(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、
図1を用いて、本発明の第一実施形態に係る電力供給システム1の構成について説明する。
【0016】
電力供給システム1は、種々の施設(本実施形態においては、住宅とする)に設けられ、電力を適宜の機器へと供給するためのものである。電力供給システム1は、主として蓄電装置11、太陽光発電部12、パワーコンディショナー13、変圧器14、出力切替盤15、分電盤17、電力負荷20、給湯装置22及びHEMS25等を具備する。
【0017】
蓄電装置11は、電力の充放電が可能なものである。蓄電装置11は、商用電源100(電力会社の電力系統)に連系して運用可能な系統連系型の蓄電装置である。蓄電装置11は、リチウムイオン電池等の蓄電池等により構成される。
【0018】
蓄電装置11は、制御部11aを具備する。制御部11aは、蓄電装置11の動作を制御するものである。制御部11aは、主としてCPU等の演算処理装置、RAMやROM等の記憶装置、並びにI/O等の入出力装置等により構成される。制御部11aは、蓄電装置11に内蔵されている。
【0019】
制御部11aは、停電の発生を検出することができる。具体的には、制御部11aは、商用電源100からの電力の供給の有無を検出するセンサ(不図示)に接続される。制御部11aは、前記センサにより商用電源100からの電力の供給が無いことが検出された場合には、停電フラグをオン状態とする。一方、制御部11aは、前記センサにより商用電源100からの電力の供給が有ることが検出された場合には、停電フラグをオフ状態とする。
【0020】
太陽光発電部12は、自然エネルギーである太陽光を利用して発電するものである。太陽光発電部12は、太陽電池パネル等により構成される。太陽光発電部12は、例えば、住宅の屋根の上等の日当たりの良い場所に配置される。
【0021】
パワーコンディショナー13は、電力を適宜変換するものである。パワーコンディショナー13は、配電線を介して蓄電装置11と接続される。またパワーコンディショナー13は、配電線を介して太陽光発電部12と接続される。またパワーコンディショナー13は、配電線を介して商用電源100及び後述する出力切替盤15と接続される。パワーコンディショナー13は、商用電源100から供給される交流電力を直流電力に変換し、蓄電装置11へと供給することができる。またパワーコンディショナー13は、蓄電装置11及び太陽光発電部12から供給される直流電力を交流電力に変換し、外部(後述する出力切替盤15等)へと供給することができる。
【0022】
パワーコンディショナー13は、後述する停電時(商用電源100からの電力が供給されていない場合)に電力を出力可能な非常用出力部を有する。パワーコンディショナー13の非常用出力部からは、所定の電圧(例えば、100(V))の電力を取り出すことができる。なお、パワーコンディショナー13には、非常用出力部からの電力の取り出しの可否を切り替える切替スイッチが設けられる。前記切替スイッチが切られると、前記非常用出力部からの電力の取り出し(自立出力)が不能となる。一方、前記切替スイッチが入れられると、前記非常用出力部からの電力の取り出しが可能となる。
【0023】
パワーコンディショナー13は、制御部13aを具備する。制御部13aは、パワーコンディショナー13の動作を制御するものである。制御部13aは、主としてCPU等の演算処理装置、RAMやROM等の記憶装置、並びにI/O等の入出力装置等により構成される。制御部13aは、パワーコンディショナー13に内蔵されている。
【0024】
制御部13aは、種々の情報を取得(検出)することができる。具体的には、制御部13aは、蓄電装置11に充電される電力(充電量)、蓄電装置11から放電される電力(放電量)、太陽光発電部12において発電される電力(発電量)、及びパワーコンディショナー13から変圧器14及び出力切替盤15へと出力される電力(出力量)等を把握することができる。また制御部13a(パワーコンディショナー13)は蓄電装置11の制御部11aと接続され、当該制御部11aから停電フラグに関する情報を取得することができる。
【0025】
制御部13aは、所定の場合に前記切替スイッチを切り替える。なお、当該切替スイッチは、住宅の居住者が手動で切り替えることも可能である。
【0026】
制御部13aは、後述する出力切替盤15(より詳細には、通常用リレー15a及び停電用リレー15b)に接続され、当該出力切替盤15の動作を制御することができる。
【0027】
変圧器14は、電圧を適宜変更するものである。変圧器14は、配電線を介してパワーコンディショナー13の非常用出力部と接続される。変圧器14は、パワーコンディショナー13から供給される電力の電圧を、適宜の値(例えば、200(V))に変更して出力する。
【0028】
出力切替盤15は、電力の流通経路を適宜切り替えるものである。出力切替盤15は、配電線を介してパワーコンディショナー13及び商用電源100と接続される。また出力切替盤15は、配電線を介して変圧器14と接続される。また出力切替盤15は、配電線を介して後述する分電盤17と接続される。出力切替盤15は、主として通常用リレー15a及び停電用リレー15bを具備する。
【0029】
通常用リレー15aは、パワーコンディショナー13及び商用電源100から後述する分電盤17への電力の流通の可否を切り替えるものである。通常用リレー15aが閉じられる(連系される)と、パワーコンディショナー13及び商用電源100から分電盤17への電力の流通が可能となる。一方、通常用リレー15aが開かれる(解列される)と、パワーコンディショナー13及び商用電源100から分電盤17への電力の流通が不能となる。
【0030】
停電用リレー15bは、変圧器14から後述する分電盤17への電力の流通の可否を切り替えるものである。停電用リレー15bが閉じられる(連系される)と、変圧器14から分電盤17への電力の流通が可能となる。一方、停電用リレー15bが開かれる(解列される)と、変圧器14から分電盤17への電力の流通が不能となる。
【0031】
分電盤17は、電力を適宜分配するものである。分電盤17は、図示せぬ漏電遮断器、配線遮断器、及び制御ユニット等を具備する。分電盤17は、配電線を介して出力切替盤15と接続される。
【0032】
電力負荷20は、当該電力供給システム1が設けられる住宅において電力が消費される電化製品等(例えば、住宅内の照明やコンセント、テレビ、冷蔵庫等)である。電力負荷20は、配電線を介して分電盤17と接続される。
【0033】
給湯装置22は、電力を消費して熱を発生させ(すなわち、熱を製造し)、湯を沸かすものである。給湯装置22は、配電線を介して分電盤17と接続される。給湯装置22は、ヒートポンプを用いて空気の熱を取り出し、湯を沸かすことができる。給湯装置22では、冷媒として自然冷媒(例えば、二酸化炭素)が用いられる。給湯装置22は貯湯タンクを有する。給湯装置22で沸かされた湯は、前記貯湯タンクに蓄えられる。給湯装置22は、前記貯湯タンクに湯を蓄えることによって、熱(熱エネルギー)を蓄えることができる。給湯装置22は、前記貯湯タンクに蓄えられた湯(熱)を外部の湯を使用する機器等(熱負荷)へと供給することができる。
【0034】
また給湯装置22は、動作周波数を制御することで、消費電力を調節することができる。但し、消費電力が下がると製造される熱量も低下する。このため、同じ量の湯を沸かす(同じ熱量を得ようとする)場合、消費電力が低いほど給湯装置22を長時間運転させる必要がある。本実施形態においては、給湯装置22の消費電力は、定格時における消費電力(定格消費電力)と、給湯装置22が熱を製造することが可能な最低限の消費電力(最小消費電力)と、のいずれかに調節可能であるものとする。前記最小消費電力は、前記定格消費電力よりも小さい値である。
【0035】
給湯装置22は、制御部22aを具備する。制御部22aは、当該給湯装置22の動作(具体的には、消費電力)を制御するものである。制御部22aは、主としてCPU等の演算処理装置、RAMやROM等の記憶装置、並びにI/O等の入出力装置等により構成される。制御部22aは、給湯装置22に内蔵されている。制御部22aは、給湯装置22の消費電力を、前記定格消費電力及び前記最小消費電力のいずれかに調節する。
【0036】
HEMS(Home Energy Management System)25は、前記住宅内のエネルギーの管理を行うものである。HEMS25は、主としてCPU等の演算処理装置、RAMやROM等の記憶装置、並びにI/O等の入出力装置等により構成される。
【0037】
HEMS25は、日常的な住宅の熱需要を常時学習することで、将来的な熱需要を予測することができる。ここで、熱需要とは、住宅で使用される熱量を意味する。例えば、熱需要には、住宅の浴室や台所で使用される熱量(湯量)等が含まれる。HEMS25は、予測された熱需要に基づいて、給湯装置22を運転させるべき時間帯(以下、単に「運転スケジュール」と称する)を決定することができる。
【0038】
HEMS25はパワーコンディショナー13に接続され、種々の情報を受信することができる。具体的には、HEMS25は、蓄電装置11の充電量及び放電量、太陽光発電部12の発電量、パワーコンディショナー13の出力量、並びに停電フラグに関する情報を受信することができる。
【0039】
またHEMS25は給湯装置22(制御部22a)に接続され、当該給湯装置22に種々の情報を送信することができる。具体的には、HEMS25は、給湯装置22の運転スケジュールや各種の指示を、給湯装置22に送信することができる。
【0040】
以下では、
図2及び
図3を用いて、上述の如く構成された電力供給システム1の動作について説明する。なお、以下では、商用電源100からの電力が住宅(電力供給システム1)に問題なく供給されている状態(以下、単に「通常時」と称する)と、商用電源100からの電力が何らかの理由で住宅に供給されていない(停電が発生している)状態(以下、単に「停電時」と称する)に分けて説明を行う。
【0041】
まず、
図2(a)を用いて、通常時における電力供給システム1の動作について説明する。
【0042】
通常時においては、蓄電装置11の制御部11aは、停電フラグをオフ状態とする。停電フラグに関する情報を受信したパワーコンディショナー13の制御部13aは、通常用リレー15aを連系させると共に、停電用リレー15bを解列させる。また制御部13aは、当該パワーコンディショナー13の切替スイッチを切る。これによって、パワーコンディショナー13の非常用出力部から変圧器14を介して分電盤17へと電力が供給されることはない。このような電力供給システム1の状態(すなわち、パワーコンディショナー13の非常用出力部から電力が出力不能な状態)を、以下では「連系運転状態」と称する。
【0043】
通常時において、HEMS25はパワーコンディショナー13から停電フラグがオフ状態である旨の情報を受信する。当該情報を受信したHEMS25は、停電フラグがオフ状態である旨の情報を給湯装置22に送信する。当該情報を受信した給湯装置22の制御部22aは、当該給湯装置22における消費電力が前記定格消費電力になるように調節する。
【0044】
このような通常時において、商用電源100からの電力は出力切替盤15を介して分電盤17へと供給される。当該電力は、分電盤17によって電力負荷20及び給湯装置22へと適宜分配され、当該電力負荷20等で使用することができる。また、商用電源100からの電力は、適宜蓄電装置11に充電される。
【0045】
また、蓄電装置11を放電させ、当該蓄電装置11からの電力を、出力切替盤15を介して分電盤17へと供給することもできる。例えば、深夜電力等、比較的単価の安い電力を蓄電装置11に充電させ、当該電力を日中に放電させることで、電気料金の節約を図ることもできる。
【0046】
また、太陽光発電部12において発電された電力を、蓄電装置11に充電したり分電盤17へと供給したりすることもできる。これによって、商用電源100からの電力の供給を削減することができ、電力料金の削減を図ることができる。
【0047】
また通常時において、HEMS25から給湯装置22の運転スケジュールが当該給湯装置22に送信されると、給湯装置22の制御部22aは、当該運転スケジュールに従って給湯装置22を運転させる。通常時においては、制御部22aによって給湯装置22における消費電力が前記定格消費電力になるように調節されている。このため給湯装置22は定格で運転する。
【0048】
次に、
図2(b)及び
図3を用いて、停電時における電力供給システム1の動作について詳細に説明する。
なお、停電時における電力供給システム1の各部の制御は、主に蓄電装置11の制御部11a、パワーコンディショナー13の制御部13a、給湯装置22の制御部22a及びHEMS25によって行われるため、便宜上、以下ではこれらをまとめて「HEMS25等」と称する。
【0049】
図3のステップS101において、蓄電装置11の制御部11aは、停電フラグをオン状態とする。停電フラグに関する情報を受信したパワーコンディショナー13の制御部13aは、停電用リレー15bを連系させると共に、通常用リレー15aを解列させる。また制御部13aは、当該パワーコンディショナー13の切替スイッチを入れる。これによって、パワーコンディショナー13の自立出力が可能となり、当該パワーコンディショナー13から変圧器14を介して分電盤17へと電力が流通可能となる(
図2(b)参照)。このような電力供給システム1の状態(すなわち、パワーコンディショナー13の非常用出力部から電力が出力可能な状態)を、以下では「自立運転状態」と称する。
HEMS25等は、当該ステップS101の処理を行った後、ステップS102に移行する。
【0050】
ステップS102において、パワーコンディショナー13は、太陽光発電部12の発電量及び蓄電装置11の放電量に関する情報を、HEMS25に送信する。
HEMS25等は、当該ステップS102の処理を行った後、ステップS103に移行する。
【0051】
ステップS103において、HEMS25は、太陽光発電部12の発電量が0より大きく、かつ蓄電装置11の放電量が0であるか否かを判定する。すなわちHEMS25は、太陽光発電部12において発電がなされており、かつ蓄電装置11が放電していない状態か否かを判定する。
HEMS25等は、太陽光発電部12において発電がなされており、かつ蓄電装置11が放電していない状態であると判定した場合(ステップS103でYes)、ステップS104に移行する。
HEMS25等は、太陽光発電部12において発電がなされていないか、蓄電装置11が放電している状態であると判定した場合(ステップS103でNo)、ステップS105に移行する。
【0052】
ステップS104において、HEMS25は、給湯装置22の制御部22aに、当該給湯装置22が運転する際の消費電力を前記最小消費電力に設定すると共に、運転を開始するように指示する。当該指示を受けた制御部22aは、給湯装置22の運転スケジュールにかかわらず、給湯装置22を前記最小消費電力で運転させる。このように、HEMS25等が給湯装置22を前記最小消費電力で運転させる制御(ステップS104の処理)を、以下では「停電時運転制御」と称する。
HEMS25等は、当該ステップS104の処理を行った後、ステップS107に移行する。
【0053】
一方、ステップS103から移行したステップS105において、HEMS25は、給湯装置22の制御部22aに、当該給湯装置22が運転する際の消費電力を前記最小消費電力に設定するように指示する。当該指示を受けた制御部22aは、給湯装置22が運転する際の消費電力が前記最小消費電力になるように設定する。
HEMS25等は、当該ステップS105の処理を行った後、ステップS106に移行する。
【0054】
ステップS106において、HEMS25は、給湯装置22の制御部22aに、当該給湯装置22が運転している場合には当該運転を停止するように指示する。当該指示を受けた制御部22aは、給湯装置22が運転している場合には当該運転を停止させる。このように、HEMS25等が給湯装置22の運転を停止させる制御(ステップS106の処理)を、以下では「停電時運転停止制御」と称する。
HEMS25等は、当該ステップS106の処理を行った後、ステップS107に移行する。
【0055】
ステップS107において、蓄電装置11の制御部11aは、商用電源100から電力が供給されているか否かを判定する。すなわち、制御部11aは、停電から復帰しているか否かを判定する。
HEMS25等は、停電から復帰していると判定した場合(ステップS107でYes)、ステップS108に移行する。
HEMS25等は、停電から復帰していないと判定した場合(ステップS107でNo)、ステップS102に移行する。
【0056】
ステップS108において、HEMS25等は、電力供給システム1の状態を前記連系運転状態に切り替える。
HEMS25等は、当該ステップS108の処理を行った後、ステップS109に移行する。
【0057】
ステップS109において、蓄電装置11の制御部11aは、停電フラグをオフ状態に切り替える。当該停電フラグに関する情報は、パワーコンディショナー13を介してHEMS25に送信される。
HEMS25等は、当該ステップS109の処理を行った後、ステップS110に移行する。
【0058】
ステップS110において、HEMS25は、給湯装置22の制御部22aに、当該給湯装置22が運転する際の消費電力を前記定格消費電力に設定すると共に、給湯装置22の運転スケジュールに従って運転を行うように指示する。当該指示を受けた制御部22aは、運転スケジュールに従って、給湯装置22を前記定格消費電力で運転させる。
【0059】
このように、停電時において、HEMS25等は、電力供給システム1の状態を自立運転状態に切り替える(ステップS101)。そしてHEMS25等は、太陽光発電部12において発電がなされており、かつ蓄電装置11が放電していない状態である場合には(ステップS103でYes)、前記停電時運転制御によって給湯装置22を前記最小消費電力で運転させる(ステップS104)。
【0060】
ここで、太陽光発電部12において発電がなされており、かつ蓄電装置11が放電していない状態(ステップS103でYes)とは、太陽光発電部12の発電量だけで電力負荷20の消費電力を賄うことができている状態を意味する。この場合、太陽光発電部12で発電された電力のうち、電力負荷20で使用されなかった電力が余っている(余剰している)可能性がある。よってこの場合には、給湯装置22を運転させることで(ステップS104)、当該余剰電力を利用して湯を沸かすことができる。またこの場合には、給湯装置22を前記最小消費電力で運転させることで、電力負荷20及び給湯装置22における消費電力が過大になるのを抑制することができ、ひいては蓄電装置11のトリップの発生を抑制することができる。
【0061】
また、このように太陽光発電部12において発電がなされている場合(すなわち、昼間)には、夜間に比べて給湯装置22の周囲の温度は比較的高いものと推定される。当該給湯装置22は、周囲の温度が高いほど運転効率(熱を発生させる効率)が高くなる。すなわち、本実施形態の如く、太陽光発電部12において発電がなされている場合に給湯装置22を運転させることで、熱を効率的に発生させることができる。
【0062】
またHEMS25等は、太陽光発電部12において発電がなされていないか、蓄電装置11が放電している状態である場合には(ステップS103でNo)、前記停電時運転停止制御によって給湯装置22の運転を停止させる(ステップS106)。
【0063】
ここで、太陽光発電部12において発電がなされていないか、蓄電装置11が放電している状態(ステップS103でNo)とは、蓄電装置11からの電力が電力負荷20及び給湯装置22に供給され得る状態を意味する。この場合には、給湯装置22の運転を停止させることで、蓄電装置11のトリップの発生を抑制することができる。
【0064】
なお、
図3に示すように、HEMS25等はステップS102からステップS107までの処理を繰り返し行うため、給湯装置22の運転(ステップS104)と当該運転の停止(ステップS106)を交互に繰り返す可能性がある。よって、本実施形態において、HEMS25等は、当該ステップS102からステップS107までの処理を、ある程度の時間間隔をおいて繰り返す。
【0065】
具体的には、HEMS25等は、ステップS107に移行してから所定の時間(例えば、30分)が経過した時点で、当該ステップS107の処理を行う。これによって、ステップS102からステップS107までの処理が約30分間隔で繰り返されることになる。このように構成することで、短時間に給湯装置22の運転(ステップS104)と当該運転の停止(ステップS106)が繰り返され、給湯装置22における消費電力(運転開始するための電力)が増加するのを防止することができる。
【0066】
以上の如く、第一実施形態に係る電力供給システム1は、
自然エネルギーを利用して発電可能な太陽光発電部12(発電部)と、
電力を充放電可能な蓄電装置11と、
電力を消費して運転する電力負荷20と、
電力を消費して運転することで熱を発生させる給湯装置22(熱発生装置)と、
商用電源100、太陽光発電部12及び蓄電装置11からの電力を電力負荷20及び給湯装置22へと分配する分電盤17と、
商用電源100の停電を検出する蓄電装置11(停電検出手段)と、
太陽光発電部12において発電が行われているか否かを検出するパワーコンディショナー13(発電検出手段)と、
蓄電装置11において放電が行われているか否かを検出するパワーコンディショナー13(放電検出手段)と、
蓄電装置11によって商用電源100の停電が検出された場合において、パワーコンディショナー13により太陽光発電部12において発電が行われていることが検出され、かつパワーコンディショナー13により蓄電装置11において放電が行われていないことが検出された場合、給湯装置22を運転させる停電時運転制御を行う制御装置(給湯装置22の制御部22a及びHEMS25)と、
を具備するものである。
【0067】
このように構成することにより、商用電源100の停電が発生した場合であっても、適切なタイミングで給湯装置22を運転させることができる。すなわち、太陽光発電部12からの電力で電力負荷20の消費電力を賄うことができている時に、給湯装置22を運転させることができる。これによって、停電時においても給湯装置22で熱を発生させることができ、居住者の利便性を向上させることができる。
【0068】
また、前記制御装置(給湯装置22の制御部22a及びHEMS25)は、
前記停電時運転制御において、蓄電装置11によって商用電源100の停電が検出されていない場合に比べて給湯装置22における消費電力が小さくなるように当該給湯装置22を制御するものである。
【0069】
このように構成することにより、蓄電装置11のトリップの発生を抑制することができる。
【0070】
また、前記制御装置(給湯装置22の制御部22a及びHEMS25)は、
蓄電装置11によって商用電源100の停電が検出された場合において、パワーコンディショナー13により太陽光発電部12において発電が行われていないことが検出され、又はパワーコンディショナー13により蓄電装置11において放電が行われていることが検出された場合、給湯装置22を運転させない停電時運転停止制御を行うものである。
【0071】
このように構成することにより、蓄電装置11のトリップの発生を抑制することができる。すなわち、太陽光発電部12からの電力で電力負荷20の消費電力を賄うことができていない時には、給湯装置22の運転を停止させることで、住宅における消費電力を抑制し、ひいては蓄電装置11のトリップの発生を抑制することができる。
【0072】
なお、本実施形態に係る太陽光発電部12は、発電部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る給湯装置22は、熱発生装置の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る蓄電装置11は、停電検出手段の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るパワーコンディショナー13は、発電検出手段及び放電検出手段の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る給湯装置22の制御部22a及びHEMS25は、制御装置の実施の一形態である。
【0073】
以上、本発明の第一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0074】
例えば、第一実施形態においては、パワーコンディショナー13の切替スイッチは、当該パワーコンディショナー13の制御部13aによって切り替えられるものとしたが、住宅の居住者が手動で切り替えてもよい。
【0075】
また、第一実施形態においては、HEMS25がステップS103の処理(太陽光発電部12における発電の有無等の判定)を行うものとしたが、パワーコンディショナー13の制御部13a又は給湯装置22の制御部22aが当該処理を行ってもよい。この場合、HEMS25を介さず、パワーコンディショナー13から給湯装置22へ必要な情報を直接送信する構成とすることができる。
【0076】
また、第一実施形態に係る給湯装置22の消費電力は、定格消費電力又は最小消費電力に調節可能であるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、給湯装置22の消費電力は、定格時の消費電力等に限らず、任意に定められた値に調節可能な構成とすることも可能である。
【0077】
また、第一実施形態に係る電力供給システム1は、蓄電装置11によって商用電源100の停電を検出するものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、その他のセンサ等を用いて検出することも可能である。
【0078】
また、第一実施形態に係る電力供給システム1は、パワーコンディショナー13によって太陽光発電部12の発電及び蓄電装置11の放電を検出するものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、その他のセンサ等を用いて検出することも可能である。
【0079】
また、第一実施形態に係る電力供給システム1は、給湯装置22の制御部22a及びHEMS25が停電時運転制御及び停電時運転停止制御を行うものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、当該停電時運転制御等を行うことができるものであれば、その他の制御装置(例えば、パーソナルコンピュータ等)を用いることも可能である。
【0080】
また、第一実施形態においては、自然エネルギーとして太陽光を利用する構成(太陽光発電部12)を例示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、自然エネルギーとして水力、風力、潮力等を利用して発電する構成であってもよい。
【0081】
また、第一実施形態に係る電力供給システム1は住宅に設けられるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、その他種々の施設に設けることが可能である。
【0082】
以下では、
図4を用いて、本発明の第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態が第一実施形態と主に異なる点は、停電時における電力供給システム1の動作である。よって以下では、第二実施形態に係る停電時における電力供給システム1の動作について説明する。
【0083】
なお、以下では、主に第一実施形態と異なる処理について説明し、第一実施形態(
図3参照)と同様の処理については当該第一実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
【0084】
ステップS101から移行したステップS202において、パワーコンディショナー13は、太陽光発電部12の発電量、蓄電装置11の充電量及び放電量、並びにパワーコンディショナー13の出力量に関する情報を、HEMS25に送信する。
HEMS25等は、当該ステップS102の処理を行った後、ステップS103に移行する。
【0085】
ステップS103から移行したステップS204において、HEMS25は、給湯装置22の制御部22aに、当該給湯装置22が運転する際の消費電力を最適消費電力に設定すると共に、運転を開始するように指示する。
【0086】
ここで、「最適消費電力」とは、蓄電装置11のトリップが発生しない範囲(又は、発生し難い範囲)で、できるだけ大きな値となるように決定される給湯装置22の消費電力の値である。前記最適消費電力は、前記定格消費電力から前記最小消費電力までの間の値となるように決定される。HEMS25は、ステップS202において受信した情報に基づいて、当該最適消費電力を決定する。
【0087】
前記最適消費電力を決定するための計算式は適宜設定することができる。例えば、ステップS202において受信した情報から、余剰電力(太陽光発電部12で発電され、電力負荷20で使用(消費)されなかった電力)を算出し、当該余剰電力の値を前記最適消費電力とすることも可能である。
【0088】
ステップS204の指示を受けた制御部22aは、給湯装置22の運転スケジュールにかかわらず、給湯装置22を前記最適消費電力で運転させる。
HEMS25等は、当該ステップS204の処理を行った後、ステップS107に移行する。
【0089】
一方、ステップS103から移行したステップS205において、HEMS25は、給湯装置22の制御部22aに、当該給湯装置22が運転する際の消費電力を前記最小消費電力に設定するように指示する。当該指示を受けた制御部22aは、給湯装置22が運転する際の消費電力が前記最小消費電力になるように設定する。
HEMS25等は、当該ステップS205の処理を行った後、ステップS107に移行する。
【0090】
このように、第二実施形態においては、HEMS25等は、太陽光発電部12において発電がなされており、かつ蓄電装置11が放電していない状態である場合には(ステップS103でYes)、前記停電時運転制御によって給湯装置22を前記最適消費電力で運転させる(ステップS204)。
【0091】
このように、給湯装置22を最適消費電力で運転させることで、当該給湯装置22は、蓄電装置11のトリップの発生を抑制しながらも、できるだけ大きい消費電力で運転することができる。これによって、電力を無駄なく利用し、効率的に湯を沸かすことができる。
【0092】
またHEMS25等は、太陽光発電部12において発電がなされていないか、蓄電装置11が放電している状態である場合には(ステップS103でNo)、給湯装置22を運転する際の消費電力を前記最小消費電力に設定する(ステップS205)。
【0093】
ここで、太陽光発電部12において発電がなされていないか、蓄電装置11が放電している状態(ステップS103でNo)とは、蓄電装置11からの電力が電力負荷20及び給湯装置22に供給され得る状態を意味する。この場合には、給湯装置22における消費電力を前記最小消費電力になるように調節することで、蓄電装置11のトリップの発生を抑制することができる。
【0094】
なお、
図4に示すように、HEMS25等はステップS102からステップS107までの処理を繰り返し行うが、一度運転を開始した給湯装置22(ステップS204)を停止させることはない。よって、本実施形態において、HEMS25等は、当該ステップS102からステップS107までの処理を、微小な時間間隔(例えば、約1分間隔)で繰り返す。これによって、前記最適消費電力の値(ステップS204及びステップS205)を頻繁に更新することができ、適切な制御を行うことができる。
【0095】
以上の如く、第二実施形態に係る電力供給システム1は、
太陽光発電部12において発電された電力のうち、電力負荷20で消費されない余剰電力(余剰分)を検出する余剰電力検出手段(パワーコンディショナー13及びHEMS25)をさらに具備し、
前記制御装置(給湯装置22の制御部22a及びHEMS25)は、
前記停電時運転制御において、前記余剰電力検出手段による検出結果に応じて給湯装置22における消費電力を調節するものである。
【0096】
このように構成することにより、蓄電装置11のトリップの発生を抑制しながらも、効率的に給湯装置22を運転することができる。すなわち、給湯装置22の消費電力ができるだけ大きくなるように調節することができる。
【0097】
なお、本実施形態に係るパワーコンディショナー13及びHEMS25は、余剰電力検出手段の実施の一形態である。
【0098】
以上、本発明の第二実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0099】
例えば、第二実施形態においては、パワーコンディショナー13及びHEMS25によって余剰電力を検出(算出)するものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、その他のセンタ等を用いることも可能である。
【0100】
また、前記最適消費電力の決定方法は第二実施形態に係るものに限らず、任意の方法によって決定することが可能である。また、電力負荷20における消費電力を検出するためのセンサ等を別途設ける構成とすることも可能である。
【0101】
また、前記最適消費電力は、予め段階的に設定された複数の値の中から一の値を選択することによって決定することも可能である。
【0102】
以下では、
図5を用いて、本発明の第三実施形態に係る電力供給システム301について説明する。なお、第三実施形態に係る電力供給システム301が第一実施形態に係る電力供給システム1と主に異なる点は、分電盤17に代えて重要負荷用分電盤17a及び一般負荷用分電盤17bを具備すると共に、電力負荷20に代えて重要負荷20c及び一般負荷20dを具備する点である。よって以下では、主に第一実施形態と異なる点について説明し、その他の構成については説明を省略する。
【0103】
重要負荷用分電盤17aは、電力を後述する重要負荷20c及び給湯装置22に適宜分配するものである。重要負荷用分電盤17aは、配電線を介して出力切替盤15と接続される。
【0104】
重要負荷20cは、当該電力供給システム301が設けられる住宅において電力が消費される電化製品等(電力負荷)である。より詳細には、重要負荷20cは、電力負荷の中で、停電時において電力を供給する必要性が比較的高いものである。例えば、重要負荷20cには、住宅のリビングに設けられるコンセント、当該リビングの照明、冷蔵庫等、生活において最低限不可欠なものが含まれる。重要負荷20cは、配電線を介して重要負荷用分電盤17aと接続される。
【0105】
一般負荷用分電盤17bは、電力を後述する一般負荷20dに適宜分配するものである。一般負荷用分電盤17bは、配電線を介して商用電源100、蓄電装置11及び出力切替盤15と接続される。すなわち一般負荷用分電盤17bは、商用電源100と出力切替盤15とを接続する配電線に接続される。
【0106】
一般負荷20dは、当該電力供給システム301が設けられる住宅において電力が消費される電化製品等(電力負荷)である。より詳細には、一般負荷20dは、電力負荷の中で、停電時において電力を供給する必要性が比較的低いものである。例えば、住宅のリビング以外に設けられるコンセントや、当該リビング以外の照明等が含まれる。一般負荷20dは、配電線を介して一般負荷用分電盤17bと接続される。
【0107】
このように構成された電力供給システム301において、
図5に示すように、停電時には、蓄電装置11からの電力は重要負荷用分電盤17aを介して重要負荷20c及び給湯装置22にのみ供給可能となる。すなわち、停電時に蓄電装置11からの電力が一般負荷用分電盤17bを介して一般負荷20dに供給されることはない。
【0108】
このように、停電時には蓄電装置11から一般負荷20dへの電力の供給を遮断することで、住宅内における消費電力を低減することができ、ひいては蓄電装置11のトリップの発生を効果的に抑制することができる。なお、この場合であっても重要負荷20cへと電力は供給されるため、住宅の居住者の利便性を確保することができる。
【0109】
以上、本発明の複数の実施形態をそれぞれ説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、例えば上記各実施形態の構成や処理を適宜組み合わせることも可能である。