(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397339
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】LED照明用放熱装置
(51)【国際特許分類】
F21V 29/503 20150101AFI20180913BHJP
F21V 29/76 20150101ALI20180913BHJP
F21V 29/89 20150101ALI20180913BHJP
F21V 17/10 20060101ALI20180913BHJP
F21V 17/16 20060101ALI20180913BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20180913BHJP
【FI】
F21V29/503
F21V29/76
F21V29/89
F21V17/10 350
F21V17/16 300
F21Y115:10
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-8488(P2015-8488)
(22)【出願日】2015年1月20日
(65)【公開番号】特開2016-134301(P2016-134301A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2017年10月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 広仲
(72)【発明者】
【氏名】大滝 篤史
(72)【発明者】
【氏名】安田 剛規
【審査官】
田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0155673(US,A1)
【文献】
特開平8−290225(JP,A)
【文献】
特表2011−510455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 29/503
F21V 17/10
F21V 17/16
F21V 29/76
F21V 29/89
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアルミニウム押出形材製ヒートシンクからなり、かつ一定の長さおよび一定の幅を有する空冷式放熱器と、放熱器の両長側縁に設けられた1対のカバーとを備えており、
放熱器の各ヒートシンクが、基板および基板の上面に放熱器の長手方向に間隔をおいて立ち上がり状に一体に形成されて放熱器の幅方向にのびる複数の放熱フィンからなるとともに、ヒートシンクの隣り合う放熱フィン間が放熱器の幅方向にのびる通風間隙となっており、全ヒートシンクが放熱器の長手方向に並んで配置されるとともに、隣り合うヒートシンクの基板の側縁部どうしが相互に固定されることによって放熱器が構成され、放熱器の各ヒートシンクの基板の下面に、複数のLEDが装着された少なくとも1つのLED回路基板が取り付けられる回路基板取付部が設けられ、両カバーが放熱器の全ヒートシンクの基板に固定され、両カバーに、それぞれヒートシンクの通風間隙に通じさせられた通風口が形成されているLED照明用放熱装置。
【請求項2】
両カバーに、それぞれヒートシンクの数と同数の通風口が放熱器の長手方向に間隔をおいて形成されるとともに、各通風口が各ヒートシンクの全通風間隙に通じさせられ、両カバーにおける隣り合う通風口間の部分が、隣り合うヒートシンク間の近接した放熱フィン間に空気が流れるのを防ぐ遮風部となっている請求項1記載のLED照明用放熱装置。
【請求項3】
各カバーの下端に、他のカバー側に突出して全ヒートシンクを支持する支持壁がヒートシンクの回路基板取付部と干渉しないように設けられている請求項1または2記載のLED照明用放熱装置。
【請求項4】
隣り合う2つのヒートシンクの基板における相互に固定された側縁部の近傍に凹凸嵌合部が設けられている請求項1〜3のうちのいずれかに記載のLED照明用放熱装置。
【請求項5】
隣り合う2つのヒートシンクの基板の上面における相互に固定された側縁部側の端部に上方突出部が一体に設けられ、一方のヒートシンクの基板の上方突出部における他方のヒートシンク側を向いた面に嵌合凸部が設けられ、他方の一方のヒートシンクの基板の上方突出部における他方のヒートシンク側を向いた面に、嵌合凸部が嵌る嵌合凹部が設けられ、嵌合凸部と嵌合凹部とにより凹凸嵌合部が構成されている請求項4記載のLED照明用放熱装置。
【請求項6】
隣り合う2つのヒートシンクの基板の側縁部どうしが接着剤により相互に接着されている請求項1〜5のうちのいずれかに記載のLED照明用放熱装置。
【請求項7】
両カバーの各遮風部の上端部どうしが、両カバーに一体に設けられた連結部により連結されている請求項1〜6のうちのいずれかに記載のLED照明用放熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、植物栽培工場用育成照明や、工事現場用サーチライトなどに使用されるLED照明において、発光源として用いられるLEDから発生する熱を放熱する放熱装置に関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、
図2、
図3および
図7の上下を上下というものとする。
【背景技術】
【0003】
LEDを有する発光源を備えたLED照明は、従来の白熱電球などと比べて、発光効率が高く、低消費電力で明るいという優れた特徴があるが、現在の技術では、消費電力の約80%が熱になり、また、LEDを取り巻く樹脂材料が熱によって劣化し、発光効率が低下するとともに、寿命が短くなる。特に、消費電力が100W以上の高消費電力型LED照明おいて、上述した問題が顕著である。
【0004】
そこで、LED照明を効率良く冷却することが可能な放熱装置として、本出願人は、先に、熱伝導性材料からなり、かつ片面が複数のLEDが装着された少なくとも1つのLED回路基板が取り付けられる回路基板取付面となされるとともに他面が平坦な伝熱面となされた基板と、基板の伝熱面に設けられた複数の放熱フィンとを備えており、放熱フィンが、基板の伝熱面に固定されかつ当該伝熱面から伝えられる熱を受ける受熱部、および受熱部に上方突出状に一体に設けられかつ受熱部から伝えられる熱を放熱する放熱部からなり、複数の放熱フィンが、放熱部どうしが互いに間隔をおくように基板に固定され、放熱フィンの放熱部にヒートパイプ部が設けられ、当該ヒートパイプ部が中空状作動液封入回路内に作動液が封入されることにより設けられているLED照明用放熱装置を提案した(特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1記載の放熱装置によれば、熱輸送性能が優れたヒートパイプを利用しているので、基板の伝熱面に取り付けられたLED回路基板のLEDを効率良く冷却することが可能になる。しかしながら、特許文献1記載の放熱装置においては、放熱フィンの放熱部に、中空状作動液封入回路内に作動液が封入されることにより形成されたヒートパイプ部が設けられているので、製造コストが比較的高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−194919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の目的は、上記問題を解決し、十分な放熱性能を確保した上で、特許文献1記載のLED照明用放熱装置に比較して製造コストを安くすることが可能なLED照明用放熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0009】
1)複数のアルミニウム押出形材製ヒートシンクからなり、かつ一定の長さおよび一定の幅を有する空冷式放熱器と、放熱器の両長側縁に設けられた1対のカバーとを備えており、
放熱器の各ヒートシンクが、基板および基板の上面に放熱器の長手方向に間隔をおいて立ち上がり状に一体に形成されて放熱器の幅方向にのびる複数の放熱フィンからなるとともに、ヒートシンクの隣り合う放熱フィン間が放熱器の幅方向にのびる通風間隙となっており、全ヒートシンクが放熱器の長手方向に並んで配置されるとともに、隣り合うヒートシンクの基板の側縁部どうしが相互に固定されることによって放熱器が構成され、放熱器の各ヒートシンクの基板の下面に、複数のLEDが装着された少なくとも1つのLED回路基板が取り付けられる回路基板取付部が設けられ、両カバーが放熱器の全ヒートシンクの基板に固定され、両カバーに、それぞれヒートシンクの通風間隙に通じさせられた通風口が形成されているLED照明用放熱装置。
【0010】
2)両カバーに、それぞれヒートシンクの数と同数の通風口が放熱器の長手方向に間隔をおいて形成されるとともに、各通風口が各ヒートシンクの全通風間隙に通じさせられ、両カバーにおける隣り合う通風口間の部分が、隣り合うヒートシンク間の近接した放熱フィン間に空気が流れるのを防ぐ遮風部となっている上記1)記載のLED照明用放熱装置。
【0011】
3)各カバーの下端に、他のカバー側に突出して全ヒートシンクを支持する支持壁がヒートシンクの回路基板取付部と干渉しないように設けられている上記1)または2)記載のLED照明用放熱装置。
【0012】
4)隣り合う2つのヒートシンクの基板における相互に固定された側縁部の近傍に凹凸嵌合部が設けられている上記1)〜3)のうちのいずれかに記載のLED照明用放熱装置。
【0013】
5)隣り合う2つのヒートシンクの基板の上面における相互に固定された側縁部側の端部に上方突出部が一体に設けられ、一方のヒートシンクの基板の上方突出部における他方のヒートシンク側を向いた面に嵌合凸部が設けられ、他方の一方のヒートシンクの基板の上方突出部における他方のヒートシンク側を向いた面に、嵌合凸部が嵌る嵌合凹部が設けられ、嵌合凸部と嵌合凹部とにより凹凸嵌合部が構成されている上記4)記載のLED照明用放熱装置。
【0014】
6)隣り合う2つのヒートシンクの基板の側縁部どうしが接着剤により相互に接着されている上記1)〜5)のうちのいずれかに記載のLED照明用放熱装置。
【0015】
7)両カバーの各遮風部の上端部どうしが、両カバーに一体に設けられた連結部により連結されている上記1)〜6)のうちのいずれかに記載のLED照明用放熱装置。
【発明の効果】
【0016】
上記1)〜7)のLED照明用放熱装置によれば、複数のアルミニウム押出形材製ヒートシンクからなり、かつ一定の長さおよび一定の幅を有する空冷式放熱器と、放熱器の両長側縁に設けられた1対のカバーとを備えており、放熱器の各ヒートシンクが、基板および基板の上面に放熱器の長手方向に間隔をおいて立ち上がり状に一体に形成されて放熱器の幅方向にのびる複数の放熱フィンからなるとともに、ヒートシンクの隣り合う放熱フィン間が放熱器の幅方向にのびる通風間隙となっており、全ヒートシンクが放熱器の長手方向に並んで配置されるとともに、隣り合うヒートシンクの基板の側縁部どうしが相互に固定されることによって放熱器が構成され、放熱器の各ヒートシンクの基板の下面に、複数のLEDが装着された少なくとも1つのLED回路基板が取り付けられる回路基板取付部が設けられ、両カバーが放熱器の全ヒートシンクの基板に固定され、両カバーに、それぞれヒートシンクの通風間隙に通じる通風口が形成されているので、各ヒートシンクの基板の回路基板取付部に取り付けられたLED回路基板のLEDから発せられた熱は、各ヒートシンクの基板を経て放熱フィンに伝わり、自然対流によって通風間隙を流れる低温の空気に放熱される。そして、放熱器の各ヒートシンクの隣り合う放熱フィン間に設けられた通風間隙が放熱器の幅方向にのびているので、放熱器の長手方向中央部に位置するヒートシンクの基板の回路基板取付部に取り付けられたLED回路基板のLEDから発せられた熱も効果的に放熱されることになり、すべてのLED回路基板のLEDから発せられた熱を効果的に放熱することができる。たとえば、放熱器が1つのアルミニウム押出形材製ヒートシンクからなり、ヒートシンクが、基板および基板の上面に放熱器の幅方向に間隔をおいて立ち上がり状に一体に形成されて放熱器の長手方向にのびる複数の放熱フィンからなるとともに、ヒートシンクの隣り合う放熱フィン間が放熱器の長手方向にのびる通風間隙となっている場合、自然対流によっては通風間隙の長手方向の中央部には低温の空気が流れにくくなるので、放熱器の長手方向の中央部付近の温度が他の部分に比べて高くなり、その結果放熱器の長手方向の中央部付近からの放熱性能が低下し、LED回路基板の全体に取り付けられたLEDから発せられる熱を効果的に放熱することができない。
【0017】
しかも、放熱器の各ヒートシンクの隣り合う放熱フィン間が放熱器の幅方向にのびる通風間隙となっているので、ヒートシンクにおける放熱器の長手方向の寸法を比較的短くすることができる。したがって、ヒートシンクを比較的簡単に押出成形することが可能になり、特許文献1記載のLED照明用放熱装置に比較して製造コストが安くなる。放熱器全体を、基板および基板の上面に放熱器の長手方向に間隔をおいて立ち上がり状に一体に形成された複数の放熱フィンからなるとともに、ヒートシンクの隣り合う放熱フィン間が放熱器の幅方向にのびる通風間隙となっている1つのヒートシンクで形成することも考えられるが、この場合、基板における放熱器の長手方向の寸法が大きいヒートシンクを押出成形することはできないので、比較的大きなLED回路基板を有するLED照明には適用することはできない。
【0018】
また、全ヒートシンクが放熱器の長手方向に並んで配置されるとともに、隣り合うヒートシンクの基板の側縁部どうしが相互に固定されることによって放熱器が構成されているので、放熱器を構成するヒートシンクの取り扱いが容易であるとともに、放熱器に、LED照明の構造部材としての高強度を持たせることができる。
【0019】
さらに、両カバーが、放熱器の全ヒートシンクの基板に固定されているので、カバーによっても全ヒートシンクの固定強度を増大させることができる。
【0020】
上記2)のLED照明用放熱装置によれば、ヒートシンクの通風間隙を流れて放熱に寄与する低温の空気量の低下を防止することが可能になって、LED回路基板のLEDから発せられた熱を効率よく放熱することができる。すなわち、放熱器の基板における隣り合うヒートシンク間の近接した放熱フィン間には放熱フィンは存在せず、当該部分を空気が流れたとしても放熱に寄与しないと考えられる。しかしながら、上記2)のLED照明用放熱装置においては、両カバーにおける隣り合う通風口間の部分が、隣り合うヒートシンク間の近接した放熱フィン間に空気が流れるのを防ぐ遮風部となっているので、低温の空気が放熱に寄与しない部分に流れるのを防ぐことにより、ヒートシンクの通風間隙を流れて放熱に寄与する低温の空気量の低下を防止することが可能になって、LED回路基板のLEDから発せられた熱を効率よく放熱することができる。
【0021】
上記3)のLED照明用放熱装置によれば、各カバーの下端に、他のカバー側に突出して全ヒートシンクを支持する支持壁がヒートシンクの回路基板取付部と干渉しないように設けられているので、隣り合うヒートシンクどうしの固定部の破損を防止することができる。
【0022】
上記4)のLED照明用放熱装置によれば、隣り合う2つのヒートシンクの位置決めを簡単に行うことができる。
【0023】
上記5)のLED照明用放熱装置によれば、凹凸嵌合部を、隣り合う2つのヒートシンクの基板における互いに当接した側縁部の近傍に比較的簡単に設けることができる。
【0024】
上記7)のLED照明用放熱装置によれば、両カバーを一体化することができるので、当該放熱装置の組み立て性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】この発明の実施形態1のLED照明用放熱装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図3】
図1のLED照明用放熱装置の放熱器を示す正面図である。
【
図4】
図1のLED照明用放熱装置の放熱器を示す底面図である。
【
図5】
図1のLED照明用放熱装置の放熱器の変形例を示す部分拡大正面図である。
【
図6】この発明の実施形態2のLED照明用放熱装置の全体構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0027】
以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0028】
また、以下の説明において、
図3の左右を左右というものとし、
図2の左右方向(
図4の上下方向)を前後方向というものとする。
【0029】
なお、全図面を通じて同一部分および同一物には同一符号を付す。
実施形態1
この実施形態は
図1〜
図4に示すものである。
【0030】
図1は実施形態1のLED照明用放熱装置の全体構成を示し、
図2はその要部の構成を示す。また、
図3および
図4は
図1のLED照明用放熱装置に用いられる放熱器を示す。
【0031】
図1および
図2おいて、LED照明用放熱装置(1)は、複数のアルミニウム押出形材製ヒートシンク(4)からなり、かつ左右方向の一定の長さおよび前後方向の一定の幅を有する平面から見て長方形状の空冷式放熱器(3)、ならびに放熱器(3)の前後両長側縁に設けられた1対のカバー(5)よりなる放熱装置本体(2)と、放熱装置本体(2)に設けられた吊り下げ部材(6)とを備えている。
【0032】
図3および
図4に示すように、放熱器(3)の各ヒートシンク(4)は、水平状の基板(7)および基板(7)の上面に放熱器(3)の長手方向に間隔をおいて立ち上がり状に一体に形成されて放熱器(3)の幅方向にのびる複数の放熱フィン(8)からなる。ヒートシンク(4)の隣り合う放熱フィン(8)間が放熱器(3)の幅方向にのびる通風間隙(9)となっている。各ヒートシンク(4)の基板(7)の下面に、少なくとも1つ、ここでは1つのLED回路基板(11)が取り付けられる回路基板取付部(12)が設けられている。そして、全ヒートシンク(4)が左右方向(放熱器(3)の長手方向)に並んで配置されるとともに、隣り合うヒートシンク(4)の基板(7)の側縁部どうしが当接させられて相互に固定されることによって放熱器(3)が構成されている。隣り合うヒートシンク(4)の基板(7)の側縁部どうしは、たとえばヘンケル社製のエポキシペースト接着剤(商品名HysolEA9394)により接着されている。
【0033】
両カバー(5)は、たとえばアルミニウムにより形成されており、下端部における左右方向に間隔をおいた複数部分において、ねじ(13)によりヒートシンク(4)の基板(7)の前後両面に固定されている。両カバー(5)には、それぞれヒートシンク(4)の数と同数の通風口(14)が放熱器(3)の長手方向に間隔をおいて形成されるとともに、各通風口(14)が各ヒートシンク(4)の全通風間隙(9)に通じさせられている。両カバー(5)における隣り合う通風口(14)間の部分は、隣り合うヒートシンク(4)間の近接した放熱フィン(8)間に空気が流れるのを防ぐ遮風部(15)となっている。また、各カバー(5)の下端に、他のカバー(5)側に突出して全ヒートシンク(4)を支持する支持壁(5a)がヒートシンク(4)の回路基板取付部(12)と干渉しないように設けられている。
【0034】
吊り下げ部材(6)は、たとえばアルミニウムにより形成されており、長手方向を放熱器(3)の長手方向に向けた状態で放熱装置本体(2)の上方に間隔をおいて配置されていた水平板状の横向き吊持部(16)と、吊持部(16)の長手方向両端部に一体に設けられて下方にのび、かつ下端部が放熱装置本体(2)に固定された垂直板状のアーム部(17)とよりなる。アーム部(17)の下端部は、前後方向に間隔をおいた複数部分において、ねじ(18)などの適当な手段によって、左右両端のヒートシンク(4)の基板(7)における左右方向外方を向いた面に固定されている。そして、吊り下げ部材(6)を利用して、LED照明放熱装置(1)およびLED照明(19)が植物栽培工場の屋根などから吊り下げられ、植物の育成照明装置として用いられる。
【0035】
放熱装置本体(2)の放熱器(3)を構成する各ヒートシンク(4)の基板(7)の回路基板取付部(12)に取り付けられるLED回路基板(11)に、図示しないLEDが実装された複数のLEDパッケージが配置され、全LED回路基板(11)および図示しない部分に配置されたスイッチング電源により植物栽培工場用育成照明装置として使用されるLED照明(19)が構成されている。なお、スイッチング電源は、吊り下げ部材(6)に取り付けられる場合もある。
【0036】
上述したLED照明用放熱装置(1)において、LED照明(19)のLEDから発せられた熱は、LED回路基板(11)を経て各ヒートシンク(4)の基板(7)に伝わった後放熱フィン(8)に伝わり、自然対流によってカバー(5)の通気口を通って通風間隙(9)を流れる低温の空気に放熱される。そして、放熱器(3)の全ヒートシンク(4)の隣り合う放熱フィン(8)間に設けられた通風間隙(9)が放熱器(3)の幅方向にのびているので、放熱器(3)の長手方向中央部に位置するヒートシンク(4)の基板(7)の回路基板取付部(12)に取り付けられたLED回路基板(11)のLEDから発せられた熱も効果的に放熱も効果的に放熱されることになり、LED証明(17)のすべてのLED回路基板(11)のLEDから発せられた熱を効果的に放熱することができる。
【0037】
図5はLED照明用放熱装置に用いられる放熱器の変形例を示す
図5において、隣り合う2つのヒートシンク(4)の基板(7)における互いに当接した側縁部の近傍に凹凸嵌合部(20)が設けられている。隣り合う2つのヒートシンク(4)の基板(7)の上面における互いに当接した側縁部側の端部に上方突出部(7a)が一体に設けられ、一方のヒートシンク(4)の基板(7)の上方突出部(7a)における他方のヒートシンク(4)側を向いた面に嵌合凸部(21)が設けられ、他方の一方のヒートシンク(4)の基板(7)の上方突出部(7a)における他方のヒートシンク(4)側を向いた面に、嵌合凸部(21)が嵌る嵌合凹部(22)が設けられ、嵌合凸部(21)と嵌合凹部(22)とにより凹凸嵌合部(20)が構成されている。
実施形態2
この実施形態は
図6および
図7に示すものである。
【0038】
図6はこの発明のLED照明用放熱装置の全体構成を示し、
図7はその要部の構成を示す。
【0039】
図6および
図7に示すLED照明用放熱装置(30)において、両カバー(5)の上端部どうしは、両カバー(5)に一体に設けられた上カバー(31)により連結されている。上カバー(31)には、ヒートシンク(4)の数と同数の通風口(32)が放熱器(3)の長手方向に間隔をおいて形成されるとともに、各通風口(32)が各ヒートシンク(4)の全通風間隙(9)に通じさせられている。両カバー(5)の遮風部(15)の上端部どうしは、上カバー(31)における隣り合う通風口(32)間に設けられた連結部(33)により連結されている。また、放熱器(3)の左右両端部および両カバー(5)の両端部を覆うように保護部材(34)が配置されている。保護部材(34)は角皿状であって、垂直板状の本体部(34a)と、本体部(34a)の周縁に設けられた左右方向内方への突出壁(34b)とよりなる。突出壁(34b)は、ヒートシンク(4)の基板(7)の下面、前後両カバー(5)の外面、および前後両カバー(5)の支持壁(5a)の下面に沿うようになっており、突出壁(34b)におけるヒートシンク(4)の基板(7)の下面に沿う部分が、ねじ(図示略)などの適当な手段により基板(7)の下面に固定されている。なお、カバー(5)をヒートシンク(4)の基板(7)に固定するねじの図示は省略されている。
【0040】
吊り下げ部材(6)のアーム部(17)の上部に、上方に向かって左右方向内方に傾斜した傾斜部(17a)が設けられており、吊持部(16)の左右両端は傾斜部(17a)の上端に連結されている。アーム部(17)の下部は、保護部材(34)の本体部(34a)にねじ(図示略)などの適当な手段によって固定されている。吊り下げ部材(6)の吊持部(16)の下面にスイッチング電源(35)が取り付けられている。
【0041】
その他の構成は、実施形態1のLED照明用放熱装置(1)と同様であり、
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明によるLED照明用放熱装置は、高消費電力型のLED照明において、LEDから発せられる熱を効率良く放熱するのに用いられる。
【符号の説明】
【0043】
(1)(30):LED照明用放熱装置
(2):放熱装置本体
(3):放熱器
(4):ヒートシンク
(5):カバー
(5a):支持壁
(7):基板
(7a):上方突出部
(8):放熱フィン
(9):通風間隙
(11):LED回路基板
(12):回路基板取付部
(14):通風口
(15):遮風部
(20):凹凸嵌合部
(21):嵌合凸部
(22):嵌合凹部
(33):連結部