoseiidダニは、de Moraesらにより2004に記載されている通り、その天然の生息場所から単離することができる。本発明において特に有用な捕食性ダニは、捕食性Mesostigmatidダニ種、捕食性Prostigmatidダニ種、特に、
i)Phytoseiidae、例えば、
Amblyseiinaeの亜科、例えば、Amblyseius属、例えば、Amblyseius andersoni、Amblyseius aerialis、Amblyseius swirskii、Amblyseius herbicolus又はAmblyseius largoensis、Euseius属、例えば、Euseius finlandicus、Euseius hibisci、Euseius ovalis、Euseius victoriensis、Euseius stipulatus、Euseius scutalis、Euseius tularensis、Euseius addoensis、Euseius concordis、Euseius ho又はEuseius citri、Neoseiulus属、例えば、Neoseiulus barkeri、Neoseiulus californicus、Neoseiulus cucumeris、Neoseiulus longispinosus、Neoseiulus womersleyi、Neoseiulus idaeus、Neoseiulus anonymus、Neoseiulus paspalivorus、Neoseiulus reductus又はNeoseiulus fallacis、Amblydromalus属、例えば、Amblydromalus limonicus、Typhlodromalus属、例えば、Typhlodromalus aripo、Typhlodromalus laila又はTyphlodromalus peregrinus、Typhlodromips属、例えば、Typhlodromips montdorensis、Phytoseiulus属、例えば、Phytoseiulus persimilis、Phytoseiulus macropilis、Phytoseiulus longipes、Phytoseiulus fragariaeからのもの、
Typhlodrominaeの亜科、Galendromus属、例えば、Galendromus occidentalis、Typhlodromus属、例えば、Typhlodromus pyri、Typhlodromus doreenae又はTyphlodromus athiasaeからのもの、
ii)Ascidae、例えば、Proctolaelaps pygmaeus(Muller)等のProctolaelaps属;Blattisocius属、例えば、Blattisocius tarsalis(Berlese)、Blattisocius keegani(Fox);Lasioseius属、例えば、Lasioseius fimetorum Karg、Lasioseius floridensis Berlese、Lasioseius bispinosus Evans、Lasioseius dentatus Fox、Lasioseius scapulatus(Kenett)、Lasioseius athiasae Nawar&Nasr;Arctoseius属、例えば、Arctoseius semiscissus(Berlese);Protogamasellus属、例えば、Protogamasellus dioscorus Mansonからのもの、
iii)Laelapidae、例えば、Stratiolaelaps属、例えば、Stratiolaelaps scimitus(Womersley)(Hypoaspis属にも置かれる);Geolaelaps、例えば、Geolaelaps aculeifer(Canestrini)(Hypoaspis属にも置かれる);Androlaelaps、例えば、Androlaelaps casalis casalis(Berlese)からのもの、
iv)Macrochelidae、例えば、Macrocheles属、例えば、Macrocheles robustulus(Berlese)、Macrocheles muscaedomesticae(Scopoli)、Macrocheles matrius(Hull)からのもの、
v)Parasitidae、例えば、Pergamasus属、例えば、Pergamasusquisquiliarum Canestrini;Parasitus、例えば、Parasitusfimetorum(Berlese)、Parasitus bituberosus Kargからのもの
から選択されるMesostigmatidダニ種、
vi)Tydeidae、例えば、Homeopronematus属、例えば、Homeopronematus anconai(Baker);Tydeus属、例えば、Tydeus lambi(Baker)、Tydeus caudatus(Duges)、Tydeus lambi(Baker);Pronematus属、例えば、Pronematus ubiquitous(McGregor)からのもの、
vii)Cheyletidae、例えば、Cheyletus属、例えば、Cheyletus eruditus(Schrank)、Cheyletus malaccensis Oudemansからのもの、
viii)Cunaxidae、例えば、Coleoscirus属、例えば、Coleoscirus simplex(Ewing)、Cunaxa属、例えば、Cunaxa setirostris(Hermann)からのもの、
ix)Erythraeidae、例えば、Balaustium属、例えば、Balaustium putmani Smiley、Balaustium medicagoense Meyer&Ryke、Balaustium murorum(Hermann)からのもの、
x)Stigmaeidae、例えば、Agistemus属、例えば、Agistemus exsertus Gonzalez;Zetzellia属、例えば、Zetzelliamali(Ewing)からのもの、
からのものなどの、Prostigmatidダニ種
から選択することができる。
【0011】
Phytoseiid種として選択される場合、ダニ種は、好ましくは、Amblyseius swirskii、Amblysieus aerialis、Amblyseius andersoni、Neoseiulus barkeri、Neoseiulus californicus、Neoseiulus cucumeris、Neoseiulus fallacis、Typhlodromips montdorensis又はAmblydromalus limonicusから選択されるPhytoseiid種である。
【0012】
本発明に関して用いられるPhytoseiidダニ亜科、属及び種の名称は、他に断りのない限り、de Moraes、G.J.ら、2004に記されている通りである。他の科からの種に関しては、Gerson U.、Smiley R.L. and Ochoa R.、2003、Mites (Acari) for pest control(Blackwell Publishing)を参照されたい。代替的及び同等な名称を特定のダニ種に用いてよいことが留意されたい。例えば、Amblydromalus limonicusが、代替的及び同等な名称Amblyseius limonicus及びTyphlodromalus limonicusとしても公知であることが当業者に知られている。
【0013】
捕食者の個体群は、好ましくは、飼育用個体群である。本明細書において、飼育という用語は、有性生殖による個体群の繁殖及び増加を包含すると理解されるべきである。飼育用個体群は、両方の性の性的に成熟した成虫、及び/又は性的に成熟した成虫へと成熟することができる他の生活段階、例えば、両方の性の卵、幼虫及び/又は若虫の個体を含むことができる。或いは、飼育用個体群は、1匹又は複数の受精した雌を含むことができる。基本的に、飼育用個体群は、有性生殖によって個体数を増加させることができる。
【0014】
ダニ組成物は、少なくとも1種のAstigmatidダニ種の個体を含む、捕食性個体のための食物源を更に含む。選択されたAstigmatidダニ種の1つ以上の生活段階に由来する個体は、選択された捕食者の個体に適した餌(食物源)である必要がある。選択された捕食者のための餌として適したAstigmatidダニの選択は、当業者の知識の範囲内である。Astigmatidダニは、Hughes A.M.、1977に記載されている通りにその天然の生息場所から単離することができ、Parkinson、C.L.(1992)及びSolomon、M.E.&Cunnington、A.M.(1963)に記載されている通りに維持及び培養することができる。
【0015】
Astigmatidダニ種は、
i)Carpoglyphus属、例えば、Carpoglyphus lactisからなどの、Carpoglyphidae、
ii)Dermatophagoides属、例えば、Dermatophagoides pteronysinus、Dermatophagoides farinae;Euroglyphus属、例えば、Euroglyphus longior、Euroglyphus maynei;Pyroglyphus属、例えば、Pyroglyphus africanusからなどのPyroglyphidae、
iii)Diamesoglyphus属、例えば、Diamesoglyphus intermediusor、Ctenoglyphus属、例えば、Ctenoglyphus plumiger、Ctenoglyphus canestrinii、Ctenoglyphus palmiferからなどのCtenoglyphinae亜科;Blomia属、例えば、Blomia freemani又はGlycyphagus属、例えば、Glycyphagus ornatus、Glycyphagus bicaudatus、Glycyphagus privatus、Glycyphagus domesticus又はLepidoglyphus属、例えば、Lepidoglyphus michaeli、Lepidoglyphus fustifer、Lepidoglyphus destructor又はAustroglycyphagus属、例えば、Austroglycyphagus geniculatusからなどのGlycyphaginae亜科;Aeroglyphus属、例えば、Aeroglyphus robustusからなどのAeroglyphinae亜科;Gohieria属、例えば、Gohieria. fuscaからなどのLabidophorinae亜科;Coproglyphus属、例えば、Coproglyphus stammeriorからなどのNycteriglyphinae亜科;Chortoglyphus属、例えば、Chortoglyphus arcuatus等のChortoglyphidae亜科からなどの、より好ましくは、Glycyphaginae亜科から選択され、より好ましくは、Glycyphagus属又はLepidoglyphus属から選択され、最も好ましくは、Glycyphagus domesticus又はLepidoglyphus destructorから選択されるGlycyphagidae
iv)Tyrophagus属、例えば、Tyrophagus putrescentiae、Tyrophagus tropicus;Acarus属、例えば、Acarus siro、Acarus farris、Acarus gracilis;Lardoglyphus属、例えば、Lardoglyphus konoi;Thyreophagus entomophagus等のThyreophagus属;Aleuroglyphus属、例えば、Aleuroglyphus ovatusからなどの、Acaridae、
v)Suidasia nesbiti、Suidasia pontifica又はSuidasia medanensis等のSuidasia属からなどの、Suidasiidae
から選択することができる。
【0016】
Astigmataに関する記述は、Hughes(1977)に提示されている。好ましいAstigmatidダニは、Lepidoglyphus destructor、Carpoglyphidae、例えば、Carpoglyphus属、例えば、Carpoglyphus lactis、Thyreophagus属、例えば、Thyreophagus entomophagus、Acaridae、Suidasia pontifica又はSuidasia medanensisから選択することができる。又は、Blomia spp.から選択することができる。
【0017】
本発明において、Astigmatid個体の少なくとも一部分が不動化されている。本発明の文脈内において、不動化という用語は、Astigmatid個体が、不動化処理に付されたことを意味するものと解釈されるべきである。不動化処理は、Astigmatid個体がその生活段階のいずれかにおいて有する運動性を損なう処理を意味するものと解釈されるべきである。運動性とは、自発的及び独立的に動く能力である。
【0018】
当業者であれば認識できる通り、運動性があるAstigmatidダニの生活段階は、幼虫、若虫及び成虫である。よって、これらの段階のいずれかの運動性を損なう処理は、不動化処理であると考慮されるべきである。加えて、個体が卵段階等の運動性でない生活段階から運動性である生活段階へと発育するのを防止する処理も、不動化処理として考慮されるべきである。好ましい一実施形態において、不動化されたAstigmatidダニ個体の個体群は、卵、幼虫、若虫又は成虫、好ましくはこれらの生活段階の全てを含む。更に好ましい一実施形態において、Astigmatid個体は、永続的に不動化されている。死をもたらす処理は、永続的な不動化処理として考慮することができる。
【0019】
本発明において、Astigmatid個体は、凍結、加熱、低温ショック又は熱ショック処理等の熱処理;ガス処理又は燻蒸処理、例えば、ガス窒息又はアルコール若しくはエーテル燻蒸処理、好ましくはエタノール燻蒸処理等の化学処理;UV、マイクロ波又はX線処理等の放射線照射処理;激しい振盪又は撹拌、ずり応力の印加、衝突等の機械的処理;超音波処理、圧力変化、好ましくは圧力降下等のガス圧処理;感電死等の電気的処理;接着剤による不動化;又は水若しくは食物欠乏による誘導等の飢餓による不動化;空気からの一時的な酸素の排除又は別のガスによる酸素の置換等、窒息による不動化から選択される不動化処理により不動化することができる。当業者であれば、これらの処理が、どのようにしてAstigmatid個体の不動化をもたらすか、また、不動化処理が、Astigmatid個体が依然として捕食性ダニ個体に適した餌(食物源)のままであるようなものであるべきことを理解するだろう。
【0020】
熱処理は、Astigmatid個体を十分に長い時間、不動化が誘導されるように環境範囲外の温度に付すことにより行うことができる。環境範囲外の温度は、例えば、3℃以下、2℃以下、1℃以下、0℃以下、−1℃以下、−2℃以下、−3℃以下、−4℃以下、−5℃以下、−6℃以下、−7℃以下、−8℃以下、−9℃以下、−10℃以下、−18℃以下、−20℃以下から選択することができる。実用限界以外に環境範囲外の温度の下限はなく、環境範囲外の温度は、−78℃、−79℃、−80℃、−194℃、−195℃、−196℃、−197℃もの低さとなり得る。或いは、環境範囲外の温度は、40℃以上、41℃以上、42℃以上、43℃以上、44℃以上、45℃以上、46℃以上、47℃以上、48℃以上、49℃以上、50℃以上から選択することができる。環境範囲外の温度は、55℃、60℃又は65℃、70℃、75℃、80℃もの高さとなり得る。
【0021】
化学処理は、Astigmatid個体を十分に長い時間、不動化が誘導されるように不動化用化学物質に付すことにより行うことができる。不動化用化学物質は、ガス又は燻蒸、例えば、CO
2、N
2、CO、NO、NO
2等の、酸素を排出することにより及び/又は毒性であるために窒息をもたらすガスの形態となり得る。或いは、不動化用化学物質は、動物生理を妨げる可能性があることが知られた異なる化学物質、例えば、エタノール若しくはメタノール又はその組み合わせ等のアルコール、又はジエチルエーテル等のエーテルとなり得る。不動化されたAstigmatid個体は、捕食性ダニのための食物源として供されるため、好ましくは、不動化用化学物質は、毒性痕跡を残さない。
【0022】
放射線照射処理は、Astigmatid個体を十分に長い時間、不動化が誘導されるように不動化放射線照射に付すことにより行うことができる。不動化放射線照射は、UV、X線又はマイクロ波照射から選択することができる。
【0023】
機械的手段による不動化は、十分なエネルギーを散逸させて不動化効果を生じるいずれかの機械的手段により行うことができる。これは、特に、不動化対象のダニと衝突することができる粒子の存在下における、激しい振盪又は撹拌により達成することができる。衝突は、ガス流によるダニの加速及びガスフローを少なくとも部分的に遮断する多数の対象物に対する衝突によって、又はダニを、好ましくは乱流ガスフロー(乱気流等)に運ばれる追加的な粒子と共に乱流ガスフローに置き、ダニをこれらの粒子と衝突させることによって引き起こすこともできる。或いは、超音波処理を用いてもよい。
【0024】
異なる実施形態において、Astigmatidダニは、接着剤により不動化することができる。例えば、Astigmatidダニを表面に固着させることにより、或いはその肢を固着させることにより、その運動性を弱めることができる。
【0025】
飢餓は、不動化を達成するための更に別の手段となり得る。飢餓は、水又は食物欠乏により引き起こすことができる。水及び食物の欠乏は、入手できる水又は食物の量が、ダニの環境における既存の条件下での正常な代謝に必要とされる量に満たない状況を考慮されるべきである。
【0026】
不動化処理は、Astigmatidダニの個体の少なくとも一部分の不動化に十分に有効となる必要がある。少なくとも一部分とは、一部分又は実質的に全体を意味するものと理解されるべきである。不動化されたAstigmatid個体の一部分は、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上又は97%以上であり得る。好ましくは、不動化されたAstigmatid個体の一部分は、50〜90%、より好ましくは、70〜90%である。不動化されたAstigmatid個体の一部分は、卵、幼虫、若虫又は成虫から選択されるAstigmatidダニの1つ以上の生活段階を含む。
【0027】
よって、本発明において、Astigmatid個体によって捕食者に提示されるストレスの抑制の点においてプラスの効果を得るために、Astigmatid個体の個体群が、完全に死んでいる又は不活性(不動化されていない運動性部分が存在し得るため)である必要はない。加えて、運動性Astigmatid個体の小個体群の存在は、後述するその食菌性挙動、抗真菌性滲出液の産生及び/又は新鮮な(生きた)食物源の提供により、更なる利益を提示し得る。また、不動化されたAstigmatid個体は、代謝的に不活性である必要はない。特定の不動化処理は、運動性を弱めつつ、代謝活性を維持することができる。代謝的に活性な不動化されたAstigmatid個体は、捕食者のための新鮮な食物源と考慮することもできる。
【0028】
本発明において、不動化されたAstigmatid個体、及び、存在する場合には任意の非不動化個体は、同一種からのものであり得る。しかし、特定の実施形態において、不動化されたAstigmatid個体、及び、存在する場合には任意の非不動化個体は、代わりに、異なる種からのものであり得る。これにより、組成物に存在するAstigmatid種の選択に可変性が生じる。特定の種からの個体は、不動化された食物源としての使用に好ましくなり得る一方、他の種からの個体は、真菌抑制等の、生きた個体により為される機能のために好ましくなり得る。
【0029】
本発明による組成物において、Astigmatid個体に対する捕食性個体の比率は、約100:1〜1:100、例えば、約1:1〜1:50、例えば、約1:4、1:10、1:20又は1:30等となり得る。よって、本発明による組成物は、より低い比率の、Astigmatid個体に対する捕食性個体を含有し得る。よって、より多くの餌が捕食者に利用できる。このことは捕食性ダニを飼育する場合に有益である。
【0030】
本発明の組成物について上に記載の通り、担体を含む培地において、より高い捕食者密度を維持することができる。よって、好ましい一実施形態において、組成物は、担体及び、担体1ml当たり10以上、50以上、100以上、150以上、200以上、250、300以上、350以上、400以上、最大450匹の捕食性個体、好ましくはPhytoseiid個体を含有する。
【0031】
真菌抑制のため、不動化されたAstigmatid個体は、真菌抑制剤に接触させられる。不動化されたAstigmatid個体と真菌抑制剤との接触において、真菌抑制剤は、その抗真菌性作用を発揮することができるように、不動化されたAstigmatid個体、好ましくは、実質的に全体的に不動化されたAstigmatid個体に接近することができる。従って、真菌抑制剤との接触は、真菌抑制効果が得られるようなものである。当業者であれば理解できようが、この真菌抑制効果は、組成物における捕食者の飼育に十分なものとなる必要がある。真菌抑制剤と不動化されたAstigmatid個体との接触のため、Astigmatid個体のための食物源等の、不動化されたAstigmatid個体に関連するいかなる材料を真菌抑制剤と接触させてもよく、従って、真菌抑制処理に有効に付してもよい。
【0032】
真菌抑制剤は、例えば、真菌生育を遅らせる又は防止することにより、例えば真菌代謝を妨げることにより、又は真菌バイオマスの破壊により真菌生育を抑制させることにより、真菌生育を抑制するいずれかの薬剤である。真菌抑制剤は、天然又は合成の殺真菌薬等、例えば、シトラール、ネラール、2,3−エポキシネラール、ゲラニアール、ファルネサール(farnesal)、α−アカラディアール(acaradial)、β−アカラディアール又はナタマイシン(ピマリシン)から選択される天然殺真菌薬等の、化学的真菌抑制剤を含み得る。
【0033】
或いは、真菌抑制剤は、食真菌性(fungivorous)ダニ個体の個体群等の、生物学的真菌抑制剤を含み得る。食真菌性(又は食菌性)ダニは、真菌バイオマスを常食とするダニであり、よって、真菌生育を抑制及び制御することができる。好ましくは、食真菌性ダニ個体は、Tyrophagus putrescentiae、Thyreophagus entomophagus、Acarus farris、Acarus siro、Aleuroglyphus ovatus等の、Acaridae;Lepidoglyphus destructor、Glycyphagus domesticus等の、Glycyphagidae;Carpoglyphus lactis等の、Carpoglyphidae;Suiidasia pontifica、Suidasia medanensis、Suiidasia nesbiti等の、Suiidasidae;Dermatophagoides farinae、Dermatophagoides pteronyssinus等の、Pyroglyphidaeから選択される種等の、Astigmatid種からのものである。当業者であれば、その食菌性機能を果たすために、食真菌性ダニ個体は、生きている必要があり、好ましくは、運動性がある必要があることを理解されよう。運動性のある食真菌性個体は、Astigmatid個体の非不動化部分の少なくとも一部を形成し得る。
【0034】
生物学的真菌抑制剤は、シトラール、ネラール、ゲラニアール、ファルネサール、α−アカラディアール又はβ−アカラディアール等の、抗真菌性滲出液を産生するダニ種の個体群として選択することもできる。このような抗真菌性滲出液を産生するダニ種は、Astigmata目、好ましくは、Lepidoglyphus destructor、Acarus siro、Lardoglyphus konoi、Caloglyphus polyphyllae;Tyrophagus putresecntiae、Tyrophagus neiswanderi、Tyrophagus pernisciosus;Rhizoglyphus robini;Carpoglyphus lactis等の、Carpoglyphidae属;Suiidasia Pontifica、Suidasia medanensis、Suiidasia nesbiti等の、Suiidasidaeから選択することができる。抗真菌性滲出液を産生するダニ個体に運動性がある必要はない。接着剤を使用することによる不動化又は特定の機械的不動化技法等、特定の不動化処理は、抗真菌性滲出液を産生するダニ個体の代謝活性を維持することができ、これによって、抗真菌性滲出液の産生も可能にする。しかし、これを用いる場合、抗真菌性滲出液を産生するダニ個体は、運動性があることが好ましい。このようにして、抗真菌性滲出液は、組成物中により有効に分布させることができる。運動性のある抗真菌性滲出液を産生するダニ個体は、Astigmatid個体の非不動化部分の少なくとも一部を形成し得る。
【0035】
Astigmataが、所望の食菌性挙動又は抗真菌性滲出液産生活性を有する多くの種を保持するという事実を考慮すると、この目から食真菌性ダニ種及び抗真菌性滲出液を産生するダニ種を選択することが好ましい。加えて、この目からの種は、捕食性ダニ個体のための餌として機能することもできる。運動性(非不動化)Astigmatid個体は、捕食性個体のための追加的な食物源を提供し得る。これは、捕食者に新鮮な食物源を提示するであろう。これは、不動化された餌ダニにおいて十分に保存され得ないビタミン等、不安定な栄養素を捕食者に提供するために重要となり得る。これは、捕食性ダニの健康状態を高め得る。この健康状態は、捕食行動の点における捕食者の多用途性及び/又は敏捷性に寄与する要因となり得る。
【0036】
本発明の一実施形態において、組成物は、Astigmatid個体に適した食物物質を含む。適した食物物質の選択は、当業者の知識の範囲内であり、例えば、WO2006/057552、WO2006/071107、WO2007/075081、WO2008/015393、WO2008/104807及びEP2232986に開示されている。適した食物物質の存在は、組成物が生きたAstigmatid個体を含む場合に有益である。しかし、組成物が、死んだAstigmatid個体のみを含む場合においても、Astigmatidダニの飼育培地からの食物源の移動のため、食物物質が組成物中に存在していてもよい。
【0037】
この構成は、上述のEP2380436の組成物との主要な違いである。Astigmatidダニの食物源の残部はいずれも、真菌にとっての潜在的な基質であり、真菌生育を促進するであろう。従って、EP2380436は、食物源の除去を必要とする。EP2380436は、枯渇による食物源の除去を示唆する。しかし、これは非実際的であり、Astigmatidダニの飼育が、Astigmatidダニの個体群発達ではなく、食物源の状態に基づいて制御されなければならないことを意味するであろう。飼育の実施において、これは望ましくない。加えて、連続的なプロセスが不可能になり、飼育は、不連続的に行う必要がある。その他の手段による食物源の除去は、骨の折れる作業であり、Astigmatidバイオマスを失う傾向があり、非効率性の原因を導入する。真菌抑制のための特定の実施形態において、食物源を真菌抑制剤と接触させてよいという事実を考慮すると、本発明による組成物において、食物源の除去は必要ない。真菌抑制剤との接触は、真菌抑制効果が得られるようなものである。当業者であれば理解できようが、この真菌抑制効果は、組成物において捕食者を飼育するのに十分なものとなるべきである。
【0038】
好ましい一実施形態において、組成物は、ダニ種の個体のための担体を含む。担体は、個体への担体表面の提供に適したいかなる固体材料であってもよい。好ましくは、担体は、ダニ個体群によって、並びに担体、Astigmatid餌ダニのための食物源の代謝活動によって、並びに培地上で生育する微生物によって、産生された代謝ガス及び代謝熱の交換を可能にする多孔性培地を提供する。適した担体の例として、(コムギ)ふすま、おがくず、トウモロコシ穂軸の粗挽き(corn cob grit)、バーミキュライト等々、植物材料が挙げられる。Astigmatid個体に適した食物物質が組成物中に包含される場合、担体それ自体が、適した食物物質を含むことができる。三次元培養物としてダニ培養物を維持する可能性を考慮すると、細かく分割された担体要素を含む担体の使用が一般的である。
【0039】
好ましい一実施形態において、ダニ種の個体のための担体は、担体要素、好ましくは、約1.0〜15.0mm、例えば3.0〜9.0mmの最長軸を有する担体要素を含み、担体要素の積み重なりは、捕食性ダニ個体に適したシェルターを含む。一般用語において、シェルターは、外部影響からの避難所を提供する居所として定義することができる。本発明による担体のシェルターは、これをダニ個体に提供する。本発明の開示に基づき、当業者に共通の一般知識と組み合わせると、当業者であれば、ダニシェルターの構造的要件を理解することができよう。よって、当業者であれば、ダニシェルター、特に、捕食性ダニ又は飼育用餌から選択される商業的に関連するダニに適したシェルターを含む適切な担体を設計及び/又は選択することができよう。
【0040】
本発明の一実施形態において、シェルターは、担体要素の材料がダニ個体を遮蔽する区域において提供され得、この区域に位置する場合、直交性又は逆向きの関係を有する少なくとも3方向において、その周囲から遮蔽する。周囲からの遮蔽とは、妨害性の外部相互作用を少なくとも抑制する、好ましくは制限する、最も好ましくは実質的に排除することとして理解されるべきである。このような妨害性の外部相互作用は、特に、例えば、運動及び関連する他のダニとの身体接触などの、組成物中の他のダニによって産生又はもたらされる。しかし、例えば、ダニが捕食性ダニである場合、同じ種の個体による共食い性の捕食の可能性もある。あらゆる捕食性ダニは、ある程度まで、共食い行動を示すことを理解されるべきである。このような妨害性相互作用は、ダニ個体の産卵速度、生存及び長寿命のうち1つ以上に悪影響を及ぼすため、個体群発達速度に悪影響を及ぼす。同種の捕食性ダニ個体間のこのような妨害性相互作用の強度は、通常、より高い個体群密度において増加するであろう。しかし、ダニの商業的生産者は、可能な限り生産コストを抑制するために、高い個体群密度と、可能な限り高い個体群発達速度の達成を目標とする。本発明の一実施形態において、シェルター化は、妨害性相互作用からダニ個体を遮蔽することにより達成することができる。この遮蔽は、ダニ個体への接近を抑制させることにより達成することができる。
【0041】
理解されるように、直交性又は逆向きの関係を有する方向は、ダニ個体が原点に存在する場合、原点(0,0,0)からの方向における仮想の直交性(又はデカルト(Cartesian))三次元座標系の6軸(正のX、負のX、正のY、負のY、正のZ、負のZ)に沿った方向に相当する。これらの方向は、垂直(直交性)又は逆向きいずれかの方向である。
図1に描写されている通り、三次元空間において、これらの方向の最大数は6である。
【0042】
本発明の一実施形態において、ダニ個体は、シェルター区域に位置する場合、このような方向の少なくとも3方向、好ましくは、このような方向の少なくとも4方向、最も好ましくは、このような方向の少なくとも5方向、例えばこのような方向の5方向において、その周囲から遮蔽される。このような方向の3方向における遮蔽は、
図2に提示又は
図3に提示されている構造等、3平面間に形成される角と同様の構造によって提供することができる。このような方向の少なくとも4方向における遮蔽は、
図4に提示されている2側面が開口した「箱」等の構造によって提供することができる。5方向における遮蔽は、開口した立方体が得られるように、4平面の「箱」の側壁に5番目の水平平面が配置された
図3の状況において提供できよう。
【0043】
組成物における他のダニによってもたらされる外部影響からダニ個体を遮蔽するために、シェルターは、シェルターの体積が1〜140mm
3、例えば、2〜120mm
3、2〜100mm
3、2〜80mm
3、2〜70mm
3、2〜60mm
3、2〜50mm
3、2〜40mm
3、2〜30mm
3、2〜25mm
3、2〜20mm
3、2〜18mm
3、2〜16mm
3、2〜14mm
3、2〜12mm
3、2〜10mm
3、2〜8mm
3、2〜6mm
3又は2〜4mm
3となるような寸法を有することが好ましい。これにより、シェルター中に、妨害効果を生じ得る過剰に多いダニ個体が存在する可能性を抑制する。
【0044】
シェルターにダニ個体が接近可能である必要があることが明らかである。この点において、ダニにとって接近可能でない区域は、シェルターとして認めることができないことが留意されるべきである。本発明の特定の実施形態において、ダニ個体にとって良好な接近可能性を有するために、区域は、少なくとも0.3〜1.2mm、例えば、0.5〜1.0mm又は0.5〜0.8mm接近直径と、少なくとも0.25〜1.44mm
2、0.30〜1.20mm
2、0.30〜1.00mm
2、0.30〜0.80mm
2、0.30〜0.90mm
2の接近区域で接近することができる。
【0045】
ダニシェルターは、窪み、凹部、孔、チャンバ、空洞、隙間、凹み、ポケット、チューブ、ドーム、タブ及び同様の構造により形成された空隙等の空隙により提供することができる。好ましくは、上に記載の体積及び/又は接近の寸法と一致するこのような空隙は、ダニシェルターとして適している。
【0046】
ダニ個体のためのシェルターは、積み重なって存在する個々の担体要素の上又はその中に存在することができる。即ち、積み重ねた個々の担体要素は、ダニシェルターとして適した構造を含む。或いは、ダニシェルターは、積み重ねた担体要素間に形成することができる。即ち、担体要素の積み重なりにおいて、複数の担体要素が一体に、ダニシェルターとして適した構造を形成する。「担体要素の積み重なり」は、多数の担体要素の三次元的な順序付けを意味するものと理解されるべきである。用語「順序付け」は、ランダムな順序付けを包含する。
【0047】
本発明の範囲内において、もみ殻に由来する担体要素を用いることができる。当業者であれば、もみ殻という用語の意味を知り、もみ殻が、草種(特に穀物)の種子の乾燥した鱗片状の保護的な外皮(殻)である、又は花の鱗片状部分若しくは細かく刻んだわら等の、類似の細かい乾燥した鱗片状の植物材料であることを理解できよう。好ましい一実施形態において、もみ殻は、草(イネ科植物(Poaceae)又はイネ科植物(Gramineae))種に由来し、最も好ましくは、コムギ、オリザ(oryza)種、ライムギ、カラスムギ又はアワからのもみ殻等の穀類種からのもみ殻である。殻が特に好ましい。特に、アワ由来の殻は、優れた外部寸法及び内部寸法を有し、これにより、適したシェルターを提供するダニ飼育用基質として非常に適したものとなる。
【0048】
本発明の用語「アワ」に含まれる種は、トウジンビエ又はBajra(Pennisetum glaucum);フォックステイルミレット(Setaria italica);キビ、コモンミレット、ブルームコーンミレット、ホッグミレット又はホワイトミレット(Panicum miliaceum);シコクビエ(Eleusine coracana)(インドではRagi、Nachani又はMandwaとしても公知)、インドビエ又はサワミレット(Echinochloa frumentacea);日本アワ(Echinochloa esculenta);コドミレット(Paspalum scrobiculatum);リトルミレット(Panicum sumatrense);ギニアミレット(Brachiaria deflexa=Urochloa deflexa);ブラウントップミレット(Urochloa ramosa=Brachiaria ramosa=Panicum ramosum)を包含する。テフ(Eragrostis tef)及びフォニオ(Digitaria exilis)もまた、アワと呼ばれることが多く、より稀ではあるが、ソルガム(Sorghum spp.)及びハトムギ(Coix lacrima−jobi)も同様である。本発明のため、これらの種もまた、用語「アワ」に含まれる。
【0049】
ダニシェルターの提供に適した担体要素の寸法及びその構造配置とは別に、生分解の観点から担体要素が不活性であることが好ましい。これは、担体材料が、真菌及び/又は細菌等の、微生物にとって不毛な生育的基質であることを意味する。これは、ダニ飼育条件下における潜在的な問題である真菌生育等の、微生物生育の制御に役立つ。上述のもみ殻及び特に好ましいもみ殻種類は、微生物、特に、真菌にとって不毛な生育的基質である。
【0050】
更に別の態様において、本発明は、捕食性ダニを飼育するための方法であって、
(i)本発明による組成物を用意するステップと、
(ii)捕食性個体に、Astigmatid個体群の個体を捕食させるステップと
を含む方法に関する。
【0051】
捕食性ダニを飼育するための方法であって、捕食者の個体群を、Astigmatidダニの個体群と関連させ、捕食者の個体に、Astigmatid個体群の個体を捕食させる方法は、本技術分野において公知のものである。本発明による方法は、本発明による組成物において、Astigmatid個体の少なくとも一部分が不動化され、不動化されたAstigmatid個体が真菌抑制剤に接触されるという点において、先行技術の方法と区別される。
【0052】
本発明による組成物の技術的側面は、既に上に記述されている。
【0053】
本発明の更に別の一態様は、捕食性ダニを飼育するための、少なくとも1種のAstigmatidダニ種からの個体の個体群を含む組成物であって、Astigmatid個体の少なくとも一部分が不動化され、不動化されたAstigmatid個体が真菌抑制剤に接触される組成物の使用に関する。前述及び後述する実験から明らかであろうが、Astigmatid個体の部分が不動化されたAstigmatidダニ種の個体群の使用は、捕食性ダニを飼育するために特定の利益を有する。
【0054】
本発明の更にまた別の一態様は、捕食性ダニを飼育するための飼育システムであって、本発明による組成物を収容する容器を含むシステムに関する。好ましい一実施形態において、容器は、好ましくは、捕食性ダニの少なくとも1つの運動性である生活段階のための出口、より好ましくは、前記少なくとも1つの運動性である生活段階の持続的な放出をもたらすのに適した出口を含む。
【0055】
別の一態様において、本発明は、作物の有害生物を防除するための、本発明の組成物又は本発明による飼育システムの使用に関する。
【0056】
有害生物は、Trialeurodes vaporariorum若しくはBemisia tabaci等のコナジラミ類;Thrips tabaci等のアザミウマ又はFrankliniella occidentalis等のFrankliniella spp.、Tetranychus urticae等のハダニ又はPolyphagotarsonemus等の他の植物食性ダニから選択することができる。
【0057】
作物は、トマト(Lycopersicon esculentum)、トウガラシ(pepper)(Capsicum annuum)、ナス(Solanum melogena)、キュウリ(cucumis sativa)、メロン(cucumis melo)、スイカ(Citrullus lanatus)等のウリ科植物(Curcubits)(Cucurbitaceae)等の(温室)野菜作物;マメ(Phaseolus vulgaris);ソフトフルーツ(イチゴ(Fragaria×annanassa)、ラズベリー(Rubus ideaus)等);(温室)観賞用作物(バラ、ガーベラ、キク等)又はCitrus spp.等の樹木作物から選択することができるが、これらに制限されない。
【0058】
本発明の更に別の一態様は、作物における生物学的有害生物防除のための方法に関する。本方法は、本発明の組成物を前記作物に与えるステップを含む。有害生物及び作物は、上述通りに選択することができる。
【0059】
本発明による方法において、組成物は、近傍において、例えば、多数の作物植物の上に又はその基礎に、前記組成物の量を適用することにより与えることができる。組成物は、増強的生物学的有害生物防除のための捕食性ダニ組成物利用の慣例通りに、作物植物上に又は作物植物の基礎に拡散させることにより、単純に作物植物に与えることができる。拡散によって個々の作物植物それぞれに与えることのできる組成物の量は、1〜20mlから20ml、例えば、1〜10ml、好ましくは、2〜5mlに及び得る。或いは、組成物は、作物における捕食性ダニの放出に適した本発明による飼育システムにおいて、多数の作物植物に与えることができる。飼育システムは、多数の作物の間又はその基礎等の、近傍に配置することができる。本発明による生物学的有害生物防除のための方法において、全作物植物に組成物を与える必要はない。商品作物は、通常、密集して栽培されるためである。捕食性ダニは、作物植物から作物植物へと拡散することができる。十分な作物保護を達成するために本発明による組成物を与えなければならない作物植物の数は、具体的な状況に依存し得、当業者が、この分野における自身の経験に基づき容易に決定することができる。通常、1ヘクタール当たりの放出される捕食性ダニの数を決定することが多い。この数は、1ヘクタール当たり1000〜3百万、典型的には250.000〜1百万又は250.000〜500.000に及び得る。
【0060】
次に、添付の図面及び実施例を参照しつつ、本発明をより詳細に説明する。これらの図面及び実施例は、単なる説明目的のものであり、特許請求の範囲に定義されている本発明の範囲を制限するものでは決してないことを強調したい。